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2008年03月04日

高河ゆん『LOVELESS』8

 またデスマーチしてましたよ!?なんでいっつもこうギリギリなのかね!?

 なんか限定版かいのがしたみたい。アマゾンで買おう…二冊になるが。

 前の巻の話をほとんど覚えていないので、いきなり律と清明がいて驚いた。

 清明と立夏の再会は結構あっさりしてたけどやっぱり面白かった。
 清明はあきらかにやなかんじ、恐いとかきもいとかすべてふくめてやなかんじなのだが、というのは登場したときからかわんないのだけれど、立夏があれだけなついているからには、立夏にはいい兄だったのかなあ、と最初は思ってたんだけど、この前の巻の小冊子では立夏と話してるときも(読者目線では)やっぱりなんかやなかんじだったので、今の時間軸でふたりが再会するのはとても楽しみだったんだよね。
 で、清明は立夏と相対してもやっぱりやなかんじで、立夏は彼を疑いつつも、まず脊髄反射のように「よかった」と再会を喜んでしまうのがやっぱりでもあり意外でもあり。

 あと、二人が再会したら草灯はどうすんだ、というか、作者は一体どうするつもりなんだろう、っていうのも気になってたんだけど、まあ清明への対応はセオリーどおりにしても、立夏への甘えっぷりはいよいよドヘタレ鬼畜だなあ、という印象だった。
 ところであたしは高河ゆんの物語はわりと純粋に(何をもって純粋、とするのかさだかではないが、あたしの体感的には純粋なかんじ)楽しんで読んでいると思うのだが、一方ですんごく作者の目線も意識して読んでるようにも思う。なぜかはよくわからないけど。

2008年03月06日

乃木坂太郎『医龍』16

 …霧島!なんだよなあ、とにかく霧島。
 加藤はなんか選挙の計算してるし、朝田は執刀してるのに影薄いし、霧島があまりに神々しすぎてアンバランス…だが、それがいい!霧島カッコいい…!加藤が今裏切るか今裏切るかとハラハラしながらうかがってるのに、ミスの告白をしたり野口に逆らったりする霧島がいちいちうつくしすぎて最早言葉もないです。

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 今の本誌の展開もすごく面白いのだけれど、医龍はどうも展開ごとに神展開だなあという気がするのだがどうでしょう。
 三例目のバチスタとか、霧島の手術とか、こんなにもりあげちゃってこのあとどうすんの…と思っていると、次には前回以上のクライマックスを提示されてしまって毎回ビックリです。展開の派手さや感動がインフレしてくというより、いろんなとこからドラマを書いてる感じなので、なるほどなあと制作面でも感心してしまいます。もっとも医療漫画はほとんど読まないから、別に医龍だけの特質ではないのかもしれないけれど。
 でもこの漫画家は、医龍以前にはどんな作品を書いてたんでしょうね。出版物はないみたいだけど…。

2008年03月07日

実写について。

 基本的にはそういうものはすべてナシの方向で、おねがいします。という前提で、それでもぐちぐち書いてしまうのが非常に悪い癖である。

 『愛の言霊』が実写化されたときに、なんか受け攻めある感じで話されてる印象でよく理解できなくて、アレ?『愛の言霊』ってプラトニックていうかそういうのナシだったよね?とくびをかしげたのだが、映画ではどうなったんだろうね。

 タクミくんの映画はいそがしくって見に行けてないのだけれど、もう東京ではやってないみたい。どうしたものか。
 そして城田優はギイに似てると思ったのはうそではないのだが、しかしそういう恰好するとまったくもってDQ…あ、いえ、ギイではないなあ、と、なんかラフな写真見てて思ったりした。でも制服きてるとやっぱりすっごくギイだ。

 あと、こないだの『smart』の表紙が『吸血鬼と愉快な仲間たち』の高塚暁によくにている気がするとどっかで見て思った。
 

 いっそ『吸血鬼』は実写化したらおもしろいかもしれない…というのはしかし、きちんと愛情もってまじめにつくってくれたら、なんだよな。BLって映像化したらおもしろそうな作品いっぱいあるけど、ほんとに面白くなるにはいろいろ難関がありそうだ。

冨樫義博『HUNTER×HUNTER』25

 ネームでの説明大杉とか、展開がちょっと凡庸っつうか王がこんなんでどう決着をつけるんだぜ?とか、微妙な不満がちょっとずつつもっていく感じで、正直以前の(ハンター試験やヨークシン、グリードのあたりまでか)この作品の神っぷりを考えると、失速してると言わざるをえないんだろうなあやはり。

 でももうこの作品はそれもふくめてアートの一形態(笑)になってきてるきがするし、なんかまあいいか、これはこれで、と(笑
 勿論それが作者の意図によるものだとは思ってないし、結果そうなった、ってことなんだけど。

 前巻にもあったオビの、休載前まで全部収録してるお!本誌ですぐ続き読めるお!というアオリ文句がいっそすがすがしいほどにばかばかしい。あんだけナメたマネされて、しかしそれでもこの作品の集客力はおそらくグンバツで、更に今後も読者を拡大できるということを理解しているんだろうね、集英社は。この状況はとっても興味深いし、だからそういう面白さもあわせて、この失速展開も興味深く思ってしまえる。なんかもうふつうの漫画の楽しみ方ではない気がするが。
 だからというのもあるけれど、別に作者も出版社も批判するつもりはない。
 ただ、作者にはふつうの楽しみ方ができる漫画も書いて欲しいという気はするけど。才能がもったいない。

2008年03月09日

いちごがすきでもあかならとまれ。

 ひさびさにヘニーデ。

 かわゆい指揮者のことを揶揄めいてくちにする人がいたのでおもわずぎゃっと言ってしまいました。ぷんぷん!
 ところで指揮の練習といえば電柱殿下のようにシャドウくらいしか想像がつかなかったのですが、その指揮者はピアノ二台をつかってレッスンつけてるのだそうです。冷静に考えてみればそれって合理的だ。しかしすごくお金かかりそう。で、指揮者の師匠は押し出しのもっといい電柱殿下みたいな…いいなあ!(笑

 ところで今年度はなんかいろいろ事件があって恐くなったこともあり、日記をあまり書きませんでした。書いた日記はといえば、↑のようなひとりよがりなキモいポエム状の文章ばかり。キモいですが、でもまだやっぱり恐いので、書くのを控えるか、でなければいましばらくはポエミイな文章(ポエティック、ではない。だって詩情はないから)で書くしかないのです。

