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2009年05月02日

田中鈴木『愛しあってる2人』

 短編集のような感じ。なんだかいまいちだった…ZEROの男女ものが入っているし(笑

 ゲーム廃人な恋人を殺害とか、見かけは地味な正義の味方とか。幼なじみの彼女は宇宙人マニアとか。
 なんかなあ。BLが描きたいのか、SFが描きたいのか、それともなんか違うものが描きたいのか、よくわからなかったなあという印象。田中鈴木の初期短編とかってそういうの多いような気がするが。

Yonda?パンダ。

 連休ってすばらしいですね。クロエです。こんばんはです。

 ところでYonda?CLUBなのです。
 新潮文庫のマークをあつめて景品をもらうこのサービスは、最初のバージョンで漱石腕時計をもらった後、マーク100枚でもらえるぬいぐるみを目指してママンといっしょにこつこつためていたのですが、70枚分くらいまであつめたところでマークをはりつけていた応募用紙を紛失し、ゼロからまたあつめていたのです…のですが、今年になって景品が第三バージョンに変化した際なんとぬいぐるみが消えてしまい、かなりがっくりしておりました。
 が、このたび100枚あつまったので、ダメモトで電話してみた(ママンが)ところ、在庫があるので送ってくれるとのことだったのですよ。

 ということで、これはそのYonda?パンダなのですよ。
 結構しっかりしたつくりでかわゆいですよ。

 アンティーク調のパンダのほうもまだ在庫があるようだったので、景品変更にガッカリしてる人がもしいましたら、電話してみるとよいかもなのです。もう終わってしまっていたらごめんなさい。

2009年05月03日

有栖川ケイ『コーザ・ノストラに愛を誓う』

 日本人エージェントの受けは、コジモデメディチの秘宝を捜す任務でフィレンツェの古城を改築したホテルを訪れる。ホテルを経営するマフィアにつかまって拷問をうけるも、口をわらない受けに興味をもったドン=攻めに別荘につれてかれてこんどは身体にきいてやるぜ。

 最近はやりの歴史ミステリっぽくしたかったんだろうなあ、けどラノベレベルの設定展開に終わってしまったなあ、という感じ。
 フィレンツェの描写はくどくどしくて、ああフィレンツェ好きなんだろうなあと思った。懐かしいしそれなりに楽しく読んだが、冷静に考えると結構冗長。
 そして、エージェントもマフィアも、あんまりにもテキトウすぎるよ…(涙。お手軽歴史ミステリにお手軽エージェント、お手軽マフィアという感じでどうにもこうにも軽すぎる。BLなので、それが恋愛の軽さにもつながってるので更につらい。
 たとえば受けがマフィアにつかまって、ああこれから延々拷問描写だな…と覚悟したところで、数発蹴られて銃を向けられても屈せずにいたら、あっさりマフィアは受けを認めちゃうし、いきなり手込めにして愛欲の日々だなんて、なんでそこまで唐突に入れ込めるのか…。
 受けが女々しくないのはちょっとよかったが、お手軽エージェントなこともあり、読んでてそれほど変わったところもあまり感じないのに、なぜ攻めはそんなにも入れ込むのか…と、橘かおる「鳳麗国」の受けのような、作中ではすごく褒められてるのに凡人ぽい、ハテナな印象の受けだった。
 文章もいまいちだし、コルシカの歴史は侵略の歴史って、この書き方ではコルシカはどんだけ強大な国家なのかと…(笑

 あと挿絵が、まったくイタリア人攻めという設定の美点を活かそうとしないというか、端的にいって日本人と外国人がおんなじ人種に見えるのでがっかりなのです。

2009年05月04日

楠田雅紀『アゲハ蝶に騙されて』

 取引先のひとを接待してたらゲイバーに行きたいというので仕方なくついていったら、すんごい女装美女に一目惚れ。その後やってきた新入社員があまりに出来すぎ君なのでふさぎ込んでまた彼女に会いに行ったら、もう来んなとかゆわれて涙目。
 でもその後輩が評価されて異動とかになって、なんかもうもうもうなのでみたび彼女に会いに行ったら、彼女はあなたはこんなとこに来ちゃだめだとおもったの、とかなんか謝ってくるので、甘えて飲んでそうゆうことになって、もちろん彼女の正体はそうゆうわけだったのですよ!

