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2009年04月01日

橘かおる『玉帝の箱庭―紅蓮の朱雀』

 『玉帝の箱庭―鳳麗国の双子皇子』の二作目。
 途中でよみさしていたのを読み終えました。

 異世界に召還され「神人」として滞在してる受けと、受けを盲愛する双子の王子。隣の国に異変が起きて云々。
 …という、ファンタジーとしてのお話は非常に凡庸でつまらなく、正直読むのがちょっと苦痛。
 さらにBLとしてもいたいのが、受けに魅力が乏しいというか、うまくいえないのだが悪い意味で普通っぽいというか子どもっぽいというか。
 あと発想がとてもダメで、壺となんかの水溶液で電気が発生するはずとか言い出して、装置つくって発生させた電気をなんかヒモでPCにつないでるけどほんとにそれで動くのか…。朱雀のせいでちょう熱を持ってる山に水を掛けて山を破壊するとか言い出して、バケツリレーとか…。

 まあ、それはさておき、でも双子なのです。双子美形王子なのです。タイプのちがう双子なのです。それだけはこのシリーズのおおきな醍醐味なのです。イラストとか、どっちなのかが書かれてなくてもわかるからスゴイ。

2009年04月03日

麻々原絵里依・遠野春日『茅島氏の優雅な生活』

 ここのところ不作だ…と思っていたら、一転豊作続きなのですv
 これはとってもよかった!!!

 この遠野春日の茅島氏シリーズ、というのは知ってはいたけれど読んだことはなく、しかし茅島氏は「金曜紳士倶楽部」のシリーズのどっかに出てきたような…という程度の認識で、リーフノベルズ版は挿絵がいまいち好みに合わずにあまり興味が持てなかったのですが、コミカライズ版、しかも麻々原絵里依ならば…ということで読んでみました。
 しかし正直、梗概の段階や、最初のあたりでは、庭師×旦那さまっていうか、庭師←旦那さまって、そんなに萌えますかね…とさめていたわけなのですが、これがまぁとんでもない浅はかな考えでしたよ。

 両親をはやくになくし、ちょう資産家でニートの茅島氏は庭師が好きで、ある日彼のもとへ愛を乞いに行くものの、庭師的にはちょう突然で旦那さま何を言っているんすか!という感じなのでした。けどあんまし茅島氏が真剣にせまるので、ちょっとビビらせてやれと仕掛けてみたらなんか引くに引けなくなり、とりあえずこっちの気が向いた時なら相手してやんよ、と言ってみたところ、茅島氏けなげにうなずいてしまうのです。

 この茅島氏が、無気力・天然・けなげ・一途・情熱的と、すんごいカワイイィのです。普段無気力な茅島氏が、庭師にまっしぐらな意外性というか、むしろ彼のキャラクター的にはちぐはぐと言ったほうがいいのかもしれないけれど、そのちぐはぐさがすんごいカワイイ。
 そして庭師が傲慢で、けれどいきなりこんな人に好かれてとまどうのも、こんなカワイイィ茅島氏にハマっていくのも、ずっとつきあっていけるわけではないと思って保身にはしってしまうのも、すんごいよくわかるではないですか。
 だから、どちらともに感情移入してしまうし、クライマックスの場面とかすんごいよいなあ…と思えるのですよ。CPも展開も、恋愛物語としてはそんなに珍しい話型ではないのかもしれないけれど、ぜんぜんありきたりな印象はなく、これはキャラとともにエクリチュールの力がすばらしく活きていたのだろうと思う。

