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2009年08月02日

杉浦志保『SILVER DIAMOND』17

 ほんといつもぎりぎり入稿だ!反省するべきだと思う!

 初版をかいのがした…カラー口絵がない…悲しい…。

 ちぐさはずっと倒れてるし。
 ちぐさの記憶を守るためのラカンの提案がラカンらしかった。あと、ホシミノコトへの批判もラカンらしかった。ちょっと、もしかしたら最終的にはちぐさをラカンの世界につれて帰ることになるのかなあという気もした。
 灯二がかわいそう…。ひとりだし。この漫画はひとりきりじゃなければ大体なんとかなるのだが、ひとりだと逃げ道がないんだろうなという感じ。思い詰めないでいてくれればいいのだが。そして、はやく誰かが助けてあげてほしい…。

2009年08月03日

『JUNK ! BOY』9月号

 きのうの件ですが、冬水社コミックスの口絵はそもそも廃止になってたのね…気づかなかった…。

 初めてこの雑誌を買った。
 SEXPISTOLSのために。SEXPISTOLSのためにだ!
 …なんて久々の新作だ。そして、たったの16ページ…。

 それにしても、ジンジャー×マクシミリアンかー。
 なんかページ数足りなくて、説明不足でキャラまでちょっとかわってるような。
 ジンジャーのだめっぷりもマックスへのラブも表層なでただけという感じでもっと読みたいよー。マックスのぐるぐるな悩みも。ふたりのヒデクニラブとかももっと読みたい。

 マキヲはほんとうにどうしょうもないが、なぜカレンはマキヲと結婚したのか…。この二人編も(カレンちゃんが不幸せな話でないなら)読みたいけれど、BL誌ではさすがに無理だろうし、ていうかマキヲカレンより前にクニマサノリヲだのヨネクニいいんちょだの、読みたいメインCPがたくさんいるからなあ…。

 ていうかマックスとマキヲがそんなことになった経緯が想像もつかないのだが…。マックスが意外にも貞操観念はそんなにかっちりしてないということなのだろうか。
 あっ。マックスがそういう設定だったら、リチャードマックスも実はあったんだったりして。だったらいいな。

 アニメになるのはビックリですね。
 今までBL関連のアニメとかCDとかぜんぜん見聞きしてなかったのですが、SEXPISTOLSと生徒会長に忠告はさすがに気になります。
 ていうかなぜいいんちょ編なのか。ていうかCD版だとヨネクニは子安武人か…ん?公式サイトみると違うひとだね。声優さんよくわからないや…なんかもう色々想像がつかない。


2009年08月10日

戻りました。

 アーゥイエー。
 旅に出ておりました。
 今回も、というか今回は特に、ちょっといろいろたいへんだったのですよ。

2009年08月11日

パラオ。

 ということで、ここのところパラオに行っていたのです。
 今回はちょっととてつもない出来事があったのですが、まあ基本的には当初の予定通りのんびりすごしましたv

 パラオはJALのチャーター便なら四時間ちょっとでつくし、日本と時差もないし、よいところです。あっ、紫外線はめちゃめちゃ強いです。あっ、あと今は雨期で結構天気よくないです。
 ただ、ほかの南洋の島々とくらべると、あまり観光地化していなくて、それはよい面でもわるい面でもあると思うのですが、そんな部分も含めて、端的に言ってほんとうになにもない島国なのです。この国は一体これからどう変わっていくのかいかないのか、といろいろ考えてしまいました。
 あとパラオといえば中島敦なのです。光と風と夢なのです。と、思っていたのですが、まあ中島敦関連のものはなんにもなかったので、ちょっと残念でした。まあ当たり前か。

 というわけで正直言うと見所もあまりないのですが、火山灰による白泥がつもった海ミルキーウェイとか、ジェリーフィッシュレイクとか観たり、パシフィックリゾートのビーチで海遊びをしたりしてました。海はごく浅いとこ、それこそ波打ち際からすぐの場所に魚がいっぱいいたり、もうちょっといくと珊瑚やシャコ貝がいたりするので、泳げないあたしにも面白かったです。
 タクミくんに出てきて気になってたグラスボートにも乗ったりしましたが、そこの人にカクレクマノミはオスしかいなくって、群れで一番大きい個体がメスになるんだという話を聞いて、ちょっとやおい…ん?ていうかガチムチ総受け…?とか思った。素敵。

 ホテルはPalau Plantation Resortで、部屋はむしろコテージというかヴィラというかなので、広くて整っててとってもよかったのですvそれに小規模なとこなので、すんごくアットホームでスタッフさんみんな親切で…すんごいお世話になりました!(笑

 まあそんなわけで、ちょっと日本でしばらくゆっくりしたい。

2009年08月12日

宮脇明子『ヤヌスの鏡メタモルフォセス』

 今でも面白い漫画たくさん書いてる宮脇明子が、なぜに今更過去の遺産を~という気もしたし、続編で過去の作品がグダってしまう可能性もあるのでは~とも思ったのだけれど、けれどやっぱりすごくすきな作品だし、読まずにはおれない。それに、続編はどうかと思う反面、裕美&ユミのあの後も勿論ものすんごい気になるし。

