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2009年11月03日

杉浦志保『SILVER DIAMOND』18

 佳境だねえ!

 灯二(今変換すんのに「に」から変換することをためらい、「じろう」で変換して二を出した)は心配した通りの展開ですごくかわいそうだったのだが、お兄ちゃんがいてよかった!甘いといわれようと、治りそうで安心したし、主匪との絆はとってもいいなあと思った。

 佳境展開というか、ラスボス設定には結構感服した。
 SDはというか、杉浦志保はよくもわるくもすごいベタなFT書きだと思うのだが、こういう工夫(工夫という言い方は失礼かもしれないが)が巧いと思う。
 そして、千草はマモノでいうとブラッドではなくカウゼル、ということに改めて納得した感じ。問題の次元が変わったって意味で。千草は一面から見ると、それこそカウゼル的な悪であるんだろうし、けど別のレベルから見ると何が悪いと簡単には言えなくなるってことなんだろう。
 だから、王子たちもどんな展開になるのか楽しみだ。

オーーパーーツ。

 オーパーツは、わるくないけど、すごくよくもない。(当社比で)キラーチューンもないし、(当社比で)捨て曲もあんましない。正直そんな感じ。
 けど、そんな印象をもっていてなお、オーパーツばっか聴いてほかのアルバム聴けなくなっちゃってるという状態が、すごくあたしにとってピロウズらしい状況なのです。グッドリのときも、ぶつぶつ文句いいながら、他のアルバム聴けなくなってずっと聴いてたし(笑。もうほんと中毒だなあと思うのです。ポイズンロックンロールなのです。

 こんどは歌詞のこと中心で。
 ダンスウィズゴッドはこんな曲で日本語詩というのがなんかよいのです。
 ユアオーダーはいいね!「ファッツドミノ」とか、Aメロでのカタカナの入れ方がさわおらしい。サビのアーアーアーはなんかちょっと笑える。ていうかサビの歌詞はちょっとベタすぎるかなあという気もする。
 メロディーは、ベートーベンって、なんかちょうこのごにおよんでというか、ちょっとエーなのですが、でも素直でいい曲だと思う。

 やっぱジョニーストロボが一番すきです。なんでかな。歌詞はさわおにしてはリリカルすぎて、詩的すぎて、かわゆすぎて、あれ、という感じ。「傷になって治らないままの、愛の深さなんてわからない」なんて、ほんとにさわおか(笑。わからない、というとこでかろうじて踏みとどまってる感じ。そんなんばっかりで、「苦手だった、優しく振る舞うなんて。嘘をついた後の気分、逃げ出したい」ってまさにそうで、優しすぎてこっちもどきどきなのです。

 パフィーリアじゃなくて、雨上がりに見た幻は、恥ずかしながら時々泣けてしまってダメだ(笑。サビの雨上がりに、見た幻、というとこがすごくいい。しかし冒頭の「ジョークは笑うのが礼儀さ」という歌詞は正直かなりハテナだ…唐突だ。

2009年11月04日

田亀源五郎『髭と肉体』

 レヴィ=ストロース氏の冥福をお祈りいたします。21世紀なんだ…。

 流石に…この表紙は…なんというか、この絵でカラーで髪ツヤベタって、怖いよー。花井みたいな坊主のひとはカコイイのになあ。
 それはさておき、中身は珠玉の作品ばかりの短篇集で、よい意味で田亀センセイ幕の内という感じでした。
 あ、基本クマ受けです。

 イケメン若者ホームレス×ヒゲ専務はやや薄味で、可もなく不可もなく。
 稚児系青年×青年を守るはずだったのになぜかいろんな人から痴漢されまくりのクマ系先輩の話は、まあほのぼのというか、ライトで面白かった。
 以前別のコミクスで短編がのっていた、イケメン少佐×白髭中将@日露戦争の話が二編あったけれど、やはりさすがに白髭受けはキツい…(笑。でも話としては面白い。あと少佐がカコイイ。
 中世フランスの騎士団長が、冤罪で延々と拷問される話は、痛々しいしかわいそう…。
 薬の取引の潜入捜査に行ってダメになって戻ってきた警官の話=表紙の二人の話も、なんか救いがなかったなあ。そしてやはり、この黒髪長髪がなんだか清潔感がないというか、イマイチだ…。
 犯罪者更生施設の話は、あたしがアホで英単語の意味がわからなかったので、オチがすごく面白く読めた。BLとしては、特殊な嗜好の描写とかかなりキモいのだが、それを上回るくらいにお話が面白かった。
 コンビニ店員に露出を見つかって三人がかりでいじめまくられる話も、オチがよかった。これも暴力描写はかなりキツい。
 お坊さんが山に鬼退治に行ったらやられちゃいました、な話は唐突にファンタジックでなんかかわいくてよい。鬼がでかすぎてラオウみたいだが…でも優しい感じで、ちょっとおじいさんぽいので、もっと若々しい系だと萌えるのになあとは思った。

