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2010年05月01日

阿仁谷ユイジ『目をとじて3秒』

 傍若無人な黒髪の幼馴染が好きだけど、同姓だし傍若無人だしでしんどいことも多くて、つらいときには目をとじて三秒かぞえてやりすごしてたのですが、なんかゲイ父が男性と再婚するとかで引っ越すことになって幼馴染と離れることに。

 ちょっとやりすぎ感があるというか…黒髪が勝手すぎるのかな…。最後のあたりの告白?とかも微妙だった…。黒髪がイライラしているように、白髪もたしかに非積極的すぎるし…。どちらのキャラもあまりすきではない。まあ、受け攻めがないせいもあるんだけど、ふたりともこの作家らしい受け受けしいキャラなのはよかった。受け受けしいというか、めろめろで汁気が多いというか…(笑。
 でもお話の筋もいまひとつだったし、全体的には微妙だったなあという印象。

2010年05月02日

樋口美沙緒『愛の巣へ落ちろ!』

 こん虫BLです。

 人類が存亡の危機に際して生き残りのために昆虫と融合してる世界。
 シジミチョウの受けっこは、事情があって体が弱いのですが、テレビで見たエリートぞろいの高校に憧れてがんばって進学したのです。でもクモやハチなどエリートぞろいの生徒達にいじめられるわ、テレビに出演してたあこがれのタランチュラは来る虫こばまずだわ、更にシジミチョウはキライとか言われてしまうわ、さんざんなのです。それでも持ち前の明るさでなんとかがんばっていこうとしてた矢先、くだんのタランチュラの巣にかかってそういう意味でたべられてしまい、云々。

 ネタばれしますが。
 初エッチが攻め× 他の男の情事の直後、受けが元気なかわい子ちゃん、受けが昆虫でいうところの性モザイクつまり半陰陽、妊娠兆候、将来的に女性化して妊娠の予定…と、あたしの地雷がそこらじゅうに埋まっていた…!!(笑。でも、それでも面白かったけどね!(笑。しかしなんか梗概とかでほのめかしておいてほしかったなあ…でもこれ全部ほのめかしてたら梗概がすごい量になるか…(笑。

 虫人類が今でも特殊な能力が残ってて、サイズや力によってハイクラスとかロウクラスとかあって…というのは、ちょっと斑類っぽい気も…。
 そのSF設定をのぞいて冷静にみてみると、わりとよくある王道学園もので、モテモテセレブイケメンとかわい子ちゃんな庶民、受けは周囲には侮蔑嫉妬されいじめられまくりだけれど、まわりのセレブたちはやけに受け大好き、とか。
 受けに嫉妬したハチにそそのかされて受けにひどいことをした黒アゲハとカマキリが結局受けを気に入ってしまうとことか、ベタでおいしい感じだったけど、あんまし出てこなかったのでもうちょっとくわしく書いて欲しかった。

 この作家さんはこれで2冊目だと思うんだけど、階級差とかモテモテ身勝手イケメンとかわいそう受けとかがお好きなんですかね。王道ですね。いいですね(笑。

2010年05月03日

夜光花『蒼穹の剣士と漆黒の騎士』

 ファンタジーってあんまし読まないんですけど、夜光花なので作家買い…って感じで読んだらやっぱすごい面白かったし萌えた。しかし、なんかいろいろすごいな!

 鳥人族は大国に戦力を貸与することで、長い間独特の生活を守ってきた。長のユーゴもしばしば戦いに協力してるのだけれど、少数民族出身の騎士団副団長・狼炎がなんかやたら庇ってくるので、自分はそんなに弱々しく見えるのかと腹立たしく思ってる。
 そんな中、王国の王女がユーゴと結婚したいとか言い出して、勿論ユーゴは長として鳥人族のためにたくさん子をなさなければならないし、けど王女をすげなく扱えないしで困ってしまう。仕方がないので婚約者と結婚式をあげて、はやく子をなしてしまおう…と思うのだけれど、鳥人族は年二度の繁殖期しか子づくりができないので、狼炎の部族につたわる媚薬をわけてもらおうということになりまして。

 面白かったー。結構分量あったけど、とまらなくてほとんど一気に読んでしまった。
 でもやっぱり全体的に、ファンタジーだからか凝った筋の展開に筆がさかれてるし、基本的にさっぱりした気性の受けでもあるし、しかも鳥人族に巻き起こる災いへの対応に負われて、なんかこう精神面というか、具体的にはラブがやっぱり物足りない感じだったかなあ。特に前半なんかは女子率が高かったし。主人公は婚約者(というのも語弊があるのだが、まあパートナー候補)の女の子がいたり、王女に求婚されたりで、実はこのあたりも結構あたしの地雷なのですが、でもユーゴがあっけらかんとしてたので、あんまし気にならなかったかな。

