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2009年07月01日

武田すん『世界の果てで愛ましょう』1

 ネットの書評で見て面白そうだったので読んでみました。
 高校生男子なのですが、校庭に落ちてた異世界の王子を助けたら、なんか妻にするとかゆわれてへんな薬で女にされてしまいまして。王子はいろいろ常識ないし、隠れブラコンだった弟はどぎまぎしてるし、たいへんなのです。

 TSものって大好きなのです。この漫画はTS設定もちゃんと活きてるし、とっても面白かったのです。
 腕力権力ですべて思う通りにしてきた王子が、思い通りにならない主人公にふりまわされたり、人間的な感情をだんだん得ていく感じが、ありがちながらも楽しいです。一方、弟大好きでちょっと天然な主人公には、やっぱり弟もまたふりまわされてて、さらに主人公は主人公で突然の女性化でいろんな騒動にまきこまれ、と、それぞれのキャラがなかなかよい感じなのです。
 ただ、学校では女性化は隠し通してたほうがTSのセオリー的にもお話展開的にもよかったんでは…と思うけれど、まあその意外性が逆に今後の展開を楽しみにさせてくれてもいる気がします。

 しかし、服を買いに行くおまけマンガで109が801になってるのだけれど、やっぱりそういう方向性だと思ってていいのか…な?(笑

2009年07月04日

三島一彦『ベイビィ ★ アイラブユー』

 『パパ ★アイラブユー』の、攻め弟×受けに片思いしてた同僚。本作では15さい×リーマンだが、当時は幼児×リーマン…。年下攻め作家ですな…。

 表題作は素直な攻めと素直になれないリーマンで、でもそれだけだったかなあという感じ。スピンオフではときどきあることなのだが、前作受けがなんか鈍感扱いされててなんだかなという気もした。
 あとは元気っこ×図体はデカイが女々しいメガネ同級生とか、つきあってるのになかなか進展しなくてじれる同級生ものとか。やや軽くあたりさわりのない印象だった。

英田サキ・山田ユギ『たかが恋だろ』

 主人公は、亡き妻の兄のヤクザにたすけられつつ、幼稚園児をそだててる。日息子の同級生の叔父が実は中学校の同級生だったのだけれど、卒業の際に一方的に縁を切られててあれはなんだったの?

 オビの石原理の言葉にもあるが兄がよすぎる。攻めはあんまし個性がない…受けもあんまし個性がなくないか。なんか展開しかない感じというか、お話も、キャラの個性もうすくてあんまり印象に残らなかった。兄にまつわる筋がいちおうあるけれど、恋愛面がなんかうすいというか。攻めはこの受けのどこがそんなにすきだったのか。受けはなぜ同性をうけいれられるのか、攻めをどこでどうやって好きになってたのか。よくわからん。こうしたいくつかの疑問には、すべて「これがBL作品だから」としか答えようがないような気がした。
 あと、やはりあたしは子持ち設定は地雷みたいだ…。

2009年07月05日

2009上半期・マヨイガオススメBL小説コミック

 ちょっとなんだか忙しいのとなんだかんだで疲れております。あとちょっとで仕事も一段落つくので、夏祭りの原稿とか頑張らなきゃなのです。

 そんなこともあり、半期に一度のマヨイガの一人遊び・BLベスト10について、今回の上半期は簡単にオススメ作品列挙のみにしてみます。順位はつけないけど、でもやっぱり上から順にオススメです。
 どれも責任もって(自信をもって、ではなく)オススメできる作品ばかりです。ただ、好みもあるとは思うので、リンク先のマヨイガの感想をご覧いただいて、相性をご確認の上、ご興味をもたれましたらぜひぜひ読んでみてくださいv面白くなかったら責任はとりますよ!
 一部まだ感想を記載してないものもありますが、近日中にリンクをします。たぶん。あとタグも貼る予定…暇になったらね。

