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[ 読書/一般コミック ]

手塚治虫『MW(ムウ)』1、2

4091920047MW(ムウ) (1) (小学館文庫)
手塚 治虫
小学館 1995-02

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4091920055MW(ムウ) (2) (小学館文庫)
手塚 治虫
小学館 1995-02

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 有名作品だけど、前にも買おうとしたけどずるずる読んでなかったなあ…と思って読んだのだが、…なんか明らかに読んだことあったわ。そこここに見覚えのあるコマ、展開が。でも問題なのは、それでもなおラストシーンが最後まで思い出せなかったってことかと。
 なんだかショックですね。内容も、読んだということすらこんな簡単に忘れてしまっていたなんて。
 まああたしの記憶力にも問題があるのかもしれませんが(笑、それでもなお、はっきりいってたいした作品じゃあなかったなあと思います。

 幼い頃、某島で某軍秘蔵の毒ガスを吸って、犯罪をなんとも思わない人格破綻者になってしまった美智雄と、犯罪を犯し続ける美智雄をなんとか救いたいと思う神父なのですが云々。

 美智雄はうすっぺらいというか、ピカレスクヒーローなのはもちろんいいのだけれど、もってる論理がよくわからんというか、一貫性がない。MWの後遺症で言動思考に一貫性がないという設定なのかもしれないし、それならそれでいいんだけどきちんと一貫性がないキャラとして描写してくんなきゃ意味がない。
 特に神父にたいする感情はよくわからないのだけれど、それはキャラ設定上の問題でもあり、手塚の同性愛の描き方の問題でもあるように思う。

 ていうか、果たして美智雄は同性愛者なのか、というのがそもそもよくわからん。女性をさんざん利用していながら、結局神父のことをどのような存在だと思っていたのかがよくわからんので、美智雄はバイで神父は〈友人〉として特別な存在だったのか、それともゲイで神父を愛していたのか、どっちなのかがわからない。

 そして、その「わからなさ」が魅力になっているかといえばそんなこともぜんぜんなく、だから美智雄が(いちおう)同性愛者なのも、うすっぺらいというか、たんなる奇抜な味付け程度にしかなってない感じで、ちょっとゲンナリしてしまう。
 たとえば神父の懺悔の場面では、美智雄の犯罪について語った上で、自分にたいして「女になって」せまってくるとかいう表現をしてるし、どんだけ無理解なんだと。作者は神父を差別主義者として描いてるようには見えないし、同性愛者の美智雄は男でありながら女、という認識なのだろうし、なんか浅いなあと感じる。同性愛者が男性性も女性性も持ち合わせててももちろん構わないのだけれど、この作品での描き方は、前述の神父の表現みたいに、たんなる無理解にしか見えないものが多い。
 ほかにも、第一話で神父が美智雄のとこに訪ねてきたときも、服をぬいで「抱いて!」と叫んで神父に飛びつく美智雄とか、それはちがうでしょ!!???と思ってしまう。美智雄のキャラ的にそういう表現が活きていればいいんだけど、他の場面での美智雄との整合性がないし、やっぱりアンバランスな魅力というにはまだまだだし、たんに美智雄がキャラまいごになってた感じ。

 絵もそういう手塚のダメなとこが出てしまった感じ。
 モミアゲばりばりのメガネのエリート銀行員美智雄は、ピカレスク的な魅力はたっぷりで、手塚の絵はそういうキャラはすんごいうまい。ので、そのままの美智雄を同性愛者にすればいいのに、神父といっしょの場面になるといきなりまつげバリバリの女性的な顔になってしまって、なんなのという感じ。神父の前では女性的になるとか、何らかの感情をみせるとかいう表現をしたいのだろうなとは思うけれど、そういう内面の変化をまつげつけないで表現してほしい。

 そういう美智雄の物語は別として、過去の事件にまつわる因縁の物語の部分も、特に感想はないというか。でもこれは、古い作品だからというのもあるかも。毒ガスというものにたいする認識が、当時と今とでは違うだろうから。

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