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2007年12月01日

剛しいら『シンデレラを嗤え』

 役所のすぐやる課勤務のさえない公務員。妻の両親と娘の五人暮らし、妻はフラワーコーディネイトの教室とかしてて、なんか家で居場所がない。そんな日常をかえたくて、占いどおり思ったことと逆の行動をとってみたら、サッカーくじがあたる。家を出てジム通いをしてたら年下イケメン会社社長と知り合いに。社長に会社にさそわれてくどかれて、気持ちは受け入れられないけどなんか社長が気になって云々。

 タイトルどおり、シンデレラもの、ただしシンデレラは攻め。受け押せ押せなので強い。弱みみせても強い。BLよりも、シンデレラものとしての筋が強調・優先されてるような印象で、あんまり萌えないし、だからといってシンデレラものとして・物語として特筆すべき面白みがあるわけでもないので、なんか全体にいまひとつな印象だった。

夜光花『凍る月 紅の契り』

 獣人もの第二巻。
 光陽がなんだかんだで亨と契約してしまうあたりはある程度予想の範囲内だったけれど、組織が随分かかわってきたのは意外で、面白かった。組織の「餌」の扱い方とかね。
 そんなわけで、全般的にやはりとても面白かった。

 梁井さんはストイシズムあふれるイケメンで、亨と契約した光陽をそのままで受け入れたり、船に助けに来たり、カッコいいんだけど、ちょっとベタすぎるかなーという気もする…いやわがままかもしれないが、一巻で光陽の涙を舐めて怒ってたみたいな梁井らしさがいまいち見えないというか、そういう活躍は梁井でなくてもいい気がするというか…うまく言えないけど、ベタすぎたことで個性が殺されてしまった気がするのだ。
 光陽はモテモテハーレム状態になってきてて、こういう状況は予想してなかったというか、今回にかぎってはあんまり好みではないかもしれない…。あと、光陽は思った以上に天然だった(笑

 今回も日本語はあまり気にならなかった。しかし前からうすうす感じていたのだが、青い獣とか赤い獣とかという表現は、ちょっと直接的過ぎる気がする。

 イラストは、組織の人間とかメインキャラ以外の絵があんまりないのが残念な気がした。

2007年12月02日

桑原伶依『人気俳優は愛犬家』

 タイトルのとおりなのだが、人気俳優×新人ペットシッター。
 受けをどこかで見初めた攻めが受けを指名して自宅にこさせる。高慢なヨーキー、気ままなボルゾイ、元気いっぱいのサモエドの子どもと、躾のなってない三匹の犬たちの世話をすることに。

 というわけで犬の世話をしつつ攻めにくどかれるのだが、犬関連の描写がいかにも調べましたという感じで冗長で詳しすぎる。
 しかし一方の恋愛パートは、受けが攻めに押されてしまいましたねという感じしか受けず、攻め兄の妨害にいじけたりするあたりもなんか違和感がある。攻めは犬のことをわんこと呼ぶようなひとなので、いやそれが悪いわけではないけれど、なんか性格が顔に似合わない感じでいまいち。というわけでどちらのキャラも感情移入できないし、あんまり魅力もない感じ。展開も凡庸だしいまひとつ面白くない。
 あと受けのつとめている店の名前がワンニャー倶楽部というのが…センスを感じない…いやまあ、ワンニャン倶楽部だったらそこらじゅうでかぶりまくるのはわけるけれど、でも他の手はなかったのだろうか。

2007年12月04日

榎田尤利『アパルトマンの王子』

※追記しました。

 藤○沢商店街シリーズ(余談だが教えていただくまでずっとKFCのあるまちのことだと気付かなかったのです。

 しょっぱなから、そしてお好きな人には気に障るだろうし申し訳ないのだが、わたしはこの絵師が非常にニガテで、わりとストライクゾーンがひろく、デッサンぐるいもセンスやいきおいでカバーオッケーなわたしにはめずらしいことに、申し訳ないけれど出来れば見ずにすませたいほどにニガテなのです。今回は藤井沢シリーズで楽しみにしてたので、余計にギャップがキツかったというか…。
 そのせいだけではないのだろうけれど、物語もちょっとお手軽な感じがいなめなかった気がする。

