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[ 読書/BLコミック ]

田亀源五郎『髭と肉体』

 レヴィ=ストロース氏の冥福をお祈りいたします。21世紀なんだ…。

 流石に…この表紙は…なんというか、この絵でカラーで髪ツヤベタって、怖いよー。花井みたいな坊主のひとはカコイイのになあ。
 それはさておき、中身は珠玉の作品ばかりの短篇集で、よい意味で田亀センセイ幕の内という感じでした。
 あ、基本クマ受けです。

 イケメン若者ホームレス×ヒゲ専務はやや薄味で、可もなく不可もなく。
 稚児系青年×青年を守るはずだったのになぜかいろんな人から痴漢されまくりのクマ系先輩の話は、まあほのぼのというか、ライトで面白かった。
 以前別のコミクスで短編がのっていた、イケメン少佐×白髭中将@日露戦争の話が二編あったけれど、やはりさすがに白髭受けはキツい…(笑。でも話としては面白い。あと少佐がカコイイ。
 中世フランスの騎士団長が、冤罪で延々と拷問される話は、痛々しいしかわいそう…。
 薬の取引の潜入捜査に行ってダメになって戻ってきた警官の話=表紙の二人の話も、なんか救いがなかったなあ。そしてやはり、この黒髪長髪がなんだか清潔感がないというか、イマイチだ…。
 犯罪者更生施設の話は、あたしがアホで英単語の意味がわからなかったので、オチがすごく面白く読めた。BLとしては、特殊な嗜好の描写とかかなりキモいのだが、それを上回るくらいにお話が面白かった。
 コンビニ店員に露出を見つかって三人がかりでいじめまくられる話も、オチがよかった。これも暴力描写はかなりキツい。
 お坊さんが山に鬼退治に行ったらやられちゃいました、な話は唐突にファンタジックでなんかかわいくてよい。鬼がでかすぎてラオウみたいだが…でも優しい感じで、ちょっとおじいさんぽいので、もっと若々しい系だと萌えるのになあとは思った。

 あたしはこの作家が実は(実はでもないか)好きなんだよなあと改めて思いました。基本的に、絵(リベラシオンの一面をかざるくらいだものね)も漫画もかなり巧いんだよね。
 内容面でいえば、ゲイコミって、愛とハピーエンドが物足りないなあ、と思うことが多い(もちろんこれは単なるあたしの好みなので、だから批判したいというわけではない)のですが、田亀源五郎は他のゲイコミ作家さんにくらべると、そういう要素もわりと描いてくれる気がするのです。このコミクスでいうと、少佐×中将とかがそうかな。
 あと、あとがきとか見てて思ったのは、この作家は結構頭で考えてお話つくってるとこがあるんだな、ということで、論理的にお話組みたてつつ、ちゃんと萌えて描いてる、というのはたぶんすごくあたし好みな創作姿勢なのです。
 なんか、この田亀源五郎文法のままで、キャラ設定やお話の展開はもろBLぽい作品なんていうのはどうかなあと思った。読んでみたい。

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