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2007年09月03日

愁堂れな『帝王の犬―いたいけな隷属者』


 風俗店経営者のひとり息子で勉強のためにマニアックなSMグッズ店を経営してる大学生、ある夜ドSにともなわれたMがおしおき羞恥プレイで来店してから気になって仕方ない。
 そのMは受けなわけですが、弟に負い目がある受けは、弟のために、弟が所属している劇団の主宰で脚本家みたいなドSに飼われて壮絶な犬扱いをされてる。
 ところで攻めが偶然友人になった劇団員(男)に告白されてたなんてこともありましたが、それって勿論受けの弟ですよ。

 …という、かなりかわいそう受けが期待できる梗概で、まあかわいそう受けはそこそこ楽しめました。が、しかし。

 なんか文体とかエクリチュールがダメだった。攻めサイドと受けサイドを交互にいれてんのにだんだん受けサイドのエピが攻めの後追いというか、二つ前くらいの話の後追いになってたりすんのはなんだかお話が進まないし、そういう遅延が活きてるわけでもない。受けサイドは更に、ポエム化したり、あとたびたび出てくる「犬」という単語の前にダッシュ入れてたりと、いろいろキツい。この内容でタイトルに「いたいけ」という語を選択してしまうあたり、エクリチュールとの一貫性はあると思うが、わたしの好みではないのです。ポエミィなのだ(ポエティック、ではないんですよ。

 あと、『劇団魔界』って劇団名は…とか思いつつ、あ、主宰の名が『真欧』だからか、と気づいた瞬間いろいろな思いが去来した。

アリエスのムウ。

 かなり本格的にヤバいのですが、だって予定していた仕事が半分も終わっていなくって、明日からまた自転車操業再開なんですが、どうすんだろ、まあいいかそれよりムウさま!!!

 星矢とゆう物語自体についてはなんかもう語りたいことがそれはいっぱいあるんだが、ちょっと流石にそれは脇にのけといて、とりあえずムウさま。ムウさまといえば十二宮での登場シーン。

 もちろん、仲間だと思ってたムウが敵に!?とゆうのもあったんですが、あれってそれだけじゃなかったと思うんですよ。それまでは「なんか青銅っ子たちにいろいろしてくれるたおやかな美人がいるぞ」というくらいの認識だったのに、突然の黄金聖衣での登場にうわあやられたあ!と思ったような気がする。その頃って黄金聖闘士って雲上人っていうかものすごい圧倒的な強さを表わす記号だったし、黄金聖衣はその表徴だったし、それまでは柔和たおやかな美人さんだったムウが!黄金聖衣なんか着ちゃってる!というギャップがね、すごくて。

 つまり何が言いたいのかというと、その瞬間から「ムウさま=おだやかな顔して実はドS」とゆう認識にあらたまったのでした?アレ?

 いやほんとにヤバい。仕事。

2007年09月06日

剛しいら「顔のない男」シリーズ

 二百十日。

 以前いろいろなところでタイトルを見たことがあった気がするのです、が、読んでみたらやっぱりすごい面白かった。

 ちょっと顔がきれいなだけの、売れない駆け出し俳優。著名な監督に新作映画に誘われて、最後のチャンスと意気込むが、役になりきるために主役のカリスマ俳優と兄弟として生活することが条件。いぶかしみつつ指定されたマンションで暮らしていると、ある夜『兄』が帰ってきて、云々。

 こんな状況に最初は引いたり戸惑ったりしてたのに、次第に攻めに引き摺られるようにして役に入り込んでいく受けとか、この状況をもたらした監督の意図とか、もう全般的に面白かった。上述の攻めが『兄』として帰ってくるシーンとか、すごいよかった。
 とにかくそんなお話自体が非常に面白かったし好みでもあったのだけれど、キャラもよかった。
 攻めのカリスマ俳優はカッコよくてエキセントリックでひじょうにわたし好み(笑。演じる役に入り込んでしまってその役で日常生活に入ってしまうとか、台本を実際の時間の流れに沿って演じてしまうとか、お話的だけどそれがいい。
 受けのキャラクターがやや把握しづらいというか、作中早い時期から『弟』を演じ始めているので、最後に突然元気であまったれなこになってしまった感じがした。最初の方でも、ちょっとだけそんな感じの描写もあるんだけどね。でも足に後遺症が残ったはかなげな弟、の受けもよかったのでなんだか勿体無い感じ(笑

 素に戻った二人の物語、は、ほとんど書かれていないので、続編が読み大気もしたけれど、でもあまりにきれいにまとまっているし、これで終わってもいいんではないかという気もした。でも、続編が出てることを知ったら、やはりうれしかったですけど(笑