 というか、藤井沢に金髪王子はやはりあまりに異質だ。
 『ギャルソン』の殿下もたいがいだったが、しかしきっちりキャラたってたからか、ひととひととの関係性が形成される物語として、そしてその登場人物として、違和感なく読めた。けど王子は、布団よりベッドを貸して欲しいとかわがままみたいな冗談いったり、優一に感銘をうけて資源ゴミの分別してみたりと、面白げなとこもちらほらあるものの、基本的に優一にメロメロなBL王子様ってだけなので、やっぱり異質な感じがして仕方がない。
 しかもその異質さが物語展開に活かされるわけでもなく、物語じたいがわりとオーソドックスというか凡庸なBL王子×庶民物語なので、なんだかなあという感じ。案の定というか、王子×庶民の後日談としては実にベタに、後半はリゾート(といっても房総だが、と千葉県民はことさらになんか微妙なこころもちだ)に行ってしまって、藤井沢から出てしまうのもマイナスポイントだと思う。王子の家族とかそのまた家族とか、あまりにベタすぎるし…。
 そんな感じで正直王道というよりは凡庸で、いまいちだったなあという印象。

 ただ、この作者の登場人物過多ものはニガテだと思っていたけれど、でも今回は人数が多かったのは別に気にならなかった気がする。
 この作者の登場人物が多い作品がいまいちだなあと思うのは、逆に一対一の関係性をわりと面白く書いてくれる作者だと思っているから余計にそう思うというのもある気がするんだけれど、今回はその一対一の、つまり王子対優一の関係の描写では多少面白いとこがあったってのも大きいかと思う。特に、王子があまりに自分の優一への感情にたいしてストイックというか、傲慢にならないように、利己的にならないようにとがんばってるあたりはとても魅力的だと思った。ただやはり、それが藤井沢で、この大家族の中ではあんまり活きてない気がするし、そういう魅力も、それ自体凡庸な物語の中でみるとベタ王子というワクの中におさまってしまうので、やっぱり印象がうすくなってしまっていると思った。

 追記、いや今改めてタイトルを見て気付いたが、王子のアパート生活がほとんど触れられてないという点がいちばんマズイのではないか???
 あ、あと王子の名前ってばツイストの世良、ではなくて、中国語でいう第四声のイントネーション…なのかな?(笑。ついついツイストの世良のイントネーションで読んでしまうので、すごいイメージにあわなかった。

2007年12月05日

アクエリアスのカミュ。

 「“純金”ペガサス聖衣 限定フィギュア発売へ」というニュースもなんかスゴイが、しかしこの「黄金聖闘士で好きなのは?」というアンケートにビックリですよ。この設問自体もビックリだが、現在アフロディーテが最下位…?なぜだろう!クロエは勿論蟹座に一票入れてみた。

 カミュ?好きに決まっているじゃあないですか。だって氷河の先生だもの。カミュって名前もいいよね。よく考えたらなんでこの人がフランス人なんだって気もするけど、すごい合ってる名前だという気がするのでいいと思う。
 あと青髪ロングってなんかあの頃のファンタジーキャラって感じでよいよね。あたまはヘッドパーツのせいかオールバックなイメージなんですが、そんなわけはなかった。

2007年12月07日

奥田七緒『与える男。』

 にゃんにゃんにゃん。

 吸血鬼×健康志向大学生…だっけ?逆!?
 吸血鬼を拾って面倒をみるとか、吸血鬼の兄が来日とか、とか。つまらないわけではないけどなんだか全般に薄かったし、印象に残ってないなあ…。
 それでも一冊まるまる表題作なんだから、読み応えあってほしいなあと期待しつつ読んでたら、途中でサブキャラの助教授カプになってしまうし…吸血鬼もはや関係ないし…。うーん、なんだかなあ。

2007年12月11日

荒木飛呂彦「岸辺露伴は動かない―六壁坂―」

 なんかもういろいろ出遅れぎみです。医龍も今読んでるし、タクミくんもフジミも未購入です。高尾理一の新刊なんて、見かけてすらいない…(涙
 だって忙しくて…入稿締め切りとかそんな感じで!坊主コレクションも無理っぽいぞ…。

