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2007年07月01日

★2007上半期・BL漫画ベスト10

 マヨイガ恒例のBLコミックベスト10です。再版された作品などもいれてます。次点は神葉理世『美男の殿堂 DX』やまねあやの『クリムゾン・スペル』2あたりかなあ。BL小説も随分読むようになったので、自分の中での満足度の及第点があがっちゃったかなあ、という気もします。

「とにかく! 忘れないでね
 今日は今日でなくても別にいいんだから」
 今日は朝から たくさんの雪――


 1. 円陣闇丸『天国へ行けばいい』

 今期でというか、BLコミック全体の中でもダントツにわたし好みな一作。円陣闇丸で、時間ものSFで、相手はノンケと、萌えツボというか燃えツボにどストライクなんです(笑
 騎士の人形?
 まるで…黒く染まった太陽の紋章だ…
 忌まわしい…


 2. 小笠原宇紀『BLACK SUN奴隷王』

 諸君、わたしは小笠原宇紀が好きだ、と少佐ってしまいたくなった一作(笑。設定も展開もCPもとってもベタで、にもかかわらずこんなにも個性的…やっぱいいわぁ~(笑
 こんな俺を好きでいてくれるなら 飯島
 俺はもう別の人間に生まれ変わりたいなんて思わない


 3. 山田ユギ『誰にも愛されない』

 再販だし、あと脇CPがイマイチなのでシリーズとしては今一歩かもと思って。けれどこれまたチェコ、コミュニケーション不全、相手はノンケ!と燃える設定だし、山田ユギの巧さが凝縮された一作だと思う。
「…麻見への当てつけなどではない
 お前に側にいて欲しいと言ったのは本心からだよ」


 4. やまねあやの『ファインダーの虜囚』

 今回はほぼ飛龍×秋仁なので、とってもよかった(笑…きっとファインダーファンとしては邪道なんだろうなあ…(多くの人は麻見×秋仁か麻見×飛龍なんだろうと推測。
 「トモちゃん」の出現で
 平和だった我が高校は大奥になり
 そして ハレンチ学園になってしまった


 5. 扇ゆずは『ダーリング』

 絵が荒れていようとも…!それでもやっぱりわたしは扇ゆずは好きだし、どベタなBLコメディという内容・展開自体は、ちゃんと面白かった…と、思う。
「情けねんだけど
 お前と比べられたら勝てる気がしねえの
 だから 波根ちゃんだけはとんないでぇ…」


 6. 阿仁谷ユイジ『喜劇は恋で進化する』

 ふつうにちょびっとオサレ系な現代もの、なのだけれど、勿論構成も画力も及第点以上だし、なによりキモカワいい攻め…!めずらしいし、ちゃんと萌える。偉い。
 空から
 翼の生えた天人に殺される
 丁子も殺されちまう


 7. 鳥人ヒロミ『彩おとこ』3

 くそう。少尉がんばれ…!ということで、やきもきさせられたので、このあたりで。でも、赤鬼黒鬼の過去編はよかったよ!これ公式CPだったらいいのに!(笑
「もう一回っ!」
「何度でも同じだって! ここで負けたら
 俺の数年の水泳部暮らしは何だったになるだろ」


 8. 高井戸あけみ『恋愛の神様に言え』

 このまったりムードと、ちょっと隙のあるクールビューティ受けが高井戸あけみのいいところ、だと思う(笑。久々のヒットという感じ。
「なによっ! アタシが受けになったら
 アンタなんか用なしなんだからっ!!」

(注※そうゆうお話ではありません)

 9. 松崎司『IMITATION GOLD』

 ビスポーク、という仕立て屋のワクから外れてきてしまったけれど、ヤクザものとしては面白い。相変わらずマッチョだらけだし!(笑
 友情も 星みたいに等級があれば
 分かりやすいぶん
 悩まないで済むのに…


 10. 明治カナ子『出来の悪い子』

 誰も彼もがもやもやした感じで前に進まないので、まだ評価はしづらいけれど。でもやはり巧いというか好き。

2007年07月02日

松崎司『IMITATION GOLD』

 ビスポークが三冊目とはびっくりだ。
 しかし仕立て屋はほとんど出てこず、ヤクザ総受けというか…ずっと反目しあってた同僚×ヤクザが一番好きだ。仕立て屋などの他の攻めがインテリ派だからか、なんかちょっとダメっぽい頭より身体優先ぽい同僚がいい。
 警察もののパラレルのお遊びも面白かった。

鳥人ヒロミ『彩おとこ』3

 というわけで、相変わらず次男×長男の絆と愛情がいかに深いか…ということでした。
 …もきー。
 これでこれから赤鬼×長男になってくのか?ほんとに?
 どうもこう次男とのエピソードが濃くなってしまうと、赤鬼とのこれまでのあれこれがとっても薄味に思えてきてしまって…。一体赤鬼と長男はこれからどんな手順をふんだら、次男と以上の特別な関係になれるというのか。うーん。
 黒鬼×次男のほうは、そのままいっちゃってください、って感じなのだけれど。
 あと、黒鬼赤鬼の話はよかった(笑。この二人本編でももっとからんでほしいというか、もっと黒→赤的だったらいいのになあ。
 …と、ここまで書いて気付いたが、わたしはどうも赤鬼少尉寄りで読んでるんだな。

 しかし長男次男の過去話の中で教会というモチーフが出てきたので、少尉がクリスチャンであるということが結構活きてくるのかな、とも思った。
 あとくちなしの一族は、手足が長い…ということで、柳田「山人」のイメージもあるのかなあ、と思った。

2007年07月03日

夜光花『不確かな抱擁』

 七歳までの記憶が無く、不幸体質から接触嫌悪症ぎみな受け。故郷の島での母の死の真相をさぐろうと島に赴くも、また記憶喪失に。その上神子(みこ)と呼ばれ、夜中に蛇の気配を感じるなどわけのわからん状況で、そっけないけど親切な攻めに出会って云々。

 いろいろとベタだけれど、サスペンスとしてもそこそこ面白かった。
 ふつうっぽい受けも、ふつうにかっこよい若者(笑)でちょっと不器用そうな攻めも、まあ悪くない感じ。
 受けが海から上がって息が苦しいのに口塞がれて死にそうになるとことか、…触手?、とか(笑、よい。

椎崎夕『きみの背中を見ている』

 これも結構前に(四月ごろか)読んでいたのをすっかり忘れていたのでした。

 惚れてたノンケの結婚式のあとでゆきずりの男と寝てしまった受け、はノンケの弟と同居することになりました。

 まあ弟の正体は無論それなわけですが、妙によくできた働き者で親切な弟は出来すぎだなあと思った。

 あと、受けが二次会に行く途中でコンタクトを片方なくして服もぐしゃぐしゃになって適当にスーツかってなぜか髪もそめられたりなんかして、別人みたいな外見になっていた、とかいうエピソードはわたしの地雷であった。別人みたいになってた、って展開にはなんだかとっても無理を感じるのだ。

 なんだかこの作家は、語り口が妙に丁寧というか、エピソードもいっこいっこ丁寧ーに積み上げていく感じだなあと思った。饒舌とも過剰とも違う、丁寧に積んでいく、という印象。それがいいのかどうかはまだわからないけれど。あ、そういう印象は、二段組だったせいもあるのかも。

 あとあさとえいりの絵はやはりあまり好きではない気がしてきた。

2007年07月05日

★2007上半期・BL小説ベスト10

 BL小説は新刊数が多く、まだ知らない作家も多いので、少し迷いましたが、それでも今期はコミックよりたくさん読んだし(笑、ランキングをつくってみました。こっちも新刊のみです。
 小説の場合、基準を決めるのも難しいですね。漫画は総合的な印象、でランクつくってますが、なんだかそれができない感じ。だからエクリチュールでとか、物語そのものでとか、そういう基準で順位を決めたら、たぶん全然違う順位になるんじゃないかと思いますが、このランキングの基準は主に萌えです。なぜ『萌え』なのか?そこの所なのだ問題は。
 BLの小説なのだから文章が壊滅しててもへこたれないタフさが必要だ。時には時制が前後する可能性もあるし、誤字脱字もあるかもしれない。純文学にはちょっとキツイ文章だ。
 でもそのギャップが逆に考えてみるとおもしろいかもと思った。文章がメチャクチャでも、大きな萌えのある小説。基準は萌えしかないと思った。