 あたしはテクストでもたべものでも萌キャラでも、はまるとそればっかりになってすぐに飽きてしまうので、マンゴージュースとか一時期飲みまくってましたがもう飽きたりしました。
 いちごは春になると毎年はまるのでわりと大好きなんだと思いますが、今年はちょっと異常にたくさんたべてるので、こんどは飽きたら反動でしばらくは食べなくなりそう。生のいちごもたくさん食べてますが、今年はやってる高濃度いちごチョコレートとかもとっても好きです。

 あと、この春はセンバツも楽しみですv

杉浦志保『SILVER DIAMOND』12、13

 13巻を読み始めたらよくわからないので、12巻を読んでいなかったことに気づいた。
 それでちょうど休暇にはいったついでに、1巻から読み直した。やー、やっぱ面白いなーと思った。ところどころこ恥ずかしくてワーってなるけどね。
 それで思ったのだがなんかあれだ、この話はファンタジーなのだが、冒険の旅の合間に日常的な一こまが出てくるのではなく、日常的な一こまの間に冒険してるかんじ。ラカンたちがしょっちゅう料理してんのとか風呂のたびにもめてるのとかおかしい。あと千草はもともとはラカンにだけではなく素で色男なんだろうなあ。

 皇子は金隷と仲直りしたのかー。なんだ。皇子がラカンになつく展開かと思ったのに。でもそれではラカンが万能すぎてなんだかな、って感じもするか。
 主匪たちと再会してよかったね。三重もはやく兄に会えると良いね。
 ところでそろそろ都につくのかな?

2008年03月12日

山葵マグロ『ロリポップ・ドラグーン』

 体内に龍?がいるらしく性欲昂進状態の高校生。なぞの中国人とイギリス人が龍を目的にやってきて、弟もまじえてあーだこーだ。

 何が一番わるいというのでもないかんじで、絵も筋も大きな問題はない気がするのだが、面白くなかった。とりあえずいろんな設定つめこみすぎだし、ファンタジーのいろんな要素を持ち込むだけ持ち込んで、独自の世界をちゃんと立ち上げられてない感じ。キャラもそれぞれ記号的であんまり魅力がない。絵は小綺麗だけれど、特徴には乏しいかも。

五百香ノエル『ありす白書』

 黒縁メガネにぼさぼさ頭の受けは、ちょう可愛くてモテモテで恋愛の達人なふたごの妹とつきあい始めたちょうイケメンモテモテで恋愛の達人な男にこっそり恋をしてしまいまして、ある日妹とえっちしてるのを目撃したせいで、洗面所で妹彼におしたおされそうになったのです?

 なんだろう、フェロモンたれながしの女好きが純情受けにめろめろに、という王道展開は嫌いじゃないのですが、なんかいまいちカタルシスが足りなかった。
 攻めがなぜダサダサの受けに惚れたのかがいまいち納得できない。作中にもあるように、攻めは妹しか見てなくて受けは眼中になかったわけで、その状態から受けにきっぱりシフトする論理をもうちょっと説明して欲しい。受けが小説家だということがひとつポイントらしいのだが、その設定はあんまり活きてないし。
 あと後編で受けが豹変してるのにもちょっとついていけなかった。いきなりそんなエロエロになってもらっても困りますよ。なんかそこに至る過程を示してくれないと、違う人にしか見えない。

 たぶんあたしは基本、非論理的な展開がニガテで、勿論論理を超える萌えや面白みがあれば、非論理的展開でも楽しく読む(ていうかむしろそれだけの力をもった物語には、しばしば論理以上に惚れ込む)のだが、このお話にはそこまでの魅力はなかったと思う。

 攻めの犬走壮(いぬばしりそう)という名前はたしかにすごい。アパートの名前かと思った。

2008年03月13日

秋月こお『幸村殿、艶にて候2』

 どうせまた幸村主従の西方行だろうから、幸村が佐助をからかうのと、佐助がどぎまぎしつつ忠義者なのを愛でようと思っていたのですが、あらすじ見た段階で、
 景勝殿が一行に加わる…?( ゚д゚)
 それはウザ…、あ、いや、ビックリ展開ですね、仮にも大名なのに…佐助はやきもきだろうな…さ…
 佐助は幸村への恋心に気づく…?( ゚д゚)
 佐助、かわいそう…(涙
 となって、発売をすんごく楽しみにしてた本なのに、なかなか読めませんでした。

 感想はその時点からあんましかわりありません。
 かつ殿ウゼー、佐助カワイー、です。それだけです!
 幸村がどんどんほだされていくものの、景勝は旅の足をひっぱって、攻め的にはいいとこなしっていうかキャラ的にはあんまり魅力もないんですが、まあ一緒に居れば親愛の情がわくのはよくわかるキャラとして書かれてるし、いいんですけどね。佐助がかわいそうなだけで!
 後半ああまでしっかり景勝×幸村展開になったのはちょっとビックリでした。もしかして幸村×佐助展開はもうフェードアウトなのかなあ…。ちょう残念。しかし次の巻では流石に景勝も出てこないだろうし、でも今更佐助にはかない夢を見させるのはどうだろうと思うし、一体どういう展開になるのか最早見当もつきません。むむむ。いっそ才蔵×幸村か。でもやっぱり幸村×佐助がいいなあ。

 由利鎌之助がああいうキャラだったのはさもありなん、です。だってこのうえ由利が定型的に色男っぽいキャラだったら、どうせまた幸村狙いキャラになるだろうし、それではとうてい幸村の身が持たないだろうし(笑
 しかし今回一番ビックリしたのは、やっぱり海野六郎ですな。あこめラブだとさんざんミスリードさせといて、あの展開はしかし、そういえばこれはBLなんだった、と妙に感慨深いものを感じました。
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 ウィキペの真田幸村の項目にこの本が幸村小説として載せられててどうしたものか。IPのこしてまで訂正する勇気はない…。

2008年03月14日

松本花『苺王子』

 メガネ司書教諭のもとに異星の苺の王子様がおっこってきて、勘違いされて婚約指輪をはめられたら離れられなくなってしまいました!

