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2006年04月04日

三月下半期に読んだものから。

 随分前から師匠が「葛城くんアレ読んだ?」って何度も仰るし、わたしも読もうとは思っていたし、やっと文庫になったので『ダヴィンチコード』買った。まだ読んでない。

 戯曲風って言われるのがなぜなのかよくわからなかったけど、なんか納得もする。
 正直戯曲というのはよくわからないのだけど、あることがあってから論じやすすぎるテクストなのかなってイメージがすごくある。それは装置とかキャラとかセリフぜんぶに意味があって、わかりやすすぎる、って印象なんだけど。で、このテクストもそんな感じだなあと思った。
 どう考えてもわたしの好きなタイプの話ではないしエクリチュールではないのだと、心ではなく頭で思った(つまり、好きじゃないと感じたわけではない。でもキャンディ老人の件につき、他の部分にかかわらずもう好きではない。


 前から時々拾い読みしてる。
 すごくすごく正直なところ、MMRっぽく感じてしまう。「・・・はGHQの陰謀だったんだよ!」「な、なんだってー!」ってさ…。たぶん同時代読者だったら感じ方はまた違うんだろうなあ…。
 あと、同時代読者だから知ってるはずな事件の概要とかも、もっと詳しく教えてほしいと思ってしまう。帝銀事件とか、読者がもう概要は知ってること前提で書かれているけど、わたしにはわからないもの。やっぱり読者を限定するというか、同時代読者とそれ以外では読み方が違ってしまうことが前提のテクストだと思った。



2006年03月14日

三月上半期に読んだものから。

 読もうかなと思ってるのは飛蝗の農場とロンググッバイ。
 なんか面白い本ないですかね。出来れば外国文学で。

 初読作家だったので、最初はえ?それ笑うところ?と入っていけなかったんだけど、プロローグのおわりにきれいにオチがついてああそういう作家なのね、と判って妙に好意的に読んでしまった。なんか好きなんですよ。
 ネタバレになってしまいますが、これの前に有栖川『海のある奈良に死す』を読んだせいもありまたビデオですか!と思いましたが、ていうかビデオが出てきた時点で犯人も動機もすぐに判ってしまったので、実はねって感じで推理展開されてもあんまし感慨はなかったんですが、それはわたしだけかもしれません。これ以上書くと完全なネタバレなので白抜きでも書きませんが。

 冤罪ものが連続で。
 書店のおすすめで大当たりしたことは残念ながらあまりなかったのだけれど(小当たりはそこそこ、密室の鍵もそうだ)これ某所で少し前にプッシュしてたよね。別件で手に取る機会があって読んだんだけど、かなり面白かった。文体がちょっととっつきづらい(わたしにとっては)のと、テーマのせいもあってどうしても説明が随所に織り交ぜられるのがちょっとしんどかったけど、読み進めるうちにそれは気にならなくなった。ラストがちょっと淋しいというか物足りない気がしないでもないんだけど、でも悪くないというか妥当というか上手いというか…足りないことはないかつい確認してしまっただけで…。あと、アレ?と思った件に関しては解説で納得、一応。
 ただ、すごく面白いんだけど、ものすごくストレスフルで、特に最後の100P弱なんかは息を飲む展開ってこういうことだッ!って感じなので、体調がよくって時間がある時に読むとよいかと(笑。いくつもミスリーディングしかけられて、伏線がくるくるからめとられて、ハラハラドキドキ、最後にそう来たか!と衝撃を受ける、もうミステリ・サスペンスの見本のような秀作なんですが、テーマがテーマなだけにほんとストレスたまった。
 というわけで、兎に角ほんとに疲れた。それでも読んで絶対損はしないと思う。

 ところでこの作が冤罪ものだったのは偶然だと思うんだけど、乱歩賞というとどうしてもテロリストのパラソルを連想するので、乱歩賞って追われつつ捜査するってイメージになってしまった、かも(笑。