 たとえば、物語はほとんど庭師視点の語りだったのに、庭師の名前が結局わからんかった。原作でもそうなのかな。なんかそういう、わざとアンバランスにしている(のであろう)語り方も面白いですね。
 そして漫画におけるエクリチュールのだいじな構成要素は、やっぱり絵であるわけですが、この漫画のもつ力の要因は、やっぱり麻々原絵里依の絵の力も大きいように思います。麻々原絵里依は正直あんまし漫画がうまくないし、原作ものでもときどきイマイチなのですが、そして絵自体もすんごいうまいとか好みとかいうわけでもないのですが、それでも大好きなのです。以前火村シリーズのコミカライズをしていたときに、原作者の有栖川有栖が「スタイリッシュ」な作品に仕上がった、というようなあとがきを書いてて、この言葉はすごい的確ででも的確でなくて、面白いなあと思った。麻々原絵里依の漫画は確かにとってもスタイリッシュで、でもスタイリッシュなだけ、という感じでもないんだよね。
 でもまあとにかく、そんな「スタイリッシュ」な麻々原絵里依の絵に、遠野春日らしい一種独特な固いセリフがのっかったりすると、なんかもうもう、スゴイのですよ!絵がセリフを、セリフが絵を引き立てる!まるでモツァレラとトマトのように!(笑
 なので、このコラボ(正確にはコミカライズだけれど)は、この小説家とこの漫画家がすんごいうまくマッチして、よい相乗効果をもたらしてくれてるように思うのです(単にあたしが遠野春日のセリフまわしと麻々原絵里依の絵がすきなだけ、という気もしますが…
 あと、麻々原絵里依といえばあんましエッチな場面を描かないイメージがあって、というかもしかしたら描けないのでは…とか失礼なことを考えていたのですが、遠野春日なので(笑、そこを避けて通るわけにも行かなかったのか、今回はかなり力が入ったあれやこれやがあり、…これがまたすんごい巧いのですよ!巧いんじゃあないか!(笑
 というわけで、ほんとすんごいよいコラボだったなあ、と感心・大満足だったのですよ。

 まあそんなかんじですんごい面白かったしモエモエだったのですが、そんなわけでこの独特の雰囲気は、麻々原絵里依の絵によるところが大きいかもしれないし、もしかしたら原作の雰囲気とはまたちょっと違うのかもしれないので、原作についてはまた別個に読んでみる必要があるかと思います。
 で、すぐに文庫版が出るそうなので、買ってみようかなと思いつつ、けど幻冬社からということだし挿絵は以前のものか、少なくとも麻々原絵里依ではないのだろうなあ…とちょっと迷っていたら、…文庫版の挿絵は日高ショーコって!マジですか!これは買わないわけがありますか、いえ、ありませんよ!!!

2009年04月05日

森本秀『アスタリスク』5

 話が進んだ。結構既に佳境にはいりそう?

 しかしなんか相変わらずFT設定が甘い気がして、うーん。植物を司る存在とか死神みたいな存在とかなんか唐突な印象…。まあいいんですけどね。
 あと脇キャラが出てこなくて寂しい。神獣ももっと活躍してほしい。

猫田リコ『黄昏バス』

 猫田リコは、『少年地獄』くらいからアレ?なんかつまんなくなってない??と思い始め、微妙なふんいきのまま巻を重ねている気がしていたのですが、今回アレ?でも昔もこんな感じだったかも?とか思い直した。
 昔の猫田リコを美化していたというか、いくつかの神作品のインパクトが強すぎたのかなあ。
 でもなんかやっぱり昔のほうが、すごいグっとくる話とか風変わりでイカしたタイトルとか、多かった気がするなあ…。

 今回はそんな感じでイマイチなのかイマイチでないのかよくわからんかった。ヤクザの親分と側近の話はちょっとよかった。坊ちゃんウゼー。
 表題作や父の愛人と温泉をまわる話は物足りなくて、もうちょっと読みたかった。時代物のうらはらは、悲しい終わり方で淋しい。

2009年04月06日

空知英秋『銀魂』28

 いいたいことはひとつだけなんだが、なんで折角のトッシー再登場なのに人格は土方なんですか(涙

 しかし非トッシーの土方が自分のオタク要素をみとめたとこはちょっと面白かった。あとカードバトルも面白かった。ぐちり屋も面白かった。
 あ、あとオビはずそうとしたら表紙があまりにキモくてかなり引いた。