 あたしはこの作家が実は(実はでもないか)好きなんだよなあと改めて思いました。基本的に、絵(リベラシオンの一面をかざるくらいだものね)も漫画もかなり巧いんだよね。
 内容面でいえば、ゲイコミって、愛とハピーエンドが物足りないなあ、と思うことが多い(もちろんこれは単なるあたしの好みなので、だから批判したいというわけではない)のですが、田亀源五郎は他のゲイコミ作家さんにくらべると、そういう要素もわりと描いてくれる気がするのです。このコミクスでいうと、少佐×中将とかがそうかな。
 あと、あとがきとか見てて思ったのは、この作家は結構頭で考えてお話つくってるとこがあるんだな、ということで、論理的にお話組みたてつつ、ちゃんと萌えて描いてる、というのはたぶんすごくあたし好みな創作姿勢なのです。
 なんか、この田亀源五郎文法のままで、キャラ設定やお話の展開はもろBLぽい作品なんていうのはどうかなあと思った。読んでみたい。

2009年11月05日

「新世界」5

 蟹座は古代中国の二十八宿では鬼宿と言われ、積尸気をつかさどるとされている。その縁あってか、蟹座の聖闘士は代々積尸気への通路を開くという必殺技を受け継ぎ、またそれに付随する異能もよく発揮する、らしい。
 おれに黄金聖闘士としての修業をつけてくれた師匠は、そんなことを説明しながら、だから蟹座は孤独をむねとすべし、なんて言ったものだ。おれは最初から仲間となれ合う気なんかなかったから、そんな忠告は聞き流していた。だがやがて黄金聖闘士としてサンクチュアリに生活するようになると、その言葉の意味をまざまざと思い知るようになった。
 聖闘士であれば、任務を遂行するうちにどこかで必ず殺戮、凶行を手段として必要とする時がある。そんな聖闘士たちのなかにあってさえ、蟹座の、というかおれの能力は異端だった。
 積尸気冥界波――人間の魂を直接積尸気に飛ばし、死に至らしめる。身体ではなく魂が殺されるという異常な死をしいられるためか、死んだ者の怨念は巨蟹宮に強く残り、デスマスクとなって現れる。
 我ながら異常な能力で、異常なありようだと思う。そしてそれは余人には理解の及ばない力であり、世界であるらしかった。誰も積尸気を見たことはなく、要するにおれの世界には、対戦相手をのぞけば永久におれ一人しか居ないようなものだった。おれの世界に入り込み対峙した敵はすぐに死に至り、残るのは累々とつらなる死の徴のみ、デスマスクが居並ぶ宮に、ただ一人で生きる――
 おれは流石にしんどくなった。おれが蟹座であり続けるためには、何らかの理由が――生きるためではない、アテナのためではない、何かもっとくだらない、切実でない理由が必要だった。
 そんなおれの前に、薔薇の若木が登場したのだ。おれはその美しさに素直に感心し、この薔薇を育ててやろうと考えた。それからおれは薔薇の任務をこっそり肩代わりしたり、長期の任務のあとには薔薇の好きそうな土産を持ち帰ったり――とにかく相当手をかけた。ただし、あいつに絶対ばれないようにして。薔薇は薔薇で、人間とは永久に没交渉の生き物だ。
 おれにとって、あれは大事な大事な薔薇――という「設定」なんであり、それ以上でもそれ以下でもなかったのだ。


(つづく)

2009年11月08日

藍生有『双つ龍は艶華を抱く』

 ヤクザ・弁護士×元リーマンの旅館のあとつぎ。
 実家の旅館をついでた兄がなくなってみると、兄にはかなりの借金があり土地を売る契約までしていたことが判明。手付け金を返してなんとか土地だけは返して貰おうと買い手に会ってみれば、地元のヤクザとその双子の顧問弁護士がでてきてからだを要求されるのです。