BL小説:
六青みつみ『寄せては返す波のように』…不器用攻め、片恋
凪良ゆう『初恋姫』…王侯貴族華族、片恋
樋口美沙緒『愚か者の最後の恋人』…王侯貴族華族、ツンデレ受、身分違い、片恋
遠野春日『茅島氏の優雅な生活1』…王侯貴族華族、身分違い、変人受、不器用受
いとう由貴『哀しみは雪のように』…傲慢攻、恋愛不感症、マフィア、可哀相受
高遠琉加『唇にキス 舌の上に愛』…不器用受、可哀相受、ツンデレ受、レストラン
高尾理一『二十六年目の恋人』…チェリー、変人受
水瀬結月『恋花火』…アンドロイド、トンデモ設定
西江彩夏『ナルシストの憂鬱』…変人攻、ノンケ攻
月宮零時『眼鏡屋と探偵』…メガネ攻、変態受、トンデモ設定

BLコミック:
遠野春日・麻々原絵里依『茅島氏の優雅な生活』…王侯貴族華族、身分違い、変人受、不器用受
日高ショーコ『憂鬱な朝』1…王侯貴族華族、身分違い、ツンデレ受
本仁戻『耽美主義』…メガネ受、メガネ攻
池玲文『銀閣博士とモルモット』…変人攻、変態攻、トンデモ設定
明治カナ子『惑溺趣味』…年の差、不思議
門地かおり『生徒会長に忠告』4…メガネ攻、天然受

2009年07月06日

青池保子『エロイカより愛をこめて』35

 うーん、つまらなくはなく、いつも通りのエロイカ。
 いつも思うのだが、伯爵の部下がジェームズくんとボーナムだけってなんだか淋しいというかお金なさそうで、伯爵は最初の頃の美少年はべらせてる豪奢貴族設定のが好きだったなあ…て、どんだけ昔の話だって感じですね…。
 あと、ケルトおばさんとか奇矯すぎるキャラが出てくると伯爵と少佐が協力すんのがいつも好きです。
 なんだか久しぶりなので、ありがちな感想ばかりですが、まあそれもそういうことで。

高井戸あけみ『ハニートラップ』

 表題作は、カリスマ美容師×ゲイバーで出会った大学生、デザインがライバルに盗まれて受けを疑う話、なのだがキャラもラブもうすくてなんだかものたりなさすぎた…。
 次の不動産会社社長とライバル会社に恨みをもつ青年の話は、攻めがひょうひょうとしてて面白かった。
 リーマンの後輩→先輩は、お話はいいのだが攻めのキャラがなんかよくわからない感じだった。

2009年07月08日

凪良ゆう『初恋姫』

 …というわけで、ひと月以上前に読んだ初恋姫のことなのです。感想あっためてたらなんか随分時間たってしまった。
 これは今年のステキBLの最有力候補ですが、かなりあたし好みなので、好みは別れるかも知れません。

 某藩家老の末となる名家の三男の花時雨は、両親兄二人に猫かわいがりされて育った、華族のご令嬢みたいな大学生男子。祖父の命で、今はちょっと落ちぶれ気味の主君の子孫が一人できりもりする定食屋に出仕することに。定食屋としては当然ちょう迷惑なんですが、江戸っ子気質なこともあり、なんだかんだでいちおう置いてくれることになりまして。お手伝いしてたらなんだかむねがどきどきしてきたのですが、定食屋は高校の後輩でバイトに入ってくれてるおへちゃが好きらしく、云々。

 冒頭、受けの名前が「佐治花時雨」、窓際のライラックの小鳥がリリコソプラノの鳴き声で云々、とか始まった辺りでは流石に、どうしょうこのノリついていけないかも、と少し青ざめましたが、二秒で慣れた。

 あとあらすじ読んだ段階では受け勘違いものかなあ、と思っていたら、ガチで片思いの初恋でして。うつくしいお嬢な花時雨→ややブサ専で江戸っ子気質な攻め→イケメン好きの後輩→イケメンなロクデナシ、というどうどうめぐりな人間関係で、面白くもとってもせつなくていいお話だったのですよ。

 …や、お話そのものもいいんですが、しかしなにしろ、なんというか、とにかく花時雨がカワイイィィィ!!!のですよ!この作品の面白さとか切なさ、言い換えればこのお話のステキっぷりの八割くらいは、花時雨のキャラがになっているといっても過言ではないくらい。
 華族のお嬢様みたいな受け…というので、あら性別受けかしら、女性的な受けなのかしらと少々不安だったのですが、花時雨という風変わりな名はダテではなく、そんな一筋縄ではいかない、良い意味でのクセもの受けなのです。
 花時雨はなんというか、もうもうもう、すんごく健気で気高く強く賢く凛々しく潔く、さらにはトンチキさまでをもかねそなえた、とっっっても魅力的な、ありえないようなステキキャラなのです。攻めを困らせたくなくて身をひこうとしたり、それでもなんとか攻めの役に立とうと仕事を頑張ったり、攻めの前では涙こらえて励まして、と、あまりに花時雨が健気で潔いので、攻めがダメダメに見えてしまうほどなのです。

 …や、ほんと、攻めはさ!なんというか、誠意を、もっと!もうちょっとくらいは頑張ってよ!ていうかなんかもうちょっとラブラブしてよ!物足りないよ!

