リチャード氏のことです。
久々のどツボ。
「准教授高槻彰良」とか「家政夫くん」のようなラノベ・ブロマンス・ミステリーのシリーズものを読みたくて見つけた。
第一部は宝石を扱いつつオムニバスのちょっと謎解きで、まあそこそこ面白いかな…と読みつつ、リチャードは甘い物好きで日本語に堪能なキャラで面白いけど結構ツンツンだし、正義は正義感あるあたりはともかく礼儀知らずな若者で雇用主をお前呼ばわりなので、あまり感情移入もせず。それにそれぞれ恋愛もしてる/たので、ブロマンスというよりバディかな…と思いつつ、正義がうかつにリチャードを褒めまくり、リチャードや周囲の人間を困惑させるあたりはちょっとおもしろく読んでいた。
しかしリチャード実家編での正義暴走、正義実家?編のリチャード爆走を経て、あれあれ?おやおや?と思っているうちに第二部に突入し、数度のよそ見危機を乗り越えつつ、いえ数度というかほんのわずかなものでしたが、気づけばなんか本格的にBLになっていた…?こんなになっちゃった……。しかも第三部に入って、まだくっついてもいないのに子育て編に入ってる…どういうことだ(新婚編はどこへ…!
しかし正義は嫌いではないむしろ好きなキャラではあるのだけれど、恋愛マナーは最低に近いなあと思う(笑。付き合ってって言ったらどう思うとか、相手に釣り合うまで待ってとか、はやく腹をくくれ。リチャードは毛布おばけになったあたりからなんかかわいくなってしまって、まあ完璧なままでいさせるのも気の毒だしいいのだけれど、親しみの湧くキャラになってしまったようにも思う。かわいいけど!あとヨアキムとか出てきたあたりからなんかBLっぽさがすごく増してきた気がする。いいけどね。
でも正リチャよりはリチャ正派です。
でもこの二人ならリバありでもいいです。
ところでちょうど昨年パパラチアのリングをつくってもらったところだったので、リチャード氏でもパパラチアがキーになっていて縁を感じました。誕生石がサファイアなのですが、今まで青いサファイアになぜか興味がわかず、「宝石の国」でパパラチアサファイアを知り、はじめてサファイアが欲しくなったのです。リチャード氏でホワイトサファイアの存在も知って、こちらもちょっと興味が出てきています。
]]> とはいえ、1巻半分くらいまで?いや1巻の終わりくらいまで、ローレントが人を人とも思わないような冷血傲慢王子で、どうするんやこれ…とか思ったけど(笑。あと2巻の終わりまで色っぽい展開は皆無なので、ほんとにBLなの?とも(笑。
そんなBL要素皆無で進む一方で、デイメンと他の男性女性との交わりはがっつりあるし、二人が結ばれるのも唐突で、その後もどぎついまでの舌戦や肉体的闘争もあるし、BLとしては少々きついかもしれない。
特に、二人の気持ちの流れがわかりにくくて、好きだってはっきりしないまま結ばれるようなところもあり、二人それぞれの思惑や内面が少しずつ見えていくのは書かれているから、惹かれる気持ちはわからなくもないのだけれど…という程度。まあそれぞれ兄を殺した男と、自分を奴隷にして鞭打った男となので、相当の葛藤があり単純に好き好き、とはならないだろうとも思うのだけれど。でも、初対面の時に酔っていたことや、鞭打ち、馬殺しとかの背後関係がわかったときに、もう少しデイメンがローレントの気持ちによりそう描写がほしかったし、あとローレントが本当は子どもや動物に優しい性格なんだということがわかったときとかにもっと感銘をうけてほしかった。
例の赤子の存在が判明したときにはどうしようかと思った(笑)けど、元カノとのやりとりで、ローレントはデイメンが今後浮気しても受け入れそうだなあとも思ったので、むしろ浮気しないであげてほしいなあと思った。まあ、デイメンの方はローレントの浮気には耐えられないそうだし(笑、だったら自分もしないだろうし、アキエロスはあの赤子に継がせるのだろうなとも。
ローレントの自分の血族への嫌悪の理由は書かれてない?読み落としたかなあ。ローレントの過去の相手はやはりあの人なのかな…ほんと過酷な人生だ…それが血をたやそうと思う理由かなとも思うけど。あと3巻の終わりだけは微妙だなあと思ったら、やっぱりアマゾンのレビューでも3巻だけは評価が低くなっていた。なんかキングスミート?に入ったところから、ローレントもデイメンもものすごく頭が悪くなってしまって無策かつ無謀で、一体どうしちゃったの!?という感じだった。それでも最後にローレントがかたをつけたことで、デイメンと本当に同じ立場になったのは(まあローレントのほうはデイメンを守るためだけど)納得した。
まあそんな末尾のはてなはありつつも、全体としてはしっかりとした世界設定、魅力的で活き活きとしたキャラ、戦略、展開、総じて高い水準で素晴らしい。
特に設定としては、アキロエスではヴェーレの婚外子をつくらないため同性の愛人をもつ風習やあけっぴろげな性生活を見下し、一方ヴェーレの方ではアキエロスの奴隷制度や婚外恋愛を見下しているという、文化的にどちらが優れているというわけでもない描写が個人的にはよかった。
キャラはまっすぐなデイメンはもちろんかわいそうなジョード、一本気なニカンドロス、年重のマケドンなど、素敵な味方がいっぱいでパラスとかもっと活躍してほしい人もいっぱいいいた。イサンデルは奴隷から開放されてローレントの侍従になっているといいな(笑。とはいえまあやっぱり最終的には、どうしようもない冷血と皆に思われていたローレントが本当は優しく不器用なくらい生真面目なのがとってもかわいい。お酒飲めないのも、外交のために練習しておくべきだったと反省するのもかわいい。外伝で花とサンダルだけ身につけていたのもかわいい。デイメンが萌えるのもよくわかる。あと外伝のチャールズのお話がよくて、特に終わり方がベタでよかった。チャールズいい人…。
あと、ファンタジーなせいか、翻訳ものだということもあまり意識しなかったのも面白いなと思った。