« 2009年01月 | メイン | 2009年03月 »

2009年02月01日

小畑健・大場つぐみ『バクマン。』1

 …いや、風邪をひいたのは、バクマンがつまらなかったせいでは?

 いやマジで、バクマン読んだ次の日からめっさ具合悪かった。ほんと。

 漫画を題材にしたメタ漫画はすごくすきなので、大場小畑なので、男子コンビだそうなので、たのしみにしていたのですが、ガッカリな出来でした…。

 なんかなー、主役二人のキャラに魅力感じないし、ていうかキャラいまいち立ちきってないし、片割れのお相手の女の子もなんかキャラよくわからんし、なんだこれ。
 展開的にも、恋愛話ばっかりで二人が組んで漫画描き始めるまでが長いわ、描き始めたら始めたで漫画描いてる具体的な描写がほとんどないわ、修行描写はぶいていきなり上達してるわ、もうぜんぜんあたしの萌えツボをついてくんないの。

 なんだかなー。世間的人気はあるのかなー。これから面白くなるのかなー。

2009年02月04日

語シスコ『超天国 ドヘブン』

 何と言いますか、あああたしはこれからも語シスコの新刊買ってはがっかりということを何度でも繰り返すのだろうなあ、というのが感想なのですよ。

 表題作は小デブ系オタク家電量販店の販売員×オレさまアイドル俳優。それはいいんだが、オタクのデザインが定まらず、ふつうの攻め顔になったりデブになったりで、なんとも想像しづらくキャラがたってない感じ。あまりキャラデザにいろんなパターンのある作家ではないので、こういう攻めはいろいろ無理があるのではと思った。
 そして、受けはワガママすぎる。これまでだったらワガママ受けにもかなりガッチリキャラの濃い攻めがくっつくことでワガママも目立たなかったのだが、攻めがいまいち薄いので受けがなんかただムカつくだけの受けになってる気がする。
 あとがきによれば、作者はこの攻めを随分気に入っているらしいのだけれど、脳内の攻めをきっちり作品内に出しきれてないのではという印象だった。

 併載の高校生CPとその祖父の淡い恋の記憶の除霊ものは、なんかいまいち焦点がボケてる気がした。高校生CPは祖父の陰にかくれて印象うすいし、祖父についてはちょっとものたりないし。どっちのCPも中途半端な印象。

 …あたしの愛した語シスコは一体どこに行ってしまったんだ!なんか凶悪な箱が元凶か!

2009年02月06日

空知英秋『銀魂』27

 なんか何巻かとばしてる気がするんだが、あたしは銀魂はめちゃくちゃテキトウに読んでるのでまあいいかと思う。

 いろいろ面白かった。
 床屋の話が面白かった。上様がいつもながらかわいそうだ。桂と近藤は面われてたのか。なんかもうよくわからん二人だ。
 九ちゃんカワイくて好きなのでもっと出てきてほしいというか、九ちゃんがなんかオイシイ話が読みたい。
 沖田と土方の話は銀魂らしくて面白かった。沖田…。

 ところで表紙誰だっけ。

2009年02月07日

『b-Boy Phoenix』16

 変態特集、です。

 リブレにかぎらずこういうテーマアンソロなんてどんなテーマで特集くもうがほとんどがグダグダになってしまうものだろうが、それでもなお、という希望を棄てきれない。もしかしたら超ステキな変態漫画に、もしかしたら出会えるかもしれない、という可能性が一ミリでもあるのならば、あたしは荒野を目指そうッ!

