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2010年08月03日

ベトナムとカンボジア。

 ごぶさたしました~。
 現地からもちょびっとだけツイッターしましたが、ベトナムとカンボジアにいちきましたv
 今回は、ここ数年チケットがとれないクロアチアがやはり今年もとれず、行き先選びに難航するかと思いきや、Sさんの崩壊する前にアンコールワットを見ておきたい、という言葉でわりとすんなり行き先が決まりました(笑

 ベトナムはハノイにいちきましたv
 ツアーだったのでハロン湾観光が入っていたのですが、ハノイから車で三時間以上かかり、道もあまりよくなかったので、車に弱いあたしはgdgdになってしまいました…。あと雨季で天候も微妙だったので、風光もさほど感銘をうける感じでもなく…鍾乳洞もまあふつうの鍾乳洞で…ちょっと残念だった…。
 あとはバッチャン村にちょっと寄ったり、ハノイで水上人形劇をみたり。ホーチミン廟では、今までで一番厳しい警備体制をみた気がした。手荷物検査もあったし、廟の入り口の警備兵さんとか、ちょっとでもあやしいうごきしたら銃剣で刺し殺されるんじゃないかという感じでした…。


ホーチミン廟

 食事はKhai's BrothersのビュッフェがよかったvあとHa Hoiは店員さんが関西芸人のような面白いひとでよかった(笑。
 今回ホテルは多少はりこんだので、ニッコーハノイで、もちろん万全だったのですが、特に朝ごはんのビュッフェがおいしかったv

 それからハノイを出て、空路シェムリアップへv
 カンボジアははじめてだったのですが、とにかく空が広くて緑が多くて、とってもキレイv…な街なのですがー、でもそれはたぶんアンコールワット観光のための街シェムリアップだからで、観光地としての歴史もたぶんそんなにないからで、だからとってもキレイなんじゃないかなあ…という気もしたのです。


シェムリアップ空港の夕景

 アンコール遺跡群はよかったです!アンコールワットではスコールに降られてしまったけれど、やっぱりスゴイ。堀の水にうかびあがる寺院の形態が、とっても均整が取れていてうつくしい。アンコールトムはとにかく広い。事前に三島の「癩王のテラス」を読んでおこうと思っていたのに、忘れてたのが残念…。あとバイヨンて名前が既になんかいい。しかしとにかく、どこも人が多かった!


スコールぎみのアンコールワット内

 クメール料理はわりとおいしかったv夕食ビュッフェのときにアプサラダンスを見て、あれ習いたい!と騒いだのだけれど、あたしはぜんぜん指が反らないことが判明してがっかり(笑。
 あとカンボジアの人々はみんなにっこにこで、親切なひとが多かった。どちらがいいとかではなくて、わりと事務的なベトナムとはけっこう対照的だった気がした。
 ホテルはここではメリディアンアンコールvで、それはもう堪能しましたとも!メリディアンって、たしか高河ゆんの『REN-AI(恋愛)』で、落ち込んでる久美に真吾がどうしょうもない誘い方をしてたホテルで(笑、なんかすごい印象に残ってる。一日自由日をつくっておいたので、ホテルのプールとかお茶とかスパとかで遊んでました。しかし…昔は、わざわざ海外に行ってホテル遊びするというのがあまり腑に落ちなかったんですが…やー、楽しいもんですよね(笑。


メリディアンのプールサイド

 そんなこんなで、あっという間の旅行でございました。あっという間に八月になってるよー!

2010年08月04日

嶋田尚未『変態貴族』

 『白馬な王子様』の続きとかスピンオフCPとかなのだけれど、なんかものすごいダイレクトなタイトルになってしまいましたね…(笑

 いちおうメインは身体の弱い貴族のぼっちゃんと、イケメンモテ男医師CPだったのだけれど、これがまあベタCPにみえて受け攻めがビックリで…!(笑。ある意味すごくこの作家らしいなあと思った。
 前作の2CPのお話もあるけど、そっちもふくめて全体にライトな感じ。相変わらず各CPにそれぞれ馬がついてる(笑。

2010年08月05日

サガミワカ『極上で不器用なサービス』

 表題作は、幼なじみのホテルマン×IT会社社長。攻めにいじめられてた受けが、今度はあいつをこきつかってやるとかゆってホテルに滞在するもドSに勝てず。
 そこそこ面白かったけれど、もうちょっと設定とか整理してもよかったのかなあと思う。SとM?が、サービスする側とされる側に~というのは他作家作品でもあったけれど、なんかあんましうまくまとまってないというかややちぐはぐな印象。受けが出世しても天然ぼんやりさんで世話焼きたくなっちゃう攻めと、いじわるな攻めの齟齬がうまんない感じ。

 あとは双子の片方がもう一方に執着気味で、もう一方が転校生のマイペースさにふりまわされつつ片方の終着から解かれていくというお話があって、こっちも可もなく不可もなくな感じ。

2010年08月07日

宮城とおこ『遠い日の蝶』

 この作家の漫画読むの初めてかもしれない。
 というわけで、確かに無知だったとは思うのですが、これ『G線上の猫』シリーズのスピンオフなんですね…。特に最初の話は前作CPがメインで、なんかよくわかんなかった。

 表題作は、前作受けのいとこのピアニストと、音楽学校同期の指揮者のはなし。いじっぱり同士(特に受け)でなんか回り道をする感じ。ちゃんとまとまってるしそこそこ面白かったんだけれど、なんか入っていけない感があるというか、キャラやお話に感情移入できないのは前作を読んでないからかなあ…という気もした。ので、前作読んでみたい。