 スペシャルドラマで新人刑事と彼が追うスナイパー役をやることになったふたり。役柄のままに敵同士として憎みあうことになってしまったらどうしよう、と心配する受けに、攻めは数日間役になりきって予行演習をしてみようと言い出し云々。

 あんまり展開が予測できなかったんだけど、そんなに深刻な展開にならなくってよかった。オチも多少意外だったけど、BLなんだしそうだよなあ、って感じ。こんな設定で、一作めときちんと差異を出してお話つくっててすごいなあ、と。
 あと、ヤクザっぽい演技をする攻めは確かにすごいカッコいい…(笑

 しかし三作めともなるとちょっと流石にきびしかったのか、どうか。
 前半の犬の話は受けがなんだかワガママになりすぎた気がした。犬嫌いな攻めはかわいいし面白かったけど(笑
 後半のイギリスのドラマで攻めが明治紳士役をやる話は、なんというか、このひとたちシリーズを通して結局ほとんど映画に出ていないのでは…と思いつつ。イギリスまで攻めを追っかけて行っちゃう受けにはちょっとドキドキしたけれど、でもそんなにワガママ全開な展開にならなくてよかった。
 というわけで、ちょっと失速してるかなあという気もしたけれど、それでもこの二人はもうちょっといろんなお話を読んでみたいなあと思った。同人誌とか出てないのかなあ…。


2007年09月07日

今市子『僕のやさしいお兄さん』

 二百十日でまだあおいいちょう葉がたくさん散ってしまい、なみきみちはまるで、あたかも、

 『グリーンデイ』ッ!!

 …てかんじでしたわ。
 (パンクロッカーではなく、カビの先生の方です勿論。

 むむむー。

 三歳の時に生き別れ、亡くなったと聞かされてきた実の母に無理矢理引き取られることになった主人公。実の母の再婚夫の連れ子(血縁関係なし)をなぜかひきとっており、元夫の子(主人公と腹違いの兄にあたる)までなぜかひきとることに。顔合わせの日、血縁のない方の兄が初めて行った二丁目でお持ち帰りされかけた初恋のひと=千人斬りの王子だとわかって気まずいけれど、腹違いの兄を牽制するために同居に踏み切る主人公。

 どうも最近今市子もいろいろ雑になってない?
 設定がややこしすぎて、人間関係もよくわからない。わからないというか、なんかへんな人が多くて、それがなんでありえているのかわからないという不条理さは、ある意味現実味があるのかもしれないけれど…。

 まず、腹違い兄の母、つまり主人公を祖父曽祖父にあずけて出て行って過去別れた女性とまた再婚し、また離婚してた実の父の元妻(ややこしい!)があまりにひどい。そして、その息子である腹違いの兄も天然にダメ男で、しかも主人公とその母への対応がひどすぎる。ひどすぎるのに天然ってことでなんか許されてるかんじで、主人公もまるっとよい子ではないけれどやっぱりかわいそう。
 血のつながりのない方の兄=王子は、なんかもう一人の兄に妙に甘いのはなぜなんでしょう。主人公に妙に厳しいのもなぜなんでしょう。出会いの傷とか昔からの初恋をひきずってのあの対応なのかな。だとしてもいまのところはなんだかいまいち感じわるい人にしか見えない…。
 ところでそんなきれいなお兄さん、元々書き分けのうまくないこの作者が普段→天パメガネ、王子時→ストレート美人、を同じ人間として書こうというのに無理があるのでは…なんか髪の長さちがいすぎる…。
 主人公は主人公でよくわかんない。おじいちゃん子で女の子にモテて、でもあの家では妙に存在感ない感じで、どっち方面向いてるキャラなのかよくわからないのだ。

2007年09月08日

語シスコ『もっともそうな2人の沸点』

 未収録短編集。
 …ある意味予想通り、…面白くなかった…。

 ていうか、どこを切ってもゴリ×三井…?(それは言いすぎか。

 受験の話とかイタすぎて、一体どこを楽しめばいいんだろうと疑問だった。萌え以前にお話としてどうなんだろうと…。

扇ゆずは『東京心中』

 雑誌で一話目を見たときにヤバい気はしていたのだけれど…、やっぱり面白くなかった。

 それはもう、完膚なきまでに。

 田舎から家出状況の受けをひろったもと芸能事務所社長兼伝説のマネジャー攻め。キラキラオーラにどきどきしながら受けをアイドルにしようとあの手この手、受けは攻めにひかれつつ自分を売り出すためだけにやさしいのだと思って自重。