 なんだかなあ。
 双子攻めというのは非常においしい設定で大好きなのですが、しかしそれにしても全般につくりこみが甘いというか、残念な感じ。
 双子同士が二人でひとつ、いっしょにやると快楽が二乗とかゆってキスとかするし、双子ものというか3Pものに時々ある、受けは攻め二人の絆のための媒体か?みたいな感じが残る。いちおう受けには執着があるらしく、二人で共有までする相手は珍しいんだとか言ってはいるけれど、なんか説明不足だしいまいち納得できない。受けの言動にさすが自分たちがほれた奴、みたいなこと言ったりしても、別にたいしたこと言ったりしたりしてるわけではないので拍子抜けしてしまう。
 受けの考えとか感情も、一貫性がないのかなんだかよくわからないし、そのせいかキャラも薄く、性格とか外見もあまりイメージわかなかった。

時逆拾壱『あぶない執事』

 イケメン系ドS執事×高校生の坊っちゃん×黒髪メガネドM執事、メガネ執事×坊っちゃんの場合もあり。
 坊っちゃんの両親が海外に行って心配だし、そろそろ坊っちゃんも大人になってほしいからと、祖父が二人の執事を坊っちゃんとこに送り、あれやこれや。

 絵がなあ。デッサンもだが、頭身にちょっと違和感がある。あと、裸体よりも着衣のほうがデッサンいまいちというのは一体どういうことなのだろうか。

 坊っちゃん高校生にしては外見も中身も子どもっぽすぎ。小学生くらいに見える。いくらなんでも、テーブルマナーだのなんだの全く身についてないで一から教えられるって、高校生としてもお金持ちの家の子としても違和感がありすぎる。
 執事らは坊っちゃん一筋じゃないのがなあ…坊っちゃんのことは好きらしいが、祖父にも奉仕してたりするし、坊っちゃんのいない間にドSはドMをいじるし、坊っちゃん一筋!という執事ものの醍醐味がない…。しかしあのぽやぽやな坊っちゃんでは、執事が一途になってくれても、一途になれる理由がわからんというか、あんまし説得力がないかもしれない…。
 しかしメガネ執事が基本受けというのは予想外でよかったし、まだシリーズは続いているようなので、続きも読んでみたい。

 他の短編は、高校の幼なじみ先輩後輩とか、海上自衛隊先輩後輩とか、特攻隊員と門付けの少年とか。海上自衛隊は、外部から先輩の兄弟が来て3P。

 とりあえず、絵がうまくなってくれたらいいなと思う。目とか色っぽくていいと思うので、このままでは勿体ない感じだ。

2009年11月09日

森本秀『アスタリスク』6

 なんだか話がわからなくなってきた…終わったらまとめて読み返そう。
 キオのあざがちょっと普通ではないっぽいのが、ダークなフラグに見えてまたキオ特別扱いフラグなんだろうなあ、とか(笑。や、ディスってるわけではありません。キオの愛されぶりを楽しむのがこの作品のポイントのひとつだと思うので。

2009年11月11日

こいでみえこ『鎖でつないで』

 電車の中でチンピラに注意する高校生に一目惚れして同じ高校同じバイトにはいったゲイ自覚してるかわゆい系受けっこ。飼ってた犬に似てるとかいいつつ先輩もかわいがってくれるので一か八かで告白したところあっさりふられ、犬のかわりだと思って!とか無茶ゆってかわらずなかよくしてもらうのですが、先輩は双子の弟がやたらと自分を敵視して、先輩の大事な人間を傷つけるわるいこなので、だれともかかわる気はないのです。

 最近のこいでみえこはなんとなくあたし好みな雰囲気がある気がする…のだが、この作品も、攻めに拒絶されてもがんばる受けというのは面白かったのだが、いろいろ不満も残った。

 けなげな受けっこはいいのだが、先輩をアニキ呼びの語尾が~っスというのはかなりキツかった。顔はかわいいヤンキー少年だ。
 先輩は、あとがきにも書かれていたが、弟の事情のためだけではなくすごい低温なキャラで、受けっことくっついても低温なままでなんかカタルシスがない。受けはかわいくて男子校でもモテモテな設定なので、いろいろふっきれた先輩には受けっこラブラブになってほしいし、かわゆい受けっこを心配したり周囲にちょっと嫉妬めいてみたりしてほしい。

 先輩と弟の確執もなんか設定がきっちりしてないというか中途半端。弟は兄へのやっかみで、警察沙汰にまでなるようなことしでかして海外に留学させられてたとのことだけど、それで帰ってきた弟をまた兄と同居させようという家族の意図がよくわからん。ぜんぜんふつうに生活してる描写もあったし、わだかまりが全くないのがすごい。兄は一人で家を出ようとバイト三昧だというのに…。