 1. 橘かおる『砂漠の鷹と暗殺者』

 イブン・サーディは荒い息をつきながら、彼をひっくり返し正面から睨みつけた。ついさっきまで艶を孕んで潤んでいた黒瞳が、冷え冷えとした光を湛えてこちらを見あげてくる。そして、/「殺せ」/とひと言だけ発すると、顔を背けて目を閉じた。

 これまでさんざんな目にあってきたかわいそう受けに、絶倫(笑)かつ懐の広さはタクラマカン砂漠な王子様、王道ベタ展開、もうパーフェクトです。ファービラスです。アゥイエー(注※マヨイガにおける最大級の賛辞)です。
 2. 英田サキ『いつわりの薔薇に抱かれ』

 「お前のサービスには心がこもっていない。どれだけ丁寧で完璧だろうが、相手を思いやっていないサービスなら必要ない。自分を見下した者から尽くされても、ただ不快になるだけだ」/高峰は言葉を失った。あまりにも的を射た指摘に、言い返す言葉などあるはずがなかった。

 互いの正体を隠して惹かれあってしまうという王道をテクニカルに、大人なキャラクターをきっちり書いてくれてて、大変結構なお手前でした(笑
 3. 夜光花『凍る月 漆黒の情人』

 慌てて涙を拭う光陽を、梁井がいきなり抱きしめてきた。「クソ、どうすれば泣き止む? 俺が悪かったから泣くな、そんなにショックを受けるとは思わなかったんだ。お前が泣くと、俺にとっては貴重な食糧がゴミに捨てられていくようでたまらない」

 以前も書いたが、大変に文章がメチャクチャである…だが!それでもこれだけ萌えた、ということを個人的には大きく評価したい。これもある種のギャップ萌えか(笑
 4. 木原音瀬『牛泥棒』

 「そういえば、あれから里より便りはあったか」/徳馬はにこりと微笑んだ。/「トミ江の具合はいいようか」/ゆっくりと頷く。/「それなら結構」

 考えてみると明治ものに萌えるのは珍しいかも。これまでの時代物では、結構時代考証とかで醒めてしまったり、逆に書き込みがあざとくって醒めたりってことが多かった気がするので。しかしそういえば、妖怪もので萌えるのも、かんしゃく持ち攻めに萌えるのも、貞淑な妻受けに萌えるのも、めずらしいかも?
 5. 木原音瀬『秘密』

 細かな手振りを交えて、やや興奮気味に男は喋った。変な喋り方だけど、好意は透けて見える。啓太はこの男とセックスできるかどうか、自分に問いかけた。今までの中で一番まし。言うなれば『可』だ。

 また人格を疑われそうな予感がするのだが 、ディスレクシアの攻めがよかった。この作者的にはハピーエンドもよかった(笑
 6. 崎谷はるひ『ANSWER』

 秦野が気怠い声のまま泊まっていかないのかと声をかければ、真芝からは呆れたような一瞥が投げて寄越される。/「時々あんたの神経を疑うよ」/「そうか?遅いからと思っただけだけど」

 これまた文章も設定も展開も荒削りで、ちょっといろいろ古い印象もあるけれど、攻め受けともにキャラがたってて展開もベタでよかった。
 7. 佐藤ラカン『長靴をはいた黒猫』

 そのひとの愛する猫はまじりけのない黒く艶やかな身体をくねらせながら円卓の周りでじつに見事なダンスを披露してみせる。だが、円卓を囲む客人は、猫がダンスを踊っていることに気付かない。黒猫は決してバタバタと足音を立てないからだ。

 独特なエクリチュールでつづられていく攻め一人称と、そこで「黒猫」と呼ばれる受けが、不思議な雰囲気をつくっていてよかった。
 8. 九葉暦『balance due ~薄幸体質の男~』

 誰とも、会うなよ。/それと、女を部屋に連れ込んだりしたら俺は絶対に気づくからな。/そのときどんな惨劇が起こるか、自分にも想像がつかないんだからな。

 …これはあんまし萌えではないかも?雰囲気萌え?(笑
 9. 仔犬養ジン『裏切りの夜』

 言い換えるなら、彼は一番高い棚に飾られた最も豪華な景品、といった感じだった。銃口にコルク玉の代わりに羨望や軽侮の念、あるいはもっと単純な――睾丸にずっしり詰まった“やりたい”という切なる願望をこめて狙いをつけている男たちの、恰好の的。

 クライムものというワクの中で、攻めも受けもキャラが微妙にたってるのかたってないのかわからない…のだけれど、むしろクライムものBLそのものに萌え、という感じかもしれない(笑
 10. 魚谷しおり『優しい偽者』

 「伏見さんの伊沢部長代理へのお気持ちは、すごくよくわかるんです。男が……、その、男性の愛人になるなんて、生半可な愛情では出来ないと思います。それでも伊沢部長代理のために、別れてください」

 これはもういじっぱり受けにまっすぐなノンケ攻め、という王道ですな。


 引用部分はなるべく冒頭にちかいとこからとりました。
 次点は鳩村衣杏『ドアをノックするのは誰?』夜光花『七日間の囚人』榎田尤利『Stepbrother』『華の闇』あたりかな。
 ついでに、カバーイラストベスト3。汞りょう『うたかたの月』(いとう由貴)北畠あけ乃『balance due ~薄幸体質の男~』(九葉暦)稲荷屋房之介『水曜日の悪夢』(夜光花)ということで。

  

2007年07月07日

「やれやれだわ。」

 ここんとこ、忙しさとBL読書量が増えてそのことを書き付けるだけできゅうきゅうとしていたのとで、あんまりふつうの日記かかなかったなあ、と思いました。いろいろありましたが、なんとか…。いろいろあった、というのはほんとにいろいろ。抑圧とか、すれ違いとか、期待しすぎ、とか、ショタコンとか。うわあ。
 あと、やっぱ犀星いいよなあとかね。「切なき思ひぞ知る」とかいいよね。韻文では賢治と犀星かな、いまんとこ。
 そうそう、昨日は足を負傷して外科で爪を剥がれたりしました。麻酔が痛かった…!これからまた消毒です。

 閑話休題。
 以前から時々、人と(特にサ○○の人と)まったく話が通じない瞬間があるのだが、そうしたつうじなさを介してわたし自身が「死者の尊厳、権利、感情」というものを(宗教などとは全く無関係に)アプリオリに前提にしている、ということに気付かされたりした。
 別にそうした自分の認識のありようを自省したとか、そういうわけではない。ただ、それを当たり前のもの・他者と無前提に共有できるもの、と信じていたという事実や、そうした齟齬に気付いておいてよかった気がする。

 あーでもとりあえず休暇だ!夏大だ!本つくらなきゃ!(笑

橘かおる『舞踏会の夜に華は綻ぶ』

 平民の母をもつ華族の長男、後妻が来て弟が生まれると廃嫡され、ボロい離れで書生というか使用人のようにあつかわれてる受け。ある日ケガをしてた攻めをひろい、かくまって面倒をみてやるとなんだか親切に仕事を手伝ってくれたり食べ物を手に入れてきてくれたりします。戸籍のうつしを紛失した日、突如役所の命令で弟とどちらが嫡男にふさわしいか勝負をすることになってしまいますが、迎えに来た攻めにつれられて公家系の華族の別荘につれていかれ、そこん家の坊ちゃんと攻めによるマナーとかの猛特訓がはじまり云々。

 なんかなー。
 ものすごい書き流しましたね、って印象だった。
 明治という時代設定も枷になってしまってる印象。後書きよむと、かなり資料とくびっぴきで書いたとかかかれてたけど、資料を文章化してるだけで物語の一部としてしっくりくるとこまで来てない感じ。イラストもひどいなあ。書生風の受けのはずが、なんか芸能系というか能でも舞い出しそうなふんいきだし…。
 物語の展開も安易で面白みがないし、キャラも全然たってない。初めて優しくしてくれた相手にインプリンティングされたみたいに依存しちゃう受け、はともかく、攻めが全然魅力ない。最初は着流しに雑駁な口調だったのが、レッスンが始まると受け独占したいただの上流階級男子っぽくなっちゃうし、最後には妙にお堅い特殊要人様、という感じで、いろんな顔があるのは別にいいけど、どれもうまくかみあわずにばらばらな印象。後書きには遠山の金さんをイメージ、とあったけど、だったらもっと庶民ぽい部分を長引かせないと最後のカタルシスがないよね。
 そんな感じで、設定も物語もキャラも描写も、どの部分においても練りこみが足りない感じで、作者の出版履歴をかんがみても、ああ量産してるんだなあ、という感想しか出てこなかった。