今市子『僕のやさしいお兄さん』3

 『幻月楼奇譚』でも思ったが、最近の今市子はちょっとストーリーテリングが雑めなんではないか。
 やさしいお兄さんは、なんかキャラが多くて関係性を把握するだけで結構大変だし、キャラ設定自体把握しづらい気がする。
 聖は結構モテ男なのに、お兄さんに恋してうじうじ、かと思えば言い寄ってくるセンパイには結構あっけらかんな感じ?…という多面性がよくまとまんない気がする。とにかく女好きのアキニンはいいけど、今回の恋愛ざたはなんかお話を面白くするための展開に見えてしまって、アキニン自体のキャラがやっぱりわかりづらい。鉄平さんも、千人斬りっぷりと小学校の保護者への優柔不断っぷりがまず噛み合いづらいのに、さらに聖への不器用っぷりがかさなって、ちょっとよくわからん。
 多面性のあるキャラはそれはそれでいいと思うんだけれど、描写が丁寧じゃないからただドタバタしてるだけにみえてしまう。個性的なキャラたちの結果のドタバタではなく、ドタバタ自体が目的に見えてしまうというか…。や、ドタバタ自体が目的、にはやっぱり見えないので、つまりどうも雑に見えてしまうんだと思う。

2010年08月08日

山中ヒコ『エンドゲーム』1

 高校生攻めは、自分をひきとって育ててくれてる赤の他人のお兄さんのことがずっとすきなのですが、自分の母の死にお兄さんがかかわってるぽくて不穏な雰囲気が。

 …表紙の段階では、高校生と保護者は逆ていうかCPが逆かと思ってた…(笑。よく考えたらこっち(高校生→保護者)のほうがこの作者らしいかもだ。
 高校生は一途で意外と子どもらしさもあっていい。保護者はぼんやりさんで高校生に面倒見られてるようなとこがいいけど、これから過去が明かされるのだろうからまだまだわからないキャラかも。
 内容は面白かったしふたりともキャラが魅力的でよかったのだが、しかし続きが気になるー。

遠野春日『欲情の極華』

 組長の愛人をしてた受けは、愛人をやめてサラ金会社を起こし成功したのだけれど、ずっと気になってた若頭が組をおわれたのを知って、自分の秘書兼運転手兼愛人としてひろいに行く。元若頭はめっさ忠実なものの、受けは事務的に抱かれることがしんどくなったりなんだり。そんな中、元の組で元若頭を復帰させようという目論見が出てきたらしく。

 基本的なキャラとお話はそこそこ面白かったのだけれど、メインの二人がちょっとキャラがわかりづらい気もした。
 受けは性に奔放(に、なった?)で、商売の勘はよくって、素直でなくって、なのだけれど、エクリチュールは攻め大好きで淡々とした攻めの言動に振り回されどおしなので、弱い印象というか、受け自身のキャラの印象がよわいのかも。組長の愛人になろうとしたのもなんでだったのかよくわからん。結構テキトー人ということなのかもしれん。
 攻めは結構受けに一途らしいのだけれど、かなりラストまで事務的な表面を装ってるし、結構ズルいというか計算してる?のか、よくわからんというか受けへの気持ちがもうちょっと読みたかった。

2010年08月09日

国枝彩香『耳たぶの理由』

 大学のイケメンモテ男同期がフラれたのを知って、身体でなぐさめてやんよ、とか冗談ゆってたら本気にされてしまい、それ以降彼がフラれるたびにそんなこんななかわいこちゃん受け。

 この作家はツンデレデリカシーなしというかテレ屋というかなかわいこ受け、がデフォなのかな?と。
 ちょっと受けがかわいすぎたけれど、そこそこ面白かった。受け母や姉とのからみたいな、家族関係が地道に描かれてしかも面白い、ところがちょっと今市子にも通じるような気がする&そういうとこ好き。

国枝彩香『番人』

 表題作は近代?華族っぽい青年と、アルビノで別荘に閉じ込められてる弟、弟の面倒みてる浅黒い肌の使用人のはなし。兄→使用人→弟にみえて、しかし?という感じで、作者のいうとおり、耽美だった。おもしろいけれど、ちょっとわかりづらい。使用人は兄のことどう思ってたんだろう。あと、弟も。まあそのわかりづらさが耽美の担保でもある気がするけど。
 他の短編も基本耽美だったけれど、最後の不細工特集アンソロの話が…(笑。不細工特集その2を見ていたのでまあ不細工っぷりは予想の範囲内だったんだけど、スペースオペラだったのはびっくりした(笑。
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 本仁戻もそうだけれど、耽美BLてどうしてもあざとくなると思うので、けれどそのあざとさをねじ伏せるほどの萌えとか作者の力量が必要な気がした。どっちもすきだけど(笑

2010年08月10日

ヒノモト円時『犬の生活』

 短編集。
 坊ちゃんの犬だったのが坊ちゃん家が没落し放り出され、取り立てヤクザと客の息子として再会する表題作は、短すぎるのかそれ以外になにもない…。ノアの方舟みたいな島で動物をつがい以外は殺し続ける仕事の話とか、相手をモノ扱いする性癖の攻めと彼に惚れてしまう売り専受けとか、ちょっとダークめな話が多いのだが、どれも短編で紙幅がたりないせいもあるのだろうけれど、説明も描写も足りない感じでいまひとつだなあという感じ。奇抜な設定とダークさだよりの、あざとい印象のお話になってしまってる気がする。あと、ちょっと絵が微妙なのももったいない。

樋口美沙緒『八月七日を探して』

 八月七日に学校の階段から落ちて右手を骨折、ついでに三ヶ月間の記憶を失ってしまった受けなのですが、夢でちらほら垣間見る三ヶ月間に、どうやら無理やり男にやられてたっぽくて、少ない情報から人当たりのいいメガネ生徒会長かなと思うのですが、幼なじみがなんかいろいろ面倒みてくれて云々。

