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2010年07月01日

橘かおる『蒼炎―secret order』

 おおぉ…苗字は漢字になったものの、ひらがな名前はつづいている…。

 ちょっと迷ってから購入した。
 イギリスでテロに巻き込まれた際に助けてくれた人は、目がやられてて顔が見られなかったけれど、声だけでも安心させてくれたので、すごく感謝してるのです。その後お世話になった縁からSPにあこがれて就職した受けは、欧州某大公国の後継者のSP任務につくのですが、彼はSPはいらんとかゆって受け一人のみならいいよとか言い出し、しかもなんか口説いてくる始末。

 実務にすぐれ、受けへの情熱的かつ一時的ではない深い愛をもった王子様×トラウマをかかえつつ職務にはげむ、誰にもなび かない美貌のSP、というベタ設定はとてもよいですし、細かいとこを気にしなければ結構面白かった。

 細かいとこというか、気になったとこもいっぱいあるんだけど。
 受けのテロ被害から攻めに会うまでが、あまりに怒涛過ぎてあれよあれよ。
 その後の展開やキャラの心情変化も、なんかわかるようでわからんような物足りないような。特に受け、それまで攻めをかわそうとしてたのに、いざそういうことになったら、PTSDを発症してたという精神面の変化はあるにしても、なんかやたら情熱的で積極的なので、ちょっとついていけなかった。あと、受けや周囲の仕事っぷりが微妙な感じ。
 受けの同僚二人や美形上司とか、なんかやたらキャラ多かったけれど、スピンオフがあるのかな。

2010年07月03日

明治カナ子『地獄行きバス』

 絵がアレでもエロが男性向けみたいでも、明治カナ子大好きーv

 表題作は、女性と結婚するからとか言い出した同棲相手に一週間の温泉旅行に連れていかれ…という話。恐ろしい攻めだな…と思ってたらさにあらずで、そのあとこのCPでのんびり日常漫画シリーズに突入したのでビックリした(笑。日常編は雑誌で読んだこともあったような気がする。この作者、こういうのもいいねえ。しかし、これがコミクスタイトルなのは、中身と違和感があるなあ…(笑。麗人コミクスは二冊目だけれど、一冊目は『惑溺趣味』だったし、こう、玄人っぽさというかつやっぽさというか、な雰囲気で揃えようという感じなのだろうか。
 攻めはのんびり包容力ありな、物に執着しない整体師で、受けは服大好きで仕事もアパレル系。ちぐはぐでだからこそひかれ合ってるって感じがよいですね。二人の指向の理由付けとか過去とかもよかった。受けが今さっきまでヤってました、って顔で帰ってくる時はでかい買い物をした証…!ってのが可笑しかった。

 もうひとつのシリーズは、両親に捨てられたショックで一人寝できない攻めが、引きとってくれた親戚の家の従弟に執着しつつ、デリヘル少年を抱き枕に…という話。
 攻めは身勝手だし、攻めに惚れちゃうデリヘル少年が気の毒だしなのだけれど、でもあたしは基本的に主人公CPぽい二人がまとまってくれたほうがうれしいので、攻め×従弟を期待しつつ読んでしまうし、でもデリヘル少年のがかわいそうだし…と悩んでしまい、こういう関係の話って、どのへんに感情移入したらいいのかわかんなくて、読んでてちょっとつかれる。『三村家の息子』とかも、途中ちょっとそんな感じだったけど、受けが子どもっぽい身勝手さを持ってたりするし、アテウマ受けみたいなスミが気の毒になってしまったし…。
 本作では結局ラストはなんかそんなこんなで、どっちがアテウマなのかーという感じで、ハッピーエンド(あたし的に)なのかなんだかよくわからんかった…。や、お話自体は面白かったんだけどね。