綺月陣『龍と竜』『龍と竜~白露』

 カフェで働いてたらヤクザが常連になりつつ、おさない異父弟をひとりで育てるためにホストの仕事もはじめることに。そこでナンバーツーとかにいじめられるわけだけど、なんだかヤクザを家に上げちゃってから、人見知りの弟がヤクザになついてしまい、そんなこんなでヤクザに助けられつつ、持ち前の天然さで頑張っています。

 …果たしてホスト話をこんなに緻密に書き込む必要はあったのか。というかむしろ、カフェバイトの設定が無駄なのか?焦点というか、筋がボケてるかんじ。

 あと、ナンバーワンホストはあまりにベタなことになってしまったのだが、このキャラの処置にかんする攻めの行動は…最早、唖然。ドン引き。ありえない。というか、BLとして破格(ねんのために書いておくと、これらの言葉は決して褒め言葉ではありません。
 ていうか、問題はその後もなんだよね。こんな破格展開のあと、あとというか直後に攻めと受けが云々云々。つーかそれが二人のはじめて、で、更に言えば受けはまったくのはじめて、なわけで…痛い!あんなことの直後に!痛いよ!なんだか悲しくさえあるよ!せ、せめて風呂に…!とか、めちゃくちゃ現実的なことを考えてしまったよ!

 しかし読後感というか、全体の印象はそんなに悪いわけでもない…ような気がする。うーん、不思議。
 そんなわけで、二作目も読みました。

 ん…?お前はそれでいいのか?ヤクザに口でまるめこまれているんじゃあないか?身体でごまかされていないか?…大丈夫か???

 と、前作以上においおい、と思ってしまった。
 なんだろう、車でのこととか、あともう色々。たびたび弟に目撃されてんのもどうなんだ。もうホストはどうでもよくなってたのもどうなってんだ。攻めのダメっぷりはいい(もうあきらめた)として、受けの感情にまかせての行動ぶりとか、言葉のたりなさつーか議論のできなさとか、もうほんとこの人たち大丈夫なの??と、お話の中のことながら心配になってしまう。数年後には離婚してそう、って印象。

 なんだけれど、それでも妙に攻めとか魅力的だった気もするし、全体としてはそんなに印象が悪い…わけでは、ない感じ。うーん、どうなっているんだ(笑
 あと、義兄弟とお風呂の話とかも実はキライではない。

2007年07月08日

真船るのあ『御曹司は恋に啼く』

 うーん。

 華族のお坊ちゃまは昔から仕えてくれてる執事の息子が大好き。ワガママいったりせまったりしてるうちに、爵位をうけつがされそうになってしまう。父と英国人女性の間に生まれた兄のためと、結婚したくないがために家出したりして、いろいろ勘違いした執事の息子に襲われて喜ぶものの、今度は攻めが出奔。その後のん気な浪費家であった両親のせいで莫大な借金をかかえた坊ちゃんのもとに、高利貸しになった攻めが現れて助けてくれる。

 なんだか攻めに襲われるまでがもたもたしてた印象というか、全体的に大事なとこはさらりと、どうでもいいとこも普通にかかれてた印象で、どうも印象に残った場面がない。
 あと、攻めも坊ちゃんのこと好きだったなんてわかんなかったというか、たっとく美しい坊ちゃんをずっと大切にしてきた、というのは感情としてテンプレでしかない気がするし、だからこそもっと書き込んでくれなければ、キャラがたたない気がする。

 前作に兄と兄にひろわれた少年とのお話があるらしい…ことには読んでる途中でうすうす気付いていたが、この二人は出張りすぎ…。

 なんか、全体的にそう悪くも無いけれど、よいところもみつからないというか。

木下けい子『キスブルーII』

 例のノンケたらしにほれてしまいました大学生のつづき。

 なんだかなあ…、あいまいにすぎるというか。ふんいき漫画というか。それがこの作者の持ち味でもある気もするけれど、なんかよくわかんなかった。
 気持ちの描写がなんだかふわふわあいまいなままで、そんな状態で最後に進路のこととか持ち出されてもなんだか唐突な感じ。

 番外編ぽいカフェのマスターとノンケ既婚子持ちの友人の話は面白かった。妻の出産里帰りでごはんたかりにくる友人が最低で(笑。マスター、本編ではちょっと悪い人っぽかったのにね。

2007年07月09日

鳩村衣杏『王様は美男がお好き』

 あらすじが微妙な気がしたけど、作家に興味をもったので読んでみた。

 プラモが好きで、有名商社をやめてプラモで有名な玩具会社に転職して営業になった受け。東大出のデザイナーでプラモファンにキングとあだなされるスゴ腕、しかしコミュニケーションに問題がある攻めにアウトラインが完璧だと気に入られてしまってムカつく。

 なんというか、キャラ勝ちって感じ。
 卵による告白シーンとか、変な攻めとガッツのある受けがよく活きてる。
 後半の攻め視点もよかった。

 何冊か読んでみて、どうもこの作家はあんまり文章がうまくない気がするんだが、会話が妙にいいというか、全部いいわけではなくって、時々というかしばしばとてもよい、感じ。で、視点や語りの関係でそれが地の文にも流れてきたりすると、おぉっと思わされる文が出てきたりする、感じ。一人称語りが向いているかも。

2007年07月10日

鳩村衣杏『エレベーターで君のとこまで。』

 森見登美彦は直木賞の範疇なのか。

 タイトルが非常にわたし好みで気になってはいたのだが、最初に読んだこの作家の作品(『愛と仁義に生きるのさ』)がいまいちだったので、読んでなかったのだけれど、『ドアをノックするのは誰?』とか『王様は美男がお好き』がそこそこ面白かったので、読んでみた。

 漫画家×IT企業勤務。
 高校時代の同級生で、バレー部の同期。ちっちゃいことがコンプだった受けは、背が高く男らしくカコイイ攻めと親しくしてたが卒業間際にチビよばわりされてるのをこっそり聞いてしまい決別。IT企業がオフィス移転した際、上階に仕事部屋をかまえてた攻めと再会、家も近いので交流がびみょうに復活しつつも、攻めは漫画家であることや受けをモデルにした女子バレー漫画が大ヒットしてしまったこと、受けを好きなことなどなどを隠しているので行きつ戻りつ。

 漫画家ものは好きだし、全体的にそんなにわるくもない出来何だけど、なんだか微妙。
 ちょっと筋がごたごたしすぎて、いろんなひとの思惑とか、攻めと受けの間で今何が問題になってんのか、何が解決したのか、とかが、ごちゃごちゃしちゃっててわかりづらかった印象。だから二人が気持ちを確認しあうのが唐突な気がした。

 むしろ、来るのかなーと思ってたゆるゆるなIT企業社長×お金大好きな漫画家のマネージャの話のほうが面白かった。ツンデレだが食べ物を粗末にしない受けがかわいい(笑

2007年07月11日

椎崎夕『弟の親友』

 事故の後遺症が足に残ったものの、車椅子などのコンサルティングとかをする会社の営業になった受け。ある日先輩の代打で行った病院で、弟の高校時代のバスケ部の親友=攻めに再開。攻めは、高校時代に引越しをする際に弟に告白し、それ以来音信普通になってたのだった。弟は攻めの同僚と結婚予定だが、せめて攻めと弟を友人としてとりもってやりたいと思ってたら云々。

 まあタイトルがネタバレな気もしますが。
 全体としては、なんかやっぱりとつとつと語ってくという印象。地味というか。
 高校時代に攻めになじられたこととか、性格わるい営業の先輩とか、ベタだけどまあいいかと。
 弟の結婚式以降はちょっと手軽な感じもあったかな。

椎崎夕『親友と恋人と』

 こ、これは遺憾。

 うーん、とつとつとした語り口の作者だ、とは思っていたものの、頼まれると断れない八方美人系・しかし自分は自分なりに基準があると思ってる、という受けが、八方美人さゆえに周囲とごたついたりする過程をこの文体で書かれてしまうと、すごくイライラする。

 というわけで、天文サークル、冷たい印象の同期×八方美人のちょっとにぶい受け。

 しかし八方美人受けもイライラするにはするんだが、その八方美人ぶりを非難する攻めとか妹とかの周囲も、なんだそれはって感じ。そこまで非難する必要はあるんかいな。自分らの恋愛のうまくいかなさで必要以上に受けにきつく言ってはいないか。確かにこの受けはイライラするが、この程度のレベルの欠点なんて誰にでもあるでしょう、って思ってしまう。受けだって完璧超人じゃないんだぞ、と(笑

 そんなわけで、筋もそんなに面白みもなく淡々としてるし、そもそも天文サークルの合宿くらいしかメインイベントがないので、すっごい地味で、その上上記のような人間関係へのイライラがたまってあんまり面白く読めなかった。
 ただ、攻めの受けの告白に対しての反応には、一部面白いとこもあった。

医龍/絵板ログその2

 ログ移管だ!
 ところで伊集院は大丈夫なのか!?