 受けは自省もしてるように、特殊な状況とはいえ、ちょっと自分勝手な言動がめだつししんどい。あと、冒頭近辺からちょっとイヤな予感はしたのだけれど、とんでもない地雷(バツイチ子持ち)をかかえていて…アイター。
 でもそういうイタイ部分は、あたしの個人的な地雷って部分も大きいし、物語的には必要な/無理のない設定・展開でもあったし、それになにしろ、こうした部分を補ってあまりあるほど、攻めがちょうカワイイのです。
 無表情エリート、と思ったら実は不器用なだけ、そして女装すると泣き虫で表情豊か…と、とってもステキな攻めなのですvv作者のあとがきに、トラックの荷台に載るイケメンが書きたかったとか書かれていて、これもちょっと笑った。

 そんな感じで、お話としては全体的にかなりよかったなあと思います。

 絵がなあ、三島一彦はやはりデッサンが厳しく…女性、というか女装姿もあまりカワイくない…表紙はかわいいのだけれど。あとこの設定なら、口絵は女装姿のほうがよかったのでは。

2009年05月07日

水瀬結月『恋花火』

 客室乗務員は男性ばかりですと…!?
 リアル『楽園30000フィート』か!

 アンドロイドがすんごい発達した結果、みんなアンドロイドと恋愛するようになって出生率下がってすったもんだ、今ではアンドロイドは伝統の技術継承のための記憶装置「職人形」としてだけつかわれています…というSF設定がかなり無茶な気が…!!アンドロイドもうすこしくらいはいろんな分野で使えるんじゃ!?
 とかいう疑問はなるべく気づかぬふりで。

 というわけで、院生の受けは数少なくなった線香花火工房にその技術をうけつぐために飛ばされるのだが、職人が入院中の工房で待っていたのは人間とそっくりたがわぬ職人形でして。

 なんかもっと日常生活での交流が積み重ねられてのち恋愛へ、という流れかと思っていたら、案外にもすばやくラブ的な関係になったのでちょっとびっくりした。
 なんで職人形が受けをすきになったのかはよくわからないというか、老人な職人以外では初めて出会った人間が受けなのだろうなあという感じ。しかし、全体にこのアンドロイド攻めのセリフや描写はとても面白く読んだ。

 受けのほうは、いくら好かれてもアンドロイドの感情を信じ切れないという葛藤や、そのため関係をもった後も攻めに「愛してる」という言葉は言わせないという(言わないではなく言わせない)一種むごい強制が面白かった。
 人の顔色をうかがってばかりだった過去、というのがいまいち描写がたりないというか、もう少し丁寧に設定・描写してほしかった気がする。なんかあんまり特徴のないキャラクターだと感じてしまったので。

 あと、上述のようにSF設定がちょっとあたしにはハテナものだったのだが、不要になった職人形の処遇にかんする設定はあまりに残酷だなあという感じ。なんかそういう設定の仕方がどうもなじめなかったかも。その残酷な将来の乗り越え方がちょっとお手軽に感じられたのも、微妙ではあった。

 なんかまた文句多いですが、アンドロイドというオイシイ設定で、全体的には面白かった。
 花火工房という舞台設定も最初はハテナだったが、花火にまつわる設定や花火の使い方は面白かったし、よかったと思う。

2009年05月09日

桂生青依『恋々と情熱のフーガ』

 ドラマチックなタイトルにはひかれたものの、自分をふった男に会いたい旨のメールをおくったら、姓名ともに同音の名をもつ別人に偶然メールをおくってしまう…という梗概に微妙な気持ちになり、どうしようかなあと思ってはいたのですが、結局読んでみた。
 しかし…、ドラマチックなタイトルとトンチキな始まり方には良くも悪くも似合わぬ、平凡というか凡庸なお話でございましたよ。