2010年07月05日

麻々原絵里依・遠野春日『茅島氏の優雅な生活 英国旅行編』

 茅島氏二巻!
 英国旅行編はニガテで見合い編はすきなので、熟考して、歓喜する五月→まいにち、しあわせ→お嬢様と、の順番で読みました(笑。

 英国旅行編は、けれど覚悟していたせいか、さほどヤーではなかった気がした(笑。でもやっぱり庭師が配慮たんないと思う!相手が茅島氏だからではなく、一般的に。この話はイギリス人が、茅島氏にたいしてつまらない男だから庭師が物足りなくて自分の彼と復縁考えちゃうかも…とか失礼なこと考えるとこがすきです(笑。あと、歓喜する五月というタイトルはとてもステキだ。
 まいにち、しあわせは小泉が腹黒っぽくていい(笑。こうして並べて読んでると、庭師がぜんぜん仕事をさせてもらえてない感じで気の毒になってきた(笑。
 パーティーとお嬢様と英国庭園は、加寿子さんがさっぱりしていていい。御木本がすきなのもいい(笑、しかし御木本はもうちょっとくらいかっこよく描いてあげてもよかったんでは、とは思う(笑、や、さえない人だからこそいいとは思うんだけれど。腹黒波多野に対抗して、何食わぬ顔でかなりがんばる小泉がいい。

 書き下ろし小説は小泉の話で、面白かった。採用面接はすごい茅島氏らしくて、小泉もああ納得、という感じでよかった。今まであまり小泉って書かれてないけれど、すごくしっくりきた感じ。

 しかし、コミカライズは一巻を一冊のペースでやっているようで、次(もあるんだろうけれど)で終わりか…と、ちょっともったいない感じ。
 けどコミックでは、茅島氏も庭師も出てくる話しかやらなさそうだし、それはうれしい(笑。三巻はクリスマスだっけ?楽しみー。

2010年07月08日

橘かおる『傲慢な支配者の花嫁』

 BLキーワード順列組み合わせみたいなタイトルだ。
 結婚してもお前が一番の恋人だからとかゆうアラブ皇太子と断腸の思いで別れた受け。帰国して、贋作騒動でまずいことになってる画廊の仕事にいそしんでいたら、皇太子の弟がやってきて、絵を買ってやる代わりに口説く権利をくれとかゆってくるのです。

 ややネタバレ。
 受けは、仕事のこととかいろいろ線引きしようとしてるけどなんか…微妙にgdgd気味かも。弟王子の豪勢なデートに素直に喜んでるのは素直だが、なんというか、もうちょっと質実でいてほしかった。でもいちおう画廊社長の息子だし、幼なじみの女の子とも結構いいお店いってるし、おぼっちゃんなんだろうな。
 しかし、皇太子といたしてなかった、つまり男はじめての受けが、弟王子にあっさり浴場したりするあたりはとってもファンタジー…。弟王子を気長に待たせるのかと思っていたら展開早いし(けどそれ自体は意味があったのでよかったけど)、いきなりそこまで感情が動いた受けというのもわかるようなわからんような…その後本格的に惚れたあたりとか、皇太子との比較とかもやや陳腐で、感情の動きがいまいちしっくりとこない感じもあった。
 話の展開上なのか、受けがひきずってたアテウマ皇太子があまりかっこよくないし、受けがイケメン二人の間で揺れ動く、というようななんだろう、醍醐味?はあんましなかった気がする。
 あと、事故と無理やりのあとの末尾の急展開が急すぎる。

 なんだか文句は多いけど(笑、とはいえタイトルどおりの強引支配者攻めに口説かれる恋愛物語自体はそこそこ面白かった。

2010年07月09日

今市子『幻月楼奇譚』3

 ついに三巻かー、しかしまだまだ終わらなさそう…。

 しかしなんかこのシリーズ、今市子の他作品とくらべてストーリテリングがちょっと雑めじゃないだろうか。お話がわかりづらい気がする。
 そして、というかそれよりも、若旦那とメガネ幇間はすすんでいるのかいないのか、なんかいつの間に待合いで約束とかするようなことになってんのか、若旦那が先走ってる…だけでもない感じ?一方の幇間のあれこれの奔走は、幽霊とのキスもふくめて若旦那のためって感じ?ていうか…このお話、最後にはちゃんとBLになるんでしょうね!?もきー!(笑