 だからグダグダだったけど文句言わないよ…。

 うーん、執筆陣見てもいまいちそうだったけど、それでも大和名瀬がクレジットされてたので、いちまつのきたいをもってみたのですけど、やっぱりダメでしたね。

 大和名瀬の勘違い変な人攻めは、変態というには弱い。
 女装プレイ、事件で第三者がからむとか縛ったりアロマ持ち込んだりはほんの一時的なアブノーマルプレイという感じで、まったくもって変態という感じではない。
 他にも性欲過多受け、ワガママ攻め、M攻めとかもなんだかな。SMとかって変態のくくりだろうと言われればそうなのかもしれないが、SMとか別に特集されるようなジャンルでもあるし、せっかくこんな特集なのならもっと変ったの読みたいよ。

 一方受けがガタイのいいパンスト好き攻めと、文字フェチリーマンと、臭いフェチ高校生のは面白かった。

 次回はお仕置き特集で、また本仁戻が描くそうなので買わなきゃです。ていうか、数号前の鬼畜特集にも書いてたみたいなので買わなきゃです。

2009年02月08日

佳門サエコ『ネコ★また』

 ねこまたのせいで気になってる同級生に襲い受けしたりなんだり。

 なんか、絵もお話もあまりこなれていない印象。
 つーか表紙から、もっとねこが横恋慕的なお話だと期待してたのに…。という感じでした。

---
 しかしあれですね、あたしってもしかして人化ケモノ攻め好きみたいですね。

リンクありがとうございましたv

 そういえば昨日街で、どう控えめに聴いてもピロウズのadviceのサビパクリだよね?というガールポップを聴いたのだけれど…や、ニルヴァーナ→adviceってノリではなく、サビのメロディがそのまんまだったんだけれど。I want to see...のとこから、Everyone told me...のメロまで、そのまんま。もしかして、むしろリメイクかも。あれ誰の歌だったんだろう。

 萌えプレさんの「2008年ボーイズラブ総括記事リンク集&ちょっぴり集計」で、2008上半期・BLコミックベスト102008下半期・BLコミックベスト102008・BL小説ベスト10にリンクしていただきました。ありがとうございました!

 各所のベストを集計してくださっているのが、とっても興味深いのです。
 『明日も愛してる』『きみがいなけりゃ息もできない』は積んでる…どこにいったんだろう…。『きみが』は評価高いみたいね。コミカライズはいまいちだったけれど、原作のが面白いのかな。
 『薔薇色の人生』は何度か手に取ろうとしたけれど、どうしても無理だったんだけれど…なんとかして読みたい…。『交渉人は疑わない』も読むべきなのか…。『デコイ』はすごいね。読んでみたいですね。

 コミックのほうは、大和名瀬はもうちょっとは評価されてもいいんじゃあ…と思いました(笑
 一位になっている『どうしても触れたくない』は違う作家と勘違いしてて読んでなかったので、ぜひ読んでみようと思います。

2009年02月09日

南国ばなな『キャンバスにくちづけを』

 すこし前に読んだ。
 南国ばななの初BL…!というだけで、既にッ!満足です(笑

 表題作は、自分の絵に欲情する画家×見られると興奮する高校生。大家族で顧みられず視線に高揚するようになった高校生がかわいそう受け気味なのだが、もっと徹底的にかわいそう受けだったらよかった。性格は乙女気味だし。攻めは受けの身体に絵を描いて抱くものの受け自身には興味がないド変態でよかった。最後は折れたけど…まあ、そうでなくてはお話にならないのだが…個人的には攻めド変態のままで攻めも受けもハピーエンドというのが最上級の理想だ。
 調律師×チェンバロ奏者は調律師が変態なのだがお話が短くて不完全燃焼気味。
 バスで見かける高校生を勝手にご主人様認定して勝手につくすリーマン…は、こうしてあらためて文字にしてみるとド変態だなあ。
 狐の面の少年に犯される少年の話もいまいち不完全燃焼気味。

 こうして振り返ってみると、攻めが変態ばかりであたし好みなのだが、全般的にちょっと受けがあたしの趣味ではないかもしれない。もっと男らしい受けで読んでみたい。
 あと、やはり麗人は基本読み切りだからか、ものたりない話が多い。他の作品を見てても、この作家は連載を続けることでキャラがどんどん魅力的になっていく気がするので、連載ものを読んでみたい。

2009年02月10日

田中鈴木『アイツの大本命』2

 二巻でるの早いなあ、と思ったけれど、半分くらいは別の読み切りだった…。

 なんかぜんぜん進んでないよ。面白いけどほとんど本誌で読んでた。
 チアガールの話とか、前から思っていたんだがなんかもう吉田は二次元ではむしろかわいくね?と改めて思う。
 怖い顔のとらちんと山中の話もかわいい…どっちが受けだ???