 受けは今までは相手にあわせてばかりだったのが、攻めにはもう最初からこんなんなので自然体でつきあえるなあと思ってしだいにラブへ。
 受け元カレはきれいになってく受けに未練執着ついには事件を起こす当て馬っぷり。
 攻めは偽装結婚離婚の過去あり、チャラいようで包容力のある、なんかまあふつうの攻めですな。

 自然体になっていく受け、というのは描写的にワガママ受けと紙一重になってしまうのではないかと時々思うのです。

2009年05月10日

いとう由貴『天使と野獣』

 髪を切りました。こんな短いのは久々です。美容師さんに、アレみたいにしてください、とはとても言えず、なんとか回りくどく意思表示したのですが、わりとイメージ通りにしてもらえてよかったですv

 北東欧?あたりの架空の国にピアノ留学中の日本人受け。道に迷って邸の前で行き倒れたら、その邸の貴族が助けてくれて滞在させてくれることになりました。しかし受けをたすけてくれたのは、ほんとは隣の邸のなんか悪い噂がつきまとう嫌われ者貴族=攻めだったのです。受けは噂も気にせず隣りの貴族に近づいて、攻めも天真爛漫な受けが好きになってしまい、なんかそういうことになるのですが、お世話になってた貴族がなんか遺産問題でもめてるらしく事件が続発、攻めがそれら事件の犯人だと疑われたりなんだり。

 なんだか薄かったなあ。後半とばしてしまった。
 架空の国である必要あったのかなあ。
 遺産問題がクローズアップされてたけど、あんまし面白みがないし恋愛物語にからめてもあんまし面白くなかったし、解決に関してもなんか飛びすぎてちょっとそらぞらしくなってしまってる印象だ。
 受けはいい子というかむしろむやみに天真爛漫というか、なんかあんまり感情移入できない。性別受け的な印象もある。
 攻めはせっかくヒゲなのにあんまし活きてない。悪い噂のせいで孤独な攻め、でもほんとは優しい、というキャラもあんまし奥行きがなくて魅力的には感じられなかった。

 うーん、いろんな要素がなんかそれぞれ微妙に活躍できてないというか、勿体ないような、なんかそんな感じ。

2009年05月12日

高尾理一『二十六年目の恋人』

 二十六歳でゲイでもてなくてチェリーで妄想癖の受け(推定)は最終面接でイケメン社長に一目惚れ。就職後すぐに出された出向から帰ってきたものの、社長の前で失態、しかしメガネを壊した詫びということで社長がごはんおごってくれるというのです。チェリーを話題にされると過剰反応したり、失態だらけだったり、お酒にめっさ弱かったり、社長に迷惑かけまくりなのですが、社長はアレが気になって気になって、なんかまた食事に誘ったりしてくれるのです。

 お話自体は、BLとして王道なような、めずらしいような話でしたが、全般に面白かったです。後半やや理屈っぽいのにもうちょっと整理できそうな感じはしたけれど、全体的にはよかったと思う。

 キャラがよいです。
 受けがギャーギャーうるさくて、普段だったらあんまりあたしの好きなタイプではないのだけれど、仕事が出来たり(それもあんまりわざとらしい感じではなく、実はいろいろ考えてたり、そういうとこが高尾理一の受けらしくってよかったです。うるさくて天然でダメ太郎だけれどそれでもにくめない、よいキャラなのです。
 社長はイケメンだけれど、受けは好きな人がいるのに自分につきあわせてる、とか思い込んで勝手につっぱしったり独占欲つよかったりで、やっぱり高尾理一らしいよい攻めです。はずかしいセリフも苦にならない、とか思うとこが好き。
 受けの先輩とか社長秘書とか、なんか高尾理一っぽくない感じもしたけれど、だからこそこのひとたちももうちょっと読んでみたい気がした。

 と言うかね、高尾理一のこういうコメディを前面に出したような話って、もしかして初めてなんですかね。
 あたしはこの作家のコメディ的な要素が大好きで作家買いしてるんで、こういうのは大歓迎だなあと思いつつ、もしかしてきっちりコメディなのは初めてなのか、とちょっとびっくりしたのでした。
 こういう路線また書いてほしいなあ。受け先輩の話とかも書いてほしい。

