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2023年03月18日

辻村七子「宝石商リチャード氏の謎鑑定」1~10

 二年ぶりとな!?
 間をうめるつもりではいます(本気か…?

 リチャード氏のことです。
 久々のどツボ。
 「准教授高槻彰良」とか「家政夫くん」のようなラノベ・ブロマンス・ミステリーのシリーズものを読みたくて見つけた。
 第一部は宝石を扱いつつオムニバスのちょっと謎解きで、まあそこそこ面白いかな…と読みつつ、リチャードは甘い物好きで日本語に堪能なキャラで面白いけど結構ツンツンだし、正義は正義感あるあたりはともかく礼儀知らずな若者で雇用主をお前呼ばわりなので、あまり感情移入もせず。それにそれぞれ恋愛もしてる/たので、ブロマンスというよりバディかな…と思いつつ、正義がうかつにリチャードを褒めまくり、リチャードや周囲の人間を困惑させるあたりはちょっとおもしろく読んでいた。
 しかしリチャード実家編での正義暴走、正義実家?編のリチャード爆走を経て、あれあれ?おやおや?と思っているうちに第二部に突入し、数度のよそ見危機を乗り越えつつ、いえ数度というかほんのわずかなものでしたが、気づけばなんか本格的にBLになっていた…?こんなになっちゃった……。しかも第三部に入って、まだくっついてもいないのに子育て編に入ってる…どういうことだ(新婚編はどこへ…!
 しかし正義は嫌いではないむしろ好きなキャラではあるのだけれど、恋愛マナーは最低に近いなあと思う(笑。付き合ってって言ったらどう思うとか、相手に釣り合うまで待ってとか、はやく腹をくくれ。リチャードは毛布おばけになったあたりからなんかかわいくなってしまって、まあ完璧なままでいさせるのも気の毒だしいいのだけれど、親しみの湧くキャラになってしまったようにも思う。かわいいけど!あとヨアキムとか出てきたあたりからなんかBLっぽさがすごく増してきた気がする。いいけどね。
 でも正リチャよりはリチャ正派です。
 でもこの二人ならリバありでもいいです。

 ところでちょうど昨年パパラチアのリングをつくってもらったところだったので、リチャード氏でもパパラチアがキーになっていて縁を感じました。誕生石がサファイアなのですが、今まで青いサファイアになぜか興味がわかず、「宝石の国」でパパラチアサファイアを知り、はじめてサファイアが欲しくなったのです。リチャード氏でホワイトサファイアの存在も知って、こちらもちょっと興味が出てきています。



2021年03月20日

C・S・パキャット『叛獄の王子』1~4

『叛獄の王子』『叛獄の王子2 高貴なる賭け』『叛獄の王子3 王たちの蹶起』『叛獄の王子外伝 夏の離宮』の全4冊。
 南の大国アキエロスの王子デイメンは、王位を狙った兄の策略で北の大国ヴェーレに奴隷として送られる。ヴェーレでは、かつてデイメンが殺した王子の弟ローレントに、名前を隠して奴隷として与えられ、その氷のような冷血ぶりに苛まれ翻弄されて。
 評価は高そうなので期待していたけど、十全に面白かった。

 とはいえ、1巻半分くらいまで?いや1巻の終わりくらいまで、ローレントが人を人とも思わないような冷血傲慢王子で、どうするんやこれ…とか思ったけど(笑。あと2巻の終わりまで色っぽい展開は皆無なので、ほんとにBLなの?とも(笑。
 そんなBL要素皆無で進む一方で、デイメンと他の男性女性との交わりはがっつりあるし、二人が結ばれるのも唐突で、その後もどぎついまでの舌戦や肉体的闘争もあるし、BLとしては少々きついかもしれない。
 特に、二人の気持ちの流れがわかりにくくて、好きだってはっきりしないまま結ばれるようなところもあり、二人それぞれの思惑や内面が少しずつ見えていくのは書かれているから、惹かれる気持ちはわからなくもないのだけれど…という程度。まあそれぞれ兄を殺した男と、自分を奴隷にして鞭打った男となので、相当の葛藤があり単純に好き好き、とはならないだろうとも思うのだけれど。でも、初対面の時に酔っていたことや、鞭打ち、馬殺しとかの背後関係がわかったときに、もう少しデイメンがローレントの気持ちによりそう描写がほしかったし、あとローレントが本当は子どもや動物に優しい性格なんだということがわかったときとかにもっと感銘をうけてほしかった。
 例の赤子の存在が判明したときにはどうしようかと思った(笑)けど、元カノとのやりとりで、ローレントはデイメンが今後浮気しても受け入れそうだなあとも思ったので、むしろ浮気しないであげてほしいなあと思った。まあ、デイメンの方はローレントの浮気には耐えられないそうだし(笑、だったら自分もしないだろうし、アキエロスはあの赤子に継がせるのだろうなとも。
 ローレントの自分の血族への嫌悪の理由は書かれてない?読み落としたかなあ。ローレントの過去の相手はやはりあの人なのかな…ほんと過酷な人生だ…それが血をたやそうと思う理由かなとも思うけど。あと3巻の終わりだけは微妙だなあと思ったら、やっぱりアマゾンのレビューでも3巻だけは評価が低くなっていた。なんかキングスミート?に入ったところから、ローレントもデイメンもものすごく頭が悪くなってしまって無策かつ無謀で、一体どうしちゃったの!?という感じだった。それでも最後にローレントがかたをつけたことで、デイメンと本当に同じ立場になったのは(まあローレントのほうはデイメンを守るためだけど)納得した。

 まあそんな末尾のはてなはありつつも、全体としてはしっかりとした世界設定、魅力的で活き活きとしたキャラ、戦略、展開、総じて高い水準で素晴らしい。
 特に設定としては、アキロエスではヴェーレの婚外子をつくらないため同性の愛人をもつ風習やあけっぴろげな性生活を見下し、一方ヴェーレの方ではアキエロスの奴隷制度や婚外恋愛を見下しているという、文化的にどちらが優れているというわけでもない描写が個人的にはよかった。
 キャラはまっすぐなデイメンはもちろんかわいそうなジョード、一本気なニカンドロス、年重のマケドンなど、素敵な味方がいっぱいでパラスとかもっと活躍してほしい人もいっぱいいいた。イサンデルは奴隷から開放されてローレントの侍従になっているといいな(笑。とはいえまあやっぱり最終的には、どうしようもない冷血と皆に思われていたローレントが本当は優しく不器用なくらい生真面目なのがとってもかわいい。お酒飲めないのも、外交のために練習しておくべきだったと反省するのもかわいい。外伝で花とサンダルだけ身につけていたのもかわいい。デイメンが萌えるのもよくわかる。あと外伝のチャールズのお話がよくて、特に終わり方がベタでよかった。チャールズいい人…。
 あと、ファンタジーなせいか、翻訳ものだということもあまり意識しなかったのも面白いなと思った。



2020年12月04日

ミナヅキアキラ『スモーキーネクター』

 謎の連続殺人を追うフリーの記者が、友人が犯人かもという疑惑を晴らそうとする吸血鬼もの。
 面白いし、とにかく絵が上手。設定やキャラがもりだくさんすぎではあったので、続編読みたい。



2020年11月16日

百瀬あん『ナカまであいして』

 かわいい顔だけど性格のきつい受けが、出会い系を使ったら同級生チャラ男にバレて脅されそういう関係に。
 面白かった。受けも攻めもいい子ではないんだけど、かわいいところもあるので、お互い反発しながらも惹かれていくのがいい。顔だけが評価されて不満な受けと、その受けの顔だけはいいと思っている攻めが、それでも内面で交流してつながっていく感じ。受けが懐いていた王子様系イケメンはもうちょっと活躍してくれたらよかったかも。



2020年11月01日

久松エイト『NEON』『ランウェイの行方を知りたいか』

 『ランウェイ~』はKindle Ultimated。
 イケメンそつなし大学生攻めと美形美容師受けの読モもの。
 受けが田舎ではぶられてたせいもあり無知天然わがまま素直なピュアピュア美形で超絶にかわいくて、けっこうかっこいい攻めがメロメロぐだぐだでかわいい。なんかしょっちゅうごめんねごめんね、大丈夫?○○する?とか受けにへりくだっている(笑、のに、別に奴隷的には見えない攻めもいい。『ランウェイ~』のオビが「圧倒的な愛と幸福」で、お話の筋にはあまり合っていないんだけど、雰囲気的にはすごくわかる!という感じ。



2020年10月31日

かんばまゆこ『錦田警部はどろぼうがお好き』1~3

 怪盗に乙女のように恋する警部と、部下で怪盗の子のお話。
 面白かったけど、警部が気持ち悪すぎる(笑。好青年モードのふつうっぽさと、死んだ眼モードのニヒルさがそれぞれに違いすぎる(笑。後半かなりBLっぽい。
 いいところで終わっているし、作者さんのpixivでは構想も続編もあるみたいなのに、もう数年動きがないっぽい…舞台化…?
 続きがすごく読みたいです。



2020年10月30日

いそふらぼん肘樹『神クズ☆アイドル』1~3

 1巻はKindle Ultimated。
 アイドルデュオのやる気なし男子が、亡くなったトップアイドルの女の子に取り憑かれて。
 すごく面白い。アイドルの霊の子の髪型がなんか垢抜けないが、アイドルやるのも見るのも大好きな性格がかわいい。やる気なし男がなんとか楽をするために霊の子を利用しようとしたり、デュオの相方が小心者だったり、霊の子のファンだったトップ男子アイドルとか、霊の子大好きな元グループ仲間とか、顔だけはいいやる気なし男の気の毒なファン達とか、みんな個性的だし面白い。早く続き読みたい。



2020年10月10日

nico『偽りトライアングル』

 大学の浮いてる秀才に声かけたらなつかれて告白され、断ったら怖いひとに襲われて、どうやら二重人格らしいのです。
 にこ山P蔵さんの旧PNだった!
 重い設定だけど、この作者らしい良い意味での軽さもあり、とても面白かった。あらすじ段階では、黒攻めといたしてしまってどうなるんだろう…と思っていたら、白攻めとは結局ああいう終わり方(笑)だし、続編あってもよかったよね(笑。病院での告白場面でも、お医者さんがいい味出していたり。



2020年10月04日

さとう蜂子『セックスが気持ちイイって本当ですか?』

 えっちな裏メニューありのバーで、えっちNGの店員が贔屓客に少しずつ開発されていく。
 最近流行りの絵柄の一つのように思うけれど、とにかく絵がいい。お話もオーソドックスでいい。後半の、ボディガード×先輩店員もよかった。



2020年09月20日

常倉三矢『Life 線上の僕ら』

 高校生が道路の白線の上を歩いていたら同じようなことをしている人に出会って。
 すごくよかった。しかしスパンの長いクロニクル的なお話は自分は少々苦手かもしれない…とも思った。それでもなお素敵なお話だった。



2020年08月25日

赤根晴『笑う門にはクズ来たる』

 駆け出しの売れない漫才コンビの片割れが、相方に見切りをつけられてしまったところ、中堅なのに相方をとっかえひっかえしてる憧れの先輩がフリーになったので、頼み込んでコンビ組んでもらおうとしたら絶倫かつダメ人間で、生活と夜の面倒を見ることに。
 素晴らしい。絵も上手、お話もしっかりしていて、安定感がありつつちょっとひねりもある。キャラが多くてもわちゃわちゃしない。漫才の場面が多すぎず少なすぎず、ネタも超面白くはないけどつまらないというほどでもないBLとして適切な面白さ。
 攻めが超ダメ人間で、でも寂しい過去があったりと、悪くないんだけれどもう少し掘り下げてほしかった感じはある。もっと漫才観を語って欲しい気もした。
 受けは、漫才大好きというけれど残念ながら本人はつまらなそうなお兄ちゃんで、しょっぱい(笑。飲み会でダダ滑りするところとか、共感性羞恥をくすぐる。そんな芸人としてはダメそうな受けをなぜ攻めが気に入ったのか、実は面倒見みてくれるからってだけではなくて…というのが、出会いの日の場面からこっそりしっかり描写されていたのがあとからわかる構成がすごくいい。攻めの元相方にピンクちゃんと呼ばれるのがかわいいのだけれど、攻めは他人にそう呼ばせるのが嫌だそうなので残念(笑。
 先輩の漫才コンビとか、攻めの元相方タレントとかもいい味出しているし、すごく続編ありそうだし、期待。



2020年08月21日

ひなこ『馬鹿とハサミ』

 ヒモのくせに何もしないどころかお小遣いもらってこっそり風俗行ってるクズ太郎が、女の子としちゃってるのが経営者にバレてカチこまれ、恋人にも捨てられて、極道っぽい経営者に責任とって自分を飼えとか文句つける。
 面白かったけど以下続刊だった…そういえばamazonのレビューでその情報を見て買い控えていたのを忘れていた…。でもまあ予想以上に面白かったし後悔はないです。ヒモ太郎がすがすがしいほどにクズで、攻めに媚びたり騙そうとしたりいろいろ奮闘する様子が面白い。むごい目にあってへこんだりもするけど、自業自得だし、めげずに立ち上がれるしぶとさもいい。



2020年08月18日

竹若トモハル『殴り屋はカラダの火照りをアレで醒ます。』

 単話版1~4話。
 依頼されてケンカする殴り屋は、ケンカの後には興奮を鎮めてもらうのが条件で、ある時ヤクザに鉄砲玉させられたらそのヤクザにつかまって。
 すごく面白いのに、短いし中途半端だしこれで終わりなんて信じられない。コミックスも出てなくて残念。この作家さんの他の作品でもあったけど、魔性的な総受けと、最初は受けを嫌っていた攻めが…な展開がすごくツボ。



2020年08月10日

じゃのめ『残像スローモーション』

 『黄昏アウトフォーカス』の、二年生監督と先輩部長とのお話。偉そうな後輩が、一時的に寮に入ってきて同室になっちゃった。
 すごくよかった!ずけずけ映画を批判する後輩が寮の部屋では居心地のいい相手だったり、後輩は部長の映画のどういうところが不満なのかとか、では部長はどうしてそういう映画をつくっていたのかとか、完璧部長の過去やコンプレックス、なにもかもが素敵。ただ、この人達将来はどうなるんだろう…部長は跡取りなのでは?とか気になる。前作CPというか前作の攻めが全然出てこないのは、寂しいけど潔い感じもした。



2020年08月01日

常倉三矢『咬みつきたい』

 優秀な同期にイラついていたらある日キスされたリーマン。
 いいですね。ノンケ受けの人間が小さく、攻めに勝とうとあれこれ裏工作したり、攻めが自分を好きだと知っていい気になってやれやれしたり、そんなのを攻めに全部見透かされていて、でも攻めは受けが好きってのがいいですね。続きももう少し読んでみたいけど、古い作品なので難しいかな。
 あ、オメガバースではありません。



2020年07月30日

にやま『そんなに言うなら抱いてやる』

 単話版で全部購入したけどコミックス版も購入してしまった。
 王子系モテ男でちょっとナルシストなノンケが、自分のモテ力を試そうと友人行きつけのゲイバーに行ってみたら、モテ男のゲイを発見し声をかけさせたいのだけど、実は彼は同僚の昼行灯で。
 と、受けは身勝手だし、攻めは仕事を振られないように会社ではメガネをかけて無能のふりしてるずるい奴なのだけれど、やはり絵は素敵だし、コメディの雰囲気で二人の欠点もなんとなく見過ごして読める。後半は受けが健気かわいいし、攻めはカッコいいしで、とてもいい感じ。
 ただ、なんかまだ攻めが落ちきってないというか、受けにめろめろになってほしいので、続編を期待。ゲイバーのママ?マスター?はいい人だし、ゲイバーの双子店員も受けの友人も気になるので、もっと読みたい。



2020年07月22日

赤根晴『プレミアムフライデーセックス』

 ゲイではなかったのに暇さからそうなってしまったくたびれリーマンが、プレミアムフライデーにおもちゃをいれて散歩に行こうとしたら、調子よく仕事を押し付けてくる後輩に無理やり飲みに連れていかれてやばい。
 トンデモなタイトルからは想像できない、絵も上手でお話も面白い一冊。あとがきによると、いろいろ悩んでいたら担当さんが悩みすぎですよ!もうタイトルはこれで!と出した案らしい。すごい。最近、他のいくつかの本で、このお話担当さんは仕事したのか?とか感じることが結構あったので、いい意味で勢いのある編集さんだと思った。ただ、タイトルで敬遠する人もいるかも…(笑。
 同じ作家さんの今連載中?のお話もとんでもねー雰囲気のタイトルだなあと思っていたんだけど、同じような経緯かなとも思うし、コミックスにまとまったら買おうと思った。

 しかしプレミアムフライデーってどうなったの?