 なんというのか、やはり受けがキラキラおめめの性別受けだからいけないのだと、一言で言ってしまえばそうなるのだろうけれど、そもそももうお話自体が全然面白くないんだよね。受けの境遇もとってつけたようでうすっぺらいし、さんざんにおわされてる攻めの過去も全然興味がわかない。だって攻めとかってただキラキラな受けにどぎまぎしてるだけのおっさんだし、受けもちょっと天然ぽい孤独しょった性別受けで、ふたりとも個性がなくて大味すぎる。いままでの扇ゆずはキャラはベタ設定にしてももうちょっとキャラたってたと思うんだが…。
 で、話は性別受けの是非に戻るが、こないだの『DARLING』の受けもそうだったけど、なんか妙におさない顔と体型なのは性別受けとして仕方が無いのかもしれないが、だったら終始そういうデッサンのキャラとして書いてくれればいいのに、時折ふつうに大人受けぽい絵になってたりして、ちぐはぐというか作者も扱いかねているように見える。で、もしかして絵の問題はそのままキャラ描写の問題でもあるのかな、と思った。天然でちょっとかわいそうなかわいい受けっ子、というキャラを、作者自身うまく消化できてないのではなかろうかと。

 まあごたくをならべようと、とりあえずお話として面白くなかった、という以外にないのだけれど。

2007年09月09日

いつき朔夜『午前五時のシンデレラ』

 先月読んだ。
 書店で見てタイトルがいまいちで、然程興味を惹かれなかったこの小説、しかしオビを見た瞬間に買い決定でした。

 曰く、「ずっと抱きたいと思うちょった。」

 地域語(方言)BLです…!!!

 攻めが小倉弁なのです。超カワイイです。やっぱりネイティブの方の地域語っていいですね。しかも、いちいち注釈が入らない潔さが個人的には最高でした。はっきりいって、よくわかんないセリフも結構多いんですよ。文脈でなんとなくはわかるんですが、たとえば「みてみい、やおなかろうが。今日はよこうとけっちゃ」…いまいち、わかんない(笑。けど、注がつかなくてもなーんとなくわかるし、余計な説明がないからテンポよく読めて、作品世界に入り込めてよかった。あと、祭りとか町の雰囲気とかがしっかり書き込まれてて、それも面白い。ビバ、ご当地BL!という感じで、もうそれだけでツボ刺激されまくりだった。

 …ええと、ことが後先になりましたが、お話もちゃんと面白かったですよ(笑
 釘師×元高校教師。

 教え子を懐妊させた疑惑で職を追われ、パチンコ店に住み込みで入った受け。バイセクシャルな釘師に気に入られて同居をはじめる。元教え子との邂逅や釘師の居た組とのいざこざがありつつ、釘師が受けに惚れて云々。後編では釘師が心酔してる兄貴分とのあれこれなど。
 
 受けは標準語なのだけれど、出身とか経歴が全然あかされてない。けどそれもなんだか自然で、そういう書き方(きっときちんと設定はあるんだろうけれど、それを饒舌に書き込みすぎたりはせず、しかも書かなくても不自然ではない、というエクリチュールのありよう)は個人的には好きだ。
 攻めは、もう地域語使いというだけでオールオッケーなのだが、元ヤクザのやんちゃっぽさとか、しかし受けより年下というビックリ設定とか、もうなんもかもよいというかよすぎる。そして、長髪ってのも個人的にツボすぎた…(笑、実は結構長髪好きかもだ。受けにたいする惚れ込みっぷりもかなりよいです。全編から後編での成長があるのもよいです。

 そんなわけで、とにかく小倉弁の攻めがかわゆくて、それだけでも読む価値アリです。いや、でもちゃんとお話も面白い…はずです(笑。攻めのかわゆさにくらまされてる可能性もゼロではないので、いまいち判断力に自信が持てませんが…、たぶん(笑

2007年09月11日

夜光花『夜を閉じ込めた館』

 金持ち×ドールハウス製作者。
 いきなりキスしてきたいけすかない若き富豪攻めに、取り壊す予定の山中の洋館のドールハウス製作を依頼された受け。洋館に滞在してハウス製作に励んでる受けに、過去にその洋館で亡くなった攻め母にまつわる事件の影が見え隠れしはじめる。大晦日をまたいでの母の追悼パーティ後、招待客が帰った洋館で、攻め受けアンド母が親しかった三人の若者とで残ったところに、事件発生。