2009年05月13日

大和名瀬『野獣で初恋』

 なんだかいまいちだった。

 表題シリーズはバレー一筋体育大学生×整骨師、真面目学生に好印象だったのになんか惚れられて初恋らしく不器用な大学生にふりまわされる、苦い過去ありの整骨師。
 ちょっとお話やキャラがあまり練られていない印象というか、やや大味で、あまり惹かれる部分がなかった。

 高校生の友人同士がラブに、は、結構古いお話ということもあり、受けがショタ気味だしこれまたあまり面白みがなく残念。

 しかし、理容師×ボケボケメガネリーマンの短編は、雑誌で読んだときから大好きだったので、まあこれはやっぱり買いだったのです。受けが『便利屋さん』の天然受けみたいでとてもカワイイ。

2009年05月16日

西江彩夏『ナルシストの憂鬱』

 なんかいそがしいので本を読んでいる時間がないはずなのにー結末が気になってとまらなくなってしまった。

 わー!変な攻めのお話ですよ!

 家電店のクレーム係の受けは、そこそこきれいめなお兄さんですがゲイなのです。隣りにこしてきたイケメンはとにかくイケメンだしめちゃ好みなのですが、とにかくワガママ俺様ナルシストではた迷惑なのです。電化製品こわれたとかで夜中に呼ばれたり、いくらタイプでもこんなん好きになれないぞ…とか思ってたら、しだいにイケメンの孤独さとか不器用さ素直さとかに気づいていつのまにやらフォーリンラヴですかね、あれれ。

 わー、途中までは神のように面白く、こ、これはヤバい…!と、なにがヤバいのかよくわからないなりにかなりの危機感と期待感でゾクゾクさせてくれてたのですが、後半ちょっとグダったような。
 しかし後書きによるとこれがファースト単行本なのだそうで、一作目からあんまり神作品でも困ってしまう(?)ので、それにグダっていてもなおかなり魅力的なお話とキャラなので、よかったのかなと思います。

 しかし攻めカワイイなあ。正直読み終えて思い返すと、ワガママなのは正直だからで、率直さは素直さでもあって、実は真面目で勤勉で、恋人になると甘やかしまくりで、でも有事のさいにはいじわるで、と、なんかあんましキャラたってない気もするのだが、そんなこんなをまるっとくくって勢いで書ききってくれてる感じ。あと、よくわからんけどとにかく変であることだけは確かなので、変なキャラ好きのあたしの萌えをきっちり刺激してくれた感じ。
 受けは自分の思ってる事言えないのが優しいキャラと勘違いされがちで、それで元カレともうまくいかなかったり、クレーム処理がうまかったり、それで攻めのワガママにも振り回されたり。で、その攻めになんとか自分の思いや考えを伝えようとがんばったり、するっと伝えてたり

 なんか後半はなにが問題点なのかがだんだんぼやけてきてた気がする。
 攻めが出来ないのは怖いからで、なんで怖いのかというと受けへの遠慮だと本人は思ってるけど、受けが考えるにたぶん攻めは自分をさらけだせないからで、それがナルシストだということなのだろうが、あんましそのあたりはっきり書かれてなかったしややわかりづらい。そして、攻めのそういうところを埋めてあげたいのに、逃げてしまって別れを選んで、自分も悲しいし攻めにも申し訳なくて、という辛さはわかるのだが、それをひっくりかえして別れを諦める決心をさせてくれたのは、攻めがなりふりかまわずに来てくれたからなんだよね?ということは、それがナルシシズムを超えた、ということなので、寝る寝ないにかかわらず、それだけで攻めとやりなおそうと思えたのだ、ってことかな?
 と、まあなんか説明はできる気がしますが、もうちょっと整理して説明もしてほしかったなあ。