2020年07月15日

常倉三矢『1等7億円が当たった俺の3日間』

 年明けにイケメン金持ちの友人と飲んでたら、宝くじに当たってたことに気づいて大わらわ。
 なんかBLとしては斬新な設定・展開で、しかも面白かった。凡人ダメ受けがわりと身も蓋もなくっていい。攻めもスパダリ風設定なのに、悩める人だしまったくそういう感じがしなかったし、キャラの隙きがある感じが庶民的でもあり、BLとしてはむしろふわふわした感じにすらなっていて、独特の作風になっている気がする。
 ただ、タイトルに「3日間」とあるのがなんとなく先が読めちゃうので、ないほうがよかった。



2020年07月10日

加藤スス『俺のアオハルは渡さない』

 少女漫画好きで暗かった中学時代から、高校では顔がいいのでクールイケメンぶって、少女漫画みたいな恋愛したい受けが、同中だった過去を知る攻めが転校してきちゃって。
 受けも攻めもちょっと難のあるけれどいいキャラですごく面白かった。受けの友人二人もよかったので、もっと読みたかった。



2020年07月09日

藤峰式『ハッピーエンドを信じてる』

 恋に恋する上京組のゲイのこが、電車で助けてくれたリーマンを運命の相手だと信じ込み、猛アタック。
 思い込みの強い受けがいろいろスレスレだけど面白い。流されていつの間にか付き合うことになってた攻めも、ちゃんと受けを好きになってくれたようだし、次第に合わせ始めるしで面白かった。



2020年06月17日

長与エリ子『業務上過失ポルノ』

 編集者で契約社員をやってたゲイ受けが、忙しい編集部に正社員で誘われて、面倒に思っていたけど上司になる人が好みのイケメンだったので了承したら、普段はだらしない男でガッカリですよ!
 絵も上手で、お話も一筋縄ではなく(しかもあとがきにはオーソドックスな話を書いたつもりというようなことが書かれていて、そうか!?とびっくりした)、これが一冊目らしいので、かなり期待できる作家さんである。
 あっけらかんとしたゲイの受けはいいキャラだし、チャラノンケかと思われた攻めも実は…といろいろあって、前半は淡々と進んでそれもよかったし、どんでんがえし的なギミックもあるので二度読みたい話。ただ、そのギミックがかなり地雷というか…でも面白かったので結果的には良かったんだけど、最初はぎゃーっと思った。あと、お話としては面白かったけど、地雷的な性質の設定なので、その周辺は正直いろいろきっつい部分もあった。



2020年06月15日

野田のんだ『元ヤクザがBL作家になったらしい。』

 組が解散したのでマンガ好きを活かしてネットでヤクザ漫画をアップしてたら注目されて、BL編集部から声がかかった。
 設定先行でお話は薄いのでは…と危惧したものの、しっかりお話もあって絵もきれいでよかった!ヤクザがもともと漫画好きで描いてたこともあったり、舎弟の彼女が要所で話を進める役になったり、ヤクザの話を読んで勘違いしてしまう元ライバルとか、きちんといろいろ活きてた。書き忘れたけど、攻めは編集者。



2020年05月21日

倉橋トモ『ピンクとまめしば』

 落ち込んでいたときに男性アイドルグループを見て助けられてからファンになった受けが、高校の講師になったらチャラい高校生にからまれるようになって。
 面白かったし、絵もきれい。最初のあたりは受けのアイドルオタ設定に意味はあるのかなと思っていたら、後半つながりがわかって面白くなった。アイドルとのからみももうちょっと欲しかった。
 攻めがからあげ好きとか、はっきりそうとは書かずに複数回鳥を食べる描写を入れているのが設定も描写も細かくて好み。ただ、攻めの頭がピンクであることが本文で言及されていないような…?それもあって、タイトルがあまりキャッチーになれてない気もする。



2020年05月19日

ニクヤ乾『#BLごっこ』

 男子同士でいちゃいちゃするBLごっこでいいねを稼ぐのが流行っていて、承認欲求からそれに憧れて一人で活動してたぼっち高校生が、クラスのリア充に、それ兄貴がやってて興味あるから相方にならないか、とか言われて。
 面白かったんだけれど、ものすごい物足りない。一冊に弟×ぼっち、兄×イケメンの2CPも詰め込まているので、どっちももっと読みたかった…!1CP一冊で読みたかった。ぼっち受けの承認欲求とか、なんで「あききゅん」って名前なのかとか、二人のBLごっこぶりとか、兄CPのメディア人気の様子とか、ここぞというところがすべてあっさりすぎ。
 とはいえ物足りないからつまらないのではなくもっと読みたかったというだけなので、お話は好きです。弟がさえないぼっち同級生に惹かれた理由とか、完全にビジネスライクな受けにふりまわされる様子とか、ぼっち受けが友達と出かけるのすら初めてで緊張してるのとか、四人でのデートとか、よかったところも多い。兄は東大進学したのはすごすぎ(笑。



2020年05月11日

夜光花『花嵐の血族』

 『烈火の血族』の第二巻。タイトルどおり、オスカーがわりと出てきて、怪しげで、やっぱりそう?という感じ。
 内容は相変わらず素晴らしく面白い。ギフト周辺の設定とか、一巻から結構伏線があってすごい。
 しかしマホロの仲間はみんな日本名なのかと思ってたらそうでもなかった。
 あと絵がいつもながら素晴らしく、売れっ子さんなのに(というのもかえって失礼かもしれないけど)きちんと読み込んでて、本文に描写がなくても別の箇所の設定からちゃんとマホロの足に輪がついてたり、細かくて素晴らしい。作者さんもきちんとスケジュール押さないように書いて、本文なしでイラスト描いてもらうようなことはしないのだろうなあ。キャラ造形はもちろん服装調度もお話にぴったりで素敵。電子版には裏表紙がない気がするので、紙版も買おうかな。



2020年05月09日

待緒イサミ『十二支色恋草子~蜜月の章~』1~3

 続編も面白い、まだ以下続刊なので続きが楽しみ。
 イタチとか、最初はかわいくないのにお話が進むと事情がわかって愛着が湧いてかわいくなるのがかわいい。どの神使も人間の姿がわかる≒事情がわかる感じでもある。



2020年05月07日

待緒イサミ『十二支色恋草子』1~3

 神使がやってくるお休み処の神社の宮司には、月替りで十二支が憑くので、神社が焼けてしまった猫の神使に憑かれた宮司が避難してくるものの、十二支と反発しあってしまっていて。

 すごく面白かった!個々の設定や展開はそれほどオリジナリティを感じないのに、それらの積み重ねですごく斬新な感じになってる。
 最初はキャラ多すぎ…と思ったけど、十二支にそれぞれスポットライトをあてていく十二ヶ月のお話なので、すんなり読めた。そしてとにかく神使というか動物がかわいい!
 攻めは、憑く十二支のせいで毎月性格とかが少し変わるのがよかった。もっと変わっちゃってもいいと思った。亥→受けの従兄弟なので、亥が憑いた時にはいつも反発しあっている従兄弟にちょっと好意的になっちゃうとか萌える。猫が好きな理由もせつなくて、でもいい形で解決してよかった。攻めもそうなんだけど、受けも孤独でそれぞれ難儀な性格ではある。戌→猫も萌える。



2020年05月04日

加藤えりこ『カタシロとメランコリー』1、2

 Kindle Ultimated。
 呪いを肩代わりできる青年が、呪いを広げる奴らと対決するために、依頼人だったアイドルとそのマネージャー社長と一緒に神社を出る。
 すごく面白かったので、もっと長く読みたかった…。冒頭だけ、主人公を利用してるおじさんとか、勝手に動画配信始めてるアイドルや勝手な社長とかが、全然感情移入できなかったんだけど、その後は皆普通の人になるので、この冒頭はもったいない気がした。



2020年04月29日

朔ヒロ『noe67~笑わないセクサロイド~』

 Kindle Ultimated。
 廃品置き場で古い型だけど憧れだったアンドロイドを見つけて、修理したアンドロイド整備士。
 過去の事件というか噂のことを博士が全然知らないのはなんでだーとは思ったけれど、お話も絵もすごくよかった。アンドロイドが個人的ツボなんだよね。



2020年04月24日

山本ティナ『ライカン ―伯爵獣と囚われた男娼―』

 貧しい僻地の村で男娼をして食いついないでいる人間の青年が、都から来た獣人の客に出会って。
 これまた王道で素晴らしいですね。ややレトロな絵もやはりいいし、受けは特に最初の辺りではかわいそうでいい。獣人がなぜ人間を嫌っていたのかもう少し書かれると良かったかも。でもふたりとも幸せになりそうでよかった。続編があるようなので楽しみ。



山本ティナ『夜啼く鷹は愛を知らない』

 スラムの自警団長の青年が、世話になっているギャングのところに来た外部の警備隊長をもてなすことになって。
 すごく好みだった。絵がややレトロで、受けがしっかり男らしくて、でもかわいそう受けという、個人的な萌ツボにすごくはまった。受けが今後どうするのかは知りたかった。



2020年04月22日

犬井チズ『ドラヴァーズ』

 陰龍を退治する衛士の攻めが、陽龍に出会って一緒に陰龍を退治しようと思ったら。
 設定がてんこもりで、後半のあの龍をこうしたらこうなる、という辺りは少々理解が追いつかなかった。でも設定とキャラが多いのにどこも手を抜かずにしっかり描写している一方で、主人公CPもしっかりキャラが立っててお話もちゃんと展開してて、それでいてまとまりもあるのですごい。攻めもかっこいいけれど、なにしろ龍がかわいい。



2020年04月19日

ARUKU『極東追憶博物館』

 幻冬舎のセールでまとめて購入。
 短編集。どの作品も素晴らしいけど、表題作もほんとにいい。ウラジオストックの博物館でチケットを売っている日本人青年の手を見て惚れ込んでしまう建築家のお話。広場の話とかもすごくいい。どのお話ももっと読みたい!となる。俳句の話の続きは『明日屋』の上巻に入っていた。



2020年04月18日

緒川千世『カーストヘヴン』1~6

 ゲームでスクールカーストが決まる学校で、キングからターゲットに転落した梓と、ワナビーからキングになった刈野を中心としたお話。
 以前修学旅行あたりを本誌で少し見かけて、人気作品らしいけどなんかよくわからないしあまり面白そうでもないなと思ってしまったんだけど、今回まとめて読んだらやっぱり面白かった。
 特に主要人物で、自分のカーストをしっかり演じようとしている人が少ないのが、残念だしわかりにくさの原因な気がする。あと話に邪魔だからだろうけど、教職員がひどすぎる(笑。
 梓は最初がひどすぎるので、どうしようと思ったけど(笑、家族への複雑な感情が次第に明らかになっていったりで、次第に魅力的になっていった。キングの時の暴君ぶりも、自分の地位を守るためとかキングらしく振る舞うためだったとかもう少しはっきり語って欲しい気もする。
 あつむは最初はただのいじめられっこで顔もかわいいわけでないので、久世が執着する理由もわからなかったしお話的にも微妙になったな…と思っていたら、久世の抱えている闇と、あつむの成長とで魅力的になっていって、梓もそうだけれど最初はそうでもないキャラが魅力的になっていくところがこの作品のよさの一つだなと思った。ただ、この二人こそまさに自分のカーストらしく振る舞わない人たちの筆頭なので、そこが難しい(笑。
 そしてなにより、バッドボーイの巽と仙崎のキャラと顛末がよすぎて、このCPでかなりこの作品を好きになった。犯罪を犯すでもないのにこれだけイカれた雰囲気を出している仙崎は近年まれに見るいいキャラだし、巽の最後の選択もびっくりでよかった。ただ、この二人はもう少し進展があってほしい…キャラ紹介に仙崎が出てるからまた再登場すると信じたい。
 6巻がすごくいいところで終わってるので、次がすごく気になる。



2020年04月15日

松下祐己『俺様な同期に夜の仕事がバレました。』

 不器用なリーマンが夜のバイト先に行ったら、何かといじってくる仕事のできるイケメン同期がお客で。
 絵もきれいで受けも男らしく、受けも攻めもキャラもよく、展開も凝っていてお話も面白い。のだけれども、受けがバイトをしている経緯や状況が結構悲しく残念な感じなのがどうも影を差すのが少々ネックかも。先輩が腹立たしいので、もうちょっとザマァ展開とか救済設定とかあるとよかった。でも全体的にはよかった。



2020年04月10日

にこ山P蔵『ピンク・ワーク・トラブル』

 借金のカタにマグロ漁船に連れて行かれた舎弟の当座の返済のため、わりのいい派遣会社に入れたと思ったらピンク系専門の派遣で。
 これはすごく面白かった。一般的にも面白いと思うけど、ピンポイントで好みなのかもしれないしその辺りは自分では判断しにくい。
 風俗系の派遣というトンデモ設定ながら、こう来てほしいな~という期待をいい意味で裏切らない。最初はノーパンしゃぶしゃぶから、ブルセラ、ピンサロとどんどんきわどくなっていく展開とか、最初のお店で出会ったナンバーワンホストが毎回来てくれて次第に恋愛に発展していくのとか、塩梅が素晴らしく期待通り。キャラもよくて、受けは負けん気の強いかわいこちゃんだけどちゃんと男の子らしいし、攻めはイケメンだけど受けとの年齢差に年を感じたり、誤解されて挽回しようと頑張るあたりすごく人間味があっていいし、受けの会社の社長もいい人。
 CPくっついてからもホストとそれほど接触のない風俗をそれぞれ続けてるのも甘すぎずいい。とにかくバランスよく、面白かった。



2020年04月07日

波真田かもめ『青春賛歌!』

 全寮制男子高、一般人のこが、恋愛成就のおまじないをしてたら、顔頭家柄よしの特進クラスのこに自分のことだと勘違いされて、なぜか付き合うことに。
 わりと不穏なはじまりだったけど、二人ともすごいかわいくてよかった。お調子者でビビリの攻めも前向きさで受けの助けになれて、ひねくれてすねてた受けも逃げずに自分の気持ちに素直になれて、二人とも成長していく感じでよかった。描き下ろしでフォローされてたけど、ごみを森に埋めるというダメさも高校生のアホの子という感じでこれはこれで。とにかくかわいいお話。