2007/1/11 (Thurs.) 21:41:01 妄想。

 本誌では次号から霧島による伊集院懐柔編が開始します。

 伊集院を育てる決意をした霧島は、伊集院の尊敬と信頼を勝ち得るために、仕事以外の場でも頑張っちゃいます。昼休みにひとり淋しくパンをかじる伊集院に、らしくもなく飲み物をおごってみたりするのです。
 でも多分霧島なので、お茶とジュースを準備して「どっちがいい?」とかそうゆうことはしないのです。自分の飲みたいものとおんなじのを買って、「お茶でよかったかい?」とかゆうタイプです。伊集院は先輩医師に文句など言えるわけもありません。ビクビクしながら「ど、どうも」とか半端なお礼を言って、ありがた迷惑、じゃなかった、ありがたくいただくのです。

 (追記)あわわ、霧島は伊集院に丁寧語だったんだね…!なんて重大な萌えポイントを見過ごしていたのか…!あたしのバカバカ!!

2007/1/20 (Sat.) 17:49:03 デート中。

 しかしあれですね、霧島があまりにスパリと木原を切っていて、木原がかわいそうになると同時に、どうも今後は木原がキイになりそうだなあと思いました。

 嫉妬にかられた(笑)木原が霧伊のジャマをするというのもありそうですが、この件はもうちょっと根源的なところでネックになりそう。霧島が自分のために木原を切り捨てたことを知ったら、伊集院はどんな反応をするんでしょう?

 いずれにしても、朝田曰く「真っ白な医者」である伊集院の手をひくには、霧島はやはり汚れすぎてしまったんだよなあ、という気がします。木原切りのこともそうだけれど、過去の医療ミスのこととかも、伊集院が知ったらどう判断するのでしょうか。伊集院はわりに俗っぽい日和見な部分と、正しい道を模索したい部分とを持ち合わせていて、それが彼の面白いところなんだけれど、そんな彼がこれから霧島とどう対峙するのか、目が離せません。

 しかしどうもハピーエンドは難しそうなCPですな…伊集院は結局朝田のところに戻りそうな…霧島がんばれ!!(医龍を読み始めたときには、こんなに霧島ファンになるとは思いもよらなかったなあ、自分…笑。

 (追記)世間は、ていうかふつうは霧朝朝霧なんだな、と思った…。霧伊、いいのになあ…(笑

2007年07月12日

「変えられるのは、未来だけなんだ」

 Wakeup!ツアーのチケットがかなり入手困難を極めていたので、いろいろ申し込んだりしたら三回分のチケットを手にしてしまいました。うち一回は地方なんだけど。

 ピロウズのアルバムでは曲順の傾向がある程度決まってる感がある。
 たとえば一曲目は英詩曲で、バブルタウン・サッド2キディ・レインブレイン・デッドストック・ザビエルという系譜がある。ラストの英詩曲はアドヴァイス・カルヴェロ・ルーキージェット・ガゼルシティと、これは意外に少なかったかも。あと、たとえばラス2あたりにはバラード系かそれに準ずる雰囲気の曲で、ロストマン・ビューティフルモーニング・確かめに行こう・サンキュー・傷跡の囁き・グッドリ・さよならユニバースって系譜がある。気がする(笑
 だけど、最近気になってるのは二曲目と三曲目の傾向で、ペナルティーのロンサム→フリービーとか、マイフットのシナーズ→レジスターとか、ウェイクアップのケンタロウ→プロポーズとか。いや、単にそこらあたりにあたしの好きな曲が集中してるってだけの話なんですが(笑。サンキューのビスケットハンマー→バビロンは近いようで違うかな。なんていうか、もっとコンパクトで閉じてるイメージなんだよね。メイン曲ではないというか(バビロンは力強すぎるのだ。

 というわけで、ケンタロウがすごく好きです。正式なタイトルが覚えられないけど(ヤングスターというらしいぞ。
 「Set you free、何処に行こう。起死回生のプレリュード」いいなあ~、今までのピロウズになかった感じ。大好き。特に歌詞は、「Set you free」とか、なんかさわおらしくないというか、「Set me free」とか邦楽でよく使われる言葉(当社比)だからかなあ。やっぱナイアガラトライアングルだよ(笑、ただのイメージですが。でも「Boy meets rock」とかさわおらしい気もするよねえ。
 いずれにしても、そのらしくなさとらしさの間がいいです。だからなのか、ボーイズビーロックスミスも好きになってきたよ!(笑

 プロポーズもいいよね。なんか日記を確認したらこれ去年の春からライブでやってんのね。もう定番曲みたいな気になってしまう。
 プロポーズは歌詞がいつもどおりのムチャクチャでいい。「おでこにファースト・タトゥー」とかは、肉の字のことだとしか思えない(笑。ポパイにキン肉マンなのか…ほんとに?(笑
 最後の「キミにプロポーズを」のところ、「キミに」を一音ずつ切ってるのに違和感があったのだけれど、つまりここがライブバージョンと違うところだったのか、とやっと気づいた。ライブバージョンの「キミに」をつなげて歌うのはライブっぽくていいし、アルバムバージョンはエロいし、どっちもカッコイイ(笑。

 というわけで、来週はライブで、その後はレディバードガールがシングルで出るらしいです。

2007年07月13日

松崎司『三千世界の烏を殺し』

 トレーナ×水泳選手とか、モンモンしょった本職×ラグビー部とか、が印象に残ってるが…。

 やはりBLというよりはゲイコミだよなあ、と思いつつ読んでるのだが、いや、なんか、やっぱりお話はあんま面白くないかも…?いまいちのめりこめないのは、BLじゃないから、というよりは、単にお話がいまいちなだけかも、と思った。

天野瑰『Monkey Business』

 今までこの作家をきちんと認識したことがなかった気がする。アンソロで見て、あまりに絵が好みだったのでコミックスを買ってみた。

 短編集、警官とヤクザにくどかれるサルベージ屋とか、警官×左翼とか(笑。
 お話がもうひとつというところかなあ。
 絵はコミックスで見ると、寿たらこにかなり似ていた。ギャグ顔とか書き文字のふんいきとかも似てる。でも、絵柄パクリとまでは言えないかな…うーん、どうだろう。どちらにせよ結構好きな絵だけど、ときどきデッサンがあやうい気もする。

弓月あや『天使の贖罪』

 イラストに惹かれてしまい、あらすじを見る限り内容はとってもダメそうだなあ、と思ったけれど、買ってしまった。

 父母のいない受けは、高校入学を機に、いままでずっと援助してくれた英国人のあしながおじさんのとこへひきとられることに。あしながおじさんは例によって超絶美形で、そのやさしさに惚れてくっついたとこで実は受けは仇の息子で復讐のためにひきとったのだよ!という裏が判明して云々。

 なんだか何かを思い出すなーと思ってたら、『侯爵の花嫁』の作者だったのね。これ感想書いてなかったね。たぶん去年くらいに読んだよ。なんかちょっと設定かぶってるね。

 どちらにも共通するのは身分違いプラス「すれ違い」という点なのだが、そのすれ違いっぷりの演出が稚拙というか、ええーなんで!?って感じ。『侯爵の』は勘違いもはなはだしいというかちゃんと会話しなよって感じで、この『天使の』はいきなり豹変する君子攻め(笑)についてけない。まだ裏があるんじゃないの、とかうたぐってしまう。個人的にはすれ違いものって、やっぱりどうすれ違いを修正すんのか、が評価のポイントなので、その意味ではちょっと微妙というかヘタだなあって思ってしまった。