 なのですが、実際にはまんま続編、ではなかったのでした。
 ヤヌスの世界のその後、という感じで、いくつかの事件のお話。裕美&ユミはいるようないないような…と、ぼかされている感じ。もちろんとっても面白かったですv
 でも、こういう内容で来られてみると、裕美&ユミのその後というか、新東や達郎とは再会出来たのかとか、なんだかますます気になってきてしまった…。

映画『GOEMON』そのた。

 プラティカルパさんで拝見したニュースをふたつ。

 大和田秀樹作『ムダヅモ無き改革』が、まさかのアニメ化決定!!
 …っていうか、2巻が出ていたのね。

 まゆたんこと新條まゆ先生が「りぼん」、「ジャンプSQ」にて新連載
 これねえ、ジャンプSQのほう、面白そうだから読んでみた。予想以上に面白かったよ。あのひと漫画うまいな。3回連載ということもあるのかもしれないが、すんごい盛りだくさんで豪華で飽きない展開。それにキャラがみんなかわいいというか、好感もてるキャラばかり。

 あとそういえば、行きの飛行機で「GOEMON」を見た。同行のSさんと、劇場で見るほどでもないけど気になる映画、という意見で一致した(笑。

 とにかく画がすんごいきれいだったー。町の風景とか九龍みたいなごたごたさで、ああいうの大好きだ。
 江口洋介はマスクするとすんごいカッコいいね!いや、語弊があるな、口元がダメだということではなく、顔全体で見るとどう見ても江口洋介なんだけど、口を隠すとちょっと匿名性のあるイケメンになって、結構汎用性があがる気がする。カッコよかった!
 しかし江口洋介よりも更に、青年時代の五右衛門がすんごいカワイくてよかったんだけれど、たぶんあたしはたんに、ああいうさわおみたいな髪型がすきなんだろうな…という気がしなくもないというかたぶんそう。
 三成は総髪ロングで服装も中国人ぽくてなんぞこれwwwと思ったけど、やっぱりかわいかった(笑。ところで要潤てジャニーズのひとだと思ってた…。

 しかし脚本はいまいちというか、よくわからないとこ(あれだけの身体能力がある五右衛門が、なんで才蔵を助けられないのか、なんで才蔵は三成をきらないのか、とか…あたしの読解力が足りないのか?)もあり、いきつく論理(五右衛門のいう「強さ」は微妙にわからなかった)もあんまりあたし好みではなかった。
 五右衛門と才蔵が半蔵の弟子で、信長に仕えてて、とかいう歴史遊びっぽいパラレル設定は、すごく面白いのになあ。でも佐助がカコワルイし最後もああなので、不満でもあった(幸村殿以来すっかり佐助贔屓です。

2009年08月14日

一日目。

 というわけで久々の夏祭りサークル参加だったのです…三期ぶりなのです!

 今回は相方マリィさんとゲストの蜂郎さんと、三人参加でした。とっても暑かったけれど、ちょう楽しかったですvていうかやっぱりサークル参加は楽しいですね!やる気とか萌えとかみなぎってきた。
 でも新刊は、PPが仕様になってなかったことに気づいて大ショックだったのです。うーん。デジタルデータの扱い方とか、オンデマンド印刷の短所とか、蜂郎さんともいろいろお話させてもらったのですが、結論の出ない悩みです。とりあえずは数こなして、手際とか要領よくしていくしかないかなあ。

 買い物はあんまりしてない。ジョジョはちょっと。あとは、リア総受け本とか…蟹山羊とか…。
 終了後は三人で飲みつつ語らいつつ、既にッ!冬のお話もしましたよ!画期的に早い!

2009年08月16日

三日目。

 ということで、夏祭り三日目にいちきました。

 カタログ見てたら結構まわりたいところが多かったので、少しは早めに行こうかと思ったのですが、だらだらしていて結局現地に着いたのは10時半過ぎになってしまいました。そんなんだったので、ちょっと気が焦ってしまったのですが、けど意外とすんなり入場できて、ほしい本もほとんど買えましたvそれはいいのですが、思っていた以上の出費で…気づいてみたら、かなりショックな額を使っていたのですよ…。コミケでこんなにお金つかったの初めてかもしれない…。
 本のことについては、また改めて!

 そんなわけで12時くらいには用事が済んでしまい、すぐ帰るのも淋しいから食事でもしていくか、と思ったところで折良くマリィさんから連絡をもらい、マリィさんとその先輩と合流させていただいて、軍関係とか見てちょっと飲んで帰ってきましたv

 あと、どうでもいいんですが、一日目三日目でピロTを計二人見ましたよ。もちろん自分もずっとピロTです(笑

 しかし、やっぱりコミケは楽しいですね。コミケが終わると、なんか夏も終わりかーって淋しくなってしまいます。そして、あたしってオタクだなあと、しみじみ感じてしまいます。
 さて、次は受かればJ庭、受かれば冬コミだ!