 あ、あれ?山中の洋館に閉じ込められたら、殺人事件じゃないの…?と、途中まで方向性が見えずに読んでましたがやはり殺人事件でした。
 結末としては、過去の事件の件はともかく、殺人事件自体の処理はなんだかあっけなかったような…。ジョージのオチは面白かった。
 過去の事件にかかわる受けの記憶のこととか、攻めの描写とか、ミスリーディングをさそうワナが多くて面白かったけど、なんだか釈然としないものが残るというか…説明がつけられてない件があるような、ないような…。
 あと、なんか受けの性格がいまいちわからないというか、最初のあたりの人嫌いで攻めに警戒してる様子と、途中から攻めに頼って行っちゃう感じがいまいちしっくりこない感じもする。最後のあたりの過去の事件についての告白の展開とか、いつのまにそんなに攻めを好きになっていたんだろう、という気も。洋館に入れ込んでたのもなんだかちぐはぐな印象。
 ていうかそもそも、洋館での殺人事件という筋の中に、時折挟み込まれる攻めと受けのラブ展開が、なんか唐突な印象で奇妙だった気もする。

高尾滋『ゴールデン・デイズ』6

 なんだかまた新キャラが…。サンタの話みたいなのはともかく、浅草の女性は扱い大きいなあ。相馬夫妻の話が今後の筋に大きくかかわっていくのだろうか。その辺りも含めて、なんというかそろそろ大きな物語が見えて来てもいい気がするんだけど、なんかいまいちまだわからない…気がする。
 ところで絵柄の関係か仁があんまり異人さんに見えないので、サンタの話とか勿体ない感じだった。

2007年09月13日

和泉桂『姫君の輿入れ』

 あなたがもし女装受けが嫌いで、
 特に対外的には女性とかいう設定が嫌いで、
 小難しい(?)中古時代設定が嫌いで、

 デモまだあきらめていないBL読みなら。

 女装受けも中古も地雷です、が、なんだかひかれたので読んでみた。

 ある事情で姫として育てられた左大臣家の末弟。家にひきこもって入内もいやがるので、すごい美人ではとか噂されてモテモテ。そんな受けに興味をもった、帝の血縁である攻め。メチャ美丈夫の色好みで光源氏にたとえられる攻めだが、帝や左大臣に反発もあったりして受けに興味を持ち、付け文、押しかけ、押し倒しー、決まり手は強引攻めー(笑

 閉じ込められてる姫に好奇心から近づいて無理矢理押しかけ攻め、もとい押しかけ夫してのめりこんで結婚まで行ってしまう展開とか、やはりこれは落窪の話型なのだと思ったりした。だからかわいそう受け好きな人向けだ。
 特に受けの処遇について、どのあたりでオチつけるのかと思っていたら、なんというか、結構潔くBLだった(笑

 家に閉じ込められ将来への不安を感じつつも、父や兄のために姫としての状況に耐えつつ、突然現れたいい男(笑)に、疑いながらも結局は頼るしかなくってそして惹かれていくとことか、オーソドックスだけどいいよね。疑ってじたじたする辺りは落窪ではないのだが、こういう反発を書き込むのはBLだからではなくて現代テクストだからだろうと思う。
 攻めは帝とかへの反発と、受けへの気持ちをどっちももってて、気持ちがあっちいったりこっちいったりで、個人的にはそういうのはちょっと苦手。もっとあるポイントからこっち一気に一途に思いつめてしまう(桐ノ院圭みたいな?)方が好みではある。でも格好よいのでいい。「薫衣の君」というあだ名とその由来はいいと思うのに、後半全然出てこなくてなんか勿体無かった…。

 *リード?の部分の元ネタはリトバスのやんちゃコピーです(笑

2007年09月14日

剛しいら『永遠少年』

 奇妙な遺言を残した華族の遺産をめぐり、相続人として三人の少年があらわれた。少年愛の攻めはその中の一人で、愛人稼業の母に無理矢理相続人にしたてられたらしきうさんくさい少年を連れ帰って云々。
 というのが前半で、後半はもう一人の華族の愛人みたいな少年達の話なのでどちらも薄味な感じ。少年といううつろいゆく存在を愛する刹那性をどう乗り越えるのか、乗り越えられないのか、みたいな結構観念的な話がわりあい全面に出ていて、そのあたりは少し面白かったけど、でもやっぱり薄かった感じ。

タウラスのアルデバラン。

 そんなわけで、先般突如としてマヨイガに登場したムウですが、あたしは別に特別にムウがすき、というわけではありません。じゃあなんで突然ムウよ?のわけは、…黄金聖闘士十二人を順番に書くつもりだからですよ!



