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2009年01月01日

新年~。

 あなたが
 もし

 売れ線BLが嫌いで、
 小難しいBL書評が嫌いで、
 平凡な天然受が嫌いで、
 ド派手なセレブ攻が嫌いで、
 学園ものが嫌いで、
 擬人化が嫌いで、
 テンプレ展開が嫌いで、
 雰囲気漫画が嫌いで、
 デモまだあきらめていないのなら

 マヨイガのBLコミクス日記を読むべきだ
 マヨイガのBL小説日記を見るべきだ
 その瞬間からあなたは余裕ブッコイてステキBLに萌えるハズ
 たっぷりモエたら、論じる予定。

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 あけまして、おめでとうございますv
 今年のサブタイはリトバスのキャッチコピーのパロディです。すんごい大見得きってる感じですが、まあ大見得きっていきましょうか!(笑

 それで、また、なんですけど、HNを替えようとおもうのです。
 というか、いままでうだうだといくつもHN、というか姓を変えてきているのは、あの姓をかりたいけれど、それってあんまりにもイタくないか…という拘泥のためだったので、まあもういいじゃん、と思うことにして、今年から、ふふふ、山中クロエ、と名乗って参ります…何も言わないでくれ!

 今年もマヨイガをどうぞよろしくお願いしますv

2009年01月03日

ユキムラ『天然+極楽魔法使い』

 

 社長×メガネっこ魔法使いただし三十がらみ。
 突然出現したかわいくない魔女っこに、魔法増幅のアンテナになる契約をせまられ、実は孤独な社長はしだいにどきどき。

 面白くなくはないのだけれど、魔法の設定がゆるく見えていまいちなのと、だからといって(ファンタジーは二の次なのに)がっつり恋愛物語書いてるわけでもないので、全般になんか物足りない感じ。アンテナって結局どうつかうのか、ただ契約してるだけで一緒にいなくてもいいのかとか、魔女っこの攻めへの気持ちとか、わかりづらい感じ。

藤たまき『遊覧船』

 ひさびさにファービラスなBLでした。

 身体をこわして商船高専を休学中の受けは、遊覧船の船着き場売店でバイト中。なんかチップをはずんでくれる客が実は小説家で、旅館やってる実家の別邸に滞在してる事を知って食事をとどけにいくようになったが、なんかことあるごとにやたらお金くれてそういう関係になったらめっちゃお金はらおうとするのです。

 お金の関係しか信じられない攻め、という設定がよいです。傲慢でエキセントリックな(あたしの好きなタイプの)攻めでありながら、ある意味かわいそう攻めなんだよね。
 あと、観光に行く話で、攻めが受けに高級なものを贈ろうとたくらんで倒れて、受けが品物を返しに行って「愛」の「バカバカしさ」と「なさけなさ」に泣いてしまうとことか、すごくいいです。こういう恋愛のみもふたもないある種現実的な側面って、実はフィクションの中で読むのはあんまりすきではないのだけれど、なんか今回にかぎってはすごく気に入った。上述のふうがわりな攻めのおかげかもしれない。受けが攻めの贈り物をさんざん突き返してきておいて、自分のかってあげたサンダルに喜んでる攻めを見て、自分があげたプレゼントを恋人に喜んでもらえたらうれしいのだということに思い至って心をいためるとことかもすごくよい。

 そんなかんじで、全般に、虚構らしい、ふうがわりなキャラや、ちょっととっぴな設定・展開のなかで、恋愛のありようを地道に描いているように感じてすごくよいなあと思いました。そういう非日常と日常のバランスのよさって、あたしが作り物語に一番求めているものなのかもなあと最近思うのです。

2009年01月04日

小椋ムク『センチメンタルガーデンラバー』

 表題作のシリーズは、にゃんこ×人間と、人間×にゃんこ。
 彼氏と別れた人間達のところに野良がきて、人化したりなぐさめたり騒動起こしたりしてくれる話。

 擬人化とか人化とか大好きですvにゃんこたちがかわゆくってよいですv
 攻めにゃんこの話は、夜しか人間になれないせいで時間の進み方がむちゃくちゃ早かった(笑。しゃべれない設定もふくめて、受けにゃんこの話では無視されてたし、設定はけっこう適当だなあとおもった。
 あとこの話自体にはあんましかんけいないけれど、人化ものは寿命の問題が気になってしまうので、なんかご都合設定があってくれると更によいですv