2006年01月31日

一月にに読んだものから。

 こないだ電車で隣に座った若リーマンが鼻をぐずぐずさせてて、やだなあ風邪かなあうつらないといいなあとか思っていたら、リーマンは鼻をかみつつ本を読んでいるどう見てもリリーフランキーの東京タワーです。んなあざといテクストで、と言いたいところだったけれど、うーん、電車でプルートウを読んで涙目になってしまったことのあるわたしには笑えなかったねえ。

 また別の日は前に座っていた学生かフリーターかな感じのイケメンが、読んでいた文庫本を閉じつつ電車を降りていくその表紙はどう見ても暁の寺です。…負けた。春の雪上映中の豊饒の海の販促っぷりを見ていて、一体何人が天人五衰まで読むんだろうかとか思っていたけど、全然読まれているのかもね。

 一作目なので最初に読んだ。シリーズものは一応一作目だけ最初に読んどこうかなと思って。
 この一作目に限らず、アリス火村(火村アリス?)シリーズは小説家が視点人物なので小説家がいっぱい出てくるし、ストーリテリングにもそうした要素がそこここに活かされているので、わたしのツボですな。そしてメタミステリ的な面白さもあり。
 文体はイマイチ好きではない。誠実そうではあるが。
 アリスシリーズが801っぽいと思いこんでいたのは非常に申し訳なかった。コミカライズした麻々原絵里依のせいというかむしろ手腕(笑)による印象が大きかったようだ。とくに火村の描写を見ていてそう思った。でも火村は結構女子学生にもてるって設定もあるんだよね。うーん。

 これの冒頭で特にそう思ったんだけど、アリス視点の人物批評って好意を持っているのかいないのか全然わかんない。アリスは赤星のことキライなのかと思ったよ…。
 こういうのなんていうんだろ、旅情もの(笑)というか、土地ものというか、ある土地に移動してその土地独特の犯罪が行われるというような、よくあるよねこういうのミステリで。火サスとかよくしらないけど。何ていうジャンルなんだろう。まあとにかくそういうのはあんまり好きじゃないかもと思った。つまらなかったわけではないですよ。
 ところで昔から『ヘルレイザー』(ホラー映画のね)ってなんで人気があるのかよくわかんないんだよね。なんかあの箱の使い方とかあまりに非論理的な気がして入り込めなかったから。まあたぶんそういうところで評価する映画ではないんだろうけど。

 小説家の方って初稿のゲラ一週間で出るんだ…( ゚д゚)ほんとに?い、いやそういえば、10日くらいで来たこともあったな、うん。○○国○がちょっとおかしいんだな。
 短編集なのでちょこちょこ読んだ。授業に使おうかなと思ったものも。
 面白かったよ。

 実はこれ、とっておいてあるつもりだったんだけど(読む時間がなかったというのもあるんだけど)…ワクワクしながら読み始めたら、難解すぎる…ウエーン。
 いつターボがかかるんだ~と思いながらもう200ページ(いや、まだ200ページという見方も出来るけど。しんどいぞ。味読以前の感じなので、ちょっと飛ばしぎみに読んでみようかな。



2005年12月22日

畠中恵『ぬしさまへ』

 ひよわな若旦那と妖ものの二冊め。
 このシリーズを読もうと思ったのは、この「ぬしさまへ」というタイトルをはじめてみたときに一目ぼれしたからだったので、一冊目「しゃばけ」はぴんとこなかったんだけど、この「ぬしさまへ」までは読もうと思ってた(単行本はよほどのことがない限り読まないので、文庫化を待っていた。やっと文庫化したので読みはじめた。
 …うーん、ぬしさまへって、そういう意味か~…(笑。や、いいんだけど。ぬしさま=一太郎のことだと信じていたからちょっとがっかり。
 でも全体的にこのぬるーい文体もいいかも~って感じられるようになってきた。のんびりしたい時にいいと思う。金曜時代劇でやらないかな~。