2009年04月08日

一之瀬綾子『ゴーゴー僕たち』3

 作者はBLのLが薄くなってきてるというようなコメントを書かれていたのだけれど、ほんとやおいだなーという感じ。ナチュラルにおホモでヤマもオチもイミもないような感じ。
 まあでももう三巻目なので、雰囲気を楽しむにはいい感じなのです。

 いつも思うのだが、桂木先輩はいっこもカッコよくなくって、なんでカコイイ設定なのか…。
 篤はみんなで買い物のとことか霊感の話とか自由時間の話とかよかった。
 ナツイはやはり篤すきなのか。作者あとがきにもあったように、篤はナツイとかにならすぐおとされそう…ていうかカオルよりナツイがいいのにな…。

2009年04月11日

ホームラン・拳『空中庭園』

 「ボーイズラブ専門レビューサイトちるちる」さんにリンクをしていただきましたvありがとうございますv

 ホームラン拳は絵が丁寧で大好きですvが、ちょっと今回は…内容が悪い意味でベタだったなあという印象。

 南国ふうの国、義理両親に売笑させられてた受けは、金持ち攻めに買われたものの、ふだんは手が早いはずの攻めになんにもされないのですがどうしましょう。

 なんかな-。傲慢強引愛を知らないちょっと不器用セレブと、かわいらしいよい子の受けっ子というベタな設定はいいのだけれど、なんか展開もキャラも全然ひねられてなくって、淡々と終わってしまった感じ。互いになんで相手をすきになったのか、と考えると、そこにBLの論理があるから、としか言えない感じ。受けっこが女性ものの服を着させられたりなんか性別受け気味なのもちょっとしんどい。

 攻めの秘書の双子はかわいくて、しっかりものの兄とダメっこな弟で、二人とも主人とその恋人思いでかわいいのですが、この二人で別シリーズというのは…いったいどんな感じになるんだろう。

2009年04月13日

山岸凉子『テレプシコーラ 第2部』2

 きのうはジョルノオンリーでした。
 なんかかんかいそがしいです。オペラピンクのちゃぶ台を買いましたv

 もう気になって仕方がないので、毎月ダヴィンチを読んでるため、もはやコミクスは復習になっているのですが。
 六花ちゃんのカゼはどういうオチになるのかこわい感じ。ボレロのN氏の評価はどうだったのだろう。
 日系人の男の子はこれからどう動くのか。
 茜ちゃんはなんかいまさらだけど、どういう「使い方」をされるのか気になる。正統派クラシックがうまくて、ずけずけものを言う、というキャラに、やはりどういうオチがつくのか。そこそこでおわるのか、それともなんか劇的なことがあるのか。
 ローラは空美ちゃんなのかなあ。

2009年04月14日

ヘニーデ。

 あたまをさげてみせてあたしをびっくりさせたあのひから、あのこがとってもかわいくて仕方ないのです。でも、むこうは覚えていないだろうなあ。

 今月は愛と混乱のレストランの最終巻が出るのでちょう楽しみです。
 食べ物をおいしいと感じられないディレクトールの味覚は、いったいどんなかんじなんだろうか、と思う。
 ただ、あたしはコーヒーは好きだし飲むけれど違いはよくわからなくて、スタバでもドトールでもタリーズでも専門店でも、さらにはマックでも、ひどいことにドリップバッグでもかわんない味覚なので、ディレクトールの味覚もちょっとはわかるかもなあと思った。何食べても変わらないという意味で。
 でもあたしも最近では、いくらなんでもインスタントとの違いはわかったので、シェフのサンドイッチはいつも自分が適当に食べてるコンビニのサンドイッチとは違う、と気づいたディレクトールのことを思い出したのでした。どっちも職人さんにはまだまだ失礼な程度の把握かもしれないけれど。
 吸血鬼も出るそうでワクワクですね。