 うーん、面白かったのだけれど、なんか中途半端な印象もいなめない。
 こういう設定だと記憶喪失の事件自体がメインになってしまうと思うので、ある程度キャラが犠牲になるのは仕方ないのだろうけれど、攻め受けのキャラ設定とその描写が物足りないというか、なんだかちぐはぐ。
 攻めはある意味すごく分かりやすいのだけれど、というのは無口クールなできる男という外面プラス受けにいれこみすぎてgdgdな年相応な少年ぽさ、という設定はベタで説明もわかりやすい。けど、なんというのか、受けが見ている攻めはなんかもうちょっとカッコいいというかステキな攻め、という感じなので、ちぐはぐな印象。こういうちぐはぐさには、本文中でも言われてるように受けはちょっと攻めを美化してるから、という理由もあるのだろうけれど。
 受けは昔はしっかり者で今はgdgd、という設定はよく描かれているし理解できたのだけれど、こういう事件の中で不安になって受身なキャラにならざるを得ない中で、いまひとつ言動からキャラがにじみ出てこない感じ。後半以前みたいなしっかり者に戻ってきた、とかゆわれてるけど、攻めの通訳みたいになってるだけだったし、主体性をあまり感じ無かったので、しっかり者とかまとめ役というイメージはあまりもてなかった。一方の攻めも事件のためにちょっと普段とは違う言動になってるような印象だし、やっぱり設定と言動の描写がいまいちしっくりこないのかも。

 やっぱり事件にまつわる描写が多くなると、キャラもそれに沿った動きをさせなきゃならなくなるから、きっちりキャラ描写しにくくなるんだろうなあ。なので、BLでキャラしっかり書きつつこういうサスペンスやるのって、けっこう難しいのだと思う。
 まあそんなわけで、むしろ記憶喪失にまつわる事件自体をもっとがっつり書いてほしかったのだけれど、これがもうちょこっとだけ頑張って欲しかった感じ…。端的に言うと、犯人も展開もミエミエすぎる…。
 この作家は『愚か者の最後の恋人』はキャラもよくってお話もとっても面白かったから、決してサスペンスやミステリ的な展開がへたなわけでも力量が足りないわけでもないと思うので、要求が高くなってしまっているかもしれないけれど、ちょっと今回はもう一声欲しかったなあという感じだった。

2010年08月11日

西村しゅうこ『麗しき罠』

 某一族の後継者争い中に、ワナにかけられて一族を追放されてしまった受け。数年後、一族経営の高校に呼び戻されて許してもらえたのかも…とか思ってたら、後継者に決まった元幼なじみが登場して云々。

 この作者のこういうベタな設定は、たいてい設定がトンデモだけれどやっぱり安心するなあ(笑。
 現総代表がおじいさんなのになんで後継者は孫世代の高校生なのか、父世代はどうしたのかとか、いろいろあるんですが、いいのです。しかし、受けがワナにかけられた時の現総代表の短慮さはひどい…まあ、あそこで追放されないとお話にならないけどね…。
 攻めは普通のセレブだし、受けは時々我を通すものの基本受け身で、総代表に逆らおうとも反論しようともしないし、二人ともキャラ的な魅力はあんまし感じられなかった。

久我有加『いつかお姫様が』

 外見はカコイイのに中身は三枚目といわれてるような高校生が、友達の友達のイケメンさわやか王子様な同級生と知り合ったのですが、なんかやたら優しくしてくれて、お前俺の彼氏?というくらいの勢いなのです。

 面白かった。
 女の子みたいに優しくされるたびに、攻めカッコエエ…vと思いまくってる受けがおかしくてかわゆい。他のヤツにこんなことされたらキモかったりムカついたりするだろう、王子は王子だからカッコエエと思えるのだ、というフォローもあってよい。
 攻めは前編でも後編でも、ちょっとヘタレるところがあって、話を転がすためっぽいのでちょっと気の毒。でも話が転がらないと、延々と攻めは王子っぷりを発揮し、受けは攻めカッコエエ…と言い続けてそうだから、仕方ないかもしれない(笑。
 あと会話と心内文がぜんぶ地域語で、全体を通してなんとなくほんわかな雰囲気がある感じでかわゆいv

2010年08月12日

天城れの『男・色茶屋』

 ぼろぼろの純喫茶むらかみの若きマスターは、メガネのエリートコンサルにこのままでは店はつぶれる!と脅されて、和風コスプレ喫茶に改装することに。純喫茶の常連だった宗家孫(マスターに惚れてる)を店に引き込み、コンサルの大学同期の雑誌編集長(マスターに惚れてる)が常連になりつつ、すったもんだ。

 そこそこいい感じなのに、いろいろ適当でもったいなさすぎる。
 受けが料理人とはいえ、元々の純喫茶のフードメニューがカフェメシと呼ばれて内実もそんな感じで、やたらきらきらしいのがなんだか違和感。
 受けが和食の修業してたとかいう伏線?はあるけど、純喫茶はコーヒーメインだったのにいきなり和風茶屋にするのは、元の喫茶店についていろいろ語ってたわりになんだか節操無い気がする。
 攻めコンサルは最初、受けの身体をコンサル料に…とかゆってたのに、その設定なかったことになってた印象。
 絵も設定もちょいちょい面白げな感じなのにつめが甘いというか、もうちょっと丁寧に設定つくってほしかったなあ、という感じ。この作者は量産してしまってるなーという印象だ。
 あと攻めの顔がうまづらすぎた…。

蛇龍どくろ『アイがラブしてユーなのさ』

 このシリーズ好きで、雑誌で一、二話くらい読んだけど、こんなに続いてたのか!

