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[ 読書/BLコミック ]

えすとえむ『キネイン!』

 この作家の書くようなオサレ漫画というジャンル(と、あえて言う)の作品は、いっこも萌えないというか、萌え以前にぜんぜん面白くない作品が多いので、いつも読むのを躊躇し、読んでみてもやっぱりガッカリしてしまうことが多いのだが、今回もいつものパターンでした…。

 なんでだろうか、と思うに、こう、キャラの奥行きがない気がするのです。
 言い換えれば、代替のきくキャラというか。個性がないというのともちょっとちがうのだけれど、おなじ設定のキャラだったら、この役はだれでもいいんでないの、という感じというか。役作りしてないイケメン俳優がわんさか出てくる感じというか。
 キャラが代替がきくように見えるから、恋愛というか関係性にもぜんぜん必然性を感じない。

 BLの萌えって、たぶんキャラとキャラとの関係性に生じるものだと思うのですよ。
 たとえば。メガネ萌え、というのは一見記号萌えに見えるし、メガネイコールエリート美形ツンデレ受け/ドSイケメンエグゼ攻め萌え、という連想も記号萌えに見える。でもやっぱり、エリート美形ツンデレ受けは精神的ないしは外見的にパワーある攻めに攻められるものであり、ドSイケメンエグゼ攻めはかわいい/きれいな受けをうりうりいじめてかわいがるものである、という暗黙の関係性萌えもふくんでいると思うのですよ。美形メガネ単体で萌えてるのだとしたら、それはただたんにイケメンメガネがすきなだけであって、別にBLの枠内でやらなくてもいいはずだし。 

 で、表題作とか、幼なじみで微妙な距離感、というとこるまではわかるんだけど、たとえば描かれてない部分で、このあと二人がどういう会話すんのかとかぜんぜん想像できないし、しようとも思えない。これまでの二人も未来の二人も、想像できない。だから、なんでその相手でなければならないのかがぜんぜんわからない。勿論、描かないことそれ自体が問題なんではなくて、想像させられないことが問題なんだけど。
 そんなぺらぺらなキャラたちだから、感情移入もできないし、関係性も想像できない以上萌えないし面白みも感じられない。

 もちろんそういう部分を想像力で補完して楽しむ読者もいるだろうし、そういう読者たちからはあたしのような読者は想像力の欠如した気の毒なひとに見えるのかもしれない。しかし「理想の読者」を必須とする作品てどうよ?とも思う。

 ところで、表題作は絶対あれだよな…と思ってたらやっぱりあれだった。高校生三人で映画見に行くと安くなるおキャンペーンの三人組…たしかにあれはかわいいけれどね。

 つーかさ。つまり、作品自体の感想ほとんどないじゃんね。

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