 物語そのものもいまひとつだなあ。受けにつめたくするメイド頭も微妙にあんまり意味がないというか、ふたりの断絶をつくるためだけに存在してたみたいになっちゃってるし、受けが入れられるパブリックスクールも、面白そうなキャラとかもいつつあんまり機能してないし。っていうか、学校行ってるあいだ攻めと会えないってのが、そもそも物語をすすめる上ではある意味ちょっとまずい設定とも言える(まあ離れてるからこそ、な展開もあったんだけけどね。

2007年07月14日

水上蘭『檻の中の王子様』

 ショタっ子BLというかもはやポルノ。局部が北斗星というかもはやスカーレットニードルでも受けたんですか?ってくらい星だらけだったことが印象的でした。あとはネコミミとか液体とかみ○くらとか。
 こういう直球ポルノはBLではイレギュラーだがまあないわけではないし、アリだとも思うんだけど、流石にここまでくるんなら成人指定入れようよ、って思う。スカーレットニードルみたいな修正を入れる前にさ。

 内容は痛めの話(監禁奴隷化とかいじめられっこが複数にとか)が多かったけれど、つまんなくはなかった。
 絵もトレスか?と一瞬思ってしまったくらい(失礼)うまい構図(大抵そういう構図はイコールエロなのでトレスをうたがったのだが)とかあった。
 だがやはり内容的にも絵的にもこれは年齢制限してしかるべき一冊だと思ったよ。

楢崎ねねこ『偏愛プリンス』

 スタアにストーキングされる一般人…ということで、『いっしょに暮らそ。』併録の短編の、超純情乙女人気モデル×大学生に設定が似ているなあ、そっちは面白かったから今回も期待できるかなあ、と思ったのだが。
 
 まず超スター俳優×製薬会社研究員、のふたりが乙女モデルと大学生のそれぞれ兄、って設定はすごく意味がない気がする。手抜きっぽいというか。
 そして後書きによれば、例の乙女モデル×大学生っぽいの、という指定があって、今回のスタア×研究員を設定したらしいのだが、なんというか前回の劣化コピーという感じで、設定も物語もいまいち面白くない。
 攻めは受けがスキスキなのは兄弟ともいっしょだけど、まあストーキングする攻めも面白くなくはないけど、イケメンなのに乙女のモデルのほうがもっと面白かった。受けの方は、なんでいきなりそうなるんだって感じで感情の変化についてけない。

 いっそ、モデル×大学生のその後をそのまま書いちゃえばよかったのになあ…。

2007年07月15日

タクミユウ『キスと嫌いの反対』

 短編集。うーん、いまいちかも。

 表題作とか、わたし好みな(笑)最低攻めなのだけど、いまいち伝わりづらいというか。視点をその人物におく意味はあったのか。
 他の作品もあんまり面白いお話はないし、どの作品も大きな瑕疵はないのだが、いまいち印象に残らなかった。
 絵もあやうい感じ。

鳩村衣杏『松風の虜』

 おぉー。面白かった。

 茶道家の秘書×茶道家の次男。
 家を出てアメリカでアジア茶ショップではたらきつつジゴロってた受け。宗家=長男が病気になり、次男を迎えに来た攻め。長男は余命わずかで、攻めは受けを次の宗家にしようとし、いうこときかない次男を抱いたりなだめたりすかしたりなんだり。受けは小さい頃から好きだった攻めのあれこれに、攻めは秘書として動いてるだけだと思いつつやはり離れがたくなってしまい云々。

 攻めも受けもそれぞれ出生に大きな秘密をもちつつ、受けはそれを知らない、という設定がうまかった。展開も茶道を組み込みつつ(ちょっとところどころアレ?と思ったというか、ダイレクトすぎて風流じゃないなあ、と思ったとこもあるが、わたし自身が門外漢なので定かではない)普通に面白かった。お兄さんとか、弁護士とかもうまく活きてた。
 しかしなにより、攻め秘書がある復讐のために受けを宗家にしようとして、身体つかったりやさしくしたりしながら、裏ではやれやれと思っている…という最低ぶりが、わたしのツボでした(笑。もう最高です。攻め視点の語りよりも受け視点の語りのほうが圧倒的に多いのですが、ああー受け喜んでるよ!でもそれ多分計算だよ!とか思ってしまい、ちょっとせつなくしかしやはり面白い。

 とはいえ、この「最低攻めが面白い」というのは、当然ながら、物語末尾までのどこかの時点で、確実に受けに陥落するであろう先を予測しての「面白い」なわけです。
 で、その点、つまり受けにどう陥落し、どう(罪や愛を)告白すんのか、という点が、評価のわかれめでもあるわけですが。
 この攻め秘書にかんしては、いまいちその点がはっきりかかれてなかったと言うか、消化不良な感じもある。情が移ってしまった、という以上の感情の変化はかかれてないし、受けに過去をバラすシーンもなんだかものたりなかった。
 うーん、この作品に限らず、この作家の他の作品も思い出してみると、設定や前半部分が神がかって面白いんだけど、後半がイマイチ、ということが結構あるような気がする。

 あと、攻めが「お題」とかいうのが面白かった(笑

2007年07月17日

紺色ルナ『手つなぎごっこ』

 かわゆかった幼馴染が高校生になってみれば超イケメンになってしまいまして、双子の相方(双子その2)と付き合い始めてしまいました。残った双子の一人(双子その1)は昔は三人で手をつないでなかよしさんだったのにーとかなんだかもんもんするものをかかえて云々。

 ファーストコミックスだそうですが…なんだか…絵もお話もあんまりうまくなかった。一冊内で成長も見られない…。
 上述のイケメン×双子その1は、イケメンがなぜ双子その2とつきあったのか全然わからない。
 双子その2は役者とくっつくのだが、こちらは中二病っぽさがちょっとキツい。

セバスチャン・フィツェック『治療島』

 メディアでも人気の精神科医。原因不明の病気の娘をアレルギー専門医に見せようとしたら、待合室から突如消えてしまいました。
 様々な手段で懸命に捜すも娘は見付からず、四年後に精神科医は島にある別荘で自分の気持ちを見つめなおすためにインタビュー原稿にとりかかっていた。ハリケーンが近づく中、奇妙な女性が現れる。自分は統合失調症だと主張する彼女は、セラピーをもとめて精神科医にまとわりつく。

 アマゾンの紹介とかがなんかすごかったし、オビにもダンブラウンを超えた!とか書かれていまして、ちょっと却って及び腰で&多重人格オチだったら焚書、と思いながら読みました。で、まあ、確かに一日で読んでしまいましたが…。

 冒頭近くから、思わせぶりな謎を振りまきすぎで、読むのに疲れた。章立てがものすごい細かくて、二ページで改章とかも結構あるんだけど、その各章で思わせぶりな引きがあるような感じ(実際そこまでではないかもしれないがそんな印象。出てくる時点ではそれが何を表わしてるのか全然わかんないのに、いちいち謎を覚えておくのがしんどい。
 オチにかんしてはまあ予測の範囲内だけど、まあそうかな、というか(どんなんだ。一応単純なオチではないので、よかった。ただ、なんだかクライマックスの描写があんまりうまくなかったというか、もっとドラマチックにならなかったかなあ、とも思った。この話は、雰囲気は確かにヨーロッパなのだが、展開はハリウッド的なので、もっと派手な文体の方があってるのに、と思った。なんというか、ジェットコースターなストーリー、とかいううたい文句だったけど、結局一番驚いたのは精神科医と村長のノートパソコンがバイオだったってあたりが…(笑。やっぱりもうちょっと派手さがほしかったかと。

 あと、原題が知りたい。

2007年07月18日

古街キッカ『さくらにあいたら』

 中学の時にゲイを自覚した高校生。美形のモテ男の友人が好きなのだが、彼は女の子をとっかえひっかえ。

 絵もうまいし、物語はありきたりではあるものの、展開も無理ないし、脇キャラの女の子とかもほどよく書かれてて、何より雰囲気がきれいげで巧いなと思った。ちょっと望月花梨を思い出す作風かも。
 しかしどうも、いろんなことがはっきり書かれてなくて、特に感情面がわかりづらい。特に、モテ男少年はどういう思いでああいうことになったのか、というのが全然わからず消化不良…。
 その辺りちょっと不満ではあるものの、総合的に巧いのでまあいいか、という感じ。