2020年03月27日

安西リカ『バースデー』

 かつて小悪魔受けに突然去られた攻めが、顔だけは受けによく似た素朴純粋な新聞配達員と出会って。
 
 たまにこういう話があるからBLを読むのをやめられないんだよなあと思った。とはいえ、実際は各ジャンルにそういう面白い話があって、BLに限ったことではない(SFでいうなら最近ではテッド・チャンとかがそういう凄みを感じた)のはわかってるんだけど。
 でもこの作品は、事件にまつわるからくりも、面白くはあるけどよく考えると描写が甘く、一方でそれを土台にしたBLとしての展開が素晴らしい。

 以下、若干ネタバレになるかも?
 冒頭では、遼一がいやな奴でゆりが素直でかわいそうで、三希は素敵な人らしいけどどこがいいのか全然わからず、BLとしてはゆりが幸せになれそうにないしどうすんだ…って感じなのに、でも遼一の過去がわかってみると、三希のよさもわかるし遼一の感じ悪さの理由もわかるし、でもゆりにも惹かれてるっぽくて安心するけど三希へのような情熱ではないっぽいし、ゆりと三希は二股できないのにどうすんだ…となり、後半には三希が戻ってきてよかったね…とはなれずとまどうし、それは読者だけではなく遼一もっぽいしで、でもラストには、ああよかったね…となる。途中までは、ひとつになるエンドでは納得できなかろう…と思っていたのに、ちょっとせつないけどよかったね、と、納得できるようにもっていってくれる。つまり、登場人物とその関係性にたいしてものすごい感情がうごかされて、あっちこっちふりまわされるのが、とても気持ちいい。
 後日談がほしいなとは思うけど、ないほうがきれいだよね。



2020年03月26日

虫歯『不死身の命日』

 pixivで読んでいたお話が最終話まで入ってコミックスに。
 完全無欠のスパダリくんが、異様に体の丈夫なフジミに出会って。
 謎すぎて読者を選ぶような気もするけど、すごくよかった。
 二人共キャラがぶっとんでて、スパダリくんは声も態度もでかいし、自分のスパダリぶりをわかってて押し付けがましいのに、高所恐怖症を一生懸命隠してたり、傲慢なのか謙虚なのかよくわからない自己PRとか、すごくかわいい。フジミは、強くて楽しいことが好きで他人に興味ないので、スパダリくんが幸せになれるのか心配したけど、ちゃんと好きになってくれたようでよかったし、フジミのささやかな人間味としてもいい感じ。スパダリくんの声のでかいところが好きだそうでいいカップルだと思った。
 タイトルが物騒で心配したけど、そういうことかーという回収の仕方でこれもよかった。



2020年03月17日

中川カネ子『オスワルド』

 王子の庭園で飼われている動物たち、アルビノのライオンの子を預けられたボスの黒豹が育ったライオンに襲われて。
 絵もデザインもかわいくていい。ライオンが途中まではわがままぼうやなだけなんだけど、最後に愛情ゆえの行動をあかすのがいい。黒豹はもう少しライオンへの執着をはっきり見たかった。
 タイトルの意味が不明なんだけど、続編があるのかも。別CPの続編とかありそうだし、ぜんぜん出てこない王子や調教師がやけにキャラ立ちしてるので、人間編もありそう。



2020年03月12日

アルコ、ひねくれ渡『消えた初恋』1

 宣伝か何かで見て面白そうだったので。
 クラスの好きな女子に消しゴムを借りたら、前の席の男子の名前が書いてあって、あっ…(察し)とか思ってたら消しゴムが落ち、拾ってくれた前の席の男子本人に見られて、あっ…(察し)と誤解されてしまったけど、好きな女子のために実はそうなんだよ!というフリをしてしまって。
 誤解から始まる謎の三角関係で、みんないい人で、高校の雰囲気もよくって読んでいて楽しい。一巻最後にどんでん返しもあり、単調ではなくとてもいい。二巻が楽しみ。



2020年03月04日

丹下道『恋するインテリジェンス』6、7

 キャラが増えすぎてわからなくなってきたところで、7巻まで出たしまとめて読み直そうと思って1巻から読み直しました…針生は変態すぎ、眞御の朴訥狙ってないあざとかわいさがすごい、武笠深津はやはり鉄板、差形編の千散ひどすぎ…からの牛通堂への片思い気味な千散がかわいすぎて!このCPももっと読みたい。春日と聖前だけは見た目が区別つかないのだが、ゲス気味女たらしなのに木菜にだけからきしな春日も、桃月をかわいがる聖前も、それぞれいいキャラ。
 というわけで、ちゃんと読むと意外とどのCPもしっかりキャラが立ってて、しっかり他とは違ったドラマがあってすごいなあと思いました。

 6巻は柳と先森の話、過去のいきさつが結構重たくて、室長になってる秋草の過去もあったりで、結構盛りだくさん。柳の忍耐力に萌え。

 7巻は鶏楽と藍染の話。正直今まで鶏楽藍染って気にしてなかったというか、藍染を私物化して好き放題しているところしか描かれてなかった鶏楽は勿論、なぜか鶏楽を受け入れているだけの藍染も意味がわからなくて感情移入できず、二人ともあまり興味が持てなかったのですが、なんかすっごいよかった…なんか表紙と中表紙からすごくよくて、実はビジュアルがすごくいい感じの二人だなあと思いました。藍染は知り合いのバイオリニストの女性に似ている。あとAmazonの紹介文の「独占欲丸出しでクズのように甘えまくっている鶏楽」という表現が笑えた。
 お話は、鶏楽の家庭環境や、藍染への強い気持ちがわかってすっごい萌えだし、藍染も藍染で意外な裏の顔や、鶏楽の寂しさや情熱に絆されていく様子もすごくよかった。一気にこの二人が好きになりました(笑。
 あと過去編での桃月の短髪時代とか、細かいところまで行き届いているのが人気の秘密だろうなあと思う。キャラが多いのでとっつきにくいけど、ハマれればすごく面白い。



2020年02月17日

ヨネダコウ『囀る鳥は羽ばたかない』1~6

 超有名タイトルだけど、確か、最初のあたりを試し読みしてとっつきづらく感じたのか、今まで読んでなかったのでした。今回一巻がKindle Ultimatedに入ったので読んだら、一巻の最初の話は別CPの前日談みたいな感じで、その話だけだとやっぱりあまり面白くはなかったけれど本編は人気も納得の面白さだったので、あーKindle Ultimatedありがとう!という感じ。
 結構ややこしい話(当社比)だったので、まとめて読めてよかったかも。受けと攻めはヤクザっぽくはないし、人死にがあまり出ないし、受けや攻めの怪我も痛々しいけれどヤクザもののフィクションとしては軽度な部類という気もするので、いい意味でヤクザものというより知略や人間関係、BL面が強めなのがいいと思った。



2020年02月16日

おげれつたなか『ヤリチン☆ビッチ部』1~3

 さすがにこのタイトルは…と思っていたのだけれど、面白かった。
 山の中の全寮制男子校に転入した陰キャくんが、部活に加入しないといけないそうなので写真部に入ったら、別名ヤリチンビッチ部で、誰かとしないといけないらしくて。
 最初は引いたけれど、それはいきなりゆりくんが出てくるからだね…ゆりくんはおかしすぎる。何を言っているのかわからないし。けどそんなゆりくんも、少し人間味が見えてきたり、イケメンだったりで、次第に好きになっていくし、なんかどのキャラもそんな感じでむちゃくちゃなんだけどだんだん愛着がわいてくる感じ。クラスメイトのやっちゃんも、もう一人の転入生も、どちらもすごくいいキャラなので、主人公と三人でハーレムはどうか…とも思うけれど、やっちゃんを好きなのにいじめちゃう田村もいいキャラだし、まあみんな幸せになってほしいわけです。
 一体このタイトルでどこで連載してんだと思ったら、pixivで作者さんが個人的にあげてたものなのね(笑。



2020年02月14日

くりたしゅう『上司にHに迫りたいんです』

 新人リーマンが、美人で仕事のできる上司に迫りたいので仕事も頑張るけれどなんだか明後日の方向に進んでいく。
 アホかわいい。仕事と先輩に迫るためのメモを書く「Sノート」、最初はSの字が適当過ぎて少しひいてしまったけれど、後からその意味が判明した(笑。先輩のスパダリ目指して仕事その他に頑張る受けと、受けの明後日な努力がかわいくてセクハラしつつ愛でる先輩のちぐはぐさが可笑しい。表題作は3話までだったので、もう少し読みたかった。



2020年02月10日

扇ゆずは『澪つくし』2

 もう待ちきれずに掲載回ごとに本誌を買っていたので、内容は知っていましたが。
 女装澪、オネエな軍人クララ、キモい嗣文と、モエモエ。南雲は相変わらず美しく、そして描き下ろしで深まる謎。
 何よりあの終わり方は…!はやく続きが読みたい…!本誌を読んだ時から、澪が命令違反しまくりで調子にのりすぎでは…?とか思って、けれどとはいえ南雲の決断の速さに衝撃を受けたのだけれど、あとがきで嗣文のいいなりではないと書かれているし、殺そうとしたわけではないのかな?思いつくのは、嗣文が見ている前提でインク弾で撃って澪を死んだことにするとか、あとは澪の体内に埋め込まれているGPS関連の何かかな。とにかく早く続きが読みたいよー。



2020年02月03日

ARUKU『明日屋商い繁盛』1、2

 妖怪?霊?が行き交う町で、家族を失い、親戚から譲り受けた古道具屋で、店にくっついてきたから傘お化けの付喪神と、時々来てくれるそっけない友人とに見守られつついろいろな事件に出会っていく。
 ARUKUが天才すぎて辛い!面白いという評判を知りつつなぜ今まで読まなかったのか(最近のはともかく、デビューの頃の作品は絵のハードルが高かったため手に取らずに来てしまった)とか、でもこれから旧作まとめて読めてラッキーとか、なんともいえない気分。
 この作品は、上述の不思議な雰囲気とちょっとオカルト気味な事件…だけでも十分魅力的なのに、最後の種明かしが素晴らしすぎてもう何も言えない。
 ひとつだけ難を言うなら、どの作品も後日談が欲しくなるのに、どうやらそういうのは描かない作家さんらしく、というかブログとか作家情報は今時珍しいくらいぜんぜんないっぽくて、読みたい気になるー。情報サイトも同人誌もやってらっしゃるみたいなのに、作家個人が見えてこなくてなんだか不思議。



2020年01月29日

栗城偲『玉の輿ご用意しました』

 仲間と当たり屋をしていた受けが、被害者の攻めに企みがバレ、顔だけはかわいいからと元カレへのあてつけ役に拾われて。
 面白かった。なんかいろいろアンバランスだけど勢いで読ませてくれる。
 最初は受けがダメダメなので、いくらなんでもなんで攻めが目をつけたのかと少々思った。攻めの元カレが最低で、なんでそんなに執着してんのかというのもよくわからんかった。意地だけだったというのを後から気づいてほしかった気はした。
 受けは馬鹿だけど根はいい子で、いろいろ切ない。最初の日にお腹をすかせた受けにえっなんでコンシェルジュつかわないのとか言ってる攻めの無神経金持ちぶりはよかった。その後ラーメン食べたいとかゆう受けが超かわいい。書類届けに行って怒られて、素直に反省しちゃう受けと自分の間違いに気づいてちゃんと謝る攻めもよかった。受けはこれから能力発揮できそうでよかった。



2020年01月25日

左藤さなゆき『プリフェクトの箱庭』

 まんきつのビューンスポットで読んだんだけど、気に入ってるので購入。
 父が亡くなり、実はお金持ちだった父実家にひきとられ、上流階級ばかりがあつまる寄宿学校に入れられた受け。先輩と監督生の後輩とのあやしい関係を横目に、それまで監督生をとらずにきた生徒総代になぜか気に入られて。
 というわけでベタだけどすきです。ベタに受けが同級生にいじめられたり、先輩は受けのために権力振り回したり、受けを監禁したり、ベタでいいのです。以下続刊なのも楽しみだけど、単話版で読んだら次の回である程度一段落してしまいそうなので、これからどういう展開になるのか楽しみ。結構キャラ多いから、他のキャラの話になるのかな?
 受けが特待生とれるくらい優秀ってのが伝わってこないのは残念。絵的には、攻めのビジュアルがもう少し人間離れしててほしい。



2020年01月24日

夜光花『烈火の血族』

 タイトルが、内容にあまり合っていないしキャッチーでもないのはなんでなのー。
 魔法学校に入れられた貴族の養子でアルビノの受けが、落ちこぼれながらもカースト最上位の超エリート貴族なつんつん攻めに気に入られたり、義理の兄の消息を探すうちに大事件になっていったり。
 面白かった!文句なしに、というか、細かいこたいいんだよ!という感じで面白い。あと、最近のこの作家さんは昔以上に攻めがエキセントリックで素敵な気がして、すごく好きです。今回は初めて受けと…という場面で、一回いなくなって戻ってくるのとかすごくよかった(笑。ちなみにまだ結ばれてないのもよいと思います。魔法学校という舞台もいいので、次巻からは舞台がかわってしまうのか…?と心配したけど、やっぱり学校に戻るのかな?



2020年01月23日

さかもと麻乃『三途の川の向こうの君』

 Kindle Ultimated。
 ゲイの高校生がなにやらオカルトチックな事件に出会い、隣の家に越してきた都会的ないっこ上の高校生も巻き込まれて。
 すごいよかった。オムニバスみたいな感じの個々のオカルト話もよかったし、BL的にもかなり好き。



2020年01月22日

小中大豆『ラプンツェルの通い妻』

 ゲイバーで知り合った新進気鋭の画家と、普通のリーマン。芸術家気質な攻めのために、ラプンツェルの塔に通う王子のように尽くす受けだけど…。
 後半の展開は前半から予想できなかったというか、冷静に考えたら全然ありうる展開なんだけど、あらすじやイラストの牧歌的な感じからはかなりの急展開だった感じがした。
 攻めはダメダメで、生活能力がどうとかより、攻めの憧れのモデルとのあれこれとかその後の無フォローというよりダメ押しとかがひどすぎる(笑。受けはかわいそうだし、うじうじしてしまうのも当たり前な気がしてとにかく攻めがひどい感じ。後半になってのロミオ活動もすごいけど、攻めがかなりの手段をつかったところで受けが拒絶するのはよかった。おそらく元はここで終わっていたんだろうなという感じだったけど、ここで終わってしまうとありがちな話になっていた気もするので。そんなわけで、怒涛の後半と徹底的に壊れた後の再構築ラストがとってもよかったです。



2020年01月15日

ARUKU『無恋愛紳士』

 アセクシャルでアロマンチックなリーマンに、高校時代に手ひどくふった男が後輩としてやってきて。
 海辺のバイトとか、別荘とか、リーマンものなのに妙にファンタジックでいい。後輩の離婚経験もそういうことなら全然オッケー。毎回入る紳士の持ち物シリーズも好き。そして何より、最後の一コマがすごくよかった…。



2020年01月06日

張六郎『千年狐 ~干宝「捜神記」より~ 』1

 狐がいろんな人や怪異に出会う話。
 絵が綺麗、話は面白い、シュールなギャグもいい、で、最高である。すごいアマゾンで★4.8なのも当然と言いたいくらい。
 二巻はもったいないのでまだ読んでいない。



