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2007年08月01日

鈴木ツタ『この世異聞』

 『あかないとびら』が面白かったのと、人外ものがなんとなく読みたかったので読んでみた。

 守護霊みたいな存在×公務員。
 呪われてるらしく短命なものが多い家系で、天涯孤独になってしまった受け、も体調を崩してしまう。祖父に教えられた守護霊を呼び出したら、悪いモノを食ってくれることになったのだがなんかいろいろされる。

 受けが攻めを受け入れないのがなんか素直じゃない感じで、しかも考え方がわかりづらくあまり感情移入できない。攻めがいろいろするのと、血筋に縛られてるだけだという点にひっかかってるらしいのだが、ちょっとごたついててもうちょっと説明がほしかった。
 攻めの方も、受けが特別な存在なのかどうかが分かりづらく、どうもこの二人はなんでくっついたのかよくわからなかった。
 あと、攻めの設定とかもちょっとゆるすぎるというか、もうちょっと説明がほしい感じ。

 別の短編もそこそこ面白かったけど、ちょっと物足りない気もする。この作家はシリーズものとか連載ものの方が物語に広がりが出て面白い気がする。

2007年08月03日

牧山とも『愛でるなら籠の鳥』

 ヤクザ×年上ダメ男。
 リストラされ別れた妻に生活費を仕送るために朝から晩までバイトの受け。風俗店でウェイターしてたらオーナーの攻めにお酒をこぼしてしまう。攻めはくたびれたダメで気弱なオッサンが大好きで、受けが濡らした時計の弁償をたてに身体を要求し云々。

 展開は王道で、期待通りな感じでよかった。元妻のエピとかも予測どおりで、でもつまんないわけでなくきっちり王道展開でよい。
 設定はオヤジ萌えだけれど、絵でも文章でもあんまりオヤジって感じはしなかったかも。
 しかしそこそこ面白く読んだものの、最後が…攻めの呼び名がかわって、タメ口になってしまうと、なんかもういろいろ台無しって感じだった…。

2007年08月04日

鳥人ヒロミ『グッドナイト』

 鳥人ヒロミはわりあいアンハッピー(というかまるっとハッピーではない)エンドが多いので、わたしの地雷な気もするのですが大好きです。絵も大好き。

 表題作はおさななじみがゲイで自分のこと好きでした、というわりと王道ものだけど、攻めがそっちは少数派な気がする(当社比)ので、面白かった。ゲイの方の人が結構肉欲で押してく話は鈴木ツタ『あかないとびら』をちょっと思い出す。
 あと、今回もアンハッピー(当社比)な大正義理兄弟ものがあったが、ちょっと『彩おとこ』の兄弟っぽい…(え、『彩おとこ』ももしや兄弟エンドなのかな…それはちょっといやかも…。
 同じく時代物の運転手とお稚児さんの話は…最後の一コマがすごいよかった…!エリートスーツの性格悪い愛情過多な攻めとか読みたいなあと思った(笑

2007年08月05日

甫刈はるひ『翻訳家は嘘をつく』

 翻訳家×翻訳家のマンションの前の現場で働く写真家のたまご。
 仕事が行き詰った折、はつらつと元気に働く受けの姿にいやされちゃう攻め。受けは写真のためにバイトをいろいろかけもっていて、ある日出版社のトラフィックの仕事で攻め宅にやってくる。ちょうどスランプで料理をしてた攻めは、つい受けを餌付け。しかし実は受けはもともと攻めの大ファンで、ついすきですとか口がすべってしまう。その後いろいろあって餌付けしたりなんだり。

 意地っ張りというか往生際のわるい攻めは、ある意味典型的なダメ大人。
 受けは元気ハツラツで子どもでもあり、元気子ども受け苦手なんだけど、頑張ってて好感がもてるしよかった。ただ、受けの外見描写に関しては、ちっちゃくて、でも顔立ちは男らしくて地味にととのってて、手とかもでかい、とか、なんか想像しにくい。
 でも冒頭とか、いきなりご飯もりもり食べていきなり告白してる受けについてけなかったけど、お話が進むに従って違和感はうすれた。攻めも受けもキャラがしっかりたってるからかな、という印象。
 ただ受けが攻めを「おっさん」呼ばわりなのはちょっと微妙か。苗字プラスさん、のままのが萌える。

 文章がやや独特でありながらつづり方は丁寧というか、わりあい好きな文体だ。ただ、攻めの翻訳における仕事ぶりとか受けの自然の中での仕事ぶりとかは、ちょっとまだ文章力に不満が残るというかなんというか…ものたりなさは残った。BLなわけだし、恋愛物語はちゃんと面白かったのでいいんだけど。
 お話としても、やや個性のある王道、という感じで好みだ。