 ちっちゃいマレビトがやってくるお話は大好きです。
 まあこの設定から想定の範囲内なお話でしたが、でも展開とか正直ビミョウに面白みが足りず、物足りなさが残りました…が、松本花なので、絵がとってもきゃわゆいので、それでもうオールオッケーな感じでした。なにしろちっちゃい苺王子がとってもきゃわゆい…。メガネも美人だし。

2008年03月15日

乙一・荒木飛呂彦『The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day』

 ということでやっと時間が出来たので読んだらあっという間に読み終わってしまって、時間つぶししなきゃいけない状況だったので少々困った。

 うーん、乙一ジョジョ!なぜあんなに出版までに時間がかかったのかわかった気がした。すごく細かなとこまでジョジョネタがつめこまれていて、この作者は一冊に全てを注ぎ込もうとしたんだなあと感じた。同人誌なら、このネタはとっといて次の作品へ、って出来るけど、商業作品で二次創作をできるのは、滅多にない機会だもんね。
 あと、スタンド戦を文章で書くのは大変だなあと思った。

 ラストが…とっても後味のわるいラストだと感じたんだけど、どうなんだろう?とっても乙一らしい気はするけれど、全然ジョジョらしくはないし、スッキリしない。そもそもこの結末自体、個人的にはちょっと気味が悪く好きになれない。作者が男性だからだろうか、とかつい言いたくなる。
 でも後味が悪いのは、琢馬がむくわれないというせいもあるんだけど、それよりも仗助達にみとめられなかった(状況の全体を認識はされなかった)せいなのかなあ、という気がする。

 読者はほぼイコールジョジョファンだろうし、つまり読者は無条件に仗助たちを支持してしまうと思うんだけど、でもこの琢馬の凄絶なありようは読者の同情(のような感情)をほぼ絶対的にうごかしてしまうと思うんだよね。読者が感情移入してしまう琢馬に、しかし読者が支持したい仗助たちはその事情を知らずに=彼を救えずに終わってしまう、ように見えてしまうのが、なんともいえない後味のわるさの原因な気がする。
 つまり、この作品がただのサスペンスだったら、サスペンスとしての後味の悪さだけが残ったんだろうけど、仗助たちの認識のありようにある種不満が残るせいで、ジョジョの二次創作作品としての後味の悪さもあったのかなあと。
 ていうか、もうちょっと全般に原作キャラに活躍して欲しかった気も。我儘だろうけど。

 まあそんなもやもやも若干あるけれど、でも全体としてすごく良くできてる作品だという気がした。だからなにはともあれ乙だ。

2008年03月16日

藤たまき『不思議ポット』1

 この表紙にこのタイトルであまりといえばあまりなほどにダイレクトで、しかしだからこそ惹かれた気がする。

 骨董研究部の高校生と、魔法のポットから出てきたジン、あとは主人公のポットをねらうわるい部長と、主人公自身をちょっとねらうたよれる幼なじみとか。

 で、ジンはお助けマンで、改心した部長もしくは幼なじみと恋愛するのか、はたまた恋愛はあまり前景化しないニアBLなのか…藤たまきって、たぶん一、二冊はよんでると思うんだけど、どんな作風だったっけ、BLしっかり書かない人だったっけ…とか思いつつ読んでたら、後半であまりにダイレクトにBL展開っぽくなったんで、ビックリかつ面白かった。ていうか、その展開もふくめて、主人公がぶっとんだ元気キャラで、普段こういうキャラはあんまり好きではないのだけれど、なんだか憎めないし、このキャラを活かした展開が面白かったのでよいと思った。

2008年03月17日

西村しゅうこ『ツアー・シャングリラ』

 なんか西村しゅうこの無茶設定もきわまれりというか。
 数千万?のツアーシャングリラで、好きに出来るのは男添乗員たったひとり…!?どんだけカリスマ添乗員だ。

 な、感じの、ツアーシャングリラオムニバス。何作かは雑誌で読んでた。どれもそこそこ面白いけど、しかし読み切りシリーズなので浅い。気軽に読むにはいいかな、と。

 同時収録の、希少動物の半獣たちの話・サファリは個人的にはとても好きなのだが、一作目は雑誌で読んだような読んでないような…。西村しゅうこの初めて読んだ作品はたしかこういう半獣ものだったような気がするのだけれど、最早よく覚えていない。

いつき朔夜『ウミノツキ』

 相変わらず面白かったし、この作者への信頼を新たにさせてくれた作品だった…のだけれど。
 なんだか微妙に不満も残る、ような。でも作品としての完成度はとっても高いし、確かに面白かったし萌えもあった…。むむむ?

 復元船で朝鮮半島までわたる実験に、水軍の子孫ということでよばれた攻め。実験に協力してる大学生の中にちょうかわいい子を見つけたと思ったら男でした。彼はタイからの留学生で、大学のボート部にまじって復元船を漕ぐのだそうですが、なぜか主人公に身体の関係をさそってきます。慣れてるのかと思ったらちょう純情だし、よくわかりません。しかし彼が主人公を誘ったのにも、華奢な身体で頑張るのにも理由があって云々。

 なんだろうー。お話はすごく巧いし、攻めは男っぽくていい奴だし、受けもちょっとつっぱしっちゃったけど真面目ないいこだし、かわいいCPだと思うし、だのにあんまし…なんだろう、萌えないというか、必ずしも萌えないわけではないし…。なんでだ?
 混乱してます。

 とりあえず、後書きを読んで思ったことは、こんだけうまい作家さんに、タイへの取材くらい行かせてあげればいいのに!…ということだ。

2008年03月19日

琥狗ハヤテ『あやしの君の恋煩い』

 以前ゴールドで見かけたおきつねさまものだーと思って購入。

 高位の白狐が身分の低い赤狐にめろめろ、な連作は、一話が短いし、たぶんシリーズにするつもりはなかったんだろうなって感じで設定もゆるゆるだけど、かわいらしくてよい。
 あとは短編がいくつか、現代物もあった。

 なんとなく絵が寿たらこに似ている気がする。線にあまり強弱がないけど。

水原とほる『青の疑惑』

 メガネ整体師が、近所のヤクザのあととりと顧客の県警の刑事に懸想される話。メガネ、もとい、整体師は過去の手痛い経験から恋愛はするつもりはなく、どちらもかわしつつ微妙な均衡がたもたれている。しかしメガネ、もとい、整体師が整体院の近くで死体を発見したことから事件にまきこまれ云々。

 アマゾンレビューでラストまでCPのさだまらない三者と知ってがぜん興味を持ち読んだら、まさにそのとおりで面白かった。刑事とヤクザはそれぞれかっこよくダメなとこもあって魅力的で、メガネ、もとい、整体師のかかえる傷も納得できる感じだし、お話もしっかり面白かった。

 メガネ、もとい、整体師の特殊性癖はビックリしたが、設定としてはよかった。それがうまく活かせる展開でもあったし。
 ただ…、しかし、作者も後書きで書いてるのだが、攻めが生ぬるくて非常にもったいない…。いや、ハードプレイがすきというわけではないのですが、受けの過去や性癖を活かすには、もっとド鬼畜なプレイをしてくれないと…。
 で、この特殊性癖プラス攻めがふたり、ということで、ひとりめとはまあやや強引だったけどそういうキャラとして読めるのでともかく、ふたりめとはどういたすんだ、とくにひとりめとしてしまった後で…と思ったのだが、事件とからめてうまく二人ともとそれぞれいたす展開につくられてて、話づくりがうまいなあと思った。
 三者もの(って言葉があるのかどうか…なんて言ったらいいんだろう)ってやっぱり、純粋に話の作り方が難しいんだと思うんだよね。二人の相手にたいして平等になるように、一人の感情をふりわけて、いたす順番(笑)も考慮して、それらが自然に感じられるように展開をくみたてないとなんないわけで。個人的に三者関係のお話に興味があったのもあるけど、結構うまくつくられてると思ったし、とても面白く読んだ。