 読み切りはカミキリガメも唐突で可笑しいけれど、いきなりサソリにさされるのも地味に可笑しいだろうと思った。

 大本命の続きがもっと読みたいです!

2009年02月11日

杉浦志保『SILVER DIAMOND』16

 そろそろ佳境でしょうか。
 三重が地味な扱いでさびしいかも。
 みんなが揃っていた最後の夜というのが不吉だけれど、このお話で誰かが死んだりというのはなさそう…と思いたい。
 千草の傷がなおらないのは、いよいよ心臓取り出し手術の話か…長い伏線だったなあ。千銀の一族はみんな同じ顔で、本当に植物なんだろうなあ。いったいどういう由来をもっているんだろう。サノメと何かかかわりがあるんだろうけれど。

高井戸あけみ『王子が愛したスパイ』

 わー!マイベスト美メガネ・三木が主人公の本ですよ!
 しかし、一冊まるまる犬山×三木なのに、ブレックファストクラブシリーズとは書かれなくなっちゃったんだなあ。なんだか淋しい…。

 化粧品会社の研究員になった三木と、なんかゲームでひと山あてたりフリーのプログラマだったり探偵会社つくって遊んでたりする犬山の話。松本と飯塚も探偵会社でバイトする大学生として登場。
 以前の『ドアトゥドア』の時も思ったけれど、やはり高校卒業してからは、つまらなくはないけれどなんか足りない感じで、やはり高校までのBFCシリーズには及ばないかなあという印象。BFC読んでない読者にはどうなんだろうなあとも思う。高校時代を知らない読者には、三木とかたんなる暴力メガネなんではなかろうか。いや、暴力メガネなんですけど。

 でもそれでもやっぱりこのシリーズすごく好きなので、また書いてくれたらうれしい。
 というか今回など、近所の書店で購入して読んだあとに、大型書店でペーパー(ネコミミ三木のミニマンガ)つきのものを見かけて、結局二冊目を購入してしまいましたよ…。BFCはなんかもう麻薬なのですよ。

2009年02月12日

鹿乃しうこ『Punch↑』2

 美男大好きダメゲイ建築家×ガテン系かつかわゆい系若者の同棲のつづき。

 困ったネコ目顔の受けがあいかわらず可愛い。
 受けの保護者気取りな友人とか受けの初恋の元ヤクザとか出てきて攻めきりきりまいまいな感じでありつつ、攻めはあいかわらずいろんないい男に目移りしつつ受け大好きな感じ。
 後半は受け初恋話の読み切りで、あたしもやはりこういうのはあまり好きではない…。
---
 過去の恋を書く作家はけっこういるけど、なんでなんだろうね。読者よりも作家のほうが生みの親な分キャラべったりで、しかしだからこそ過去に対してまで考え深くなってしまって、結果つきはなしたような客観的な過去の恋語りをするようになるんだろうか。なんか、愛が深まって一周まわって突き放した描写におちつくというのは、不思議だがなわかる気もする。なんとなく。恋人への愛がつきぬけてうちの子扱いになってしまったんだな、というか。

2009年02月13日

樋口美沙緒『愚か者の最後の恋人』

 初単行本でしょうか。すんごく面白かったです。

 古イタリアふうな架空の国、遊び人で男も女もな領主次男に、呆れていやんなりつつ仕えている東洋系の従者。従者はひょんなことから領主家につたわるホレ薬を飲んでしまい、嫌いだった次男にほれてしまう。次男はいつもツンツンな従者がめろめろなのをおもしろがって、さんざんからかったりなんだり。
 ところで、ふたりが滞在している国の領主は変わり者で、愛人の子の異母兄弟がふたり。遺産問題でもめていて、先代領主は自分の最愛の恋人の子供が現れたらすべての財産を譲渡するようにと遺言してる。その恋人が東洋系だったとかで、くだんの次男はホレ薬の解薬がほしかったら、滞在先の国の領主をおとしてみろとかなんとかかんとか。