有栖川有栖『マジックミラー』

 正直に言うといろいろ間違えて買った(笑。
 や、講談社文庫の一作目だったから…裏表紙くらい見ればよかったー。でも面白かったよー。アリバイトリックなんで、犯人とかは結構バレバレなんだけど。
 で、アリバイトリックなんで、時刻表がいっぱいあって。松本清張『点と線』を思い出したり、レトロチック。まあ実際古いし、消費税導入の年が舞台だし、そんなに昔ではないんだけど昔なんだな。なんだか不思議だな。



『日本の童話名作選―明治・大正篇』

 昨日はSさんと四谷の坊主バーにいちきました。Sさんはきちんと剃髪してない坊主にむってました(笑、Sさんは坊主頭大好き。

 読んだもの。原民喜とか。慶應の人だと知らなかった。あの文体は自然主義のように思うのであんまし好きではない。自然主義→結核文学→原爆という流れがあるように思えてしまうのだが、どうか。戦前の作はどんな感じなんだろう。
 あと、なぜか枯木灘がなつかしくなってきてしまった。ちょっとくやしい。冬休みに地の果て至上の時でも読もうかな。

 便利な文庫が出てた。小波「こがね丸」紅葉「二人むく助」鏡花「金時計」からはじまってるあたり、ハイパーオーソドックス。ただ、誤植があるのでちょっと信頼性は低い。底本には使えない。
 菊池寛の「納豆合戦」は読まなきゃよかった…タイトルの飛ばしっぷりに内容が追いつかず。タイトルだけ気に入っておけば幸せだったのに。
 与謝野晶子の「金魚のお使い」はあまりのアホっぷりに作者の精神が心配になった(とうに故人だが。なんなんだろ、とにかくすごい無茶苦茶だった。挿絵もひどいの。オスのはずの金魚が女物着てるの。でも嫌いではないのよ、うん、ファルスだと思えばね。無茶苦茶度的には安吾「風博士」レベルのファルスなんだけど、「風博士」のほうが合理的かもしんない(あの話実は結構計算づくなんだよね。

 これ昭和篇もあって、なかなかこっちも面白いラインナップ。しかし、ネットで見ると賢治は「グスコーブドリの伝説」ってなってるんだけど…これも本の誤植なのかな…恐ろしい。そして、そもそもなぜ「ブドリ」が選ばれてるのか…。



2005年07月04日

六月に読んだものから。

 初めて読んだ。これであと読んでないのは『坑夫』だけ、かな。
 結構面白かった。600ページも読まされて未完というのはあまりに凶悪だけど。
 『明暗』の延子とか『虞美人草』の藤尾とか、『三四郎』の美禰子もかな、結構同情的に書かれている気がする(同情的というのとは違うかもわからないけど、でも少なくとも語り手は彼女達に客観的でありつつも否定的ではない気がする)ので、漱石ってちょっと不思議。この三人は嫂系の女性たちとはちょっと違う気がするから(嫂の亜種といわれればそれまでだが。そしてこの女性達がわたしは結構好き。
 続も読みたいなぁ。

 この表紙かわいくないね。改版したのかな。
 虫の生態がよくわからないのだけれど、なんかヌメヌメしてたりきれいな食べ物がキライだったりっていうのは、どういう虫なんだろうと。でもこういう疑問、科学的には解決できるんだっけ?わかんないや。
2005-10-30 16:56:11

 ええと、覚えている分だけというか一言したいものだけ。でもどうせそんなに数は読んでないか。

 猫ぢゃ猫ぢゃとおっしゃいますが♪
 先日は『放浪記』の「ぷりぷりしながら」に反応してしまいましたが、『猫』にも出てきましたよ、「ぷりぷりして」って(笑。
 『猫』は長くって読み返すのがしんどいけれど、読むとやっぱりスゴク楽しいです。わたしの中では漱石の作品中のベスト3に入ります。あのエクリチュールはスゴイよなぁと思うと同時に、漱石も文壇もそれだけでは済まなかったんだろうなぁと思うとちょっと淋しいです。あの文体で書き続けていたら、漱石がお札に刷られることはなかったのだろうなぁ。

