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2009年03月01日

黒娜さかき『青春ソバット』2

 そういえば長髪ぎみチャラ男と黒髪メガネってなんか多いね。CPとして既に王道。そこそこ面白かったけれど、絵とともに話も若干雑めな印象。

 白州はさー、なんで有田の寝込み襲おうとして殴られて怒っているの???
 白州がわるいよね…???
 ゲイという性癖を拒絶されたと感じている、という描写だったけど、よくわからん。それに、ゲイでなくても寝込み襲っちゃだめだよね…???
 この話も雰囲気漫画の一種だと思うんだけど、雰囲気漫画であるならなおさら、キャラ心理は丁寧に書いて欲しいよ。

 白州の仮装はとてもよろしかった。

2009年03月02日

那州雪絵『魔法使いの娘』7

 変らないクオリィティで面白かった…けど、オビに那州雪絵の最高傑作と書かれていて一瞬エーと思った。
 世間的に一番知名度があるのはまだまだまだ『グリーン・ウッド』だろうなあ。
 そしてあたしが一番すきなのは『月光』かなあ。あと、『イリュージョン・フードマスター』もかなり大好きだ。シリアスものとはまた違って、この脳天気さがとってもよい。勿論『魔法使いの娘』もすごくいいと思いますが。や、『グリーン・ウッド』もいいんですけどね。

 ヤクザ神主は妻が居たのか。
 こやた呼ぶのも兵藤呼ぶのも携帯を使うのが面白い。使い方が全然違うけど。
 お話は佳境で、初音父の話になるらしいけどけっこうしんどそうな感じ。楽しみだ。

2009年03月03日

亜樹良のりかず『恋するCUPID』

 亡き親友のゲイが幽霊になって出てきて、その頼みで彼が好きだったという男性に親友の気持ちを伝えに行って云々。
 二人が出来てしまって幽霊のこはどうするのだ、と思ったらいいこで、なんかご都合主義なラストではあるがよかった。後日談もよかった。あとがきにもあるようにこの作者っぽくないかわいいこなのだが、なんかとてもよい。
 メインCPをみていて思ったのだが、この作者の攻めはひげがあるといつも同じ人に見える気がする。

 あとは短編とかで、展開がはやくてクライマックスでの説明が多かった。

2009年03月05日

またパランプセストのこと。

 入稿しました。
 明明後日にははやくも本が出来るとは、どんな南蛮魔法なのかしら。

 J庭新刊、芥川龍之介×夏目漱石
 「パランプセスト -palimpsestes-」
 オンデマンド印刷56P、頒価未定

 明治36年、英国留学から戻った夏目金之助は、陸軍軍医監の森林太郎からある任務を任される。困惑する金之助のもとに、中国服の不可思議な青年が現われるのだが云々。

 BLで、ファンタジーです。
 芥川漱石のほかに、鴎外とか子規(故人)とか出てきます。
 ほんとは漱石一人称語りにして、一人称は「余」にしようと思ったのですが、誰も(あたしも)萌えそうになかったので思いとどまりました。

 いや、最近これのことしか書くことなくてね。

2009年03月06日

葛井美鳥『レンタル・ラヴァー』

 突然ASKAの存在を思い出し、昔見たpvとか懐かしくなって、youtubeで晴天を褒めるなら夕暮れを待てー、とか検索して動くASKAを見てたらなんだかむずむずしてきて、うおぉー!ライブのさわお!動いているさわおを見せろ!という衝動にかられた。中毒か。ポイズンロックンロールか。

 少し前に読んだ。
 表題作は真面目奥手男子がレンタル恋人のアンドロイドに恋をしてしまって、という話。ちょうど蜂郎さんマリィさんとアンドロイド萌えについて語り合った後なので、いいタイミングだった。この作者にしてはめずらしく受けがショタではなかったのでよかった。
 そして、アンドロイドが最初の借り主の女の子を記憶消去してもなぜか忘れてないというのが個人的にとてもツボな設定でした!!!あたしがSFBLがすきなのは、こういうところなのだと思う。日常はあり得ない展開は虚構として面白いし、BLだから心情は描写されるので感情移入できるし、という。

