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[ 読書/BL小説 ]

高遠琉加『この胸をどうしよう』

「ただの勘違い片思いに興味はありません。
 この中にガチのノンケ、恋人婚約者持ち、本命の身代わり、恋愛不感症のBLがあれば
 あたしのところに来なさい。以上!

 ハルヒ?は観ても読んでもいませんごめんなさい。
 しかし片思いものは良いです(これまたファンタジーとしてね。これって昨今また流行りの純愛、ともちょっと違う。むしろ落窪なんだとあたしは思ってる。なんというか「かわいそう」「せつない」がポイントのような気がするんですよ。だからもうこれは、少女漫画時代を経て王朝ブンガクまでさかのぼる日本人の好みなんではなかろうかとも思うんですが…流石にうがちすぎか(笑。
 ともあれ、片思いってよくないです?

 というわけで、高遠琉加は結構読みましたが、まだあんまり感想書いてないですね。

 幼馴染で昔からお日さまのような人気者だった若手俳優×コミュニケーション不全で攻めしか友達がいない大学生。
 上京して同居中、攻めは恋愛体質で次々に恋をして、フラれるたびに受けに泣きついて。でもいつか攻めが本命と結ばれたら、友達のいない受けはそのあとずっとひとりきりになってしまうんじゃないだろうか?

 すごく面白かったですよ。
 受けの孤独さとか、ある意味での身勝手さとか、受け視点でとつとつとした文体で語られていくのでよくわかる。ひとりは怖い、ってのは大概の人が理解できる感情だし、その意味でもかなり同調して読ませる感じだと思う。だからその受けが変化していくのも、攻めやその他の人々をちゃんとまなざせるようになるのも、自然に読めるしほっとする。
 攻めはあんまり語られてない。でも、ダメな部分もちゃんとかかれてるのにキレイすぎる、というのが面白い。この物語の終りの時点でもまだ受けの自我があんまり育ってないから、受け視点で見た攻めはきれいなまんまなのだろう。もうちょっとしたら、この二人はケンカしたりもするようになって、それでも仲良く付き合っていくんだろうな、とか思ってしまえる、そんな余韻が残った。偉いなあ…この文体が(笑。
 脇キャラもよかった。放送作家は言うに及ばず、プロデューサー?とかもやや大味だったけどよかった。

 あ、しかしこれは片思いかどーかっていうと微妙というか、誰の片思いなのよ、って感じも…ま、いいか(笑。

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