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[ 読書/BL小説 ]

夜光花『リアルライフゲーム』

 とても面白かった。

 高校時代に父の会社が倒産し、それまで親しくしていた三人と離れて貧乏生活をしていた主人公。なんとか大学を出て自動車の営業をするけど、全然売れなくて怒られてばかり。そんなある日、三人の旧友のなかでも特に仲が良かった、しかしちょっとブチきれてるとこのある男がやってきて、久々に四人でゲームをしようという。容赦ない罰ゲームをさせられた記憶にいやな予感はするものの、客を紹介するという言葉につられて参加してみたら、旧友が準備していたゲームはリアルライフゲーム、すなわちコマの指令を実際に行わなければならない人生ゲームだった。

 とってもこの作者らしい設定で、この作者らしい筆致だった。
 というか、梗概を読んで、エロ指令ばかりなのかと思ってたら、カンボジアに学校をつくるとか婚約者に高級バッグを買うとかの普通のしかしどぎつい指令からはじまって、ゲームが進むに従って精神的に変化がおきて、エロ指令に流れても従わされてしまうという展開は無理が無く、さすがだなあと思った。
 夜光花は、やはり日本語や文章はいまいちうまくないと思うのだが、しかし奇抜な設定を、(少なくともあたしの感覚においては)奇抜さだけにたよらずきちんと展開させて、しかも(少なくとも略)無理がない流れで書いてくれるので、やはりいいなあと改めて思った。BLでなくても読んでみたいような気がする。

 キャラも四人ともよかった。主人公佳宏は普通のリーマンなんだけど、お金持ちだった過去と今との対比や、性格的な狭量さとかダメなとこの描写とか、意外に流され切らなかった感覚とか、きちんとキャラたっててよかった。旧友は、何考えているのかわからないニヤニヤ笑ってる平良が、しかしとってもいい男に見えたりするのもおもしろい。言葉遣いもキャラたってていいし。あと、幼く見えていた翔太(この名前は、あとがきを読むまでそうと気づかなかった)の意外性とか、透矢のやわらかいもの言いとかきっつい性格とあまり書かれてない内面が垣間見られる部分とか、それぞれにしっかり意外性や面白みがあって、よかった。

 あと、雰囲気が何かに似ているなあと思っていたら、あとがきをみてああジュマンジかと納得した。もちろんジュマンジとは全然違うお話なんだけど。

 この終わり方は、続編もありそうな…なさそうな…あったらいいなあと思うけど(笑。

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