2019年12月21日

ちふゆ『こんなの運命じゃないから勘違いしないで』上、下

 オメガバース、アルファ用の学校に通う華道家の息子、学校の理事長の息子、ホテル王の息子。さいしょのこがオメガだとわかって云々。
 タイトルがとてもいい。最近3Pものに興味があるので読んでみてあたりだった感じ。シリアスでもあるんだけれどわりとライトにギャグというか笑いもさそっていく感じで、独特。気楽に楽しめる。絵はかわいいがえろい。
 オメガバースでありがちなアルファだったはずが…という展開だけど、その理由が結構とんでもなく、もう少し葛藤してほしかった(笑。



2019年12月12日

鈴丸みんた『キューピッドに落雷 追撃』

 元気後輩攻めとクール先輩受けの続刊。
 ふたりともとにかくかわいいので、それだけでもう素晴らしい…。
 攻めはお子様なんだけどいい子で憎めない。なんだかんだで先輩も攻め大好きなのがかわいい。先輩の名字はそういえば初登場なのでは…。
 二人はもう収まってしまった感があるけど、らぶらぶいちゃいちゃだけでいいのでもっと読みたい。攻めのクラスメートの女の子も面白かったし、先輩の友人も気になるし、初登場のイケメン先輩も気になるし。



2019年12月09日

エンゾウ『ドラッグレス・セックス 辰見と戌井』

 花粉症のような国民病フェロモン症にかかると、自分に好意をもってくれている人が発情するというやっかいな病気。
 を、テーマとしたオムニバス『ドラッグレス・セックス』があって、その中の、フェロモン症を利用したヤリチンと、押しキャラになんか似てる彼を好きなオタクの高校生CPがメインになった作品らしい。前作はKindleになってないので未読。
 オメガバース全盛の昨今、設定を借用しただけでお話を作れてない安易な作品も多い中、独自設定でこういうの書く作家さんには敬意を表するッ。

 前作を読めてないので始まりは唐突だったけど、とにかく面白くて萌えて、チャラ男受けがとにかくバカでかわいくてよかった。受けのおバカっぷりにかすみがちだけど、オタク攻めもたいがいひどいダメ人間だよね。
 この作家さんどんどん絵がうまくなってるなー。



2019年12月05日

はらだ『ハッピークソライフ』1

 社長の娘との社内でのあれこれがばれて左遷された受け身大好き(だがノンケ)の粕谷くんが、田舎の人々や隣人の無職で同様に受け身大好き(だがノンケ)な葛谷くんと出会い、成長はしない。
 面白かった。今までに読んだはらださんの作品の中で一番好き。
 とにかくどうしようもない二人で特に何かが起きるわけではないけど、続きが早く読みたい。BLとしてはむしろレオくんが幸せになってほしい…。でも粕谷くんと葛谷くんがくっつくのだろうか…。



2019年11月29日

ちしゃの実『俺達は新婚さんかもしれない』

 ウェブ漫画の広告が面白そうだったので。
 天然理系研究者と、元ゼミ仲間のリーマン。合理性を追求した結果同居をし、引っ越しの際男同士可の物件が見つからずに合理性を追求して入籍、合理性を追求し相互自家発電と発展していく。
 最初は少々絵や設定がわかりにくく感じたけれど、面白かったので次第に慣れた。愛され系天然研究者は、性格がかわいいのかな?外見はそうでもない?というのが少々わかりにくいままではあった(笑。



2019年11月21日

瀬戸うみこ『カスタマスカレード!』『カスタマスカレード(恋愛中!)』

 リア充マネージャーがカスタマーサービスの聖母の電話対応に惚れて来襲するも、聖母は本当は元引きこもりのコミュ障で。
 かわいくて素晴らしい。表向きのリア充がガードの固い聖母に翻弄される話も、リア充が元引きこもりを懐柔していく話も、どちらも面白く、一冊で二度美味しい感じ。
 この作家さんは桑田乃梨子のような、かわいらしさとほのぼのと面白さの安心感がある感じでいいですね。



2019年11月17日

彩景でりこ『チョコストロベリー バニラ』

 通称チョベリバらしい(笑。
 友達のいない不良のこが、同窓会を覗きに行って一人だけ自分とも話してくれたかわいこちゃんに会えて、付き合うことになってすっごい幸せ…とか思ってたら、そのこは幼馴染の無愛想な同級生と何もかもはんぶんこの癖がありまして。
 すごい好き。なんか3Pものって実は好きかもしれない。
 かわいい拾と無愛想なタケのつながりと執着がはんぱなくて、でも拾にしか執着できないバカで不器用なミネ…のバランスをどうとるかというところで、拾がミネ大好きなのと、ミネ受けなのと、タケがミネを嫌い→なんかへんな好意に変化するのとが、すごくいい。
 拾はミネが特別な存在というか今までの相手とは違うともう少し語ってほしい。たぶん男だったからよかったってのはあるんだろうけど。拾の変な行動は結局みせびらかしたかった、というのが正直なところなのだろうし、それはミネにタケを、タケにミネをなんだろうし、それで結局タケとミネの関係が深くなって動揺しているのはちょっとざまあみろである(拾が嫌いなわけじゃないけど、なんというか、ミネのために。
 タケはサドというより暴力で欲情する、というのは誰にでもなのではなくて、ミネにだけってことになったのかな?(タケの性癖おまけ漫画はボツネタだそうなので)だといいかも…でも明らかにタケはミネが男だったからうまくいってて、悩みも深くなった感じがする。もともとゲイよりなのかなあ。拾より自分を優先されると相手に冷めるらしいけど、ミネが拾よりタケを好きになってもやっぱり冷めるのかなあ。なんか夢オチとかでそのあたり読んでみたい。
 ミネは少しずつ人付き合いもうまくなっていくといいなあ。そして人に好かれるようになって拾とタケをはらはらさせてほしい(笑。
 同人誌、Amazonで販売している分は購入したけど、その後の分も読みたい。



2019年11月03日

ハジ『猿と桃』

 孫悟空がかじった桃園の桃が地上に落ちて、そこから男の娘な桃太郎が生まれて、天界を追い出された孫悟空と再会。
 ありそうでなさそうな設定でおお!その手があったか!と感心した。しかもBL、桃太郎を拾ってくれたのがおじいさんとおじいさんというのもいい。あまり一般受けはしないのかもしれない作品だけれど、個人的にかなりお気に入り。



2019年10月29日

コウキ。『三兄弟、おにいちゃんの恋』

 父親が皆違う全員クォーターの三人兄弟、金髪美形の弟と、浅黒い肌でイカツイ弟や、弟をかばってできた胸の傷跡にコンプレックスを感じつつ、ホテルマンとして家族の生活をささえる面倒見のよい赤髪のお兄ちゃんが、金髪弟が恋してるっぽい親友のイケメンを好きになってしまって。
 …という初期値がものすごい萌えで…。全体的には3カプそれぞれ、面白いんだけどわりとふわっとした感じでもあり、物足りないというかもっと読みたいなーというくらいなんだけど、この初期値の(個人的)萌えの効果で、すごく個人的に好きです。お兄ちゃん萌えで読んでいると、作中では基本的に兄弟も彼氏もお兄ちゃん大好きなので、その雰囲気も好きになってしまうわけですね。お兄ちゃんと彼氏は、くっついてからもいいんだけど、くっつく前の拘泥をもっと読みたかった感じ。続編読みたい。



コウキ。、ARUKU『君の夢を見ている』

 編集者受けが、仕事を依頼した旅行ライターに予知夢で君を見ていたとか電電波なことを言われて。
 面白かった!切ない!構成が上手い!絵もお話にあっていてきれい!内容についてはネタバレになってしまうのであれだけれど、こういうのすごく好き~v



2019年10月23日

風呂前有『キスしちゃだめなの?』

 赤毛そばかすの受けが、転校生の褐色イケメンも自分と同じで英語が苦手らしいと知ってワーイで仲良くなる。
 なにはともあれすごくカワイイ。お話は正直、特になにもない(笑)のだけれど、とにかく二人ともカワイくて、ずっと愛でていたくなる。
 ケミストリー(笑)については、日本生まれ日本育ちの攻めが、家族の影響はあるにせよ恋愛観が日本離れしすぎな気はした。
 あと、表紙がなあ…。内容にあっていないし、なんか壁画っぽいというか(横向きだからか?



2019年10月22日

チッチー・チェーンソー『リビドーアンドデストロイ』

 なんでも屋の男が、同業者とAV撮影をしてあれこれころがっていく話。
 面白かった。終わり方がえげつないバッドエンドなのではとか心配したけどそれほどでもない(当社比。



2019年10月14日

凪良ゆう『美しい彼』『憎らしい彼』『悩ましい彼』

 ひさびさの凪良ゆう…超面白かった…!
 高校の同級生、うざキモい平良は、クラスどころか学校のトップのリア充清居が好きで。
 1巻は、そんな高校時代で清居くんがカーストの頂上から失墜するあたりがえげつなくてよかった。その後の復権ぶりも素晴らしくて、清居というキャラがたんなる美人なだけではない感じがよく伝わってくる。平良との秘密の気持ち悪い関係もすごくいい。そして別離があっての再会となるので、BL要素は少なくて、いい意味で丁寧に積み重ねられてる感じで読み応えがあった。ただ、双方からの視点で描かれる部分があるので、面白いけれどそれで展開がさらにゆっくりになりまどろこしいところもある。再会後は清居のふりまわされっぷりがひどくなり、かわいそうだけど面白い。
 2巻以降、清居の熱烈ファンをやめない平良とか、写真の世界に入っていく話とか、ますます面白い。
 3巻では清居が役作りに苦戦するのが読んでいて辛い。でも面白い。
 なんか最初から、平良は雲の上の清居様と自分、のつもりでいるけど、平良よりも清居がずっと苦労する話で、とにかく清居に幸せになってほしい(笑。ついでに平良も…というか平良が幸せじゃないと清居もしあわせになれないものね。
 はやく続きが読みたいー!



2019年09月27日

神香うらら『恋の吊り橋効果、試しませんか?』

 幼馴染の恋人役として雪の別荘に招待されたら、初恋の相手である幼馴染の兄も来ていて、殺人事件まで起こってしまって。
 しっかりしたミステリでとてもよかった。こういう作品もっと読みたいなあ。



2019年09月20日

黒木えぬこ『ミッドナイトショップチャンネル』

 オムニバス形式。謎の深夜通販でえっちなグッズを売っていて。
 面白かった。きちんと各回のトンデモグッズがお話に活きていて、さらには全体のオチまでちゃんとあってよかった。



2019年09月16日

櫻川なろ『真夏のサイレン』

 高校時代の友人三人が、キャンプで吊橋から落ちて亡くなった友人について回想する話。
 「藪の中」系の構成で、各人から見た状況やもっている情報をそれぞれ開示していくというBLではあまり見られないような意欲的な作品で面白かった。CPもそれでよかった(笑。



2019年09月13日

和山やま『夢中さ、きみに。』

 BLではない…のかな。
 話題になっただけあり、すごく面白いと同時に絵や雰囲気も素敵。
 話題になってた後ろの二階堂シリーズは、学校中に恐れられて、二階堂と話すとはげるとか数々の都市伝説をもつキモコワ同級生の話。ほんと最高なので、もっと続きがよみたい…。



2019年09月03日

平純久至『ハルマニア』

 Kindle Ultimated、単話版1~6話。
 三人組アイドルのハルくんのおっかけというかストーカーをしているダサ眼鏡リーマンが、ネコだったハルくんに次第に認知されキモがられながら次第に親しくなって。
 すごく面白かった。攻めの顔を覚えずキモがる受けが容赦なく、しかし助けられたりして受け入れてからはキモいといいつつしっかり恋人扱いしていくのがさっぱりしていて素直でとてもいい。そしていつまでも下僕体質な攻めもいいし、イメージプレイをさせられてなんとかドSの演技をしたりするのもいい。メガネをはずすとイケメンぽいのに、受けがその素顔にこだわらないのも愛を感じる。もっと続きを読みたいなあ。



2019年09月02日

はなさわ浪雄『淫魔じゃないのに!』

 長らく人間との契約にありつけず金欠な悪魔が、久々の召喚にとびついたら、最高に気持ち良い体験がしたい、しかも君と、とかいう最低な人間で、一生懸命ご奉仕するけどなかなか最高、とまではいかずにどうしよう。
 なんかすっごいツボにはまって好きです。なんだろう…微妙なゆるさとかがいいのかなあ、わからないけどすごいツボです。
 攻めは魂の値段がクリームパン一個程度に落ち込んでしまう最低野郎で、その理由もだいたいわかるんだけど、最低っぷりがもうちょっと書かれていてもよかったかも。攻めが気づいた最高の定義とか、受けに言おうとしたこととか、結構はっきり書かれていない部分もあって、書いてほしくもあるけど余韻にもなっている。
 受けは、絵としてはあんまりかわいくないんだけど(笑、雰囲気と性格がとてもかわいい。
 受けの兄もいい奴だしかわいくて、友人とのお話があったのはよかった。
 攻めの友人とかももう少し出てきてほしかった。
 後日談の過去話もよかった。
 というわけで、普通に面白いとは思うんだけどどこがどう、という感じではなく、個人的にツボなんだろうという感じもするので、万人向けなのかはわからないけど私は好きです。



2019年08月27日

ミキライカ『狂犬ハチ公』1~3

 番長代理の美人が、北から各地の番長を倒しながらやってきた転校生にキスされまして。
 絵が綺麗でお話も面白く、シュールギャグっぽさもあり素晴らしい。二人プラス美人の憧れの番長など、皆魅力的だし三角関係的な恋愛もしっかり書かれている。



2019年08月17日

筋『ヤクザを縛っていいですか?』

 緊縛が続く。
 イケメンを縛って犯されるのが好きな縄師のところに、付き合いのある組長さんから訳ありのヤクザを預かって欲しいと言われ、めちゃくちゃ好みで困る。
 面白かった!安定の筋先生。ヤクザの過去とかかわいそう。でも縄師が幸せにしてくれるはず。縄があんまし活きてないかなあというのは少々あった。
 



2019年08月16日

鶴子『雛鳥たちは縛られたい』

 Kindle Ultimated、単話版1~10話。
 その人の精神を具現化したような鳥が見えるリーマン、その能力で営業で大活躍だけど疲れるし罪悪感もある。その様子をみた仲の良い同僚に長髪オネエのイケメン縄師を紹介されて、縛られて開放されることを知り、また大人になっても鳥が雛のままの自分と同じように縄師の鳥も雛であることに興味をもつ。
 すごく面白かった!設定もいいし、展開もいい。絵がレトロなので好みは分かれるだろうけれど個人的にはすごく好き。縄師の元カレの話はもうちょっと救いがあるとよかったとは思う。あと、縄師の髪は残念…!