 表題作は、風紀委員くん→ヤンキーというかツッパリ(タイトル的にも…)くんみたいな高校生もの。風紀くんがヤンキーくんが気になって気になって、他の人が目に入らないくらいに彼ばかり指導してしまうのはすきだからでー、天然ぽいところのあるヤンキーくんなので、実は好かれているというんならうれしい、とかゆって云々。この二人も周りの仲間たちもかわいくって平和でとってもいい。
 この作者はこういう傾向のほのぼのっぽいのもっと描いてほしいなあ。

 併載の高校のダラダラ仲間たちの話は、ちょっとあざといし何もないのでいまいち。キャラ多いし、これはシリーズ化したかったのかなあという気もする。

2010年08月14日

あすか『極上のエゴイスト』

 S気味の某組若頭は、美少年を買いつけに行ったオークションで、以前からにらみ合い気味だったロシアマフィアのボス秘書と口論してなんかヤられてしまいまして。その後なんだかんだと微妙に交流が続いたところで、若頭を溺愛している実兄が不穏な動きを見せ、兄を挑発するためにロシアマフィアと付き合うフリをしてみようと思い立ち云々。

 お話はまあそこそこな感じで、元気な若頭も、ボスに絶対忠誠で無口無表情なロシアマフィアも、いい感じのキャラだったけど、ちょっと感情の揺れ動きが分かりづらかった。互いが微妙に気になりつつ、兄の異様な執着がエスカレートする中で、寄ったり離れたりするのだけれど、最後まで互いを実は気に入りつつどこかあっさりしてた気もした。まあ、攻めも体張って受け助けに行ったりとかはあるのだけれど…もうちょっとラブい関係でもよかった気がする。
 兄がなんかいまいちもったいないキャラだった。そういえば兄も最後のあたりちょっとわからないかも。

一日目。

 旅行に行く前に財布から出したのは覚えているのだけれど、その後ICカードどこにいっちゃったんだろう…とここしばらく探していたのですが、そういえばこないだクレカ一体型に変更したのだった。ようするにクレカがICカードなんだ!すっかり忘れてた。

 きのうは夏祭り一日目にいちきましたv
 一般参加でマリィさんとコスあわせ目的ですv今回は、聖なるお兄さんマンガの大天使さまで、マリィさん→ミカエル、クロエ→ガブリエルです。わはは。地黒なあたしがやると、ガブリエルというよりジブリール、という感じかもしれないとか思いつつ。
 ジャンル日ではなかったのもあってちょっとアウェイ感がありましたが、なんと神の子!コスの方にお会いすることが出来て、一緒に写真をとらせていただきましたvありがとうございました~!

2010年08月15日

池玲文『媚の椅子』

 これ前に買ってなかったっけ???絶対読んでる…二冊目かもしれない…でもログがない…。

 表題作は、ヤクザの若頭に心酔しきってる舎弟が、痛めつけられようと兄貴に見てもらえるだけでうれしいし、兄貴のためなら命もおしくない、そんな舎弟に兄貴引き気味ムカつき気味でいじめてて、と見えて云々。一途な受けと、一途な愛にビビる攻めがどっちもカワイイ。

 美容外科医になったいじめっこ幼なじみに、下半身の相談に行って再会してしまって、な話は変態意地悪医者攻めがいい(笑。受けはかわいいけどもうちょっと主体性があるといいなあと思うけれど、医者がこれなのでカゲが薄くなってしまってるのも仕方ないと思う。

 大学の時にすきだったイケメンと仕事で再会、昔もちょっとあったように飲み会でいたずら?されて手を握られて…という話は、話も面白いし、さわやかそうに見える後輩攻めも、後ろ向きな先輩受けも面白げなキャラなのだけれど、短すぎて物足りない。もう何話か読んでみたい。

三日目。

 三日目は暑かった~。

 鳥人ヒロミさんの彩男同棲編を読んで、そういえば原作ちゃんと読み終えてないんだった、と思い出した!えー赤鬼と黒鬼が斬り合いなんてしてたんだっけ。
 いとう由貴さんのオリジを数冊買ったのでこれはゆっくり読む。環レンさんとのフィギュア漫画がベタだけど面白い。続き物だそうなので楽しみ。
 えすとえむさん…新刊二冊あるなーと思ったら一冊はスペインのフットボールもののか。原作読んでないや。ケンタウロスシリーズの新刊がうれしい~…けど、舞台日本て…なんかちがう!あと馬は足まげて座らないとおもう!
 大和名瀬さんは、やはりあたしは豆茄子カプそんなにすきではないのかも…と思った。面白いんだけどね。
 大竹直子さんの新刊は軍人じゃなかった…時代物だった。
 本橋馨子さんとこのオリジ本も買った。
 あと、口蹄疫チャリティーの合同誌を買うつもりで間違って別の本買っちゃった…庭とかで頒布あるかなあ。

 なんかテンションが高かったのか、作家さんに結構声をかけさせていただいてしまった…。あー変なこと言ってなかったかなー。

2010年08月16日

池玲文『hide and seek』

 ものすごい短編がいっぱい。6ページ?の短編とかもある…ので、やはり薄い…。なのであんましストーリーにどうこうというのはない。ヒゲガチムチ受けが多い。さもなければ攻めがヒゲガチムチ!

 ちょっと長めの最後の人狼ものがよかった。満月の夜になると発情してしまうため、問題を起こさないようにとパートナーをつくるという掟があるのだけれど、受けはすきなひととしかしたくないとかゆってて、遊び人の攻めに誘われて逃げまくっているのだけれど…という。人狼があんまし狼っぽくないけれど、攻めがカッコイイ。

雲田はるこ『野ばら』

 この作家の本を買うのは二冊目で、昔の少女漫画みたいな絵と雰囲気とセンスはすきなのだけれど、お話はつまんなくはないけど微妙な感じだ。特に今回は、設定に人間のうすぐらい暗部を挿入して、テクストも十分にそれを問題として意識して、けれどなんの解決もなく評価すらない感じで宙吊り、という感じ。

 表題作は洋食屋の若き主人と、バイトのバツイチ父子家庭の年上美人オッサンのはなし。年上バイトがゲイバレで離婚したらしく、自分に気があるっぽいと気づいて云々。
 受けが結婚に後悔してて、攻めからも逃げようとする…まではいいけれど、攻めへの告白はいちおうあるけど踏みとどまることにした理由や決心がちゃんとかかれてないので、攻めの包容力に甘えてるっぽく見えてしまう。のんきに攻めといちゃついたり娘に事後を見られてしまったりする前に、攻めや娘の人生を引き受ける気概を見せて欲しい。