 カラー絵の露伴のエロティックさだけでもうお腹一杯…なんだこれは!荒木のド変態め。

 ジョジョ自体が既に荒木の財産になっているというのは言わずもがなのことなのだが、ジョジョの中でもとくに「杜王町」というコンテンツはそれだけでも財産といえるほどのイメージと魅力を内包していると思う。のだけれど、更に「杜王町」の中でも、岸辺露伴は単体でコンテンツバリューを持ってるよね。やっぱり漫画家という設定と、変態変人なキャラが作品自体の作者のイメージとあいまって、相乗効果でいいキャラになってると思う。それに、スゴイよこの存在感は。今回もまた露伴は「動かない」のだけれど、にもかかわらずこんなに魅力的。
 そんな露伴を視点人物に据えてるので、単体でも結構面白い「六壁坂」怪異譚が、より魅力的になっていて、とっても荒木飛呂彦らしい短編だった。

 …いや、正直に言うと、「えッ!?ここで終わっちゃうの!?ここから露伴の大冒険が始まるんでしょ!」…とか、思いましたけど(笑。動かないんでしたねそういえば。

2007年12月13日

深井結己『はつ恋ものがたり』

 残り時間を100として各作業にわりふってしまうという相対的計画のせいで、いつもぎりぎりなのだと気付きました。時間があればあるだけ、ひとつの作業に時間をかけてしまうのです。

 年下わんこ系保険医×メガネのクール数学教師。山奥の全寮制男子校である意味はあったのか…。

 人を寄せ付けない、あだ名がアラスカな荒塚先生=受けは、新任の保険医=元教え子=攻めにアタックされて次第に心をひらき、そんな中攻めが半裸の生徒と保健室にいるのを目撃して云々。その後も展開もありきたりで、まあオーソドックスにすぎるわんこ×クールメガネものって感じ。
 続編も攻めの元恋人?なMRが来て、受けに恋する生徒をけしかけて襲うというこれまたオーソドックスというかベタな展開で、正直ちょっと飽き気味だったのだけれど、これはオチというか受けの対応(後述)がよかった。

 攻めはオーソドックスなわんこ系だけど、受けの惚れた理由とか友人のからみでまあいいかという感じ。たいする受けは、なぜツンドラ(デレではなく)なのかという過去や背景がさっぱり描かれていないので、ちょっとキャラが弱い。

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 ちょっとネタばれ過多になるけれど、自分の生徒には好きな相手を傷つける子なんかいないんだと受けは言うが、それはたぶんまっかなウソなのだ。けど自分でもウソだとわかっていながら、あえてそれを信じてみるという行為は、すごく力を持つのだろうなと思う。よくもわるくもね。ポスト構造主義世界の人間は真実なんてどうせ信じてないのだし、だからウソでも全然構わない気がするんだよね。このなりわいはウソをもてあそぶ仕事だなあと思うことが多いので、余計にそう思うのかもしれないね。

2007年12月15日

LOSTMAN GO TO YESTERDAY TOUR@Zepp Tokyo その1

 またAXではサンキューやったらしい…orz
 けど楽しかったよ!詳細はおって。

01. トリップダンサー
02. ラッシュ
03. ノーセルフコントロール
04. ワンダフルサイト
05. スリーピーヘッド
06. ノンフィクション
07. ハートイズゼア
08. ナイトメア
09. 白い夏と緑の自転車赤い髪と黒いギター
10. 開かない扉の前で
11. ニニー
12. デイドリームワンダー
13. ガールフレンド
14. トーキョーバンビ
15. レディバードガール
16. 彼女は今日、
17. ワンライフ
18. スワンキーストリート
19. ストレンジカメレオン
20. その未来は今

EN
01. チェリー
02. ハイブリッドレインボウ

EN2
01. サードアイ
02. アドバイス

2007年12月16日

LOSTMAN GO TO YESTERDAY TOUR@Zepp Tokyo その2

 シングルコレクションツアーでマニアックなライブアゥイエー、と思ってたんだけど、予想よりもマニアックではなかった気がする。いわゆるレア曲は少なかったような…。パトリシアシングルバージョンとか、ビューティフルピクチャーとか、アイシンクアイキャンとか、ウィハブアテーマソングとかも聴きたかったなー、とかワガママを。