 数少ないわたしが大好きだ!と言える本のうちの一冊。今更説明するまでもない、エンタメSFの金字塔。を、また読んだ。一体何度目だ。確か2000年になったら読もう、と思っていたはずなのだけれど、読んだっけかな…。
 それはさておき、何度読んでもほんと面白い。前半のコールドスリープの所までは何度読んでもイライラするし、末尾のすべての符号がカチカチと組み合わさっていく様は何度読んでも爽快で圧巻。ちょっと差別的な表現なども目に付いたけど、まぁ時代の問題だし仕方がないかな。ダンの父が「北朝鮮で洗脳を受けて死んでしまった」というのが何度読んでも笑ってしまう(笑っていいとこだよね?ここは流石にジョークだと思うので。



2004年11月23日

十一月に読んだものから。

 気分や時間や調査上の他の読み物の問題で今月はあまり小説を読まなかった。あと読んだのは泉鏡花の「薄紅梅」くらいか。蝶面白かった。ハインラインは5
分の1くらいで挫折。今気分的にムリ。冬休みまでつんどく(つんどくがものすごい量なんだけど…どんどん違うものを買ってしまう…。




フランチェスコの暗号〈下〉(新潮文庫)
イアン コールドウェル, ダスティン トマスン

*いちじるしいネタバレ部分は白字にしています。選択して反転しご覧ください(そのせいで妙に思わせぶりないやらしい文章になっており、恐縮です…

 下巻のほうが面白いことは面白かった。

 ミステリ的な部分での展開は上巻より格段に面白い。上巻では「ベラドンナ文書」やアクロスティックなどがいかがわし過ぎたし、それで終わってしまってたから。下巻では、サヴォナローラの使い方とかそれによって判明する墓の内部
どの設定はかなり興奮させられたし、上巻のいかがわしさも活きて良かったと思う。
 問題なのはやはりどうしても「フィッツジェラルド・エーコ・ダンブラウン」のくくりを適応した場合の「フィッツジェラルド」だろうと思われる部分。これ
は上巻から変わらない。まず、下巻前半までの時間軸の移り変わりが、最初ほとんど理解出来なかった。過去とイースターの日をいったりきたりしていることに
下巻の50Pめくらいまで気づかなかった…。上巻での違和感も多少は解消されたけど(卒論提出日の問題は依然残るけど。時間を超越して説明するような視点
(まぁあるにはあるんだけど、もっと分りやすく意味づける描写ということ)を一度くらい入れてもよかったのでは。
 あと人間関係の描写は「なぜこのキャラクターがこのときこう感じるのか」という基本的な部分でやはり分りづらい部分も多いし、提示されている問題も浅薄
に感じた。わざわざ「フィッツジェラルド」といわれるように、これらは作品のかなり重要な位置をしめているんだから、結構重要な問題だと思う。上記のミス
テリのタネあかし部分も、それがネックといえばネックといえる。タネ自体は面白いんだけど、それが語られる状況にまで眼を配るとちょっと不満というか。し
かも、ミステリ自体のしかけにまでからんでくるカリーの対ポールの心情・行動と、
それを描写する方法も全篇をとおしてやや違和感がある。
 しかし、あとがき等を読むと、作者たちが学生時代からこの作品を書き始めたことや、アメリカでは本当にかなり売れているらしいことがわかって、わたしが
つたないと感じる部分は、ひとつには仕方がないことで、ふたつにバックグラウンドを共有できてないがためのことだろうかと思った。どっちにしてもわたしは
不満だと感じたいうことで仕方がない。
 それにも関わるんだけど、やはりイースター後のエピローグ的部分はちょっと残念。そう甘くはなかった主人公たちのその後の人生は、語り方については甘さ
はあるけれどひとまずおくとして、それに対して、数年後ふいにポールから送られてくるボッティチェリだとか、ケイティへ留守電を入れるところだとかは、分りやすすぎるのではないだろうかと思う。こういう系統の常套として、最後のキイになる図面はどうせ手に出来ないのだろうと思ってたから、ちょっとびっくりしたのもあるんだけど(そういえばやっぱりカタストロフは火事
よ!というのはちょっと笑ってしまった。
 いろいろ文句をつけてしまったけれど、でも全体としては最後部での盛り上がりっぷりなどは燃えたし、割合面白かったと思う(正直、アマゾンヌのレビュー
を見たら結構くそみそだったので、ちょっとは擁護に回ろうかという気持ちになってしまったので…。やっぱり映画にしたら映えそうだと思うし。