 後半はなぜか歴史物の読み切りが数編…こっちはどれもイマイチだった…薄いし。 

2009年03月09日

須貝あや『男家!!』2

 男7人兄弟が相変わらず変わりなく生活している。

 男7人で誰も彼氏彼女いなくて家族大好きで、この人たち大丈夫なのか…と妙に不安になる。
 特に、リーマンでお父さんみたいで弟たち大好きな長男とか大丈夫か。結婚しなくていいのか。弟たちをヨメに出したら燃え尽き症候群になってしまいそう。
 あと、ここの家は長兄のサラリーと次男のマンガの印税で生活しているのか。7人も何不自由なく暮らせてて、すごい金持ちぽいのだが。次男はかなり売れっ子みたいだけど、最初の頃は主婦してたし…なんか家の財産が相当あるのだろうか。
 まあ、マンガだからいいんだけどね。

 …しかし、ちょっと7人は流石に多かったんじゃあないかとも思う。

2009年03月10日

西田東『ドント・クライ・マイ・ベイビー』

 ものすごく久々の休日は、何をしたらいいのかわからなくなって戸惑ってしまいます。

 久々に西田東を読んだ。
 表題作の窓ふきバイトのノンケミュージシャン×ゲイリーマンは連作でそこそこ面白かった。短編もそれぞれにそこそこ…。突出して面白い作品はないかなあという感じ。よくもわるくも、今までの麗人コミックスとあんましかわんない。
 作家買いはしなくなってしまったけれど、つまんなくはないなあという、なんか体温の低い感想でございます。

2009年03月11日

祐也『英国式、十六夜綺談』

 もろもろをのがれて英国に暮らす、和風妖怪たちの村。そこにやってきたミステリーハンターな貴族が鬼に惚れて言い寄るも、天の邪鬼たる鬼は本心と反対のことしか言えず、云々。

 比喩ではない天の邪鬼な受けという設定は、スゴイというか、思いつかなかったというか、やっぱやるなあ松川祐里子と思ったのですが、料理の仕方はイマイチというか。
 天の邪鬼受けは素直になれない時も素直な時もあり、どっちの時も本心と逆を言うので、結果的になんかキャラが安定しないような印象。それに天の邪鬼という設定はもっとドラマチックに語ってもいいんでは。
 あと攻めの設定が派手で大げさというか、後半は攻めが人間なのにいろいろあやかしを抱え込んでる話が中心だし、もっと天の邪鬼中心に話ひっぱってもいいと思った。
 天の邪鬼大好きな猫人は攻め的外見なのにかわいくていい。
 けどとにかく、いろいろ詰め込みすぎで、天の邪鬼も猫もかわいいし面白いけどもっと使い道あるんじゃあ、って感じで、それぞれが活かしきれてなくてもったいないなあという印象だった。

2009年03月12日

青樹綛『好きな気持ち』

 この作者は安定感のある身体デッサンと不安にさせられる顔のデッサンのアンバランスさがすごいのですが、そのアンバランスさに惹かれてしまうのです。
 ので、久々の新刊を楽しみにしていたのですが、…。

 表題作はノンケ友人に恋する話なのですが、作者も後書きで書いてる通り、これBLじゃないよねえ。
 終わり方がアンハッピーだと、BLじゃなくなるんだなあと改めて感じたのでした。
 ていうか、GUSTってきっちりBLなわけじゃなかったのか、とも思った。あたしはGUST時代にはBL読みではなかったので、よく知らないのです。

2009年03月13日

みなみ遥『JUNK!BOYS』

 天然受けっこ新入生は、ひょんなことから学園のアイドルな先輩二人が秘密組織ジャンクボーイズだと知ってしまう。ジャンクボーイズは学園内の恋愛関係のもめごとを解決する組織だとかで、受けっこもそれを手伝うことに。