鈴木ツタ『あかないとびら』

 これは面白かった…というかわたし好みだった。

 表題作は大学時代の先輩後輩、ノンケオレ様メガネのイケメン×うじうじ系ゲイ(ノンケオレ様メガネ、という時点でわたし好みではあるのですが…笑
 大学時代に受けが自分のことを好きだと知って遠ざけた攻めは、仕事が忙しくなって人手を捜して数年ぶりに受けに再会。妙にゲイセクハラを受けやすい受けのうじうじぶりにイライラしたりキツいこと言ったりなんだりでしかし結局ブチきれて無理矢理云々。
 と、一見ひどいノンケ攻め話、に見えつつ、第二話では受け視点で結構したたかで攻めになんだかだされても大喜びな内心が描かれており、このかみ合わない二人のそれでもお似合いな感じがすごくよかった。
 あと、受けは碇シンジ君に似ていた。

 高校時代の同窓生で現大学の友人、モテ男のイケメン×さえないオタク風青年も面白かった。
 高校時代に好きだった女の子が攻めを好きだったことからずっと意識してた受け、が根暗な雰囲気や顔がぜんぜんかわいくなくっていい。どうやら体型もずんぐり型っぽいみたいだし(笑、攻めが受けのことを大福っぽい感じで言っていたので。
 そして、これまた二話めの攻め視点が全然おもむきがかわって、好きなこのことをいじめちゃう最低攻めであったことが判明して、しかしそれでも上記のような受けが好きらしいので、とても面白い。

 もういっこの汚部屋の年上美人の話は、なんだかあんまりカタルシスがなくっていまひとつだった。

 やー、最低攻めとか、視点変更による物語の再構築とか、好きなんですよね。だから面白かったです。

2007年07月19日

Wake up! Tour@渋谷O-EAST その1

 行ってきたよー。疲れたよー!
 詳細はおって。

01. wake up! do do
02. Skinny Blues
03. I know you
04. インスタント・ミュージック
05. プロポーズ
06. 空中レジスター
07. シリアス・プラン
08. プライベート・キングダム
09. CARNIVAL
10. Midnight down
11. つよがり
12. like a lovesong(back to back)
13. MY FOOT
14. BOAT HOUSE
15. GIRL'S DON'T CRY
16. プレジャー・ソング
17. YOUNGSTER(kent Arrow)
18. ROCK'N'ROLL SINNERS
19. スケアクロウ
20. サードアイ
21. Century Creepers(Voice of the Proteus)
22. Sweet Baggy Days

EN
01. Calvero
02. Ladybird girl
03. WAITING AT THE BUS STOP

EN2
01. ハイブリッドレインボウ

2007年07月20日

Wake up! Tour@渋谷O-EAST その2

 いやしかし正直を言うと。

 あれ…、なんか、しっくりこなかった?

 って、感じ、だった。

 ドードーにはじまりバギーデイズに終わるのは順当だったけど、三曲目にアイノーユー、であれ?そうくるんだ、と思い、次のインスタントミュージックにあれ?そうなん?と思う。

 ハテナをふりまきつつ、しかしプロポーズに燃える!何度聞いてもいい。最後のキミに、プロポーズを、は何度見てもいい。
 プロポーズやったらレジスターはやんないよね?と思ったら直後にレジスターでわー!と大興奮。
 シリアスな曲って?と思ったらシリアスプランだった(笑
 プライベートキングダム、カーニバル、ミッドナイトダウンという繋がりは微妙にアリなようなナシなような、ベタすぎるような、しかしなんか馴染まないような。どれも好き曲なんだけど。
 つよがり…ロックスターの友人の曲、って、最初の「の」は所有格なのかただの修飾なのか(笑
 ライクアラブソングは結構ライブでやるのであー来たなーと思ったけど、マイフットをやったのはなんかびっくりした。いっこ前の希望の曲、だろうに、何故?と。

 ところでボートハウスはなんだかめちゃめちゃ好きになってしまった。やっぱりパトリシアに似ている。つまり、優しい愛の歌(今ウヘェと自分でも思ったがでもそうなのだ)であって、直前のMCで、こんなにたくさんの音楽が溢れる中で、ピロウズ「なんか」を聞いてる変わり者のキミたちに、とゆってたように、あまりに明らかなバスターズへのラブソングだったのだ。
 「いい加減、嫌われてもいい頃」だと思えるのは、なんでか。ボートハウスはあまりにあからさまにタイニーボートへのアンサーソングで、「舟を壊して家を建てた」、タイニーボート調を壊して、ストカメを建てた、それから「バカバカしい歌」ばっかりつくってきて、それでもそれを信じてくれるキミ=バスターズ、が居た。
 ストカメを「バカバカしい歌」だと断定してしまうと、それはとても面白い解釈になる気もするのだが、ここでは「バカバカしい歌」はたんにタイニーボートのような狙いのない歌、くらいの意味だろう。
 そんで「マトモになれたら家を壊して舟をつくろう」と言っても、マトモになる日というのは来ないもの(笑、か、もしくは舟はキミ=バスターズも信じてくれるものになるだろう、という確信のこと、なんだろうなあ。
 「キミが好きだよ」という最後のフレーズもあったかすぎる。アイライクユーバスターズ、というフレーズにもあるように、ラブではなくライク、のほうがさわおには重いような気もする。気のせいかもだけど。まあ、あれです、アイラブユーバスターズとかさわおが書いたら、ちょっと微妙だもんなあ(笑。
 で、そのあとにロストマンの曲をやったのはすごくあざとい(笑)けど、でもいいよね。

 ヤングスター!いいなあこれ。昨日一番の楽しみで、やっぱり楽しかった。クラップちょっと失敗したけど(笑
 そして、その後シナーズというのは豪勢すぎる(笑。二曲目を連続してやってるからか、なんかうれしいけど微妙な(プロポーズ→レジスターの流れと似ている。

 スケアクロウはカラオケとかで歌っても思ったんだけど、ボーカルを活かす曲だなという気がする(勿論わたしがうまく歌えてるわけではない。
 サードアイからクリーパーズという盛り上がりっぷりはすごいなあ、と思った。
 そして、バギーデイズのラストはすごいことになっていた。

 アンコール、カルヴェロは…初めてみたけど、ああなるのね(笑。思っていたのと全然違った。
 バスストップとかすごく好きだー。

 うーん、しかしこう振り返ってみても何がしっくりこなかったのか。面白かったんだけど、ウェイクアップ3の曲は微妙にライブ向きではないものが多いかな、という気もしたかも。

2007年07月21日

鳩村衣杏『絶対に負けない恋愛』

 元大手広告代理店の営業×その後輩にあたる営業。

 広告代理店を出て著書『絶対に負けないプレゼン』があたり講演やなんやで大活躍の攻め、しかも面識はないけど、同じ会社の大先輩。に、憧れる受け。プレゼンのニガテな受けは、攻めの講座を聞きにいって、その後直接会いに。攻めは新著『絶対に負けない恋愛』のサンプルにしようと受けに個人教授を持ちかけて、たびたびデートをする仲に。

 設定は面白いというか、悪い攻め好きなわたしの好きそうな話だなあ、と思ったのだが、何か物足りなかった。
 展開とかキメの場面とかも、順当に丁寧に書いてると思うのに、なんだか物足りない。
 話の展開の都合上、会社での仕事っぷりの描写が多かったのも物足りなさの一因か。仕事描写に比して、攻め関連の描写が薄く感じられてしまったのかもしれない。

鳩村衣杏『秘書の嗜み』

 表紙がいいですな。

 元気でチャラ男っぽい印象の広報課×まじめでびしっとクールなメガネ社長秘書。
 二人は互いにニガテに思っていたものの、攻めのマンションでのボヤ騒動の際、受けは自宅に招いて食事をご馳走し、なんだかだあって攻めに気に入られて押しかけ同居するはめに。