 そして、…『既に』ッ!
 第二の宮金牛宮でおわかりのとおり、キャラは皆うろ覚えなのだッ…!!
 (クロスだけはどうもならんのでなんかいろいろ捜した。

 アルデバランはたしか長髪だったはず…ていうか黄金聖闘士って長髪だらけで時代を感じますが、むしろそこにモエモエです。
 第二の宮にして、いかにも黄金聖闘士!なアルデバランは王道でよいです。ムウがあまりに変化球だったので余計王道な印象が強いのかも。

 ところで十二宮ってどうして四月はじまりなのでしょう??

2007年09月15日

いつき朔夜『G1トライアングル』

 馬主×ジョッキー。
 あこがれの馬ラクシュミに乗せてほしくてなんかちょっとカンジわるい馬主に直訴したら体と引き換えだと言われまして云々。

 元気っ子受けに、受けにメロメロだけどちょっといじわるしたりもする攻めはキャラがそれぞれ立っており、物語の展開もそこそこ面白かった。受けのなかよしの厩務員がちょっと悪いこだったのが淋しい…のだが、彼がいるからこそトライアングルなのか…。なんかあんまり三角関係って印象は全体としては感じなかったけど。
 しかし競馬ものってどうも恋愛面での展開がいまいちしっくりこないことが多い気もする。魅力的なジョッキーに惹かれる馬主、というのはわかりやすいのだが、馬主(大抵金持ち)に惹かれるジョッキー、の心理面というのはよくわかりづらい気がしてしまう。この作品も受けが攻めに惹かれた理由はわかりづらい。
 ラクシュミの結末が淋しい…でも物語の展開としては面白かったので、仕方ないかな…。

 受けでしかも年下低身長なのに色黒なのはBLでは珍しいかも(全く無くはないけどね。しかもカラーイラストでもちゃんとその設定が活きてるし。
 というわけでホームラン拳は丁寧な仕事をするので好きだ。口絵とか超キレイv

ジェミニのサガ。

 というわけで、ぐぐりつつ描いてます黄金聖闘士。
 でもカラーリングがよくわかりません。アニメカラーと原作カラーがごちゃごちゃになってる気がします。

 十二宮中で最も自信がないキャラの一人がサガです。なぜかサガ戦って印象がうすくって、ものっそい記憶から抜け落ちているのです。たしか射手座聖衣が来たような…あれ?一輝も出てきたんだっけ?とか、そんな感じ。でも、少なくともこんな人↑ではなかったような気がする…(これでは黒い方みたいだ。しかし、どんなキャラだっけか…。

2007年09月16日

キャンサーのデスマスク。

 世間様にははったおされそうな四連休なんですが、仕事が山になってなだれを起こしています。やる気がしないよー!

 ああ~新ジャンルつくっちゃったら、なんかまたマヨイガがカオスになってないです?クロエはいつもなんかハマるとものすごいいきおいで書いたり描いたりして、またすぐに飽きたりしそうで心配ですよ!

 当時は黄金聖闘士随一のカッコワルキャラだと思ってました、デスマスク。名前も手抜きくさいし、顔もおっさんくさいし、いっこもいいとこない悪党だし。しかも大悪党ならまだしも、小悪党なんだもの…悪党キャラの中ではシュラやカノンは改心したし、アフロディーテは電波だけど美人だし、サガは半端ないから問題外だし、そんな中ではデスマスクってほんといいとこない感じだったし。

 当時は、という留保にかんしては、まあ後述するということで(とりあえず一巡するまではヤオイ禁止を自らに課しているのです。

2007年09月17日

いつき朔夜『八月の略奪者(ラプトル)』

 先月読んだ。

 高校生×博物館の学芸員。
 学校行事で博物館を訪れ、アンモナイトのレプリカをつくっていた際、級友にからかわれてはずみで本物のアンモナイトを割ってしまった攻め。受けに怒られて、お詫びがわりに夏休みの間博物館でボランティアをすることになって、最初は面倒だと思っていたものの、次第に受けの不器用なやさしさとかに惹かれていく。受けの高校時代からの友人とのあやしい会話をきいてしまったり、告白しても恋に恋してるんだよとスルーされたりなんだり。

