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2007年10月02日

南国ばなな『ミルクマン』1

 牛乳屋さんとアパートのキテレツなひとたちとか。

 最初のあたりはなんかまだ試行錯誤という感じだけど、出張るキャラが決まってきたあたりからこの作者らしいわけのわからないお話になってきた気がする。
 コーヒー牛乳屋とか、なんかイケメンなのに羽田系の壊れキャラっぽくなってきててちょっと心配だが、結構かわいいっぽいとこもあるので面白い。あと、出オチ気味なスイートコーンとかね(笑。ネコみたいな大家さんがいまいちキャラうすいような…というかこのキャラが薄いだなんて、他がどんだけ濃いんだ…。
 美容院はまさか…と思ったらやっぱり屋久島兄弟だった!屋久島は受け身な性格なのにすごいキャラたってるよなあと改めて思った。基本穏やかそうで結構親切でちょっと天然な感じというか…うまく言えないが。

2007年10月05日

京山あつき『キスミーテニスボーイ』

 なんかすごくいそがしい!

 表紙のさわやかさに反してか、やはりまた変なキャラが出てきた。

 テニス少年たち→プロ、日本人×オーストラリア人。
 テニス留学してたときに受けにちょっとからかわれたことを何年も覚えてて、高校生になった攻めはジュニアの大会で再会した受けに公衆の面前でキス。その後もストーカーというか奇行によるつきまといがつづき、試合で勝ったらキスさせてくれとかなんとか言って勝ったり負けたり、もう早く先に進もうよとか受けが思い始めた頃から攻めはずっと勝てなくて双方数年にわたりおあずけみたいな。

 とても面白かった。この作者はちょっとヘンなマンガ好きにはたまらない作品が多いと思う。
 攻めがちょっとキモイのだがこの作者らしいキャラでいいと思う。受けはキラキラ王子オーラ丸出しで、次第に攻めにほだされてくというか、結構最初のあたりからほだされてるのがかわいい。絵がいつものとおりなので、受けがもっと外国人的な容貌だったらもっと面白かったかもとは思った。

2007年10月09日

Wake up! Tour@Zepp Tokyo その1

 久しぶりじゃないか(さわおのマネ。
 デスマーチは多分おわった。
 そして、ウェイクアップツアー最終日にいちきましたよ!


01. wake up! do do
02. Skinny Blues
03. And Hello
04. DEAD STOCK PARADICE
05. プロポーズ
06. Sad Sad Kiddie
07. Ladybird girl
08. シリアス・プラン
09. プライベート・キングダム
10. スケアクロウ
11. Swanky street
12. MY FOOT
13. 確かめに行こう
14. サードアイ
15. Century Creepers(Voice of the Proteus)
16. Sweet Baggy Days
17. プレジャー・ソング
18. LITTLE BUSTERS
19. YOUNGSTER(kent Arrow)
20. Blues Drive Monster

EN
01. Ride on shooting star
02. ROCK'N'ROLL SINNERS
03. ハイブリッドレインボウ

EN2
01. この世の果てまで
02. Advice

 in(O-EASTからの)
 And Hello、DSP、Sad Sad Kiddie、スワンキー、確かめに行こう、リトバス、ブルドラ、ライドン、果て、アドヴァイス
 out
 アイノウユウ、インスタントミュージック、レジスター、カーニバル、Midnight down、つよがり、ライクアラブソング、ボートハウス、GIRL'S DON'T CRY、カルヴェロ、バスストップ

2007年10月10日

Wake up! Tour@Zepp Tokyo その2

 なぜかZeppの日は風邪ひき率が高いのだが…。

 そんなわけで、ウェイクアップツアーのファイナルにいちきました。
 前回のツアーとかで、一公演だけじゃなくて複数回行きたかったなあと反省したので、今回は三公演分とったんだけど、正直O-EASTはいまいちに感じたので、あー一回でよかったかなーとも思っていたのですが(結局名古屋は行けなかったけどね)、やっぱ行ってよかったですよ!セトリ変わってたし。しかしセトリはツアー中に結構変えたらしい…ということはやっぱ夏前のセトリは他の人にとっても微妙だったのかな、とも思うけど。
 大阪ツアー(後述)直後でお互いへろへろでしたが、今回は相方マリィさんとご一緒しました。正直、ピロウズを誰かと一緒に聴ける日がくるとは思っていませんでした…!(笑

