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[ 読書/小説その他 ]

薬丸岳『天使のナイフ』

 ミステリやサスペンスはある程度の分量を読まないと満足感がないのだけれど、しかしタネとタネあかしこそが評価の重要な要素になるので、末尾に行くまで面白いか・面白くないかがわからないのがツラいのです。なので評価の高い作品とかにまとをしぼってよみたいので、これは乱歩賞とアマゾンのレビューを信じて読んでみた。

 四年前に妻を殺した三人の犯人たちは、少年ということで罪に問われずじまいでして、審理の様子とかも知らされずに辛い思いをしましたが、今は妻の忘れ形見の娘をまもってコーヒー店のオーナーに。そんなある日、犯人の少年のひとりがコーヒー店のちかくで殺され、アリバイがないということで疑われる主人公。

 キャラ造詣があまりにわかりやすいので、犯人とかはすぐにわかってしまう。いいひととわるいひとがものすごいあからさまに分けられてるので、すごいがんばってるいいこ、とかがエクリチュールに贔屓をされてる感じでちょっと鼻につくこともある。
 そんなわけなので、お話としては背後関係の謎解きの方がメインなのかなと。しかし謎をとくときに、どの情報からひらめいたのかがわかりづらく、なので読者的にはケムにまかれたようでややカタルシスがたりない。

 あと、ミステリ以外の物語の部分では少年法の功罪が大きなテーマになってるのだけれど、作者のスタンスがいまいちわからんかった。まあ、少年法のそれこそ功罪を問いかけているのであって、作者の主張が述べられているというわけではないのだろうけれど、でもこのように少年法の功罪の影響をまともにかぶって、主人公がどう感じているのか考えているのか、というとこがあんまし深く書かれていないんだよね。妻の過去を知ったあとで、三人の少年についてどう思い返したとかの主人公の少年法にたいする気持ちがあんまし書かれてなかった気がする。

 そんなかんじで、まあそこそこ面白かったけど、キャラ贔屓っぽいのがあたしの趣味にあわないのと、全般になにかものたりない感じがのこった。

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コメント

 この小説、舞台が大宮ということで、大宮アルディージャスレで話題になったことがあります。悲惨そうな話だったし、当時は単行本だったから買わなかったけれど、読んでみようかなあ。

>やくもさん
そうそう、大宮やその他さいたま近辺の地理がたくさん出てきて面白かったです(笑
話は確かに悲惨で、なんというか、結構えげつなく悲惨な感じです。

 あちゃー、そうですか。じゃあやっぱりやめておこうかな。

>やくもさん
うーん、結構人によって感じ方が違うかもしれないので、なんとも言えませんが…

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