2007年08月06日

甫刈はるひ『不機嫌なピアニスト』

 『翻訳家は嘘をつく』が面白かったので、新刊を読んでみた。

 年下新人映画監督×美形ピアニストというか作曲家。
 攻めはヨーロッパのある映画祭で、受けに出会う。映画に音楽をつければかならずヒットという人形のような美しくそつなく穏やかに微笑む受けは、しかし男にだらしないという噂。案の定レストルームで逢引してるとこにいき合わせたら、なんだかはすっぱな物慣れた様子だったりなんだり。そんな受けのピアノにも本人自身にも大いに興味をひかれつつ、攻めは一緒に仕事をしたいと思うのだが云々。

 なんか結局は年下でガッツのある勢い攻め×クールビューティで実は天然系物知らずちゃん、という結構オーソドックスな設定だったのだな、とそこここの展開で思った。
 のだけれど、なんかなし崩し的に身体から関係つくってみたり、攻めがわかりやすくキレるのが面白かった。こういうCPだと攻めはワンコのようにつくしまくる場合もあると思うのだが、この攻めみたいに、受け大好きでじれったく思ってるのに、にもかかわらずままならなさへの憤りを受けに直接ぶつけちゃって傷つけちゃう場合もわりあいよくあるよね。どっちも好きだけど。
 あと、受けの時々出てくる素直さとか天然さとか不器用さの描写がうまく、ありがちなキャラ設定ながら魅力的だった。すいかを切って見たいだけの理由で買いたがって攻めに怒られて、結局許可してもらって持って帰ろうとしたら重くて手が痛くなっちゃったり、とか(笑。

 お話もそんなわけでオーソドックスな感じだけど、とくに後半がちょっとごたついてた印象。受けのウワキ?とかオチついてないし。誤字脱字も多かったし、もうちょっと整理して欲しかったかも。あと、これも特に後半で、シーンがこまぎれになりがちだったのも残念(自分が二次小説書くときに結構気にしてる点なので、気になったのかも。雑…になっちゃったのかなあ。
 特に受けの感情はもうちょっと詳しく描写してほしかった。視点が全然ないならまだしも、最初のあたりとかで視点ふってるんだから、受け視点からももうちょっと説明が欲しかった。

 絵は、それはボルゾイじゃない、とだけ…。

 なんだか文句が多いですが、総合的には面白かったし好みではあったのですよ…いやホント。

2007年08月07日

カワイさ選手権。

 いやはや。夏休みなのです。

 ということで、同人誌つくってました。二冊も!一冊は個人誌!
 ジョジョではものすごいトンチキな設定と展開とで突っ走った気でいたけど、タクミも相当なことになってしまった。たぶん少なくとも今回のタクミスペースでこのCPはあたしだけだ!(笑
 ところで、いまだにカラーCGとか、RGBでつくって印刷用にCMYK変換して色あせぶりにすっごく落ち込むので、そろそろちゃんと最初からCMYKでカラー描くようにしなきゃ…といつも思うんですがね。アプリは何がいいのかしら。やはりフォトショかしら。デジタルトーンも欲しい。あと新しいペンタブレットも欲しい。ていうか、PCがヤバいかんじなので、そもそも新しいPCが欲しい。
 そんなかんじであとはなんかの研修とかに参加してました。仕事…も、しなきゃ、な…ハハ。

 ヤングスターのせいで二曲目萌えです。「ウェイティングフォーザワンラブ!」バスストップとか「最上級に手を伸ばして、痛い目をみたって!」フリービーとかね。いいわぁ。
 レディバードガールも、CDはライブで聴いてたのよりすっごくいい感じっぽい(天道虫だし、笑、天道虫のTシャツとか作って欲しい。発売が楽しみ。ウェイクアップ3の時も思ったけど、気負わないポップさで、かわらないロックで、やっぱピロウズだわ、と思う。時代が望んでも、流されて歌ったりしないぜ!なんて歌詞は、ダテじゃあない。
 それにつけても、PVのさわおがかわゆすぎて動揺した!人形の家を覗きこんでるとことか、最初はさわおヤバいよ!とか思ってたけど、馴れてくるとすごいカワイく思えてしまう(笑。カワイさ選手権ではもうブッチぎりの首位です。さわお38才。