ニッポニアニッポン (新潮文庫)
阿部 和重
  まだぜんぜん最初、50Pくらい?で読み止し。やばい、時間とともにどんどんつまんなくなる(作品内時間でではなくて、物理的な時間において)テクストな のではなかろうか。そんな議論既にされてるか。読みやすいのに読むのが疲れるという苦難。急いで読まなきゃなんだけど。  閑話休題。この作者の名前が平凡というかよくある名前であるせいもあると思うんだけど、阿部高和とダブって、いつもギャグだと思ってしまう…。
ストリート・ボーイズ (新潮文庫)
ロレンゾ カルカテラ
  結構大部だからこれまたまだ最初の方か。  「1943年、ナチスの攻撃を受ける無人と化したナポリで、残った少年少女が立ち上がった、という史実をベースにしたフィクション」…と言った時点で、 もうわたしの知己、というかごく一部の方はなんでわたしがこの作品を手にしてしまったか、手に取るようにわかると思うのですが、えぇ、まぁ、そんなとこで す。ナポリじゃなくてネアポリスだったらもっとよかったのに。あと原題もこれに同じなんだけど、タイトルはもう少し色気を出して欲しかったな。  内容に関しては、今のところ可もなく不可もないというところ。ただ、こと戦争描写に関してはちょっと問題が多すぎるのではないだろうか。ムッソリーニに 関する多元的でわかりにくい扱いをみても、どうもエクリチュールがそういうことに無頓着な気がする。なんてことを思うのはでも、ナニカにわたしが毒されて いるせいかもしれない。正しいものの見方なんてありえないのだろう。  あとナチスの大佐でルドルフ・フォン・クラウスというキャラがいて、クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハを思い出してしまう。善玉っぽい キャラでよかった(笑。


2004年11月03日

『飛行艇時代【増補改訂版】』

飛行艇時代【増補改訂版】
宮崎 駿

 復刊されたのでつい注文してしまったのが今日届いた。この人の基本はこういうメカものだよなってつくづく思った。きれい。カワイイ。すごく自然。



2004年10月28日

十月下半期に読んだものから。

 前回のヴォネガットと香山リカは読了。ヴォネガットは内容的に末尾がつらかった。あまり好きな終わり方ではなかったから。リカちゃんは最終章斜め読み。
いろいろなエクスキューズがむなしくこだまするのがせつない。




点と線(新潮文庫)
松本 清張
 
「アレ」の存在に作品後半まで気づかないところとか、まぁはっきり言って、今となってはあまり読めたものではないんだけれど、清張の社会派ミステリの、さ
らには日本の社会派ミステリの嚆矢だと思えば仕方ない。末尾が若干グダグダなのもそういうことで。それに時代性とか、そこここに面白い部分はあった。