2019年08月04日

一ノ瀬ゆま『gift』上・中・下

 父親が経営しているボクシングジムのトレーナーをしているゲイの受けが、道端でロシア系のチンピラの喧嘩に巻き込まれ、その才能に一目惚れ。

 とにかく絵もお話も素晴らしい。この作家さんはほんとストーリーテラーで絵もうまいしいいですね。
 お話はすごく特色があるとかではないけれど、設定や描き方がしっかりしていていて骨太。攻めが巻き込まれた団体が少々わかりにくかったのと、兄の感情とかもわかりづらくてメンバーの描写がもうちょっと欲しかったけど、でもあまり書き込まれると辛かったかも。攻めが地下闘技場に行ったときはもうカタギに戻れないのかなと思ってたけど、最終的にはトップの判断だけで動いている感じの団体だったってことなのかな。

 キャラもみんないい。受けは凛々しく可愛く、けれど弱い部分もあって普通の人なんだけどいい。攻めは数奇な運命をたどっているのに地に足がついている感じがするし、攻めの内心を描くための、テレビゲームをプレイしているちび天使とちび悪魔という発想がすばらしい。そしてかわいい。どうやら理性=機械的判断=天使、感情=無駄なもの=悪魔という分担をしてきているようで、だから悪魔のほうが人間味があってかわいいというのもいい。いや天使もかわいいけど。



2019年07月30日

星名あんじ『30までに死にたい』

 Kindle Ultimated。
 三十歳までに死にたいと思っている男が彼女にフラレて落ち込んでいたら、団地で隣に住んでいるゲイカップルに巻き込まれ。
 結構ジェットコースター。カップルの無口男とパリピはこの作家らしいキャラで、パリピは常にラリってるみたいなテンションだなあと思っていたら本当に薬をやっていた。受けが良くも悪くも普通の人なのでなぜ二人が執着するのかなと思ってたけど、二人にはつなぎが必要で、受けは受け入れてくれる人で、とか、いろいろな結構厳しい条件をくぐり抜けていたんだなあと思った。受けが社会に出て結構うまくやれているのもなんだか分かる気がする。



2019年07月25日

森世『あいとまこと』

 オメガバース、アルファの双子に拾われた借金持ちのオメガ。
 面白かったというか、実は3Pものが好きかもしれないと最近思い始めました。難しい設定なので、面白い3Pものは貴重だとも思う。やっぱりフィクションなので、現実にはよろしくない設定も面白いと思う。
 執着し合う双子と受けに対する温度差の昇華や、その中にうまく居場所をみつけていく受けが、とても面白かった。



2019年07月21日

夜光花『眷愛隷属 -白狐と貉-』

 眷属をつけて怪異を解決する一族で、頑張って試験に受かったのに眷属が子狸になってしまった受け。以前からセクハラしてくる白狐つきの当主次男に笑われつつ、やはり試験に受かった兄が、眷属のはずの大蛇に憑依されてしまって。
 もー素晴らしい。超いい。面白かったし萌えもあった。
 特に、性格に難ありで受けを馬鹿にしまくり見下しまくりなのに執着している攻めが素晴らしい。夜光さんは正直文章に難があるのだけれど、この攻めのセリフ回しみたいな独特のキャラはすごくいいなと思う。
 受けはおバカだけれど、子狸はかわいいし、これから成長してくれるはず…。
 笠井あゆみの絵はあまりこのお話には合っていないけれど、きれいなのでいいんです。



2019年07月17日

野原滋『いじわる狐とハートの猫又』

 Kindle Ultimated。
 人間のご主人さまが亡くなっても家を守ってきた猫又に、調査の人間のふりをして狐が近づいてきたけど、実は前世での因縁があって。
 とにかく狐が健気!可愛そう!でも再会できてよかったね…。タイトルがあってないというか、あまりいじわるな感じはしない。
 猫も、後にああいう受け入れられ方をするのなら、なぜ昔はあそこまで嫌われてしまったのか…。時間の経過で周囲の人も丸くなったということなのかなあ。
 前世編がかなりボリュームがあるので、二匹の小狐とか周囲の人とか、もう少し読みたかったなあという部分はある。



2019年07月14日

山本小鉄子『明日はどっちだ!』1~4

 以下続刊なのだけど、4巻である程度切りの良いところまで入っていたので結果的によかった…。
 ケンカの強い狂犬兄弟と、兄弟に憧れて強い男を目指して金髪にしてもただかわゆいだけのきららは隣の家の幼馴染、昔は同い年の弟とも仲良くしてて、中学に入り恋心に気づいたものの、いつからか距離を置かれるようになる。
 きららがとにかくかわゆい。外見はもとより、強くなりたいのにみんなにかわいがられちゃったり、元気でちょっとにぶくていいこでかわゆい。弟はむすっとしっぱなしで強情で素直でないので、早く諦めてしまえ!って感じ(笑。脇キャラもみんな個性的でいい。塙やひとみは裏がありそう、気をつけないと…とかいう描写がありつつ、たいして危険人物にならなかったし、なんかみんないい奴。
 今後の展開も楽しみ。

 しかしこの作家さん、こういう展開が得意で巧いのはわかるんだけど、BLで主人公CPが数巻くっつかずエロもなしでこれだけ連載を続けさせてもらえるというのは、作者も読者もすごく幸せなことだなあとも思う。



S井ミツル『世界はそんなに悪くない』

 引っ込み思案で恋愛に縁遠いかくれゲイの大学生、ネットでひろったやられまくりの美人ネコお兄さんの動画で慰められる日々の中、ふと訪れた銭湯で、その美人ネコお兄さん=売り専ボーイに出会ってしまって。
 すっごいよかった!このあらすじで面白いのか、萌えられるのかと正直少々心配してたけど、ほんとよかった。
 大学生のこが不安でうじうじ野郎でめんどくさいんだけれど、初めてのお付き合いなのだし人間味があっていいし、それを面白がるお兄さんの反応がよくて、二人共アホかわいい。もう少し続きが読みたいけれど、描かれていなさそうで残念…。



S井ミツル『めぐみとつぐみ』

 オメガバース、αの集まる学校に通う攻めが、他校の不良とケンカになったら、なんか発情期を気合で乗り切る超迷惑Ωでして。
 お話もキャラもアホで面白かったし、少々真面目な部分もあってよかった。つぐみが薬を使わない理由があれなので、ただの迷惑野郎でそれでいいのか…(笑。なんかもうちょっと不思議ちゃんっぽい理由がほしかった。Ωが眉なしでブサカワなので、ブワカワ受けジャンルでもある。
 絵も整っていてかわいいんだけど、ケンカの場面がうまくなく、殴り方が肩も腰も入ってないのが、二人共弱そうに見えて残念ではあった。



2019年07月11日

里つばめ『GAPS』『GAPS RISKY DAYS』『GAPS apples and oranges』『GAPS hanker』

 西田東と佐々木倫子を足して割ったような絵だと思う。

 会社の男女とわず人気なイケメン親切王子系後輩が、私生活では暴力男で女性関係も適当で汚部屋住人というとんでもないやつで、でもなんか口説かれ始めて困ってしまうアラフォーのED上司。
 攻めの無茶苦茶ぶりと、受け上司に色々我慢して迫りつつ、中々靡かない上司に逆ギレしたり、そんな男なのになぜか次第に魅力的になっていくのがいい。『hanker』だけかもしれないけれど、Kindleの表紙にオビが入っていて、「不能姫、クズ王子についに陥落!」というひどい惹句が可笑しい。確かにそういう話だ。陽キャ童貞後輩とか、清楚魔性後輩とか、周りのキャラもいい。



2019年07月10日

野原滋『僕の行方』

 Kindle Ultimated。
 高校卒業直前に行方不明になり、数カ月後に発見された受けは、その間の記憶を失っていまして。

 すごいよかったー。
 ネタバレを避けつつ…。
 政治家の息子受けと日雇いの攻めで相性が悪く、記憶のない間の天真爛漫だった受けとのギャップにお互い苦しむ感じ。なのだけれど、それをうまく二人共昇華できていった感じでよかった。受けの事件の顛末もよかった。あの人はやっぱりそうよね…とか、攻めが都合よく現れすぎだと思ったらきちんと説明もされてたり、ストーリーテリングもしっかりしていてとても面白かった。

 この作家さんは、かわいそう受けかつ意外性のある展開という、個人的にすごく好みな傾向の方っぽいのでうれしい。



野原滋『犬、拾うオレ、噛まれる』

 Kindle Ultimated。
 元カレのストーカーをしていたら、元カレの依頼を受けた便利屋の男が来て拉致監禁暴行をされる話。
 ネタバレになるので詳しくは書けないけれど、最初のあたりからなんか受けの内心に一物ありそうだなとは思ったけれど、思った以上の展開でとても面白かった。受けの変わり者っぷりも、その過去もとても好み。攻めは最初は普通の人だなあという感じだったけど、読み進むうちに魅力的になっていってこちらもよかった。



2019年07月08日

赤星ジェイク『バスガイドCスポット』

 夜のバスツアーガイドをしている受けは、トイレを我慢するのが好きな変態ちゃん。ハーブティーのせいでどうしても我慢できなくなって、ツアー先のメンズストリップ劇場でトイレを借りようとしたら、劇場のスターダンサーにだまされ野外で…な折に後輩ダンサーと知り合って。
 受けが迷惑変態すぎる(笑。しょっちゅうおもらしすることになるので、これでよく攻めは受けを好きになったなあと思ってしまう。でも受けがうどんを食べている顔がめちゃくちゃかわいかったので、納得することにしました。
 そんな設定であることもあり、少々非現実的というかファンタジー世界っぽい感じもあって、おもらししつつもリリカルな雰囲気で不思議なお話だった。
 脇キャラのスターの先輩とバスの運転手がやけにしっかり描かれていて、いいんだけれど不思議。



2019年07月05日

彩景でりこ『蟷螂の檻』1~4

 昭和前半くらい、地方の富裕なお家、父親は妾腹の外見だけは美しいが頭の成長が遅い長男を座敷牢に閉じ込めていりびたり、母親はそのせいで精神を病んで早逝、物心をついたときから側にいた秘書というか家令というかな男だけが味方で、やがて父がなくなり社長となるんだけれども、兄のこと、女性に興味が持てないこと、縁談等、大変なのです。

 なぜか4巻で完結だと勘違いしていて、4巻の展開と「つづく」という言葉を見て脱力した…でもよかった、まだ読みたいし。でもこの後どう続くんだろう?つづくのなら、攻めは生きているんだろうけど…。

 最初の辺りは兄に暴力をふるう受けに引いたけど、あまりの境遇なことがわかっていくととにかく気の毒で、でも健気なので、受けを応援するしかない感じ。
 攻めがあまり好きになれないのがキツい。めちゃくちゃ受けに執着しつついじめるサイコパス攻めって結構ある設定だけれど、個人的にはあまり好きではないのかも、と最近ようやく気づいた。途中までは目的は受けではないのかも?とも思っていたくらいなんだけれど、いっそそうでもよかったかも、個人的には。
 兄は、最初のあたりは受けの苦しみの象徴だしあまり好きではなかったけれど、世話役や弟嫁との交流の中でだんだん好感をもちはじめ、正直4巻になるともう兄弟エンドがいい!と思い始めたのだけれど、どうやらネットの反応を見る限り自分は少数派らしい…。4巻の終わり方は本当に好きで、何度も読み返してしまった。
 今後は受けの大学の同級生が活躍してくれるのだろうけど、単なる当て馬に終らないといいなあ、と思ってしまう辺り、やっぱりアンチ攻めなんだなあ…。いっそハーレムエンドでどうだろう(笑。兄も含めて。



那木渡『バーレスクナイト』

 元ボクサーがバーレスクバーの用心棒になり、スウェーデンのクォーターで売れっ子のダンサーが気になる好きになる。
 絵がいい意味で昭和っぽい感じがあり、個人的に好み。展開が波乱万丈で目まぐるしく、恋愛面もしっかり描かれていて面白かった。



2019年07月02日

鈴丸みんた『ゴールデンスパークル』

 母と姉がふわふわ過ぎて、世間の女子とうまくやれず、金髪にして人を遠ざけていたこが、高校でコミュ強イケメンと友だちになってたーのしー!と思っていたら、自分は性の知識が皆無なことを知ってどうしましょう。
 面白かわいすぎる。性の知識がなさすぎるキャラというのは現実味はうすいけれど、漫画だし、とにかくかわいいのでいい。
 イケメン友人は、前半はただの男前なのだけれど、後半自分でも言っているように性格がめんどくさい感じになってきて、それはいいんだけどキャラがたたない感じになってしまったのは少々残念。
 学校が実技系なのかな?作業着っぽい服の場面があったけれど説明はなくハテナ。



2019年06月30日

夏野寛子『25時、赤坂で』

 売れない俳優の受けが、あまり交流はなかったけど大学の先輩でもある売れっ子俳優とゲイ役で共演することになって。
 とってもよかった!恋愛描写も丁寧だけど、受けが役に入るときの雰囲気とか表情とか巧い。後日談はもうちょっと読みたかった。
 絵もきれいで丁寧でいい。攻めが美形なこともあり、少々百合的かもしれない。目の書き込みがすごくて、うるんだような印象的な目がとってもきれい。アナログらしい。
 



2019年06月26日

三月えみ『結んで、ほどいて、キスをして』

 Kindle Ultimated。
 父から引き継いだ仕立て屋を営む受けが、商店街の再開発話がもちあがり、憧れだった元同級生の建築会社社員と、元同級生の地上げ担当のヤクザと再会する。
 スマホで表紙がよく確認できなかったので、どちらが攻めなのかわからず読むことになりハラハラした(笑。でも面白い体験になった。そしてそっちが攻めでよかった(笑。とても面白かったので、もう少し長い話でもよかった気がした。



2019年06月21日

たけうちりうと『薔薇とボディガード』

 結構古い作品なのかな?文庫版を北畠あけ乃さんの絵に惹かれて購入。
 日系アメリカ人でバイアスロンでメダルをとってる受けが、ボディガード会社に就職したら、警備チーフがいじわるするけどがんばります。

 三作目まで読んだ段階でもボディガード会社の設定がよくわからず、クライアントに厳しい会社だと思われていたり、理念がクライアント第一だったり、わからなくもないけれどもう少し説明がほしい。
 妙に矛盾する設定は他にもいくつか気になっていて、一作目で受けがほぼベジタリアンと言っていたのに攻めのつくるローストビーフのサンドイッチが好物になるとか、なんだかな。
 あと、攻めにあまり魅力がなく、一作目でのキャラ迷子ぶりは受けに危ない仕事を諦めさせようと冷たくしていたから、というのでわからなくはないんだけれど、薔薇と犬が好きなイギリス人で、イギリス風のジョークもいう、任務に徹するけど受けには甘々、というのがまとまりきっていないというか、正直設定を並べている印象があり顔が見えてこない。北畠さんの絵も合っていないせいもあるかも、少なくともイラストよりはもう少しおっさんな印象ではあるので。
 キャラ描写についてはハッカーの子とかも、登場シーンではテンション高いイカレ気味のハッカーのステレオタイプだなという感じだったし、ちょっとステレオタイプなキャラが多いし、描写は丁寧ではないなと感じる。
 受けが冬季とはいえオリンピックでメダルまでとっているのに、全然顔がわれてないのも少々違和感がある。
 あとトムの設定がわかりにくく、三作目まで読んでやっと、仕事も恋愛も無茶する人なこと、攻めが辞めさせたかったのは警備っぷりが無茶だからで、社長が聞き入れなかったのは恋心ゆえ、というのがやっと見えてきたけど、一作目ではなんかよくわからなかった。

 なんだか異常に文句ばかりに見えると思いますが、しかしお世辞ではなく面白かったし好きなのです…。攻めがあまり素敵に思えないこともあり、正直BL要素は添え物という気もするけど、ボディガード業務のお話が面白いです。でもやっぱり受けが危ない仕事をこなして攻めと再会できるとホッとするので、BLなのです。

 この一作目では、前半は大物ミュージシャンのバカンス警護、そこからつながる会社への復讐をもくろむテロリストの話と、前半後半で違う業務の話になっているのが意外とよかった。
 ただ、受けのバージンの扱いが軽すぎてショックだった。モブレに対する攻めの冷たさは初めてだと知らなかったこと&動揺のせいだとしてもだ…薔薇だけではなくもう少しフォローがほしかった…。