2007年08月08日

椎崎夕『あなたの声を聴きたい』

 すごい分厚いなあ、と思ったのだがせいぜい350Pていどでした。しかもBLだし300P超も何するものぞ、という感じ。

 リーマン×苦学生な大学生。
 受けは中学生のころ義父に襲われたりして祖母のもとに身をよせて、その祖母も亡くなった今は一人暮らしの苦学生、バイトいっぱいかけもって頑張ってる。ある日運送会社のバイトで配達に訪れた家で倒れていた老女を助けるが、帰宅した孫=攻めに犯人と間違われる。結局勘違いがとけて、老女の見舞いだなんだを介して、受けは老女プラス攻め、の家に遊びに行く関係に。

 受けは人とうまく話せないというかうまく自分の気持ちを説明できない、上に、義父事件により接触嫌悪症ぎみ。とくに義父に似た年上男性がニガテ。なのだがだんだん攻めに惹かれてしまう。しかし、攻めの朴念仁ぶりと彼氏がいるよ情報、そして受けの控えめかつ自己評価の低い性格があいまって、攻めに迷惑がられてると思い込んだりする、そんないい感じのかわいそう受けである。
 で、攻めは融通利かない朴念仁、なのだけれど、攻め視点なんかないのに、あまりにあからさまに受けを気にしてかまって勝手に怒ったりするので面白い(笑。
 そんな二人なので感情などの行き違いがベタでこれまた面白いのだが、物語の展開全般がわりとオーソドックスでベタだった。義父の行動や顛末しかり、受け母とか攻め祖母とかのキャラもすごくベタだ。

 で、お話はオーソドックスなんだけど、じゃあ他に特筆すべきことはないのかと言われれば、結局この文章量がウリなんではないか、という気がする。っていうか、この作者の特徴というか。緻密というか、すごい真面目に積み重ねてく感じの文章なんだよね。伏線もきちんと回収するし。さすがにあまりの訥々ぶりに、もうちょっと緩急つけて見せ場つくってほしい…と思うことも(笑。後日談とかも、あんまり進展なくて淋しいし。
 この分量で、ラブシーンがほとんど無い(回です)、というのもある意味ウリか(笑

 しかし最近よく思うのだが、わたしはどうもこういう真面目につくられたお話が好きというか、向いてる気がする。あんまり散漫だったり筋がごたごたしてたりすると、もっと整理しようよ、って思っちゃうんだよね。でも別にそれは、作品を分析したいからではない気がする。楽しむためにきっちり構成してほしいだけなんだよね。
 あ、でも、計算などなくてゴタゴタでも好きなお話もいっぱいあるかも(高河ゆんとかかな。ゴタゴタになってしまうなら、せめて勢いで引き込んで欲しい、ってことなのかも。わかんないけど。

 タイトル…『年上の人』、でいいじゃんか(笑、と思った。声というモチーフは、前半ではともかく、あんまり機能してない気がしたから。

2007年08月09日

桜井真紀『平和のススメ。』

 南国ばなな絵と三人構成にひかれて買ってしまった。

 同居中の大学生の三人。メガネのIT系ベンチャー社長&モデル→一般人の天然太郎。なんか二人から告白されたりなんだりとか。
 どうも文体が古くさい上に散漫というかなんというか、辛い。内容もあんまり面白くないしキャラにもあんまり魅力がない。メガネは性格がわるくズルい気がする。受けはボケボケすぎる。

高岡ミズミ『天使の爪痕』

 『天使の啼く夜』の田宮の兄・東吾と、伊佐を助けるために力をかりたヤクザの長男・瀬ノ尾の話。

 ということで、ヤクザの長男である瀬ノ尾は家業がイヤなのだが跡をつげとか言われて昔からいろいろ縛られまくりでいやんなってる。高校で出会った東吾はつっけんどんだが、自分を恐れもさげすみもしないので、側にいたいから好きだと言えない。そうこうしてるうちに事件の余波で仕事を失って、ゲイの恋人とあれこれあって、八方ふさがりな瀬ノ尾はどうすんの?