 不良×天然古本屋さんとか、兄弟とか、ほかの短編もそこそこ面白かった。

砂原糖子『恋のはなし』

 性悪ノンケ×おぼこなゲイ…という王道CP。
 ホテルづとめの美形ゲイは、いままで男とつきあったことがないのです。あるとき昔片思いしてた相手=今は親友に、男を紹介してやると言われて出向いてみたら、なんかすごいタイプなのです。が、実はその男は親友のいとこで、都合が悪くなって来られなくなった従兄弟の伝言役のノンケだったのです。たちのわるいノンケは脚本家で、美形ゲイに興味をひかれて自分は代理だということをかくしてつきあいはじめて云々。

 王道でよいですね。攻めがたちわるくてよいですね。続編で、物慣れない受けにアホらしくかつひどいウソをついて、受けもまたそれを信じてしまうあたりが可笑しかった
 あと受けが、攻めのウソにきづいてもすぐに切らないとこが、ありがちではなくてよかったように思う。ノンケだと気づきつつ付き合いつづけて、自分は女性と比較されてるのだろうと思って勝手に傷つくあたりが、面白かった。

2009年01月05日

よみさし。

 かわい有美子『進行性恋愛依存症』傲慢ノンケ社長が大学時代にケガでバスケ選手の道をたたれたころも、社会人になって突然呼び寄せられた今もつくしてる受け…が、かわいそうすぎるというか、過去編の後半もふくめてつくしてるばっかりでなんか読んでてうつうつとしてきてしまい、途中でいやになってしまた。

 小林典雅『美男の達人』なんかモテ塾のうんちくがずらずらと続いて、一体何の本なんだろうと思った。そのうんちくも理論立てて構築されたものではないのだろうし、かといって笑えるようなネタでもない。肝心のBLは、同僚につきあってやってきたノンケが美人講師に惚れて、たしか講師には子供もいたような。パラ読みしたけれど、なんかあんまり面白い展開でもなかった気がする。

 名倉和希『ラブ・トライアングル』イケメンオヤジ探偵→理容師←探偵の息子のイケメン高校生。なんか途中で飽きてしまった。キャラたちにあまり惹かれなかった。しかし気が向いたら続きも読むかもしれない。

 水無月さらら『僕はうさぎ少年』なんだか…、雰囲気がよくわからなかった…BLなのかな。かわゆい受けに惚れたイケメンは元不良でもともとはそっくりな妹に一目惚れしていたらしい、のはともかく、高校生っぽい雰囲気がメインなのか…しかしその高校生っぽさが、ちょっと古いというかついていけないというか。

 金田正太郎『マハラジャ(藩王)と私』近代日本の洋食屋さんウェイターとマハラジャなのだが、考証どころではない絵だし、漫画がうまくなくてどうしても読めない…。

 金丸マキ『豹くんの異常な愛情』他の男×豹とか、お隣さん×妹とか、BLではない感じだしライト一人称が個人的にあわなかった。

尚月地『艶漢』1

 新人さんですね。よいですね。絵(ちょっと韓国漫画ふうな気がする)もきれいだし、お話も面白い。

 近代風和風な街。熱血本官さんが生活指導中の傘職人は、実は元暗器つかいの殺し屋で、いろんな事件が起こるのです。
 本官さんの熱血ぶりも、傘職人のダメ人間ぶりもよいのです。第一話で、本官さんの妹にあやしい誤解されるような関係性はやおいてきないみでもそうではなくても面白いのです。でも後半はあんましそういうふんいきではなくなってきたね。事件や傘職人の過去を軸にした展開がメインになると、そういうのもおもしろいけれどわりとありきたりかなあという気がするので、やおいっぽさ含めて日常の話をもっと織り込んでくれるといいなあと思います。