 セトリは前のよりもつながりとか自然でよかった。やっぱりプロポーズ→レジスターとか重複ぽいもんね。どっちも好きだけど。
 アンドハローはいいねえ。案外ライブで聴いても面白い曲だ。
 Sad Sad Kiddieとか、「イングリッシュソング」(笑)が随分増えてた。好きだからいいけど。
 バギーデイズが前倒しになってて、もう終り!?早すぎない?とビックリした(笑
 リトバスからヤングスター、ブルドラという締めはなんか怒涛だった。ブルドラは大好きだけど、なんか締めってイメージはなかったのでちょっと拍子抜けな気もしたけど。
 アンコール、果ては実はあまり好きではないので、ダブルアンコに文句言うのもワガママだけどこれで締めはなあ…と思ってたら、さわおがPEEちゃんと相談してAdvice!いいよねAdvice!大好きだ。

 しかしセトリの変更の特徴としては、英語詩とアンセム系の大量投入の二点だった気がする。つよがり他穏やか系の曲が減ってるんだよね。うーん、いいような悪いような。英語詩もアンセムも盛り上がるけど、そして楽しかったけど、ウェイクアップっぽさは薄くなったかも。ボートハウスすら削ってるし…。
 どうせならインストやればよかったのに、という気もする。けど『ウェイクアップ3』にインストないからだめなのかな。

 多少の人気が出てきた(笑)おかげでファン層がかわりつつあるのか、最近さわおが丸くなった(笑)せいなのか、コールみたいのが随分増えた気がする。個人的にはさわおはもうちょっとツンツンしてるほうが好きなんだけど…(笑。でも「バスターさん!」は可笑しかった。
 MCはPEEちゃん取り合いネタはもういい、と思った(笑。でも映画『スケアクロウ』は見てみようかなという気になった。

 Zeppはロッカーがいっぱいあっていいのだけど、やはりちょっと大きすぎる気がする。そしてマイクが時折おかしかったような…。
 そいえばどでかい三色のバスターくんバルーンには正直ドン引きしたんだが、あれはさわおがやりたかったらしい…(笑。ということを知って、やっぱピロウズに金の力は持たせないほうがいいんじゃないかという気がした…(笑

 今度出るロストマンゴートゥイエスタデイで、シングル曲ライブをやるのだそうで、とてもワクワク。

2007年10月11日

冨樫義博『HUNTER×HUNTER』24

 なんかここまでどんな話だったか忘れた。
 ゴンたちサイドの話より王の話のが面白いのは、たぶん展開をうっすら覚えているせいもあるんだろう。超ベタだけど、王とコムギの話はそこそこ面白く読んでる。こういうベタさは冨樫らしい。ゴンたちのほうはなんか拡散しすぎ。会長とかどうしているんだっけか。
 まああれです、もうキメラアント編はいいので、収束して欲しい…たとえそれが連載の終了であってもだ(笑

2007年10月13日

博多大阪。

 今週に上半期の仕事の納期みたいのがあって、それまでかなり重荷をせおって生活していましたが、そんなデスマーチもやっと終りに近づいた先週末はなんだか怒涛のようだったのでございます。以下備忘。

 初日二日目は転勤される先輩の壮行会だった。そんな中でも仕事の方でミスがみつかって夜中までその始末をしたり、マッチョ系萌え先輩をいじってひとり萌えつきていたり、はたまた温泉に行ったりと、もうわけのわからない二日間だった。やっと家に帰り着いたと思ったら久々の我が家には中華系萌え女子が二人も居て、超カワイイの。日本語勉強してる中国の女の子ってなんでみんないい子でカワイイんだろうね。超不思議。

