西村しゅうこ『愛人』
そういえばこないだ電車の中で外国人のおっちゃんがキンドルの端末を見てたんだけど、思ってたより小さめだったのでああこれならいいかもなあ、と思ったのです。が、数日後、スタバでこんどは日本人の男子がおなじの持っていて、かなりデカく感じたので、比率の問題だと判明したのでした。おっちゃんデカかったもんなあ…。結論として、たぶん日本ではあのままではムリなのではと。少なくともあたしにはムリ。いわんやiPADをや…たぶん(笑。
これなんで買ってなかったのかなー。まあ、古書店で初回限定版が手に入ったのでよかったけど…というのは、おまけの小冊子に重大な後日談が入っていたので…。
内容はもう表紙だけでわかるとおり、立ち退きをせまられた商店街の青果店主が、土地をねらってる企業の偉いさんの愛人になって話をきいてもらおうとする…というこの作家らしいベタなあれなのですが、とてもうまくまとまってて面白かった。
受けはこの作家らしいがんばりやさんの真面目素直青年だった。攻めもまたこの作家らしいベタなセレブで、でもちょっと辛い過去とかあったりして受けのまっすぐさに癒されてる辺りもよかった。辛い過去はもうちょっと詳しく書いて欲しかったし、あともうちょっと受け大好き!という感じでもよかった気がする。
受け弟はバイオリニストへの夢と実家の立ち退き問題のはざまで悩んでて、案の定というか義理兄ラブだったりしてとてもよかったのだけれど、やっぱりこのキャラも描写が物足りなかった。小冊子に重大な後日談(笑)があったけど、攻めの竹馬のメガネ秘書との関係だってもっと掘り下げて欲しい~。
攻め企業の愛人マンション(この設定もまたこの作家らしいぶっとんだかつちょっとゆがんだセレブイメージだよなあ、笑)を紹介してくれた、重役オヤジのチャラ男愛人も、ただの脇キャラか受けにいじわるでもすんのか、と思いきや、意外に展開にからんできて最後もなんだかかわいい展開だった。相手はオヤジだけど。
そんな感じで脇キャラも魅力的だし、展開自体はベタ王道ではあるものの、いろんなキャラがいるせいかちょっとひねった印象になってる気がしたし、面白かった。けどいろんな工夫がある分、ひとつひとつの描写が駆け足で、かなり紙幅が足りなかった気がする。一冊では物足りないというか、二、三冊かけて書いて欲しかった…面白いからこそ。
しかし口絵のCPは一体…?弟とイケメン著名バイオリニストかと思ってちょっとわくわくしてしまったのに(笑。