 ということで、なかなか面白い漫画なのです…が、傘職人、飄々ぶりとか言葉遣い、銀魂沖田に似てないか…?ていうかそもそも、全体的にツッコミの入れ方が若干銀魂っぽいような…あそこまで立て板に水ではないけれど…。気のせいかなあ…。

 あとタイトルはなんだかいまいちな気がします。作品のふんいきにあってないし、内容にもあんましあってない。

2009年01月06日

田中鈴木『メンクイ!』1、2

 読んだことがなかったので、新装版が出るのを楽しみにしていたのだが、ぜんぜん書店で見つけられずに延期したのかなあ…と本気で思ってた。たんにすごい勢いではけてただけみたい。『アイツの大本命』効果かな。

 イケメン×メンクイで、イケメンにその素朴なかわゆさを愛されるふつうっこ。田中鈴木らしく、鏡の世界に入ったり、パラレルワールドに迷い込んだり。
 ちょっと攻めが嫉妬深すぎるというか、なんかもうちょっとそうではない日常も読んでみたかったけれど、全般にライトに面白かった。

2009年01月08日

田中鈴木『転校生・神野紫』4

 アーゥイエ!
 ココまでが休暇の前半に読んだ漫画で、休暇の後半から新年早々デスマってるよ!やってらんないよ!ちょうたのしみにしてたのに、バクマンすらまだ買ってないよ!

 ルチルのコミックスは出るのが遅いので、四巻は出たのを知らなかったかもしくはあとでまとめ読みをしようと買わなかったのか、とにかく読んでなかったのですが、アマゾンヌで取り寄せて読もうとしたら、まあ別に読めるんですが、でも背景がぜんぜんわからない。紫とみどりがたたかってる理由はなんとなく覚えてるけど、周りのモブの幽霊たちがどんなキャラだったのかよくわからない、のに、幽霊たちが個々にドラマしてるので、これはこのまま読んでも大筋は理解できるだろうけど、モブの話がわからんまま読んでしまうのはもったいないかもしれない…と思って、一巻から読み直しました。

 …読み直してよかった。
 この最終巻をもっとはやく読んでいたかった、という後悔はあるものの、おざなりな中で読んでしまわなくてよかった、とも思った。

 左手に祓いの力を持つ神内みどりは、ゼンゼン覚えてないんだけれど幼なじみらしい転校生・神野紫につきまとわれつつ、「文化祭の一日前を永遠にくりかえしている学校」に閉じ込められてしまう。そこで出会う霊たちは、数年前の文化祭前夜に学校に泊まり込んでいて、火災で亡くなった生徒達らしいのだが、みどりの左手の力を排除するために、生徒会のメンバーを中心に実力行使をしてきて云々。

 そんな転校生神野紫・最終巻、とってもよかったです。紫とみどりの話はわりあいよくある系…ていうか、そもそもこの転校生神野紫自体が、オカルトマンガとしてはわりあいよくあるタイプのお話なんだろうとも思うのですが、にもかかわらず/だからこそとってもよかったし、幽霊たちの話も本当にベタながらとってもよかった。白夜と栄は未来話もふくめてすごくせつなくよいし、紅や桃・桜、その他みんなよかった。
 よくあるお話、を、いかに魅せるかというのは大事だよなあ。だってそうじゃなきゃ、どんどんとっぴなお話に流れて言ってしまうもの。

2009年01月10日

須和雪里『サミア』

 きのうはジョジョ女子会が開催されました!
 いつもよりネタバレです。

 短編集。
 表題作は、死ねない身体にされて宇宙を放浪する刑を受けている宇宙人が、自分を唯一殺せる鍵をもった地球人の高校生のもとへやってくる話。
 なんていうか…、BLではない気がした。高校生が死ぬ間際に宇宙人を殺してあげればいいのかな、と思ったら、高校生が不意に死んでしまったらどうするのとかいう話になるわ、それでもまだ猶予はあると思ってたら突然鍵の寿命がくるわ。そして、よもやと思ったアンハッピーエンド。こういうお話としては特に筋をはずさない、まあいってしまえばベタなお話という気がしたし、アンハッピーエンドでもいい、と思えるような惹かれる要素がなかったので、個人的にはいまいち好きになれなかった。