2009年11月12日

空知英秋『銀魂』31

 銀魂って一発変換出来るんだね…。
 銀玉は出ないのに。

 銀魂はやっぱりコメディのほうが面白いと思う。特に最近はそう。
 人気投票を利用しての越境的なネタは銀魂らしくてすごく面白かった。こういう主要キャラがいっぱい出てくる話はそれぞれのキャラを改めて見直す機会になるけれど、あたしはやはり九ちゃんが好きだ。土方は言わずもがな。
 しんみり人情ものも、今回くらいの短い話はいいと思う。沖田の話は、沖田ときどきこうだよなあ、と久々に思った。久々っていうか鬼の闘士の話以来?ドSと人情家の側面って微妙な均衡で、両立してんのかアンビバレントなのかほんと微妙なのだけれど、まあ銀魂はそういう設定のキャラ多いかもしれない。
 しかし銀魂人情もので一番うまいのって、神楽主人公の話かなあという気もする。今回のもよかった。

2009年11月14日

「新世界」6

 結局、あの日カネロニを二回もおかわりした薔薇は、それからしばしば巨蟹宮を訪れ、おれに手ずから淹れた茶をふるまったり、頼んでも居ない裏庭の掃除をしたりするようになった。世話していたはずの薔薇に、自分が世話を焼かれるというありさまだ。意味がわからない。
 おれのシルクのシャツを勝手にかつ豪快に洗濯してよれよれにするまでは渋面で許してやったが、おれが死ぬ前から欲しかったジャガールクルトの腕時計を贈ってくるに及んで、おれの我慢も限界に達した。
「おまえはこないだっからなんなんだよ一体、おれに嫌がらせでもしているつもりなのか」
「嫌がらせ? なぜ」
 おれのソファに姿勢良く腰掛けた薔薇は、わからない、というように首を傾げ、さらりと黄金色の髪が鳴った。ただそれだけで、あたかも薔薇が芳香を放つようだ。クソ。
 ローテーブルの上に置きっぱなしの時計とかぐわしい紅茶を一瞥して、おれはまた薔薇をにらんだ。たちっぱなしで煙草をふかしつづけ、煙に顔をしかめる薔薇にわざと吹き付けてやりさえしたのだが、それでも薔薇は黙って座っている。
「嫌がらせじゃなけりゃあなんだ、生き返った時に頭のどっかの回路がイカれでもしたか」
「…君は、私がおかしいと言いたいのか」
「ああそうだ、おかしいね。お前はおかしい」
 薔薇はじっと考え込むと、深刻そうな表情でぽつりと言った。
「私はおかしいとは思っていない。だが、君がそう言うのならそうなのかもしれない」
 流石に気の毒になって、フォローの言葉を考えてみたが、何も思いつかない。
 馬鹿みたいに黙り込んだおれを見上げ、やがて薔薇は真面目な顔で口をひらいた。
「デス」
「何だよ」
「そんなおかしい私では、やっぱり君の恋人にはしてもらえないのだろうか」
 おれはまた言葉につまった。おかしい恋人…というのは曖昧すぎて、考えてみてもよくわからない。そもそも、何か話が変な方向に行っている気がする。だがとりあえず、薔薇は薔薇で、恋愛対象として考えたことなんてなかったし、答えも思いつかない。わからないから黙ったままで居ると、薔薇は少し俯いてまたちいさな声を出した。
「私は君の恋人になりたかった。でも、君が嫌だというなら…諦めるしかないのだろうな。頭ではそう、わかっているのだが…」
 薔薇らしくもなく語尾を濁していよいよ俯いてしまう。そのつむじに大きく息をつくと、薔薇はおれの溜め息にちいさく肩をふるわせた。
「おまえ、どうしたいんだよ」
 薔薇は俯いたまま、君の恋人になりたいのだ、と繰り返す。
「意味わかんねえんだよ。それって、具体的に何がしたいんだ」
 薔薇はしばらく黙り込み、やがて顔をそっとあげるとためらいがちに口をひらいた。
「…キスがほしい」


(つづく)

2009年11月15日

高河ゆん『LOVELESS』8

 原作星矢読んでます。ストイックに順番に。
 読み始める前は、正直ちょっとめんどくさい、黄金の出てくるとこだけ読もうかな…とか思ったりもしたんですが、最初から読んでもやっぱ面白い!燃える!めんどくさいのは、文庫版で読んでるんですが、時期をはずしてしまったので結構売ってないということですね。
 でも、ロスキャンまで頑張りますv