 絵がきれいだな。こういう絵柄だと往々にして、きれいなだけで、キャラの顔がぜんぶにてるとか顔がよくわからないとか、そういうジレンマに陥りがちな気がするのだけれど、でもキャラもしっかりかきわけてていい。
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 ところで、これを読んだことで、この月のキャラ文庫新刊をいまさらながら全制覇してしまいました。ときどきこういうことがあると、微妙な感慨をおぼえますね。
 個人的な満足度としては、『幸村殿』>>『青の疑惑』>>>>>>>『アパルトマン』>>>『檻』、という感じかと。

2008年03月20日

愁堂れな『俺の胸で泣け』

 大学からの親友三人、結婚がきまったかわいい同僚←それに懸想している同業他社のイケメン←俺、というところで、イラストも相まって、アレ?どこかでお会いしましたっけ?『最後のドア』???という第一印象だった。

 恋しい友人の結婚に落ち込んでるだろうイケメンを見て自分も落ち込みつつ、なぐさめてたらそういうことになって、と、なんだかすごくわかりやすい展開で、ちょっと薄いなあという感じ。
 というか、後編で同僚が成田離婚したあたりでまた『ドア』がかぶってきて、ちょっと正直なんだかなあと。絵師は山田ユギなんだし、出版社もかぶってるし…。後編では受けにコナかけてくるイケメン後輩とか、離婚した友人と攻めが急接近?とか、これまたわかりやすい展開。
 全般に、つまらなくはなかったけれど、薄味なのと『ドア』がみょうにかぶったのとで微妙な印象だった。

高尾滋『ゴールデン・デイズ』8

 …わー(涙
 慶光両親の事件にかんする顛末はともかく(というか、コミックスでおっていると、この事件の概要はあまりしっかりとは把握できなかったので、今回読んでああそうなんだ…という感じだった)、光也と仁の顛末というかお別れはほぼ予想通りで…なのに何度読んでもうるうるきてしまいます。せつないお。

 ゴールデンデイズはとってもよかったし、ほんといい作品だと思います。
 それはほんとなのですが、やっぱりあたしはアンハッピーエンドというか、お別れエンドは好きになれません。
 だからあたしは、平気でご都合主義な展開してしまう〈ことも可能な〉BLがすきなのかもしれません。
 白泉社つながりで、那州雪絵の『月光』とかも思いだします(『月光』の場合はお別れともまた違うのだが、やっぱり淋しいというかせつないことにはかわりない)が、異世界だとかタイムスリップだとか死別だとかで別れざるをえない設定というのは確かにあるし、だからこそ面白いお話になる作品もあることは否定できませんが…、でもやっぱり淋しいぃ…。

 それはともかく、しかしそういえば、光也と仁の恋愛のような関係性というか、少なくとも仁の方では恋愛なのでしょうが、この展開は予想外でした!仁にとって一番大事なのは、最後まで慶光だろうと思っていたので、ああいう展開は驚きました。だからこそ、予想どおりだったお別れが余計にすばらしく、余計にもの悲しかったわけですが。仁の光也への恋情は予想外だったけれど、とっても自然だったし、仁の感情の変化には、光也がタイムスリップする原因になったところの仁の事件と、それにたいする慶光の悔いもからんできてて、なんというかこのいろんな要素をもった物語の、それぞれの要素がしっかり活かし合ってる感じで、とってもうまいなあと思いました。
 しかしなんか最近の花とゆめでは、もうこういうニアBLみたいな漫画は書けないのかと思ってましたよ。別にヤオイがすきだからとかそういうのとはべつに、仁にとって光也が最愛の人間になったこの展開は、ラストがより活きる結果になってると思うし、よかったと思う。
 さいごのささやかなキスも、とってもせつなくうつくしい。淋しいけれど、少女漫画的にはやっぱりこれでいいのだ、という気もしてしまう。
 だから、あたしはBL的なある種暢気なハピーさがすきですが、それでもやっぱり良質の〈少女漫画〉のもつパワーだけはまだ信じてみたいなあと思いました。高尾滋はいっそBLを書いてみては?という気もするけれど、まだまだこういう素敵な少女漫画を書いて欲しい気もします。

 仁の告白に光也が笑おうとして赤くなったり泣いたりしたのは、仁が本気だと言うことに気づいたと言うことなのか、それとも笑おうとしてそれがかなわなかったのか。光也の仁にたいする感情は恋愛だったのか。亜伊子のひ孫と光也は、どうなるのかっていうかどうもならんのか。いろいろ深読みしてしまいます。

 なんだかうまくまとまらないけれど、とにかく読んでよかった作品でした。

2008年03月21日

葛井美鳥『最愛アンビバレント』

 いつのまにか敦也に苗字が出来てて笑った。しかし敦也の苗字も山崎の名前も、すごくしっくりくるのでスゴイなあと思った。
 内容はいつもどおりで、なんというか、このシリーズは本編が既に同人誌っぽいところがあるというか、なんだか番外編な気分。やはりストーカー編くらいの長さが必要なのか。

 リウの義父がやはりウザい、と思ったところで気づいたのだが、あたしは『渇愛カタルシス』をよんでいないのでは…!?
 なにはともあれ、外科医がんばれ。

橘かおる『玉帝の箱庭―鳳麗国の双子皇子』

 中華っぽい異世界に呼び出されて神人とかゆわれて、双子の皇子のうちどちらを王にするのか選ばないと元の世界に返してやらないとか言われました。ただし、選ばれなかった皇子は死にます。なんという暗黒時代。

 双子の皇子は元気で活発なのと、落ち着きのある賢いのというベタなふたりで、それはともかくまたしても三人の世界ですよ。美形双子にくどかれまくる主人公というだけでクロエ好みですが、しかもこの設定ではどちらかが選ばれることはないだろうし、そういう意味ではワクワクしつつ読みましたし、期待どおりでした。
 そういう意味では、という留保をつけたのは、正直不安もあったからで、そっちもまあ的中したわけですが、あまりにも悪い意味でファンタジーで、さまざまなところがテキトーでした。主人公も、子どもっぽい直情さとかが偶然にもうまくいって双子に愛されまくるあたりはあまりに都合が良すぎて、たとえば、水害で困ってるんならダムつくればいんじゃね?ダムの詳しい構造は知らないけどな!とか、そんな感じ(いや、流石にここまでテキトーではないですけど、笑。

 でもまあ双子だし、双子平等に扱ってるし。それだけで満足なのです。

 しかしタイトルがあんまり本編とかかわらないような。シリーズ化の伏線なのかな。

2008年03月22日

ピスケスのアフロディーテ

 アフロディーテといえば美形設定というか、なんでわざわざ瞬と因縁づけられてるのか、なんでわざわざ瞬と戦うのか、女の子同士みたいじゃん、って印象でした。アニメ版のあの無茶な浅黄色の髪がスキです。

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 最後の方息切れしましたが、とりあえず12人終わりました…次はヤオイ解禁で二周目です!(ほんとか…?