 そんなわけで後ろ髪をひかれつつ、翌日はK下の結婚式のために羽田から福岡へ。福岡空港はウワサに聞いていたとおり街中に突然出現するのだけれど、機体が海上で旋回してから、街の上をとおって滑走路まであっとゆうまでやっぱりすごかった。でもランディングをやりなおしたのでちょっとドキドキした。
 博多ははじめてで、でも観光する時間がないから期待しないように何も調べないで行ったんだけど、途中でアレ?中洲って、あの中洲!??と気づいてしまい、ひとり大興奮。タクシーのうんてんしゅさんに中洲の屋台ではお酒出さないってほんとですか?とか聞いてみたり(笑、うざい客だ。しかし後から気づいたのだが、お酒を出さないという描写があったのは「旦過橋の屋台」だった(笑。でもタクシーのうんてんしゅさんが親切で、翌朝近くの駅までワンメーターお願いしただけのうんてんしゅさんも、なんかいろいろ話してくれた…って、どこにも行かなかったからタクシー以外に交流がなかったんです…(笑
 いや、昔のともだちとかとはいっぱい喋ったけど。K下の結婚式はいかにもって感じでよかったよ!K下かみまくってたけど(笑、すっごいらしくってよかった。ただ、かなり暑くて秋~冬もののケープがちょっと恥ずかしかった…。気に入って思い切って買ったケープだったので、着通したけど(笑

 更に翌日はイベントのために朝の便で大阪へ。大阪もはじめてだったので、関空にちょっとワクワク。でも普通に空港だった(笑、いや大阪もどこも行けない予定だったので、関空見るの楽しみにしてたから。関空からJR地下鉄のりついで、へーこれが天王寺かーとか言いながら何処にも寄らずに会場へ。イベントは楽しかった。夜は参加者のみなさんと心斎橋で飲んで、マリィさんと新大阪のホテルへ。かなり疲れていたのだけれど、なんだか興奮してしまって、文学的な愚痴(笑)とアホな話で夜中まで盛り上がった。

 そんなわけで、今週末はひさびさにまるっとお休みで、木原音瀬の新刊読んでグダグダしてます。

2007年10月14日

木原音瀬『吸血鬼と愉快な仲間たち2』

 『吸血鬼と愉快な仲間たち』の二巻。一巻が大好きなのでワクワク期待しつつ、しかしあれの続きって難しそう…と不安も持ちつつ。一巻はアルと暁の出会い編ってこともあり、すごくドラマチックで構成も面白かったんだけど、続きでは同じような構成にするわけには行かないわけだし。

 で、結論から言うと、やはり一巻の方が格段に面白かった。
 ちょっと構成があまいというか。前半はやや散漫で冗長な印象で、暁に片思いする見習いエンバーマー室井とかアルの撮影話とかのいろんな話が、何が本筋なのかがよくわからないままにどんどん併置されていってしまう。後半は突然の殺人事件はともかくとして、室井の家族のエピソードとか最後に突然入り込んできて、なんか前作もそうだったけど、末尾で突然展開をつめこんでしまってる印象で、これは何なんだろうって思った。
 室井が暁の胸で泣くとことか、アルの気持ちを動かすのに必要だったんだろーなーと思うんだけど、ここでぐんっとアルの気持ちが動いてしまうというのは、なんかやっつけっぽい印象。この二巻はアルが暁に気持ちをよせるようになるためにあったって面もあると思うんだけど、で、気持ちのゆれとかは折々にかかれてたんだけど、でもその筋において撮影所での話はあんまし活きてなくって、だから殺人事件がメインで書かれてきた後半に、突然室井のエピがきてアルの気持ちが動いても、なんか唐突で浮いてる感じ。
 撮影関係の話とかだって、アルの暁への恋心につながってく部分もあるはずだし、たぶんいろんなエピの配置をちょっと換えたら、もっと自然につながってた気がする。なんだか勿体無い。アルの暁への告白(みたいなもの)もなんか買い言葉っぽかったせいもあるんだけど、やっぱりなんだかしっくりこないので、暁への気持ちの変化はもうちょっと丁寧に書いて欲しかったなあ。
 あと他のキャラの描写とかも、新キャラが随分出てきたけど、その分一人一人が薄かった。勿滑谷とか、都合いいキャラみたいになってしまってて、なんだか勿体無い。津野は面白いけど。アルと暁をゲイカップルだと思い込んでのいろいろな反応がベタだけど面白かった。搬送のときとか(笑