一ノ瀬ゆま『嫌いな先輩』

 Kindle Ultimated。
 嫌いな先輩と、嫌いな後輩同士…だったはずなのに。

 会社の後輩=受けが、元気で頑張り屋でみんなに可愛がられているんだけど、一言多かったり無頓着に失礼なこと言ったりしてしまうタイプで、ほとんどの人には気にならないけど気になる人(攻め)には気になるタイプ、というのがリアルですごくいい。
 だから受けにイラつく攻めに感情移入しつつ、でも攻め自体イケメンで出来る男なので感情移入しにくい部分ありつつ…な状態で、受けの秘密がわかって一気に引き込まれ、そこからはお互いの感情の揺れにはらはらしつつ一気に読んじゃう感じ。
 古典かもしれないけれど、受けのこういう設定好きだなあ…(笑。ほとんど必然的に健気受けになるし。
 絵はきれいだけど、少々顎が尖りすぎなのが残念。受けも攻めも喫煙者なのは、時代が変わって古くなってしまった。

 本編の終わり方が物足りないと思ったら色々事情があったようで、続編の同人誌がpixivでも読めて、これが本当によかった。続編の後半は本当に泣ける。
 極端に辛い設定、展開ではないのに、キスすらしないのに、これだけ泣かせる話がありうる、というのをすごく鮮やかに示してくれていて、本当にいい。
 もっと多くの人に読まれるべき続編同人誌だなあ、と思ったのは、明治カナ子の三村家の息子以来かも…いや、こんなに偉そうに言えるほど続編同人誌をそんなに沢山は読んでいないけど(笑。



2019年06月13日

五月女えむ『19歳のポルノエンデバー』

 日本人は主にポルノグラフィティのせいでポルノという単語に恥じらいを失ったような。

 途中までKindle Ultimated。
 官能小説家のファンの大学生が作者と知り合い、助手として作品のためにそんなこともしつつ、ガキ扱いされてムキーっとなりつつ、成長していくんです。
 気持ちや成長の描写が丁寧だし、お話もよいし、絵もきれい。攻めがおしゃれをするとかっこいいけど普段は結構おっさんみが強い(笑。



2019年06月12日

もちの米『俺のおにくちゃん』

 太っていた高校の後輩がイケメンになったけど、受けはデブ専だったのです。
 攻めのよさとか、受けの葛藤とか丁寧に描かれていてよかった。



2019年06月11日

牧コチコ『恋が、あの夏にある』

 Kindle Ultimated。
 実家の異次元っぽい離れに迷い込んで、病気の子と親しくなったんだけど…の後はネタバレになってしまうから書けない話。
 ネタバレを避けつつ、最初の辺りの幼馴染がぜんぜん出てこないんだなーあれ、そっちルートなんだな…とか思ってたら後半に入るところでえっ!ってなって、なんだろう、そこまで斬新でもない気もするんだけれど、でも巧い構成だし切なかったし面白かった…いや、やっぱり斬新かも?
 ネタバレを避けつつ…、受けが『彼』と比べて自分は何でも持っているのに一番大事なものだけわからない、というのがかわいそうだけど萌える。



喃喃『キーミスティックアンダーカバー』

 お世話になってるおばさんの下着メーカーの広告モデルを顔出しなしでしていたら、お尻フェチでモデルのこを探していたイケメンモデルの攻めに偶然知られてしまって、内緒にしててほしかったらと尻を要求され云々。

 いくらなんでも男の子が女性用下着の広告モデルなんて無理があるのではとか、駆け出しのモデルの攻めに下着モデルとエロいからみさせるのはやりすぎではとか、気になる部分もあるのだけれど、そういう世界なんだと思えば思える感じ。
 あと、攻めが受けの好きな相手を誤解してかなり身勝手な行動に出るところとか、受けがその誤解にうまく対応出来ないところとか、どちらも未熟だなと思うけど、よく考えたら未成年設定だし幼いのも当たり前だね。
 そういうアラはある気がするけど、全体的に勢いがあって世界やキャラがしっかり立っているので、ちゃんとまとまっていて面白い。
 絵もきれい。小物のデザインも素敵。攻めはもう少しイケメン顔だとよかった。



2019年06月03日

yoha『さよなら恋人、またきて友だち』

 ネット上の広告で気になっていた作品。
 オメガバース、アルファだらけのクラスに来たオメガのこをみんな落としたいのだけれど、自分を律してるフリして友達になろうとかいういいんちょだって彼を落としたいのです。
 えぐい話だけど面白かった。
 攻めアルファがフェロモンに負けそうになりつつ頑張っていて、それは一見意地を張っているだけにも見えるのだけど、受けオメガ目線でみるとその状態の攻めがすっごいキラッキラしていて、受けも頑張ろうと思えているのがとってもよい。
 不穏に見えるタイトルが伏線になっているのもいい。
 ただ、オメガバースって好きな人には申し訳ないのだけれど、もうBLでなくてもいいのでは…?という気がしてしまって、この作品もBLでなくてもいいといえばそうなのかもしれないので、BLかつオメガバース、としても面白いのかどうかはちょっとわからないかもしれない。
 いいんちょが仕切りやで反感かってるけど、オメガバースの元ネタが狼なんだから、アルファとしては正しいあり方なんではないかとか思ったけど、オメガバースをあまり読んだことないので、たぶんそういうものではないんだろうとも思った。
 ただ、続編が…ちょっと苦手な展開っぽいのでどうしようかな。



2019年05月30日

PEYO『ボーイミーツマリア』

 ヒーローに憧れる少年が、高校の演劇部でマリアと呼ばれる美少女に一目惚れしたんだけど、男の子でした。
 青春物として面白かった。主人公がマリアを傷つけて、ヒーローとは程遠いことをしてしまった…と反省するところとか、お父さんの伏線とか、描写も丁寧でよかった。
 面白かったしいい話なんだけれど、BLなのかな?BLじゃなくてもよかったかも?という疑問も残る。
 でも、後日談のデート編がよかったので、やっぱりBLですね、とも思った。マリアがかっこよくてかっこつけたがるのがかわいい。



2019年05月27日

木下けい子『灰かぶりコンプレックス』1、2

 pixivコミックで最初の辺りを読んで、面白かったのでコミックスも購入。
 この作家さんは、失礼ながらデッサンがあまりしっかりしてはいないので、いつか崩れてしまいそうな画風だと思っていたのだけれど、しっかり保っていてすごい。
 お話も面白かった。
 イケメンCEOが、友達の純朴なメル友=受けに、友達本人だと勘違いされたのをいいことにデートして云々。
 攻めがひどい男なのだけれど、実はやさしいとかその寂しさに惹かれてとかそういうんではなく、受けはもう単純に攻めの顔が大好き!といういさぎよさがいい。攻めもなんとなく憎めない。
 攻めの友人の作家とか、受けの友人のイケメンとか、みんないい人なのに受けは攻め一筋なのでもったいない…とも思う(笑。
 でもこの受けは、タクシーを断って歩いて帰るとか言い出して攻めをキュンキュン(おそらく)させたり、にもかかわらず途中で疲れてタクシー乗ってたりする、一途でちょっと天然なところがいいのです。
 まだ続くようなので楽しみ。



2019年05月24日

鈴代『花廓』1

 没落坊っちゃんと使用人が遊郭の花魁と男衆になって云々。
 面白い。意外とあっさり関係が深まりそうなところであれで終わって、続きが気になりすぎる。
 最初は坊っちゃんがそこまで攻めラブではないのかと思ったら、抑制してるのね。嫌な客もうまくあしらい、本来は賢く優しいのだろう坊っちゃんが魅力的。
 攻めはまだよくわからないが、とりあえず坊っちゃんが大好きなことはわかる(笑。坊っちゃんにも知られたくないらしい過去に何があったのか。
 同僚の攻めに横恋慕している花魁も気になるし、何より坊っちゃんの間夫になるとか言ってるマナー最悪の軍人がいい感じ。萌えはしないけど(笑、これからどう動いてお話をかき回してくれるのか楽しみ。



2019年05月19日

スカーレット・ベリ子『ジャッカス!~触っていいって誰が言ったよ?~』

 この作家さんは前に「女王と仕立て屋」の1話を読んであんまり合わないかなと思ってしまったんだけど、これも1話が無料になっていたので読んだらすごいハマってしまった。

 最初はキャラの関係性とか、セリフもわからないものがあって、あれ?何かの続編?とか思ったくらいなんだけど、読んでいくうちにわかっていくしそれだけ設定がしっかりしているので、ハマる人はハマる感じ。
 攻めがイケメンボンボンで、髪型とかも知り合いに似ていてちょっと笑ってしまう。おめめパッチリなのはかわいい。自分勝手なイケメンでかわいげあってすごく魅力的。
 受けは目つきが悪いし四白眼なので、もう少しだけかわいくてもよかった(笑。

 唯一どうしても許せないのが、「ジャージと一緒にパンスト脱いで、それを知らずにまた履こうとしたってパンストがちょっとでも履けるわけない」というところで(笑。そこだけ別の設定がよかったなあ…。

 『コンビニコーヒー巡りにハマりました。~ジャッカス!番外篇~』も読んだ。カワイイ。



2019年04月21日

座裏屋蘭丸『シャングリラの鳥』1

 事情があって娼館シャングリラにやってきた、試乗夫(性的にも男娼の世話をする役目)志望のノンケと、その教育係になったトラウマもちながら快楽主義でゆるゆるの男娼。
 面白いなー。すごくいい。攻めの無神経さがイライラするので、受けがビッチながらすごくいい子に見える(笑。攻め←受けというよりも攻め→受けになっていくのかな。その方が読みたい(笑。
 この作家さん、最初に読んだ本(リカーアンドシガレット)がamazonの評価は高いのに個人的には今ひとつでこんなものかなあと思っていたんだけど、コヨーテとかこれとかすごくいい。
 ただ、展開が遅いので続きが気になる…!本誌を追いかけてしまいます。



2019年03月20日

ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ6  So This is Christmas』

 五巻の終わり方が美しかったので、後日談ってどんな感じかなと少々不安になりながらも、やっぱり続編が読めるのはうれしい。リアルタイムで追いかけていた皆さんの喜びはいかばかりだったろうか…。
 ケヴィンて二巻からわりとダメっ子だよね(笑。アドリアンはケヴィンに甘いと言うか、実はイケメンに弱いのでは。ケヴィンの場合はジェイクに似ているからかも。
 ガイがアドリアンにスタッドを送ってたけど、これ身に付けられないよね?(笑。どういうチョイスなのだ。
 リバがあるけれど、ジェイクがしてみたい理由はすごくよかった。なんかM/Mものでリバ見るのは二度目なのだが、これはリアリティの追求なのか、それともむしろファンタジーなのか、少し気になる。
 電気毛布はロマンチックでない、というところでタクミくんを思い出した(笑
 今回もきれいに終わったけれど、まだ続きそうな気もする。ナタリーの出産と結婚、ジェイクの趣味、ドーテン家とリオーダン家の顔合わせ、エマとジェイク、アドリアンの小説や書店のあれこれとか、まだ読みたい。あとアヴェリー・オックスフォードも気になる。ただ、アドリアンがケイトと和解しないとできない展開もある気がするし、でもそれはご都合主義過ぎるかなあとも思うので、難しいものもあるかも。ご都合主義でもケイトとアドリアンが仲良くなったらうれしいけど。

 全体を読んで、ゲイ差別とか想像してたより厳しそうだなあと思った。というかケイトへの風当たりがつよいのはどうしてなんだ…何も悪くないのに。好奇の目でってことかなあ。逆に、ガイともジェイクとも結婚って話がふつうに出てくるのはびっくり。これは日本との社会の違いのせいなのか、それとも作品の特徴なのかはわからない。
 あと、リサのアドリアンに対する理解力がこっそりすごい。煩いように見えて、アドリアンが思っているよりもずっと理解し、尊重している感じ。

 全体を振り返って、アドリアンが作中でモンゴメリー・クリフトに似ていると何度も書かれていたせいか、わりと実写で想像しやすい。このクリスマス編ではマットなんとかに似てる、と言われていたけれど、モンゴメリー・クリフト役をやるそうなマット・ボマーかな。あちらのファンサイトとかでもともとマット・ボマーが押されていたそうなので、その反映かなあ。マット・ボマーだとあまりにイケメンすぎ、マッチョすぎな気もする。ジェイクは私の中では故ヒース・レジャーのイメージだけど、ブロークバック・マウンテンの印象に引きづられているかも…と思って調べたら、ヒース・レジャーはアイルランド系の血もひいていたようなので、あながち遠すぎでもないかなと。



2019年03月17日

ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ5 冥き流れ』

 Kindle Ultimated。
 五巻はアドリアンの元カレ揃い踏みで日替わりデート状態で、ちょっと性格というか思考回路が破綻気味でキレやすく(体調のせいでしょうが)、少々読んでいてしんどい部分もある。ケイトにわざわざ会いに行く(キャラではなく展開の問題なのかもしれないけれど)のもどうか。でもアドリアンがジェイクがタイ料理を買ってきてくれて久々に空腹を感じたところは萌えた。やっぱりインフルエンザ、肺炎、手術で、ずっとロウだったんだね。
 逆にジェイクは菩薩のようになってしまって、アドリアンのまだ決心は出来ないけど引っ越さないで!とかいう無茶苦茶にもすんなり応えたり(この場面とこの展開が、ものすごく好きです)、無言でハンバーガー横取りされても怒らないし(笑、ほんと菩薩。言葉は足りてないのだけは変わらないけれど、アドリアンがそれにこだわっていたとわかったところが面白かった。
 とはいえ前述のように当て馬キャラのような外道行為をし、アドリアンの命を危険に晒しさえした後に、ジェイクがいくら菩薩になってもパートナーと読者を納得させるのは難しいはずで、その問題を、アドリアンの三年の痛みととジェイクの痛みの年数とを引き比べることで乗り越えた展開はまさに特筆すべきところだっただろうと思う。あと、少し前にパートナーをギロチンにかけた『はいまーとろーぜ』に感服したところだったので、なんかそういうジャンル(洒落にならない鬼畜攻めとか?)もあってもいいと思った(笑。
 メルはダメすぎてひどすぎる(笑。それこそ伝説の男なのだから、もうちょっとマシな人であってほしかった(笑。アドリアンがいちいちジェイクだったら…とか考えちゃうのも性格悪い(笑。でもメルがダメダメなのって、なんか学生時代の恋とか恋人ってそんな感じかもなあとも思う。メルとは映画とかの趣味があうというのも同様にしっくりくる。
 逆に、ジェイクは趣味とかは合うわけではないので、だから周囲からはアドリアンとジェイクは全然似合わないと思われてしまっていて、でも本人達はすごく気が合って自然でいられると思っているのがなんだかいい。正反対の相手に惹かれているのではなくて、全然違う二人なのに、世界で一人だけ本音を話せて、なぜか誰よりも理解してくれる相手、というのがすごくいい!
 ガイとアドリアンは、それぞれ一般的に言って魅力があってモテるほうで、だから互いに好意を持って付き合えるしパートナーになってもいいと(少なくともガイは、そしてアドリアンもたぶんジェイクを知らなければ)思うんだろうけど、互いに一番の相手ではないんだね。なんかリアルだなあと思った。



ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ4 海賊王の死』

 Kindle Ultimated。
 ジェイク、はやく諦めてしまえ!跪け!な四巻。
 つきとばしたことを謝らないし恥じてないとでも思うのかとか逆ギレするジェイク、往生際悪く愛人関係をせまるジェイク、最悪なんですけど!!けど、それでもいい!!なんだこれ!!!(笑。三巻同様に前代未聞級に最悪なことをしているのはわかってるんだけど、三巻と違ってそれでもせつな萌える!いや、三巻も後から読み返すとせつな萌えたけどね。
 ジェイクの、こんなに何もかも失うと思ってなかった、という言葉と、ほとんど全てを失ってもいい、という言葉の中で、すべてはアドリアンでありアドリアン以外のすべてであるのが印象的。アドリアンの方も、もうジェイクのために一滴も涙を流したくない、と思っていたのに、ラストで泣くのがいい。
 普通ならジェイクの言動は当て馬キャラのものでしょうという感じなんだけど、そしてガイも魅力あるキャラになりそうなのに微妙に主役を張れない感じで、アドリアン(の本心)はジェイクにしか向かってないし、そのバランスが珍しいし面白い。
 個人的に、BLでもそれ以外でも不倫ものってアウトなんだけど、この巻に関してはものすごい引力で萌える。
 特に四巻ラストから五巻に、twenty one pilotsの「lovely」がすごくピッタリでびっくりするくらい。Won't you stay alive,I'll take you on a ride.I will make you believe you are lovely! ジェイク→アドリアンという感じ。
 一方で、ガイとアドリアンの、互いが一番じゃないけど好意をもっている感じの付き合いもわからないでもない。



2019年03月16日

ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ3 悪魔の聖餐』

 Kindle Ultimated。
 デキ婚の上愛人関係を続けるつもりとか暴力沙汰とか…!標準的なBLでなら当て馬キャラの行動だろうそれは…!という、とにもかくにもジェイクが最悪な三巻後半(笑。三巻の後半は二人のすれ違いがつらいので、三巻はあんまり読み返せていない…。
 ジェイクのお前をかばおうと思っているのに!みたいな自分へのごまかしと言い訳が強くて、その結果のあの暴力なので、いろいろ考えさせられる。チャンやリサは二人の関係を受け入れようとしてくれているのになあ、とも思う。
 ガイとアドリアンが惹かれ合った理由は微妙にわからんかった(笑。二人とも魅力的なところがあるから、という感じの理由な気がする。



ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ2 死者の囁き』

 Kindle Ultimated。
 二巻が一番平和で幸せというのも感慨深い。表紙の変化が二人の距離感の変化とぴったりシンクロしている。
 たががはずれていくジェイクがせつなかわゆいがズルい男だ…けどかわゆい。先がないなんてわかっていて予想以上にハマってしまうアドリアンも後のことを考えるとせつない。
 ジェイクがアドリアンのことをきれいだと言い始めるのもすごく萌える。これ原文ではbeautifulなのかなあ。アドリアンなら似合う単語だ。beautiful guyなのか、beautiful boy(宇多田ヒカル?)なのかそれとも別の表現なのか気になる。結局原書に手を出すことになりそうだ。

 読み返すと、アドリアンは何にも期待してないって断言しちゃってるんだな…(笑。何も約束してやれないのにというジェイクの躊躇もよくわかる。でもジェイクは、アドリアンがいいって言ったから、みたいな言い訳をするわけではなく、どうやっても自分はアドリアンを追いかけてこうなる運命だったんだ、みたいな諦念がこの頃からある気がする。
 あと、ジェイクはアドリアンとメルがまだつながりがあることを知って、アドリアンは別れた相手と友人でいられるタイプだと思ってたのかな、とも思った。メルとは違ってジェイクは結婚するために別れたわけだし、状況が違うのに。そしてアドリアンも、メルよりもずっと強くジェイクを愛してしまったのだろうし。まあでも、ジェイクのそんなアホなところも萌えます、再読なら(笑



ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ1 天使の影』

 Kindle Ultimated。
 なるべく避けているつもりですがねたばれあります。

 正直、一巻を初めて読んだ段階ではまだそれほどでもなかった。
 キャラがあまり立ってない感じでよくわからないし、特になぜジェイクとアドリアンが惹かれ合ったのかわからず、なんかいきなり付き合うことになったような感じがした。
 ミステリの筋もわりとあちこちに飛ぶし、恋愛というか感情面と並行して進むのでちょっとゆっくりすぎる感じで、ミステリとしてもそれほどいいとは思わなかった。最後の張り込みでアドリアンの家に犯人が行ってるのになぜ一人で帰すのかとか、なんで早く助けに行かないのかとか、いろいろ変な感じもしたし。犯人の心情もいまいちわかりにくい。クロードが退場するのも残念。
 そんな感じで恋愛小説としてもミステリ小説としてもそこまで完成度が高い感じがしなくて、でも雰囲気はいいし、五巻も出てるし、アマゾンレビューでの評価もすごく高いし(逆に少々不安にもなったけど)、と思って続きを読む。

 …アドリアンイングリッシュシリーズサイコー!になって帰ってきた二巡目。いや、アマゾンレビューで何巡もしているという書き込みがある理由をやっと体感した感じ。わたしももう何巡目かわからないくらい(笑。
 いろいろわかってから読むと、アドリアンは視点人物なのでともかくも、ジェイクの苛立ちや意地悪の理由や、なんで急に会いに来るのーとか、最後の場面でなかなか助けに入れないのはなんでかとか、いろいろ想像できて非常に萌えた^^初読の時の違和感が消えて、面白く読めるようにもなった。

 関係ないけれど、アドリアンというとロッキーを思い出してしまい(いや見たことはないんですが、それでも知っているくらい有名だということで)違和感があったんだけど、ADSLことアドリアン・シュルタイスのことを思い出してから、無事萌えられるようになりました(笑。



2019年03月10日

吾妻香夜『桜田先輩改造計画』

 Kindleで購入したんだけど、amazonで商品ページがなくなっているような?ちょっとうまく情報も探せない。いつからなのかわからないし、作者さんのTwitterも掘りきれない。何かあったんだろうか。

 作品は、高校時代にいじめられてた攻めがドSとして開花し、いじめっ子の先輩と同じ会社に入って、復讐のために調教…ってあらすじに不安を覚えたけれど、トンデモギャグ漫画だったので問題なかった(笑。かなり面白い。攻めのムチムチ帝王ルックが素敵。攻めの勤めていたSMバーのドM経営者の短編も面白い。



2019年03月02日

J・L・ラングレー『狼の遠き目覚め』

 Kindle Ultimated。
 受けはレミか…とか思いながら読み始め、レミカワイイィ!になって読み終わる狼の遠き目覚め。
 いかつい寡黙なジェイクと、はすっぱをよそおいつつ弟大好きで愛情深いレミ。児童虐待、ゲイ差別、SM、アルファとオメガ…といろいろな角度から二人とその周辺が描かれていて、非常に重層的で面白い。中でもSMは二人の関係を見せるにあたってすごくいい要素になっていた。
 ピクシブでも描いたけどレミとキートンの友人関係がすごくかわいくて、ふたりとも友人に恵まれてこなかったので、こういうケンカ友達は初めてなんだろうなあとしみじみする。

 この巻にかぎらず、前の巻では三枚目とか半ヒールのキャラが主役か…と思いながら読み始めると、主役補正で少々キャラ変がある気がする。
 ので、次はリースとスターリング…!?とちょっとおっかなびっくりですが、心配せずに待つ(笑。



2019年02月25日

鈴木あみ『Heimat Rose』1~4

 核心は避けてますがネタバレ気味です。

   

 もうとにかく面白く、はらはらさせられ、楽しめた。
 なんでこれ今まで読んでなかったんだろうというのと、今更でも読んで良かったというのとだけど、それもこれも2巻までKindle Ultimatedに入れてくれたアマゾンのおかげですよ。読み始める前は3巻以降は購入か~とか思ってたけど、2巻読んでる途中にそれはもうどうでもよくなりとにかく読みたい!読めればいい!状態になった(笑。

 この作家さん遊郭のイメージしかなくて今まで読んだことなかった(遊郭が苦手なわけではなく、遊郭物って数が多くてどれから読んだらいいのか…という感じであんまり読んでないだけです)のだけれど、はいまーとろーぜのタイトルだけは何度か見掛けて気になっていて、でもなんでみんな平仮名で書くんだろうと思ってたら最初のタイトルがそのまま『はいまーとろーぜ』だったのね。なんで平仮名だったんだろう。

 ふつーに面白いんだけど、それだけでは終わらない感じでもある。
 この作品が作者がおいくつの時に書かれたのかはわからないけれど、時々ある、作者の若さとかの理由で相当無茶な展開をしていて&それがものすごい魅力ともなっている&かつ、なんとかまとまっているお話、である気がした。高河ゆんのアーシアンとかこのタイプだと思っている(源氏は終わっていないのでこれにあたらない)。

 なにしろ、受けは拷問にかけられ半死半生で容貌も回復不可能なんじゃと思うほどにめちゃくちゃになるわ、攻めを手ひどく裏切るわだし、攻めも負けていなくて受けをギロチンにかけるわ、腐乱死体を抱きしめて号泣するわ、ロベスピエール並の独裁者になるわ、もう無茶苦茶(笑。木原音瀬だってここまでしないだろうというくらいだ。
 チュールがレイを裏切るのも、レイがチュールをギロチンにかけるのも、BLとしてというか恋愛物語として相当なので、レイがチュールを、チュールがレイを許せるのか、許すとしたらどういう流れで、というのがすごく興味深かった。その意味で、裏切りの理由と許せなさの理由がちょっとブレぎみなのは少々残念、レイに後悔させたくないからと、ギロチンのことよりも会いに来なかったからというのでまとめてしまってよかった気がする。

 あと、伏線がすごい。チュールがピアノを習うことがフェル関連や教会へつながったり、死の連鎖(オーエンの死→俺が死んだほうがよかったのかよ→その怒りはギロチンへの伏線へ、ギロチンでのチュールの死→死の取り返しのつかなさ→フェルについてのチュールの言葉をレイが納得)とか、すごくまっとうかつ緻密に構成されてる感じがした。
 とはいえ、一番すごかったのはソーセージが伏線になる、しかもすっごいいい場面でってことだけど(笑。

 レイがチュールを失っての砦の場面がものすごいツボ(絶望的で幸せな状況)で大好き。静謐でせつなく美しい。
 最後のあたりはチュールが逃げすぎでちょっとイライラした(笑、もういいじゃん!って。あの逃げまくりは、レイの身分を変えるためには必要かなという気もするし、レイがああならないと話の座りが悪いので仕方ない気はするけど。



2019年02月17日

J・L・ラングレー『狼を狩る法則』

 Kindle Ultimated。
 いわゆる海外BLとかM/Mというものを初めて読んだと思うのだけれど、面白すぎ、かわゆすぎで一気にハマってしまった。この文庫を書店で見た覚えがない(BL小説は漫画ほどはきちんとチェックしていなかったせいかもしれない)ので、今まで知らなかったのが残念。

 シリーズとしては人狼もので、この巻はネイティブアメリカン獣医(ノンケ)とブロンドブルーアイズのかわゆい系大学教授(ゲイ)が運命の「メイト」として出会ってしまって、というお話。
 少々エロ描写が多すぎるのと、リバがあるのが好き嫌いがわかれるところだと思うけれど、あと展開も少々安易なところもある(チェイのお母さんとか)けれどもそれを差し引いても面白いしおすすめ。
 チェイは出会いの場面はもうちょっとうまくやろうよーと思ったけど、その後は忍耐強くいい奴。キートンは名前がちょっとかわいくない(キートン山田のイメージのせいか、笑)し強情、頑固でかんしゃく玉(後に家族からも締め殺してやりたいとか言われるくらいに、笑)だけど、憎めないしかわいい。名前がかわいくないこともあり、チェイが「(リトル)ビット」と呼ぶのは非常にかわいい。
 挿絵も麻々原絵里依でうれしい。コミカライズが連載中だそうでそちらもすっごい楽しみ。



2019年02月06日

座裏屋蘭丸『コヨーテ』Ⅰ、Ⅱ

 

 ピアニスト✕人狼。
 とにかく面白くてかわゆくて萌える…!
 この作家さんらしい(気がする)へらへら優しいようでいて結構な自分勝手でぐいぐい押してくる攻めが萌えるし、受けもうぶかわいい。二人ともなぜか「リリィ」「マレーネ」と女性名で呼び合ってるのが斬新でかわいい。続きが早く読みたい。



2019年01月24日

田中相『LINBO THE KING』1~5

 夢の中をリンボとするのは何が初出なんでしょうか。インセプションよりも前にあるんだろうか。
 最初のあたりは微妙にキャラがたっていないのと、設定がよくわからないのと、なのに凝った描写・展開なのでハマりにくい。でも雰囲気はレトロSFという感じですごくいいし、内容も巻を追うごとに面白くなっている。絵も最初は動きとかわかりにくかったけどよくなってる。
 ただ、ルネの性格が悪いのとか、なのにアダムがルネの過去とか知って罪悪感おぼえてるのとか、なんだかなあというところはあり、総じてキャラが微妙に好きになりきれない感じはある。



2019年01月20日

奥嶋ひろまさ・SHOOWA『同棲ヤンキー赤松セブン』1

 いい意味で表紙から予想できる雰囲気まんまだった。
 作画の方はヤンキー漫画を描いている作家さんらしいので、BLというよりヤンキーものというか青春漫画っぽい感じが強く、その中にあまり違和感なくSHOOWAらしいBL要素が入ってきてる感じというか。
 二巻も楽しみ!



2019年01月14日

佐藤沙緒理『おなかにいっぱい、あやかしの種 』

※男性向けです。

 Kindle Ultimated。
 すごく好きな話。
 純愛、人外、百合等さまざまな萌と、人間を対等には見られないあやかしと少女の純愛という少女漫画的な物語もしっかり入っていて、男性向け18禁でなければいろんな人に勧めたいお話。
 コミックスフルカラーだったっぽいので欲しい…。そして続編読みたい。



2019年01月07日

早乙女えむ『サハラの黒鷲』

 謎の北から来た調教師✕奴隷商人だけど人望ある黒鷲。
 お話は普通に面白いんだけれど、なんといったらいいのか…はっきり書いてしまうと、情交シーンがなんだかすごく巧い。エロいというわけでもなく、いやエロさもありますが、巧いんです。



2018年11月11日

扇ゆずは『澪つくし』

 萌えすぎる!!

 なんかの目的のために手段を選ばず人を人とも思わない、一見の人当たりだけいい政治家の秘書✕そのオーラに惚れて尽くしまくりなスーパーハッカー受け。
 みをちゃんはなんか今までにない感じのかわいそう受けな気がする。さんざん尽くして、ぼろぼろになって、報われない感じ。でも南雲はみをちゃんのこと気になってるよね…。南雲はなんでテイラーなのか。本名が服部とかなのかなあ。

 ともあれ、萌え過ぎて単行本未収録分のために本誌のバックナンバーを大人買いした。



2018年07月03日

吾妻香夜『ラムスプリンガの情景』

 非常にamazonでの評価が高いので読んでみた。
 アーミッシュの攻めが成人前に外界を経験する「ラムスプリンガ」で、元ダンサーで売りもしてる受けに出会い云々。
 素直でピュアで、恋愛にも素直すぎる攻めも、いろいろ抱えて堕落しきらない受けも、とてもいい。ストーリーは作者もあとがきで書いているとおりオーソドックスすぎるくらいにオーソドックスだけど、それもいい。80年代アメリカっぽい感じも、個人的に今すっごく好きなテイストだしとってもいい。そんなお話なので、美しく少々物足りないラストさえもふさわしくてとてもいい。でも後日談も読みたいな(笑。



2018年01月31日

藤峰式『工藤先生のマジェスティックデイズ』

 ドM変態教師がクラスの問題児にいたぶられて喜ぶ話。
 一人称が「先生」な先生はあまり好きではないのだが、工藤先生はそういう些末なことを超越したド変態でかなり面白かった。ド変態というか、工藤先生のほうが問題児というか。絵も綺麗だし、もう少し続きとかも読んでみたい。



2018年01月30日

火鳥『快楽ヒストリエ』

一般じゃないか。18禁か。18禁歴史パロディ。
小ネタオムニバスのような感じで、総じて面白かった。やっぱり綱吉とかが好き。



2017年12月09日

阿仁谷 ユイジ『因果性のベゼ』1

 BL、阿仁谷ユイジ、時間操作と、私の好きな要素ばっかりでうれしい。
 でも続きが早く読みたい…!