 東吾があんな感じ(笑)なので、結構好みなかんじの攻めになっていたのだけれど、何を考えているのかよくわからなかった。感情の変化とかわかりづらいし、瀬ノ尾への感情もいつからどこから恋愛になっていたのか、よくわからない。
 結末は結構好きだけれど、ご都合主義になろうとも、二人の後日談も読みたかった…。
 あと、作者も後書きに書いていたように、伊佐田宮のその後がきちんと書かれていて面白かった。
 全般にそう悪くはないけど、前作のほうが面白かったなあという印象。

 どうでもいいけど。伊佐という苗字と東吾という名前は好きなんだけど、田宮と瀬ノ尾という苗字がいまいちしっくりこない。田宮は模型会社を思いだしてしまうからだと思うんだけど。

 あと、ヤクザと友人ものって、高校時代の回想が入るのがデフォルトなのか、と思った。

2007年08月10日

乃木坂太郎『医龍』14

 すっかり忘れていましたが、霧島と朝田の浜辺でデート☆の巻だったんですね。
 いやー、改めて見るとスゴイですね。
 いちおうここの感想はヤオイ抜きで書いてくつもりだったんですが、もう原作がアレですもんね。

 ていうか、もう霧島はすっかり主人公ですね。
 本誌もまた最近霧島が出てきてるのでうれしいんですが、どうも霧島がものすごく魅力的になってしまったせいで、朝田があんまり面白くないというか、あんまり頓狂な人に見えなくなっちゃった気がします。あと加藤は以前と変わらないんですが、スター状態の霧島が一緒に出てくると、やっぱりちょっと褪せてしまうというか。
 霧島がこんなに魅力的になっちゃったのは、物語的にはまずかったのかな、という気もします。どう収集をつけるんだろう、って思う。

2007年08月12日

秀香穂里『誓約のうつり香』

 怪我で選手の道をたたれた元柔道選手のスポーツ雑誌記者、が、ドイツに留学することを相談してもらえなかったことがひっかかって、なんとなく疎遠になってしまっていた高校時代の親友に再会したら、名うてのSMプレイヤーになっていました。

 …とかいう梗概を見た段階で、SMプレイヤー、って言葉があるんか。なんだかスゴイな。と思ったのでした。その語のあまりの迫力にほだされ(笑)て読みましたが、なかなか面白かった。

 銀髪でモデルのように美しいSMプレイヤーが、高校時代から君が好きだったんだ、とか言うので、雑誌記者はいちおう彼の仕事も見てみたけれど、やっぱりSM、しかもSMショウなんて理解できない!と思いつつしかしハマっていくというかハメられていく感じ。
 健全で体育会系な雑誌記者が受け、というのがよかった(…。
 攻めのチカというあだ名がかわゆくて好きです。山田ユギ『太陽の下で笑え。』にもこの名のキャラがいたような。
 結末、攻めはあんな偉そうなこと言っといて、結局調教したいのか?と、ちょっと不満だったのだけれど、でもまあこれまでの尽くしっぷりとかもあわせて考えるに、尽くすというのはMの立場的な位置に立つってことでもあると思うので、SMでは実はMが主導権を握っているよね、ということになるのかなとも思う。ちょっとややこしいけれど、この辺ちゃんと整理して論じても面白いかもしれない。BLには珍しく(批判のみにとどまらず)議論できそうなテクストかも、という気がする。

 しかし何にせよ、100年に一人の逸材による言葉ぜめ、を、文字テクストで書くだなんて、この作者はなんという剛の者なのか、はたまた無自覚な書き手なのか、とちょっと悩んだ。そのあたりの作者のモチベーションはわからないのだけれど、結果的にはこの言葉攻めはどこがそんなにすごいのか…?という気がなきにしもあらずだし、物語の中で「言葉責め」というSである必要があったのかどうかがいまいちわからない。
 まあそんなこんなで、でも面白かったからいいかな、という感じ。

 海老原由里の絵は顔とかは好きなのだけれど人体、というか裸体があんまりうまくない気がした。

2007年08月13日

池戸裕子『ご主人様の秘密の恋人』

 広告代理店の同期、イケメンで才能あるプランナー×かわいい系営業。
 研修の終りに告白されて、つい下僕扱いでよければいいよ、とか言っちゃう受け。数年間ご主人様と下僕の関係できたものの、あるプロジェクトで同じチームになり、攻めがチームリーダーに。

 どうもご主人様と下僕の関係に必然性がないというか唐突だし、いきなりそんなこと言い出す受けはただの甘ったれってことなのかもしれないが、下僕体質に染まっちゃう攻めの気持ちもよくわからない。展開も王道でもなく面白みも無く、微妙。後半の会社を起こす話もなんだかいまいち面白くなかった。