 主人公は、作者もあとがきで書いていたようにとてもさっぱりした男らしい性格なのと、剣士であり一族の長であり、というキャラでもあり、あと鳥人族であり長でもありもともとの性格でもあるのか、一族のため繁殖第一で考えてて、自分の恋愛にも他人の恋愛にもうとい…というあたりも変わり者キャラで面白かった。まあ、ちょっとラブは物足りないけど!(笑。
 でもそんな性格の主人公が、繁殖期が近づいて身体が変調したせいで逆説的に精神面というか自分の狼炎への気持ちに気づく、というのはとてもうまいしよかった。ので、もっとその辺りの心理をねちねち書いて欲しかった(笑。
 あと、狼炎に媚薬をためす、とかゆわれて、婚約者のために媚薬をもらいにきてるのに、なんでそっちに使用されておかしいと思わないのか(笑。ねんねだからか!(笑
 ユーゴという名前は…ネゴシエイターばかり思いだしてしまった(笑

 狼炎はひかえめで情熱的でいい奴で、ちょっと影が薄い気もしたというかもうちょっと書いてあげて欲しかったが、そんな薄い描写で、設定的にもそう特筆すべきことのないキャラではあったのだけれど、なのにとっても魅力的だった。
 自分はユーゴのものだけれどユーゴは自分のものではないと言って、主人公の運命をまるっと受け入れて、それでもユーゴを愛するという…そんなステキ攻めなのに、不器用っぽいし主人公には尊大に見られて嫌われてるし。なんか最近傲慢攻めとか尊大攻めばっか見てた気がするし、こういうまっとうでうつわの大きな攻めって輝いて見えるよ!(笑
 とはいえやはり、主人公に嫌われてる物語前半はともかく、物語後半ですら登場場面が案外少なく、ラブ的にはやっぱりものたりない。でも、お話としては、王国や主人公の一族にまつわる物語が中心の構成の中で、部族のためという理由や騎士としての職務もあるけれど、基本的には部外者に近い狼炎が、主人公への気持ちだけを以て傍らに寄り添っている、という感じでよかったけどね。

 ともあれ、主人公は一族繁栄が至上命題で、また鳥人族は非常に短命で平均寿命が30歳ほど、という事情もあり、どうしても狼炎と共に生きていくことはできない、というのがせつなくていい。
 あと関係ないけど鳥人族は卵生というのもなんかスゴイ。この設定があるから、主人公に婚約者がいても、子どもをなさなきゃ、ではなく卵産まなきゃ、とかゆってるのでなんかそんなにいたいたしくはならない…かな。

 やっぱりあたしは夜光花が大好きらしく、しかもリンクスの夜光花は好き放題に書いている感じでとってもいいと思う。
 しかしこれ…続編、あるのよね???これだけキャラがいて、狼炎と短命な主人公、あるいは卵つくらなきゃいけない主人公、との関係はこれからどうなるのか宙づりだし…続編読みたい!

2010年05月04日

西村しゅうこ『愛人』

 そういえばこないだ電車の中で外国人のおっちゃんがキンドルの端末を見てたんだけど、思ってたより小さめだったのでああこれならいいかもなあ、と思ったのです。が、数日後、スタバでこんどは日本人の男子がおなじの持っていて、かなりデカく感じたので、比率の問題だと判明したのでした。おっちゃんデカかったもんなあ…。結論として、たぶん日本ではあのままではムリなのではと。少なくともあたしにはムリ。いわんやiPADをや…たぶん(笑。

 これなんで買ってなかったのかなー。まあ、古書店で初回限定版が手に入ったのでよかったけど…というのは、おまけの小冊子に重大な後日談が入っていたので…。
 内容はもう表紙だけでわかるとおり、立ち退きをせまられた商店街の青果店主が、土地をねらってる企業の偉いさんの愛人になって話をきいてもらおうとする…というこの作家らしいベタなあれなのですが、とてもうまくまとまってて面白かった。

 受けはこの作家らしいがんばりやさんの真面目素直青年だった。攻めもまたこの作家らしいベタなセレブで、でもちょっと辛い過去とかあったりして受けのまっすぐさに癒されてる辺りもよかった。辛い過去はもうちょっと詳しく書いて欲しかったし、あともうちょっと受け大好き!という感じでもよかった気がする。
 受け弟はバイオリニストへの夢と実家の立ち退き問題のはざまで悩んでて、案の定というか義理兄ラブだったりしてとてもよかったのだけれど、やっぱりこのキャラも描写が物足りなかった。小冊子に重大な後日談(笑)があったけど、攻めの竹馬のメガネ秘書との関係だってもっと掘り下げて欲しい~。
 攻め企業の愛人マンション(この設定もまたこの作家らしいぶっとんだかつちょっとゆがんだセレブイメージだよなあ、笑)を紹介してくれた、重役オヤジのチャラ男愛人も、ただの脇キャラか受けにいじわるでもすんのか、と思いきや、意外に展開にからんできて最後もなんだかかわいい展開だった。相手はオヤジだけど。

 そんな感じで脇キャラも魅力的だし、展開自体はベタ王道ではあるものの、いろんなキャラがいるせいかちょっとひねった印象になってる気がしたし、面白かった。けどいろんな工夫がある分、ひとつひとつの描写が駆け足で、かなり紙幅が足りなかった気がする。一冊では物足りないというか、二、三冊かけて書いて欲しかった…面白いからこそ。
 しかし口絵のCPは一体…?弟とイケメン著名バイオリニストかと思ってちょっとわくわくしてしまったのに(笑。

2010年05月05日

大人買い。

 連休が終わっちゃう…。

 最近ジョジョは原作を遠く離れてしまって、あたしの中でゲシュタルト崩壊をおこしてますが、それでもジョジョは好き~。
 ゲーセンのプライズでとったジョルノ!カコイイ!!最近のプライズはスゴイ!