 絵は、花時雨がずっと洋装なのが納得がいかなかった…。本文に描写がないのだが、洋装エプロンはちょっと定食屋的にどうだろう。似合わない作務衣でもよかったのではないかなあ。

 あと、あんまり関係はないかもだけれど、この話はなんとなく、ピロウズのラブソングなんかを思い出しました。パトリシア「涙こらえてた僕のかわりに泣きだしてくれたあの時から、歩きづらいほど風の強い日もキミとなら全部幸せ」とか、スワンキー「キミはトモダチ、いつでもすぐに僕の気分を見抜いてくれるよね、魔法みたいだ」とか、みたいな、愛とは断定しない、けれどすんごくかわゆあったかい、そんな感じ。

 あとこれも関係ないけれど、花時雨は以前某所にましましたステキなアフロディーテになんだか似てた…なつかしさびしい…。

 まあそんなわけで、性別受けやかわゆい受けがニガテな方も、この花時雨は一読の価値がある、かもしれません。

2009年07月11日

ゴージャス宝田『キャノン先生トばしすぎ』

※男性向けコミクスのはなしですのでごちゅういください。

 ああぁ…人生で初めて買う男性向けコミクスは、絶対に鳴子ハナハルになるだろうと思っていたのに…!!!鳴子ハナハルの少女マテリアルは、初回限定版を買いのがしたので、いまだに購入してないのです。

 …というわけで、このキャノン先生は、少女ポルノを書く少女作家という設定と、真剣にポルノを書くことにこだわる視点が書き込まれている話を聞いて気になっていて、メモがわりにアマゾンのカートに入れておいたのを、そのまま購入していたという感じだったのですが、そういう視点のとこはなかなか面白かったです。

 キャノン先生のド淫乱設定も、後々真面目な設定として活きてるので、あんまし気にならない…や、あんまりこういうの読んだことないので、かなり強烈ではありましたが。やっぱりBLとは文法結構ちがうし。
 でもそういうとこよりも、なんというか、あんまり馴染めない気がしたのは、絵のせいかなあという気がする。あまりあたしの好きなタイプの絵ではなかった…。その一点で、なんかこう、冷静になってしまうというか。

 ていうか、入れるカテゴリないから「一般コミック」に入れるけど、なんか違和感あるなあ(笑。

高尾理一『愛咬の掟』

 警官だった父はヤクザに情報流して結局消され、母もその心労で亡くなり、ヤクザをうらみつつ父を殺した犯人を捜し出して汚名をはらそうと、警官になった主人公。時効が迫る中、父の事件にかかわっていたと見られるヤクザをはってたら、なんか素っ裸で手足を鎖につながれてた。

 全体的にそこそこ面白かったのだが、なんだかものたりなかったかもしれないのと、ヤクザ×猫はもう『龍と仔猫』を書いたじゃないか…というハテナがどうしてもあった感じ。
 あ、そういえば、今回は龍ではなく虎なのか。

 父の事件がらみの展開はそこそこ面白かったし、結末も甘くはない終わり方で、受けも混乱した心をもてあましながら終わっている感じはよかったと思う。だから物足りないというのは、ラブというか、恋愛をふくめた関係性がよくわからないせいだと思う。
 そもそも冒頭からなんでいきなりヤクザが警官にこんなに執心してるのかがよくわからんし、そして最後までそれはよくわからないままだったので、ハテナなのである。ヤクザの気持ちの深さは書かれているけれど、なんで好きになったのか、なんで猫扱いしてんのかがわからないから、記号的というかテンプレというか、恐いけれど・受けにやたらに執心して・なんでもしてくれちゃうヤクザさん、というありがちキャラになってしまっていて、もったいない感じ。
 お話としての結末はいいけれど、恋愛物語としての結末はない感じだし(や、エロがなかったとかそういうことではなく)、攻めの気持ちもよくわからんし、受けも攻めを受け入れ切れた感じがしないので、お話として終わっていない感があるのかなあと思う。端的に言えば、良くも悪くも続編あるの?という感じ。続編を期待する気持ちもあるし、きっちりお話のカタをつけてほしい、という気持ちもあるし。