フランチェスコの暗号〈上〉(新潮文庫)
イアン コールドウェル、ダスティン トマスン
  ネルソン・デミルの言葉ということだが「フィツジェラルドとウンベルト・エーコとダン・ブラウンの共著はこうなる!」という帯は大言壮語にもほどがあるの では。というか、こんな文句にダマされるわたしもわたしだ。でも買っちゃうじゃん。仕方ないじゃん(涙。  非常に読みづらいがたぶんこれは訳の問題だけではないだろう(苦心されていると思うもの。特に人物の会話やちょっとした小粋な比喩がわかりづらいという か、登場人物同士のやりとりの雰囲気や関係性が異様にとりづらいのだがたぶんこれも訳やわたしのネイションの問題ではない気がする。だが入り込めない最も 大きな理由は、ポールが卒論提出数時間前に平気で新発見資料を見せてもらいにいきながら卒論提出する気まんまんに見えるところかもしれない。しかもその約 束の時間まで間があるからと友人らとゲームに興じるポール。タフト教授の特別講義を聴きに行くポール。理解を超える。何度も誤読しているのかと自分を疑っ た。アメリカではこういうこともありなのだろうか。まぁ結局出さないのだろうけど。  しかしやはり話題になっただけはあって、ミステリ的な部分に入ると引き込まれる。ミステリの中でもわたしの好きな文化史もの&設定ものだし。映画には向 いてるかもね。公開されたらたぶん見に行くと思う。映画なら、いろんな違和感もなくなるのではという気がするから。あ、下巻も読んで判断すべきかそれ は…。
宇宙の呼び声(創元推理文庫)
ロバート・A・ハインライン

 まだわりと最初のほうで読みさし。何か帰りに読むものを買おうと思って立ち寄った割合大きな書店の文庫コーナーで、小一時間彷徨って、これという本が一冊も見つからなかったので、生け贄として購入。
 ハインラインはちょっと笑えるくらいがいい。しかし訳がなぁ。SFの訳って、同作者の福島正実訳『夏への扉』を規準としてしまうから、何を読んでもしんどいのだけれど。

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もくじ

辻村七子「宝石商リチャード氏の謎鑑定」1~10
リロ氏『リロ氏のソロキャンレシピ』
綾辻行人『時計館の殺人』上・下
綾辻行人『人形館の殺人』
綾辻行人『水車館の殺人』
倉知淳『星降り山荘の殺人』
綾辻行人『迷路館の殺人』
貴志祐介『鍵のかかった部屋』
貴志祐介『狐火の家』
貴志祐介『硝子のハンマー』
貴志祐介『ミステリークロック』
筒井康隆『薬菜飯店』
テッド・チャン『あなたの人生の物語』
ティムール・ヴェルメシュ『帰ってきたヒトラー』上・下
伊坂幸太郎『マリアビートル』
奥泉光『神器―軍艦「橿原」殺人事件』上・下
伊坂幸太郎『グラスホッパー』
野崎まど『独創短編シリーズ 野崎まど劇場』
東野圭吾『仮面山荘殺人事件』
筒井康隆『旅のラゴス』
清水義範『迷宮』
パンティ田村『偉人ブログ』
高野和明『ジェノサイド』
上遠野浩平・荒木飛呂彦『恥知らずのパープルヘイズ』
筒井康隆『ダンシング・ヴァニティ』
エリザベス・ムーン『くらやみの速さはどれくらい』
森見登美彦『有頂天家族』
綾辻行人『十角館の殺人』
西尾維新『化物語』上・下
アルフレッド・ベスター『虎よ、虎よ!』
伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』
宮部みゆき『ステップファザー・ステップ』
架神恭介・辰巳一世『よいこの君主論』
薬丸岳『天使のナイフ』
恩田陸『ネクロポリス』上、下
今野緒雪『お釈迦様もみてる―紅か白か』
川端康成『伊豆の踊子』
乙一・荒木飛呂彦『The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day』
乙一『The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day』
放り投げ本。
セバスチャン・フィツェック『治療島』
伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』
三崎亜記『となり町戦争』
森見登美彦『太陽の塔』
マイケル・グレゴリオ『純粋理性批判殺人事件』
太田光・中沢新一『憲法九条を世界遺産に』
『ダ・ヴィンチ』9月号
六月に読んだものから。
五月に読んだものから。
四月に読んだものから。
三月下半期に読んだものから。
三月上半期に読んだものから。
一月にに読んだものから。
畠中恵『ぬしさまへ』
有栖川有栖『マジックミラー』
『日本の童話名作選―明治・大正篇』
六月に読んだものから。
十一月に読んだものから。
『飛行艇時代【増補改訂版】』
十月下半期に読んだものから。
十月上半期に読んだものから。
with Ajax Amazon
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