 限定版を買い逃し、かなりなえてしまってそれなりにしていたのですが、今月9巻が出ると言うことなので購入しました。
 マーケットプレイスで、限定版を。
 …これも大人買いかなあ。

 内容は、うーん、ちょっとだれてるなあ。高河ゆんはだれるとあからさまに絵がアレになるのだが、あとなんか話がだらだらして中々進まなくなるということにも今回気づいた。
 …これ、ちゃんと終わるのかな?大丈夫かな?(笑
 高河ゆんの連載をリアルタイムで読むのは初めてなので、先人達の不安をやっと体感し始めた感じですかね(笑。

 でもお話自体は面白いし、先が気になる。清明どうなるのかな。
 あと、立夏がなんで草灯の特別なのか詳しく書いて欲しい。立夏の過去とかの伏線も回収して欲しいな。

2009年11月16日

中村光『聖☆おにいさん』4

 なんか新刊出るの早い気がする…。コミックス薄いよねえ…(笑。
 個人的にですけど、一巻は別として、面白かったのは二巻<四巻<三巻という感じかなあと思った。

 ブッダ誕生日ネタは面白かった。梵天はそういえば、シッダールタ呼びなのがなんかいい。「野良犬といっしょ」もいい。「エリ・エリ…」の使い方があまりに…不謹慎で…すごいなあ。
 服ネタは服を着ようとしなかったパンクなブッダが面白かった。スーツでの降臨とかネクタイ結びネタとかもいい。
 映画館ネタは聖書ネタバレ説がなるほどだった。ブッダのマーラ観がなんかちょっといいというか、妙に信頼してるように聞こえるのがなんかいいというか、マーラいつもかわいそうだし…(笑
 お盆の話のお焚き上げ入稿が一番笑った。アシは予想通り…来なかったのが残念だけど。マリーアントワネット発言もよい。
 総合的にはネトゲの話が好きかなあ。でもなんだかものたりないので、もうちょっと長くあってもよかったんじゃないかと思う。ペトロとアンドレは兄弟だったのでしたっけ。二人ともチャラくておかしい。
 りんご狩りは、映画の話でりんごをジャムにしてるのに、りんご食べたことないと言っているのが気になって…。

 あれだなあ、次は天使ネタまた読みたい。十二使徒ももっと出てきてほしい。梵天さんとかマーラも読んでみたい。つまり、天界の人ネタが読みたいみたい。

2009年11月17日

「新世界」7

 …それくらいならおれにも可能だ。それに薔薇に接吻するってのは、ガーデナーの楽しみのひとつとして理解できる。
 おれは座ったままの薔薇にの上にかがみ込むと、軽いキスをおくった。
「これでいいのか」
「…そういうの、じゃなく」
 うっすらとひらいた唇から、吐息が催促する。おれは黙って深いキスをした。
 ゆっくりと顔を離すと、薔薇はまた息をついた。
「満足かよ?」
 おれの問いかけに、薔薇はまたゆるゆると俯いた。
「…私は自分で思っていたより、欲深い人間だったようだ」
「何だよ、他にしてほしいことがあるなら言ってみろよ」
 ため息まじりのおれの言葉に、薔薇はしばらく黙っていたが、やがて意を決したように顔をあげた。凛と涼やかなまなざしに、圧倒されそうだ。クソ。
「私は、君に…好かれたい」
「別に嫌ってねえよ」
「私を…愛してほしいのだ」
「愛して? おれと寝たいってことか?」
「そうではない…いや、それも含むのか?、かもしれないが」
「わかんねえよ。もっと具体的に言ってくれ、何をすればいいのかおれにはわからないから。おれがおまえを愛するように、おまえがおれに指示をするんだな」
 薔薇はわけがわからない、という顔でおれをまじまじと見た。
「それで、愛と言えるのだろうか」
「知らねえよ、愛ってなんだ? おれは知らない――わからない。でも、」
 おれは初めて、自分から薔薇の髪に触れた。さらさらと音をたてて指のあいだをすりぬけ、かすかな香りだけが残る。こんな、こんな薔薇を、美しい生き物を、おれが…なんだって? 何をするって?
 恐ろしい。途方もない。正直、逃げたい。
 だが――目の前の薔薇に、泣きそうな顔をさせとくわけにはいかないだろう。
「でも、お前は知ってるんだろう、『アフロディーテ』。…お前がおれに教えろよ」
 なにしろ、長年丹精してきた薔薇だ。
 冥界で、最後の時まで大事に抱いていた薔薇だ。
 おれのせいで、おれみたいなどうでもいい人間のせいで、薔薇が泣くなんてことがあっていいはずはない。