 これはヴィレッジヴァンガードで買ったイギー!これも元々はプライズなのかな?かわゆい~!!

 あと最近またエヴァのいろんなグッズがでているけれど、なんでカヲルくんものはないんだろう!あったら絶対コンプするのに!

2010年05月06日

一之瀬綾子『運命の法則』

 これはデビューコミクスなのでしょうか。
 保険医×メガネ先生。弱気でストレスがたまると怪力になってしまう受けが攻めのとこに相談にきて云々。
 なんか悪い意味でこの作家のいろんなキャラやお話が透けて見えるという感じ。これを最初に読んでたら、そこそこ楽しめてたのかな、という気もするが、逆に一冊で見切ってしまってその後は買わなかったかもしれない、とも思う…。
 お話自体もやや微妙かなあ。あんまり印象にも残っていないし。

2010年05月08日

わたなべあじあ『ロープマン』

 表題作は、幼少期に変質者の被害にあってしまった受けが攻めを縛る話。ほかに、祖母宅に行ったら家を貸してて借り手とそんなこんなとか。
 悪くはないけど、あんましお話がなくって物足りなかった。全般に、そこにラブはあるのか…という感じで。

2010年05月09日

空知英秋『銀魂』34

 あれ、なんか今回もいまいちだった…。
 サンタ話は銀魂らしかった気がした。
 ぴら子はもうこのキャラが苦手なのと、あとなんかキャラ設定練れてない気が…時々口調が沖田になってるし…。あといつのまにこんなに歌舞伎町の緊張が高まってたんですかね?なんか無理やりに感じる盛り上げ方に微妙な気持ちだし、そんな安い展開でお登勢さんがこんなことになるなんて…なんだか腑に落ちなくて残念です…。

2010年05月10日

門地かおり『わがままキッチン』

 一途なのは、昔のお隣さんに再会、化学の先生←ショタ。ショタはあまり得意ではないのだが、この作家のショタっこは女の子かと見間違えるほどかわいいのに男の子っぽい気がする。贔屓目かもしれないけど。これはタイトルが活きてた。

 表題作はタイトルの意味がよくわからなかった気が…。ゲイのコピー機営業がノンケレーターに惚れて云々で、モテモテなイケメンゲイはもとから真面目な知賀くんぽくて、ノンケの方ものんびり天然で、余裕ある国斉さんみたいだった。なるほど。こっちの方が新しいのかな、今の作品に近い気がしたけど。

2010年05月11日

依田沙江美『かみなりソーダ』

 仏教系進学校の男子校寮、星弥という名前と人徳?から星の君なんてあだなされてれるよい子ちゃんが、高校から外部進学してきたすねたかわいこちゃんに興味をもって云々。

 …寮っていいよね。あたしにのこされてる最後の(?)聖域かもしれない(笑。
 最初のあたりがやや説明不足に感じた。二人の関係とかよくわかんなくて、学年違うのかと思ってた。
 ちょっと攻めが勝手で、なついてくる後輩をふりまわしたりして、しかもそれを受けに攻められて自分は聖人君子じゃないとかひらきなおるとこまで含めて、人間味がある。
 受けは馬術部だったり暗いとこが大の苦手だったり冒頭で友人をかばって坊主になったりととにかくかわいい。
 攻め友人が受けにドキドキする短編も、身もふたもない(笑。もともとゲイの攻めはともかく、受けはこの後我にかえっちゃったりするのかな…。

2010年05月12日

三島一彦『アンラッキーストライク』

 男子生徒の告白をむげにしたら、なんか男にモテモテになる呪いをかけられてしまいまして。

 設定はともかく、作者自身も書いているように、基本のお話はこの作者らしいオトコマエ子ども×ダメダメ大人でした。
 ダメダメ先生は男子校に転任になり、なんか生徒教員とわずモテまくって恐怖におびえるものの、オトコマエ生徒がたすけてくれてなんだかドキドキ、あれ?でも呪いがとけたらこのこも自分から離れちゃうの?という。

 なにがこの作者らしいって、デフォルトで先生受けというのが…(笑。別にいいけど、予想の範囲内だし。
 子ども攻めも別にいいんだけど、いつも一途・オトコマエ・でも子どもだし攻め(のオッサン、顔は若いけれど)大好きだしでいっぱいいっぱいになったり、とかいう性格で、あんましキャラに特徴がないのはもったいない気がする。や、それを言ったらダメ大人もあんましキャラ立ちしてないのだけれど。
 生徒の友人のオカルト好き少年とか、その兄の保険医とかはあんまし活きてなかった気もした。

2010年05月15日

国枝彩香『未来の記憶 風の行方』

 理科の高校教師がプロポーズに失敗して、やけになってきれいなお兄さんとそんなことになってしまったらなんか美術の臨時講師でやってきまして。

 攻めはちょっと馬面気味か?彼女に子ども産んで祖父母の世話してくれること期待してフラれたように旧弊な人で、受けにも素で(無意識で)差別的な態度や発言するし、腹が立つ部分も多い。のだが、基本真面目なんだろうなと思わせるキャラで、受けを受け入れて真面目に考え出したり暴走しそうになったりするあたり、憎めない。そして、祖父母がいい味出していた(笑。

