テッド・チャン『あなたの人生の物語』
どこかで「理解」評を読んでずっと気になっていた作家。
けれども表題作が、タイトルから既に完璧すぎて素晴らしすぎて、もうなんとも言えない。虚構の、言葉の力を存分にふるい、そして虚構と言葉の力と可能性そのものが物語の主題という、これだけ衝撃をもたらしてくれた作品は久々だ。天才といって差し支えないと思う。この作品は映画化されるそうだけど、この作品を表現するのは小説でなければ難しいのではなかろうか。
「理解」は逆に、言葉で表現するのが難しい世界だった気がする。
他の短編もそれぞれ考えさせられる。「72文字」など難解だけれど魅力的。
寡作な作家さんだそうだけれど、じっくり描いているのがわかるし、じっくり読みたい。