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[ 読書/一般コミック ]

高尾滋『ゴールデン・デイズ』8

 …わー(涙
 慶光両親の事件にかんする顛末はともかく(というか、コミックスでおっていると、この事件の概要はあまりしっかりとは把握できなかったので、今回読んでああそうなんだ…という感じだった)、光也と仁の顛末というかお別れはほぼ予想通りで…なのに何度読んでもうるうるきてしまいます。せつないお。

 ゴールデンデイズはとってもよかったし、ほんといい作品だと思います。
 それはほんとなのですが、やっぱりあたしはアンハッピーエンドというか、お別れエンドは好きになれません。
 だからあたしは、平気でご都合主義な展開してしまう〈ことも可能な〉BLがすきなのかもしれません。
 白泉社つながりで、那州雪絵の『月光』とかも思いだします(『月光』の場合はお別れともまた違うのだが、やっぱり淋しいというかせつないことにはかわりない)が、異世界だとかタイムスリップだとか死別だとかで別れざるをえない設定というのは確かにあるし、だからこそ面白いお話になる作品もあることは否定できませんが…、でもやっぱり淋しいぃ…。

 それはともかく、しかしそういえば、光也と仁の恋愛のような関係性というか、少なくとも仁の方では恋愛なのでしょうが、この展開は予想外でした!仁にとって一番大事なのは、最後まで慶光だろうと思っていたので、ああいう展開は驚きました。だからこそ、予想どおりだったお別れが余計にすばらしく、余計にもの悲しかったわけですが。仁の光也への恋情は予想外だったけれど、とっても自然だったし、仁の感情の変化には、光也がタイムスリップする原因になったところの仁の事件と、それにたいする慶光の悔いもからんできてて、なんというかこのいろんな要素をもった物語の、それぞれの要素がしっかり活かし合ってる感じで、とってもうまいなあと思いました。
 しかしなんか最近の花とゆめでは、もうこういうニアBLみたいな漫画は書けないのかと思ってましたよ。別にヤオイがすきだからとかそういうのとはべつに、仁にとって光也が最愛の人間になったこの展開は、ラストがより活きる結果になってると思うし、よかったと思う。
 さいごのささやかなキスも、とってもせつなくうつくしい。淋しいけれど、少女漫画的にはやっぱりこれでいいのだ、という気もしてしまう。
 だから、あたしはBL的なある種暢気なハピーさがすきですが、それでもやっぱり良質の〈少女漫画〉のもつパワーだけはまだ信じてみたいなあと思いました。高尾滋はいっそBLを書いてみては?という気もするけれど、まだまだこういう素敵な少女漫画を書いて欲しい気もします。

 仁の告白に光也が笑おうとして赤くなったり泣いたりしたのは、仁が本気だと言うことに気づいたと言うことなのか、それとも笑おうとしてそれがかなわなかったのか。光也の仁にたいする感情は恋愛だったのか。亜伊子のひ孫と光也は、どうなるのかっていうかどうもならんのか。いろいろ深読みしてしまいます。

 なんだかうまくまとまらないけれど、とにかく読んでよかった作品でした。

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