 顔はきれいだけどちゃらんぽらんな受けは、いい加減で軽くて、けど健気…というのがちょっともう鼻につくぐらい健気なのだが(笑、でもやっぱかわいいキャラだった。

 なんというか、同性愛であることを除けば少女漫画か女性向け漫画って感じで、二人のつきあいの積み重ねとか周囲のキャラとのかかわりとか丁寧に描かれて、展開も大団円までじゅんぐりに丁寧におっていく感じで、すごくよかった。この丁寧さは、なんだか落ち着く懐かしい感じというか。
 あと、書き下ろし部分の、もうちょっと声だしてこーぜ?って、部活かよ、というのが面白かった(笑

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 前からうすうす気づいてはいたのだが、あたしは国枝彩香と依田沙江美がなんとなくかぶってて、どちらもベテラン作家さんぽいし、どちらも面白いという評判だけれどなんとなく手を出していなかった(雑誌に載ってたら読む程度で)、みたいです。
 そしてなんだかどちらも読み始めてみて、やっぱりどちらも面白くて、どちらも少女漫画っぽいなあという気がしてて、だから印象がかぶっていたのかなあとか思いつつ。
 しかし少女漫画っぽい作風の作品て、上述したようになんか読んでてすごく落着くなあと思います。少女漫画っぽいっていうか、たぶんそれって昔の(あたしが読んでたころの)花ゆめっぽい雰囲気ってことなんだろうし、それは落着くのもむべなるかななのです。
 あ、↑のでは、偶然なのか、先日読んだ『かみなりソーダ』の「ぬーいだ」ネタとかぶっていた。

2010年05月16日

紅蓮ナオミ『まさかの金太狼』

 最近レオ=レオニのモチーフをつかった商品をよく見かけるなあと思っていたら、今年生誕百年なんですね!!情報ちゃんとチェックしないとな~。展覧会とかないのかな。
 やっぱりアレキサンダーとぜんまいねずみが好きなんですが、あれって…あたしのアンドロイド萌えの原点かもしれないなあ、とふと思ったりします。

 またおかしい本が出た。

 男子校の理事長は、孫息子である男子生徒をおとした者を次期理事長にするとか無茶ゆって亡くなり、孫息子は貞操を守るために幼馴染のお兄さん金太狼に用務員として学校に来てもらったのですが、案の定頭のイカれた教師たちが孫息子を狙いまくり、金太狼がアホエロい技でそれを返り討ちにしていく感じのいつもの紅蓮ナオミなのです。
  
 まあそんな感じなのですが、今回はこの作家アシスタントいないのか…!と驚いた。確かに絵にものすごい個性と統一性があるものね。というか、アシ入っていても驚いたかもしれない。
 あと最近の傾向をみてると、攻めが(受けではない)誰かに犯されてしまうという展開が多いのが気になる…これはかなりBL的に地雷なのでは?とか人事みたいに言ってるけどもちろんあたしも微妙な気持ちです。でもまあ紅蓮ナオミならいいか…。ていうか、この作家は受けよりも攻めへの偏愛があるのかな、と思ったのだが、『エロシック』の表題作はそうでもなかった気がするし、あれだな、たぶん変なキャラ愛なんだな…。そういう意味でも、やはり守られるだけの子どもな受けではないほうが面白い作品を描いてくれそうだなあと思った。

2010年05月19日

映画『シャーロック・ホームズ』

 さいきんなんかもうカオスかつゲル化している感じなのです。なんかもうヤーなのですがそうも言っていられない…。

 公開前にポスターを見た瞬間に、これは絶対見なきゃいけない映画だな!と思っていたのですが、なんかこんなに遅くなっちゃった。レイトショーでみてきましたv画像は例によってサントラで代打。

 ダメダメホームズとイケメンワトソンがワトソンの婚約で痴話喧嘩してたら、なんか黒魔術の団体さんが悪だくみしてまして。

 とっても面白かった。19世紀のロンドンの映像もよかった。細かい仕掛けが多くて頭がつかれた。
 テンプル修道会という事件の設定は、なんかありがちな設定だという気もしたけれど、いちおう最後には推理で解決したのでよかったかな…。
 あと、そんなに原作にくわしくないので、細かいネタがいまいちわからなくて(推定)残念だった。くるみとか、左右の指をぜんぶあわせるとか、そんなあたりはわかったけれど、たぶんもっとあったはず…。