2007年08月14日

秀香穂里『ノンフィクションで感じたい』

 週刊誌編集者×恋愛小説家。
 学生時代の恋人同士、もともとゲイだった受けから告白して付き合ったものの、お前の気持ちが重いと言われてふられ、数年後に仕事の依頼の形で再会。週刊雑誌で三人の作家の連載を競作し、人気投票で一位になったら映画化という厳しい企画でベッドシーンとかも入れて欲しいとか言われ、最初は断ろうとするものの、きれいなロマンスばかり書いてる作風に行き詰まりを感じてたこともあって、売り言葉に買い言葉みたいな感じで攻めを挑発、きわどいシーンを書くために自分を抱いてみろ、とか言ったら攻めが受けてたっちゃって云々。ちなみに攻めは薬指に指輪が。

 全体に展開はベタだけどわかりやすく然程無理なく、わりと面白く読めたと思う。
 個人的にネックだったのが、受けの書く小説が恋愛小説ってとこだろうか。現代の恋愛小説ってほとんど読まないから。受けの書くストーリー(不倫もの)が筋だけだけどかなり書き込まれてて、それに対してそれってスゴイのか…?面白いのか…?とか思ってしまって、そう感じちゃうと物語自体に距離を置いてみてしまうし。あと、作家としての葛藤みたいのもちと微妙だったかも。これも感じ方は人によって違いそうだけれど。
 攻めはちょっと、過去との性格の違いとか、受けへの感情の違いとかがややわかりづらかった、あと、どうしてそういうふうに変化したのかもよくわかんない。過去の攻めと今の攻めとが微妙に連続性を感じなくって、そのせいで恋愛成就のカタルシスが足りない気もした。別れたときの重かった、って言葉を翻さないというか、再解釈はしないわけだし、そこがかわんない上で二人の関係性はどう再構築できたのか、がよくわかんない。再構築でなく、ただの構築に見えたというか。

西炯子『ひらひらひゅ~ん』1

 ウイングスは微BLが多いし、こういう表紙梗概だとそれっぽいし、微BLだといまいち消化不良なことが多い気がするので、ちょっと迷ったけれど読んでみたら面白かった。
 高校弓道部群像なのだが、微BLな話も男女の話も友情ものもあって、それぞれに面白い。こういう田舎ののどかなほのぼの系少女漫画は好きだ。
 小姑と美少女のお話とか好き。
 部長と後輩くんもなんだかんだと一緒にいるのがおかしくて好き(でも今後の関係の進展に期待はしないでおこう…

2007年08月15日

鈴木ツタ『この世異聞其ノ2』

 どうもやはり相性があわないのか。
 二人ともに心情がよくわからず、特になぜ惹かれあっているのかがよくわかんない。なぜ、はないのかもしれないが…。
 あと設定については明かされ始めたけれど、セツ=森羅がなぜあの家系にしばられることになったか、が明かされるということはつまり、昭がセツのただ一人の特別、ではなくなってしまうということなのかも…とも思った。

『Lady Bird Girl』

 ツタヤのアコギ用ピックが欲しかったのだけれど、三軒もまわったのに買えなかった…(涙

 #1「Ladybird girl」
 ライブで最初に聴いた時にはあんまりいいと思わなかったんだけど、今はかなりいいと思う。タイトルとPVどおり、キュートでキッチュで、ピロウズらしいセンチメンタルさもあって、でも微妙に地味で(笑、すごくピロウズらしい曲だと思う。
 しかし、もう散々聴きこんでしまっているので、特に改めての感想は浮かばない…(笑

 #2「And Hello!」
 これまたピロウズらしいロックというか、ピロウズのカップリングらしい曲というか(笑。地味だけどカッコいいなあ。

2007年08月16日

水無月さらら『社長椅子におかけなさい』

 クールエリート秘書×ぼんやりキュート社長。
 父の老舗カバン会社で職人の修行をしていた妾腹の次男が、父がたおれて長男が出奔したため社長になることになりました。専務の息子でむかし憧れてた家庭教師のせんせい、が有名広告代理店をやめて秘書になってくれるそうです。

 ぼんやりだけど実は能力のある受けは、かなりぼんやりでせんせいとか平仮名だし(笑、でもがんばってるしそれが徒労でなくきちんと報われてく感じでいい。
 秘書の傲慢ぽいところとか、受けを甘く見てたと気づいて焦るあたりとか、キャラがたってていいです。一歩間違えばイヤなキャラなんだろうけれどそうはならないのは、受けが中学生、自分が大学生の頃から受けにかなりメロってて、クールによそおいつつ実はドキドキ、な内心がかかれてて可愛気あるからかな。視点も二人等分くらいで攻め視点が大目なんだけどそれがちょうどいい。