 トリップからってのは意外だったけどよかった!や、彼女は今日、が三期の最初のシングルだと思ってたから。トリップの方が先っていうか、トリップはロストマンの先行シングルだったんだね。たしか最初にカラオケで歌った曲なので、懐かしい。
 ラッシュ!いいよね。カコイイ!
 ワンダフルサイト!カコイイ!!ばーんのうな、クスリを、飲み込んで!
 スリーピー!カコイイ~!!
 ノンフィクションをライブできくといつも思うのだけれど、今回もまたあたしはノンフィクションがすっごい好きだなあと思った。アンセム系もロックバラード系もそのほかもいろいろ好きだけど、実はこういうキッチュぽいポップなロック系、が、あたしはたぶん一番好きだ。時計が九時十六分で止まった、この話はノンフィクションです、もさわおらしくてよかった(笑
 ハートイズゼア!ウーーーーーーーーーーーー、ワントゥ!!
 ナイトメアも盛り上がる!カコイイ!
 白い夏は初めてライブで聞いたけど、ちょっと地味になっちゃうね。でも好きだし、すっごいカッコイイ。
 というわけで、ここまではあたしの好きな曲ばっかりで、ウッソマジヤバイ、とか思ってました。

 開かない扉の前で…から、その、正直やっぱ二期はちょっと合わないかな。と。なんかニニーも入ってたけど(笑
 トーキョーバンビも…タイトルがバカみたい(笑、褒め言葉です)だしすごく期待してたんだけど、聴いて見ると、アレ、って感じで…どうだろう…うーん、なんだかふつうのポップスみたいだね…(笑。別にスカパラホーンが悪いわけではないと思うんだけど、やっぱりなんかしっくりこないかな。別に一曲ニガテだったからってどうってことはないのはもうわかってるし、いつものようにくりかえし聴いてたら好きになるかもしれないのもわかってはいるけれど…。でもなーに笑ってんだー、という歌詞はピロウズっぽくて好き。「かわいい顔して」って、さわおのことでしょ?(笑

 というか、やはり単にあたしがキッチュな音が好きなだけなのかもしれないけどね。というわけで、レディバもキッチュでポップでかわゆくって大好き。
 彼女は今日、も懐かしいなあ。これがなかったらピロウズ聴いてないもんなあ。
 ワンライフも次のスワンキーも、なんかこのあたりピロウズ重要度の高い曲という印象。ストカメとならんでるし。しんごうがなにいろでもー。
 その未来は今もなんだか懐かしい(笑、結構前になるのかね。

 アンコールでチェリーが来るとは…。
 いつもやってるアンセム系はやんないだろうなと思ってたけど、ハイブリが来た。リトバスかと思ってた予想はあたらなかった。
 そして、ダブルアンコがサードアイというのは意外だった。好きだけど。
 オマケがアドヴァイスというのはあんまり意外でなかった(この前もだったから。大好きだけど(笑。この曲、さわおの一人数役がカワイイよな~(笑

 バスターくんがふくらまないかわりに、さわおが髪をふくらませてきたのが超可笑しかった。ふくらんでる?とか常に気にしてるのも可笑しかったし、これと、いい曲ばっかだな!しか言わないのがなんかもうさわお。変なテンションだったけど、アドヴァイス追加してたし、機嫌よかったみたいだね。正直、前みたく「珍しい鳥発見!」くらい言ってしまえばいいのに、とか思わないこともないんだけど…(笑
 あーあと、アンコール前にかかったトリップダンサーが、改めて聞くと今とあまりに声が違うのでビックリした(笑

2007年12月17日

小鳩めばる『さわって、とかして。』

 なんかリブレの雑誌で短編読んだ時は面白げな作家だと思ったのだが、これはいまいちな短編集だった。全般的にあんまり面白くない。

 特に弟×兄ものとか、自分の気持ちに気付いてくれない鈍感な兄にイラつくできのよい弟は別にキャラとしていいけど、イライラを兄にぶつけすぎというか、人としてどうよって感じの対応というか、人を傷つけるようなことを平気で言っちゃう弟にドン引きですよ。あとがき読んだら、作者は弟はヒドいといいながら人としてマズいとまでは感じてないような書き方をしている印象だったので、更にちょっと引いてしまった。
 レンタル屋の先輩はヤンキーみたいな顔で天然で面白かったけど、攻めの不器用キャラがいまいち立ちきっていない感じで勿体無い。
 あと銭湯の話は、年上ほんわかな受けが告白後にいきなりつっかかってくるような対応なのが一貫性がない感じ。そりゃ憤るのは当然だろうけど、あそこまできつい返しするようなキャラではないんじゃ…。