火崎勇『恋の眠る夜』

 大学時代、攻めは読書好きな受けのうちによく遊びに来てやがて恋人同士になり、社会人になって攻めのマンションで同棲をはじめたものの、なんか攻めの出張中に弁護士がきて攻めが女性を妊娠させたとか言ってます。攻め家を飛び出して数年後、わりあい売れっ子な小説家になった受けは、出版社社長になった攻めと再会して云々。

 あとがきにもあるように、あからさまに誤解で別れた二人、なのだが、そこに攻めの兄とのいざこざや事件がからんできて、二人以外にもさまざまな誤解やもめごとがはらまれてて、工夫がなされているなあという感じだった。けれどそれでもやっぱりわかりやすすぎるし、あとキャラもわるくはないけれど特に魅力があるわけでもないので、全体的にも可もなく不可もない感じ。
 あと受けの悩みっぷりが、ちょっと酔ってる感じもあって、まあ自省する視点も出てはくるのだけれど、そんなところもちょっとビミョウだった。

橘紅緒『私立櫻丘学園高等寮』

 このところ大量に読んでるのでまた感想がたまってきましたよ。古い感想も含めて整理するために、ちょっとBダッシュします。

 この作品は、以前おすすめをいただいたことがあったり、あといろんなとこで書評を見ていてすごい評判がよいようだったので、却って身構えてしまってなかなか読めなかったのです、が、こないだの年始の休暇にやっと手にとって見たら、もうとまんなくって一気に読んでしまいましたが、どう感想をかいたものかと考えてしまい、ちょっと間があきましたが、とくに気になったとこについて書いておこうと思います。

 全寮制の高校、男をその気にさせる小悪魔とか思われてる受けは、編入生の王子様に気に入られてそういう関係になるのですが、しかし王子が近づいてきたのには理由があって云々。

 とりあえず全般的にとっても面白かったし描写とかもいろいろ楽しめたのですが、中でもとくに攻めの描写が面白かった。

 王子があまりにもそつがなくってすごく王子なんだけれど、でもその嘘くささがきちんと活かされてるというか、すごいうまいなあと思った。王子が王子だった理由がただ一言のセリフで語られてて、でもそれがしっかり力を持ってて、舞台裏をしっかりかくして王子を王子のままにしておく、というか。

 なんというか、こういう嘘くささのある〈王子〉って、やっぱり恋愛物語において必要なキャラだと思うんだよね。虚構の物語における、現実では絶対にありえないキャラだけれど、しかしとっても魅力的なキャラとして。でも嘘くさいだけのままだと、ぺらいキャラになってしまう。そのある種アンビバレントな存在を魅力的に書くには、ありえない魅力を描きつつ、その根拠というか担保(「理由」でなくってもいいから、キャラがよってたつ担保)をしっかりつくることが必要なのかなあと思った。

 この物語において、王子が王子たりうる担保は受けで、物語はその受けの視点ですすむので、あんまり説明がなくっても納得できる構成というか、その不可能なほどの王子っぽさに正当性をもたせることに成功してるなあ、という印象だった。

 お話全体も構成が面白くて、いくつかの筋とか伏線が活かし合っててよいかんじ。
 元ルームメイトとか、いいひと…もうちょっといいめをみさせてあげてほしかった…(笑
 しかし、ところで。ミオがあたしの知り合いにすごくかぶるので、とっても困った(笑。名前もちょっと似てるし、にゃんこみたいなところがそっくり。なのでか、挿絵にどうも違和感があって困った。

 たぶんそのせいだけではないのだけれど、なんか北畠あけ乃の絵は、王子と受けはいいのだがその他の人々がことごとくあたしのイメージとは違う顔だった。この人の絵はすごく雰囲気があって好きなのだが、数種類にパターン化されてしまっている気がして、イメージにあわないことが結構ある。

2008年03月23日

梶本潤『ブラザー&ブラザー』

 嶋田尚未『誘惑しないで』は、10人の兄弟姉妹だったけれど、こんどはほんとに11人の兄弟か… (笑、血のつながりはないけれど。

 双子が施設に往診してくれるせんせいの家にもらわれたらなんかお兄さんたちがかわいがってくれてというかかわいがられてしまって云々。

 双子はみんなに好かれようと健気な兄と、好意もうたがっちゃう反抗期な弟で、あんまし顔が似てないのがビミョウ。というか成長後が、頼りがいのある文武両道な兄と、かわいい系で料理のうまい弟になっていて、そのちぐはぐさは面白いんだけれどやはり違和感もある。

 それにつけても多人数兄弟ものなのに、全員血のつながりがない(孤児をどんどんひきとったバージョンの多人数兄弟)と、ただの共同生活っぽくてなんだかなあという気もする。やはり兄弟ははんぶんでも同親であってほしいし、双子はすくなくとも外見はそっくりでいてほしい…。

ホームラン・拳『ぼくとアクマと魔法のことば』

 ホームラン拳は絵がとってもかわゆくてきれいで好きなんだけど、いまだにお話については面白いのか面白くないのかよくわからない作家なのだが、これはとっても面白く絵も勿論かわゆくって、とってもあたし好みだった。

 メガネ中学生とその使い魔がCP未満でちょうカワイイ(笑
 兄×猫またもいい。猫が年上美人だし。
 ていうか、依頼人の高校生とお犬様の話はつづきが読みたい。しあわせになってほしいー。
 あ、というわけで、あやかし系事件解決ものなんですが、お話も毎回面白いし、キャラがみんなかわゆくってとってもよかったです。
 併録の、鬼と鬼退治のこどもの話もすんごくよかった。