 続編といえば、攻めの部下とアホな手下はスピンオフねらいなのか?というCPだなあと思った。こないだの『二十六年目の恋人』でも脇CPがやたら出てきてたし、最近こういうの多い…のかな。この作家は今まであんまりそういうあからさまな脇CP書いてこなかった気がするので、意外な感じ。

2009年07月12日

BENNY'S『カジュアルH』

 短編集。なんだかあっさりした話ばかりでいまいちだった。面白いキャラもいないし、展開もなんとなくエッチな感じになりまして、というのばかりで。そんな薄い本なので、表紙や口絵のイラストとか、どのCPだか全然判らない。印象にのこるお話がひとつもなくて残念だった。

 BENNY'Sは連載ものを書いてみてはどうか。

嶋田尚未『夜はヒミツに・・・』

 担任のメガネ先生がすきなんですが誰にでも優しいのでついつい反抗してしまう高校生。繁華街でコナかけられたうさんくさい男と、メガネ先生を忘れるためにつきあうことに。

 …や、メガネはずして髪セットしたくらいで相手だとわからなくなるとは一体どういうことだ。夜間だけならまだしも、昼の光の元で会ってもわからないなんて…。
 あと先生の倫理観がどうもあわなくて、なんだか全般的にガッカリな感じだった。ベタなお話読みたくて読んでみたのだが、ちょっとそこここに無理がありすぎた。

2009年07月13日

松崎司『surf trip BOYS?』

 いつもどおりの短編集だが、いつもよりもなんだか印象に残らない…割と薄いお話の多い作家だと思うが、輪を掛けて薄かったような…。
 オヤジ受けがやや多めか。料理人とくまの着ぐるみの話はちょっとよかった。
 あと『ビスポーク』のキャラが少しだけ出てて、これはよかった。ほんとにちょっとだけど。ビスポークキャラは最近、この作家の持ちキャラというか持ちネタみたいな位置づけになってきてるような気がする。そして最近では仕立屋×ヤクザではなく、仲の悪いヤクザ×ヤクザがメインになりつつあり、だがそれがいいと思う。

浅田弘幸『浅田弘幸作品集 1 蓮華』

 蓮華の新しいお話もいっしょに入った文庫版。

 あたしは浅田弘幸は初期しか読んでないというか、正確には蓮華と『眠兎』くらいしか読んでいないのだが、久々に読んでやっぱいいなあと思いました。とくに蓮華は大好きで、『Crazy Kouzu BC―I’ll special edition package』とか月ジャンとかも読んだ。今回一冊にまとまってよかったと思う。
 でもまだお話はあるんじゃないかと思うので、また書いてほしい作品だ。

 蓮華はベタだけど設定がいいよね。機械の右手を持つ、その名のとおり、蓮華の咲く極楽へと一瞬で送ってくれるという殺し屋。蓮華もだけど、彩吉とか日光とかのキャラの名前もいい。

2009年07月17日

酒は飲んでも太るな。

 今回はジョニィごっこじゃなく将軍ごっこをしてたら日が暮れてました。あと、ダイエットのためにもお酒はほどほどにしたいと本気で思っています。
 そんなわけで仕事も一段落!漫画書かなきゃ!

 それはさておきこないだすごいものを見てしまった。
 こないだ仕事の関係で、新幹線のとまる、けれど結構何にもない駅で降りたのです。そしたら小学校低学年くらいのひよこたちが、体操服姿で水筒もって、きゃいきゃいしながら隊列くんでるのです。かわゆいなあとほほえましく見守ってたら、引率してるのが、背が高くって新卒かというくらい若い女性…いや?男性??え?女の人じゃないの?というほどの、女顔の男先生だったのですよ。なんかそんな感じの、ちょっとあかぬけない、けれど磨けば光りそうな…。

 後は言わなくてもつたわるでしょう?