 受けは、キライな相手にホレ薬でホレてしまい、しかし長いつきあいによる感情や事件の伏線とか、近い分だけやなとこもいいとこも知ってる関係性とか、そういうので心が乱高下しつつ動いていくありようが、目新しくていいし、また描写も丁寧なのでとてもよかった。攻めにどんどん惹かれてしまう様子も、でも東洋系であることとか母に捨てられた過去とかのために意地を張らざるを得ない様子も、いじらしくてかわいい。

 しかしというか、攻めがもうかなりどサイテーで(笑、薬に翻弄されてる受けの気持ちをぜんぜん考えず、友人の美形少年にやたら優しかったり、受けをないがしろにしたり、自分に薬でホレてる受けを利用して目的をとげようとしたりなんだり。
 あと、冒頭とかでは東洋系の受けにたいする人種差別がすごくて、後にそれはどうやら受けをからかって楽しんでるだけだとわかるのだけれど、ともあれそういう背景のために東洋系で・いつもツンツンしてしまうかわいげのない自分と、金髪碧眼の美形でかわゆい攻めのまわりの少年たちとを比較して、受けはぐるぐるするハメにおちいってるのですよ。
 なんかしかし攻めは基本悪気はないらしく、また最後にはちょっと株を上げて受けとくっつくのですが、いくら悪気ないにしても結構どうしょうもない発言行動多いよなあ…。

 でも、そういう攻めをあんまりきっちり批判してしまうとお話が破綻してしまうのだろう、BLとしては(破綻させて破格なお話つくっても面白そうだけど、かなりの力業がいりそう。
 だから受けも攻めにたいしてあんまり理論づめで反抗とかしないし、結局物語の論理自体も攻めを許容してしまうし、まあなんというか、攻めはもうちょっとくらいは責められてもいいんではないかと、ちょっとイライラする感じなのです。

 とはいえ、全般には面白かったです。上述のイライラもふくめて、キャラ描写はこってりしっかりなされてたし、そもそもちょっとミステリふくんだお話の筋自体もおもしろかった。

 こういう、いろんなキャラやそれに付随する物語がいっぱい織り込まれてるお話にはよくあるように、何か忘れてないっけ、という物足りなさは残る。でもそれはモチーフが多いせいなので、どんなにうまく構成されててもある程度の物足りなさは残るんだろうなあという気がする。

 一見文句が多いのはカラーレンジャー(レベルE)のよくあるパターンなのですよ。

2009年02月15日

名倉和希『恋愛記憶証明』

 二五歳金持ち家息子。ある日目覚めたら精神科医が、五年分の記憶消したから、三人の知人の中から彼氏だった男をあててみ、とか無茶苦茶なのです。どうやら、彼氏が変わらぬ愛とか信じられないと言うので、記憶をなくしてもかわらず好きだって証明してやんよ!ということで、自分で望んで記憶を消してもらったらしいので、休暇の一月の間に彼氏を見つけなければならんのです。

 おもしろげな設定なのだが、しょっぱなからああこの人が彼氏だろうなとミエミエで、ていうか表紙からしてそうかなって感じだもんなあ。もうちょっとかくしておいてほしかった。

 ていうか、彼氏もその他の候補者も描写がうすくてパーソナリティが見えてこず、だから彼氏捜しの面白みも切実さもあんまり感じない。面白い設定なのにもったいない。
 特に、彼氏については、魅力がよくわかんないからなんでだんだん惹かれていってるのかよくわからん。彼氏自身に魅力があるかどうかという問題ではなく、主人公の恋心は記憶を操作しても消えなかったよ!というだけの描写なのだろうか。だとしても、やっぱり結局感情移入できない描写だということになるんだが。