黒娜さかき『青春ソバット』1

 おじさま好き(なのか?)で経験豊富なゲイとノンケ童貞同級生の微妙な友情とかそれ以上とか。

 しかし最後の方読んでてなんかへんだなーと思っていたら、よく見ると表紙タイトルのわきには1と書かれていた。以下続刊かー。

 学校が元女子校で、クラスに男が4人しかいないという設定はあまり活きていない気もするのだがどうか。友人関係が広がらなくても違和感なくするための設定だろうか。
 この作家は前のコミクスがなんかちょっといたい感じだったので、こういうコミカルなお話のほうが面白いかもしれない。絵は味があるというよりも既に雑の域だが。でもメガネゲイはとってもいいよ!メガネ!
 二人の感情が今後どう変化してくのか、友人のままなのかとか気になる。

 ていうか表紙を更によく見てみると、これIKKIコミックスなのか。IKKIは一体どうなってんんだ(笑。どうしようか。これBLなのかな。いちおうBLではないことにしておこうか(笑

2008年03月24日

榎田尤利『誓いは小さく囁くように』

 タイトルが、内容にはあんましあってないきもするけど、でもタイトルそれ自体がすんごくいいと思う。
 結婚コンサル会社社長×わけあってもう仕事はしないと決めてるマリエデザイナー。

 結婚に夢など抱かず金儲けのためだけに仕事をしてると言い切り、夢だの愛だの鼻で笑ってしまう攻め。ある夜酔っぱらいにリバースされて仕方なく社に連れ帰ったら、どうやら有名なマリエデザイナーです。社のためにマリエつくらせようとするのですが、なんか事情があるっぽいし、とりあえず事務作業させたらおそろしくつかえない。

 特に中盤まではこの作家らしい王道展開で、言葉も多すぎたり少なすぎたりせずに、とってもうまいなあと思った。この作家のよいところは、王道ベタ展開をよい意味で〈志賀直也〉のように(つまり、過不足ない文章で)書いてくれるとこだと思う(のだが、たぶん作家本人はそのあたりを明確に意識してはいない気もする、なんとなく。

 手のかかる子どもみたいな受けの世話をやきながらのめりこんでくオレ様攻めは、定型とはいえ描写もうまくなされててかわいらしいし、受けも子どもっぽくも基本いいやつなので、やはりかわいい。
 けれども末尾が若干ものたりない感じで、なんとなく『神さまに言っとけ』の巧さと物足りなさにつうじるとこがある気がした。末尾のライバル社長の事件とかはなんかいまいちというか、ちょっと軽すぎた気も。ふたりのその後はもうちょびっと書いてほしかった。

聖域の双子でウッーウッーウマウマ(゜∀゜)

 ちまたではウッーウッーウマウマとかいうのが流行っているそうですが、空耳ソングとかってもうあんまり興味ないし、とか思ってスルーしてまし、
 …、

 う、うわあああなんだこれ!!ヤッベ!!何このかわゆい双子!!もうもう、筆舌に尽しがたいかわゆさですよ!!!
 ここしばらくずっとリピートしてしまってます!

橘紅緒・宝井理人『セブンデイズ―MONDAY→THURSDAY』

 一週間限定の恋人のはなし、ということで読み始めたのになんか妙に展開遅いなあとか思ってたら、よく見るとタイトルがヘン。なんだMONDAYやじるしTHURSDAYって。おいおい、金曜日以降は以下続刊なのか。ていうかこれ掲載誌クラフト…発行から大分たつけど、まだ一年くらいは待たされるわけですね…。

 しかしというか、内容はとっても面白かった。
 弓道部の後輩のイケメンは、月曜日の最初に告白してきたこと必ずつきあって、週末には「好きになれなかった」とふるというので有名なのですが、その月曜日にかるがるしい気持ちでつきあってよとか言ってしまう、これまた美形で人気の先輩。先輩は一週間というくぎりはゲームみたいなもんだろうと思っているんだけど、後輩は本気の恋をさがしてて、先輩に勘違いされてるのに気づいてもなぜか言い出せなくって、どうなるんでしょう。

 原作者の本はまだ一冊しか読んでいないけど、高校生の書き方がうまいなあと思う。高校生をうまく(リアリスティックに、ではなく、虚構のそれとしてうまく)書いた作品って、いいなあと思う。

2008年03月25日

砂原糖子『言ノ葉ノ花』

 初読作家だー。

 三年前のクリスマスに、突然人の心の声がきこえるようになってしまった受け。恋人とわかれ仕事をやめ、今は家電量販店で契約社員をしてる。ひとのマイナスの感情にばかりさらされる中で、年下の社員が自分に好意をもってくれていることに気づき、その言葉のここちよさに惹かれてしまい云々。

 相手に一方的に惚れられて、相手よりも情報量が多いというアドバンテージをもってる主人公という点でか、設定は全然違うのに木原音瀬『美しいこと』と印象がかさなって、なんとなく比べてしまう。そのせいでか、ちょっとボリュームがたりないような気もした。受けの告白とか、後編での受けの感情の浮き沈みとか、ベタなのかもしれないが構成がうまいなあと思ったのだけれど、全般にもうちょっとボリュームがあってもいい気がした。

 受けのサトリ設定は、よくある系ではあるのだが、そして恋愛において特殊な展開を誘因する要素としてもそこまで奇抜な設定ではないような気もするけれど、この設定だとエロがそうなるのか…!という点には驚かされた(笑

森本秀『アスタリスク』1,2

 アスタリスクの意味知ってるか?『星印』だ。
 (知らなかった…!

 冬水社ということはBLではないのだね?(冬水社の作品はまだ『氷の魔物』しかラストまで読んだことないけど、ようするにつきつまるところはキスと同居ありの友情、なのかな?

 なんか人の魂に害をなすわるいものを退治る天使たちの話。
 ちいさい頃おちこぼれ気味だった自分をいっつも助けてくれた、まっすぐで人のために自分を犠牲にするタイプの幼なじみ、を、まもりたくって仕方ない最高位の天使。
 ちょっと設定がゆるゆるな気もするが、王道設定っていいよね。

2008年03月26日

旅。

 体が旅から戻りましたので心の旅に出てきます。

2008年03月27日

旅旅。

 レヴィナスは過去最高に理解不能でさっぱりわからないんですけどどうしましょう。
 まず、理解する必要があるのかどうかすらわからない。

 そんなわけで、違和感を感じたのは、ごくまっとうな、ある意味きちんとした指揮になってたせいなのかなと思って、やっといろいろ理解しました。とりあえず、あのかわゆさはその指揮者の資質だったってこととか、それが永遠に失われてしまったこととか。気位のたかい黒猫があと足でせのびして、ツンとあごをあげて、細いタクトからうつくしくもかわいらしい曲をつむぐ、そんな楽興のときを記憶のなかに大事にしまい込んでおこうと思います。