 ベタでライトで心が癒されます。
 受けっこは天然の一語につきます。
 秘密組織は理事長から指令受けてるとかで、生徒の恋愛沙汰に間接的にせよ首突っ込む理事長ってどんなんだーと興味津々ですが出てこなかった。
 先輩もまたベタに、スポーツ万能系先輩に、黒髪メガネのクール先輩で、またベタに受けっこを気に入って猫かわいがりなので、なんかまあいいんです。
 一冊で終りなんですかね。もうちょっと読みたかった。

2009年03月16日

紅蓮ナオミ『おしおき学園 激受編』

 今度は仕事外も忙しい。引っ越しましたが家具が何もない。

 なんとなく惰性で読んでしまった。
 悪い生徒におしおき、しかもおしおきがかなり異常、というコンセプトは常軌を逸していて面白かったのだが、次第に変態体育教師が一生徒に執着しておしおきと称した性的嫌がらせをくり返すだけになってしまったので、ただの変態サドものぽい感じ。おしおき、というなんかちょっと精神的ななんらかのアレがあるサドではない感じというか。

 ところで激受編て何なんだ。何て読むんだろう。

2009年03月17日

門地かおり『デジャブ。』

 復刊コミクス。なので、『告白の言葉のない国』の収録作品とか入っていてちょっと損をした気分。
 あとあまりショタはすきでないのですが、表題作品とかショタショタしかった。
 あと暗い話が多い…あたしは『生徒会長に忠告』を最初に読んだのでしばらく気づかなかったのだが、暗い話がデフォルトの作家なのですね、きっと。

森永あい『僕と彼女の×××』6

 お疲れ様だ。あたしも楽しかったです。

 とにかく、わー!でした。面白い。
 冒頭は修学旅行編の後半で、ついにあきらの千本木は僕のもの発言が出て、めっちゃうれしそうな千本木がカワイイィ。
 そして遂に人格入れ替わり機械の修復作業がはじまって、次巻で最終巻ぽいのだけれど、一体どうなるんでしょうね。気になるのでこれ以降はたぶん本誌を買ってしまうと思います。

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 漫画の大人買いというのは、まあコミクスまとめ買いとかもそれにあたると思いますが、あたし的には一作家・一作品のためだけに雑誌を買う、という買い方もとっても大人買いだなあと思います。

2009年03月18日

恩田陸『ネクロポリス』上、下


 久々に一般の文庫を読むと、文字のデカさに結構びっくりします。これもあまりに文字がでかいので、分量のわりにはさらりと読んだ。
 しかし…、たしかこの作家を読むのは初めてだと思うのだが…、なんかこう、つまんなくはなかったけど、なんじゃこりゃという感じの文章力と構成力とオチだった。はあ。

 ファーヴィクトリア島、通称V.ファーは、ヒガンの間死者に再会できるアナザーヒルがある島として有名なのだが、その年のヒガンの最初に殺人事件が起こり云々。
  V.ファーは英国領のような日系のような、なんかよくわからん設定で、日本と英国の歴史的関係性の設定も含めてよくわからない。わざとぼやかして書いているのだろうが、そのせいでイメージしにくい点も多い。たとえば日本ふうの名前と英国風の名前が混在してる島の人々については、外見も生活習慣もあんまり想像できない。
 日本と英国の文化が混じっているという設定は面白いが、なんか思いつきだけで書いてる印象で、だからなぜそうなったのかとか、具体的にどんなものなのかとかの奥行きが感じられない。たとえばおいなりさんをオムレツで代用とか、なんかすごいうすっぺらく感じる。実際にどうおいなりさんと住民がかかわってるかとか想像できない。
 主人公は東大院生という設定だが、よそ者で知識が少ないのは仕方ないにしても、なんかあまり頭良さそうでないかんじ。末尾ちかくのV.ファー論とかちょっと寒い。
 主人公まわりの人物は、なんかやたら人数多かったけど最終的にはあのキャラはなんだったの、というキャラが多い。末尾ではラインマンとかおじさんしか出てこないせいだろうな。