 すごい丁寧にいろんなエピソードがかかれてて、心情の描写も丁寧で説得力があって、地味だけれどもほんと佳作だなあ。

 前半の高校生視点では、周囲から浮きたくなくてちょっとはすにかまえちゃってる高校生が、不器用な年上美人に惚れて変わっていくのが面白い。博物館という舞台は若干地味目で、高校生の憧れじみた恋とそれを憧れだとしか思えない受けの心情描写はすごく地に足ついた感じで、だけれどカエル泥棒の犯人をさぐるためにふたりで博物館に泊まる話とかはちょっと物語的なエッセンスになってて、そんな現実味とそうでない部分との配分がうまい。最後のセミの話とかはなんだかきれいでかわいくってとってもよい。それに対する受けの反応もこれまたかわいくっていいし、ここのどんでん返しはそれまでの受けを読み返してみるのも面白いし、後編で受け視点になっていくのにもうまくつながってて巧い。

 後半受け視点になって、将来有望な優秀大学生になっちゃった攻めにたいして、自分のような恋人がいては足をひっぱってしまうだろうと思って身を引こうとあれこれするというオーソドックスな筋ながら、もちあがった環境問題を仕事や研究とからめてキイにしてて、とっても面白い。妙に懐ひろくなっちゃった攻めとどう頑張っても別れられそうになくって、スネてた高校生をあやしてあやしてこんなにいい男にしちゃったのは自分なのだ、と思うとことか、最後の手段で元セフレ(ぽい友人)と寝ようとするとことか、大人らしい身勝手さがしっかり描かれてて面白い。

 絵は…藤崎一也はちょっとニガテで…残念。

 しかしそんなわけで、とにかく全体にすっごくよかった(何だか面白い、を多用してしまってた語彙のなさが情けないですが…(笑

2007年09月18日

レオのアイオリア。

 仕事…?仕事???

 アイオリアもアルデバランにつづいて正統派の黄金聖闘士だなあという感じ…主人公と対戦したせいかな(笑。星座もレオ=獅子という申し分のなさだし(笑。技も力とスピードでおしてく正統派っぽいし。なんかオーソドックスな正義漢、熱血漢って印象。兄も彼だし(笑。でもあんまり兄とあれこれな印象はないのだけれど。

2007年09月21日

高岡ミズミ『恋は君に盗まれて』

 CGIの調子がおかしかったですが、なんとか大丈夫?

 MLB球団オーナー×日本人ルーキー。
 野球選手になりたかった攻めは、小柄ながら元気に活躍する受けに惚れてしまい、食事にさそったり車で送ったりなんだり。

 受けはイチローがモデルなのか…??170オーバーの身長に内野安打に盗塁…、でもまあ日本人選手をBL的に造形するとこうしかならないか…。

 お話自体は悪い意味でものすごくBL的だった。受けも攻めもノンケなのにいきなり同性に惚れてしまうし、互いの立場の違いとかを気にしてすれ違い(かっこいいオーナーのやさしさに期待しちゃだめだ、とか男に誘われても迷惑だろうな、とか)で、なんとか気持ちがつうじあってよかったね、とそれだけなんだよね…。話が短いのもあって、あんまり盛り上がらないというか淡々としている印象。
 後篇は日系選手の薬物問題がメインで、こっちもあんまり話は転がらない。

 ちょっとだけ出てきた別チームのスター選手と日本人のマネージャの話があるというか、そっちのほうがメインらしい。

崎谷はるひ『SUGGESTION』

 『ANSWER』の続編だけど、うーん、前作のほうがよかったかもしれない…。

 執筆された時期が違うのか、ANSWERとは文体がちょっと違う気がした。SUGGESTIONはややくどいというか、特にキャラの思考に寄り添って語る部分とかが冗長な感じで、ストーリーの筋がなかなか進まなくてちょっと焦れてしまう。
 秦野の語尾(たまに語頭も)を亜空間に飛ばしてしまうスタンドは絶好調で、単語平仮名化能力まで発達してしまい、多少ならかわいいけれど、今回は流石にちょっとやりすぎだと思った。
 真柴はなんかキャラ設定がよくわからなくなってきてしまった。まあもともとタンホイザーからわんこ攻めへ、というむつかしい路線変更を余儀なくされる展開だったし、その展開自体はアリだと思うし、だから仕方が無い気もするけど。でも短編とか読み合わせると、昔は結構冷たい感じだったっぽいのに、井川に対してはかなり甘かったっぽいので、どうもうまくイメージできない感じ。
 そして、井川は…そこまで壊れなくても、と…。

 短編は、最初の短編がSUGGESTION本編と内容が少しかぶっていて、それで本編も冗長になってしまってる気がした。
 誕生日の話はいいけど、ちゃんと祝ってあげてほしかった気も…(笑
 最後の電気屋の話は、なぜここで新キャラが…という印象。SUGGESTION本編でもアパレル会社の女性社長とか何故こんなに書き込むのだ…という感じだったし(たしか彼女は別作品のキャラなんだよね?