 あと、こういう会社ものって、会社員ではない読者もアチャーと思うようなのと、ほんとは実体と掛け離れているのかもしれないけど読者をうまくだましてくれるのとあるけれど、この作者の会社描写は個人的には後者で、読んでてひっかかりがあんまりない気がする。まあわたしも会社員じゃないからわかんないけどね。ただ、攻めの思い浮かべてるコピーはちょっとどうかと思うようなのが多かった、気がする…(笑

剛しいら『仇なれども』

 江戸末期、某藩藩校の上級生×下級生→明治初期、念弟の腹違いの兄=家老の息子を殺害し、脱藩、風来坊?×家老の妾腹から嫡男へ、海軍少尉。

 義兄弟ものって、どうもうつくしくしようとすると悲恋になりそうだし、現実的にしようとすると元服して友人同士になっちゃうとか言う実も蓋もないことになりそうだし、ってことであんまり好きじゃなかったんだけど、この作品はBLだしハピーエンド…だよね?とちょっとどきどきしながら読んだら、大丈夫でした(笑。ちょっとご都合主義のきらいも勿論あるけれど、それでもご都合主義は最低限に、うまくハピーエンドにしてくれたという印象。
 あと、受け視点だけでつづられてたらかなりしんどい話になってた気がするので、攻め視点と半々くらいでよかった。

 お話はそれほど奇を衒ったような展開はないけれど、丁寧に語られてたと思うしとても面白かった。江戸から明治へかけての二人と、周囲の人々も含めて、しっかりした物語だった。
 ただ、文体の問題なんだけど、時折大局的な視点(国家がこういう状況なんだよ、とか)や時代性を露出させる視点(この時代においてはこうなんだ、とか)が、なんというか素朴に挿入されちゃってて、興がそがれてしまう。もっとキャラによりそってしまって、説明は最低限にしてしまってもよかったのではなかろうか。キャラに即した物語や語りがうまく面白かっただけに、時折現れるこういう異質な部分がより気になった。

 攻めはしっかりしたお兄さんでカコよくて、でもちょっとダメなとこもあって(笑、可愛げがあっていい。しかし攻めはずっと逃げるつもりだったのかなあ。なんか、逃げるという行為の動機付けが(事件当初はともかく、落ち着いてからは)わかりづらかった。受けのまっとうな人生のために、って思ってたんだっけ、確か。もうちょっと説明があってもよかった気もする。
 一方、受けは結構万能選手なんだよなあ。攻めに瑕疵というか可愛げがあるからよけいそう思うのかも。攻めも思っていたように、三つも上で藩校随一の攻めにひけをとらないというのはスゴイことだろうなあ。すごい強い人って感じで、だからこそ最後のほうの甘えっぷりがかわいかった。

 今市子の絵が美しい~。

2007年08月17日

杏野朝水『甘える予感』

 高校時代からの友人、大きめ企業社長の三男・受けの店のオーナー×リラクゼーションサロンの店長。
 仕事一筋の受けが大好きな攻めは、友人でもいいからと体の関係をつくったり。攻めの縁談のうわさに受けが初めて動揺したり。

 お前は友達、とかいって牽制してるくせにごはんつくらせたりして至れり尽くせりな受けに違和感があって、攻めを利用してるのに罪悪感はないのか…とか。一方の攻めは、そこまでしてしまうということはよほど受けにメロメロなんだろうけど、攻め視点がないせいもあって、こっちはなんか作り物のキャラって感じだった。
 後編とかも、自分はもうちゃんと攻めのこと好きになったのに信用してくれない!とか怒ってるけど、そんなんちゃんと攻めに気持ちを示してないのに伝わるわけないじゃないか。
 ということで、なんだか自分勝手すぎる受けと、都合の良すぎてAIみたいな攻め、という感じだった。

一日目。

 …平日のサークル参加ってあたし初めてだったっけ。電車が…通勤電車にピギーバッグなんて持ち込んでごめんなさい…(涙。次から気をつけます。

 そんなわけでいちきました。
 なんだかとっても暑そうだなあと、酷暑対策に凍らせたペットに保冷剤してったら全然溶けなくて困った。食べ物も痛みそうだったから、燃料系(笑)のカロリーメイトみたいなのしか持っていかなくって、ちょっと淋しいふんいき。でも、確かに暑かったけど、予想してたほどには暑くなかったかも。なんか、もっとこう、座ってるだけで体調悪くなるくらい暑いんじゃ、とか予想して戦々恐々としてたので、そこまでではなかったって感じ。それでも三十度はよゆうで超えてたと思うが。あれか。亜熱帯か、日本。
 台湾人のまいごの方がいたらしく、普通語で放送がかかってて、コミケで外国語でのアナウンスってあたしははじめて聴いたのでびっくりした。なんか二度ほどかかってたけど、大丈夫だったのかな。