 女の子になりたいオカマバーのかわいこちゃんが、ゲイで女の子ニガテな相手に恋して彼のために女を捨ててしかも攻めまでする、という話は特に黒いよなあ…。作中でもオカマバーのママが受けが攻めに甘え過ぎ、という指摘はするんだけれど、そして受けも攻めのお願いで攻めを攻めたりかわいいとかゆったりはするんだけど、なんか攻めも読者もごまかされてないか、という感じ(笑。
 受けは女性へのトラウマとかもあって、人を愛するということがよくわかんない、という設定もあるので、もう少しお話がつづいたら、この受けももうちょっと成長すんのかな。
 かわいい攻めは一途でいいキャラだったので、ちょっともったいない感じがした。

 両親をなくしたお医者さんが母の祖国を訪ねて、風来坊な現地人のおとこのこ拾って母の村を目指す話は、攻めの父親との確執はいったいなんだったんだろう?攻めの喪失感がちょっと描かれるだけで、おはなしの本筋にそれはかかわってこない…ていうかもともと本筋がないのかも。受けの物語は本筋としては弱すぎるし、攻めの葛藤に対しては受けは傍観してるだけだし、やたらとのんきに見える。
 あと、なんかやたら説明不足な気がした。たとえば、この医者受けはなんでこんな自由に長期旅行できてるんだろう、とか。よく知らないけれど、お医者で26歳ってかなりギリギリなんではないのだろうか。研修とかどうしたんだろう。攻めは受けに出会った頃はやさぐれだったらしいんだけれど、受けが攻めに居て欲しいと思い始めたってことは、攻めは旅をしつつやさぐれっぷりが失せてったってことだと思うんだけど、そのあたりの描写も足りなかった。

2010年08月17日

桑原祐子・浅見茉莉『ラヴ・ジェントリ~紳士恋愛録~ 皓一郎×陽仁編』

 伝統ある紳士録のメンバーを選定する五人委員会(なぜか若いイケメンセレブばかり)に、突然加入させられたふつうの大学生。の、家はなんでも代々決裁権をもってたそうで、いきなり責任重大で困ってしまうのですが、もちろんイケメン社長が助けてくれるのです。

 本誌でちょっと読んだときに、ベタだけど絵はきれいだしおもしろそうかも…と思ったのだけれど、なんだかいまひとつだったなあ。紳士録編纂というタネはやや目新しげで面白いと思ったけど、編纂の過程があんまし描かれてなくってつまんない。今回だと、草壁社長の審査がメインだったのだろうけれど、あまりに薄くてさしみのツマみたいだった…。調査の過程をもっとライトサスペンスぽくきっちり描写するか、あるいは審査対象をもっとイケメン取り揃えて、主人公といろんなイケメン紳士のからみを毎回描くとか、なんかもっと面白くできそうなのになあ。

 あとキャラがみんな薄くて感情移入できない。性格的にも薄いんだけれど、設定もよくわからん。主人公とか代々国文学者の家にうまれた大学生、というくらいしかわかんないし。これから他のCPとかも発刊するみたいだけど、みんな特徴がよくわからないし興味がもてない。小説とタイアップ?とかしてリブレは押してるみたいだけれど、あまり人気が出そうな気がしないのだがどうだろう…。

尚村透『失楽園』1、2

 騎士(ナイト)になってお姫様を救いたい女子高生・ソラが、ある日突然超エリート学校への編入をゆるされたのですが、なんかその学校というのが超男尊女卑をむねとしてまして、女の子は男子の道具扱いなのです。具体的には、エグザクランというバーチャルリアリティな決闘ゲームがありまして、男子は所有物の女子から武器を取り出して戦い、負けると相手に武器=女子をとられてしまう、ということが行われてるのです。いちおう道具なので、男子は所有物の女子を「守ってやる」というのですが、ソラはそんなのちがーう!といって、なぜか送られてきた制服にまぎれていた手袋=エグザクランに参加するためのツールをつかって、女の子を本当の意味で守ろうと孤軍奮闘をはじめまして。

 いやー、うん、男尊女卑の世界を徹底的に戯画化して描くと男性蔑視になってしまうんだな、ということがよくわかる、その意味でとても興味深いテクストだなあと思った。
 徹底した男尊女卑の世界において、虐げられてる女を救うのも女で、男はすべからく女をモノ扱いしてなんとも思わないような悪人ばかりなんだもの(かよわいメガネ男子も一応いるにはけれど、今のところほとんど意味をなしてないみたいだし)。なんというか、道を間違えたフェミニズムが男性差別をするような、マイノリティの代弁をしようとして逆差別になってしまうような、そんな構図の戯画化に見えなくもない。
 でも多分作者は、行き過ぎたフェミであるだとか、逆にフェミ批判をしたい人なのだとか、そういうわけではないだろうと思うので、むしろそこにノイズが生まれて面白くなる可能性がある気がする。さっきあげたメガネ男子みたいなキャラが、うまくノイズになったら面白いだろうなあ。

 あと、女子をモノ扱いするというと、どう考えても性的搾取を連想してしまうし、実際この世界の中でもそういう側面もあるにはあるらしいのだけれど、そのあたりはごまかされてるような?気もしてちょっと不満も残る。でもモノ扱いという差別がイコールほんとにモノ、つまり武器である、というのは言葉遊びみたいで面白い。

 ところで、ソラが僕は騎士になりたい!とか言い出したあたりで、ああウテナかーと自然に思ったのだけれど、なんかウテナのパクリだという批判もあるみたいで。あたしとしては、ウテナを連想するのは当たり前な気がしてたし、設定にはオリジナリティというかウテナとの差異があるように感じられたので、パクリというよりもインスパイアだと思っていたんだけれど、でも冷静になってみるとウテナも既に相当古い作品で、誰もが知っているってわけでもないんだよな~(笑。

