本仁戻『耽美主義』
今週はとくに忙しかったのです。
随分間があいてしまいました。あんまり本も読んでいませんが。
本仁戻の耽美方面の志向はあんまし(他の志向ほどには)すきじゃないかなあと今までは思ってたんだが、やっぱりあたしは本仁戻が好きで、あと耽美的なのも結構すきなのかもなあと思いつつ。
しかし、このタイトルはなあ…(涙。こんな直接表現、ぜんぜん耽美じゃないと思うのだが…。耽美の追求よりもデクラレーションをしたかったんだろうか…。
「ヴィスコンティの映画のように」純文やめて推理小説書いてる作家がみそ汁の上手な美少年家政婦を募集したら、ちょっとトウのたった美青年がやってきて云々。
耽美というか、耽美的なふんいき礼賛というかんじ。ちょっとついていけない。あとがきにいうこの人中二病なんだわ感が一番強い話。しかしイマイチ感があるのは、ヒゲの作家が顔がいまいちでキャラ的にもびみょうだからかもしれん。耽美な文を書く作家が、しかしすごく普通な感じなので。でもだからこそ夏が終わっちゃったという話なんだろうな。ミスくんはイイ。メガネだし。
「ロマンティック」華族の男×ドイツから連れ帰った執事。親族に妻、使用人と周囲すべてを敵にまわしてプラトニックを貫くふたり。
これだよなあ。これは凄い。凄みがある。本仁戻のこれまでの作品の中でも、1、2を争う傑作なんではなかろうか。アンハッピーエンド嫌いのあたしではあるけれど、本仁戻という作家という部分をさしひいてもこれはいい作品だと言える。
旦那様が、執事にすべてを捨てさせて忍耐をしいているズルさでもって、そんで適当に美形で、すごくカッコよくはないので、この微妙なさじ加減がとてもイイ。執事はオーソドックスにアーリア系美形で、しかしそういえばやはりメガネ…。
あとがきによると、この二人の連載がはじまったそうでワーですよ。ゴールドの次の号がもうでてしまうので、該当号は書店でみつからないからアマゾンで注文しましたよ。しかしグランギニョルってフランス語じゃなかったっけか。あと、やっぱ連載でも結末はカタストロフなのか。破滅に向かっているとわかっていながら連載を追うのはきつそうだな…。
「浄められた夜」姉の夫×金持ち一人娘の血のつながっていない弟。さんざん苦しまされた姉が亡くなって、その夫と同居しつつ彼を恋いつづけつつポルノを書く弟。
これ前にアンソロで読んだんだが、オチ理解してなかったや…。ちょっと筋が弱いし、キャラ立てもいまいち弱い気がする。シェーンベルクはよくわからない。あれ?これも受けがメガネか。
「ヘタリマ!」義理の兄×弟。弟の痛みをひきうけたり、オッドアイだったりする兄の正体は云々。
これなあ、コメディタッチだけれど耽美にも読めるし、タイトルなんとかしてほしかったなあ…(笑。モノローグまでしっかりヘタレでいい。あとヘタレだと思ってたリーマンが意外とアレなのはBLらしいといえばらしいのか、と思った。あとリーマンがメガネ。
「コロシヤドロップ」殺し屋を廃業した飴屋の元にお仕事が云々。
ヤター。やっとコロシヤドロップ読めたよ。本仁戻らしいコメディですね。BLではないけれど。
「侵食する死のガスパール」ヘタリマ兄弟の小説。…やっぱり漫画のほうが好きだ、すみません。
結論として、本仁戻の耽美はイコールメガネなのではないかと。や、あたしもすきですけど。メガネ。
コメント
私も読みたくて、先日アマゾンでこの単行本を注文したら「本が入手できない」といわれて、いま8月の頭まで待たされています。
レスをみると、「おもしろい」と結構評判がいいみたいですが、天下のアマゾンが入手困難とは、なぜなのか。。。
もうお読みになってる方々がうらやましいです。
投稿者: あっこ | 2009年07月23日 21:49
>あっこさん
こんばんは、書き込みありがとうございますv
おおぉ、本当だ、アマゾンで品切れになっていますね…。初版の部数が少なかったのでしょうか…。
早くお手元に届くといいですね。
本仁ファンならきっと大満足、の一冊なのではないかと思います。ファンではない方にも、きっと何かしらおおっ!とくるものがあるはず…と、思っています(笑
投稿者: クロエ | 2009年07月24日 23:10