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[ 読書/小説その他 ]

清水義範『迷宮』

 ここのところミステリが読みたくて、積んでたものから読んだ。ねたばれあり。
 記憶喪失の男が、治療としてある女性の殺害事件にかんするさまざまな文章を読まされていく、というスタイルのお話。

 清水義範は以前結構読んだし、たぶん自分は結構好意的な方の読者だったんではないかと思うんだけど、正直ちょっとなあ…という感じ。
 いろいろな文章を重ねていくのはそこそこよくある手段ながらまあ面白いけど、同じことを同じように繰り返す部分が多くて飽きる。本来は同じことを違う方法で繰り返すための視点変化設定なんじゃないのかな。同じことを同じように繰り返してても筒井のダンシングヴァニティは面白かったけど…。というか、文章と視点が変わらなくても、同じ文章の中でさえまとめのように見えて実はただの繰り返し、みたいのが多くて余計に冗長さを増してた感じ。
 あと、オチがやっぱり今ひとつ。オチも記憶喪失の男の正体も普通すぎて、どんでん返しもなくて、かなり拍子抜け。最後の方で事件の意外な真相が見えてきて、という部分もあんまりおおっと思えるようなネタでもなく、また描写も淡々としていて盛り上がりに欠けた。
 オチとかがこうだし、記憶喪失の理由とか事件の結末も結局わからないので、本当は上述したような展開や描写、語り方の部分でもっと盛り上がりや面白みを出さなければならなかったのでは、と思うんだけど…。

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