伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』
最近BLと仕事用のテクストしか読んでなくって、その他の本のつんどくがものすごいたまってしまった…。
短編集。表題作が映画化されたので宣伝を見て、売れないバンドの曲が時間を超えて奇蹟を起こす、というロマンチックな設定に惹かれて読んでみた。
表題作は…そのまんまじゃないか!としか言えなかった。ギミックもありきたりだし、描写もまんまだし。これ長編映画にしたらすごい冗長であっけない話になんないか。売れないバンドはちょっとピロウズを連想してしまったが(笑。
そして他の作品も、軒並み凡作だなあという印象だった。この作家はギミックにたよって書くタイプなのかと思うんだけど、それがどれもありきたりというか凡庸な感じだった。文章はうまくないし、キャラクターもナルシスティックな印象もあって、あまり魅力を感じない。
ただ、最後の「ポテチ」はなぜか好みだった。これもベタで、他の三作品とどう違うのかと聞かれてもうまく答えられないんだけど。野球選手と変わり者の空き巣の話。空き巣の不思議ちゃんキャラが鼻につかず、ギミックも平凡ではあるけれど、結末の熱さが好みだったんだと思う。
なんだろうね、やっぱり全体的にはふつうだなあという印象なので、面白いかどうかというより、好みかどうかの問題なのかな、と思った。