 エヴァの食玩とか、カヲルくんがいるといまだについ買っちゃいます。いまだになんという引力。
 なんかで中国語の字幕つきの動画を見てて、そういえば名前ってどう表記してんだと思ったら、カヲルくんは「薫」みたい。なんかにあわない気がするけど、他に合いそうな漢字もないね。でも「郁」とかもいいかもね。
 そんでヱヴァの映画はにゃんこちゃんに先をこされて、まだあたしは結局序をみてない。破が出ちゃう。
 あと「beautiful world」を聞いたとき、はじめて宇多田ヒカルってすごいんだなあと思いました。音楽的才能があるんだなあというのと、ほんとにエヴァ好きなんだなあと。どっちの意味でもスゴイ。

2009年04月17日

中村光『聖☆おにいさん』3

 忙しいうえに体調もいまいちなのです。既に休暇が欲しい感じ…。
 茅島氏の文庫が出てる…けど、レストラン三巻が出るまでは、精神的な体調をととのえておきたいので後回しです。とかいうキモいことをほこらしげに書くのはどうなんだ。

 あれーなんか今までで一番面白かったかもしれない。
 なにがよかったのかなー。
 アパートさがしとかファミレスのオチもよかったし、バベルの塔とか免罪符とか洗礼名でのネタとかなんか面白かった。

 あとイエス関連のキャラたちがすんごいイイ。チャラすぎるペテロとか面白い!気分がもりあがると終末のラッパをとりだしてしまうミカエルも面白い!そして、破壊天使ウリエルがちょうカワイイィ!!わさびの木は実を結ばぬよう、という語彙が聖書っぽくてイイ!(訳にもよるのだろうが。まゆげのない顔も怖カワイイィ!
 ブッダの方では、梵天はなんか微妙だけれどマーラがかわいそうだけどいいキャラクターになっている。

2009年04月19日

雲田はるこ『窓辺の君』

 びみょうに読み飛ばしてしまった。

 絵がものすごい勢いで70年代少女漫画なのだけれど、果たして作者はそのつもりで描いているのかどうか…という印象。単に流行が一巡しているだけなのかも。あと足の短いところは70年代ではない…最近はやってるのかなあ、足短いの。サムエルとかの影響なのか。
 しかしとにかく、絵はわりと好みです。ちょっと高尾滋フォロワーぽいけど。

 内容は、すごい勢いでマーブルコミックス…雰囲気漫画だ…。

 雰囲気漫画は何がいけないのか?と考えるに、とりあえず萌えない、というのが個人的には一番ネックなんですが、あれだ、二次創作だったら雰囲気漫画でもモエモエなのかもしれない。つまりそれってヤマオチイミのないやおいパロなのだけれど。共有してる設定という土台が既にあるから、雰囲気漫画でもモエモエできるのだ。
 逆に言えば、共通の土台のない雰囲気漫画は、読者おいてきぼりの可能性大なわけで。とくに、本作もそうだけど、キャラ造詣や感情描写がテキトウすぎる漫画が多い。どうしてその相手をすきになったのかとか、どういうふうにすきなのかとか、ぜんぜんわかんなくてキャラも恋もぺらいんだ。だから萌えない。

 表題作の学生×オクテ教師とか、先生はともかく、攻めはなんだったの?何がしたかったの?実は最初から本気だったの?と、よくわからん。
 ちょっとへんな高校生×女子高生フェチ教師とかも、攻めがへんなのはいいのに、めっさキャラ迷子。なんで脅してつきあわせるほど先生すきなの?セーラー服着ちゃうほど先生にあわせたいなんて、そんなそぶりいままで見せてないじゃない?オトコマエなの乙女なの?両方だったらもうちょっと丁寧に説明してほしいし…。
 元カレに会いに行く写真家の話も、今カレはただただハラハラ心配してるだけで、そんな描写だけで写真家は今カレにゾッコンだから大丈夫よみたいなフォローされてもなんかそらぞらしいよ。

 お話とかも微妙によくわからん。
 サリーさん、あんなうれっこなのになんで事務所が守ろうとさえしないの?罪状は根も葉もないウソなのではないの?なんでそんなに悲愴なの?
 あとあとがき…作者は「雲助」という言葉の意味をわかっているの?