 そんなわけで、全体的にちょっと雑だなあという印象があったものの、それでもやっぱり元々がすごく好きなお話なので、ゆっくりじっくり読んだ。
 室井が勘違いする車の中でのキスとか、吸血鬼とBLというモチーフが活きてていい。吸血鬼であることを隠さなければならないしんどさとか、それと裏返しな知っているもの同士の少しあまやかな秘密の関係性とか、血が必要で・不死身という吸血鬼の身体がもたらすアルの肉体的なしんどさとか、暁のそっけなく不器用な優しさとか、この物語のおいしい部分がぎゅっと凝縮されてて非常に好きだ。
 しかし、やはりというか、暁がアルに血をあげるというのはとても大事な場面なので、アルは毎回大怪我とかすることになっちゃうんだろうか…(笑。ちょっと痛々しい。

 そういえばこの物語はほぼアル視点なので、明らかな勘違いとかもそのまま訂正されないことが結構ある(後日談で訂正されることもあるけどね。今回だと、花見で太巻きを知って、果物で太巻きをつくったらきっと暁も喜ぶに違いない、とか思って、その話がそれきりっていうのが、なんというかアルらしくって面白い。
 で、そんな書かれ方の中、暁のまわりくどいやさしさがまわりくどく描写されていくのがとても面白い。
 暁がプロデューサーになった酒入にドラマの監修をたのまれて、散々固辞してたのに急にあっさりOKしたのは、酒入がアルに目をつけたことを知って、要求を半分のむことでアルをメディアから守ろうとしたんだろうし、でもそういう暁の内心をアルは気づいているのかいないのか、とにかく発話においても心内においても暁のやさしさを直接的には言説化しないのが、むしろよい。そういう意味で、鈍で勘違いもしがちなアル視点のエクリチュールは、不器用な暁を不器用なままに何の評価もせず書くためにとても有効で、暁の魅力をうまく書いてる気がする。
 物語レベルの話に戻るけど、暁といえば、アル自身も言ってたように、アルにかんすることには過剰反応をするのは何でなのか。アルのことはどうでもよくなくなってるのか?
 うーん、いずれにしても、この二人の気持ちと関係の変化はすごく面白いので、三巻にも期待してます。

2007年10月16日

南野十好『隣り合わせの純情』

 家具メーカの長男×血の繋がらない弟。
 メーカ社長家で、社長妻のなきあと子どもの面倒をみてた→後妻になった母について、社長家で育った受け。しかし親切な兄である攻めにいけない感情をもってしまってぎくしゃくし、籍にはいることをこばんで兄にいぶかしまれて更にぎくしゃく。会社で兄の秘書として働く中、イタリア人家具職人に出会ってモーションかけられたことが兄の逆鱗に触れてタンホイザー。

 なんか受けは受けでうじうじしてるし勝手に考え込んで、そのくせ人の気持ちに鈍感で、ある意味少女漫画やBLによくいるタイプの主人公ともいえるのだがやはりイライラする。
 攻めも内心が書かれてなくても書かれてみても結構自分勝手で、やさしさとか包容力とかそういうのはないならないでいいんだが、ありそうに書かれてて実はない、となると単なる魅力に欠ける攻めになってしまう。
 アテウマのイタリア人もただやさしいだけって感じであんまし魅力が無い。
 そんな感じで、悪い意味でBLテンプレなキャラたちって印象だった。
 ちなみに脇キャラも、受けにべったりな妹ももうちょっとかわいくてもいいだろうって感じで、妹にベタ甘なメーカ社長も甘いだけで優柔な印象だし、母はいるんだかいないんだかという感じ。

 展開も面白みはなく、というかテンプレ展開なので先は見えてるし、その見え透いた展開を上記のような感情移入できないキャラたちが進めていくのでどうにもしんどい。途中から流し読みしてしまった。

2007年10月17日

火崎勇『臆病な恋人』

 上客×昼寝屋のやとわれ店長。
 彼氏を共有するのはもういやだ、と思ってる受けは、二人の女性とつきあってるらしい攻めに惹かれてしまうのだが、攻めは受けを口説いてきて云々。