 二作目以降はなんかエクリチュールがコメディっぽくて、本来的にはこういう雰囲気の作家さんなのかなあという印象をもった。
 家族にめぐまれなくって感情の未発達なイケメンが、同級生の男子を泣かせてみたいと思っているのに恋ではないと思ってる話は、特殊な志向の攻め一人称でほんのり笑わせつつ、ちょっとせつないとこもあったり、でもなんか文体のせいかみもふたもなかったりで、おもしろかった。
 高校生が事故にあってハムスターに憑依してしまったら、飼い主は同級生で、しかも自分のことが好きらしい話も同様に笑える感じで面白かった。

 しかし全体にあまり萌えはないように思います。うーん。もうすこしだけ萌えがあったら、かなりあたしの好みな感じなのですが。

2009年01月11日

金井桂『僕はお兄ちゃん。』

 絵はアニメっぽいけどかわいい。でも絵も作風もちょっと一ノ瀬綾子に似ている気がする。

 モテモテイケメン双子の弟に愛されちゃう平凡世話焼き兄貴なのです…が、しかし、すごくフラストレーションがたまった…!
 なんで双子なのに髪型ちがうの?二人とも性格に差がある設定なのに、なんで同じような反応しかしないの?硬派と紳士って設定なのに、ふたりともただの兄大好きわんこにしか見えないのはどうしてなの???
 それになにより、せっかく(笑)双子なのに、片方と兄がくっつくって、どういうこと!?それで萌えると思っているの!?(怒

 まあ個人的な主張はさておき、片方とくっつくにしても、読者には双子はどっちもおんなじような性格にしか見えないし、だから兄が片方を選んだ理由もあんまし共感できないし、なんだかなあという感じだった。
 あ、でもよく見たら表紙はCPだったね…双子で飛びついちゃったのがいかんのか。タイトルもいまいちだ。

 もういっこの短編は金持ちの変わり者くんと父子家庭の高校生で、表題作もこちらも料理の得意な受けだなあと思った。

本仁戻『サンビカ―本仁戻作品集』

 世間では連休中だというのはほんとうですか。
 仕事が山積みです☆

 ほぼ既読作品ばかりだったので、なんかだらだら読んでまいました。
 しかしほんと本仁戻は丁寧に漫画をつくる人だなあと再確認しました(笑

 怪物王子四部作はほんとハイクオリティで大好きです。
 「蜂の巣」収録作品は、以前読んだときも思ったけどさすがに古いのと、あとたぶんあんまし自由に書けてないんではないかと思わされるのですが、なのであんまりグっとくる感じではないです。
 怪物王子のその後の短編小説は、ちょっと正直いまいちだった気もする…。いろんな意味でライトというか。

 収録作品中の「マキニカリス」とか狼男とか、あとこないだの『フェニックス』の執事ものとか見ると、「青猫」のつづきも読みたいしまた大正ロマンぽいの書いて欲しいなあとも思うのだけれど、「バイバイミズハラ」とか『恋が僕等を許す範囲』とか読むと、またリーマンものも書いて欲しいなあと思うし、「サウンドマスターベーション」とか、あとどこだったかのコミクスに入ってた「無頼」とか思い出すと、SFも書いて欲しいと思うし、もう大変(笑。「桂」はいまいちだけれど、今の筆力でまた軍人もの書いてくれたらそれももう大変かもしれない!(笑

2009年01月12日

琥狗ハヤテ『魔王の甘い契約』

 魔王×パティシエ。
 有名パティシエ祖母みたいになりたーい受けは、祖母が契約してるといううさんくさい魔王に求愛されたり契約しろと言われたり云々。

 人外はいいですね。
 そこそこ面白かったけど、契約ってなんのことなのか、何がしたいのか、契約するとどうなるのかが最後までわからんかった…。おばあちゃんの契約とはやり方も意味合いも違うのか。よくわからん。書き下ろしのドラゴンもかわいい。