 なんか全般に、本編の保育園のエピソードみたいな、ちょっとライトで日常ぽくて、でも二人の関係性の発展がしっかりわかるような小話をもうちょっと読みたかった気がする。元のレーベル的にも仕方が無いことなのだろうけれど、ベッドシーンが多いので余計そう思ったのかも。

 イラストは、秦野が裸体かパジャマかの二択なのが…なんだかかわいそう…(笑。真柴はいろいろ着替えてるのに。

 しかし今回、秦野が最終的に35才になってしまうところが、個人的にはなんというか画期的だった(笑。35才のかわいい系受けも秦野ならまあいいか、という気がする(笑

2007年09月22日

甫刈はるひ『鎌倉茶寮恋物語』

 和食店の板前見習い兼相続人(予定)×そこに融資してる銀行から派遣されてきた支配人。
 祖父が板長の叔父をさしおいて和食店をつがせようとしてることに反発して家出したら祖父が亡くなってしまい、落ち込んでいるところに優しくしてくれた受け。その後も偶然再会したものの、もう会うこともないだろうと思っていた受けは支配人として店に現れて云々。

 作者の処女作でしょうか。いろいろと難があった…。
 直情型っぽい叔父兼板前、あっけらかんとしたその弟子、叔父の元妻と妙にキャラが多く、どのキャラも描写が足りないし筋にたいする役割も不明確で散漫な印象。なんで祖父が叔父に店をつがせようとしなかったのかとか、よくわからないままだし。主人公二人もなんかよくわかんない。特に受けの心理面はよくわからない。
 文体もなんだかあわない…というか、巧くない。話があっちこっちとぶし、会話の途中でもとぶので読みづらい。後半は特にポエム的で、展開がわかりづらい上に酩酊してるかのようなふんいき文体で読んでてしんどい。『不機嫌なピアニスト』もちょっとそんな感じはあったので、元々そういう文体の人なんだろうな。

2007年09月23日

秋月こお『逡巡という名のカノン』

 ヤター!ついに逡巡という名のカノン読み終わったよ!!

 ということで、周回遅れになってしまいました(笑。次の新刊が出る前に読まなくては…!とは思っていたのですが、積ん読してたらどこかにまぎれちゃったり、泊まりの日に持って行って読んでたらまたどこに入れたのかわからなくなっちゃったり、と、…正直あんまり前向きには読んでいなかったのかもしれません。

 何がしんどいって、冒頭がしんどかったんだよね。やっぱり人の日記見るのはよくないと思うぞ!
 がんばってその後を読んでは見たものの、合宿に行く必要はあったのかどうか、と…。なんだろう、何のためのエピソードなんだろう。悠季が働いていますよ描写が目的?大学生たちも八割がたただのモブみたいだし、ちょっと深めに関わった子ももう出てこなさそうな…。モアイみたいな先生はまた出てくるのかな。
 フジミの納涼祭り?はよかったんだけれど、でもまた悠季があんまり練習できなかったよ!とか言ってるのが、なんだか読んでいてしんどいんだよね。悠季ちょっと忙しすぎなのでは。実際問題として新人バイオリニストはあれくらい忙しいものなのかもしれない(まあ、そうではないかもしれない)けど、作り物語なのだからもうちょっと余裕もたせてあげてもいいんではと思ってしまう。こんなに忙しなくってはなんだか読者まで息が詰まりそうで、物語の本筋が何だったかわからなくなりそうだ。

 ところで悠季が忙しすぎと言えば、もう一方の圭がかなり忙しそうで、それはもうあんな日記まで書いてしまうくらい忙しいらしいのに、何をしてんのかいまいちわかんないのは何でなんだろ。何時の間にか牧神の午後の録音してたとか、公演はもとよりなんかメディアもいっぱい出してるみたいな雰囲気だけど…。
 悠季一人称の語りでこうも圭の存在が希薄になってしまうと、悠季の圭に対する意識が磨り減ってしまったようでやるせない…。

 こういう日常の忙しなさに愛情が磨り減ってしまうやるせなさとか、やはりそうした忙しさに芸術への志向が失われてしまうせつなさとか、そういうのが読みたくてフジミ読んでるんではないんだけどなあ…。

 ちなみに番外編というかなんか写真見る話、は、雑誌に掲載された時に読みましたが、ものすごい地雷展開(個人的に)だったので今回は読んでません。

 でももうアンダルシアは購入済みです。

2007年09月24日

バルゴのシャカ。

 仕事???