2009年08月17日

みなみ遥『迷える庶民に愛の手を』

 貧乏な実家のために、就職を考えお坊ちゃん高校に特待生で入った受け。特待生は学校の雑務をするという決まりがあるのですが、案の定その学年のVIP生徒のお世話係みたいなことになってるのです。雑務の内実を知って当初は仰天したものの、学費もただだしこれくらいは仕方ないよねと、ちょう金持ちの攻めのお世話にいそしむ受けに、次第に攻めは心惹かれて云々。

 この梗概からはベタな展開を期待してはいたのですが、あまりにもベタなのでちょっと手を抜きすぎでは…と思ってしまった。ベタでも、なんというか、こう、萌えさせてくれるような心の機微とか丁寧な描写とか、もう少しほしかった。

宴の後。

 そういえば、パラオ記でだいじなことを書き忘れていました。
 帰りの飛行機の離陸が、整備が順調で、なんと「早まりました」。あんなの初めての体験でした(笑。

 というわけで、コミケ三日目戦果。長いですよ。

 大和名瀬はひさびさにちんつぶだワーイ!…と思っていたら、ページひらいた途端に取手…取手…?岩淵神谷じゃないの…?と思わずしょんぼりしたけれど、やっぱり面白かった。取手話書かなければ話すすまないものね。岩淵神谷も進展してたし(笑。取手はなんだか前とは顔が違う気がした。
 鳥人ヒロミの習作コピー本も買ったのだが、そういえば彩おとこの続き読んでないや…!
 砂原糖子のスケコマシ×オタクメガネ本は、なんか攻めが最初の頃はあんまし一途でなかったのが残念だったのだが、オチはよかった。あのあと本編に戻るというのもいい。メガネがんばれ。言ノ葉の本は未読。
 大竹直子の高橋桐島シリーズは、ちょっと流石に薄かったなあ…。なんか別シリーズの商業コミクスが出るそうで、それで思ったのだが、この作家は基本的に絵がうまい人だと思うのだけれど、軍人を描くときはとんでもなく神がかっているというか、軍人以外のモチーフだと対あたし的な魅力が半減以下になってしまう…なんでだろう…。
 葛井美鳥のアラカルトは、最近なんか流石に薄くないか。漫画以外のページが多いというか、情報量が少なくてあまりお得感がない気がする…。
 天城れののメガネ生徒会長話が完結してた。でも未読。
 高尾理一のチェリー本はすごいよかった…!アメリカ人話(社長もカウボーイも)といい、やっぱりこの作家のこういう軽妙な雰囲気の話はすごくよい。
 月宮零時は本のサイズが小さいので、ちょっと困る…。内容はまだ読み終えてないけれど、なかなか濃くてうれしく思いつつ、しかし商業の内容の補完的なところもあり、ちょっとそれでいいのかなあ、という気もしつつ。
 和泉桂のとこは、売り子さんが丁寧で親切で、この作家の本を読破してるわけでもないライト買い手でちょっと申し訳ないような感じだった(笑。貴公子本は、かなり時間がなかったと書かれていたけれど、誤字脱字も多く、構成もちょっと雑で少し残念だった…。
 遠野春日は未読なのだが、砂漠のあれこれはまだ続くそうで、作者がすごく気に入っているCPなんだろーなーという印象だった。
 えすとえむは特に購入は考えずに覗きに行ったら、ケンタウロス本がすんごく気になって思わず買ってしまった。そして、すんごいよかった…!この作家の商業本に萌えたことはないのに、これはすごい萌えてしまって一体どういうことよ?ていうかあたしはやはり人外が好きなんだろうな…。
 六青みつみは「寄せては返す…」本がなかったので残念だった。
 阿仁谷ユイジは、コンビニエンスのプロトタイプ本が、やはりちょっといたい感じだった…。

2009年08月18日

ホームラン・拳『こんなネコミミ、好きですか?』

 表題作は魔法学園もの。パートナー制度があって、わるさをすると、その生徒のパートナーにネコミミがはやされちゃうのです。2CPそれぞれかわいかった。が、もっと読みたい…ものたりない…。ロンゲの先生の話も読みたい…。
 後半の別作品は、弟→幼なじみ→主人公の三角関係もので、これはちょっといまいちだった。幼なじみが自分に告白後、事故で記憶喪失になってしまうという話と、突然見舞いに来た弟が幼なじみへの恋に気がつき、しかし主人公は弟に負い目があってという話と、二つの話を盛り込んでるものの、なんだかちぐはぐというか散漫な印象になってしまっていて、何がメインだったのかよくわからなかった感じ。

阿仁谷ユイジ『カンゴク69』

 ナイチンゲールは夜に啼くは、出張イメクラで疲れた男達を攻めまくって癒している主人公が、母の担当看護士に一目惚れして云々、という話でベタながらなかなか面白かったのだが、よく読み返してくるとほとんどお話がない…。イメクラ描写がすごく長く、看護士がどういうひとなのか、看護士はなぜ主人公に惚れたのか、とかぜんぜん書かれてない。まあ問答無用の一目惚れ、というありようではあるのだけれど、それにしてもあんまりにも何もないので、広がりはない感じ。

 表題作は監獄のような予備校で、もともとゲイ?のこが同室のこに片思いしてたのですが、性欲のかたまりな相手もノリノリでそんなことに。ちょっとアホっぽいコミカルな話で、同室の残りの三つ子とかちょっと阿部さんに似てておかしかった。