 がむしゃらじゃないとダメですか?懸命じゃないとダメですか?あたしにはおっとりのほほんとししてるだけだと思えるのに、お高くとまってるとか言われてしまうのは気の毒だ。そんなふうに言うひとたちってそれがステロタイプな評価軸であることくらいは自覚しててほしいと思うけど、あっちのほうが一見正当な価値観に見えてしまうんだろう。その点にかんしてはだいぶ悔しい。

 ダスヴィダーニャだ。
 そして休む間もなくあっという間にいらっしゃいませ、なんだ。繊細にはなれやしないのかも。

 理解不能なのはマヨイガですか。

2008年03月28日

山田マサキ『嬉し恥ずかし・野戦訓練』

 短編集。
 はっちゃけたタイトル、はっちゃけたエロのわりにはいまいちだったなあ…なんか面白みがない。ギャグがつまんないのと、エロも描線が細いせいかあんまし勢いを感じないからかなあ。

 自A官が樹海で霊にとりつかれるとか、宇宙人襲来とか、元暴走族の教習所教官とか、設定もいろいろあるけど、なんかあざとすぎ。派出所勤務×役者のたまごなんかでは、警官が「~であります」とかいう言葉遣いなんだけど、狙いすぎでかえっていたいたしい感じ。うーむ。

角田緑『私情占有率』

 面白かったですよ。

 この作家は、『アイはどこいった?』はとっても好みで『Open air』はそこそこ面白く、『本屋さんでGO!』『縁は奇なモノ美味なもの』はニガテだったので、何がニガテなんだろう?ツンデレがだめなのか?と思っていて、まあそうなのかもしんないのだけれど、別の区分をすると、どうやらダリアコミックスはとりあえず全部オッケー…なのかな?と思った。

 ビール会社営業×小売店の販売員。
 やり手の販売員とうわさの受けは、どうやら枕営業がきくらしいとうわさされており、攻めは本気をみせるために受けとそういう関係をとりむすぶ。が、それはただのうわさだとわかってからもどうも受けが気になってしまい、一方過去の手痛い経験から恋はしないときめてる受けも、妙に攻めが気になって云々。

 ふつーのノンケリーマンでまじめな攻めも、天然なとこもありつつ過去の傷からかたくなになってて自分の気持ちにも気づけない受けも、かわいくてよい感じ。ふつーに面白かった。ただ、末尾がその後の書き下ろしもあるものの、なんだか物足りない。この二人の場合、エロはもう結構なので、日常的なその後のデートとかのほうが読みたかった。

2008年03月29日

坂井朱生『リリカルな秘密のかたまり』

 初読作家かな?

 高校時代の同級生、りりしい真面目ノンケに恋してた受けはそばにいるのが辛くなって卒業と同時に連絡をたったものの、ずっと忘れられない。数年後、やはり元同級生でゲイの友人が、受けのバイト先のダイニングバー?に攻めをともなってやってきてしまい、やっぱり攻めカコイイィ、という感じ。

 なんかすごい崎谷はるひみたいだった。
 なんというか、受けがずっとひらがなでしゃべってるかんじ(事実はどうかは別に、体感として。特に、攻めの前に出ると、そしてあたふたしはじめるととってもひらがな。そして元ノンケの攻めがちょう包容力があるいい男で、受けがかってにかんちがいしてちょうきずついて、攻めの愛の深さにうたれて「ご、ごめ……」とか、そんな感じ。
 そういう定形としては面白かったけど。

 受けの住居が半社員寮みたいなアパートだとか、同僚や住人がやたら出てくるのは何か意味があるのか、と思ってたら、前作があって、更に今後もシリーズ化をしたいのですね、と理解。

 亀井高秀の絵はきれいでかわいいけど、背景が少なすぎるというか場所の特徴を全然描いてないので淋しい印象。

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 関係ないけど、著作一覧をみててハテと思ったのだが、もしかして、赤坂RAM=紅月羊仔=あかつきようこ、なのか?

高尾理一『ワイルド・ワイルド・ウエスト』

 あっ!70000HITしてました!
 閲覧してくださった皆様、ありがとうございます!

 ええと、そんな機会に。
 これは大量に読書をして感想を書くのが追いついていなかった時期に読んで、感想を適当に書きたくなかったので後回しにしていたら一年以上たってしまいました、というテクストのうちのひとつです。ざっと読み返す機会があったので、周回おくれでもうpしてしまいます。

 というわけで、高尾理一にハマった頃に読んで、『夜に濡れる蝶』の次に気に入ったのがコレでした。
 だって、テキサスの自信満々強引カウボーイ×日本から来たツンデレメガネ美人、というCPから『既に』ッ!、どう考えてもあたし好みではありませんか!

 上司の娘との見合い結婚が短い期間で破綻、その結果リストラされちゃって傷心のアメリカ旅行中の受け。大統領の牧場を見に行こうと車で走っていたら、攻めの居る牧場の杭にぶつかって壊してしまい、それをなおせだなんだと因縁をつけられてしまいました。牧場主の老人は来客に喜んじゃうし、まあヒマだしということで、雑用をしながら牧場に居付いて(居付かされて)しまう受け。攻めは「カワイコちゃん」とかゆって口説いてくるけど、無視です。ところがそんな折、となりの牧場のバカ息子に老人の借金の件で因縁をつけられて、云々。

 キャラがすごく魅力的でよいです。
 攻めは一見定型ぽい強引攻めなんだけど、とりたててちょうイケメンなわけでもエグゼやセレブでも超人的優秀男でもなく、むだに大ケガしたりプライドから受けにひどいこといったり、けれどそれでも憎めない、人間くさいとこがいいです。たぶんそういう人のよさみたいなのって、書き方やエクリチュールのおかげな気がしますが、書き方が巧いというより(勿論巧くもあるのでしょうが)たぶんあたし好みなんだろうなと思う。
 受けなんてわりかし定型なツンデレで直情で、すぐに手が出る暴力美人なんだけど、すごく魅力的。基本真面目なんだろうなと感じられるところがよいのかもしれない。
 それで思い出したのだが、すこしまえに「ゲイ&腐男子のBL読書ブログ」さんの記事を拝読してて思ったのだが、高尾理一の理屈っぽさというか論理的なとこというか、ある意味真面目なところが、あたしは好きなのかもしれない。

 しかし、『百年の恋』の攻めにかんする評言もたいがいすごかったけど、この『ワイルド~』も、「自信過剰は鼻につくし、デリカシーのないところにはしばしばカチンとさせられる」だとか「プライドが高くて、強情で自信家で、下品で率直で大雑把、デリカシーが欠如しているような男」だとか、攻めにたいしてひどすぎる(笑

 お話も、恋愛面は勿論面白いし、隣りの牧場とのすったもんだや牧場主の老人の病気とかもありつつ、それぞれの要素がしっかりと活かしあった物語が一本にきちんと編まれてて、よい感じ。