 あと、なぜ目の下に点線がはいっているのか…。

 追記、前に雑誌で読んだことあったと思ってたのは、別の作家と勘違いしてました。

2007年12月18日

高尾理一『傲慢君主の専属契約』

 あ、あれ…?あんまり面白くなかった…?おかしいなあ…。

 成金強引な牧場主×ホースセラピスト。
 攻めは有名なセラピストの代理でやってきた受けを軽くみるが、しかし暴れ馬の心を見抜きその才能を見せた受けに心酔。無茶いって師匠に交渉し、お試し期間とか言って受けを一ヶ月住み込みでやとう。うぶな受けに恋してしまった攻めのくどきのかいあって恋人関係になるのだが、恋愛関係を契約でかためようとする攻めについてけなくて受けは困るが云々。

 どうも前半は攻めはちょっと傲慢な金持ちというくらいのふつーの攻めで、なのに後半は経験からくる不器用さからかやたら契約にこだわる攻めで、その落差がいまいちしっくりこないし、それになによりどっちもあんまり魅力的でない感じ…。
 受けも、最初の場面で攻めとわたりあってるとこは、おお今回は気丈受けか!と思ったものの、攻めが口説き始めてからは恋愛経験のない感じを前面に出した純情素直健気キャラになってしまうし、あんまり面白みがない…。

 そんなわけで、お話自体もなんか前半後半がややばらけた印象で、馬とか医師とか師匠とか、妙にキャラもいるわりにどのキャラも使いきれてなかった印象があって勿体無い。
 あと問題をかかえた馬との話とかも面白いのだが、馬との交流それ自体と、馬をめぐる厩務員の問題がかさなってくることで、かえって焦点がボケてしまった気がする。ただでさえ恋愛の後景なんだから、もっとどっちかに焦点をあてて書いてくれたほうがよかった気もする。わかんないけど。

2007年12月19日

篁釉以子『だまされて楽園』

 タイトルが井上陽水の「なぜか上海」を思い出す…と思ったのだが、冷静に考えると全然似てない。

 アラブの王族×天然純粋大学生。
 高級アテンダント派遣クラブのオーナー?のリムジンに車をぶつけ、アラブの接待をすることになった受け。高級男女に飽き飽きしてた攻めは、オーナーの見立てどおり天然庶民な受けにハマってしまって云々。

 いや、テンプレなのは予想してたけど、どうも物語もキャラも描写がとてもうすくって、表面をさらりと撫でて、しかも掌でなでたんじゃなくて指でなでたでしょ、って感じ。どんなんだ。でもとにかく悪い意味でさらりと流しすぎ。セレブ攻めものテンプレに、テンプレだけで肉付けを全然してない感じ。

 そんななのに、後半というか続編では、唐突に攻めの長男とかいうヘビーなキャラが…(笑。でもやっぱり内容はさらりと流されてく感じで、しかしもう途中からいきおいよく流し読みをしてしまったので、定かではないけれど。

かーわいい顔して。

 さて、というわけで、何時ものように!

 …トーキョーバンビ、いいじゃないか(笑

 いや、いいよこれ。カッコいいよ。ライブよりCDのほうがいいかも。CDで慣れたらライブでも楽しめそう。PVのさわおのイカれっぷりがまた最高。

 先日のロストマンゴートゥイエスタデイ、で、さわおが「いい曲ばっかだな」とずっとゆっていたのだけれど、正直あたしは二期曲はやはり微妙に感じたし、少なくとも三期以降のピロウズとはものすごいいきおいで曲調がちがうので、なじまないのは確かだと感じていた。
 さわおだってその差異(落差とは言わないが)は絶対わかってるはずで、だから「もしも」さわおが三期以降の曲イコール自分の思い通りの音楽だと考えているのだとしたら、二期曲とかって、過去の曲としてちょっと恥じらってもおかしくないものだと思うんだよね。思うんだけど、さわおは、今と曲調ちがうよね、とか照れるよね、とか古い曲だよね、とか一切言わないで、「いい曲ばっかだな」っていうんだよね。
 それが本心なのかどうかは全然わかんないけど、ただその態度それ自体、すっごい好ましいと思った。たとえそれが本心じゃなくっても、スゴいと思う。どんどん変わってって、それでいて過去を否定しないっていうのは、バスターズにたいしても誠実だと思うし、カッコイイし、尊敬する。

 ファンながらさわおって中二病っぽいとこあると思うんだけれど(笑、それでもひきつけられてやまないのは、こういうとこでしっかりカコイイからなんだろうな。ねっこのとこがしっかりカコイイから、いろいろハジけたって痛くならないし、信頼して大丈夫だな、と思えるんだと思う。
 …ていうか、なんかあたしのほうがむしろ中二病か。
 何笑ってんだ、かわいい顔して!(笑

2007年12月20日

高尾滋『ゴールデン・デイズ』7

 つくづく自分はだめ人間だと思うのですが…。
 仁はやっぱり光也じゃなくって慶光が好きなんだね…多分。
 ちょっとがっかりだ…(笑

 いや、違う、そういう意味じゃあなくて!