 あと短編がふたつか、あったけれど、現代日本のふつうのひとたちのお話はなんだか違和感というか、いまいちというか…。

 この作家はなんとなく昔の寿たらこの絵に似てる気がするのだが、なんというか不安な感じのデッサンというか、劣化したら大変なことになってしまいそう…。

2009年01月15日

古屋兎丸『インノサン少年十字軍 上巻』

 忙しい。寒い。ヤッベ!
 ショス5ばかり聴いています。なんか精神衛生上よくない気がするのだが。

 この作家は『ライチ☆光クラブ』しか読んだことないのですが、ほんと少年をうつくしく描くのがうまいですね。美少年を書くのがうまい、のとは違う。なんというか、美少年じゃなくとも少年は皆エロティックで、気味が悪くて、無垢で、残忍で、うすっぺらくて、かわいらしくて、きらきらしているのです。

 神の託宣をうけたエティエンヌのうつくしさと気味の悪さといったらただごとではなく、親友のテンプルナイトにあこがれるニコラのたちのわるさと魅力といったらこれまたただごとではないのです。

 しかし史実を考えても作風を考えても、凄惨な終わり方になるんだろーなー(笑。ゆーうつですな(笑

2009年01月16日

おおや和美・ごとうしのぶ『Pure 2』

 また土日も仕事ですが、あたしずっと働いてないです?なんかおかしくないです??

 これもだらだらと読んでしまった。
 Pureはまったくもって、なんでこのタイトルなのかといつも思う。こういう無意識の凄みがごとうしのぶの空恐ろしいところだ(自分でも何を言っているのかよくわからない。
 あの晴れたは章三の前で泣いてる託生とか、ギイにめっさ怒ってる託生とか、ギイを待ってた託生とか、もうかわゆすぎる。しかし章三がにぶいのと、泣き出した託生への対応が描かれてないのがもったいなすぎる(イレギュてきないみで!ていうか章三の前で泣いてギイの前では泣かないのがなんかおかしいな!
 そして春風はおおや和美で全編読んでみたいのに、いつもこうハイライトしか描かれないのでなんか淋しい。

2009年01月18日

いとう由貴『恋の誘惑、愛の蜜』

 ネタバレというかネタはバレバレなのですが、展開バレ気味です。

 高校時代の同級生、イケメンモテ男の親友は女の子をとっかえひっかえで、歴代彼女の話とかべたべたした関係が大嫌いだとかさんざん聞かされてる凡人は、イケメンにひっそり恋しているので心がいたむのです。社会人になって、フランス帰りのパティシエと男性誌のグルメ部門編集者となったふたりですが、恩師をなくしたパティシエをなぐさめようとしてなんかそんな関係に。受けとなった編集者は、イケメン攻めに飽きられないよう嫌われないよう、がんばってそっけない態度をとるのですが云々。

 なにげなーいお話ですが、結構とんでもないです。攻めが一見イケメンなのですが、ド最低かつイってしまわれてる感じです。
 そもそも、冒頭近辺の攻め視点の語りで「高校時代の貴之はもっぱら女性専門だったが、留学でフランスに行った時に男の味を覚えていた」とか出たあたりで、うわー最低攻めくさい!と思ったのですが、受けの同行してる先輩編集者に猛嫉妬するわ、すんごい気分屋になって店の仲間をびくつかせるわ、最低だしなんかもうぜんぜんカッコよくないのです。他にも、受けに好きだと伝えてないことに気づいたものの、好きとか言おうとしただけでこんなにどきどきすんのはじめて!とか、まず自分のことだもんなあ(笑。最後は攻めの好意を信じられない受けが、先輩を彼氏といつわって離れようとしたら、嘘ついて呼び出し+無理矢理+写メ撮りという半狂気のド最低コンボ。思わずへんな笑いももれるというものです。

 なんだかボロクソですが、しかし、決してけなしているわけではないのです。だって、このお話はどういうオチになるのか、この攻めの信じられなさを受けはどう克服すんのか、と思ってたところにこの狂気じみた展開が登場し、ああある意味ベタだけどそれはそれでアリかも、と思ったのも確かなのです。
 だって、これこそが本当の恋だなんて、攻め以外の誰も(読者も)信じられるわけがないのです。そしたら、これくらいの担保はあってもいいのかも、と。だからラストの場面も写メなんかじゃなくて、それこそ受けが後で考えてたように、映像をとりながらとかいう展開だったとしても、よかったんではと思うのです。BLとしては本当にどうかと思うけれど(ロマンチックではぜんぜんないよね、笑)なんかそれくらい飛んでしまっても、よかったかもなのです。
(まあでも、この攻めは、なんか数年後には心変わりしそうな気もするけど!笑