 というわけで、キャラもお話も構成があらっぽい気がしましたが、荒削りさが魅力でもあるような気もするし、いろんな意味で面白かった。

 タイトルはあんまし合っていないし、インパクトにも欠ける気がしてもったいない。
 絵は、金ひかるはすきなのだが、線がやわらかすぎるので、この話というかこの攻めには合わない気がした。もっとカッチリしたゴテゴテイケメンを書けるイラストレーターさんがよい気がするのです。

2009年05月17日

語シスコ『世界の中心で愛なんか叫べねーよ』

 表題作シリーズは『ラブ&カタストロフィー』の後日談というのは何とも悩ましい…。『ラブ&カタストロフィー』はやっぱり大好きなわけですが、後日談は読みたくなかった…。
 って、案の定イチローは浮気しまくりで、そんなことだろうと思ったよ!だから読みたくなかったんだ!!なんか少なくとももうちょっとくらい菊ちゃんへのラブを見せつけてほしかったよ…パートナーとしては認識しているらしいが、そしてあのイチローが定住定職につくなんてそれはラブだと言われればそうなのかもしれないが、なんかこう、もうちょっと…はっきりとしたラブを…。

 しかし、脇キャラのレイジの話と菊ちゃんの編集さんの話はそれぞれ面白かった。なんというか、きっちり語シスコらしい面白さで、まだまだこの作者に期待したいなあと思った。

 兄の友人×超ブラコン高校生の話は、受けがワガママすぎてちょっとつらい。語シスコらしい話ではある気がするけれど、やっぱりなんだかもうちょっとラブを…。

 エッセイ日記は特に感想はないのだが、中村明日美子とは結構年齢差がありそうだなあと思った。あと、語シスコがOPERA作家の中に居るのは、あたしとしてはなんだか少し違和感があるのだが…ていうか西田東とかも違和感があるけれど。
 それはともかく、復活後の語シスコはなんだかちょっと迷走気味な気もするのだが、これからもじゃんじゃん面白い話を書いてほしいなあ、と改めて思ったのでした。

2009年05月22日

みろくことこ『イインチョと俺!俺!』

 文字通りの修羅場でございました。なんてこった。
 忙しいですよ!

 サッカー部のイケメンチャラ男はメガネっこ委員長が大好きで、な表題作は、アンソロ連載はむずかしいよね…とあらためて思った。
 どこのテーマアンソロもたいていそうなんだけど、毎回お題にそったお話にしなきゃいけないのに連載にすると、お題の内容はうすく、連載の内容は構成もキャラ設定もちぐはぐになりがちで、誰もうれしくない気がするのですが…。
 そんなわけで、委員長大好きなわんこが本性のチャラ男も、正義漢な委員長も、なんでそんなふたりが毎回鬼畜にエロくなってんの??と、違和感だらけでそんななのに押しかけわんこといいんちょ、という設定でつなごうってのは無理があるのでは、と…。
 タイトルだけはすごくかわゆくていいと思うのですが。

 あとシークレットなんたらというシリーズなのか、短編連作なのか、タイトルが似てるだけなのか、な短編いくつかは、なんか妙に設定とか展開が暗くて、門地かおりっぽい気がした。

 

2009年05月23日

角田緑『ヒショケン!』

 そんなわけで、修羅場に動揺した精神をなだめるために毎晩のんだくれておりました。
 ただ飲みたかっただけという噂もありますが。

 同い年の社長×秘書。
 突然取締役付き秘書を任命されたものの、アメリカ帰りで日本の会社で働いたことない攻めにふりまわされる受け。仕事をしっかりしたいのに、なんかおいてけぼりでもきー!なのです。

 ノンケリーマン同士って、なんというか、とってもBLだなあという気がするのです。ノンケなのになんでそこで胸キュン?なんでラブ??と思っても、それがBL世界の論理だとしか。
 そんな感じもあってか、ちょっとライトだったなあという印象。キャラもいまいち薄め。
 あと攻めがアメリカ帰りだからとかいって、スタンドプレイ多くてなんか周り見ない人のこと考えない感じで秘書を呆れさせたり不安にさせたりするし、ほんとに優秀なのかよ、という印象もちょっとあった。