2009年08月19日

葛井美鳥『蜜月メランコリィ』

 前作の『最愛アンビバレント』はパスしました。だって劉はヘタレ外科医とくっついてほしかったんだもの…。

 南の島編で、いつもどおり。山崎さんのアメリカ行きのオチがよかった(笑。
 しかしほんとこのシリーズがこんなにつづくとはびっくりですね。

水無月さらら『主治医の采配』

 またトンデモがキター。

 クォータのイケメンで将来有望な弁護士先生、新婚初夜翌朝、滞在先の香港で人身売買組織に誘拐され、アラブの某国王にご購入される。三年後、某国の内乱でなんとか逃げだしNGOに助けられて日本に帰国するも、背中には焼き印、髪は総白髪、しかも組織になんかされた脚は検査所見にも異常がないのにうごかなくって、というズタボロ状態。家族にはうとましがられ、妻を去らせて、もうやる気なし男の彼を見守るのは、元高校の同級生兼テニス部同期兼元妻の親戚という形成外科医。しかし医師もまた、高校時代に足をいためてテニスをあきらめてからは、情熱を失ったやる気なし男で、弁護士のダメっぷりにイラついてみせたりなんだりなのです。

 …わはは。
 まず、BLで女性との新婚初夜後から始まるという破格ぶり。そこから傲慢強引なシークが愛に目覚めるアラブものになるわけでもなく、帰国後医師の情熱ややさしさに見守られて立ち直りラブをはぐくむというのでもない、という数段にわたっての破格ぶりに、敬意を表したい。なんか、たんに破格というんでもなく、BLの王道パターンにわざとかすめてそれをずらす、ってとこがこの作者らしいというか、あざとくも面白いとこだなあという気がする。
 やー、ほんと、いろんな意味で面白かったですよ。こんなふたりなので、トンチキで波瀾万丈な始まりには似合わない淡々とした入院生活だし、受けのドラマチックさに焦点化するでもなく、ふたりがそれぞれにやる気を持ち直していくありようがメインだし、その流れも淡々としていながらも、しかし興味深いという。

 挿絵も今BL絵師さんでは最も信頼できる絵師さんの一人、だと勝手に思っている小山田あみで、きれいでうまくってとってもよかったv

 難点といえば、受けの…なんというか、オノマトペがちょっと風変わりで…。
 あと、脚の治療場面は先端恐怖症気味なあたしにはワーでした。それにからんで、オチも面白くはあるんだけど、ちょっとワーなのでした。

2009年08月20日

水原とほる『氷面鏡』

 事情があって離れて暮らしていた双子の兄と、中学に入ってから再会して、それからべったりくっついて暮らしてきたのですが、興味半分みたいなかんじでそうゆう関係になったのです。が、高校生になって弟は罪悪感を感じはじめ、もうやめたいと思うものの兄は全然わかってくれなくて、ずるずるそうゆう関係が続いているのです。そんなこんなで家に帰るのがいやで公園でぼーっとしていたら、裏手のマンションの大学講師と知り合って云々。

 なんかどのキャラも好きになれなくて、読むのが苦痛だった。
 主人公からしてよくわからん。唐突に罪悪感にめざめた理由とか、そもそも性格とか、よくわからん。攻めを好きになったのも、やさしくされたからってだけなのかな。
 兄はまた、弟への執着とか感情的すぎるとことか、事情などから同情すべき部分があるにしても、正直気持ち悪いし全然好きになれない。なので、弟が兄を切れない理由も、双子だからとか、かわいそうだからとか、状況面からしか理解できなくて、兄自身の魅力はぜんぜん感じられないので、兄は勿論、弟にも感情移入できない。
 攻めは攻めで、ちょっとだらしなくて、そこそこ優しい大人の人…つまりごく普通の人なので、どうも思い入れもないし、主人公が攻めに惚れた理由もわからないし、攻めが主人公に惚れた理由もなんだかよくわからないままだった。

 どうでもいいんだがこの攻め、いくら京大出だからといって、史学系で修士卒、三十代半ばで大学講師、しかもどうやら一つの大学で数コマ持っているっぽいし…更に、既に著作が数冊って…化け物みたいな優秀な学者だなあ…と、意地の悪いことを思ったりしましたが。

大和田秀樹『ムダヅモ無き改革』2

 雑誌で何回か読んだらあんまり面白くなかったのでそれほど期待していなかったんだけれど、まとめて読んだらすごい面白かった…!!

 政界引退を考え中のジュンイチローが、バチカンで地上最強のあのお方と対戦、宇宙より来る敵の存在を知って云々…。
 …。
 …教皇が似すぎているwww
 プーチンはカッコよすぎるww
 ティモシェンコはそのキャラでいいのかwwていうか一人だけ萌えキャラww
 そしてなにしろ、月面上の第四帝国がヤバすぎる。月面に降り立ったNASAが見たものと、アポロ計画の頓挫とか、すんごい可笑しい。

 ていうかこれアニメ化するそうですけど、一巻はともかく、この二巻は教皇と第四帝国とがマズすぎる気がするwwどうするんだろう!

