榎田尤利『理髪師の些か変わったお気に入り』
藤井沢シリーズ最終話。
三軒となりのおさななじみ、理髪師×美容師。藤井沢最終話だし、幼馴染はちょう順当だなあ。
前半は攻めに引け目を感じつつ、都会に未練がある受け視点、全般に可もなく不可もなく。
後半では攻め視点になるのだが、実は受けにいちいちどぎまぎ大混乱していた内面がえがかれる。この作者のこういう文体はちょっと苦手だ。そして受けの友人アテウマ美容師もいまいちというか、ベタな展開になってしまうのだが、こういう展開しかないんかなあ…全般に、脇キャラが濃く描写も多いせいで主役CPが薄まってるのと、展開があまりにベタなのとで、なんだかものたりない。藤井沢の住人総出演ということもあり、主役CPはさらにうすくなっていっちゃうんだよね。特に末尾。
全体に、そうわるくもないけれど、読み返したい気にはならない感じ。
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個人的には『ギャルソン』>『歯科医』>>>>>>>>『理髪師』≧『アパルトマン』という感じ。アパルトマンもいまいちだったけど、理髪師も薄すぎた…。『ゆっくり走ろう』は未読。