 あ、内容は普通にそこそこかなあという印象。ところどころ話運びがいまひとつな印象はあるし、たとえば親友のツキの所有者についてソラが気にしようとしないのはなんで?とか。キャラは…ソラが上述のように全く感情移入できない、アンドロイド的記号的なキャラなので、まあ気色はあんましよくないけど、個人的にはこれも上述のようにエクリチュールに焦点をおいて読みたい感じだったので、そんなに気にならなかった。あと時々頭身がすごく大きくなるけれど、でもまあそんなには気にならない。

2010年08月18日

映画『インセプション』

2010年08月24日

尚村透『失楽園』3

 出張にいちきましたー。

 なんか結構面白くなってきた。
 ツンデレ先輩が出てくる話がベタでいいー。生徒会の男子はなんか何考えてるのかよくわからないけれど、ツンデレちゃんのことすきなのか?っていうか、意図を知ってた、のだろうか?
 あとツキとかメガネ男子とかの話もすすんでるのでよかったvソラを含めて(笑、男女関係っぽい話も出てきたね。
 武器を集める話とか出てたけど、展開はすでに決まってるのかな。設定的に、いくらでも引き延ばせそうな話だけれど、あんましダラダラせずお話がすすんでくれるといいなあ。

2010年08月25日

花巻杏奈『ドリームキャッチャー』

 高校の寮に入ったら、同室の美形優秀先輩がやたらにかまってきたりなんだりでとまどう受け。しかし先輩には実は不思議な力がありまして、受けをかまうのもその力に関係があったりなんだりで。

 ちょっと絵が残念すぎる。
 内容は、タイトルからキングかと思ったし、いろいろ既視感はあるけれど、SF設定をがんばってる感じはいいと思った。しかしやはり拙い。
 あと、主人公CPの恋愛面が置いてけぼり。受けは、最初は少年だったのにいきなり少女化して先輩ラブになってしまった感じ。攻めの受けへの気持ちは面白げだけれど、説明と描写がだいぶ足りない。

2010年08月26日

嶋田尚未『貴方の犬になりたい』

 バイト学生の受けは、バイト先のこわい室長さんにおびえつつ、わりとかわいがられていたのですが、借りてるボロアパートが倒壊し、大家のおばあちゃんの犬といっしょに家なき子だったのですが、偶然室長さんにあって、犬二匹として部屋においてくださいとお願いしてみた。

 なんか攻めも受けもキャラが適当な感じというか。
 受けは質素な生活でかわいがられわんこなのだけれど、攻めに飼ってくださいとかゆったりあぶないバイトを考えたり、堅実かと見せておいて結構奔放でキャラがつかみづらい。
 攻めもツンツンデレで人間より犬が大好き、なのはいいけれど、ちょっと描写がものたりない感じ。受けへの気持ちの変化ももっと細かく描いてほしかった。

2010年08月27日

五百香ノエル『運命はすべて、なるようになる』上、下

 面白かった!!これあらすじ読んで気になってて、でも上下分冊だし下巻が一月後に出るんなら下が出てから読もう、と思っていたのだけれど、がまんできずに十日ほど前に上巻を読んでしまって、下の発売をかなり待ちわびていたのですvというわけで、読み終わったばかりなのです。
 ネタバレ部分はいちおう白字にしますが、出来ればぜひ、白字部分をご覧になる前に、作品そのものをご覧くださいv(でもわりと作品本体でバレバレだし、あんまり白抜きの意味がないかもですが)

 幼い頃香港マフィアに売られ、高級男娼となった瑛輝=受けは、テニス界の王者ワーグナー=攻めに憧れて、女衒やパトロンの協力をとりつけてテニスプレイヤーに成長する。やっと憧れのワーグナーと対戦するも、天邪鬼なこともあってわざと露悪的にふるまってしまう受け。攻めも愛弟子ニコルが受けに憧れていたこともあり、わりと受けを気にかけていたのだが、会ってみれば男娼で性格もあんななので、カトリックで人格的にも高潔な攻めは、受けを見るのもイヤになってしまい、云々。
 …と、妻帯者でもある攻めがどう受けを受け入れるのかしら?と思っていたところで、かなり早い段階で実は攻めは攻めではありませんよ!本命はあのひとですよ!と知らされ、それだけならまだしも、ワーグナーも当て馬でもなんでもなく攻め1ですよ!ということにさらに驚かされるという、それ(=CP)だけとってみてもまさにこのタイトルがピッタリな怒涛の展開(もちろんおはなしそのものもタイトルどおりで怒涛の展開なのだけれど)だったのでございます。

 とはいえ、上巻は、結構要忍耐。受けが恋に気づくまで、パトロンとべったりの生活描写とか、ワーグナーにつきまといみたいになってみたりだとか、展開がまどろこしいし、受けはどんどん精神不安定になるし、攻めが受けを拒絶しまくりだしで受けが痛々しい。最後の展開はあれ!そうなるの!とびっくりで、こうなってしまうと攻めはどうなっちゃうの…?と心配になる(作者も下巻あとがきで触れてらしたように、ワーグナーに感情移入して読んでしまうので、攻め2に感情移入できるのかしらと心配になる。

 そんなわけで下巻どうなっちゃうのかな、ほんとにワーグナーは攻めじゃなくって、この後攻め2がメインになるのか、だとしたら下巻ってどう展開したら面白くなるんだろう…とかあれこれ思いつつ発売を待っていたのだけれど、下巻の裏表紙梗概を見た段階でなるほどそう来たか!と理解=萌えて(笑、しかも読み始めてみると、梗概ではよくわからんかった攻めの行動の理由がもうとってもけなげでかわいそうで、とにかく萌えるのです。
 そう考えると、上巻は面白かったけれどわりと淡々と読めて、下巻はかなり感情移入(主に攻めに)しつつ勢いづいて読んだ感じだったかも。