2009年08月21日

蛇龍どくろ『シュガーミルク』

 こないだこの作家の作品をはじめて雑誌で読んで結構面白かったのでコミクスも買ってみた。
 短編集、ちょっと傾向も雰囲気も出来もばらつきがあって、全般的に完成度がいまいちというか。あとがきにスランプ時期があったみたいなこと書かれてて、ちょっとがっかりしてしまった。

 表題作は、ゲイ→ノンケのゲイが及び腰でノンケのほうががんばる感じで、特に可も不可もなく。カラオケ屋バイトの頃のゲイはちょっと色っぽくてよかった、というくらい。
 先生と天才児の話とか、犬を介して知り合う話とか、短編にしても雰囲気だけすぎてお話もキャラも書かれてないので面白みも萌えもなく。
 先輩とかわゆい後輩の話はちょっとよかった。これに限らず、この作家は高校生ものが読みたい気がする。

大竹直子『しのぶれど』

 『白の無言』の高橋&桐島の幼年・士官学校編というか、パラレル編というか。
 結構前に買ったのですが、高橋桐島話は同人誌でほとんど読んでいたのと、併載の特攻隊ものはちょっと重そうで手をつけていなかったので、感想を書くのが遅くなりました。

 同人誌の総集編なので、小話の連続で、特にまとまったお話はまだない感じです。でも軍人言葉とか同時代の様子とかからかもしだされる雰囲気は、個人的にはとってもよいなあと思います。
 が、そういう内容面のことはまあとりあえずよくって、もうもうもう、ともかく大竹直子の軍人というか、正確には美メガネ軍人桐島(大事なことなので太字にしました)が、こうしてまとめて見られるだけで、このコミクスは値千金なのです!とにかく桐島は素晴らしいメガネなのです。ファービラスなのです。

 というわけで、メガネもしくは軍人がお好きな方は、買ってそんはないと思いますv(笑
 …ん?
 まだ学生なのだから、正確には軍人ではないのか?まあいいか。

 一方の特攻隊ものですが、BLで特攻隊ものというと、本仁戻の「桂」くらいしか思いつかないのですが、正直不謹慎なような気もしてしまいます。が、ほんとに不謹慎なのか、またなぜ自分は不謹慎だと感じるのか、という点はもう少し冷静に考えたほうがいい気がしています。というのは自分のための備忘メモですが。
 それにつけても、特攻隊といえば思い出すのはあれです。目取真俊の「風音」です。不謹慎かどうかは別として、こういう話形がつながりやすいということはあるのかもしれないなあとも思うのです。

2009年08月22日

市村奈央『恋愛たまご―神崎史朗(25)の場合』

 たまごから生まれた天使は、名前をつけてくれた御主人様のドキドキとトキメキで成長し、御主人様の恋をかなえてくれるのです。が、御主人様になったメガネリーマンはクールで恋とかしたことないしする予定もないし、なんかかんかかまってくる元気な同僚もうざったいだけなのです。

 最初の話は、面白げな設定だし、恋ができないリーマンと、そんな御主人様でドキ☆メキがもらえなくって、でも御主人様のためにがんばる天使、リーマンに惚れてる同僚と、その天使とで、そこそこ面白く読んだ。けど受けの隣家の当て馬イタリア人とか、攻めの先輩に受けが嫉妬とか、後半だんだんつまらなくなって流し読みしてしまった。
 ていうかこれ、基本設定は明神翼がつくっていたのね…そういえばなんかリブレのどっかで見たことあるような気がしてきた…。
 面白く読めたのが最初の方だけってことは、つまりこの作家の作品としては、あたしにはいまいちだったということなんだろうな…むむむ。

六青みつみ『寄せては返す波のように』

 随分間が開いてしまいましたが、一月以上前に読んだ、ちょうど記憶モノ小説その2(その1もあったのです。
 書きたいことが多すぎて感想を後回しにしていたので、かなり長いです。
 そして、前言は颯爽と翻し、これはきっと今年のステキBL最有力候補!たぶん!
 
 地表のほとんどが水没し、人類は海底都市にほそぼそと暮らしており、更に流行病のせいで女性が減ってしまった世界。
 エリィことエルリンク・クリシュナは、流行病の特効薬をつくった科学者で、この世界を統べる研究所の所長になっている。養子のショアを研究に利用し、またその身体をもてあそんでもいたことで彼に去られてしまい、はじめて彼への思いに気づいたのだが時既に遅く、失意の日々を送っていた。
 ある日研究所の清掃員にショアによく似た少年を発見し、なんとはなしに自室に呼びつけたところ、ルースという名のその少年は不幸な事故によって記憶に障害をもっており、小一時間程度の記憶しか保持できないとのことだった。
 傷つけられようが何をされようがそれを記憶できないルースを利用し、エリィは彼にショアの身代わりをさせてひとときを楽しむようになるのだが、何度会っても初対面でしかないルースに次第にとまどいはじめて云々。

 こういう記憶障害ものって結構恋愛物語ではありがちなんですかね?個人的にそういうのをあんまり読んだことがないので(あっ『明日も愛してる』さえまだ積んでるんだった!)この作品の出来について他と比較しては言えないのですが、とりあえずすんごく面白かったし、よくできてると思ったし、萌えた。

 お話としては、とりあえず、非道な攻めが改心し、跪いて受けの愛を乞う…というのがメインの話ではなく(そういうのも大好きなんですけどね、改心はわりと早めで、しかし受けの記憶障害その他のために生じるいろいろいろな障害を乗り越えてく、という感じで、全く飽きさせない構成だと思います。

