三崎亜記『となり町戦争』
作者は男性だったのか、と驚いた(笑。自分ばかだなあ。
内容はつまらない。つまらなかった。
町の振興策としての戦争にかかわることになった男が、戦争がどこで行われているのか一見全然わからないお、と思い続けるお話。
見えない戦争というモチーフは面白いと言えば面白いし、それを一人称で書こうとすれば何にもわからないお、状態になってしまうのもむべなるかななのだけれど、やっぱり煙に撒かれた感じがする。見えない戦争が最後まで見えませんでした、ってだけに終わっている印象で、小説の(広い意味での)面白さよりも見えない戦争という現象を指摘することを追究したいのではないか、と思えてしまう。わざわざ小説という形をとる意味はあるのだろうか。たんなるプロパガンダ以上の意味は。
そしてあまりに言葉や表現が直截的で、どうもこの文体が好きになれない。感情や動静をすべて書いてしまっているように感じる。直截的で、よく言えば素直で、悪く言えば鈍感、な印象。
あと、わたしは「町」という行政単位になじみがないので、この言葉にすごく違和感があった。単純に「市」くらいの感じで考えていいのかなあ。その違和感が余計にこの物語をあざとく感じる要因になった気もする。
ところで香西さんはある意味萌えキャラだと思った。いわゆる〈綾波レイ系統〉の女性という印象。小説で書かれると、漫画やアニメで見る以上に空疎なキャラだなあと思った。
香西さんといえばところで、これを読む前には、主人公が戦争中のとなり町の女性と恋に落ちる話だと思っていたのでした。