 前述の文章や構成に関しては、読んでてハテナがいっぱい。
 地の文に唐突に出てくる視点人物の一人称とか、あとなんか矛盾する記述がいっぱいで気になる。
 具体的には、よみがえった死者通称お客さんは、恥ずかしがりやだからなるべく一人でいた方が会いやすいとか言ってたのに、主人公はお客さんに会いやすいみたいだから一緒にいるといいかもしれないとか、鶏が卵をちゃんと生むように防音しているのに、鶏は騒音に慣れているとか、V.ファーは昔はただのいなかの小国で顧みられていなかったといいつつ、昔はV.ファーについて記述することはタブーだったとかいうのもよくわからないし、そういう細かい矛盾をあげてくときりがない感じ。
 あと、文章そのものも校正が足りない感じ。
 オチにかんしては、V.ファーの人間がヒガンをあまり尊重しなくなってるとかいう話が唐突に出てきて、そういう伏線はもっと前からはっといてよーという感じ。そういう、V.ファーの空気みたいなのがしっかり書かれてないのだと思う。
 殺人事件のオチも面白みがないしインパクトにもかけるし、なんかあんましすっきりしない。

2009年03月21日

もう三月!?

 久しぶりというか今年はじめての日記ですが、なんだかんだやってます。
 一月から振り返ってみると、とにかく正月から既に仕事が忙しくて大変だった…あれ?それだけ?と、とりあえず、仕事も一段落ついてよかった!明日からは突発の徹夜仕事ですが!

 そんでまた引っ越しました。こんどはしばらくここに住む予定です。
 こんどの家は、魔獣の住処という名前なのです(いやほんと。その名にふさわしく、夜廊下を歩いていくと侵入者を関知してあかりが次第についていくという、いかにもラスボス戦の舞台という感じです。オラ、ワクワクしてきたぞ。
 そんでこんどは家具を買っているので、こういう折に無印とかにいくと、ふらふらといろいろ揃えたくなってしまうのですが、なんとかFrancfrancに行くまで我慢するのよ!と自制したり、してます。色の多い変な部屋にしたいです!

 そんなわけでこの春もあわただしい限りなのです。

2009年03月22日

薬丸岳『天使のナイフ』

 ミステリやサスペンスはある程度の分量を読まないと満足感がないのだけれど、しかしタネとタネあかしこそが評価の重要な要素になるので、末尾に行くまで面白いか・面白くないかがわからないのがツラいのです。なので評価の高い作品とかにまとをしぼってよみたいので、これは乱歩賞とアマゾンのレビューを信じて読んでみた。

 四年前に妻を殺した三人の犯人たちは、少年ということで罪に問われずじまいでして、審理の様子とかも知らされずに辛い思いをしましたが、今は妻の忘れ形見の娘をまもってコーヒー店のオーナーに。そんなある日、犯人の少年のひとりがコーヒー店のちかくで殺され、アリバイがないということで疑われる主人公。

 キャラ造詣があまりにわかりやすいので、犯人とかはすぐにわかってしまう。いいひととわるいひとがものすごいあからさまに分けられてるので、すごいがんばってるいいこ、とかがエクリチュールに贔屓をされてる感じでちょっと鼻につくこともある。
 そんなわけなので、お話としては背後関係の謎解きの方がメインなのかなと。しかし謎をとくときに、どの情報からひらめいたのかがわかりづらく、なので読者的にはケムにまかれたようでややカタルシスがたりない。

 あと、ミステリ以外の物語の部分では少年法の功罪が大きなテーマになってるのだけれど、作者のスタンスがいまいちわからんかった。まあ、少年法のそれこそ功罪を問いかけているのであって、作者の主張が述べられているというわけではないのだろうけれど、でもこのように少年法の功罪の影響をまともにかぶって、主人公がどう感じているのか考えているのか、というとこがあんまし深く書かれていないんだよね。妻の過去を知ったあとで、三人の少年についてどう思い返したとかの主人公の少年法にたいする気持ちがあんまし書かれてなかった気がする。