 主人公である光也には、タイムスリップした先で、すごく大事な相手が出来たらいいなあと思って読んでるからですよ。
 いや、慶光とはべつに、すごく大事な友達として、光也は仁にとって大事な相手にはなるんだろうけど。物語的にはそれはとっても面白いと思うんだけどね。
 というか、次の最終巻を見てからじゃないと、あれこれ言えないけどね。

 しかしとりあえず、ゴールデンデイズは『てるてる』よりもというか、高尾さんの作品の中でいまんとこ一番好きかもしれない。

2007年12月21日

乃木坂太郎『医龍』15

 本誌立ち読みしちゃったあたりなので、忙しかったしちょっとゆっくり読みました。

 それにつけても…
 霧島カッコいい!ヤバい!そりゃ木原も伊集院も霧島にメロメロになりますよ!国立の息子だっててなづけますよ!(笑

 伊集院もあいかわらずかわいーなー。
 ナースにモテていい気になってるあたりとか、このくらいでいいだろ?とか思いつつ迷ってる自問自答の凡人ぷりとか、すごくイイ。
 しかしこれくらい黒い伊集院をあの役者で見たかったな。二期はまだ見てない(VTRはとってあるそうだ、笑、そのうち見よう…)けれど、一期ドラマの伊集院はちょっといい子すぎた。あの役者がいかにもモテなさそーな伊集院とか計算高い伊集院とか演じてたら、面白かっただろうなあと思う。
 だって、伊集院はそんなふうにフツウに黒くって、それでも尚朝田が「お前は真っ白なままでいろ」と言い、霧島が信頼を勝ち得たいと工作を封じようとする、そんなキャラなんだし。だからこそ、ただいい子なだけのキャラよりも面白いんだと思うんだよね。

2007年12月22日

いつき朔夜『コンティニュー?』

 たしか秋ごろに読んだ。遡ります、よー。

 ゲーム会社社長×リーマン。
 妻に逃げられ幼い娘をかかえた受け、当然仕事がつづけられなくなり、攻めの愛人になることに。
 悪くないんだけど、いまいちのめり込めない話だったという感じ。

 攻めはエロゲ製作のために(笑)受けをだまして愛人にするとゆーあたりがキツいのだが、そのほかはすごくいいひとでかわいげもあるので、かえってよくわからん人だ。
 受けはすごく大変な境遇におちいって、でもがんばってるいい人なんだが、なんだかんだゆって才能活かしてキャラデになるなんて…いーなあー(笑、と、ドリーム展開に若干しらけた気がしなくもない。

 あと、受けの元妻が後編まで出張ってくるのだが、これがなんだか非常に腹立たしいひとだった。仕事ばっかで家をかえりみなかった受けにも問題があるにせよ、幼い娘を残して、しかも突然家を出ていったくせに、なぜ自分の正当性や権利を主張できるのか…その倫理観があたしにはわからない…。しかも物語内では結局赦されてしまうというか、受けたちとも概ね良好な関係におさまるので、納得がいかない。いや、別に不幸になってほしいとかではないけどね。でもこのキャラをつかわなければ、赦しも断罪も必要ないはずだとは思うけど…。

 しかし全体的に構成とかはやっぱりうまいんだな。
 ていうか、ディアプラスの小倉弁攻め(笑)のペーパーがまだ来ないのですが。

2007年12月25日

高尾理一『百年の恋』

 なんだか梗概がすごかったのでわくわくしてしまったのですが、いえ、面白かったんですけどね。

 伯爵×帽子デザイナー。
 受けの曽祖父である英国人の伯爵は、来日したさいに男爵家の長女と恋仲になり一子をもうけるが、男爵家は結婚をゆるさず、伯爵は泣く泣く帰国。弟に伯爵位をゆずるものの、自分の直系が来英したら邸と財産をゆずるようにという無茶な約束をさせる。一世紀後に受けは自分の祖先のラブロマンスを知って、来英した際に邸を見学に訪れるのだが、弟系の子孫で当主である攻めは、受けは財産を奪いに来たのだと思い込んで、相続放棄の書類にサインをさせようとするのだが云々。