 あれー?なんかすごい薄かった。
 なんか受けがひとりでもんもんと悩んで前に進んだ気になってた、という印象。攻めが受け大好きなんだけどものすごい勢いで表面的で、元カレもただの装置って感じで、なんだかなあ。
 この作家は読むの二冊目かな。相性がよくない作家なのかもしれないけど、まだよくわからない。

水無月さらら『オレたち以外は入室不可! 』

 年下イケメンリーマン×年上メガネリーマン。
 後輩につれて行かれた合コンで、後輩の友人のイケメンと意気投合して一緒に住むことになってた。

 特になにもない日常生活がえんえん続いてて、緩急もないというかむしろ筋はどこ?何がメイン?という感じで、ちょっと読みづらかった。
 あと、この作者の作品では前から思ってたのだが、なんか若者の話し言葉がちょっと古い感じ。
 まあそんなわけである意味薄いなーと思ったのだが、後書きを読むと百合カップルってことらしく、言われて見ればこのイチャイチャぶりはそんな感じもするなあ、と思ってまあそれならそれでいいかも、という気がした(笑

 あ、あと、「可愛い異星人の生殺与奪のゲーム」には笑った。

2007年10月18日

杉浦志保『SILVER DIAMOND』11

 杉浦志保『SILVER DIAMOND』11(冬水社)

 あれ!?購入し忘れていたみたい。これが最新刊かな。
 嵐の前の静けさというか、ちょっと厳しく言えば中だるみ的な巻な気もした。けど金隷が動いて皇子の状況が随分かわったあたり面白かった。

2007年10月19日

田亀源五郎『ウィルトゥース』

 なんというか、完璧なカバーアートである(当社比。

 グラディエーター。生気のない剣闘士候補を見かけた一番人気な網闘士は、このままでは遠からず彼は命を落とすだろうと彼を犯して自分を憎ませるように仕向ける。剣闘士はまんまと網闘士への憎悪で腕をあげていき、いつか彼を試合で殺そうと機会を狙うが云々。

 いやー、面白かった。久々に重い系コミクスでアタリが出た、という感じ。
 お話はオーソドックスでとても面白かったし、安心して読めた。安心して、というのは破綻の心配もなく、そしてBL作品としても意外と信頼して読めた。なんとなく。
 だがBLだったというのは筋のレベルでの話であって、田亀源五郎だし、受けが攻めより身長もひくく無骨で多毛だったりして、でもあたしはそういうのはそういうので好きなので、とってもよかった。

 あれですな。さぶ系とかさぶっぽい作家が時にニガテなのは、別に絵や設定がリアルにゲイゲイしい(@魔性のゲイさま)からではなく、筋においてBLを逸脱するのがイヤなんです。そこそこ甘いハピーエンドなら、むしろゲイゲイしい絵も巧いよな~、と楽しめてしまいます。少なくともあたしは。

2007年10月20日

松岡なつき『アンダルスの獅子』

 かわいいは正義、なら、健全さは武器なのかもしれないわ。

 続けて歴史物。もはや世界史の知識はあいまいになってしまって定かでないのだが、王国名以外の部分はほとんど史実とか実在の名称だった気がする。イザベルとアラゴン王とか。でもあんまし違和感なかった気がする。
 で、歴史物は疲れている時にはあまり読みたくなかったのだが、面白そうな予感はしたので頑張って読んだ。ら、やっぱりまともに面白かった。

 レコンキスタ。ナスル朝がカスティーリャに侵攻されそう、という地域・時代設定。
 カスティーリャの都市を攻めた際に大敗を喫し、どうやら内通者がいるらしいということになったグラナダ。スパイを摘発するため、有力一族の異端子である黒衣の攻めは、カスティーリャ語とアラブ語に堪能な奴隷を捜すことを命ぜられる。早速海賊船でカスティーリャ人=受けを買い取ったのだが、非常なはねっかえりで攻めも恐れずに反抗しまくり、そんな受けを攻めはとっても気に入ってしまう。傲慢というか非情な攻めに、受けは大反発をするも、奴隷として跪くハメになってしまって云々。