 そんなわけで、相変わらずのサンクチュアリで、おれは薔薇の世話を続けることにした。今度は言葉を話す薔薇の願いをかなえてやるという、一風かわったガーデニングだ。
 その世にも珍しい薔薇の名を、愛の女神と同じアフロディーテという。

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 デスアフロ難しいな!
 自分でも末尾会話が飛びすぎだと思いますが、半分はあたしがグダったからで、半分はデスアフロどっちもいっぱいいっぱいだからなんだと思う。って、言い訳がましいですが。
 なんというか、あたしの中で、デスがアフロに惚れてるのは/そのうち惚れるのは当たり前なので(だってアフロは美人だしデスはアレだし)、むしろそれを前提として、アフロがデスにめろめろなとこが書きたい/読みたいみたいですね。そんで、デスはかわいそう攻めがいいのです(笑、新ジャンル。
 そんなわけで!読んでくださってありがとうございますv(読んでくださる方がいらしたかどうか…(汗

 原作面白れぇー。今双魚宮まで来た。

2009年11月18日

車田正美『聖闘士星矢』1~7

 いや、星矢面白いよほんと!
 星矢を読み返そうと思ったのは、ここしばらくのマヨイガの惨状との関連からだったので、正直めあては黄金聖闘士のとこだったのですが、折角の機会なので最初からちゃんと読むべきなのでは、というのと、あとロスキャンも読みたいのでやっぱ全部読んでおくべきかな、という半分義務じみた気持ちがあったので、青銅メインの大部分はちょっとめんどくさいかも…とか思ってたんですが、全然そんなことなかった。面白すぎ。すごいパワーがあって、燃え燃え。
 やっぱ週刊連載なので、テンポが早いのがいいですね。というか、少年漫画でひとつの戦いに何週もかかるようになったのって、最近のことなのかもなあ。
 あと、思ってたよりも結構いろんなことを覚えていた。印象深いコマが多かったのかもしれない。マリンが姉さんかもと思うとことか、瞬のにいさーん…とか、氷河とカミュの対峙とか、なんかすんごいよく覚えてた。星矢をどういうふうに読んでいたかとか覚えていないんだけれど、結構読み返してたのかなあ。
 それに対して、白銀聖闘士のことはほとんど覚えてなかったというか、対一輝の後サンクチュアリまでほとんど覚えてなかった…。

 一巻から七巻までが、サンクチュアリ編。
 青銅では昔から氷河がいちばんすきなのですが、今読むとクールぶろうとしてヘタレなとこが前より更に目について、ちょうかわいい(笑。師匠もそういうところそっくり(笑。
 あと、デスアフロ&シュラ(何故そこで区切るのか…)については、悪人軍団なので改めて読むのがちょっと怖かったのですが、あれ?けっこうこれフォローできる部分多いんでは?とうれしくなった。力こそ正義といって、教皇が悪と知りながら彼に与していた三人って、つまり教皇=悪=サガって知ってたってことだよね?それなら、悪の教皇に協力した、というよりも、サガに協力した、って意味合いが強いと思うし、サガを信じようとしたってことなら、擁護できるのではないかなあ、と。
 …なんて、今更原作読んでるので、すっごく今更なんですけど(笑。
 三人が原作からセットだったってのも、今更知った(笑。

2009年11月21日

剛しいら『優しい罠』

 四十台独身美オヤジ大学教授はゲイでして。
 妹の再婚相手の子、つまり血のつながりのない甥っ子は、大学生のどファザコンで、こっちもたぶんゲイ。
 そんな甥っ子は、父再婚を機に父離れしようとして、美オヤジの家についてきて一目惚れ&おしかけ同居。甥っ子も相当な美人なのでオヤジも心がうごくものの、どうしても受け入れられないわけがあり、時々遊びに来る元教え子の若者をけしかけて、甥っ子とくっつけてゆがんだ満足を得ようと云々。

 …という梗概からもうすうす感じていたことですが、またとんでもなく変な話でしたね…(笑
 オヤジ視点と甥っ子視点が交互にあって、どっちも心がゆれうごきつつ、甥っ子は悩み、オヤジはいろいろ策を弄し、とんでもない手段に出たり。そんなかんじで、前半は変な話として結構面白かったんだけど、後半は拡散しすぎだしまとまらなくなって宙づりのまま終わってしまった印象。末尾はいろいろ書ききってない感じというか、これからどうなるんでしょうね、という感じ。