 その後のふたりがちょっぴり書かれているのだが、このお話はそれプラス過去の二人も書いて欲しかった。本編は特殊設定のギミックを中心としたお話なので、彼氏も主人公も性格や魅力の描写がたりなくて、恋愛物語としてはすごく物足りないから、過去篇を書いて補完してほしかった。
 あと本編でも、彼氏視点の、主語をぼやかした語りとか入れたらもっと面白くなったんではと思う。
 設定は面白いのに人物も物語もちょっと薄い印象だったがら、そういう重層性をつくることでもっと面白くなったんじゃないかなあと思う。

2009年02月16日

立野真琴『今宵は君と血のキスを』

 フラッシュメモリが壊れて泣きそうです。買ってからそんなに経っていないのに。

 花屋さんのバイトで花をとどけにいった洋館で、ヴァンプ三美形に出会って中のひとりに執着されるのですが実は前世からの因縁があり。

 こうして書いてみると結構ありがち系ですね。ファンタジーとしてもBLとしてもわりとありがちなのですよ。まあ、そんな感じで可もなく不可もない、そんな生活です。
 別のヴァンプ×なぜか記憶操作をうけつけない図書館司書は、結構ぶっとんでるけどまあファンタジー要素とかはやはりありがちなのです。

2009年02月18日

門地かおり『恋姫』『花のある生活』

 あたしはおそらく活字中毒の一種なのだろうとも思うのですが、なんかちがう気もするのです。しかし、コミックも活字中毒に入るのかどうか…とか悩む時が来るとは、「活字中毒」という言葉を考えた人も予想だにしなかったことであろう。

 やはりあたしはハッピーエンドが好きだ、と再確認した一冊。
 モテモテふらふら浮気者な劇作家←女形。舞台上では白玉という名でちょう美人女形でならしてるけど、化粧おとすとふつうの男性な女形は、ながらく作家に片思い中。作家は結婚離婚複数回で、なんか男に興味が出てきたっぽいので、女形はチャンスと思って寝てみるものの、云々。
 この世界に入ったときには既にBL全盛期だったこともあり、アンハッピーエンドって、JUNEっぽい気がするのです、なんとなく。
 まあアンハッピーエンドですが、同人誌分あわせて後日談が二本収録されてて、そんなに不幸せでも一方通行でもない未来は暗示されてるけど。
 作家の浮気性というかあきっぽさの理由は、女形本人ではなく白玉が作家の理想だからで、白玉を追い求めてるから二人とも幸せになれないんだな、というのがそれとははっきり書かれてはいないけれどわかるので、このあたりのそこはかとない描写はなかなかいいなあと思った。

 表題作シリーズは、スキー部エースのイケメンモテ男がちょっと変態→天然鈍感鈍くさい後輩で、後輩がにぶくて全然気づいてない頃は『生徒会長に忠告』ぽくてすごく面白かった。にぶちんのままだったらよかったのに(笑。
 ほかの短編は黒くて、あんまり幸せでなかったりして、ちょっといまひとつ好きにはなれなかった。弟の友人にされてしまう話はさいごちょっと光明が見えてたけど、野球選手の話はほんと相手が全然わからなくて怖い感じ。

2009年02月19日

えすとえむ『キネイン!』

 この作家の書くようなオサレ漫画というジャンル(と、あえて言う)の作品は、いっこも萌えないというか、萌え以前にぜんぜん面白くない作品が多いので、いつも読むのを躊躇し、読んでみてもやっぱりガッカリしてしまうことが多いのだが、今回もいつものパターンでした…。

 なんでだろうか、と思うに、こう、キャラの奥行きがない気がするのです。
 言い換えれば、代替のきくキャラというか。個性がないというのともちょっとちがうのだけれど、おなじ設定のキャラだったら、この役はだれでもいいんでないの、という感じというか。役作りしてないイケメン俳優がわんさか出てくる感じというか。
 キャラが代替がきくように見えるから、恋愛というか関係性にもぜんぜん必然性を感じない。