 まあそんなわけで、攻めはすごくかわいくて、いちおう王者になるんだけれど、王者になりきれなくて、でも彼はワーグナーではないからそれでいいんだと思う。最後の試合の結果が納得だった。あんまりけなげかわゆいので、受けと一緒にいてもとても百合的なんだけれど(笑
 受けは全体の三分の一くらい精神状態がおかしくて、三分の一くらいgdgdで、最後わりと突然大人になってしまったというか解脱した感じだった(笑。いいんだけど。あんまり好きとか嫌いとかいう対象ではない感じだった。
 ワーグナーは帝王らしく、それでいてとても人間らしかった。しかし、いろんな意味でワーグナーの妻ダフネはよくできすぎている(笑、けれど、完璧なワーグナーのパートナーだしいいのかもしれない。
 受けパトロンたちは、上巻を読んだときにはアメリカ人の描写がちょっと長すぎる気がして、他の三人ももうちょっと描写があってもいいんではないかと思ったけれど、下巻でも役割があったので納得した。アメリカ人パトロンは、受け視点と攻め視点では結構意味合いが違ってたし、多義的な感じだった。
 劉大人はわりとありがちなキャラなので特に感想はないけれど、クラークは…もうちょっとおいしい場面があってもよかったのでは…(笑。ラストあたりでもうちょっと出てきてほしかった。

 末尾はもうちょっと書いて欲しかった…ものたりない!もっとイチャイチャしてほしいし、攻めももう浮気はしないと言っといてほしい(笑、しなさそうだけど。というか、かなり攻めが気の毒だったので、攻め視点でのカタルシスがもうちょっとあったらよかった気がする。
 あと少女の話は必要だったのかなー?ちょっとわからんかった。失ったものを取り戻すってことなんだろうけれど。

 なにはともあれ、面白かったですv分量もたっぷりあって、楽しめましたv

2010年08月28日

五百香ノエル『運命はすべて、なるようになる』その2

 ひきつづき、『運命はすべて、なるようになる』のことなのですが、第二回、なので、ネタバレとか脈絡とかあんまし気にしない感じですみません。

(ていうか、上巻の螺旋が云々でネタバレてると思ってたのだけれど、そう思ってらっしゃらない方も結構多いみたい…?

 以下、ほぼただの攻め萌え話です、
 というわけで。




 ニコルかわいいよニコル!ああもうこんなかわゆい受け受けしい攻め、なんてステキなんだろう~!
 ていうかほんと、上巻読んだ時点では、彼がここまでステキなキャラになるなんて、思いもよりませんでしたよ。まっすぐ素直でお人形のように美しく、誰からも愛されて、だから傲慢で自分が拒絶されるなんてこと考えもよらないお坊ちゃん…なんて、しかも攻め、どうすんだ萌えないぞ、と思ってたわけですが(笑。

 転機は香港だろうなあ。劉大人のニコル評が面白くって、あと十歳若かったら素晴らしい淫売になれただろうとか、劉の優秀な生徒でよい主人になれるとか。そういうの一見全然似合わないように思えるんだけど、お綺麗なお坊ちゃんが、受けのために、つまり愛されるためではなく愛するためだけにそういう似合わないキャラをひきうける、というのがすごくよい。全然似合わないけれどそうなってしまえるだけの能力はあって、足りない分はたぶん愛情で補って、そうして傲岸不遜なご主人様になって。けど何年もそんなのを続けてしんどくなって、わざと好き放題しまくって瑛輝に見せつけたあとに、部屋で一人になると泣きたくなって床でうずくまって寝てしまうニコル…!ホテルを抜けだして瑛輝に怒られて、二人でマックにいったこともニコルにとってはささやかなデートだとか、もうもう、健気でいじらしくてたまりませんね!(あ、でもちょっとマック悪く言い過ぎなのでは!(笑

 逆に、瑛輝に世間一般という尺度=「まとも」を押し付けようとしたワーグナーや鳴竹(彼は恋愛感情はないけれど)は、ある意味傲慢だったんだろうなあと思う。まあどっちが正しいのかとかは別として、ニコルの愛情はある意味ではワーグナー以上だったってことでいいんだと思う。何がマトモか、僕の頭じゃわからないから、鼓膜に刺さるまで叫んでくれないかー。
 そして、ダフネは人間出来すぎ(笑。おそらく自分とワーグナーの子どものように思っているのであろうニコルの無茶苦茶な放埒ぶりを彼の頑張りとして見守りつつ、その原因であり夫の恋人でもあった瑛輝をも辛抱強くフォローするなんて…ちょっと超人的だ(笑

 あとあれだな、ラストが物足りないのは、ラブラブが物足りないというよりも、ニコルが瑛輝をかわいがるさまが物足りないんだな。なんか、できる・できない、の話がメインになってしまってた気がする(笑。今まで瑛輝をかわいがって優しくしてやりたいのをずっと我慢してたんだから、心ゆくまで優しくしてあげてほしい…というより、優しく「させてあげて」ほしい(笑。

 ところでニコルとニコールって、日本語だとかなりイントネーションちがう気がするんだけど、なんか瑛輝の呼びかけ方みてるとあんましかわんないように見える。どうなんだろう???
 あと、劉大人はニコルのことを、瑛輝を救ったからってだけではなく気に入ってるような感じなんだけど、そうだといいなあ(笑。よい生徒だし(笑

 しかし木原音瀬『美しいこと』のときも思ったけど、質量攻めというか、分量がある、ということでおもたく響いてくるってこともあるなあと思う。かなり読後の印象がつよくって、しばらくは他の本読めそうにない感じなのは、分量のせいもある感じだ。や、勿論ニコルがかわゆすぎたってのが大きいんですが(笑。