 ともあれ、口絵のカラーがきれいだったv

2010年07月10日

松本花『苺王子』2

 まさか二巻が出るとは。
 オレ様かわいい宇宙人王子に愛されまくりのきまじメガネ公務員。
 宇宙人攻めがぬか漬けを食べたら礼儀正しい人格に変わってしまって云々というおはなしで、可もなく不可もなくしかしこれでコミクス一冊ってちょっと内容薄い気が…。
 あとは王子弟と従者、あと王子の医者×料理人というオッサンCPがほんのちょっと出てきててこれはちょっと興味あるけどこれから描かれることもなさそう…(笑。

2010年07月11日

藤たまき『プライベート・ジムナスティックス』1~3『アタ』

 いまさらなんだけれど、この作家は見た目よりも精神的に少年なキャラが特徴なんだなー…あたしのあまり得意ではないキャラだ…いまさらながら。というわけでまとめて!

 フィギュアもの。
 受けへの愛情をあまりに素直にさらけ出してしまうカナダ少年攻めも、それを受けとめきれずに自己保身に走ってしまった日本少年受けも、あまりに子どもで… や、ほんとに子どもだからしょうがないんだけど!(笑、でも、痛々しくってしんどい。でもどちらかといえば、逃げ出した受けに若干イラっときたので、大人になってからの短いおはなしで、攻めがgdgdだったのには微妙な気持ちになったけれど仕方ないとも思ったし、逆に受けはいいこにしてたのでちょっと溜飲が下がったり。あとむしろ、師匠CPが無神経というか、いろいろ思うところはあったにせよ、少年たちの恋愛にたいして悪影響すぎで、こっちのふたりの子どもっぽさには一段とイライラさせられた。まーでもハピーエンドなのでなんとか…。

 読む前はアタって外国人かと思ってた。
 高校生、みなしご・フリーター・恋愛体質の同居人のアタが、あっちにふらふらこっちにふらふら、あげく自分の親友とつきあいだして。オチはよそうどおりで、テクストは攻めの無神経さを結構ちくちくするのだけれど、アタの子どもさは比べ物にならん…それは純粋さでもあるのかもしれないのだけれど、しんどかった…。これも親友ふくめてなんとなくハピーなのでなんとか…。

2010年07月12日

清白ミユキ『幸せのデセール』

 『わがまま王子のパルファン』のスピンオフ?らしいです。『わがまま王子の…』はタイトルが気になって読もうかと思ったことがあったのですが、結局まだ未読。

 出張料理人がある日依頼を受けたのは、複数のセフレと関係もって仕事を融通してあげたりして、つまりギブアンドテイクのあとくされのない関係ですませてる某社長。自分もコナかけられたので、仕事失うの覚悟でそういうのは嫌いだとはっきり言ったら、なんかかえって気に入られちゃったみたいで友達になってくれとかゆわれるのです。
 そうして付き合いだしたら、傲慢で、金ですべてを解決しようとするような人間かと思ってたら、たんに不器用で、恋愛どころか人付き合いの仕方も知らないだけで、そんなさびしくもかわゆい攻めが受けになつきまくって、必死で受けに合わせようとしてがんばったりするので、元々ダメンズ好き気味の受けはほだされまくりなのですが、今までの攻めのことを考えるとセフレとは切れなさそうだし、ってことでか、受けは攻めとは友達づきあいを続けようと思うのです。
 そんな折、受けのフランス人の元カレがやってくるのですが、こいつがまた受けが一番とかいいながら浮気しまくりだった奴でして、すったもんだ。