 冒頭のあたりはすっごい攻めが傲慢でよかった…のだが、それが反省するというか、対応がやわらかくなる瞬間は、そこでいいんですか…(笑。冒頭の邂逅シーンも長すぎるというか、物語の前提をつくるというのがメインの場面だと思うんだけど、作品の半分くらいを占めちゃってるし。そして、伯爵があんまし傲慢でなくなってからは、なんだか展開もお手軽な感じで、つまらなくはないけれどありきたりな貴族ものだなあ、という感じだった。

 攻めは序盤は傲慢でとってもいいのだけれど、途中から一歩引いてしまうし、あと何を考えてるのかよくわからないというか、受けにたいする気持ちとかももうちょっと描写してほしかった。ていうか、この作も受け視点オンリーではなくて、受け攻め視点切り替えの語りがよかったんじゃないかなあと思う。
 受けはいまいち個性に欠けてた気がする。もうちょっと濃いキャラでもよかったのでは。帽子デザイナーという職能は活かされてはいたけれど、もっと重きをおかれてもよかった気がする。攻め妹との意気投合と、女性の帽子にまったく興味のない攻めの対比とか面白そうだったし。

 まあ、ありきたりな貴族ものとはいえ、高尾理一なので、例によって随所にあらわれるユーモアあふれる文体がとってもわたし好みでした(笑
 「ヒューにとっては凛はキスがしたくなるような相手ではなかったはずだ。状況も最悪で、縋りついて愛を告白していたのならいざ知らず、謝罪を要求し、その謝罪にいちゃもんをつけている最中だというのに。」とか。あと、攻めにかんする評言では「傲慢で我儘で頑固で意地悪で融通が利かず、人から恨みを買いやすいだろうが、その迷いのなさは彼の魅力のひとつだと思う」って、物語中盤とかならまだしも、クライマックスでこの評価って…(笑

 そして、何しろイラストが円陣闇丸!ですよ!やはりうまいよね。なんか攻めが円陣さんにしてはちょっと子どもっぽい気もするのですが、むしろそれが新鮮でよかった。ただ、ちょっと地味かなという気もしたけれど、やはりキャラがあんまし濃くないからかなあとも思う。

2007年12月26日

井上雄彦『リアル』1~5

 楓センパイにまわしてもらった。
 わー!面白い!面白いよ!

 わたしはイノタケはバガボンドから入って、あんまり面白くないので二巻くらいで読みさしてしまい、その後スラムダンクを借りて読んで、結構面白かったのだけれど、自分で買うほどではないかなと思ってそれなりだったので、リアルは借りなかったら読まなかっただろうなあ。ヤバイ。

 キヨちゃんがカッコいいんだけれど、しかしキヨちゃんに比較するとトモちゃんがなんだかかわいそうな感じ。
 というのは、キヨちゃんはとくに顔が漫画的にカコイイ感じなのだが、トモちゃんの方はいかにもリアリティー追究してますよーという感じの絵ヅラにヤンキー設定で、なんかその落差って漫画内での設定のちぐはぐさみたいに感じてしまうのだ。後のほうでどうなるのかは知らないけれど、トモちゃんだけなんかあんまし華々しい活躍しない感じだし、なんていうか、トモちゃんがていよく使われてるというか、キツい言葉で言えば作品のために徴用されてる感じというか…。しかしそんなトモちゃんとキヨちゃんがいいコンビだと、でこぼこコンビっぽくって、それはそれで面白いんだけどね…(笑

 しかしなんか全体に漫画っぽくって、ていうか絵もお話もオーソドックスな漫画の文法にわりと忠実だから面白いんだと思うんだよね。なんていうか、それぞれのキャラの設定とか、キャラの使い方がすごく王道というか、予想にすっぽりはまってく感じ。たとえばノブのお母さんとか、高校に復学することが最良だと信じこみ、それを息子も望んでるとうたがいもせず、息子のためならと仕事にはりきり、緊張の糸をきられて酒とタバコに没入してしまうとか、すべてにおいてわかりやすいというか、わかりやすすぎる。んで、殆どのキャラがそんな感じ。障害者スポーツの扱い方とか、そういう舞台設定も王道な印象。