 キャラの設定や描写が丁寧で面白かった。時期社長候補と社長秘書、一見チャラ男とマジメガネ、ほんとは心優しい攻めとトラウマありクール受け、という重層性がきちんとしっくりきてた。
 受けのお酒にまつわる過去の話とかもうまく活きてたかと。ちょっと一歩間違うと危ない感じだったし、あと最後のほうの週刊誌にまつわる事件はちょっといまいちな気もしたけど。
 それでも最初に家に招いた時に、酔っ払ってゲームやりながら泣き出して、お前ほんとはゲームの上手いいいヤツだったんだな、とか言い出すところは面白かったし、そこでぐんとこの二人のキャラに引き込まれたような気がした。
 お話作りも丁寧で、秘書という職能と二人のキャラの性格をうまく活かした展開でよかった。

 文章がやはりもう一つ、という印象なのだが、「ゆったりと心地いい列車のリズム、秋の香りがかすかに混じった風、柔らかな時間――誉には、そのすべてが及川自身のように思えた。及川に手を引かれ、及川の中を旅していく。(後略)というとことか印象に残った…、のだが、これ前半なんかもうちょっと他の言い回しないものか。そのすべてが及川自身のように思えた、は直接的過ぎる。柔らかな時間、もありきたりな気がする。といった感じで、いいなと思う言葉はあるんだけど、前後のつながりとかがなんかもったいないなあ、という印象を受けることが多かった。

2007年07月23日

榎田尤利『執事の特権』

 これはちょっと前に読んだ。

 執事見習い×ご主人様。受けは潔癖症というか、強迫神経症で常に手を洗っており、白い手袋をはずさない。そんな受けのお世話をするなんてとんでもなく大変じゃん、と思いつつ、執事についてお世話してるうちにハマりこんだり情が移ったりなんだり。

 受けの強迫神経症は、多かれ少なかれ結構多くの人がもってるんじゃあないか、という感じの感覚として書かれてて、感情移入しやすくなってる気がした。
 攻めも器が大きく、しかし若さもきちんと書かれてて、とても魅力的。
 各章の最後の受け視点が、うまく機能してたりしてなかったりしたけど、総じてよかった。
 展開はわりとオーソドックスなのか?とも思うけど、チェスの菜箸のくだりとか、うまいなあと思った。
 ということで、総合的にとても面白かった。

いとう由貴『裏切りに愛の雫を』

 明治初期、元藩主おかかえの絵師の次男。絵が異人さんの目に留まって、フランスへ留学することに。異人さん=攻めは親切で、口説かれるも自分は小姓みたいなものだと考え、この人を主と思ってつくそう、とか思ってる受け。しかし実は、攻めはスパイ摘発のために、日本趣味の容疑者をさぐるために受けを利用しようと思っていて云々。

 やはり悪い攻めで(笑、素直で純真な受け、そして王道な展開でよかった。
 …のだが。時代背景的に、ものすごい抑圧描写の連発で、攻めも含めて周囲から差別されつづける受け、というのは、まあかわいそう受けとしてはありかもしんないけど、これはちょっとやりすぎというか、読んでてしんどい。具体的に言えば、イエローモンキーとかその類の語がすごい頻発してて、仕方が無いけれどちょっとなあ。しんどいよなあ。
 お話自体は面白かったと思うんだけどね。

2007年07月24日

水碕夢見『真夜中の吸血鬼』

 近未来、吸血鬼というかアンデッドを退治する軍隊があって、指導の一環でペアくまされた少尉と新米上等兵。少尉はものすごい冷たく口が悪く、いつもいじめられるのですが、実は特異体質で云々。

 受け=上等兵は孤児院出身で、軍隊に売られてきてあんまりやる気はなかったり。ちょっとすねた元気系受け…で、あんまり好きになれない。
 攻め=少尉は中国系黒髪ロング、冷たいのはいいけど、なんかその冷たさもただ冷たいだけというか…あんまり魅力的なクールさはないし、受けをなぜ気に入ったのかもよくわかんなかった。お兄さんの話だけでは説明になんないというか、もうちょっと二人の関わりの中で説明してくれなくては物足りない。

 お話もものすごくオーソドックスであまり面白みの無いファンタジーとしかいえないのだが、CPからなにから、ちょっと古くさい印象を受けた。花丸文庫って、なんだかあんまりよくない意味でレトロな印象があったんだけど、その印象どおりだったなあという感じ。

 羽根田実の絵はやまねあやのに似ている気が…。

鳩村衣杏『駄犬は愛を求める』

 売り出し中の俳優×レンタルDVD店店長。
 泣ける映画を教えてくれ、という言葉から親しくなったふたり。戦隊物に出演中の攻めは人気上昇中のイケメン俳優だが、受けの趣味ではないっつーか、受けはタチで華奢なクール美形がすきなので、いきなりデカいワンコみたいな攻めに好きになられても困ります。でも年下ノンケかつイケメン芸能人の魅力にはさからえず、なんとなく関係がつづき云々。

 展開はオーソドックスで、この作者らしくそれぞれのキャラ設定やその書き込みが丁寧かつ魅力的で、面白かった。
 後編はちょっと受けのいじっぱりぶりが食傷気味になったというか…。ストーリや心理の変化を真面目に丁寧につづってくれているのだが、それがちょっと重くなってしまう。でもやっぱり丁寧に描かれてるので、面白いんだけどね。
 あと、えっと、どっちが「駄犬」なの?(笑。どっちもなのか?

 一馬友美の絵は、顔は確かにあの漫画家の(略、なのだが、身体のかき方とかはかなり違うんだね。カラーもきれいだし、いいね。

2007年07月25日

遠野春日『瞳は口ほどにものをいう』

 『唇(くち)はワザワイのもと』という前作のリンク作品らしいのだけど、前作は読んでない。

 わんこリーマン×クールビューティ上司。
 よくあるCPだが、お話もよくある感じというか…。上司の元カレの影とか、社内での事件とかからめて、上司はツンデレでしたね、という感じ。しかしよくある感じといっても、王道なわけではなく、ありきたりな物語がさらっと書かれてただけ、という印象というか…。
 併載作品が前作のCPだったというのもあって、すごく薄く感じた。
 あと、そんなわけでCPがふたつで男性が四人出てくるのだが、みんな名前が地味系の二字四音名前で(笑、どのキャラも描写が薄いせいもあってか、なんだか名前がごっちゃになってわかりづらかった。

---
 そういえば、ついでに。遠野春日の既読で感想書いてない本。『エゴイストの純愛』『プロフェッショナル・バトル』『貴族と熱砂の皇子』、…面白くなかった。

2007年07月26日

一之瀬綾子『ゴーゴー僕たち』2

 これは買うのを忘れていて、一巻を何気なしに読み返したら続きが気になったので購入。

 相変わらずのちょっとアホな子がかわいがられる群像もので、雰囲気漫画なのだがそこが好きだ。
 部長は一巻ではもっと天然っぽかったのだが、ちょっと計算づくっぽくなってきてる。いやそういうキャラはそういうキャラで好きだけど、なんだか違和感。
 ナツイはもしかしてアツシのことがすきなのか?この二人のほうがいいなあ(笑
 なんか新キャラもいろいろ出てたというか、あのモブの人らがちゃんと出てきたことにちょっとびっくりした。
 そして、まだ以下続刊なことにちょっとびっくりした。

嶋田尚未『誘惑しないで』

 唯一の肉親である母親に捨てられて、父であるらしいひとの家を訪ねたら、なんと十人の異母兄弟が!…という梗概に、それなんてシスプリwwとふきだしてしまい、ノリで購入。

 いや、この作者もいきつくとこまで行ってしまったか…とか思ったんですけどね。
 正確には、十人の異母兄弟「姉妹」でしたよ(笑
 で、一家をたばねるしっかりものの長男とライトなほのぼのラブがふつうに展開してて、まあ普通に面白かった。
 ちょっと絵が変わってきたかなという印象。線が少し細くなったかも。しかしこの表紙は、受けの足がどうなっているのやらわからず、見ているとなんだか不安になってくるようなデッサンだなあ…。

2007年07月27日

水島忍『生贄ゲーム』

 人里離れた全寮制男子校で突如はじまった「生贄ゲーム」。掲示板にはられた要項で、王、奴隷、祭司、生贄が割り当てられたが、ゲームの内容は不明。生贄になってしまった一年生=受けは、二年前のゲームについて知っている祭司の三年生に話を聞くが、二年前のゲームは生贄が王に強姦されて終了したらしい。情報を得るうちに身の危険を感じた受けは、祭司にボディガードを頼んで云々。