 うまく処理できず、あらすじが長くなってしまいましたが…。とっても面白かったです。
 もう一見傲慢でトンチキで、内実は不器用な攻めがかわゆすぎる。やっぱり不器用キャラっていいですね!!受けにセフレとかよくないとかゆわれて衝撃を受け、また叱られたくてかわざとセフレ未満の相手を呼んでみたりとか、特に前半はトンチキすぎてかわゆい。後半も、受けの元カレに嫉妬しまくったり、受けを口説くために頑張ってきれいにしてたら誤解されたり、なんかもういっぱいいっぱいでかわゆい。
 受けはなんで、攻めは友達だから、とか必死に自分に予防線はってんのかがちょっとわかりづらかった。攻めは自分になついてるけど別に好きなわけじゃない、とかまたセフレとかいる男の愛情とか信じて傷つきたくない、とかなんだろうけれど、一貫した理由があるというよりいろんな状況がかさなって、という書き方だからか、なんか理由付けが不透明になりやすかった気がした。
 受けの元カレは、受けと攻めのジャマばっかしてかっこよくもないし、受けがなんで浮気されながらもずっとつきあってたのか、これだけではよくわからん(笑。受けが一番だとゆってくれたから、とか思い返しているけれど、つまりは浮気性だけれど情熱的なラテン男にほだされてた、ということでいいのだろうか。
 まあアテウマ攻めはさておき、愛を知らない不器用トンチキ攻めと、イケメン受けシェフという二人のキャラは魅力的だし、お話自体も面白かったですv

2010年07月15日

凪良ゆう『散る散る、満ちる』

 受けはそつなく仕事のできる美形リーマンとみせかけつつ、その実引っ込み思案で寂しがり。部下のさわやかイケメンにひっそり恋をしてるのだけれど、イケメン部下は取引先のかわい子ちゃんがすきらしい。受けの幼なじみでもあるかわい子ちゃんの上司のおかげで、なんか三人ともゲイだとはわかったのだけれど、かわい子ちゃんには彼氏がいるとわかり、深酔いしたイケメンと受けはそんなこんなになるも、受けがイケメンをすきなのは内緒のまま。ダメっ子受けは、彼氏とうまくいってないかわい子ちゃんになんとか頑張ろうとする部下を、ついつい応援するようなことを言ってしまい、云々。

 総じて面白かったんだけど、なんか今ひと味足りないというか。
 とにかく受けがいろいろかわいそうで、天涯孤独になって両親ののこした家にロボット犬の玩具と住んでいて、受けの気持ちを知らない部下やかわい子ちゃんの言動にふりまわされて、でもこれはそういうお話なんで、それはそれでいいんですけど。

 こういう話ってお話を面白くするには攻めが無神経で鈍感でなければならず、それをいかにテクストがフォローするかが大事だと思うのだが、受けがでも攻めは自分の気持ち知らないしあれは仕方ない、これも仕方ない…とずっとゆってる感じで、なんか鈍感攻めと恋に盲目な受けという感じで…ちょっとイライラした。攻めが片思いしてたかわい子ちゃんも、まっすぐで積極的なキャラということだけれど、この受けの視点でずっと見てるとちょっとずうずうしすぎないか…と思えてしまう。三者とも、お話の遅延(ジュネット)のためにキャラを利用されちゃってる感じで、魅力が半減してしまってた感じ。
 まあ仕方がないのかもしれないけれど、だったらせめて、ハピーエンドのあとは受けがもっとがっつり幸せになってほしかったかなあ…後日談とか、なんだか何かが物足りなかった…。

2010年07月16日

青木朋・上季一郎『幇間探偵しゃろく 1 桜』

 『幻月楼』3巻を買いに行って、ついでの奇縁と思って購入。
 昭和初期、かわいい芸妓さんに惚れてたりする頼りない若旦那と、若旦那を助けた縁でくっついてたかってる幇間が、名通りのホームズというよりは、推理をする幇間=コナンと、その手柄を半ば押し付けられてる若旦那=小五郎みたいな、感じかな。
 …なんでやおいじゃないんだ!
 でも(?)面白かったvちょっと細野不二彦っぽい作風かなあという印象。

