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[ 読書/BLコミック ]

日高ショーコ『憂鬱な朝』1

 ジョルノはベックが好きなのか…。

 この作者は今一番好きな作家の一人です。
 大正子爵×家令ですよ!

 幼いころ父母をなくし、爵位をついだらなんか怖い家令がすべてをとりしきっていて、いままで宮家筋の母の影響でのんびり暮らしてたのが一転ちょうスパルタ教育がはじまりますよ。家令はもともと分家の三男なのですが、すごいやり手でもあるので、子爵は彼にみとめてもらいたくて頑張ってるのに、家令は厳しいだけではなくてなんかすごいつめたいのです。それでもがんばりる子爵はやがて学習院に進んだ頃、家令が冷たい理由たる過去の確執を知って云々。

 子爵はいっこもわるくないのに、家令につめたくされるわ、分家にも責められるわ、お話としては不条理なかわいそうさ加減なのですが、時代背景的にこうした境遇を〈生まれ〉による運命として受け入れざるを得ないので、すごく気の毒だけど仕方がない、という状況が立ち上げられています。でもそんな中でも自分のせいじゃないよ、とか言わない、素直でまっすぐに育った、すんごいよい青年なのです。一人称「ぼく」だし(笑。これは感情移入せざるをえない(笑

 家令もまた気の毒でもあるのだけれど、前述のように子爵がちょういいこなので、わかってあげて!と思ってしまう。BLなので、恋愛関係の成就がイコール子爵への理解にもなり(どれくらい理解できるのかはわからないが、すくなくとも子爵のほうでは理解された、と感じることになるだろう)、そして家令自身の幸せにもなる、わけなので、つまりはやくくっついてしまいなさい。

 絵はほんとうまいなあと思う。構図やコマの使い方をふくめた漫画絵としてとても巧い。あと微妙に足がいつもより短めな気が…これは偶然ではなく、時代物なので、そんなとこまで気をつかって描いてる、という可能性が高い気がする。

 時代やキャラの設定、その設定の使い方のうまさ、もどかしい物語、絵のうまさと、もう個人的には非の打ち所がないくらい(ただしハピーエンドでなかった場合、かわいさあまって何とやらで、この評価がすべからくひっくりかえる可能性があります。
 続きが楽しみ。

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