 どうも物語の構成が甘すぎる。ゲームが分かりづらいのは展開上しょうがないんだけど、情況や雰囲気が読み取れないのは別問題だ。ファンタジーならばきっちり設定を練ってくれなければ。また、学校の設定も、何かワケありの生徒ばかりが集まる、活気の無い学校、という表現が何度かなされるけれど、生徒の背景事情や学校の雰囲気に具体性がゼンゼンなくてうすっぺらい。それに、結局あかされたゲームの仕掛けも、面白みが無いし明かし方もいまいち。

 四人のキャラも、設定からしてぜんぜん甘いし、描写も動かし方も行き当たりばったりな印象。主人公でさえ、元気キャラだという設定らしいけどそれが描写から全く伝わってこないし、なぜ祭司に惚れたのかさっぱりわからない。他の三人は主人公以上に、キャラ設定も恋に落ちた理由もわからない。

 南国ばななの絵に惹かれて購入したので、絵はよかった…けど、全然活きてないよね。勿体無い。

英田サキ『今宵、天使と杯を』

 これは古本で購入。

 35歳のくたびれたリーマンが酔った勢いでヤクザと寝てしまいしかも二週間の恋人になるという約束をしたらしいのだが記憶に無い。リーマンはアル中寸前だわEDだわ妻に逃げられるわリストラされるわのダメっぷりだが、朴訥な性格ぽいヤクザはなぜかほれ込んでいて云々。

 展開もキャラもベタといえばベタというか、予想がついちゃう感じ。可もなく不可もない、のちょっと上、という感じだった。
 周りのヤクザとかも大体いいやつで、ご都合主義だなあという点もいくつかあったかも。

2007年07月28日

榎田尤利『神さまに言っとけ』

 これはちょっと前に読んだ。

 ヤクザが死んだと思ったらなんかへんな大学生の身体に入っちゃってました。天使曰く、期限内にある人間とラブラブにならないと、ほんとに死んでしまうそうです…とかゆっても、その相手である花屋店員は鶏がらみたいで黒ブチメガネのもさい風体の男ですか、そうですか。

 わたし好みのSF的設定で、この設定ならばうまく書いてくれれば相当面白いだろうなあ、とはいっても面白くするにはかなり力が要りそうだなあ、と思ったのだがとっても面白かった。期待通りのベタ王道展開で、最後のオチも少し物足りないような気もするものの、このリリカルなお話にはとってもよく合っていた。
 天使の設定が甘いというかよくわかららなかったのはちょっと勿体無かった。まあ話の本筋には関わらないんだけど。

火崎勇『彼につく嘘』

 ベンチャー的アパレル社長×社長秘書。
 会社説明会でオレ様系社長の魅力に惹きこまれて入社、なぜかすぐに秘書になったはいいものの、社長は能力は高いが男女と遊びまくりで秘書にアポとらせたり店の予約させたりの最低ぶり。だれとも長くは続かない社長の側にいるために、恋を知られぬようにして秘書としてがんばろうと決心する。ある日受けは、社長にお前は美人だが色気がなくって射程範囲外だと言われてしまうのだが、ひょんなことから一夜をともにすることになって云々。

 最低攻めでとってもわたし好みな設定なのだが、そしてラスト直前まではかなり面白かったのだが、物語の収集のつけかたがいまいちというか。
 作者も書いているように王道で展開の読めてしまう設定なんだけど、そういうベタ王道ものはカタルシスを生むには普通以上の力か技が必要なんじゃないかなあ、と思う。だからやっぱり攻めがしっかり陥落してくれないと物足りないのだけれど、なんだかあんまり攻めが変化した感じがしなかったんだよね。確かに受けに愛を語り始めてるけど、それまでとどう違うのか、があまり感じられなかった気がする。印象だけど。

 青樹緫(そう)の絵は時々好きなのだが多くの場合においてバランスが悪い気がする。

2007年07月30日

水無月さらら『オトコにつまずくお年頃』

 ある評を見てて作者に興味をもったので、適当にみつけた本を読んでみた。

 超イケメンタラシ女性をとっかえひっかえのリーマン×王子様とあだなされる美形後輩。
 王子はモテモテだが淡白で、セックスがめんどくさい。なので先輩イケメンはすげータフだなーと嫉妬しつつもちょっと羨望。あるきっかけで寝てしまい、思いのほかよかったので自分はゲイだったのかもとか思いつつ、次第にイケメンに惹かれていって云々。

 普通に面白かったのと、なんだか攻めも受けもモテモテで女性と普通につきあってるのが面白いというか、その描写の仕方が面白かった印象。で、全体的にキャラの思考が地の文に流入してく感じでエクリチュールがしどけないというか(笑、ちょっと印象的。視点がちょっと混乱してることをのぞけば、文章はヘタではないかなと思うんだけど、でも不思議で独特な文体なので好き嫌いがわかれそう。わたしは嫌いではない気がする。

 物語面では、攻めの気づきなんかはもうちょっと深く書いてくれたらよかったかなという気がする。でも総合的に結構面白かった。

2007年07月31日

英田サキ『NGだらけの恋なんて』

 人気漫画家×売れない俳優。
 攻めの人気漫画がドラマ化されることになる主役は受け。受けはぱっとしない役者でどうしてもこの役がほしいのだが最終面接と称して攻めに呼び出され、実はふたりは高校時代に映研仲間だったのだが、受けはさっぱり忘れてたとかいうことがわかり、なんだかんだで役がほしいならと身体を要求される。結局クランクアップまで同居するはめになって云々。

 なんだか淡々としてて、意外な展開もなく、キャラもいまひとつ魅力に欠けていて総じてあんまり面白くないというか、地味だった。
 ドラマの制作過程とかをこんなに丁寧に書き込んでくれても、それが恋愛物語にかかわってくるとか、さし色として活きてるとかいう印象はないし、だらだらしてしまってる感じ。それにドラマの視聴率が…あんまり成功したようには思えないのは、ドラマの数字といったらバブル期のものくらいしか思い出せないからなのか。



2007年07月 アーカイブ

もくじ

 英田サキ『NGだらけの恋なんて』
 水無月さらら『オトコにつまずくお年頃』
 火崎勇『彼につく嘘』
 榎田尤利『神さまに言っとけ』
 英田サキ『今宵、天使と杯を』
 水島忍『生贄ゲーム』
 嶋田尚未『誘惑しないで』
 一之瀬綾子『ゴーゴー僕たち』2
 遠野春日『瞳は口ほどにものをいう』
 鳩村衣杏『駄犬は愛を求める』
 水碕夢見『真夜中の吸血鬼』
 いとう由貴『裏切りに愛の雫を』
 榎田尤利『執事の特権』
 鳩村衣杏『秘書の嗜み』
 鳩村衣杏『絶対に負けない恋愛』
 Wake up! Tour@渋谷O-EAST その2
 Wake up! Tour@渋谷O-EAST その1
 鈴木ツタ『あかないとびら』
 古街キッカ『さくらにあいたら』
 セバスチャン・フィツェック『治療島』
 紺色ルナ『手つなぎごっこ』
 鳩村衣杏『松風の虜』
 タクミユウ『キスと嫌いの反対』
 楢崎ねねこ『偏愛プリンス』
 水上蘭『檻の中の王子様』
 弓月あや『天使の贖罪』
 天野瑰『Monkey Business』
 松崎司『三千世界の烏を殺し』
 「変えられるのは、未来だけなんだ」
 医龍/絵板ログその2
 椎崎夕『親友と恋人と』
 椎崎夕『弟の親友』
 鳩村衣杏『エレベーターで君のとこまで。』
 鳩村衣杏『王様は美男がお好き』
 木下けい子『キスブルーII』
 真船るのあ『御曹司は恋に啼く』
 綺月陣『龍と竜』『龍と竜~白露』
 橘かおる『舞踏会の夜に華は綻ぶ』
 「やれやれだわ。」
 ★2007上半期・BL小説ベスト10
 椎崎夕『きみの背中を見ている』
 夜光花『不確かな抱擁』
 鳥人ヒロミ『彩おとこ』3
 松崎司『IMITATION GOLD』
 ★2007上半期・BL漫画ベスト10
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