 ルースはけなげな少年で、正直あんまりあたし好みなキャラではないのですが、いいこなんですよー。
 それにやっぱり、記憶障害の設定はとてもせつなく、どうしても感情移入してしまう。エリィの気持ちがショアにあると思って泣いて家を飛び出してきたのに、悲しみの理由を忘れてしまってなんでだっけ?と思いつつ泣いてるとことか、とてもせつなくてよいのです。
「おれはあなたが好きだよ。でもあなたに、こんなふうに特別に扱ってもらえる理由がわからないんだ」「ルース…」「あなたがおれを好きになる理由が思いつかない。教えてもらったかもしれないけど、おれ、忘れてしまうから…」
 ああぁ…せつない!
 エリィはダメダメだけれど(笑、なんかかわいげのあるひとですね。サンドイッチからソースとかこぼすとこが可笑しい。高級だけれど淋しげな猫みたい、というルースの評がなんだかよいです。
 銀髪のキラッキラなキャラというのもいい。メガネだし。ていうか、ルースも金髪なので、キラキラカップルだなあと思った。

 さて、記憶障害のルースとエリィとの恋愛にはいろいろな示唆が含まれているんだろう。
 自分にとってルースがどれだけ大切な存在なのか、伝えるたびに愛しさが増してゆく。
 このように、どんどん忘れていってしまうルースに何度も思いを伝えることで、エリィの思いが降り積もり豊かになっていく…というのは、とても淋しくけれどあたたかいことだなあと思う。
 エリィの愛が豊かになっていく一方で、ルースの中にはエリィの愛情は蓄積されていかないという意味では、エリィの恋愛はある意味永久に独り相撲である。けど、恋愛って結局それでいいんでは?とも思うのだ。
 他者とは永遠にわかりあえないんだとわかった上でそれでも関係をつづけていく、というテーマがここしばらくずっと好きなのだけれど、エリィとルースの関係もそんなところがあると思う。
 己の非を認めて許しを乞うそして感謝や愛おしさといった気持ちを、相手にきちんと伝えてゆく。愛情や信頼関係というものはそのくり返しで築かれていくものなのだと、この歳になってようやくエルリンクは気づいた。――ショアと、目の前の少年に教えてもらった。
 ルースの側で受け入れてくれるのか、蓄積してくれるのかというのは、重要なことだけれども、たとえそれがかなわずとも、エリィは「何か」を積み重ねて生成していく可能性を持ち得ているんだろう。
 まあ、独り相撲の恋愛というのは、一歩間違えればストーカーになってしまうのかもしれませんが…(笑。

 ルースの側からもいろいろ考えられる。
 ルースは毎朝エリィという恋人に新しく恋をする。そして、
 朝も昼も夜も、時間があれば手帳の記録を読みふける。思い出を蓄積できない脳の代わりに自分が書き連ねた詳細な記録を読むことで、想いが募り胸が熱くなる。
 こんなふうに、エリィとの恋愛の積み重ねを常に覚えているためには、常に手帳を読んでいなければならないのだろうけれど、それは不可能だし、そんなことをしていたら逆に目の前のエリィを見失ってしまうだろう。だからルースにとって手帳は記憶の代わりであってとても大事なものだけれど、けれど一番大事なものではないのだ。それこそ、エリィのために手帳を捨ててしまえるほどに。
 だけれどきっとこれって記憶障害をもつルースに特有の問題に見えて、実は記憶の一般的・本質的な問題でもある気がするのだ。そもそもルースは記憶障害だとされているけれど、ではどれだけの期間分の記憶を保有すれば「健常」なのか?というのは恣意的な定義でしかないのだし。

 そんなわけで、ルースとエリィにとって、つみ重ねていく記憶というのはとても大事であって、でもそれほど重要ではないというアンビバレントなものだし、そうした記憶のありようは、実はこの二人に限らないことなんではないかと思わされるのだ。記憶の軽さと重さか(笑。そうした二律背反な記憶のありようを、この作品はとってもうまく書いていると思う。
 後日談もふくめた終わり方がとってもあたたかい雰囲気なのも、とてもいいなあと思う。ルースの記憶障害は、本質的な部分では決して悲劇ではないのだ、という。

 あっ、タイトルもぴったりですごくいいと思う。
 藤たまきのイラストもぴったりでいいと思う(笑、絶賛気味ですかね。

 ところでこの話は、ショアのお話『蒼い海に秘めた恋』の続編だそうなのですが、こっちはあんまし惹かれなかったので未読…そして、エリィ→ショアなお話は、すごく気になるけれど今さら読めないだろうなあ…(笑
 とりあえず、更なる続編は無理としても、エリィルースの二人のお話はもう少し読んでみたいです。

2009年08月25日

香坂透『お金がないっ』8

 そのうち読むかと思っていたんだけれど、なんかもう読まないような気がするのでまあいいかと。

 久芳兄→綾瀬でほぼ一冊、というのは個人的にぜんぜんうれしくなかったのだが…萌えどころがわからない…でもこのCP?人気あるんだろうなあ。
 というわけで流し読みしてしまった。

水原とほる『愛の奴隷』

 建築事務所で働いてる受けは、小児麻痺で片足の発育が悪く、中学校でいじめから助けてくれた攻めが好き。攻めはヤクザの一人息子で、家と離れたくて外資系の不動産会社で働いてて、受けの部屋を訪ねてきたりリハビリセンターに送迎してくれたり抱かれたりでうれしいのですが、自分達はいったいどういう関係なのかしら。そんなおりに攻め実家の跡取り問題が浮上して、攻めも狙われたりなんだりときなくさいのです。