 んで、明日も別ジャンルでサークル参加です。

2007年08月18日

二日目。

 というわけで二日目。

 今日はマリィさんと一緒にサークルでした。
 正直新刊が一冊も売れなかったらどうしようかと思ってましたが(笑、ドのつくマイナーキャラ本だったもので)まあそこそこに。マイナー好きの皆さん(なのか?)ありがとうございます、という心境でした。
 お買い物は、おお振りバブルの大混乱についていけず、ほとんどまわらずに退却しました…。群集の中を歩かない!
 それにしても、二日連続サークル参加で身体はもつのか…と心配してもいましたが、今日はわりと涼しい一日で意想外に快適でした(でもたぶん気温的にはそうすごく低いわけでもないのだろうな。これまでの異様な暑さと比べて涼しく感じるんだろうな。という予感)。
 そんなわけで、体力温存しつつ三日目参戦か…?と、思いきや。夕方から仕事ですよ!何てこった。

 ああぁ超、つかれた…。

2007年08月20日

秀香穂里『俺を飼ってくれ』

 有名実力派俳優×劇団員。
 受けはルックスはよく才能もあるものの、稽古をしない、女にだらしないろくでなし。一度関係した劇団の同僚に妊娠を告げられ脅迫され、オークションに身売り、攻めに落札される。攻めのマンションで家事をしつつご奉仕の生活へ。

 飼い犬生活の質も描写もヌルかったのでいやな予感がしたのだが、ある意味予想通りのオチ…これはないでしょ…。そもそもご主人様と飼い犬、をウリっぽくみせながら、いくらその関係性が本質ではないからといって、ヌルいってのは、羊頭狗肉もいいとこじゃないか。
 そしてウラの事実が明かされても、その裏事情がぜんぜん面白みが無いし、人間関係も展開も無理だらけ。
 主役二人にしても、攻めはどのあたりからどうして受けに惚れたのか全然わかんないし、受けは受けでいーかげんなだらしない性格と、攻めへの憧れと、攻めへの微妙な素直さ加減がぜんぶしっくりこなくてキャラたってないなあ、という感じ。
 ということで、全般的にゆるいお話だったなあという印象。

三日目とか。

 そんなわけで、三日目はいちばん暑くてたいへんでございました。
 夏コミだなーって感じだった。
 そして、お昼ごろから行ったらちんつぶが買えなかったのは大ショックでした。
 また、ごとうしのぶの新刊が…なんてこったい。あんなとこで切れてるなんて。
 あと、これは二日目に購入したのだけれど、一之瀬綾子のスタンバイ番外…なんか、本編でアレ?と思ってたことがみんな裏設定だったのだな、と…。梁の髪は天パだったのね、とか…。一輝と慎の髪型似てるな、とか…。
 コミケ後は某君とかと会ったり、マリィさんと先輩さんと会ったりしました。楽しかった。

 さて、明日から泊まりで出張にいちきます。
 マヨイガの更新は出来るかもしれないし、出来ないかもしれない。出来ればしたいです。

2007年08月24日

出張中。

 なんかすごいヒマなんで、ブログの更新でもすればいいんですが、のんびりだらだら何もしないでいたらあっとゆーまに時間がたってました…!あわわ。
 というか、基本的にすることは何もないので、全く変な仕事です。ああは言ったものの、やっぱり本読んだりもしてます(笑。だってヒマなのだもの…。

 そんなわけでそろそろちょっと本の感想でも書きますかね。

2007年08月26日

秀香穂里『夜情にゆだねて』

 年下の板長さん×金沢の温泉旅館の若旦那。
 男子校勤務の兄が受け持ち生徒と駆け落ち、父が病気で倒れ、不実な彼氏の結婚もあって、出版社を辞して実家に帰った受け。ぼんやりさんでご飯にもあんまり興味がなくて板さんにうとまれ怒られるが、なんとか頑張ってるうちに板さんとも打ち解けてくる。そんな中元カレのホテルグループ御曹司がやってきてクスリつかわれたり金沢にホテル出すとかゆったり云々。

 なんか微妙だった。なんだろー。板さんに惚れてく過程があんまり丁寧書かれてないのと、板さんの気持ちがやっぱり描写がうすくてよくわかんないせいかなあ。いずれにしても、心理面の描写が物足りなかった感じ。
 金沢といったら泉鏡花、とか出てくるのでなんかいろいろ期待してしまった。鏡花差し色にしたBLとかあったらいいのに(笑