 そんなかんじで、まあそこそこ面白かったけど、キャラ贔屓っぽいのがあたしの趣味にあわないのと、全般になにかものたりない感じがのこった。

2009年03月23日

渋沢サツキ『真夜中の相棒』

 延期になってた徹夜仕事にいちきます☆

 書泉ブックタワーでBLコーナーに置かれていたのでつい買ってしまい、しばらく積んでたがどこにいったかな…と思ってたのを発掘して読んだ。

 組の金一億を持ち逃げしたヤクザの顧問会計士。自分をやるために送られてきた鉄砲玉をまるめこんで、それぞれにいろいろかかえつつ、二人での逃亡麻雀旅へ。

 麻雀はほぼ全くわからないのだけれど、お話もそこそこ面白かった。
 しかしなにしろ、絵がね、昔の本仁戻と昔の浅田弘幸を足して(上條淳士ぽくはない気がする)割ってデッサン力向上したような感じで…すごく好みです!!メガネ会計士とか、ファービラスなのです!!短髪単純ヤクザも、すごくよいのです!!

 しかし、別にまったくBL的なとこはありませんでした…。まあ、即席の相棒ながら互いへの信頼とかバッチリなぐらいで…。にしては書店もオビも、その気マンマンだったのはなぜだ…。

2009年03月24日

バックシートドッグ的に。

 最終回だけ見逃したい、半端な幕切れー
 夏にーも会いたーい

 …お疲れ様だ!

2009年03月26日

もろづみすみとも『ねがったりかなったり』

 パティスリーの先輩はいじわるばっかりするのですが、どうもゲイで自分のこと好きらしいのです。自分はゲイじゃないけどなんかセンパイ気になるし、センパイの昔の知り合いの有名パティシエとかも来たりなんだり。

 絵がかわいらしく、まつげも抒情的なのに、がっつりすね毛を描くというのはなんかちぐはぐで異様な感じをうけてしまう。そういうアンバランスさが持ち味…という気もしないし、お話的にも絵柄的にもふつーにかわいい系一直線でいいと思うんだが。

 お話はなんかノンケ攻めもゲイ受けも自分勝手な行動が目立ってる印象で、まあそういう恋愛のエゴがでちゃう部分がテーマなんだろうけど、キャラを好きにはなれないよね。雰囲気マンガ的なとこもあるので、攻めの受けへの気持ちもいまいちよくわからないというか、それはただの執着じゃないの?という印象ものこった。
 しかし、ふたりがつきあいだした頃の不安定で不安な感じとかの描写はうまいなあと思った。

2009年03月27日

いとう由貴『哀しみは雪のように』

 母や義父、妹を守るために借金のカタにロシアンマフィアに売られた受け。エロジジイになぶられ、EDのエロジジイにかわってその義理の息子=攻めに抱かれるというとんでもない日々だが、攻めは二人でがんばって幸せになろう、とかゆうので、攻めの忠告にそって受けはなんとかジジイに気に入られていく。
 ある日ジジイの隠し金庫を見せて貰った受けは、すぐさま攻めにチクり、攻めはクーデターをおこしてマフィアのトップにのぼりつめ、ジジイは心臓発作で病院に収容、そして二人は幸せに…なるわけねーだろw

 いやー、この作家いいですね。なんというか、攻めの異常性とか非道さがとってもあたし好みです。受けを縛るためにとんでもないことをする『恋の誘惑、愛の蜜』とか、記憶喪失の受けをだまくらかす『禁断の罪の果実』とか。
 とはいえ、そういうエキセントリックさは狙って書かれたものなのかどうかはいまいちわかりませんが、でもあとがきでも攻めの微妙っぷりには触れていたなあ。