2010年07月17日

サランラーップ。

 さいきんの池上彰のモテっぷりはパねえなあと思っていますが、そんできよほうへんさまざまだなあとも思っていますが、彼がニュース845で毎日毎日毎日つまんねえダジャレを言ってた過去についてはあまり話題に出てこないので、あまり知られていないのかなあと思います。池上さんのつまんないダジャレは私屋カヲルのコミクスでもネタにされていたなあ。

 そんなわけでこないだは出張にいちきました。まだ筋肉痛…な、へんな出張だった…。あたしの出張は年に三回くらいあって、きっと他の仕事のそれよりも少ないんだろうなと思っていたんだけれど、冷静に考えてみると別に少なくもないかもなあ。
 で、ホテルでひさびさにテレビを見てた(部屋にテレビがないので)のですが、強烈なCMをやってて思わずくいいるように画面をみつめてしまった!

 サランラップという設定の岡田准一が、野菜炒めお兄さんやきんぴらお兄さん、ハムおっさんやいなり五兄弟にどんどん抱きついてくのですよ…!企画立てたひとはぜったいふじょしだと思う…すごくカワイイと思います!!!

2010年07月18日

栗城偲『恋をするには遠すぎて』

 はちどりのおすはまだ若いおすを相手に求愛ダンスの練習をするらしい。
 ひさびさにテレビみると、なんかやおいネタ多いな!
 あたしが妄想過多なだけか!

 高校生のチャラ男は、クラスのオタクどもがキライでイジメてたのだけれど、中の一人と夏の補習で一緒になって、なんか気になる好きになる気になる好きになる。

 冒頭近辺、攻めがあまりにDQNなのでどうしようかと思った…。後半はチャラ男とオタク二人の話が中心で、しかもオタク視点になっていくので仕方ないんだけど、攻めや攻めに調子合わせてたクラスメイトのDQNぶりのフォローがなかったのがちょっと微妙。あと、攻めが夜一人で眠れない時がある、という設定ものちのちあまり活きてなかったので残念。受けに惚れてからは、ごくふつうの受け大好きチャラ男攻めになってしまうし、なんかわかるようなわからんようなキャラだった。

 オタク受けは、冒頭、補習を受けるハメになったのは、もともと攻めが好きでなんか画策したのかと思ったら、ただ夏コミの原稿に追われていて試験で失敗しただけだったという…。受けの方はかなりベタな印象のオタクキャラという感じで、恋をしたこともない、攻めの受けへの気持ちをそれは恋ではなく萌え、とかゆってしまう不器用ぶりだった。攻めをツンデレと評してツンデレはキライではない、とかゆったり、受け×攻めのBL書いていやがらせしたりしていたあたりはベタだけれど面白かった。そんな受けなのでロマンチックになりづらいし、恋愛への移行はあまりスムーズとは言えなかったかも…でも仕方ないか。
 しかし高校生でシャッター前ってすごいなー、昔ならいざしらず、今でもそういう作家さんいらっしゃるのかなあ…ん?今って、高校生ってスペースとれるんだっけ…?や、べつにフィクションだからいいんだけど。

 夏休みの話のあとは渋谷デートとかで、おはなし自体はベタな感じ。DQNにせよオタクにせよ、お話やキャラづくりよりも、ややあざといキャラ設定が先行してるような印象があって、ちょっとバランスがよくないかなあという印象。でも総じて面白かったと思う。

2010年07月19日

砂床あい『一途な夜』

 コンドーム開発研究員の受けは、同性愛者を自覚しつつも未経験で、でも新製品の実験しなければならず、男をナンパすることに。それらしきバーで、四種類の製品をためすために、ということは伏せつつ、四回おねがいしますとかゆってたら、イケメンセレブっぽいひとが興味をもってくれまして。別れ際にセフレになってくださいとかゆって、それ以降も関係をたもってこっそり実験を繰り返しつつ、攻めに惹かれていく受け。