 後半は大きな展開があるせいもあるんだろうけれど、甥っ子は急にキャラかわってるし、オヤジの論理はよくわからんし、元教え子はつまんないキャラっぽさが増して魅力があまりない。でもまあ、この話は前半からどのキャラにも感情移入できないしあまり魅力も感じられはしなかったし、かわった設定・展開が面白かったわけなので、キャラがへんなのはいいんだけどね。やっぱりお話の展開自体がグダグダになってしまったのが残念だなあと思う。
 会話や思考がふと跳躍するのはこの作家のクセなんだろうけれど、そういうとこもうまく話が流れてるときは気にならなかったりかえって魅力に感じたりもするんだけれど、この作品の後半では特にしんどい。

 あと、オヤジのヒミツは物理的にイタターだったけど、このネタこの作家前も使ってたなあ。

2009年11月24日

水瀬結月『あなたに真心にゃん急便』

 フィギュアスケートを見にいちきました。面白かった…全然わかんないけど面白かった(笑。それですごくかわゆい選手を知ったので、しばらく注意してみてみようと思いますv

 タイトルを見ただけで頭痛がしてきそうなアレなのですが、ライトなお話を読みたかったのと、あとアンドロイド攻めの『恋花火』が面白かった作家さんなので、読んでみた。

 ネコが目印の宅配便会社は、受け祖父が設立した当初からなんかかんかネコにまつわるエピが多く、ネコをおまつりして美猫さまという白ネコを大事にしてるのです。受け社長はまだまだ未熟で、幼なじみの優秀秘書にお小言言われてばっかりなのですが、ある日ネコ耳ネコしっぽがはえてしまうのです。秘書いわくそれはネコ神さまの御利益で、会社の大事な時期を示すしるしらしいのですが、こんなかっこでどうすりゃいいのか、それになんか秘書に近づくとマタタビかいだみたいにふにゃふにゃになっちゃうので困ってしまうのです。

 …なんかもう、アレなんですが。
 だから、タイトルと梗概からアレなのはわかってたので、その件はいいんですけど。
 全然BLじゃないし、受けも攻めも魅力ないし、お話自体も面白いわけじゃない。

 基本会社の話ばっかで、恋愛要素は最後にほんのもうしわけ程度にある感じ。そんな唐突にくっつかれてもなあ。
 受けも攻めも面白みのある人柄というわけではないし、恋愛描写がほとんどないので、感情移入とか以前な感じ。
 そして、その会社の話も、ネコ耳しっぽをかくしたり逆に利用したりしてがんばって、…一体どこを面白がればいいのか??オッサンたちがネコ耳とか、国家機密のネコ耳機械とか、そういうネタは、恋愛話なりなんなりの本編が面白くって初めて活きる小ネタなんでは?

 という感じで、作者は一体何をしたかったのかよくわからんかった。ネコ耳とにゃん急便というネタが、作者の中ではすごく豊穣なネタになっちゃったけど、読者と共有できなかったのかなあという感じ。担当さんとかが軌道修正すべきだったとこなんじゃないのかなあ、たぶん。

2009年11月25日

高河ゆん『LOVELESS』9

 やっぱりちょっと展開が遅くなってる気がする…。そしてだんだんよくわからなくなってきた(笑。そのうちまとめて読み返そう。
 しかし、ラブレスはどれくらい続くのかなあ。あとどれくらいなのか予想もつかない。結末もちょっと予想つかない。

 立夏の記憶にかんする伏線は回収されそうでよかった!
 ななつの月のメンバーがあんなあっさりあかされるとは…(笑
 あと、最近作者はキオと草灯の組み合わせが好きなのかな。本編でのキオは意外な展開だった。
 小冊子は表紙がかわいかった。