 しかし…、これ作者はどこまでわざとなのか…(笑。この攻めって、めちゃくちゃカコワルイよね?自己中だよね?って、意図だったのかどうか、微妙にわかりません…(笑。まあ、後書きにあるように、別にこの攻めは「変態」ということではないのだとは思うけれど、もっとタチわるいよね…?

 織田涼歌は絵がかわった気がする。

2009年01月20日

せら『王様にKISS!』

 2006年てもう三年前になるのかー怖い!ちょう怖い!2006年なんてついこないだじゃんか!

 それはさておき、『夜に濡れる蝶』以来微妙に気になっていた作家さんで、ちょうど見かけたのでよんでみた。

 保険医×わがままメガネ王子、ということだったのだが、受けがどんどん変な人になっていって、赤くなったり青くなったりな忙しい感じなのにほとんど無言で、なんかワガママというよりもちょっとおかしなひとという感じだった。季刊連載だからなのかな、そんなかんじで特に最初の方はキャラがさだまっていなかった感じ。ちょっと天然かわった受けっこもの、として読めばまとまりがつくかと。
 続きもあるのですね。

2009年01月23日

タカツキノボル『カフェRelishにおいで』

 アーーーーゥイエー。
 疲れ果ててますががんばってJ庭の新刊をつくります。
 あと、またおめでとう!!!

 相変わらず華やかでかわいい表紙ですね。
 そして相変わらず不思議なテンポの漫画で、個人的には面白かった。

 料理人の腕はいいが愛想はないしつぶれかけの洋食屋、常連のホストがコスプレ男メイドカフェ、のようなものをやろうと提案して、ホストの後輩やらなんやらが集まってわいわい。発案者のホストと料理人の弟がそんなかんじで。

 これ続くのかと思ってたのに、一巻でおわりなの??こんなキャラいるのに??CPいっこだけなの??なんで??
 打ち切りですかね…。

2009年01月24日

手塚治虫『MW(ムウ)』1、2

 有名作品だけど、前にも買おうとしたけどずるずる読んでなかったなあ…と思って読んだのだが、…なんか明らかに読んだことあったわ。そこここに見覚えのあるコマ、展開が。でも問題なのは、それでもなおラストシーンが最後まで思い出せなかったってことかと。
 なんだかショックですね。内容も、読んだということすらこんな簡単に忘れてしまっていたなんて。
 まああたしの記憶力にも問題があるのかもしれませんが(笑、それでもなお、はっきりいってたいした作品じゃあなかったなあと思います。

 幼い頃、某島で某軍秘蔵の毒ガスを吸って、犯罪をなんとも思わない人格破綻者になってしまった美智雄と、犯罪を犯し続ける美智雄をなんとか救いたいと思う神父なのですが云々。

 美智雄はうすっぺらいというか、ピカレスクヒーローなのはもちろんいいのだけれど、もってる論理がよくわからんというか、一貫性がない。MWの後遺症で言動思考に一貫性がないという設定なのかもしれないし、それならそれでいいんだけどきちんと一貫性がないキャラとして描写してくんなきゃ意味がない。
 特に神父にたいする感情はよくわからないのだけれど、それはキャラ設定上の問題でもあり、手塚の同性愛の描き方の問題でもあるように思う。

 ていうか、果たして美智雄は同性愛者なのか、というのがそもそもよくわからん。女性をさんざん利用していながら、結局神父のことをどのような存在だと思っていたのかがよくわからんので、美智雄はバイで神父は〈友人〉として特別な存在だったのか、それともゲイで神父を愛していたのか、どっちなのかがわからない。