 …んなアホなー(笑。これコンドーム会社からクレームくるんじゃなかろうか。
 ステキな攻めにうざったがられたくなくて、セフレでもいいからとか思ってる受けと、実は攻めの方もセフレでいいと思ってるらしい受けにもんもんとしてて、というわりとよくあるすれ違いで、そこにコンドーム関連のちょっとかわった差し色があった感じ。そこそこ面白かった。
 受けが理系研究員で、恋愛に奥手でどうみてもういういしいのに、やたらコンドームもってたり手馴れてたりするのが可笑しかった。
 あと、絵があっててよかった。亜樹良のりかずは攻めがかっこいいし、受けもきちんと大人っぽく書いてくれるので、こういう天然ぽい受けも、挿絵効果もあって子どもっぽくならない気がする。

2010年07月20日

バーバラ片桐『ストーカーはじめました。』

 トンチキなタイトルに惹かれたものの、あざとそうなもするしB級のにおいがプンプンするし、読もうかどうしようかしばらく迷っていたのだけれど、時間が出来たので買ってみたら、予想以上に面白かった!簡単に言ってしまうと受けがストーカーということなんだけど、そのトンチキさも面白いし、その奇抜な設定にだけにたよらずちゃんとキャラがきっちり魅力的で、お話もしっかり面白かったのです。

 高校時代、ストーカーの手紙に悩んでいた攻めは頭よさ気な同級生に相談するも、実はそいつが犯人でした!頭にきて手ひどくふったことを多少は気に病んではいたのですが、数年後刑事となり、ストーカー殺人事件への協力を乞いにいった先のストーカー研究の第一人者というのがこの受けでして、調査に協力するかわりに抱いてくれ、とか言い出して、お前まだ諦めてなかったのかー。

 総じて面白い話ではあったのだけれど、とにかく何しろやっぱり受けなのです。
 数年ぶりに再会した攻めのつかった茶碗をなめたり、攻めを尾行したりと、変な言い方だけれどかなりきちんと容赦なくストーカーな受けなのです。中途半端にかわいぶったりはせず、けれどあざといほどの変態ぶりというわけでもないのが、変な話だけれど好印象だった。
 ストーカー行為については、純粋なる確信犯で攻めは喜んでくれるはず!とか思ってるわけでもなく、こんなことをしてはいけない…と悩んでいるだけでもなく、その間で揺れ動いている感じでだからこそ悩ましくかわいそう。自分を抑制するために研究者にまでなって、それでも攻めに再会してしまってストーカー気質を発揮してしまうという、こんなかわいそう受けは初めてだ…ていうか、これもかわいそう受けでいいよね?ストーカーだけど…(笑。
 攻めにたいして、仕事のために抱いてくれたり一緒にいたりしてくれてるだけなんだから期待をしちゃいけない、と思うあたりはまあわりとよくあるかわいそう受けなのですが、このひとの場合そこに自分はストーカー気質だから何でも都合よく考えてしまうから…という自戒が入るので、きちんと設定活きてるし面白いし、なんだかますますかわいそうなのです。
 あと最初のときに、アレはさすがに許してくれないだろうからと足を舐めさせてくれ、とかゆって攻めをドン引きさせ、あれ!?足すらだめなの!?と泣きそうになっているのがトンチキかわゆかった(笑。
 そんな感じで、変態っぷりは面白いしおはなしにもしっかりからんでるし、けれど自分を律そうとしてるのがけなげでかわいいし、と、キワモノ設定もきちんと活かしつつとっても魅力的なキャラだった。

 攻めは攻めで、この変な受けを次第に受け入れてしまうのだけれど、その理由が最後にさらりとたった一言であかされるのがスマートでよかった。受けに疑いをもつあたりはすごく緊迫感もあってよかったなー。