2009年04月20日

大羽快『殿といっしょ』1

 戦国武将たちの4コマコメディ。
 正直期待したほどではなかったのだが、そこそこに面白かった。気楽に楽しめる感じ。

 眼帯に異様にこだわる伊達政宗、焼き討ち大好き織田信長、お笑い大好き豊臣秀吉&石田光成、なんかナルシーで景勝に発言させない直江兼継、パンクな外見で猫を拾ってくる前田慶次、とかとかそんなかんじ。

 絵が若干古くて、伊達正宗は若干女子好きしそうなイケメンだが、あとの武将はのきなみゴツくて、女性もかわゆくなくて、作者男性だろうなあと思ったらやっぱりそうらしい。
 というわけで、伊達正宗がカワイイィ。

2009年04月22日

鹿島田しき『快楽の園』

 今日は大変苦労した日でしたが、人から見れば笑える一日なのだろう。

 この作者こんなに絵がへただったっけ…。
 ちょっと正直、絵が商業コミクスのレベルではないかと思う。

 内容は、時代場所を越えるイケメン天使がさまざまな受けと恋愛していく…ってこういう設定もあたしの地雷だったのだなあ、と改めて気づかされた。いちおう最初の特別な相手は出てくるんですけどね。やっぱBLは恋愛を書いて欲しいわけで、いろいろな相手とのラブアフェアが読みたくはないわけで、特別な相手がいた上で個々の相手との恋愛がしっかり書かれていると、むしろ引くわけで。
 そんな感じなのです。

2009年04月23日

高遠琉加『唇にキス 舌の上に愛』

 そんなわけで、あたしはこの三巻の発売をなんかもう尋常ではなく楽しみにしてて、23日発売+早売りや仕事の状況も考慮して、一番早く読めそうなのは22日だと思ったので、ワクワクしながら数日前から予定くんで、昨日は終業即帰れるように頑張って、渋谷に出たけど見つからない。ツタヤでは早売りないのかーと思って新宿紀伊国屋へ向かうも見つからない。紀伊国屋は結構早いと思ってたんだけどなあと思いつつ、池袋ジュンクと神保町書泉をてんびんにかけ、ここは書店街だろうとふんで神保町へ向かい、確実に早売りしてそうなT書店にも寄ったけどみつからない。もう疲れ果ててたので、T書店では恥をしのんで、シャレード文庫の新刊でてますか…?と聞くも、明日の午後の便ですねーと言われてがっくりし、吸血鬼の新刊すら読む気になれずに何も買わずに帰った。
 そんな感じで予定がグダグダになり、今日は三巻を読んですっきりした気分でとりかかる予定だった仕事を嫌々ながら片付けて、夕方再度渋谷へ。見つからない。けど今日はここできっぱり見切りをつけて、T書店なら昨日確認したから確実なはず…とさっさと神保町へ向かい、やっっっっっとのことで入手したときには、もうほんと奇蹟かと思いました。
 あー…ほんとどうしようもない24時間だったなあ…(笑。都内どんだけ移動したんだ。

 …終わっちゃったよ!淋しい!!
 というか、もっと甘甘ラブラブ読みたいよ!!!