 他キャラにくらべて多少丁寧じゃないかって?
 シャカを贔屓して何が悪いのだ。

 いや、実はシャカも特に好きキャラだというわけではないのですが、しかし特別なキャラなのです。なぜなら自分が乙女座だからです。だからあからさまに贔屓します。
 乙女座がシャカでうれしかったのは、妙に強そうだからです。五感を剥奪とか、神に近い男とか、なんか強そうです。とりあえず『Ω(オーム)!』と言っとけば勝てそうなのがいいです。一輝には負けましたが、たぶん他の青銅とか大抵のキャラには勝ちそうだし。
 つまり何が言いたいのかというと、幼いクロエには美しさより精神性より強さ、だったみたいですね…。

2007年09月28日

名倉和希『期間限定の恋人』

 商社の対アジアチームのチーフ×新人。
 ちょっと話がややこしいので、うまく要約できないのですが(いつものことか。
 新入社員の受けは仕事ができて気配りのできる男らしい攻めにメロメロで仕事もがんばっちゃうのだが、実は社長の妾腹で、社長の息子=攻めの同期(ただし犬猿の仲)の弟でもある。チームに所属して間もない折に、攻めは北京に長期出張が決まってしまう。受けは決死の覚悟で告白するも、同期(受けの兄だということは社内では知られていない)とのあやしいウワサがある受けをうたぐって、攻めはいじめてしまい、赴任までの期間限定で恋人にすることに云々。

 タイトルからは傲慢ノンケ攻めか、と思ったのだが、最初の方では結構やさしいまともなひとっぽいのであれれ?と感じた。しかし攻め視点になってみると、意外にも告白前から受けのことが気になって仕方がなかったらしく、そのちぐはぐさはちょっと面白かった。受けからみるとカコイイチーフなのだが、実際にはただのヘタレでした、という感じ。でもその視点のきりかえどころがいまいち適当な感じだったのがもったいない印象。
 受けは素直健気だけれど天然ぽくて嫌味さはない。つくしまくりの様子もなんだか的外れだったりしてかわいい。攻めが事件にまきこまれてしまって、攻めを助けようとがんばるあたりも、兄の言うように結構しっかり活躍していて、ただめめしいだけの受けではなくてよい。
 というか、その兄ですよ!エリートメガネ!の、兄なんですが、最初はなんだかあやしげで裏では黒い人なのか?とも思ったのですが、ただの弟バカというかものすごい弟バカで、受けをあまやかしまくりでとってもいいひと(笑。受けとの夏休みが天然受けのおねだりでとんでもないこと(笑)になっても許容してるし。なんていい兄…という対比でか、攻めが余計にヘタレに感じた気もするけれど(笑。

2007年09月29日

夜光花『おきざりの天使』

 幼い時に一家心中、生き残って従弟の家にひきとられた受け。高校で従弟と一緒に入った水泳部で仲良くなった攻めに生徒会に誘われ、攻めは会長に、受けは副会長に。三人でなかよくしていたものの、やがてふたりはそんな関係に…
 そんなある日、当然夜光花なのだから奇妙な事件が発生するわけです。地震のあと、なぜか外部との通信ができなくなり、校舎の外に出た人間が次々に死んでいく。教師ら大人が激減し、攻めたちはなんとか生徒の統制をとろうとするのですが云々。

 はたしてBLをからめる必要があったのか…。作者はパニックものがやりたかったとあとがきに書いてたし、異常な状況の中での肉欲込みの恋愛というのは分かりやすいのだけれど、にしては過去とか事件以前の描写がきっちりなされてて、どうも全体としての統一性が把握しづらいというか。
 そして恋愛面だけではなくて、なんか異常な状況のせいでみんな情緒不安定かつ似つかわしくない行動もとってしまうので、みんなキャラがよくわからん…。
 異常な事件の解決は予想その2(漂流教室ではなくレベルEだったのね、という)だったけれど、解決にいまいち納得がいかない…。そういうオチなんだったら、すべての異常な展開に現実とリンクしたタネあかしがほしかったなあ…。タネなしのあのオチでは、夢オチとかわらないではないか…。異常さとか状況の描写はわりかし丁寧に書き込んでる気がするので、オチがないのが余計にもったいない感じ。
 あ、あとBL的にもオチがよくわかんない。従弟はなんだったんだ…従弟関連の描写も受けの願望ってことなのか…?なんだかエグいなあ…。

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