 恋愛物語とは別立てで、殺人事件にまつわる筋も面白かった。犯人は意外だったというか、もうちょっと説得力もたせてほしかった気はしたけど。伏線がちょっと物足りなかったというか。
 あと、灯油が目に入ったのに病院いかないの…?とは思ったのだけれど、今ぐぐってみたら水洗いで平気なんだね。安心した(笑。

 しかしなんかこのCPは続編読みたいなあ。まだまだ面白いお話ができそうな気がする。

2010年07月21日

砂原糖子『斜向かいのヘブン』

 なんの気なしに手にとったら、結構古い本だったのね。
 人付き合いのわるいメガネ上司がダメ後輩の仕事フォローしてるのを見かけてしまい、仕事を無理やり手伝ったり、そのお礼をしろとかゆって無理やり飲みに誘ったりしてみたら、なんか自分はほんとうは吸血鬼だから恋愛もしないしなるべくひとを避けているとか言い出すのです。もともとあんま人にもものにも執着しないタイプで、遠恋の彼女にもさらりと振られたばっかりだった、そんな部下なのですが、上司の電波ぶりがかわいかったのか、吸血鬼ではないと証明しようと奮闘するうちに、このきもちはなんなのかしら。

 いやー、上司の秘密があかされて、ああこれから攻めの手助けでトラウマというか過去を克服してくという王道なのね…と思ってたら、末尾のどんでんがえしにびっくりしましたよ!そう来たか、という。
 でも後編があるんだけれど、そのトンデモ設定は、あんまし活きてなかった気がする。全編とおして、基本はオフィスラブで、初めて心動かされちゃった低温イケメンと、不器用で人付き合い下手なメガネのおはなしなので、トンデモなオチと設定がそんなには活きてないというか、ちょっと浮き上がってしまっている印象。
 おはなし自体は、不器用キャラはすきだし、そこそこ面白かったと思う。

2010年07月22日

黒崎あつし『お嫁さんになりたい』

 某社長の愛人だった受け母は、正妻から逃げるために息子を女の子として育てたのですが、母なき後は正妻が受けをひきとって、お前はいつか金持ち変態オヤジに売りつけてやんよ、とかゆって育ててたのです。でもいざ嫁にしてもらえとかゆわれて出された先は、以前一度だけあったことのある親切なお兄さんで、この人のところに居させてもらいたいと思ってたら、受けの事情をおk把握なお兄さんも、お兄さんをお世話してる夫婦も、なんかめっさ受けによくしてくれまして。

 ベタなタイトルだし、ベタな話を期待して読んだのだが、まあベタだったけれど、なんかあっさりしすぎだとも思った。
 受けは正妻たちが怖くて今まで抵抗もせずに来てしまったけど、だいすきな攻めのいうようにこれからは主体的にならなきゃ、という感じ。攻めはやさしい保護者で、受けはひなどりのように自分をしたっているだけだから、と受けを相手にしようとしなかったりなんだり。典型的な関係だろうと思う。
 あと、受けが正妻さんがこう言ったんです、とか素直に報告して攻めたちがかわいそうに…という場面が非常に多く、受けのかわいそうっぷりを演出するためなのだろうけれど、回数が多すぎて少し鼻についた。
 なんにしても、キャラもお話もベタを期待していたのだからベタでいいのだけれど、もう一工夫ほしかったなあという感じ。
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 ところでBLではこういう場合、受けは女の格好するのがほんとはいやで男に戻りたい、そして攻めと結ばれたい、と思うのが常な気がしますが、女の子の格好したいアンド攻めと結ばれたい、というパターンもあってもいい気がするけど、BL的にはナシなのかな。