 というかあれだ、ヤガミ関連の描写が多かったのと、シェフとディレクトールはほとんどずっとはなればなれだったので、やっぱその意味では物足りない気分があるのです。
 あと冒頭数十頁、いきなりシェフの回想編に入って、オイイィィ!ディレクトールほっぽらかしで回想かい!と正直思ったのだが、しかしシェフの過去や内面をきっちり書いておかないと、あれだけの書き込みがなされているディレクトールにたいするにはうすっぺらいキャラになってしまうし、必要な描写だというのは…頭ではわかるんだ…別に面白かったし…。
 ゴルドでの邂逅とか、ディレクトールがディナーするときの回想とか、すごいベタだなーというところが多いようにも感じた。

 なんかまたカラーレンジャー(@レベルE)的に一見文句が多いんですが(笑、ほんといい作品だと思うし、個人的に好きな作品でもあるのですよ。

 まあそんなわけで、もうちょっと幸せ描写はほしかったのですが、ディレクトールの「そう来ると思ったんだ!」とか、「すげえまずい」トマトソースとか、そこここでモエモエしましたよ。
 無人島に私をもっていって…ではなくて、無人島にもっていくというのはやっぱりかなりのラブですよね。あたしはピロウズをもっていきたいので。だからというわけではなく、「……嘘みたいだ」はピロウズの「ノンフィクション」みたいなセリフだし好きな場面です。

 あと本部長はちょっとびっくりした。本部長の部屋を出た後、最後にディレクトールが泣きながら言うセリフがよいですね(笑

 シェフ視点は、特に最後のほうでもう少し欲しかった気もした。こう、ディレクトールへのラブをもっと語って欲しかった。や、すげえまずいとか、ディレクトール視点でもいろいろわかるんだけど、もっと直截なかんじで語って欲しかったというか。
 あと、「コックなんて人種は頑固でひとりよがりな奴ばかりだ。自分が一番正しいと思っている」反省中ですか?「子供の頃は、頑固でいつも不機嫌そうな父が嫌いだった。優しい母をしょっちゅう怒っていて、母がかわいそうだと思っていた」あんまりディレクトール怒ったらダメですよね?
 シェフがサラとはすごく気があって、食べ物をのこさず美味しく食べてくれて、おんなじスピードで生きていける、と思うとこがよいです。イチがいうように、シェフはディレクトールには反発してて、そのあとやたら構うようになるわけだけど、誕生日の日のように、世話を焼こうとしてもありがた迷惑だったりして、そして今回もまた気持ちが重なってもあんましうまくかみ合わない感じで、だがそれがいいのです。わかり合えない・けど大事な関係、というのはすごくすきなのです。
 最後のあたりでひな鳥みたいに口をあけてしまうディレクトールがかわゆいです。シェフは調子にのってどんどん餌付けすればいいさ!(笑、だから、もっと続きが読みたくもあるのですが…。
 あと今回タイトルが好きです。地味だろうか?でも好き。

 なんかあんましまとまらないですが、なにしろ入手するだけでも大冒険だったしもう疲れてしまったので、とりあえず思いついたことだけにしておく。

2009年04月25日

東野海『虜』

 短編集。ファンタジーっぽいのとか、軍服とか多め。
 ファーストコミックスなのだが、絵もお話もいまいちだった…。
 絵はネット上で見たときには巧いような気がしてたのだが、あんまりデッサンもとれてるほうではなかったみたいだ。画面も見づらく、漫画絵としてもいまいち。
 お話もなぜかとつとつとしていて読みづらく、展開がよくわからなくて、キャラの心情も伝わってこない。
 あ、メガネ長髪黒髪の執事のビジュアルだけはよかった。

2009年04月26日

高遠琉加『唇にキス 舌の上に愛』その2

 修司いわく「人間は愛とメシでできてる」ので、「キス」は「愛」で、舌の上の「愛」は「メシ」なのだろうと思うのです。彼はだから「すげえまずい」トマトソースも食べたがったのだろう。