2007年08月27日

榊花月『冷ややかな熱情』

 なんか裏表紙の梗概とはちょっと内容が違っていたような…。

 リーマンの後輩×先輩。
 冷たく不遜なヤなやつだけど、カッコいいのでもててる攻めに、受けはゲイであることを見抜かれて、自分もゲイだと明かされる。むりやり預からされたネコを逃がしてしまったことをきっかけに、攻めの好きなときに好きなようにされるような関係になってしまい云々。

 どうも受けが受け身すぎるというか、基本超受け身でぐだぐだ悩んでるのに、時折ふっと先へ進むので、なんだかどんな人なのかよくわからなかった。もともとタチという設定とか面白かったけど、活きてなかったかんじ。
 攻めは…尊大な攻めは好きだが…だがしかし。受けを本気で殴るわイ○○○○するわ、クールにてっしておいて元カレに動揺しまくりだわ、いいとこないというか、そこまで尊大な態度とっておいて、最後にいきなりかわいげ見せられてもなあ。ほんとに受け好きだったの?と、納得がいかない。
 お話も、受けの初恋相手とか、攻めの先輩とか、みょうにキャラが多いわりにうまく機能してない気がした。なんだかなあ。

剛しいら『蜜と罪』

 弁護士×依頼人。
 老人の養子になって巨額の遺産を相続し、親族に訴えられた受け。美形の依頼人なら男女とわずにいただいてしまう攻めは、受けにハマりこんでいくものの、状況をみていくとなんか受けもあやしいぞ?と思われ云々。

 設定はすごくいいと思うし、事件にまつわる筋も結構面白かった。んだけれど、結局よくわかんなかったなあ、という印象。特に受けはよくわかんなかった。読解力が足りないのだろうか。
 回文大好きの攻め、は、…なんかやっぱちょっとついていけなかったかも。なんとなく、『愛を食べても』を思い出した。ぶっとんだキャラつながりかな。

魚谷しおり『傲慢な恋人』

 リーマンわんこ後輩×傲慢美形先輩。
 出張の際にほだされて寝てしまったらわんこになつかれてしまいまして、云々。

 王道というよりはありきたりなわんこ×ツンデレものという感じ。特に面白いとこもなかったというか、物語りがこなれてなかったなあという感じ。
 わんこのブチ切れとかも唐突というか、そもそもわんこぶりもブチ切れぶりも、表面的というか、設定で動いてた印象。一方の受けも、なんで攻めに惹かれたのかとかよくわからなかった。

2007年08月31日

今市子『幻月楼奇譚』2

 結構早く出たような気もするけど多分気のせい、な、味噌屋の若旦那×メガネ幇間二巻目。

 しかしやはり随分時間がたっていたのか、設定忘れ気味…幇間の過去話とか…どんなんだっけか。

 このシリーズが好きなのは、若旦那がひょうひょうとしつつ幇間にマジっぽいからだと思うのだけれど、今回は幇間の側からもマジっぽいリアクションがあって面白かった。夜中に口をおさえるとことか。しかし女性へのマジ話もあったので、幇間の若旦那への気持ちとかはそろそろじっくり書いて欲しい気もした。

こたにみや『侵入者は愛をささやく』

 「ONE LOVE」というシリーズの二作目だそうです。某グループ御曹司でシステム系会社社長×金髪のウリ専のこ。

 二丁目で無理矢理営業してきたので寝てみたウリ専のこが、自分の財産や肩書きに無頓着に自然体なので惹かれてく攻め。一方会社では自分専用の秘密回線に侵入してくるものの、ただ自分をからかって帰るだけのハッカーにほんろうされる攻め。

 もうタネはミエミエなので、どう落とすのか、が注目ポイントだったのだけれど、クライマックス前半が結構シビアめな展開で、受けは自分がだましといて逆上するんじゃあ…とか、だまされた攻めがブチ切れるんじゃあ…とか思ってたら、あっけらかんとしたオチで拍子抜けしつつもむしろそれがよかった。受けは悪いこだがそれがいい、ということでもある。攻めも不器用でいい。

 気になったこととしては、スーパーハカー…は、「笑い声を打ち込んできた」って、もしかして草でも生やしてんですかねwwwwwwwwww、とか…。回線切ったらハカーがたちあげたプロンプトのウインドウが消えるのはアリなのだろうか。あと、攻めはそこそこっぽいホテルのレストランで、食事が来る前に煙草を吸うのもどうだろう。

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