 というわけで、始まりかたからトンチキだったのでちょっと心配でしたが、そして完璧面白い!神作品!とまでは言えませんが、面白かったです。

 攻めはすげー最低で、だがそれがよいのです。ほんとは実の祖父だというエロジジイ、もといボスへの執着とか確執とかも、なかなかよいかんじの背景として機能しています。
 そんな背景のために愛など知らない攻めなので、受けにどう感情移入してくのか、安直に愛を知ってしまったら陳腐にならないか、と思ったけど、この話は愛を知らない傲慢攻めが猛省してひざまづいて愛を乞う、という話ではなかったので、受けラブ!愛してる!というふうにはならないのですが、でも不満な印象はなかった気がします。受けの手を云々、という決め台詞がとってもよいのです。

 受けは家族のことを思い出すあたりとか、騙された自分が馬鹿だったみたいなかんじの心情とか、弱弱しかったり嘆いていたり恋に目がくらんでたりするだけの受けではないので、よい受けですね。受けもまた、決め台詞というか口説き文句がとってもよかったです。

 この作品で一番マズかったのは、きっとタイトルですね。
 もうね、ページの上にちいさく書かれてるタイトルが目に入ってしまうたびに、あたまの中でハマショーがオウオウうたってしまうの。もうね、萌えもしぼむというものです。
 や、内容にはよくあってるタイトルなんですけどね。

2009年03月29日

やまねあやの『クリムゾン・スペル』3

 最近微妙に遅刻ぎみなので、引っ越したせいで所要時間の感覚がつかめてないのかなあと思っていたら、部屋にいっこしかない時計が十分近くも遅れていた…。迷惑かけたみなさますみません。

 ハヴィがさらに大変なことになったりなんだり。そういえば、今まではバルドが素の状態でしたことなかったのか…!!
 というわけでお話はまあ今までの続きでそこそこ楽しめたのですが、なんだか絵が崩れ気味。白かったりデッサン微妙だったり、頭身がむちゃくちゃでかかったり…顔が小さすぎるのだろうか…。

 何巻まで続くのかなあ。

2009年03月31日

日高ショーコ『憂鬱な朝』1

 ジョルノはベックが好きなのか…。

 この作者は今一番好きな作家の一人です。
 大正子爵×家令ですよ!

 幼いころ父母をなくし、爵位をついだらなんか怖い家令がすべてをとりしきっていて、いままで宮家筋の母の影響でのんびり暮らしてたのが一転ちょうスパルタ教育がはじまりますよ。家令はもともと分家の三男なのですが、すごいやり手でもあるので、子爵は彼にみとめてもらいたくて頑張ってるのに、家令は厳しいだけではなくてなんかすごいつめたいのです。それでもがんばりる子爵はやがて学習院に進んだ頃、家令が冷たい理由たる過去の確執を知って云々。

 子爵はいっこもわるくないのに、家令につめたくされるわ、分家にも責められるわ、お話としては不条理なかわいそうさ加減なのですが、時代背景的にこうした境遇を〈生まれ〉による運命として受け入れざるを得ないので、すごく気の毒だけど仕方がない、という状況が立ち上げられています。でもそんな中でも自分のせいじゃないよ、とか言わない、素直でまっすぐに育った、すんごいよい青年なのです。一人称「ぼく」だし(笑。これは感情移入せざるをえない(笑

 家令もまた気の毒でもあるのだけれど、前述のように子爵がちょういいこなので、わかってあげて!と思ってしまう。BLなので、恋愛関係の成就がイコール子爵への理解にもなり(どれくらい理解できるのかはわからないが、すくなくとも子爵のほうでは理解された、と感じることになるだろう)、そして家令自身の幸せにもなる、わけなので、つまりはやくくっついてしまいなさい。

 絵はほんとうまいなあと思う。構図やコマの使い方をふくめた漫画絵としてとても巧い。あと微妙に足がいつもより短めな気が…これは偶然ではなく、時代物なので、そんなとこまで気をつかって描いてる、という可能性が高い気がする。

 時代やキャラの設定、その設定の使い方のうまさ、もどかしい物語、絵のうまさと、もう個人的には非の打ち所がないくらい(ただしハピーエンドでなかった場合、かわいさあまって何とやらで、この評価がすべからくひっくりかえる可能性があります。
 続きが楽しみ。

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