 そして、その「わからなさ」が魅力になっているかといえばそんなこともぜんぜんなく、だから美智雄が(いちおう)同性愛者なのも、うすっぺらいというか、たんなる奇抜な味付け程度にしかなってない感じで、ちょっとゲンナリしてしまう。
 たとえば神父の懺悔の場面では、美智雄の犯罪について語った上で、自分にたいして「女になって」せまってくるとかいう表現をしてるし、どんだけ無理解なんだと。作者は神父を差別主義者として描いてるようには見えないし、同性愛者の美智雄は男でありながら女、という認識なのだろうし、なんか浅いなあと感じる。同性愛者が男性性も女性性も持ち合わせててももちろん構わないのだけれど、この作品での描き方は、前述の神父の表現みたいに、たんなる無理解にしか見えないものが多い。
 ほかにも、第一話で神父が美智雄のとこに訪ねてきたときも、服をぬいで「抱いて!」と叫んで神父に飛びつく美智雄とか、それはちがうでしょ!!???と思ってしまう。美智雄のキャラ的にそういう表現が活きていればいいんだけど、他の場面での美智雄との整合性がないし、やっぱりアンバランスな魅力というにはまだまだだし、たんに美智雄がキャラまいごになってた感じ。

 絵もそういう手塚のダメなとこが出てしまった感じ。
 モミアゲばりばりのメガネのエリート銀行員美智雄は、ピカレスク的な魅力はたっぷりで、手塚の絵はそういうキャラはすんごいうまい。ので、そのままの美智雄を同性愛者にすればいいのに、神父といっしょの場面になるといきなりまつげバリバリの女性的な顔になってしまって、なんなのという感じ。神父の前では女性的になるとか、何らかの感情をみせるとかいう表現をしたいのだろうなとは思うけれど、そういう内面の変化をまつげつけないで表現してほしい。

 そういう美智雄の物語は別として、過去の事件にまつわる因縁の物語の部分も、特に感想はないというか。でもこれは、古い作品だからというのもあるかも。毒ガスというものにたいする認識が、当時と今とでは違うだろうから。

2009年01月26日

「パランプセスト」

 相変わらず忙しいのです。
 ということで、次回のJ.GARDENで、オリジ?BLの新刊を出しますよ。

 ということで、以下BLかつ不敬につき注意。

 …ご注意は致しましたよ!

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2009年01月30日

井上佐藤『子連れオオカミ』

 なんか体調崩すとなおりづらいのは年のせいなのでしょうか。

 なんだかいまいちだった…あれえ。

 表題作、子連れ同士カップルというのが既に個人的地雷。子連れでも地雷なのに子連れ同士なんて地雷かける2。しかも受けがあまりに身勝手でイライラした。身勝手さをこじらせて子どもかける2になって帰ってくるとか地雷の何乗ですか。

 そんな表題作のいきおいで読んだからか、他の作品もいまいちに感じた。
 クラブオーナー?と若社長の軽いノリからそんなこんな話も、なんかキャラに感情移入できない感じ。
 総ホモアパートの二階カップルとか、ヒゲのオネエカップルで面白かったのに、そんなつまんない顔になって帰ってきてくれてもうれしくないし…。

2009年01月31日

扇ゆずは『DARLING』2

 いやしかし、風邪のなおりがおそいのは忙しいからという説も。
 だいぶ復調してきましたvでも仕事がおしまくりですv

 最近お話も絵も微妙になってきてしまったからもういいや…と思っていたのだが、一巻を読み返して続きが気になったのでやっぱり買ってみた。

 作者曰く王道とのことで、不器用イケメン×にぶいメガネ美少年のすれ違いとかそんな感じ。
 お話はまあそこそこ面白いというか、そんなに面白いわけでもないけれどつまらなくはない、という感じ。なのだが、やはり絵が…なぜこんなに崩れてしまったのか。
 受けの知り合いのお兄さんはあてうまかと思ったらたんに攻めが勘違いしただけという感じで拍子抜けしたのだけれど、そういえばこの作者はあてうま描くのうまくないんだった、と思いだしたりした。ていうかお兄さんとか、攻めの友人とか、みんな彼氏持ちなのか。しかしやはりこの作者は第三者を魅力的に書く人ではないので、スピンオフにはあまり心が惹かれないなあ。

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