2009年07月20日

真生るいす『坊っちゃまと主治医』2

 わがままだけどかわいくて愛されがちな病弱坊っちゃんと主治医のラブラブ第二巻。
 一巻は坊っちゃんが寝込んでばかりで、お話がぜんぜん展開しないのでは…と思っていたら、二巻ではちょっと健康になってきて、汽車にのったり勉強がんばってみたりなんだり。汽車の話はゲストCPの話がせつなかった…。
 全体的にのんびりしたヴィクトリアン風なふんいきでかわいくていい。坊っちゃんはちょっと縮みすぎな気もするけれど。

真生るいす『満員御礼』上

 どうも疲れが抜けないし忙しいしで、気力が沸きません…。

 この作者のコミクスが立て続けに出るなんて、なんだか珍しい感じ。
 そして、大相撲の呼び出しと、タニマチの若旦那という異色の設定で、わーな感じなのです。

 主役二人は、まっすぐ系な呼び出しと、ちゃらんぽらんぽい若旦那、呼び出しに惚れた若旦那の従妹とかの関係がまだまだ微妙な感じで、かっちりBLではないけれど、なかなか面白かったです。特に呼び出しは、修行中の状況とかもあって、自分の気持ちがあんまり見えてない感じで、でもこれBLだしラブになっていく…んですよね???なんて、期待というか不安というかを感じてしまうのです。

 相撲が主題でも、やはり相撲取りとのCPではないのだなあ…と思っていたら、部屋の頭脳派っぽいメガネ力士が外国人力士に惚れ込まれるおまけ漫画とかあって、ますますわーなのです。

2009年07月21日

鳩村衣杏『好きだなんて聞いてない』

 鳩村衣杏はどうしちゃったのだ。

 もともと弟の友人で、会社の後輩でもある友人が、男を好きになってしまってとか相談してきてびっくりな俺様リーマン。真面目な友人が告白の前に経験してほんとに男大丈夫かどうか確かめたいとか無茶振りするので、俺様受けが気前よく身体貸してやんよ。

 攻めは礼儀正しく真面目な昼の顔と、エロエロで傲慢な夜の顔…はいいけれど、なんかちぐはぐすぎ。描写が足りないのでは。ただの別人じゃんか。
 受けは俺様ということだが、特に続編などではうじうじしててもきーという感じ。
 とにかく攻めのちぐはぐさが、お話のキモであるはずなのにぜんぜん魅力がなくって、展開も面白みがないし、なんかもう全体的にダメダメだった…。

 会社は『秘書の嗜み』の会社なので、若社長と秘書がちょっとだけ出てくる。

 挿絵は大和名瀬の大人っぽい受けはちょういいのだけれど、なんか体温を感じないキャラであれーこんなものかなあ、という感じだった。

「中島敦展―ツシタラの夢―」

 こないだは、神奈川近代文学館で「中島敦展―ツシタラの夢―」を見てきました。生誕100年記念なのだそうです。松本清張とか太宰治とかと同期なのだそうでちょっとビックリです。

 しかし基本的に夭折している作家なので、あんまりいろいろなものがある感じでもなく。
 でも蔵書の紹介とかでは、新事実に気づいてちょっとびっくりしたこともあった。タネ本のこととか、中国もの以外ではあんまり研究されていない気がするので、誰かやってくれないかしらと他力本願なことを考えた。
 南洋関係では、現地の人々をさげすむ官吏たちに対して失望する敦…という展示には違和感をおぼえないこともなかったけれど、でもまあ展覧会で作家を批判することってあんまりないんだろうし、仕方ないとも思う。

 今回は中文の方と一緒だったこともあり、帰りに中華街に寄りました。飲茶の食べ放題で食べ過ぎて、また太る。

2009年07月22日

雪代鞠絵『honey』

 ちょうどつづけて読んだ記憶モノ小説その1。
 でも読んだのはたしか先月くらい。

 高校生の受けは、わけあって赤の他人である攻めに世話になっている。攻めは医師でゲイ、職場の恋人を家につれてきていちゃこらしてる。受けはそんな二人をうざったがるフリしてツンツンしつつも、ほんとは攻めがすきなのです。が、ある日いさかい中に階段落ちした受けは記憶喪失になってしまい、保護者だという攻めを信頼するわなつくわのスキスキ攻撃で、今までとは180度ちがう受けのかわゆさに攻めはくらくら云々。