2010年08月30日

五百香ノエル『運命はすべて、なるようになる』その3

 まだまだ、『運命はすべて、なるようになる』のことでございます…我ながらそうとうにのめり込んでますね(笑

 ええと、前回だかの感想で、下巻後半は、瑛輝が一気に大人になっちゃったように見えた、と書いたのだけれど、ニコルへの告白の言葉とかを勘案すると、瑛輝はニコルに痛めつけられながらそれでも彼の優しさを感じ取っていて、次第に優しくされたくなって&ニコルの恋人たちに妬くようになっていたけれど、自分でそれを認められなかった、ということなのだろう。
 ところでニコルは瑛輝のご主人様になりおおせつつ、結局五年後にはダメになってEDにまでなってしまい、自分ではもう彼の主人をちゃんとやれない、と思うにいたってしまう。以前劉大人は、ニコルはよい主人になるだろうと思っていたけれど、じゃあ結局劉大人の読みはハズれたのか、ニコルがダメになったのはニコルの弱さなのか、というと、そういうことではないのだと思う。他の場面での劉大人の洞察力の深さをかんがみるに、劉大人はニコルの隠しきれないほどの優しい心根までもをふくめて、よい主人になると考えていたんではないかと思うのだ。最後には瑛輝がその優しさに救われるとこまで含めて、先を見通していたんではないかと。

 あーしかし、ニコルは愛されるためではなく愛するためにご主人様役を引き受けた、のだと思っていたんだけれど、読み返すと逆なのか?という気もしてきた。ただ優しく愛するだけでは瑛輝は自分を見向きもしないだろう、ワーグナーのかわりに汚れていてもいいから英雄になろう、という目的から考えると、もともとは愛されるためにご主人様になることを選んだ、ともいえるのかなあ。
 ところで下巻の章題が、汚れた英雄とか愛の奴隷とか、誰のことだろう?と思っていたんだけれど、ぜんぶ彼のことだよね。下巻はほんと、彼の引力が強すぎる(笑。

 さて、のめり込み度の尺度のひとつに、「ラブソングがみんなマイCPのことにきこえる」というのがあると思ってるんですが、せつない勝手な片思いラブソングならピロウズ…と思ったけど、結構ジャストなのはないんだなあ。まあ、ピロウズの恋人は基本ツンツンデレちゃんで、誤解すれ違いというのとはちょっと違うか。でもこのあたりかな?

 彼女は今日、「どこかで見憶えのある外国製の、人形に似た瞳が素敵さ。何だか寂しそうだな。決めつけたりして、話しかけるチャンスを狙うよ」「ジョークなんて通じるかな?想像しても、しくじるのは怖いから言わないよ。何度も確かめたけど、やっぱり隣に存在してた。夢じゃないよ」勝手にデートのつもりのニコル、という感じ!「僕には見せないその笑顔は、何て美しく可憐なんだ」ニコルが別れを切り出しつつ瑛輝を見て、なんてキレイなんだ…と思うとこがスキです。せつない。

 バックシートドッグ「最終回だけ見逃してる、半端な幕切れ。キミに会いたい。'もしかして'なんて罪な夢は、心をかきまぜる。脇役の恋」「催眠術の仕業みたいに唇は動く、'キミニアイタイ'。感傷的な物語にはありがちな孤独、脇役の恋」「今になって思い知ったんだ、キミはまだあの季節を思い出せるかい。痛い程眩しかったな」これはいいね、脇役の恋はいいね。ワーグナー意識してる感じで。

 そんな感じで、ニコルの瑛輝への感情は惜しみない見返りも望まない愛のようであって、どこか一方的に焦がれる恋っぽいという印象だ。

 とりあえずこれくらいかなあ…。また思いついたら何か書くかもしれないけれど、マヨイガで感想を3回も書いたのは、『暁を待つまで』以来だ(笑。

2010年08月31日

いとう由貴『秘めやかな恋の旋律』

 大学の飲み会のあと、欧州の小国王子の留学生の部屋に泊めてもらったらなんかストーカー化してしまって刺されたのですが、自分もわりとちゃらちゃらしてたし向こうは王子だし、誰も潔白を信じてくれない。ちゃらちゃらっていっても、普通の大学生レベルなんですが、外見派手めだし、誤解されてもほっといたしで、ぜんぜん説得力ないみたい。そんなわけでなんか家族にも見捨てられてアメリカに留学させられて、孤独を感じているところに、王子の従兄弟という王子と偶然会ってしまいまして、ストーカー王子がお前を追っているとかゆって保護≒軟禁されてしまいまして。

 基本、自分は誘惑なんてしてないのに誰も信じてくれない…という受けと、ふつうのいい子に見えるけど小悪魔なんだろ?くそう誘惑に負けないぞ!という攻めの、誤解すれ違いラブ。
 筋はそこそこ面白いのだが、自分も確かにわるかったけど誰も自分を信じてくれなくて孤独…という受けの拘泥モノローグが何度も何度も繰り返されるので、さすがに飽きてしまった。あと、攻め→受けの誤解が常に連鎖してて、それが誤解だったとひとつづつ確認していくという流れもやや冗長だったかも。そんな感じで、全体的にややもっさり感がある。逆に後日談はなんかカタルシスが足りない感じ…誤解しててごめんよ孤独だったね、もう大丈夫だよ!とかゆう攻めからのメッセージ的な、なんかそういうのがもうちょっとハッキリあってもよかった気がする。

 また、受けは無自覚に男をどんどんおとしていくという、とんでもない魔性ちゃんだと思うのだが、あんまし魔性!ということががっつり書かれてはいなかった気がする。ていうかこの人、はたちまでどうやって生きてこられたんだ…とか思ってしまう。もしかして、対欧米人専門で魔性なのだろうか?(笑…とか、もうちょっとイメージしやすいように詳しく描いて欲しかった。ていうか、魔性ですよ!魔性ですね!ってみんなで理解するというか、もっとその設定を全面に出して欲しかった感じ。アンティークの小野さんみたいな(笑。
 あと、受けは男に襲われまくりで、次第にめそめそっ子になっていってしまって、攻めがなんで受けに惚れたのかよくわからんかった。魔性の力だけ?という感じ(笑。でもそういえば受けの方もよくわからん。四面楚歌な中でちょっとだけ自分に優しくしてくれた攻め、に惚れた感じかも?

 なんか文句多いですが、でも個人的には結構好きです。

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