 お話は面白かったのだが、最後がちょっと不満。
 作者は後書きで、傲慢冷徹攻めというのはBL世界では最後に傲慢さをあらためることが多いが、それはほんとの傲慢さではないと思うので、それをあえてさせなかった、というようなことを書いている。で、それは別にいいんだけど、しかしそれでもやはりこのラストには不満が残った。やっぱりあたしはBL的に傲慢さを謝罪して愛を請うような傲慢攻めのが好きなんかなー、とも思ったけど、よく考えたらそれだけでもない気がしてきた。
 というのも、テクストの前半では攻め視点もしばしば入っていたのだけれど、その攻め視点においては、攻めの冷徹さの根深い理由とか、しかし心の奥底では他者に愛されることを望んでいることとかが、かなりきっちり書き込まれているのだ。そういう描写があるからこそ、読者はこの傲慢な攻めに感情移入して/出来てしまうのだけれど、同時に読者は、受けの幸せだけではなく攻めの幸せをも期待させられるようになってしまうと思うのだ。だから、このテクストにおいてラストか、せめて後半で攻めが幸せになること、というか幸せだと感じること=受けに受け入れられた(駄洒落ではない)と感じる描写が、それも出来るなら攻め視点での描写が必須だと思うんだけど、それがないんだよね。
 後半では攻め視点はないままだし、受け視点で気持ちが通じ合って最後には手を取り合えても、攻めはただ傲慢なままだし、特に心が救われたというような発話もないしで、愛されたいと願っていた攻めの心のゆくえがはっきりと書かれてなくって、だからなんだか不満が残るのだと思う。まあ想像で補完してもいいのかもしれないけれど、前半では攻め視点があったのに、それが後半ではなくなってしまうってのは、やっぱり構成としてもあんまりきれいではないかなという気もするし。

 まあなんだか文句が長くなりましたが、それ以外の点はほとんど問題なく面白かったです。お話も面白いし、キャラもしっかりたってたし。亜樹良のりかずの絵は眼がちょっと怖すぎるがやはりうまいと思う。
 あ、ただ、タイトルがいまひとつな気がする。アンダルスはアンダルシアのイスラーム読みなのかな。あんまり一般的な名称ではないと思う(あたしが寡聞なだけかもしれませんが…)ので、伝わりづらいのではと思う。獅子と言うのも、受けがちょっとそう思っただけであんまり物語にからんでこないし。

2007年10月21日

夏目ココロ『王様の学校』

 少し前に読んだ。
 王や王位継承権のある人間が帝王学などを学ぶための学校というのはなんとも無理のある設定である。せめて教養オンリーだったら納得もするのだが。更にその学校がある王国が設置したものだというのがなんとも。他国の王はよその国のそんな学校に入ることに疑問を感じないのだろうか。しかも全寮制ではないらしいのも何かよくわからない。というわけで、設定からしてちょっと正直稚拙だなと思った(設定から文句つけるんなら読むなよと言われそうですが、裏表紙の梗概からはここまでとは思わなかったのだ。
 お話の内容も、奨学制度をつかおうとしたら手違いでその学校に入れられてしまった庶民と、その国の王との友情とかそういう感じなんだけれど、どうもやはりツメが甘いしあんまり面白くなかった。

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 ところでこのレーベルは別にBLではないのかな?

ライブラの童虎。

 後半戦!

 …なんかまたよく覚えてない黄金聖闘士が(笑
 ほんとは老師を描こうと思いましたが、それはなんとかおもいとどまりました。
 一巡するまではとりあえずうろ覚えでも顔だけを描こう、と思っていたのですが、つい武器は持たせてしまいました。だってライブラってやっぱクロスがすっごいかわいいし、それに…そうでもしないと誰だかわからんのだ(笑。まあイレギュラー黄金ということで。
 でも正直、ここまでで一番手がかかり、しかし出来には不満というやっかいな黄金でした…よく覚えてないんだよね。やはり冥界編は読破してない&アニメ未試聴だからかな。
 しかしとりあえず、結構主人公系の顔だった印象です、童虎。たぶん。