 愛と混乱のレストランは、ラブラブが物足りないという印象なのですが、なんかね、たぶん一般論に回収されちゃったのが淋しいのです。
 ディレクトールの、いってしまえば特殊な過去と味覚とが、このお話のキモだったのに、会長の提示したしあわせな食卓とか、修司のいただきますとか、「食」の割合一般的な側面で話が閉じてしまうじゃないですか。そうではなくて、一般論ではなくって、特別なキャラ=ディレクトールの「食」を描いて終わって欲しかったのですよ。修司によってひらかれた、そしてこれからますます豊かになっていくであろう、ディレクトールの「食」が、どのような様相を示しているのか、示せそうなのか。
 ややこしい言い回しをしましたが、ようするに「修司によって」食事をおいしいと思えるようになった状況を、もっと緻密に書いて欲しいってことでもあるんですが、つまりラブラブしてほしいということでもあるんですが、それだけではなくて、他の誰でもが持つ感情、ではない、ディレクトールにしかない感情を読みたかった、という感じ。

 ああしかし、フレンチをたべたくなりました…ゴルドの描写とかかなりスゴかった。
 ジョジョラーだしお財布的にもイタリアンに偏りがちなので、たまにはフレンチに行きたいなあと思いつつ、結構なバクチな気がしてなかなか行く機会がないのです。平均が高いけど、イタリアンよりも更に当たり外れがはげしい気がして。人も誘いづらいし。
 個人的には、高くてもいいので信頼できるお店に行きたいのですが、同じお店に通うよりも、いろんなお店に行ってみたいし…と、ワガママばかりです。

2009年04月28日

木原音瀬『吸血鬼と愉快な仲間たち』4

 オイイイィィィィィィ!

 申し訳ありませんが、感想等を書く気になれません…!!!いや、つまんなかったとかそういうわけではないのですが…なんだこの終わり方!続きが気になりすぎて、他に書くこと何も思いつかないよ!アルがみじめでかわいそうすぎるよ!!作者も暁もマジで頼むよ!!!!!

2009年04月29日

木原音瀬『眠る兎』

 クラスでみんなでゲイ雑誌見てキモがってたら、なんか女子が勝手に攻めの名前で大学生とかいつわって文通に申し込んでました。会うつもりはなかったんだけど、その女子が見に行きたいとかいうので、半分デート気分で軽い気持ちで待ち合わせ場所に行ったら、なんと相手は自分とこの高校のせんせいでした。そのまま帰るつもりだったけど、なんかずっと待ってるっぽかったので、女子と別れてからついつい待ち合わせ場所に戻ってしまうのです。そこで断ってさよならのつもりだったのですが、なんか優柔なせいかずるずるまた会うことになっちゃって、ずるずる続いて次第に惹かれていくのですが、けど自分は大学生設定で、相手もせんせいということは内緒にしてて、云々。

 高校生の青い無茶苦茶さとか、先生のか弱さとか敬語ぶりとか、なんかいいんですが、物足りない感じもあるのです。幸せになっての続編では二人のキャラがあんまし立ってないせいなのでは、という気もする。

 そして、ディスるつもりでは全くないんだが、木原音瀬テンプレートというものがあるんではないかと思い始めた。
①恋のきっかけにはウソ・カンチガイが介在
②両者の情報量と愛情に差があり、それらは反比例の関係
③追われてた側がのめり込みラブラブに
④ウソ・カンチガイがバレて大決裂
⑤ものすごい時間と労力とをつかって復縁
⑥すったもんだのわりには地道に幸せカップルになる
⑦数年後、モブキャラ主体の続編がある
⑧⑦ではモブキャラによる批判や再点検などが行われる