2017年11月10日

私屋カヲル『恋に堕ちたインキュバス』

 まさか私屋カヲルを再び読むことになるなんて、しかも自分で購入してまでなんて、そして何よりこんなところ(=BL)で再会するなんて、とさまざまな意味で驚いた。
 もうすこし詳しく書くと、デビュー作の頃、友人が購入してたので借りて読んでいた…という程度の認識だった作家さんが、もうキャリアもかなり長くてらっしゃるのに、まさか今更BLを描かれるなんて、という、喜びもあるけど衝撃が大きすぎた(笑。

 そして、その衝撃も吹き飛ばすくらい、内容がまたよかった。
 わんこ系(?)インキュバス×生真面目奥手警官。…あれ、最近わんこ総攻めばかりのような?
 絵もきれいだし、お話もベタでありつつ人外BL誌掲載や、作者の来歴などからくるのであろう部分がよいスパイスになっている感じ。
 続編も楽しみ。



2017年10月10日

鈴木ツタ『BARBARITIES II』

 わんこ系(?)カサノヴァ×堅物髭司法官。
 引き続き、素晴らしすぎる。
 あまりの素晴らしさに、博愛攻めとかヒゲ受けとかの苦手な要素もなんのそので読める(笑。



2017年09月01日

木原音瀬『熱砂と月のマジュヌーン』

ねたばれあります。

少し読んだらかなり愛がなさそうだったりしたこともあり、随分積んでいた。やっと読む気になり読み始めたら一気に読んでしまった。いやー、久々に木原音瀬作品を読んで打ちのめされた…。

そうとは明確に書かれていないが、ハッサンも人間的に問題ある人なんだろうなあと思った。ラージンに仕えて非道なことをしてしまうから、というだけではなく、ハッサンはファウジの気持ちを全然わからないのに弟のアントンはファウジが嫌いでも感情は理解していたあたり、ハッサンとの違いが示されている。
ラージンはなんだったんだろう。もう少し奥行きのあるキャラかと思ったけれど、フェイドアウトしてしまった…同人で書かれているらしい?
ファウジはみんなにめたくそに言われていて、確かに性格は悪いだろうけど、ファウジ自身も言うとおり、ラージンにあそこまでされるほど罪深いようには思えなかった。そもそも最初は父の乱行をちょっと覗いてただけ、みたいに書かれていたのが、他の人の視点ではファウジも奴隷に冷たかったと書かれているので、よくわからなくなった。まあ双方に認識の違いはあって当たり前なのかもしれないけど、ファウジにはちょっと同情してしまった。
ラストでは、さんざん世話になったアリーを殺そうとしたファウジにブチ切れるハッサン、が、しかし、ファウジの行動は自分への愛のためだったと知った瞬間に、アリーという男と自分自身との違いを確認できて、つまりファウジがアリーを殺そうとしたために、ハッサンがたんに世話を焼いたからファウジが自分になついたのではないという証拠を遂に得られてしまう、という構造がすごいなーと思った。あ、なんか言葉にすると陳腐かな…でもすごいんですよ。そこに至るまでの延々と続く徒労(ハッサンも、ファウジも)あってこそだね。
しかしまあ、二人がやっと向き合えるのが最後の数ページだけというのも、木原音瀬らしいというか。そこだけ再読してしまう。
笠井あゆみのイラストも素晴らしかった。小説の価値を更に押し上げるイラストレーターさんであるように思う。



2017年06月12日

市川春子『宝石の国』1~7

 「遠い未来、僕らは宝石になった。」
 作者のみならず、この惹句を考えた人も天才なのではなかろうか。時制のみだれがキラキラしている。
 宝石の国は、本の装丁から発想、設定、物語、キャラクター、すべてがキラキラしていて素敵で魅力的で儚くて凛々しい。
 アホの子のフォスも大きくなったフォスも面白い。ボルツとアンタークが好きなので武闘派が好きなのかも。でもダイヤも好き。



2017年03月12日

地下沢中也『預言者ピッピ』1、2

 超高性能なコンピュータで必ず当たる予言者ピッピのお話。
 とんでもない話、凄みがある。
 しかし、二巻が出てから随分経っているようで、続刊の見込みが薄いようだ…続き読みたいよー。



2017年01月09日

乃木坂太郎『幽麗塔』1~9

 絵も美麗で雰囲気もあり、話も面白い。もっと有名になってもいい作品なのではなかろうか。ジェンダーにかかわる描写も興味深い。
 1巻の天野が事件の原因になっているのに無責任で他人事っぽいのは気になり、そこで少々足踏みしそうになったけれど、以降はそうした気になるところもなかった。



2016年09月09日

たかみち『百万畳ラビリンス』上・下

 これはわりと出てすぐの頃、知らない作家さんだったけど、タイトルや表紙で惹かれて読んだ。
 ゲームの中に入り込んでどんどん改築増築されていく世界を攻略していく感じで、筒井康隆「遠い座敷」とか那須雪絵「魔法使いの娘」のラストバトルみたいな、こういうのすごく好きだなあ^^
 相方の女の子が最初男子かと思った^^;もう少しくらいかわいくてもいいのに…と思ったけど、外見の変化とか恋愛とかに面白みは出ていたからしょうがないのかな~というか、このキャラの恋愛話は面白かったのでもう少し掘り下げてほしかった気もする。
 とはいえ、全体に素晴らしかった。また他の作品も読んでみたい。



2016年09月02日

荒川弘『アルスラーン戦記』1~5

 原作は読んだことがないけれど、昔映画を見たなあ。遊佐未森の主題歌がすごく印象的だった。
 今回のコミカライズは興味があったのに読んでいなかったのは、刊行ペースが遅そうだったからなのだけれど、おすすめも受けて読んだ^^
 荒川弘は全てにおいてすばらしいなあと改めて思わされる。キャラもお話も面白いので、つづきが楽しみ^^



2016年09月01日

伊坂幸太郎『マリアビートル』

 グラスホッパーにつづいてマリアビートル。面白かった!カタルシスがすごい。新幹線で読みたい一冊。



2016年08月19日

伊坂幸太郎・大須賀めぐみ『魔王 JUVENILE REMIX』1~10

 紹介されて読んでみた。
 超面白い!原作をかなり離れているみたいで、原作をよくは知らないのだえけれど、再構成がうまくいっているのではないかという印象。絵も巧い!作画担当の方はほぼデビュー作?みたいなので、すごいなあ。
 あと、兄弟のというか弟の異常な愛情も素晴らしい(笑。兄の写真を飾りすぎ。



2015年03月23日

諫山創『進撃の巨人』1~15

 やっと・今更読んだ^o^
 一巻が出たころに最初だけ(今思えば、おそらく紹介の冊子だったのかな)読んでなんとなくどんな作品かわかった気になっていたのだけれど、愚かなことでした^^;
 とても面白く読みつつ、萌えはなかった^^;というか、好きなキャラというのもあまりいない…あ、ジャンは凡人くさくて好き。

 お話としては、負けてばかりなことと意表を突く展開はとても面白い。一方、筋の面白さに比べると、漫画としてはうまくないのがもったいない。絵が下手というか、最初の頃が下手なのは全然構わないんだけれど、絵のうまくならなさが空知英明に匹敵するレベルである。あと漫画としてのコマ割りというか文法がまずく、動きや動作の途中を書かないから唐突になってしまっているコマとか、かなり気になるレベル。作者はこれまでにあまり漫画を書いたことがなかった方なのかなあ。
 漫画そのものがまずくてもこれだけ面白いというのと、とはいえまれにみるまずさなのがどちらも個人的に衝撃的だった。

 ちなみに、クロエのここまでの予想としては、
 ・壁の向こうは未来都市
 ・巨人はどこかの国が開発した兵器
 ・巨人は普通の大きさで人類のほうが小さい
 (既刊読んだ段階でこれはおそらく違うと思われる
 ・ユミルは元は男
 というところです。

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もくじ

辻村七子「宝石商リチャード氏の謎鑑定」1~10
C・S・パキャット『叛獄の王子』1~4
ミナヅキアキラ『スモーキーネクター』
百瀬あん『ナカまであいして』
久松エイト『NEON』『ランウェイの行方を知りたいか』
かんばまゆこ『錦田警部はどろぼうがお好き』1~3
いそふらぼん肘樹『神クズ☆アイドル』1~3
nico『偽りトライアングル』
さとう蜂子『セックスが気持ちイイって本当ですか?』
常倉三矢『Life 線上の僕ら』
赤根晴『笑う門にはクズ来たる』
ひなこ『馬鹿とハサミ』
竹若トモハル『殴り屋はカラダの火照りをアレで醒ます。』
じゃのめ『残像スローモーション』
常倉三矢『咬みつきたい』
にやま『そんなに言うなら抱いてやる』
赤根晴『プレミアムフライデーセックス』
常倉三矢『1等7億円が当たった俺の3日間』
加藤スス『俺のアオハルは渡さない』
藤峰式『ハッピーエンドを信じてる』
長与エリ子『業務上過失ポルノ』
野田のんだ『元ヤクザがBL作家になったらしい。』
倉橋トモ『ピンクとまめしば』
ニクヤ乾『#BLごっこ』
夜光花『花嵐の血族』
待緒イサミ『十二支色恋草子~蜜月の章~』1~3
待緒イサミ『十二支色恋草子』1~3
加藤えりこ『カタシロとメランコリー』1、2
朔ヒロ『noe67~笑わないセクサロイド~』
山本ティナ『ライカン ―伯爵獣と囚われた男娼―』
山本ティナ『夜啼く鷹は愛を知らない』
犬井チズ『ドラヴァーズ』
ARUKU『極東追憶博物館』
緒川千世『カーストヘヴン』1~6
松下祐己『俺様な同期に夜の仕事がバレました。』
にこ山P蔵『ピンク・ワーク・トラブル』
波真田かもめ『青春賛歌!』
安西リカ『バースデー』
虫歯『不死身の命日』
中川カネ子『オスワルド』
アルコ、ひねくれ渡『消えた初恋』1
丹下道『恋するインテリジェンス』6、7
ヨネダコウ『囀る鳥は羽ばたかない』1~6
おげれつたなか『ヤリチン☆ビッチ部』1~3
くりたしゅう『上司にHに迫りたいんです』
扇ゆずは『澪つくし』2
ARUKU『明日屋商い繁盛』1、2
栗城偲『玉の輿ご用意しました』
左藤さなゆき『プリフェクトの箱庭』
夜光花『烈火の血族』
さかもと麻乃『三途の川の向こうの君』
小中大豆『ラプンツェルの通い妻』
ARUKU『無恋愛紳士』
張六郎『千年狐 ~干宝「捜神記」より~ 』1
ちふゆ『こんなの運命じゃないから勘違いしないで』上、下
鈴丸みんた『キューピッドに落雷 追撃』
エンゾウ『ドラッグレス・セックス 辰見と戌井』
はらだ『ハッピークソライフ』1
ちしゃの実『俺達は新婚さんかもしれない』
瀬戸うみこ『カスタマスカレード!』『カスタマスカレード(恋愛中!)』
彩景でりこ『チョコストロベリー バニラ』
ハジ『猿と桃』
コウキ。『三兄弟、おにいちゃんの恋』
コウキ。、ARUKU『君の夢を見ている』
風呂前有『キスしちゃだめなの?』
チッチー・チェーンソー『リビドーアンドデストロイ』
凪良ゆう『美しい彼』『憎らしい彼』『悩ましい彼』
神香うらら『恋の吊り橋効果、試しませんか?』
黒木えぬこ『ミッドナイトショップチャンネル』
櫻川なろ『真夏のサイレン』
和山やま『夢中さ、きみに。』
平純久至『ハルマニア』
はなさわ浪雄『淫魔じゃないのに!』
ミキライカ『狂犬ハチ公』1~3
筋『ヤクザを縛っていいですか?』
鶴子『雛鳥たちは縛られたい』
一ノ瀬ゆま『gift』上・中・下
星名あんじ『30までに死にたい』
森世『あいとまこと』
夜光花『眷愛隷属 -白狐と貉-』
野原滋『いじわる狐とハートの猫又』
山本小鉄子『明日はどっちだ!』1~4
S井ミツル『世界はそんなに悪くない』
S井ミツル『めぐみとつぐみ』
里つばめ『GAPS』『GAPS RISKY DAYS』『GAPS apples and oranges』『GAPS hanker』
野原滋『僕の行方』
野原滋『犬、拾うオレ、噛まれる』
赤星ジェイク『バスガイドCスポット』
彩景でりこ『蟷螂の檻』1~4
那木渡『バーレスクナイト』
鈴丸みんた『ゴールデンスパークル』
夏野寛子『25時、赤坂で』
三月えみ『結んで、ほどいて、キスをして』
たけうちりうと『薔薇とボディガード』
一ノ瀬ゆま『嫌いな先輩』
五月女えむ『19歳のポルノエンデバー』
もちの米『俺のおにくちゃん』
牧コチコ『恋が、あの夏にある』
喃喃『キーミスティックアンダーカバー』
yoha『さよなら恋人、またきて友だち』
PEYO『ボーイミーツマリア』
木下けい子『灰かぶりコンプレックス』1、2
鈴代『花廓』1
スカーレット・ベリ子『ジャッカス!~触っていいって誰が言ったよ?~』
座裏屋蘭丸『シャングリラの鳥』1
ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ6  So This is Christmas』
ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ5 冥き流れ』
ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ4 海賊王の死』
ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ3 悪魔の聖餐』
ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ2 死者の囁き』
ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ1 天使の影』
吾妻香夜『桜田先輩改造計画』
J・L・ラングレー『狼の遠き目覚め』
鈴木あみ『Heimat Rose』1~4
J・L・ラングレー『狼を狩る法則』
座裏屋蘭丸『コヨーテ』Ⅰ、Ⅱ
田中相『LINBO THE KING』1~5
奥嶋ひろまさ・SHOOWA『同棲ヤンキー赤松セブン』1
佐藤沙緒理『おなかにいっぱい、あやかしの種 』
早乙女えむ『サハラの黒鷲』
扇ゆずは『澪つくし』
吾妻香夜『ラムスプリンガの情景』
藤峰式『工藤先生のマジェスティックデイズ』
火鳥『快楽ヒストリエ』
阿仁谷 ユイジ『因果性のベゼ』1
私屋カヲル『恋に堕ちたインキュバス』
鈴木ツタ『BARBARITIES II』
木原音瀬『熱砂と月のマジュヌーン』
市川春子『宝石の国』1~7
地下沢中也『預言者ピッピ』1、2
乃木坂太郎『幽麗塔』1~9
たかみち『百万畳ラビリンス』上・下
荒川弘『アルスラーン戦記』1~5
伊坂幸太郎『マリアビートル』
伊坂幸太郎・大須賀めぐみ『魔王 JUVENILE REMIX』1~10
諫山創『進撃の巨人』1~15
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