2007年10月22日

北沢きょう『グリーン・ピース』

 高校農業科もの。受けにめろめろのパシられ男×かわいこちゃん。
 なんとなく農業科にはいっちゃって後悔してる受けにぞっこんの攻めは、元不良なのだがそんなそぶりはさいしょは全然見えずただのヘタレで、しかしいきなりキレたりするのでなんか単純に怖い。キレる若者怖い、とかそんな感じで萌えない。お話自体いまいちなのだが、設定や展開の無茶さもつらい。
 他も、小学校(!)の卒業式に親友に告白してキモがられた中学生の話とか、やっぱりなんか展開とかキャラとかいまいち面白くないのとちょっと無理っぽいのとでつらい。
 あと絵が…動きのないバストアップとかはかわいいんだけど、コマわりとか動きのある絵があんまりうまくない。ちょっと絵柄が古い印象もある。

2007年10月23日

スコーピオンのミロ。

 そんなわけでとりあえず顔だけ描いてるわけですが、スコーピオンもマスクパーツがすごいかわいいので描きたくなったけど、思いとどまりました。
 ミロは実は…なんというか、顔もキャラも立ち位置も、微妙な…いや、いやいや、それでもなお印象深いキャラです。だって当時の最愛キャラだった氷河と戦った相手ですから!(笑、逆に言うとそれだけなんですけどね…。しかしなんかもうちょっとカワイイ顔だったような…。

2007年10月25日

英田サキ『さよならを言う気はない』

 警官→探偵×警官に世話になった少年→ヤクザ。
 父親のDVのせいで街をふらふらしてた受けは結局父殺しで入獄、数年後にヤクザになってた受けに再会していろいろ悶着あって攻めは警察をやめることに。結局探偵になった今はヤクザのムチャクチャにまきこまれつつなんとかやっている日々。そこへ受けの組で事件が起こって攻めも巻き込まれて云々。

 事件の概要とかはそこそこに面白い感じだったのだけれど、なんか全般的な印象はいまいちかもしれない。お話もBL物語としても決してつまらないわけではないのだけれど、なんとなく不満が残る。受けが攻めに預けた組長の息子とか何だったんだろう…次の巻に続く引きなのだろうか…。

 あと、どうも受けのキャラがつかみづらい。乱暴・暴言・虚偽などなど攻めに散々な悪辣ぶりをはたらく一方で、攻めが好きとかいわれても理解しづらいな。それにだんだん暴虐でもなくなってくるし、なのに受けの態度は全然かわらない、とか評されてもそうは思えませんよ?と感じて、なんだか語りにおける受けキャラ把握と読んでみての印象に差がある感じで入り込みづらい。
 攻めはちょっとダメすぎる…受けに甘すぎるのはまあそういうことでしたね、でいいのかもしれないが、結構むきになりやすいとことか、年齢のわりには子どもっぽく感じた。あと絵がかわいすぎる。

 しかし何より…、ヤクザが攻めかと思ったのにいぃぃ。

2007年10月26日

サジタリアスのアイオロス。

 顔が見えませんが(笑、イレギュラーその2ということで。
 お兄さんは表象というか、なんか伝説上の人物という感じでしたね。名前もアイオロスとかってなんかかっこよくて、しかしおちつきのある感じでいかにもこの人という感じでいいです。
 しかしサジタリアスというのはとにかく聖衣がカッコよくて、それはもうどうかと思うくらい反則的にカッコいい。特に翼とか弓矢の部分。最初の頃はなんかどうでもいいかんじの(笑)かたちだった(しかし黄金聖衣を加工するなんてどうやったんだろう?)のが、本来的なかたちに戻ってみれば翼が生えてたので燃えた。とにかく何というか、聖衣も人も、一味違うのねって感じ。

2007年10月27日

水無月さらら『恋愛小説家になれない』

 イケメンな住宅展示場の営業×美人人気ラノベ作家。
 図書館でトラブった受けは、ひそかに憧れていた攻めに助けてもらう。青年漫画雑誌での連載にえっちな場面を書かねばならないのだが、恋愛経験ゼロで困っていた受けは、攻めにアドバイスをお願いする。交流するうちに攻めはたよりなく純粋な受けに惚れてしまうが、実は彼が人気作家で結構芯もつよく、自分との逢瀬も取材のためなんだと思ってしまってぐるぐる。一方受けも攻めのイケメンぶりとか態度とか、プラス初めての恋にぐるぐる。