 ホームズは、なんかもうちょっとカッコよくてもよかったんではなかろうか。魅力的ではあったけど、なんか、こう…もったいない感が…(笑。身長が小さいのが気になったのかな。ただ、ダメダメホームズというのもわりとよくある設定だけれど、それでもカッコいいというのが一般的だったような気がするので、あえてそういう演出なんだろうなあとは思うが。メアリーへの暴言をしまった、と思ってる表情とか、かわいそうでよかったなあ(笑。そしてそのメアリーは、病院での反応がとてもカッコよかった。
 一方のワトソンはカッコよすぎてとってもよかった。強かったし。ダメダメなホームズに愛想をつかしたいのに巻き込まれてしまったり、ついつい興味を示してしまったりというのが、ベタでよかった。忘れてった銃を見て、わざとか?とか思うとことか。そしてそんな関係なのに、造船所でワトソンが自分の身をかえりみずにホームズをかばうのが、今飛ばなくても変わらなかったんじゃない?役に立ってなくないか!?と萌え、逆に工場でワトソンが危険になったとき、ワトソンの方はホームズを気づかったのに、ホームズがワトソンではなくアイリーンを助けに行ったのにオイイィ!!と萌えた。

 …や、べつに、萌えとかそういうの抜きにして、とても面白いいい映画だと思います。べ、べつに邪な期待なんて…ちょっとしか…ほんとですよ!

2010年05月20日

綾辻行人『十角館の殺人』

 新刊BLで買うものがなかったのでスタンダードを読むことにした。

 事件の起きた孤島の十角館で、推理小説サークルの7人が合宿しようとしたら殺人事件が起こり云々。
 思ってたより古い作品だった。書かれたの80年代なのか。作者の新装版あとがきにもあったけど、みんな煙草すいまくりだし、サークルの中で女子がおさんどんさせられてるっていうか女子自身がそれを受け入れてるし、なんかそういうとこにも時代出るよね。
 サークルのメンバーが互いをあだ名で呼んでて、それが推理小説作家の名前ってのは、わざとつかってるギミックなんだろうとは思ったけど、最初のあたりではちょっといたたまれなかった…。
 トリックというか仕掛けはなかなか面白かった。けど、ちょっと荒い部分もあった気もしたし、タネあかしがちょっとさらりとしていた気もした。
あと、プロローグのヒントで、範囲はしぼられてた気もしたので、もうちょっとあいまいなプロローグでもよかった気がした。

 とりあえず、やはり推理小説は新本格というか、ちゃんとトリックがあったほうが面白いなあと思った。

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 これまでこの作家の小説は読んだことなかったんだけど、そういえば、児嶋都がすきだったので、『眼球綺譚』とか『緋色の囁き』とかコミック版で読んだんだった。そしてそういえば、あんまりピンとこなかったんだった。というか、あたし自身がホラーはそんなにすきなほうではないのかもしれない。嫌いではないけど。

2010年05月21日

「メロドラマ」1

 ほんとはデスアフロサイトをつくろうと思っていたのですが、なんかやんなきゃいけないことがいっぱいあるのでやっぱりマヨイガで。

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※蟹魚です。

 ぱしっ、という乾いた音に目をやれば、丁度場面は白ワインが男の頭にぶち撒かれる瞬間になっていた。流線型のワイングラスから金色の滴が飛び散り、ほんの刹那の芸術をつくり出して消える。
 暗い色の髪はみじめに頭にはりつき、ワインの洗礼の直前うたれたのであろう頬はやや赤みを帯びて、こんな時でも男は伊達で美しかった。前髪を垂れる水滴を見つめふっと笑い、新たに頬にしたたるワインを右手ではじき、そのまま前髪をすき上げる。首をくっと反らせて振ると、髪の先からまた幾許かの滴が絨毯に降った。
 余裕の見られる男の仕草に、空になったグラスを持ったままの女は、肩をふるわせながら柳眉をさかだてている。ステムが折れるのではないかと思うくらいに強く握り締めるその手もまた、そんなに力を入れては壊れてしまうのではないかと思うくらい白くたおやかだ。赤く染めた爪の先まで繊細で、こんな情景に配されてしまうには少々痛々しくもある。
 男が口を開きかけたとき、カメリエーレが早足で歩み寄り、タオルを差し出しながら声をかけた。「お客様、いかがなさいましたか」「ちょっとした行き違いなんだ。ああ、悪いね」流暢なシチリア語で返し、タオルを手渡した青年ににっこり微笑みさえした男を、女はすさまじい形相で睨みつけている。のんきにもタオルで顔をぬぐい出した様子に、女は美しくルージュでいろどった唇をゆがめて英語で叫んだ。「このろくでなし! あんたみたいに最低な男、見たことない!」

「きのこ」
「え?」
「きのこ、平気だったか」
 アフロディーテは急いで振り返り、男の言葉を考えた。からになっている手元の皿を見下ろし、ああと思う。男が選んだセコンド・ピアットの白身魚には、他の野菜と一緒にポルチーニ茸のつけあわせが載っていた。
「ああ、おいしかった。わたしは何でも好きだ」
 今日のオーダーはすべて男に任せていた。アフロディーテはいくつか好みを伝えただけだ。イタリア語はまだ勉強中なので、特に外出先では男に頼り切りになってしまいがちだ。自分のために男があれこれ考えてくれるのが殊の外楽しい、ということに気づいてしまったからでもある。
「トマト味のパスタもよかったし、ワインもとてもおいしかった」
 素直なアフロディーテの言葉に、男は一瞬目をしばたたかせてから、にやりと自慢げに笑った。
「なにしろ、シチリアーノだからな」
 男はそううそぶいた。

(つづく)

2010年05月22日

国枝彩香『50×50』

 武田奈也ちゃんを見た!やっぱりとってもカワイイ!