 タイトルの意味がよくわからなかったのだが、あとがきによると秘書兼とかその他もろもろいろいろ意味があるらしい…ちょっとわかりづらくて微妙な気もする。

2009年05月24日

「森鷗外展 -近代の扉を開く-」

 神奈川近代文学館の「森鷗外展 -近代の扉を開く-」にいちきました。

 内容はタイトルどおりでしたが、森林太郎として死せんと欲す、の鶴所筆記の遺言書とか、やはりおおーって感慨深く拝見しました。

 しかし…今回はまあ、自分の反応はそうなるだろうとうすうす予想してはいましたが、こないだ文学BLを書いたので、ものっそい個人的な妄想で楽しかった…。
 観潮楼の模型をみてたら厩があるのをみつけて、陸軍省には騎馬で登庁してたのかーと気づき、これはネタになる!と喜んでみたり、なんかあたしはここにネタを探しにきたのかね?という感じでした。漱石の雑誌掲載小説のスクラップとかも、鷗外よほど漱石気に入ってたんだなあとかなり和みましたが、やっぱこれもネタになっちゃいそうだし…。アホな妄想が同行者にバレはしないかとひやひやしておりました。
 まあ、そういう楽しみ方も、いい…んではなかろうか?不敬ですかね?

 あと、港の見える丘公園は、バラが咲きまくっていて見応えがありました。
 横浜市は開港一五〇周年だそうで、いろんなイベントを企画してるみたいですね。すごいお金かけてそうなんですが…何かを思い出すんですが…一五〇って、なんかこう、人をまどわせる数字なんですかね?

2009年05月26日

神江真凪『MOON DIVE』

 ところで美容院って、雰囲気にあわせた髪型にしてくれる気がするので、ちゃんとオサレしていかないと、と思うわけじゃないですか。なので、かみがわさわさでもう限界!となって美容院に行く時って、かなりがんばってオサレするわけですよ。メイクばっちり、わさわさの髪もがんばってスタイリングして。で、美容院の鏡をみると、アレ?こんくらいだったらぜんぜんいけてない?髪切らなくってもよくない?とか錯覚してしまう罠。ちゃんと切らないと次の日からまたわっさわさなのだよ!
 というわけで、新しい髪型はいい感じなのですv短いと楽ですねv

 作家買いまではいかないけれど、新刊出たら一応梗概はチェックする作家さんで、今回は人魚のハーフ青年は満月の夜には女体化してしゃべれなくなる…という設定に、ああ~あたしの地雷だわーと思ったものの、女体時に再会した高校時代の同級生にムラムラして無理矢理抱いてしまい…って、オイイィィィ!攻めが女体化かよ!と驚き、あたしなんか梗概を誤読してるのかしら…と不安になりつつ読んでみた。

 や、ちゃんと攻めが女体化人魚でした(笑

 親切イケメン優等生で、だけど秘密もあるし、人とは距離とって過ごしてるだけの攻めは、けれどほんとは親切でもなんでもなくって、受けにも彼女にもそうとう非道だし、初めて受けに執着を覚えて大混乱の行動原理不明瞭で、ちょっと読んでて一貫性なくてしんどい。けど性格のわるい攻めが自分の感情をもてあましてるのは読んでて面白い。
 受けは人になれない野良猫のような感じなのだが、まわりになじめない若者っぽさがすごくよく出てる感じで、とりつくしまの少ない話し方がとてもうまいなあと思った。しかし攻め視点のお話ということもあり、内面がやや不透明でものたりない。

 しかしまあ、攻めの女体化設定は斬新で面白いと思ったのだが、後半ほとんどその設定活きてないし、ていうか人魚設定の必要性はもっとわからないし…なんだかなあ。攻めの無茶苦茶さとか、攻めが何とも思ってなかった受けに近づくきっかけとかをつくるためだけなら、他の設定でも代替がきいてしまうような…。

 絵がなあ。やはりこの絵師さんあまりうまくない気がしてきた。攻めの顔が怖い…女装したまま男に戻ってる絵は特に怖いし、なんか昔の人みたい…フォークっぽい…。

2009年05月28日

限界なんて、

 こんなもんじゃない…って、ほんとかよ!
 なんか大変なのですよ。南の島に行ってのんびりしたい!