 という、そんな表題作はとっても面白かった。
 攻めには恋人がいるし、自分のような子供は好みじゃないって言われてるし、受けはひねくれてツンツンせざるを得ない状況で。でもなんとか家事で役にたって、攻めの傍にいたい、というけなげぶり。そんなあれやこれやが記憶喪失になってすっとんでしまい、突然登場した攻めに最初は警戒するも、どんどんなついていくあたり、前段とのギャップがとてもせつなかわゆい。前段だけだったらツンデレお子様受けだし、あんまり感情移入できなかった気がする。
 手帳のこととか、記憶喪失になって家事ができなくなったり、甘いものに喜んだりするというエピソードがうまく活かされてて、とってもよかった。

 攻めは、受けの面倒を見なきゃ行けないのがめんどくさくって、かわいい受けに次第にメロメロになりつつ、でもそいえば受けのこと全然知らなかったってことに気づいて、普段の受けのけなげさやかわいさに気づいていく過程がとってもよい。結構ダメ人間なんですが(笑、受けの隠していたもろもろに気づいてすんごいおおらかになってしまうあたり、攻めの成長物語でもあるのかな。

 記憶が戻って微妙に気持ちは通じないまま終わっているので、続編が絶対ほしい感じなのだけれど、しかし続編はちょっとイマイチだった…。あたりまえかもしれないけれど、続編は記憶喪失ものではないし、受けが大ケガをしてなんかいっぱいいっぱいになってワガママしてしまうという感じなので、正直あまり好きなタイプの話ではなかった。受けのいっぱいいっぱいさもわかるけれど、でもワガママにふりまわされる攻めも気の毒で。甘甘な後日談も読みたい感じ。

 そんなわけでまあしかし、全体にはとっても面白かった感じです。

2009年07月23日

いつき朔夜『征服者は貴公子に跪く』

 没落して城を手放すことになったドイツ貴族。買い手は城をホテルにするつもりの日本のホテルグループで、あらわれた男は傲岸そうな色男。なんとか契約をすませたら、日本人がこの城は城主込みで買ったのだとかゆって、城をほんものらしくするために看板城主になれというのです。

 そこそこに面白い、かな、という感じ。かな、なんですな。

 お話は可もなく不可もなく、という感じ。ドイツ描写がちょっと多すぎて、雰囲気的にはよいのだけれど、後述するようにほかにもうちょっと筆さくべきことがあったんでは、という気もした。恋愛物語としては、やっぱりドイツ描写や城ホテル関連の話が比重高すぎるかなという気がした。

 あと、キャラが薄い。
 基本受け視点なので、受けの心情はまあわかるんだけれど、とりたてて特徴のあるキャラではない。結構保守的なとこ以外はふつうのひと。
 攻めはなんかもう、一見傲慢そう、けど受けのこといろいろ考えてくれるし結構子供っぽいとこもあってかわいくて、というよくある系のキャラで、それ以上でもそれ以下でもない。メルヘン好き、という設定はよかったし、その理由もよかったけれど、いかんせんそのあたりの描写が少なすぎで書き割りみたい。受けにいつどこから惚れてたのか、なんで惚れたのかもよくわからん。そういう描写のたりないキャラを、題名みたいに征服者とか、後編では騎士とか名指されても、なんかピンとこない。

 この攻めのメルヘン好き設定みたいに、なんか面白くなりそうなのに、あんまりうまく使われてなかったりさらっと流されてたりするネタがなんだかやたら多かった気がする。
 たとえば攻めの若き秘書と老齢の受け執事が、確執してたのがよきケンカ相手に、というのも面白かったけど、一味物足りない。秘書とかもうちょっとキャラ書き込んでもよかったのでは。
 あと、両親の事故から飛行機に乗れない受けが、攻めと外国旅行できないけれどドイツ内でも旅行できるし、と思ってたとことか、せっかくラストで文化の違いを体験するのだから、ああやっぱ攻めの国の文化をもっと知りたい、とか思ってもよさそうなのに、スルーだし。
 なんかそういうもったいない感というか、ちょっと構成雑なのでは感もあり、全般に凡庸な作になってしまってるなあという感じがした。

 ていうかタイトルも凡庸だよなあ。既に使われていそうな…「征服者」「貴公子」「跪く」という単語はBLではすごくありふれているし、その順列組み合わせでしかない印象。

2009年07月24日

カオスというかエントロピー過多というか。

 おおぉ~。コミスタの使い方が少しだけわかってきたぞ…。レイヤーウインドウを表示すれば、今まで困ってたことがいろいろ出来るんだな…。って、かなり今更!