 それぞれ巨乳好きと足フェチの、なぜかいつも同じ時期にフラれてしまうというくされ縁のふたりが、女性を追っかけつつくされ縁を発揮してたらそんなこんなに。

 まだ続くらしいのだけれど、今のところそんなわけあるか…という感じ。よっていたからって同性の友達とそんな…無茶な。
 巨乳好きのほうは、天然でこだわらない性格はいいけど、なぜ下まつげ…。足フェチのほうは、ふつうに黒髪メガネ。それだけ。なのでやっぱりキャラはどちらも感情移入できないし、あまり魅力も感じられない。
 お話も、ギャグ風味なのはいいけれど、前述のように体の関係になる説得力が感じられないから、ギャグそのものが目的化してるような感じで、物語もキャラも、せっかくのノンケ同士攻め同士っぽさも、ギャグな雰囲気のためにつかわれてしまっている感じでいまいちに感じてしまう。
 足フェチや巨乳好きを強調する二人が、ただ面白さの演出のためにそうしてる感じというか。もともと自分の気づかぬ気持ちや指向があったのだ、というとこまで描いてくれないと、どうも意味不明だしキャラに感情移入できないままになってしまう気がするけれど、しかしこれからそんな重たい展開になっても微妙かなあ…。ライトに楽しむべき作品なのかなあ…でもギャグ自体そんなに面白く感じられないんだよなあ…。

2010年05月23日

松崎司『サンドリヨン』

 表題作は、足フェチの靴職人が美しい足の無職のオッサンを見つけて頼み込んで足を愛でさせてもらう話。靴・足フェチのお話でこのタイトルはいいですね(笑。でもやはり、足フェチという設定が先走って、キャラの魅力が薄い気がした。オッサンがヒモ受けみたいになっていって拘泥したり、オッサンを狙ってた後輩が出てきたりするあたりは面白かった。しかし作者自身は足萌えはないそうで…それは書かないで欲しかった(笑。この作者の、こういうわりとあとがきで舞台裏を書いてしまうあたりは、けっして嫌いなわけではないのだけれど、ちょっと饒舌だなあと思うこともある。

 ほかでは、綿擬人化の話が面白かった。最初はちょっと意味がわからなかったのだけれど、綿の服ばかり着ている男が、擬人化した綿青年に愛される話。化繊の服を買ったらちょっとスカした化繊が出てきたりと、なかなか面白かった。絹とか麻とかどんどん出てきて面白そうだったのに、あっさり終わってしまって残念。あとせっかくこういう設定なので、それぞれのキャラの服とか外見はもうちょっと凝って欲しかった。

 あとやはりビスポークシリーズはいい。キャラもたってるし、安定感があると思う。しかしこれ、二作品とも同人誌の再録なのか…ちょっと早すぎる気もするというか、正直同人誌を買っておかなくてよかったと思った…。

2010年05月24日

「メロドラマ」2

 白ワインが飲みたいというアフロディーテの要望に、デスマスクはワインリストをざっと見わたして、地産の白を選んでくれた。それはアフロディーテが好む辛めの飲み口で、白身魚の香草焼きにもよく合った。プリモ・ピアットのイカをつかったリングイネもおいしかった。イカの風味を活かしたソースがやや平たいパ スタにしっかりとからんでいて、濃厚なポモドーロが口中にふわっと広がった。素直に感想を述べるアフロディーテに、イカは近海で採れたものだと、男が誇らしそうに説明してくれた。
 男は故郷の島を愛し、自分が賞賛されることよりも故郷への賛辞を喜ぶたちだった。アフロディーテはそれが好ましく、少し切なく、そして少し妬ましかった。シチリアは男の内部のごく私的な場所を占めているらしかったし、アフロディーテはそれは自分が立ち入ってはいけない領域かのように感じていた。男にオーダーを任せていたのは、そのせいもあったかもしれない。
「デスはおいしいものをよく知っているのだな」
「シチリアーノだからな」
 デスマスクは再びにやりと笑った。アフロディーテはまた少し切なくなったが、そんな男の顔がやっぱり好きだと思った。

「俺がどうして最低なんだい、アンジェリカ?」「とぼけないで! また嘘をついたじゃない」「嘘? 何のこと?」「あんたの嘘なんて、お見通しなのよ! もう騙されないわ!」本人は大真面目なのだろうが、男にむかってまっすぐに指を突きつける女の様子は観衆にはやや芝居がかって見えて、ここはコロッセオだったかと錯覚しそうになる。黒いドレスは大胆に白い背中を晒し、舞台女優と言っても通るほどに見栄えがしている。
「君、何か勘違いをしてるんだろ」男は悠長にタオルをたたみ直しながら答え、ひょいと眉さえ上げて見せる。女はたやすくも激昂し、ふたたび右手を振り上げた。つややかに巻かれたブロンドが宙を舞い、ぶんと音がしそうな勢いで振り下ろされた白い優美な腕は、男のがっしりとした掌に収まってしまう。「何よ……殴らせなさいよ、せめて!」「君の手の方が痛いだろ? こんな細腕でさ」「う……っ、っ……!」
 マスカラをたっぷり重ねた睫毛の隙間から、ついに涙がこぼれ落ちた。

(つづく)

2010年05月26日

「メロドラマ」3

 ちょっと疲れてます…のでデスアフロばかりで興味のない方はすみません!というかデスアフロに興味のある人はむしろ少ないとは思う!