 うーん。
 自分は攻めが好きだけど、攻めは自分に同情してくれてるだけ、もしくは暇つぶしに手っ取り早くしてるだけ、だから思い上がらないようにしなきゃ…とか、受けが延々と卑下してる状況が全体の四分の三くらいをしめる。
 残りは受けが悲惨な目にあう感じなのだが、これがまたこの作家なので結構エグく、エグいわりになんというかその後の展開もあんましすっきりしないというか、いやな感じが残った気がする。

 受けが卑屈なのも臆病なのも理由はあって、それは不自由な脚による引け目なんだけれど、逆に言うとこの脚の設定は受けの卑屈さ以外というか、お話の筋にはぜんぜん関係ない気がして、ちょっとどうなのかなあとも思ってしまう。
 なんだろうね、かわいそう受けは好きなんだけれど、この受けはそういう理由はあるにしても、周りを全然見ようとしないし、あまり好きにはなれなかった。
 そんな受けの視点で語られているので、攻めはそっけないふりして実は受けが大好きなんだろうな、ということ以外はよくわからん。

 そんなわけで、お話もキャラもいまいちだったので残念。
 水原とほるは『青の疑惑』が気に入って、いくつか作品読んでみたけれど、あんまりあわないのかもしれない…。

2009年08月27日

宝井さき『ロナルドの野望』

 軍服の表紙で、しかし描線も塗りもなんというかこなれきってない感じというか、なんか若干不安をおぼえたのですが、結構面白かった。

 しかしあれです、特に初めて読む漫画家さんとかは、画でクオリティを主観的に推測することが多いのですが、結構当たる気がします。
 というのも、よくもわるくもこの作品は、まっとうな軍人ものではなかったのです。
 冒頭あたりでは、言葉遣いとか立ち居振る舞いとかがあんまりにもぴしっとしてなくって、正直ガッカリしてたのですが(やっぱり軍人ものにはそういうところにビシッとした描写を期待してしまうし)、これは軍人ものではなくってなんちゃって軍隊ものだし、主眼はそこではなかったというか。

 というわけで、ちょう厳しい大尉にいびられまくりの一等兵、なんかかんかあって大尉にラブなんですが、いつもムチでしばかれまくりという話で、簡単に言うとヘタレ部下→ドS大尉なのです。
 ドSが結局受けになるというのはちょっとめずらしいですね。前述のように、設定とか軽めだしコメディだし、ライトに楽しめる感じです。
 あと結果的にドS受けだけれど、最初は見た目的には大尉×一等兵というか、つまり大尉の体格がよいので、ドS受けがしっかりした体型というのは非常にポイント高いのです!

 併載の部下×上司の無理矢理愛ものも面白かった。
 攻めはほとんどストーカーなのだが、ぜんぜん悪びれないのが可笑しい。

2009年08月28日

墨蜘ルル『華と蝙蝠』

 吉原のすみっこの「蝙蝠」の主人は、ある日あやしげな女衒から武家の出っぽいあやしげな少年つーか青年を売り込まれ、手をつけようとしたらいきなり手合わせを申し込まれ、結局用心棒扱いで側に置くことにしましてなんだか事件の影が?

 短編二本プラスおまけ一本で、そこそこ面白かった。
 下品でちゃらちゃらしててヘタレ、でも実は裏家業をもつ蝙蝠と、武家の出ながら家族運にめぐまれずに家を出ざるを得なかった武士が、不器用ながら惹かれ愛というか。
 なんで蝙蝠が武士に入れ込んでるのか、武士が蝙蝠に惚れたのかはよくわからない。理由はないのかもしれない。でもまあ互いに出会うまでの孤独とかはいろいろ書かれてるので、まあ運命の出会いだったのねという感じ。
 前半の終わりに蝙蝠の本名がほのめかされるのだが、あたしにもすぐわかる感じで後半読んでああやはり、となった。

 文章がいまいちうまくない。呼応がしっかりしてなかったり、短文羅列&改行とか、ウェブ文体ぽいとこもある。あとなんか時代考証的にときどきエーなんですが、あまり気にしないほうが幸せ。
 金ひかるのイラストは、よくもわるくもすごく無難なんだよなあ。かわいいし。武士が少年ぽくて華奢なのはちょっといまいちだった。

2009年08月29日

車折まゆ『コル・レオニス-獅子の心臓』

 なんかごく短期間ですごい絵が変わったのかな。前はちょっと捨井タスコ風というか、七十年代みたいというかだったけれど、だいぶ洗練された感じになってきて、今度はちょっと寿たらこ風味を感じるような。口の書き方が一番気になっていたのだけれど、今の絵柄ならあんまり気にならないかも。

 内容は短篇集で、最初の数本は脇キャラでつないでいくオムニバスみたいな感じ。
 漫画家のアシ×漫画家の弟、元同級生同士の編集者×漫画家とか。
 表題作は編集者の兄の弁護士×顧客のわがまま坊っちゃんで、書き下ろし。レグルスは…リアだ!リア萌え!しかしそれは全然関係ない!
 ちょっとなんというか、全体にやはりオサレ系というか、萌えよりも凝った設定とかが優先されてる印象がなくもないけど、そこそこ面白かった。