 というわけで、やっと時間が出来たので、漫画を書きつつ部屋をととのえています。
 大きい家具は結構ネットで買ってるのですが、今日届いたクロゼットハンガー、板のサイズが合わないお…(涙。問い合わせ時間も終わってしまっているので、ちらかりっぱなしのまま寝るしかない。ほんとぐしゃぐしゃなのですが。

 ところでネットで何かを買う場合、ていうかネットじゃなくてもそうかもですが、基本的なモノ以外を買うときが結構たいへんなのですよ。基本的なモノ、たとえば机がほしい、とかベッドがほしい、とかなら検索もたやすいのですが、やっぱりそれだけではうまく部屋を整えられない。
 たとえば洗濯機の上がデッドスペースだから、なんか置きたい…でも賃貸だから穴あけられないし、狭いし、どうしたものか…と思ったところで、つっぱり型の簡易ラックを買えばいいんだな、と、まず必要なものの形態を自発的にイメージしなきゃなんない。そして、それを捜すにはどういう言葉で検索すればいいのか?ということも考えなきゃなんない。そんな調子だから、なんか発想力とか鍛えられてるかなあと思います。

 まあそんなわけで、必要なものを考えて買うのは結構たいへんだし、アズスンアズポシブルなのでちょっとめんどいのですが、単純にほしいだけのものは、ゆっくり時間をかけて納得のいくものを買おうと思っています。

 まずね、木馬。もちろんちいさい馬で、脚はロッキングふうでもトロリーふうでもどっちでもいい。あとね、夕顔の鉢。紫の夕顔がいい。そんで、ベランダに棚をつくりたい。あと、ベランダ菜園セット。プチトマトとかつくりたい。ベッドサイドにおくかわゆいランプもほしいな。あと、黒船屋の複製画。あんまり大きくても困るけれど、やすっぽくない印刷のがいい。

2009年07月26日

砂原糖子『ラブストーリーで会いましょう』上・下

 柴門ふみの作品みたいなタイトルだ。
 下巻の発売まで待って、一気に読んだ。面白かった。

 やや不本意ながら女性雑誌の編集部にいる攻めは、連載を引き受けてくれた超人気恋愛小説家の担当になったのだが、作家せんせいがへんなひとで、打ち合わせのたびにシナリオをファクスしてきて、ヒロインの相手役を演じさせられてのデートなのです。もともと自然大好き系元気でおおらかな編集者は、作家のへんな要望にふりまわされ、更にはきっちり予定くんで時間ぴったりに行動するありさまにハテナなのです。でもそういう強迫症には過去のトラウマがあったりとか、そのためもあって恋愛などしたこともする予定もないだとかいう作家先生に、編集者は次第に惹かれていって云々。

 へんなひと、特に恋愛不感症な主人公は好きだし、この受けもよかった。ただ、強迫とかトラウマにかんしては、へん、と言ってしまうのもひどいかなあという感じだし、むしろ本質的には不器用受けというかかわいそう受けなのだろう。でも印象としてへんなひと受けなのだけれど。
 受けの小説はどうやらまんま柴門ふみみたいな恋愛小説らしく、なんかあんま共感できなそうだなあ、とか思った。が、受け自身があくまでフィクションとして、仕事として書いているというモチベーションと、その小説に人生変えられたファンの温度差、そして彼の言葉で自分の恋愛に気づき始める小説家、という展開はベタながらよかった。
 あと、攻めにもらったマリモのエピソードとかもいい差し色になってた。

 攻めはわりとまあふつうの感覚のひとで、アフリカとか自然とか大好きとか、実は実家が結構なおうちとか、ありがちなキャラクタかもしれないけどいろいろな重層性もあって、いいキャラだった。