 BLの萌えって、たぶんキャラとキャラとの関係性に生じるものだと思うのですよ。
 たとえば。メガネ萌え、というのは一見記号萌えに見えるし、メガネイコールエリート美形ツンデレ受け/ドSイケメンエグゼ攻め萌え、という連想も記号萌えに見える。でもやっぱり、エリート美形ツンデレ受けは精神的ないしは外見的にパワーある攻めに攻められるものであり、ドSイケメンエグゼ攻めはかわいい/きれいな受けをうりうりいじめてかわいがるものである、という暗黙の関係性萌えもふくんでいると思うのですよ。美形メガネ単体で萌えてるのだとしたら、それはただたんにイケメンメガネがすきなだけであって、別にBLの枠内でやらなくてもいいはずだし。 

 で、表題作とか、幼なじみで微妙な距離感、というとこるまではわかるんだけど、たとえば描かれてない部分で、このあと二人がどういう会話すんのかとかぜんぜん想像できないし、しようとも思えない。これまでの二人も未来の二人も、想像できない。だから、なんでその相手でなければならないのかがぜんぜんわからない。勿論、描かないことそれ自体が問題なんではなくて、想像させられないことが問題なんだけど。
 そんなぺらぺらなキャラたちだから、感情移入もできないし、関係性も想像できない以上萌えないし面白みも感じられない。

 もちろんそういう部分を想像力で補完して楽しむ読者もいるだろうし、そういう読者たちからはあたしのような読者は想像力の欠如した気の毒なひとに見えるのかもしれない。しかし「理想の読者」を必須とする作品てどうよ?とも思う。

 ところで、表題作は絶対あれだよな…と思ってたらやっぱりあれだった。高校生三人で映画見に行くと安くなるおキャンペーンの三人組…たしかにあれはかわいいけれどね。

 つーかさ。つまり、作品自体の感想ほとんどないじゃんね。

2009年02月21日

小椋ムク『ふるえる夜のひみつごと』

 短編集なのですが、全般的に面白くなかった…。くそう。

 表題作のシリーズは、かわいい男子と寮で同室になるも、かわいがられるのがいやらしくつっぱって頑張ってるのだが、トラウマで暗いのがダメらしくて云々とか。ふたりのトラウマ話がお話的にあんまり活かしきれないまま終わってるかんじ。あといくら小さくても、男子で148センチって相当ちいさいし、たぶん外見は小学生みたいになるぞ。女子基準で考えてないか。

 公園で見かける人との交流話とか、ちょっとへんなキャラは面白いけれどそれだけという感じで、薄味。
 メガネマジメ高校生とチャラ後輩が屋上で交流して恋愛感情持つ話は、不器用先輩が面白いけど話の展開はあまりおもしろくないしいまいち。黒髪メガネが歌ってるのを聞いてしまう出会いとか『同級生』に似てないか。どっちが初出早いんだろう(でも同級生も元ネタあるみたいね、アマゾンヌのレビューによると。
 先生とわけあり生徒の話は、長いわりにあまり印象に残らなかった。

 全体的に雰囲気漫画だなあという感じ。面白いキャラもいるけど、キャラとか設定とかでひっぱってるだけって感じでもう少しお話の構成を面白くつくってほしい。

2009年02月22日

夜光花『凍る月 ~灰色の衝動~』

 過去の記事で画像が表示されなくなっていたのをブログパーツで補正しましたv
 J庭の新刊がちょうマズイですv終わりそうにありませんv

 獣人×その餌の三巻目。
 英国に帰っていた攻めがなんか餌の女の子つれてきて契約したとか言ったり、街に出た受けが親切な男の人と知り合ったりなんだり。
 相変わらずなので面白かった。

 受けはちょっと危機感が足りないのは相変わらずか。でも成人するまでずっと閉じ込められてたんだよねそういえば。外が見たいのも考えが甘いのも仕方がないかと。
 しかし面うちはなんか半端な設定になっちゃったね。いい加減ぽい性格に見えてしまうし、ないほうがよかった設定かも。

 攻めはなんであんなとんちんかんなんだー。女の子と契約したとかって平気で言って、自分だって受けが一時親友と契約したらめっさ傷ついていたじゃないか。なんでわかんないんだ。受けとの契約が続行中だから、別にかりそめの契約だから、とかそんな感じか。でも人格というか性格というかに問題があるのは不器用だからなので、いい攻めです。