2010年07月23日

読みさし。

 櫻井春綺『セクシー番長』男子校のモテ番長の話のオムニバスっぽい感じなのだけれど、CP固定じゃないのが…。

 とおやま香住『ゲームの恋人』愛人の子の受けは、ホテルとか経営してる立派な兄にうとまれて寂しく暮らしてる。そこに現れた行き倒れの外国人を助けたら、実は…という。攻めはなんか日常生活のダメっぷりがいまいちに好きになれなくて、あと兄があまりによすぎたので途中で読むのが面倒になってしまった。後編もパラパラ読んだけど、やはり攻めいまいち、兄カッコヨス、っぽかったし…。

 松本トモキ『プラナス・ガール』1女装男子ものということで読んでみたのだが、女装子はただのかわいい女の子みたいだし、主人公が彼に惚れかけている葛藤がちょっと無神経でしんどかった。あと絵がニガテだった。

 剛しいら『人のかたち』明治期の人形師と下働きの青年…の話かと思いきや、イギリス人の愛人に殺された陰間青年の人形をつくることになって、その二人の話がメインになったりで、途中からパラ読みしてしまった。なんかそこそこ面白いんだけれど、BLとしてはどちらのCPにせよもっとがっつりかいてほしかったし、ちょっと物足りないなあという感じ。

 水原とほる『残花』危ないところを助けてくれたヤクザに惚れて一緒に暮らしはじめる…まではよかったのだけれど、ヤクザのとこの組長に目をつけられて受けを無理やり献上させらて、というあたりでいやな予感がし、あとはパラ読みしてしまった。これもまたイカれた組長が実は寂しい人間で、って感じっぽくて、攻めよりもアテウマのが魅力的になってしまいそうで…。

 遠野春日『嫉妬は黄薔薇に託して』前作の『告白は花束に託して』は大好きなのだけれど、この続編はちょっといやな予感がしていて、がっかりしたくないから読もうかどうしようか迷っていたのですが、結局買ってしまった。かなりざっと読んでしまったのだけれど…なんか、なんにも起こらない感じ?こんなにページ数必要なの?逆に、何も起こらないから、主役CPには悪い印象を持たずに済んだのでよかったのかもしれないけれど。うーん。

2010年07月25日

ゆうきゆう『おとなの1ページ心理学』2

 
「Tribute to Escher」
(ソースは『- MISDIRECTION (ミスディレクション) -』さん)
 バーチャルエッシャーの部屋。クーロンズ・ゲートの異世界の部屋を思い出すなー。

 うーん、だんだん心理学から離れて行っている気がする…。あと、一巻のほうが絵が丁寧だった気がする。まあそこそこ面白いというか、のんびりぼんやり読む分にはこれくらいでいいのかもしれないけど。

2010年07月26日

清白ミユキ『傲慢だけど可愛いあなた』

 会社が倒産して派遣してたのですが、倒産のきっかけになった某企業社長の内偵の仕事がきまして、倒産の恨みもある受けは社長秘書をやることに。社長は無駄、非効率が大嫌いで、人を人とも思わぬ社長っぷりで、社員やたくさんいる秘書たちにも恐れられてて、けど長時間がっつり働く人で、社長にくっついてる受け秘書はむかつきつつぐったりなのですが、誰も逆らわない社長につい逆らってしまったことで、受け秘書は社長の不器用さ淋しさに気づきだして、社長は受け秘書が気になり出したり云々。

 傲慢攻めとその心を懐柔する受け、というベタな筋だけれど面白かった。受けがスパイなので、社長を騙してる、という差し色もあるし。受けはわりとふつうのひとなんだけれど、攻めは結構きっちり傲慢で、特に前半はフォローしどころのにない傲慢さと性格だった(笑

 ただ、展開というか攻めの変化はそれでいいの?という感じではあった。
 無駄を排除する、というのは攻めの一種の理念だったと思うのだけれど、受けにメロメロってからは、受けのために、受けと一緒にいるために、というのが最優先になってしまって、なんか主義主張とか経営理念とかのない社長になってしまった感じ。その後きっと成長してくれるんだろうけれど、つまり愛を知らない攻めが愛を知ったことで人間的にも経営者としても成長するんだろうけれど、物語はそこまで書かないし…。

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