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 女はあふれる涙にも頓着せず、男を睨み続けている。女の化粧については詳しくないが、涙にもにじまないなんて、最近のメイクは随分発達したものだ。濃い睫毛からこぼれる涙も、ゆがめられた眉も女の美しさをそこなうことはなく、一種気高ささえ感じる。「俺を信じられないのかい?」「当たり前でしょ!」とったままの腕を引き寄せようとした男は女の激しい抵抗に対して、弱ったとでもいうような色っぽい笑みをうかべた。「なあ、おい……」「もうあんたのことなんて、信じられないわよ! 信じられるわけないじゃない!」
 女の悲痛な声に、ついこちらの胸まできりりと痛む。俯いて嗚咽しはじめた女の様子に、男も流石にばつが悪そうに黙り込んだ。広くもない店内に、女のすすり泣く声だけが響く。最早客もカメリエーレも食事や給仕どころではなくなって、けれど席を立つこともできずに、固唾を飲んで男女を見守っている。俯いたまま肩を震わせ続ける女をしばらく眺め、やがて男はやれやれ、といった様子でため息をついた。あ、とアフロディーテは思う。おそらく、これで終わりだろう。絶対的なカタストロフの予感があった。
 なぜなら、自分にも身に覚えがあったから。今日で終わりなのだ。

 ティラミスを食べながら、ちらちらとそちらを伺っているアフロディーテや周囲の客とは対照的に、男はのんきにドルチェに集中していた。ふと顔を上げて、落ち着きのないアフロディーテの様子に首をかしげている。
「口にあわないか?」
「いや、そんなことはない。とてもおいしい」
 アフロディーテはにっこり微笑んで、残りのティラミスを口にはこぶ。ティラミスは濃厚で香りたかく、おいしかった。
「デス」
「ん?」
 エスプレッソの砂糖をかきまぜながら、アフロディーテは改まって口を開いた。
「今日はありがとう」
 このエスプレッソを飲み終わったら、デスマスクに別れを告げるのだ。

(つづく)

2010年05月27日

サラサーテか。

 あんまりすきではない曲も、生でいい演奏を聞くと一気に大好きになったりしてしまうのって、結構あるなあと最近思います。ピロウズのニガテ曲をライブで聴いて大好きになるのとか、ニガテな食べ物も本場でおいしいのを食べて好きになったりとか、そんな感じ?(笑。

 すこし前、未来のマエストロに無伴奏ツィゴイネルワイゼンを聴かせてもらってから、ニガテだったこの曲もかなりすきになりました。ツィゴイネルって、やっぱりあんまりぎょうぎょうしくて、あざとくて、ニガテだったんですけど、バイオリン部分だけで聞くと凛としてて(奏者の個性もあったけど)意外な感じでよかったし、あと生だというのもあって、技法とかもわかりやすく理解できて、よさに気づけたような気がします。フリッシュのピチカートがちょうカッコイイこととか。
 あんまり関係ないけど内田百間つながりで、鈴木清順のツィゴイネルワイゼンを見ようと思っていたんだったそういえば。

 あとラヴェルの序奏とロンドカプリチオーソは、タクミくんの二次で音楽話書くときに聴いたことがあったのですが、また二次でバイオリンのでてくる話を書こうかなと思ってまた聴いてます。これもすき~タクミが弾くにはカッコよすぎでいい(笑、原作者のセンスが。ところでこれ、サラサーテに献呈されてるのね。そういえばツィゴイネルっぽいというかロマっぽいね。

 さいきんはあとブルッフのスコットランド幻想曲が気に入って、ずっと聴いてます。これはユーチューブのディスコ機能で適当にハイフェッツから聴いてたら流れてきた曲で、最終楽章がブルッフらしくてスコットランドっぽくてとてもいいのです。…ところでこの曲もサラサーテが初演で被献呈者なのかー、そうかーすごいな!

 バイオリン曲のことばかりだけれど、来週はサロネンを聴きに行くのでそっちも楽しみ!

2010年05月28日

池玲文『閑雅なスプーン』

 これは昔雑誌で少しくらいは読んだような…コミクスは新装版だけれど、初買いです。

 閑雅な暮らしを好むイケメンエリートと、エリートの部屋にころがりこんでるだらしないヒッピーみたいなロン毛は高校の同級生くされ縁で、ぐだぐだしてるうちに体の関係とかそんなこんな、みたいな感じ。

 短編数本と、あとおまけっぽいショートショートが数本。お話もキャラもふつうだけれどふつうに面白かった。
 短いお話ばかりなのに、意外にお話は一冊の中でいきつくとこまでいってしまうのが面白かった(笑

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 池玲文てやはり絵ではなくお話で押しな作家さんだよなあ…こういう昔のより、特に最近の好きに描いてるっぽいSFのとかのが面白いので、余計そう思うのだけれど。ていうか、デッサンときどき(ryだし、昔の絵押しは色んな意味で気の毒だった気がする。あたしも意識して読み始めたの結局最近だし。