 そんなわけで、この作家はやはり少年漫画向きなのかな、とも思ったけど、表象的にスゴイのは、スラムダンクのあとに障害者バスケットをこんな王道な筆致(ペンタッチのことではない)で描いてることなんだろうなあという印象。あと、障害者スポーツの扱い方が王道ぽいっていったって、漫画としての王道展開で障害者スポーツを描いてる作家はたぶんこれまでいなかったか、少なくともこんなにきっちり面白く描いた作家はいなかっただろうし。

 三巻冒頭あたりで、あきらめたらそこで終りだって誰かが言ってたもんな!とかいうセリフがあって、すごい可笑しかった。安西先生の言葉というか、スラムダンクはもはやキャノンだもんね(笑

2007年12月29日

西田東『素晴らしい失恋』

 つまらなくはないけれど、特に印象に残る作品もなかったような…。

 なんかゲイ部下×ノンケ上司の部下片思いがこの作家の基本だなあと改めて思ったり…。あと、外国が舞台のものはなんかやっぱいいなあとか思ったり。

 しかしそういえば、どの作品も結末が微妙に成就してなかったりして、かといって余韻だけで充分な物語ってわけでもなく、ちょっと物足りなさも残った。

古街キッカ『洋6K2南向き』

 つながりワールド短編集。

 概ねつまらなくはないけどありきたりな印象で、個人的には『さくらにあいたら』の方が好き。前作では絵も印象的だったんだけど、本作では絵もなんだかあんまりパンチがなくて、ちょっと丁寧でキレイっぽいだけって印象になってしまってる気がする。
 ちなみに本作では、ケンカ番長×ちょっとあたまのよわいこの高校生CPが一番好き。なので、この作家の高校生ものがあたしの趣味にあっているということなのかもしれない。

 あとはメガネリーマン×路上詩人とかよかった…メガネがエキセントリックで(笑。
 上記おバカ受けも、授業さぼっておやつたべてる攻めにみかんゼリーをもらって、この優しい人に一生ついていこうと思ったり、みかんオレンジ味大好きになったりと、アホっぷりが非常にかわいい。

2007年12月30日

二日目。

 冬祭りに行かなきゃ一年が終わらないのですよ。
 ということで、いちきました。今回は自ジャンルプラス買いジャンルがすべて一日に終結しており、便利なんだか大変なんだかよくわからない日でした。相方マリィさんにはご迷惑をお掛けしました…。

 自ジャンルはお隣さんがお隣さんでした。こんなこと初めて(笑
 新刊は…やっぱカラーCMYKでつくるといいね!コミスタいいね!インデックスモードだと漫画っぽいね!と、アプリケーションの変更に納得したり、もうちょっと背景書こうね!とか、アンチエイリアスしない場合は何か気をつけるんじゃ!?と反省したりなんだり。しかしやはり本づくりは楽しい。
 買いジャンルもいろいろ。オリジュネとかわりに回った気がする。ちんつぶは夏に買えなかったのでまっさきにまわった。本橋馨子は新刊が第三の帝国でうれしい~。

 あと雨降らなくってよかった。いや降ったみたいだけど、移動中には降らなかった。
 そんなわけで、やっぱり疲れたー。

2007年12月31日

★2007下半期・BLコミックベスト10

 うーん、いまいち不作だったかもだ。今期は読んだ冊数も断然少ないのだが、別にそれは漫画に飽きたからではなくって、不作だったからなのかも。ちなみに2007年のベスト3は、円陣闇丸『天国へ行けばいい』小笠原宇紀『BLACK SUN奴隷王』山田ユギ『誰にも愛されない』、…うん、やっぱり後期はちょっと不作でした(笑。来年に期待!
 そのせいもあって今回ちょっと評価が難しかったんですが、まずコミクス一冊全体の雰囲気を重視して、短編集の場合は突出した短編があれば考慮してます。あと、ちょっと表記を変えてみました。ホシの数はあまりゲンミツではありません。

★2007・BL小説ベスト10

 前回は上半期ベスト10をあげましたが、やはりまだこの世界での読書歴が短いせいか、上半期に出た小説を後追いで読むことも多かったので、今回は一年をとおしてのベストをあげてみることにしました。上半期も今回もあげてない作品では、松岡なつき『アンダルスの獅子』木原音瀬『吸血鬼と愉快な仲間たち2』鳩村衣杏『王様は美男がお好き』鳩村衣杏『駄犬は愛を求める』剛しいら『愛を売る男』などが面白かったです。