井上雄彦『リアル』1~5
楓センパイにまわしてもらった。
わー!面白い!面白いよ!
わたしはイノタケはバガボンドから入って、あんまり面白くないので二巻くらいで読みさしてしまい、その後スラムダンクを借りて読んで、結構面白かったのだけれど、自分で買うほどではないかなと思ってそれなりだったので、リアルは借りなかったら読まなかっただろうなあ。ヤバイ。
キヨちゃんがカッコいいんだけれど、しかしキヨちゃんに比較するとトモちゃんがなんだかかわいそうな感じ。
というのは、キヨちゃんはとくに顔が漫画的にカコイイ感じなのだが、トモちゃんの方はいかにもリアリティー追究してますよーという感じの絵ヅラにヤンキー設定で、なんかその落差って漫画内での設定のちぐはぐさみたいに感じてしまうのだ。後のほうでどうなるのかは知らないけれど、トモちゃんだけなんかあんまし華々しい活躍しない感じだし、なんていうか、トモちゃんがていよく使われてるというか、キツい言葉で言えば作品のために徴用されてる感じというか…。しかしそんなトモちゃんとキヨちゃんがいいコンビだと、でこぼこコンビっぽくって、それはそれで面白いんだけどね…(笑
しかしなんか全体に漫画っぽくって、ていうか絵もお話もオーソドックスな漫画の文法にわりと忠実だから面白いんだと思うんだよね。なんていうか、それぞれのキャラの設定とか、キャラの使い方がすごく王道というか、予想にすっぽりはまってく感じ。たとえばノブのお母さんとか、高校に復学することが最良だと信じこみ、それを息子も望んでるとうたがいもせず、息子のためならと仕事にはりきり、緊張の糸をきられて酒とタバコに没入してしまうとか、すべてにおいてわかりやすいというか、わかりやすすぎる。んで、殆どのキャラがそんな感じ。障害者スポーツの扱い方とか、そういう舞台設定も王道な印象。
そんなわけで、この作家はやはり少年漫画向きなのかな、とも思ったけど、表象的にスゴイのは、スラムダンクのあとに障害者バスケットをこんな王道な筆致(ペンタッチのことではない)で描いてることなんだろうなあという印象。あと、障害者スポーツの扱い方が王道ぽいっていったって、漫画としての王道展開で障害者スポーツを描いてる作家はたぶんこれまでいなかったか、少なくともこんなにきっちり面白く描いた作家はいなかっただろうし。
三巻冒頭あたりで、あきらめたらそこで終りだって誰かが言ってたもんな!とかいうセリフがあって、すごい可笑しかった。安西先生の言葉というか、スラムダンクはもはやキャノンだもんね(笑