2010年05月29日

「メロドラマ」4

 今日はアフロディーテの誕生日だった。
 誕生日を祝ってほしいと言ったら、デスマスクはしばらく妙な顔をしていた。自分からお祝いを要求するなど、流石に厚かましかっただろうかとはらはらしていると、何をしてほしいんだと問い返された。嫌味のつもりではなく、それは単に男が誰かの誕生日を祝ったことも、自分のそれを祝ってもらったこともないからなのだった。アフロディーテはしばし考えた末、男の生まれ故郷の島にある有名なリストランテの名前をあげた。以前テレビで見て以来、一度は訪れてみたいと思っていた店だった。男は軽く頷いて、今日のディナーをセッティングしてくれたのだった。
 今日の午後、いつも通り洒落ていて、いつもより少しストイックな、そして当然ながらイタリア製のスーツできめて、デスマスクはアフロディーテを迎えに来てくれた。
 リストランテは評判通り、料理は旨く、ワインもよいものを揃えていて、雰囲気のある内装もサービスも申し分なかった。そしてデスマスクは、ディナーの間中、いつも通りよく気を配ってくれた。アフロディーテの希望を聞いて、すべてその通りに差配してくれて、だから文句のつけようがない、理想的な誕生日の夜だった。
 だから、アフロディーテはここしばらく考えていたことを、実行に移すことを心に決めた。

  恋人にしてくれるとは言ったけれど、デスマスクは自分から動くことはなかった。けれど最初に宣言した通り、アフロディーテが言った通りに彼はなんでもしてくれた。だからそれがうれしくて、ついつい甘えてしまった。当たり前の恋人同士のようにデートをしてもらえばうれしくて、けれど別れたあとはいつも虚しくなった。なぜ彼が自分のわがままに付き合ってくれるのかもわからなかった。
 本当なら、嫌われたり飽きられたりする前に、潔く身を引きたかった。もう十分だと礼を言って、彼を開放すべきだと思った。まるで夢のような時間がうれしくて、あと少しと思ってずるずると日を過ごしてしまったのだ。
 自分の誕生日までこうして一緒に過ごしてもらって、申し分のないデートをしてもらって、だからきっともう十分なはずだった。これ以上わがままを言ってはいけないと、アフロディーテはそう思った。彼の方からアフロディーテを欲っしてほしいなどというのはしてはならない要求だし、願っても無駄なことだ。人の心までは願えないことは、よくわかっている。

(つづく)

2010年05月30日

大和田秀樹『ムダヅモ無き改革』4

 ドイツ第四帝国編のつづき。
 今回はいつもにまして、麻雀ルールがわからないとよくわからない…気がした。面白そうな話が多かったので、残念。教皇対ヒトラー戦の、荒野の悪魔の話とか、面白そうなんだけど、教皇がはこんでる牌の意味がわからなくていまいち理解できなかった。麻雀覚えようかなあ…(笑。
 教皇のサントリニテはわかりやすいワザでいいと思うのだけれど、八連荘はわかったようなわからなかったような。湯川博士の解説はなんとなくわかったけれど。
 ていうか湯川博士はちょっと微妙な気もした。第四帝国以外は、実世界になるべく寄り添って書いて欲しかった気がする。でも首相も前のままだねそういえば。
 あと、スーパーアーリア人とかの漫画系の小ネタは、なんかべつになくてもいいかな?と思う。前回から引き続き出てくるスカウターとか。でも教皇の最後のメッセージはちょっと花京院ぽかった…(笑。

2010年05月31日

フィルハーモニア管弦楽団@サントリーホール。

 サロネンをきいてきましたv
 フィルハーモニアはなんかイギリスらしく華やかな感じ(個人的な印象だけどイギリスのオケってそんなイメージ)で、キラキラしてた。なんかコンマスにやたら見覚えがあったけれどなんでだろう。サロネンは意外と小さかった。

 はげ山の一夜原典版は、鐘ってならさないんだっけ?ラヴェル版では鳴らすような気がするのだけれど。あと、幻想の最終楽章もワルプルギスなので、なんであえてこの選曲なんだろう…とは思った。演奏は、ちょっとイメージにあわなかった感じもした。
 バルトーク中国の不思議な役人は、バルトークがちょっとニガテなのと、曲自体が初めてだったこともあって、すごく聴いていてつかれた…。
 幻想交響曲、一楽章難しいなー。三楽章はのどかなのでちょっと眠くなった。四、五はやっぱりカッコいい。演奏もハマっていてとってもよかった。ところで、ハープ複数台って、二楽章だけかー。うーん…アマだとトラ代的に大変なのかなあ。
 アンコールは悲しきワルツ、ローエングリンで、ワルツはすごい緩急とけれん味のある演奏でちょっとびっくりしたのだけれど、思い返すと全般的にそういう傾向なのかなあ。幻想二楽章のワルツもそんな感じだった。ローエングリンはメインで聴いてみたいと思った。

 いずれにしても、オーケストラを聴くのは久々だったので、とってもいいリフレッシュになりましたv

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