 ④⑤はもう少しなんとかならないのか、といつも思うのです。穏やかに復縁するということは、この作家に限ってはないのだなあ、と。逆に言えばこの拘泥がこの作家の持ち味というか、この部分をエンタテインメントとして楽しんでしまうべき(もちろんそれはキャッキャウフフと楽しむということではないのだが)なんだろう。
 あと、⑦⑧が本当に余分なのです。受けの初恋の人との再会は、なんか微妙に消化不良な気がしたけれど、これはまあ大団円への伏線でもあるのでともかくとして、そのあと更に、攻め親友が主役になっての後日談続編があるのだけれど、これはなあ。親友視点でこんなふうに、受けを批判する必要はあるのかい?親友が受けに不快感を感じているのは、大人で・教師だというのに…という倫理的な批判というよりも、単純なゲイフォビアと・自分が持ったことのない強烈な恋情への嫌悪感、がねっこだったみたいだし。だから、あんまし正当性のある受け批判には感じられないし、メインCPのしあわせに水を差してるようで、これも物足りなさの一因かなあと思います。
 それに、このキャラは本編の前半では規範意識をもちつつも差別意識のないよいひとなのかと思ってたのに、なんかガッカリという感じでもあります。

 あと本編では女子もすごいひどかったなあ。子供の無知で残酷なゲイ差別、というかなんかもう、人としてそれどうよ、レベルだろう。

 絵はデッサンがとれていないが体格よくて悪くない感じ…だが、お話にはあんまりあっていなかったような気がする。

2009年04月30日

月宮零時『眼鏡屋と探偵』

 キター。
 なんかもうこれ、タイトルからしてちょっと怪しいのですが、内容もとってもいい感じに気がくるっている(褒め言葉です!)のですよ!

 メガネ屋で働く受けっこは尻軽ネコのメガネフェチ、ある日メガネを売りつけたさえない男に後日ゲイバーで再会。男はかけるメガネによって雰囲気がぜんぜんかわってしまう、通称フェイスレスマンとよばれる探偵なのですが、なぜか受けっこだけはメガネの魔力がつうじなくって、あっさり探偵を見破ってしまったのでびっくりなのです。それはさておき、探偵は受けっこのライバル的なかわゆいゲイっこの素行調査をしてるというので、興味をひかれた受けっこは、無理矢理押しかけ助手を買って出るのだが云々。

 お話もおかしいのだが、なんかそこらじゅうで頭がおかしい。特に受け。
「ミオ(引用者注・ライバルのかわゆい受けっこ)が同じフロアにいる時は、のんびり物色をしていられない。いい眼鏡がいたら速攻でモノにしなくてはならない」物色対象はいい男じゃなくていい眼鏡か。
 遊んでばかりいると男根の神様(って何だ???というのはさておき)のバチがあたるわよ、というバーのママに「えー、何ソレ? その神さまって、眼鏡してんの?」おまいの脳内世界はメガネ人間(ただし全員男)にメガネ神(ただし以下略)オンリーで構成されてんのか。
 更には探偵をたずねてきた刑事が視力はいいから眼鏡などいらん、というのに、「でも、いつかは老眼鏡が必要になるだろう」とか考えてる始末、おまい老眼鏡でもいいのな…もはや剛の者だな…参りました。

 しかしこのメガネフェチの変態受けっこはもうほっとくとしても、各種男子店員取りそろえ・指名や予約あり・個室でフィッティング、というメガネ屋をつくった店長はもうド変態なのではと。仕事に復帰する受けっこのために花や客が大量に来るなど、ほとんどホストクラブである。
 一方探偵は、強烈なメガネフェチ受けのせいもあって、ちょっとキャラが弱い。メガネによって別人になる、といっても、文章でそれを表現できてはいない(ちなみに挿絵も同様に変化なし)ので、あんまり「フェイスレス」な印象がないし。

 文体がラノベ的というか、やや軽めで、☆とかハートとか入ってくるのがちょっとしんどいかも。まあ、他がもっとおかしいので、文体がおかしいことぐらいあんまし気になりませんが。
 続編出たらいいなあと思いつつ、スピンオフなどの他のキャラのお話ではなくて、この二人のお話が読みたい。

 まあそんなわけで、とにかくメガネスキーとトンデモBLスキーにはオススメです。読まれた方が、いくらなんでも限度があるだろう…とドン引きされても、責任はとれません…。

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