2009年11月28日

鬼嶋兵伍『バチ☆バチ』

 短篇集。
 表題作は、サッカー部のガッシリ系先輩&ロン毛先輩が元気でかわいくオトコマエ系な後輩に惚れて云々、という話。

 絵はわりと好きなのだが、お話がいまいちな気がする。麗人というか短篇集だからかもしれないけれど、ラブが物足りない。
 表題作は、先輩二人は元々は互いにホレてて、後輩に相談したらそのオトコマエっぷりにほれてしまったという流れなので、先輩の心変わりがいくらなんでも唐突だし、互いへの以前の気持ちにしても後輩への気持ちにしても、どんなふうに好きなのかとかよくわからない。後輩も先輩への気持ちはラブなのかよくわからない。
 ガテン親父が娘につれられて美容室でイケメンにしてもらう話とか面白かったけど、やっぱりラブが物足りない。美容師がノンケっぽいのにオヤジに惚れてしまうというのもやや違和感があったし、オヤジも美容師にほだされてるような感じでありつつ、結構乗り気なのか…?とか、いまいちわかりづらかった。

2009年11月30日

木原音瀬『夜をわたる月の船』

 忙しかったり久々に無茶な飲みをしてしまったり、していました。
 あと、アマゾンからラブレス9巻が来た…既にッ!読んだのに…。買いそびれるといけないと思って、予約していたらしい…。

 面白かったのかどうかもよくわからない…けど、先が気になって一気に読んでしまい、読後の印象は強烈で、拾い読みで読み返してるので、個人的には悪くなかった…のかなあ、と思っている。

 この作家は文章がうまいわけではないと思うんだけれど、なんかすごい先が気になってぐいぐいひっぱる力があるように思う。よくもわるくもね(あたしよくもわるくもって書くのくせですね。なんというのか、映画ではなくて連続ドラマ的なエクリチュールという印象があるというか。
 今回もやっぱり先と結末が気になったのと、地道に泥亀で読んでいくのが途中で苦痛になってしまって(最初に北海道に行った辺りで…)、かなりすっとばして読んでしまった。
 あ、ちなみに二段組みぎっちりでしたね。

 仕事もできるステキ上司にわりあい気に入られてるっぽいので喜んでたら、企画部に行きたいならエッチしろとか突然言われてしまいました。
 葛藤の末いたすのですが、上司は北海道に栄転し、これでせいせいしたと思ってたらなんか再会、その後なんかわけわからん展開に。

 主人公があんまり平凡で、言動とかも普通すぎて、上司が入れ込む理由もわからんしお話の主人公としてちょっとつまらないなあとか思っていたら、それもミソだったので納得した(笑。普通すぎる人だよね。企画部に入った頃の話とか、そのことについての上司評とか、いたい…(笑。
 取引の件については上司が悪いんだろうに批判を恐れてる小心っぷりとか、後半で上司を見捨てられずにけれどぞんざいに扱ってしまうあたりとか、すごい普通の人だなあ、と。
 でも逆説的に、ここまで普通の人じゃなければ、あのとんでもない男とこういう結末にはならなかったんだろうなあ。

 上司は最初のステキ上司っぷりはまあおいといて、花を捨てた辺りでぎょっとしてたらまだまだ序の口だったというトンデモキャラで、結構すごかった。
 超汚部屋のダメ人間ぶりには結構ひいたというか汚部屋こえぇぇぇ。けど汚部屋ってもう一般語彙なのかなあ(笑。その後の天の邪鬼ぶりというか嘘八百なキャラはわりと好きなんだけど、作者も後書きに書いてたとおり動かしづらそうだなあとも思った。あと壮絶な過去の設定は、正直あれなのだけれど、でも、この人にはそういうこともさもありなん、というか。
 ビジュアル的には、50代になって白髪だらけになった辺りでちょっとBL的にはかなりキツいものがあった(ああそう言えば、過去設定もBL的にとてもキツかった)のだが、その頃にはもうBLとして(ふつうのBLとして)読むことをしだいに諦め始めてたので、まあもう受けが白髪でもいいか、という感じになってた。髪を染めた頃には、もうそれくらいで萌えが復活するもんか、と変な反抗心が芽生えてたりもした。というか、髪を染めてみるときれいって、こういう外見的に微妙な状況のお話って、よく見るとととのってるとか肌が綺麗とか、絶対なんか留保が入るよねえ、とか思った。

 まあそんな、とんでもないおじさんに振り回されるごくごく平凡なリーマンの話で、萌えないし、キャラも好きになれないというか好きでも嫌いでもないし、きもちわるさもあるし、お話も面白いというよりはだらだらなんだろうけれど、それでも個人的には読んでよかったなあと思っています。それは全然うがった感想ではなくて、ごく単純にそう思うのです。

 ああしかし、その後の二人というか、幸せな二人をもう少し読んでみたい、という感想を持っているので、やっぱりこの作品もちゃんと(?)BLなんだろうなあ、という気がする。なんとなく。

 日高ショーコはやっぱりいいね。

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