2009年08月30日

空知英秋『銀魂』29

 そういえばこれも出たときに読んでたんでした。
 実家に置いてきてたので忘れてた。

 たまの話はちょっといまいちだったというか、銀時の顔した勇者が基本真面目なので、シリアスになりがちだったのがいまいちだった気がする。
 真選組の拷問話は面白かった。…沖田が土方をいじめすぎない話が好きだ、たぶん。
 エレベーターの話は銀魂らしい話だと思った。

山中ヒコ『王子と小鳥』

 わー!面白かったというかかわいかった。こういうの、なんだかすごくすきなのです。ゆるゆるコミカルで、かわゆい雰囲気で、なのにせつない。

 おじいちゃんの借金のかたにアラブに売られた美大生。日本人の女の子じゃねえのかよ、とか怒ってる皇太子をみかねてか、弟王子が引き取ってくれる。ぜんぜん言葉もつうじないまま、ポ○モン大好き第三王子らをまじえてなんとなく暮らしてるうちにそんなこんな。

 冒頭とかトンデモBLで(笑、はしばしがすんごくゆるい。絵もゆるい(笑。
 でもなんだろうなあ、なんだか好きなんだよなあ。確かにいろいろゆるいけど、洒脱さオサレさをめざしてる感じではないし、ちょっとデッサンは不安になるが、まだぎりぎり雑ではない感じ。だからうまくコミカルかつファンタジックでリリカルな雰囲気を作れている、と思う。
 表紙絵もリリカルでいいなあ。あんましBLぽくないけど。口絵もすごくよい。

 言葉が通じないってのも実は結構めずらしいのかなあ。言葉が通じないまま、ふたりがなんとなく交流していくありようとかもうまく書いてて、王子が受けを好きになったと言ったときにそれがわかってしまう伏線とかいい。そんなに凝ったことしてるわけではないんだけれどやっぱり巧いなあと思う。

2009年08月31日

鳩村衣杏『傍若無人なラブリー』

 映画配給会社の先輩の弟は、イケメン俳優×王子っぽい後輩。
 攻めがマンションの同じ階に引っ越してきて、なんか兄べったりだし感じよくないしかかわらんようにしよう、とか思ってたらなんか懐かれて、あれ?結構素直でかわいいし、なんか感受性も面白くて惹かれてしまいますわ。

 なんかなーーーなんだろう???
 やっぱりこれも、鳩村衣杏はどうしちゃったのだ、なんですが…なんかこんなことばっか言ってる気がする。最近のガッカリ感はただのあたしの主観なんかなあ、とも思っていたんだが、アマゾンヌのレビューにもそのようなこと書かれてる方いるし…。うーん。
 あ、ただ断っておきたいのは、くれぐれもあたしは文句付けるために読んでるんではないということで、梗概読んで期待して買って読んでるからこそ、こうして愚痴りたくなってしまうのです…。

 やはりごたごたいろんなキャラやモチーフ詰め込んで、それらがうまくバランスとれてない、というダメパターンが何作かある気がする。
 この作品もそういう感じで、この配給会社周辺には他作品のCPが大量にいるらしく、なんだか知らない人が我が物顔でいっぱい出てくる感じ。

 攻めはかわいいけど結構ワガママ…ていうか、そのかわいさが、書かれている以上にはわからんというか。あんなイケメンで兄のことを兄ちゃんとかゆっちゃうのカワイイ、とか受けが思っているけれど、それは同意できるけれどそれだけよね、という感じというか。
 受けはオタク・ハーフの美形・にこにこ笑顔の調整役、と設定がごたごたしていて、想像しづらい。オタク設定は宝石会社社長との話とかでいろいろ出てくるけれど、この設定なくても話的にもキャラ的にもあんまし影響ない気がする。むしろ、なんとなくオタクっぽいモノローグが、ちょっとウザキャラ気味になってしまっている気がするし…。なんとなくオタクっぽい、ではなくて、がっつりオタクだったら、むしろよかったのかも。にこにこ笑顔じゃなくって、コミュ不得手とか。王子顔で挙動不審とか。

阿部あかね『奪われることまるごと全部』

 ドSDV美人×浮気症メガネヒゲ。
 もしかしたら萌えるかも、というか美人攻めはいいよね…と思ったんだけれど、やっぱり浮気性だけはどうしてもダメだな…。
 受け、自分は浮気性で攻めの浮気はゆるさんというのはぜんぜん感情移入できないぞ…。
 攻めも受けへの「躾」にあまり愛を感じないぞ…。
 こんなつきあい方でまだ高校生というのも違和感…。あと、高校生がタバコ吸う描写はBLでもそろそろ排除してほしい…。

 放浪癖メガネ従兄弟がやってきた夏の話は、なんで互いに惹かれたのかよくわからんかった。

 全般になんだか突飛な設定や展開だけで書いてる感じで、キャラにもお話にも感情移入できないという前に面白みを感じないし、萌えも感じなかった。何を売りにしようとしているのか…。
 あ、でも絵は身体のデッサンちょっと不安だが、顔とかは上手いし魅力はあると思う。

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