 あと、アメリカものなので、この作者の得意(当社比)な翻訳体みたいな会話文もバリバリに活きてます。
 親切のお礼にキスをねだる攻めをかわしてたのに、酔っぱらってキスを受け入れちゃった翌日の会話とか、「あ、あれはツケを返しただけだ。ま、まとめて返したんだ。次なんてない」(略)「ふぅん。お前のツケの返し方、俺は気に入ったぜ。でも、あれをやるときは、酔ってねぇほうがよさそうだ。お前はいいけど、お預けを食わされる俺が大変だからな」なんてとっても翻訳体(風

 雪舟薫の絵もキレイですv

2008年03月30日

樹生かなめ『極楽浄土はどこにある』


 きがくるっとる、としか…。

 檀家の美術商×ちょう貧乏寺住職。
 美坊主受け、絵は神葉理世、ちょう期待してたのに、あまりのカオスについていけなかった。
 こういう設定で仏教表象が無茶苦茶なのはもったいないが仕方がない、とかそういうレベルのはなしではない。

 あらすじの紹介すら困難だ。美術商が寺の仏像を売ろうとか思ったけど、ちいさいころから憧れてた美坊主を犯して、清貧にもほどがあるのをなんとかしてやろうとしたりなんだり。雨漏りがし、床は踏み抜いてしまうような寺でほとんど訪れるものもいないどころか賽銭泥だけはやってくるのに、美坊主の生計はいったいどうやってなりたっているのか。カオス的クライマックスとしては、托鉢先で知り合った不良少年が寺におしかけてきて美坊主を犯そうとしたところへ美術商がきて住職の彼氏をなのると、自分はカトリックなので人妻はうばえないからかわりにやってるとこをみせてくれ、とか、それを実行する美術商とか、もはやみんなあたまがおかしいお…。

奥田七緒『28アワー』

 テニプリ同人誌の総集編なんですか…気づかずに買ってしまいました…こんな高い本…(涙
 よく確認せずに買ったあたしが悪いんですけどね。

 いちおう読みましたが。二次創作を元キャラ知らずに読んでしまうと、ややぺらぺらな印象です。世の中にはそうでない二次創作もあるんだけれど、どっちが二次創作としてよいものなのかはまた別の話なんだろうなあとも思う。

2008年03月31日

医龍/絵板ログその4

 ログです。一年前の。

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2007/3/10 (Sat.) 15:17:42 イルカ。

前号の仏のような顔でイルカの標本の話をしてる霧島は、なんだかもう主人公なんじゃないの?って感じでした。それに反比例するように国立は悪役モードっていうか、もうむしろ加藤がラスボス?っていうか…(笑

でも今回はまた伊集院が主役だったので、霧島もすっかり権力志向のアテウマモードに戻ってしまいましたね…(笑。
あと、いかにもモテなさそうな伊集院に笑ってしまいました。


2007/4/1 (Sun.) 23:43:38 DANGER13 マリィ
初参入です。
…というのはわたしは連載を追ってなかったからですが。
だからここの盛り上がりに乗っかれてなかったんですが。
でも13巻を読んでのけぞりました。
晴天の霹靂でした。
こういうことだったかッ!!
今まで12冊も読んできたのにわたしはいったい伊集院の何に萌えていたんだと目から鱗でした。

何ですか。あのカラーは。あの描き方は。あの構図(乙女ポーズ)と表情は。グラビアアイドルじゃあないんですか。
唇とか。瞳とか。肌とか(モノクロでしか見られない悔しさに歯噛みしました)。
そしてお色気表紙の連続は何ですか。
「ボタンとれかかってますよ」のアップ、
あの表情で描く必然性がいったいどこにあるんですか。
(木原の顔ストーリーを超越して反応してるし!!)

うわーっ

(すみませんすみません)です。
霧島の話とか、凄く面白かったんですがいまはそれについて語ってるヒマがありません。
なんかもう…。
作者もドラマを見て萌えてたんじゃないの?
と邪推してしまいます。。。

というわけで、「理解」しましたッ!
今後出没します!

Re:DANGER13
クロエ [Home Page] 2007/4/2 (Mon.) 22:29:49
いらっしゃいませ!!(笑
いやー、伊集院が中心であることがわたしの中ではデフォルトになってしまっていたので、マリィさんのカキコを拝見して、そういえば今みたいな状況はわりと最近はじまったんだよなあ、と改めて気付かされました。
いいですよね、伊集院…!

(あと、霧伊はまだこの先でしたね。13巻の後では霧伊展開というか、霧島が(も?)超美しくなってしまうのですよ~)

今後もどうぞ宜しくお願いします!



2008年03月 アーカイブ

もくじ

 医龍/絵板ログその4
 奥田七緒『28アワー』
 樹生かなめ『極楽浄土はどこにある』
 高尾理一『ワイルド・ワイルド・ウエスト』
 坂井朱生『リリカルな秘密のかたまり』
 角田緑『私情占有率』
 山田マサキ『嬉し恥ずかし・野戦訓練』
 旅旅。
 旅。
 森本秀『アスタリスク』1,2
 砂原糖子『言ノ葉ノ花』
 橘紅緒・宝井理人『セブンデイズ―MONDAY→THURSDAY』
 聖域の双子でウッーウッーウマウマ(゜∀゜)
 榎田尤利『誓いは小さく囁くように』
 黒娜さかき『青春ソバット』1
 ホームラン・拳『ぼくとアクマと魔法のことば』
 梶本潤『ブラザー&ブラザー』
 橘紅緒『私立櫻丘学園高等寮』
 火崎勇『恋の眠る夜』
 ピスケスのアフロディーテ
 橘かおる『玉帝の箱庭―鳳麗国の双子皇子』
 葛井美鳥『最愛アンビバレント』
 高尾滋『ゴールデン・デイズ』8
 愁堂れな『俺の胸で泣け』
 水原とほる『青の疑惑』
 琥狗ハヤテ『あやしの君の恋煩い』
 いつき朔夜『ウミノツキ』
 西村しゅうこ『ツアー・シャングリラ』
 藤たまき『不思議ポット』1
 乙一・荒木飛呂彦『The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day』
 松本花『苺王子』
 秋月こお『幸村殿、艶にて候2』
 五百香ノエル『ありす白書』
 山葵マグロ『ロリポップ・ドラグーン』
 杉浦志保『SILVER DIAMOND』12、13
 いちごがすきでもあかならとまれ。
 冨樫義博『HUNTER×HUNTER』25
 実写について。
 乃木坂太郎『医龍』16
 高河ゆん『LOVELESS』8
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