 お話はそんなこんなで、男で・しかもこんなへんな作家に惚れてしまっていっぱいいっぱいな攻めと、不器用で自分の気持ちにも周りの人の気持ちにも中々気づけない受けの、すれ違いな関係を中心とした話で面白かった。
 しかしこの梗概で上下巻って随分分量多いなあと思っていたら、結構脇キャラがよく出てきてて、攻めの同期の軟派なイケメン→オタクな外見の後輩とか、攻めの見合い相手のお嬢様とか、いいキャラが多い。
 特に、受けの家の向かいのアパートに住む恋愛体質なゲイのこは、下巻に看護士の彼氏との出会い編がかなり長く分量とられてて、これがまたいいんですよー。受けの大ファンで、恋愛がわかっていない受けに本人の著作をお薦めするとことかカワイイ。
 と、この話は、へんな受けのわりに、受け攻めふたりきりの世界、でないところがいいのだ(へんなひと主人公の話は、ふたりきり世界のが多い気がするし、そういうのも好きなのだけれど。長めで、けっこういろんなノイズ(脇キャラだけでなく、マリモとかも含めて)があって、でもそれが面白かった感じ。

2009年07月28日

雪代鞠絵『可愛い下僕の育て方』

 副会長さま×その下僕。受けはわけあって攻めの実家に居候、攻めの横暴にだまってしたがうやぼったいメガネのさえない子ちゃん。でも実は相当の美人で、攻めだけはそれを知ってて誰にも見せたくないし、いつか受けが自分のものになってくれたら…と乙女してる。そんなある日、受けがスーパーマンなフランス系クォーターの生徒会長さまに一目惚れしてしまい、攻めは気が気でないものの、会長に告白できるようにお前を磨いてやんよ、とか言って一人暮らしのマンションに連れ込んだりあれこれしたり。

 なんだかものたりなかった。すれ違いものとしても、ギャップものとしても、なんか足りない。なんだろうね。キャラの魅力とか、展開の面白さとか、なんかまんべんなく物足りなかった。

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 黒猫が野良犬から救ってくれた人間のところに人間化してやってくる『黒猫チビの夜想曲(ノクターン)』も途中まで読んだけど、なんかしんどくなって(特に後編)よみさし。

尚月地『艶漢』2

 絵はなんかどんどん作者の好みにつっぱしってる感じで、でもきっとその方が合ってる作家さんなんだろうな。傘屋は暗黒舞踏じみてきた気がする。

 お話はあまり進んでないけれど、普通に面白かった。けどちょっとなんというか、アラが気になったところもある。たとえば銅像作家の娘の男性恐怖症かつ筋肉フェチとか、ちょっといろいろ狙いすぎてとっちらかってしまったような印象があった。ミスリードを誘うような描写が多くて、それはいいんだけど、噛みつき魔の話とかはああそっちだったのねで終わりというか、絵描きの子は一体なんだったのだ。剥製職人もおじいさんは全く意味ないのかな。一回性の各事件と、兄やの話の兼ね合いも、バランスがちょっと悪い。
 あとネームというか、決めゼリフのたぐいがあんまり決まらない感じもする。もう少し語彙を工夫してもいいのではなかろうか。

 …なんか文句ばっかりですが、でも全体的には面白かったのですよ。

2009年07月30日

榛名悠『貴方が咲かせた恋の薔薇』

 モデルのバイトをしてる大学生の受けは、ある日痴漢に襲われかけてたところを図体のでかい攻めが助けてくれたのですが、行き倒れかけの攻めにご飯つくってあげたらなんか餌付けっぽくなってしょっちゅう会うことに。

 痴漢に襲われかけてた受けが、いくらたすけてくれたとはいっても攻めにいいにおいがするとかゆっていきなりキスされて、それでなんでご飯つくってあげるのか…さっぱり意味不明。その辺りがやはり(作者も受けも)気になるのか、攻めのキスは条件反射みたいなもんでとかなんとか説明されてるけれど、ぜんぜん共感できないし、ああ(悪い意味で)BLのお約束なんですね、としか思えない。
 受けの友だちづきあいが表面だけ設定もなんだったのか。攻めを受け入れたのは淋しいからでもあるということなのか。よくわからん。
 モデルをしてるようなイケメンの受けが、こんなに天然で鈍いのもなんだか似つかわしくない気がしてなんだかな。
 攻めはスーパーマン攻め設定で、でもなんだか全然格好よくない。

 全体に面白みを感じられず、どっかで面白さの加速が始まるのでは…と期待して流し読みしていったら、一冊終わってしまった。くそう。

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