 どっちもそれぞれに結構身勝手で、でもその気持ちはよくわかる、という感じ。この作家のこういう大人の心情って、等身大というか、まんまリアルというのではなく、身近にありがちな不安とか不満をうまくフィクションに引き写しにして料理してる印象。器用だとも思うし、そういう面ではうまい作家なんじゃないかと思う。

 ただ、お話としてはつまらなくはないけどそんなに面白いという感じでもないし、キャラがずっとそれぞれに悩んでいる感じで微妙にフラストレーションがたまる。

カプリコーンのシュラ。

 台風で野球とか野球とか野球とかが流れてます。

 シュラはとにかく悪人顔だった、というイメージですな。あと技がカッコイイ。オーソドックスで、名前すらあんまりベタだけど、でもやっぱりカコイイよね。ていうか、すぐにやられてしまうわるものの必殺技には勿体無いカッコよさで…だから紫龍が受け継いだのかなあ、とかちょっと思った。
 もみあげ描き忘れた。

2007年10月28日

水無月さらら『永遠の7days』

 イケメン弁護士×絵を描くのが好きな高校生。
 ひょんなことで知り合った攻めに、見合い話をことわるために恋人ごっこをしてほしいとか言われてつきあってるうちに、受けはのめりこんでしまって云々。

 この作家はどうも淡々と進んで特に山場のないお話が多い気がするのだが、このお話はいちおうというかデカい山場はある、ので気づいたのだが、ないのは違うものなのだ。ということで、この作家は恋愛物語のクライマックスたる自覚とか告白とかをすごく軽く書くというか、契機がとくになかったりすることが多い気がする、と思う。
 あと、やっぱり会話がちょっと古い感じ。受けの服装とかもなんか80年代ぽいから、80年代のお話として読んでしまいたくなった。
 物語的には、ふわふわと恋愛がはじまっていく様子とかは面白いんだけど、温泉以降がやはりキツイというか、こういう展開はちょっと苦手だ…非現実的なのは仕方ないが、受けが自分勝手なのも子どもなのだから仕方ないが、それぞれの浮気も仕方ないとは思うのだが…うーん、何がいちばん不満なのか。うまく言語化できないな。

 美大生になった受けのみつあみってどんなんだーと思ったら、真生るいすはとてもかわいく描いていた。ていうか受けの微妙なファッションや髪型もかわいく描いてたな。この絵師さん結構好きだ。

2007年10月29日

内田カヲル『飴と鞭』

 相変わらずゴツいオイサンが若者に愛されまくる一冊。

 だけれどなんか前よりも読み応えがあった気がしたのは、表題作がちょっと絡め手から攻めてたからだろうな。
 表題作は生徒×教師、受けはかわいい高校生に惚れてしまったのがバレて、壮絶にSMプレイとか調教とかされてキモがられて、だのに時々気まぐれのように優しくされたりするという。若者攻めがすごい幼い顔で描かれてたのと(&その後のちょっと大人びたメガネの攻めがメチャかっこよかった)、いつもみたいにオッサンに直球メロメロではなかったのが面白かった。アテ馬の教師の書き方とか、やはりこの作家はどうしてもポルノ書きだよなあ(よくもわるくもですが)とか思った。
 他はなんかやっぱり若者がメロメロな話も多かったけど、前妻の置き土産な義理息子×警官義父、息子の結婚前日、とかもちょっと異色で面白かった。

 あと、PNがかわって、絵(ギャグ顔)が変わったのだろうか?と思った。

2007年10月31日

鈴木ツタ『3軒隣の遠い人』

 帰ってきたらナデナデしてやりたいのだがそんなことしたらきっと大変だ!

 よくできたお兄ちゃんの親友で三軒となりの幼馴染が気になって、こっちむいてほしくてなんかいろいろして結局おしたおしてみて怒鳴られて引越しして会えなくなっちゃう。社会人になって、ふたたびマンションの三軒隣りのお隣さんとして再会。

 過去の話と今の会社での人間関係の話と今の幼馴染との話、とみっつの位相の話があって、試みとしては面白いけどやはり今の幼馴染の描写がたりなくてキャラがつかみづらいしよくわかんないので感情移入しづらい。主人公の攻めがコワモテで、性格とか言葉遣いがものごしやわらかなのがなんだかよかった。

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