 サイード関連の本を読んでいるのだが、世俗世界性という用語ははじめてきいた、というか、訳し方が特殊なのかなあ。
 それはさておき、その考え方がなんかうまく納得できないんだが。

 テクストなり批評家なりは、どうがんばっても世俗世界ときってもきれない関係で、固有の世俗世界「性」にしばられている、という指摘の意味自体はわかる。でも、その世俗世界性が批評の強度を担保する、というのはほんとうですか。
 だって、たとえばやはりサイードが指摘したように、フーコーが帝国主義を看過しているということを批判する場合、フーコーの限界はイコール彼の世俗世界性、端的にいえば西欧人であることに原因を求めてしまっていいことになるんじゃないですか?それって、なんかちがくないのかなあ。
 身近な問題にひきつけて考えると、同性愛について語る際に、ゲイセクシャルの言説は、無条件であたしの言説よりも強度を持ちうることになるんだろうか?
 まあなんか、あたしがまだよく理解できてないのかもしれない。きちんと原典にあたらないとダメだよね。
 しかし今のあたしのとぼしい理解では、こんなことに…。

「ところで君達、『良い批評』というものはどうすれば作れるか知っているかね。『世俗世界性』だよ。『世俗世界性』こそが批評に命を吹き込むエネルギーであり、エンターテイメントなのさ。『批評』とは主張や批判で書かれていると思われがちだが実は違う!生まれた場所や育った環境、同時代状況にめぐまれてこそおもしろくなるんだ!たとえば西欧人が各論kwskといって批判するだけの、この『オリエンタリズム』!どういう風にわたしが生きてきて、どのような環境にとりかこまれ、何を見て、何にさらされているのか!」
「うええ!個人的だ!」
「個人的!?ど素人がこの『エドワード・サイード』に意見するのかねッ!」
「い、いえ、意見だなんてそんな。すみません。」
「味もみておこう」
 ペチャペチャ。

 …バカですみません。
 なんか勘違いしてたらご教示いただけるとすごくうれしいです…。

2009年05月31日

お兄さんについて。

 更新が遅れておりすみません。初恋姫としのぶれどのことは、倒れていなければ来週ゆっくり書きます。

 今号の『モーニング・ツー』に、お兄さんのパロディの戦隊ものマンガが封入されてるそうで、買ってみようかなあとは思っているんですが、そのパロディについて「イエスとブッダが戦隊を組む漫画が海外オタクにバカ受け」という記事を発見して、すごく興味深く読んだのでした。海外のキリスト教徒にもかなりウケてるらしいのと、偶像崇拝厳禁の人々の反応と、さまざまですが、ただ世界はあたしが思っていたよりかはずっとフリーダムなのだなあとは思いました。まあ、日本のフリーダムさは突出してるのかなあとは思いますが。

 しかしなんでこの話をBL雑感カテゴリにいれているのかというと、そんなことを思っていたら、同じブログの別件でこの「初音ミクが歌うイスラエル国歌が海外で波紋」という記事を読んだからなのです。
 本題はおいといて、本文末尾では、イスラエルでもオタク趣味がひろまりつつある状況を紹介してくださってるのですが、兵役の関係で男子は脱オタしがちで、女子は軍でも裏方だったりしてオタ趣味をつづける、ということらしい。以下引用。「結局イスラエルのオタク社会の将来はユダヤ腐女子の肩にかかっている。ちなみに聖書ネタのやおい同人誌がやたらに多いのがイスラエルの特徴。「イエス×ユダ」で痴情のもつれからユダが裏切るとか「ダビデ×ヨナタン」の超濃厚カップルとかぶっとんだ内容である。私も噂に聞いているだけなのでぜひ実物を見てみたい。見たいぞ!」

 …え?
 世界はもっとずっとフリーダムだったのですね…。
 あたしも読んでみたい…。

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