 街で出会った親切なお兄さんはやっぱりなオチで、それでも最後に受けと一緒にバスに乗るのがなんだかよかった。

2009年02月23日

山本小鉄子『ほんと野獣』2

 どれくらい忙しいのかちょっと具体的に説明してみると、もしもあたしがジョルノ・ジョバァーナだったら、普段「忙しい?おまえが忙しいことがオレに何の関係があるんだ?」とかゆってるアバッキオが、突然残業中に電話してきて「おい…スパゲティ茹ですぎたから、帰ってこいよ」とかデレだすくらい。

 真面目温厚低温警察官×かわゆいヤクザの二巻。

 あらためてヤクザが受けなのがおかしいと思った。萌えないよ!
 なんかヤクザの昔の男に低温な警官が嫉妬するとか、警官の年のはなれた弟とヤクザの交流とか、すごいベタ。人質事件とか交通事故とか数時代さかのぼったかんじでベタ。
 というわけでCPもお話もあんまり面白くなかった。

2009年02月26日

パランプセストのこと。

 もきー。
 しごとは半分くらい終わったけれど、つまりまだ半分くらい残ってる。
 あと家探しもしてる。

 そんなわけで、間に合うのかしら、と思いつつ新刊に向けて作業中です。

 今書いてる不敬罪(ところでこの言葉はマリィさんに倣っている)のお話は、昔書いた文学者FT(もちろん健全な)の焼き直しなのです。しかしこれがまた今思い返しても顔から火が出るようなトンデモないFT設定なのですが、それをまた書きなおすあたりあたしもどうかしてます。
 しかもそのお話では、帝大教授の漱石+チャイナ服少女の芥川という、トンデモが自乗になるかのような設定だったのでございます。わー。わーわー。
 今回オリジナルなお話を書こうと思ったときに、ひきだしをのぞいたらこのお話が出てきたので、BLとして焼き直すことにしたのですが、もうもうなんというか、トンデモの三乗だ。

 でもそんなわけで、最初はあんましBLぽくない感じで書き始めたのですが、ふとアレ?これ誰が読んでくれるの??こんなトンデモFTあたしだったら読むのごめんだぞ??とハッとして、FTがグダグダなら、せめてしっかりBLにするのが読んでくださる方への礼儀なのでは?とかわけのわからないことを言い出したあたりです、今。

 うん、芥川+漱石とか予告してるけど、J庭で頒布するのだから、失礼のないようにしっかり萌えを装填しなくては。

 ということで、芥川→漱石→子規(故人)な感じにおちつきそうです。

 今、便覧や教科書の作家像を思い出してウヘェと思った方のために、参考画像を。とりあえず小畑絵補正で想像おねがいします。

こころ (集英社文庫) (集英社文庫)地獄変 (集英社文庫) (集英社文庫)


 何でもいいから早く作業に戻るんだ!

九號『ACID TOWN』1

 ところでなんであたしはジョルノとアバッキオが同居してること前提なのか?とか。

 廃墟の街で暮らす少年は入院してる弟の治療費のために友人とヤクザ事務所にしのびこんでつかまって、イケメンヤクザに週一の呼び出しをうけつつ将棋の相手させられてんのはなんでなの?という感じ。

 ヤクザはまだあんまし出てこないし、よくわからん。
 主人公はなんか無意識にフェロモン出してる系なのか、友人みんなメロメロにしてる感じで、とくにいつもつるんでるメガネはマジモンらしいのだが…なんか、むくわれなさそうなメガネを見ていると、『幸村殿』を思い出すよ…。
 ほかにもダイナーのオネエ&少女の兄弟とかも主人公スキスキで、この二人はなんだかかわいい。
 ヤクザにからみたがりな顔に傷のあるチンピラが絵的かわゆい。

 しかし全般に、そう魅力的なキャラが揃っているというのでもなく、お話もヤクザ間での抗争とかあんまし惹かれる感じでもなく。いまいち求心力というか推進力に欠ける印象。
 それなのに、ルチルなので、続きが出るのは随分先というのは…しんどいのでは…。

with Ajax Amazon