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2019年03月01日

バーバラ片桐『摩天楼の鳥籠』

 Kindle Ultimated。
 財閥後継者✕忍者。
 読んでいても最初から忍者への憎悪がまとはずれっぽくてなんかしっくりこない。攻めと受けがなぜ惹かれ合ったのかもあまり納得できない。雰囲気はいいので少々残念だった。

2019年03月02日

J・L・ラングレー『狼の遠き目覚め』

 Kindle Ultimated。
 受けはレミか…とか思いながら読み始め、レミカワイイィ!になって読み終わる狼の遠き目覚め。
 いかつい寡黙なジェイクと、はすっぱをよそおいつつ弟大好きで愛情深いレミ。児童虐待、ゲイ差別、SM、アルファとオメガ…といろいろな角度から二人とその周辺が描かれていて、非常に重層的で面白い。中でもSMは二人の関係を見せるにあたってすごくいい要素になっていた。
 ピクシブでも描いたけどレミとキートンの友人関係がすごくかわいくて、ふたりとも友人に恵まれてこなかったので、こういうケンカ友達は初めてなんだろうなあとしみじみする。

 この巻にかぎらず、前の巻では三枚目とか半ヒールのキャラが主役か…と思いながら読み始めると、主役補正で少々キャラ変がある気がする。
 ので、次はリースとスターリング…!?とちょっとおっかなびっくりですが、心配せずに待つ(笑。

2019年03月03日

立野真琴『青い羊の夢』1~9

 Kindle Ultimated。
 未来都市の抗争。ボスとその妹、妹の元彼でもある甘ちゃんだけど強いよそ者の三角関係というのはBLとしては珍しい。ボリュームのわりにはさらっとしている気もするけど、面白かった。

秀香穂里『黒い愛情』

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 Kindle Ultimated。
 セラピー同士でノンケだったのに調教されちゃう。
 あんまり心理描写がしっかりしてなくて、攻めも受けも相手を好きになるのがなぜかよくわからなかった。

2019年03月07日

J・L・ラングレー『狼の見る夢は』

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 Kindle Ultimated。
 ホテル王の嫡男でキートンの兄のオーブリー✕大学進学のためオーブリー家に下宿するマット。
 冒頭でタラを誤解する辺り、その後の展開はわかっていたけど面白かった。
 しかしレイノルズの両親は理解あるいい人達っぽいのだが、息子たちがこんなに誤解してゲイであることや嫡子であることを悩んでこじれてるのはどういうことだ…(笑。そこがちょっとご都合展開な気はする。
 あと、マットの色弱設定はあまり活きていないような気もする。マットや、レミの家庭問題って、アメリカの娯楽作品ではこういう社会問題を入れなきゃ!みたいのがある気がする。ハーレクインとかでもよくある気がする。
 そういう気になる点は少々あったけど、全体には甘く面白かった。

2019年03月10日

J・L・ラングレー『恋する狼』

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 Kindle Ultimated。
 うわさのアルファ✕オメガ。流石に短い。受けがドジっ子で、周囲の皆が微笑ましく見守っているのがなんというか、BLっぽくない。くまのパディントンか何かのような童話っぽい雰囲気というか…。

吾妻香夜『桜田先輩改造計画』

 Kindleで購入したんだけど、amazonで商品ページがなくなっているような?ちょっとうまく情報も探せない。いつからなのかわからないし、作者さんのTwitterも掘りきれない。何かあったんだろうか。

 作品は、高校時代にいじめられてた攻めがドSとして開花し、いじめっ子の先輩と同じ会社に入って、復讐のために調教…ってあらすじに不安を覚えたけれど、トンデモギャグ漫画だったので問題なかった(笑。かなり面白い。攻めのムチムチ帝王ルックが素敵。攻めの勤めていたSMバーのドM経営者の短編も面白い。

2019年03月15日

馬あぐり『純情乙男マコちゃん』2

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 後半ちょっと説教臭いというか、考えて描いてるだけな感じでもったいなかった。ダイちゃんのアセクシャル設定が知識が先走っている感じにも見えるというか、少々唐突で感情描写が薄くなってしまった感じがした。マコちゃんや先輩の変化とか面白くなりそうだったのでもったいない。

2019年03月16日

ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ1 天使の影』

 Kindle Ultimated。
 なるべく避けているつもりですがねたばれあります。

 正直、一巻を初めて読んだ段階ではまだそれほどでもなかった。
 キャラがあまり立ってない感じでよくわからないし、特になぜジェイクとアドリアンが惹かれ合ったのかわからず、なんかいきなり付き合うことになったような感じがした。
 ミステリの筋もわりとあちこちに飛ぶし、恋愛というか感情面と並行して進むのでちょっとゆっくりすぎる感じで、ミステリとしてもそれほどいいとは思わなかった。最後の張り込みでアドリアンの家に犯人が行ってるのになぜ一人で帰すのかとか、なんで早く助けに行かないのかとか、いろいろ変な感じもしたし。犯人の心情もいまいちわかりにくい。クロードが退場するのも残念。
 そんな感じで恋愛小説としてもミステリ小説としてもそこまで完成度が高い感じがしなくて、でも雰囲気はいいし、五巻も出てるし、アマゾンレビューでの評価もすごく高いし(逆に少々不安にもなったけど)、と思って続きを読む。

 …アドリアンイングリッシュシリーズサイコー!になって帰ってきた二巡目。いや、アマゾンレビューで何巡もしているという書き込みがある理由をやっと体感した感じ。わたしももう何巡目かわからないくらい(笑。
 いろいろわかってから読むと、アドリアンは視点人物なのでともかくも、ジェイクの苛立ちや意地悪の理由や、なんで急に会いに来るのーとか、最後の場面でなかなか助けに入れないのはなんでかとか、いろいろ想像できて非常に萌えた^^初読の時の違和感が消えて、面白く読めるようにもなった。

 関係ないけれど、アドリアンというとロッキーを思い出してしまい(いや見たことはないんですが、それでも知っているくらい有名だということで)違和感があったんだけど、ADSLことアドリアン・シュルタイスのことを思い出してから、無事萌えられるようになりました(笑。

ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ2 死者の囁き』

 Kindle Ultimated。
 二巻が一番平和で幸せというのも感慨深い。表紙の変化が二人の距離感の変化とぴったりシンクロしている。
 たががはずれていくジェイクがせつなかわゆいがズルい男だ…けどかわゆい。先がないなんてわかっていて予想以上にハマってしまうアドリアンも後のことを考えるとせつない。
 ジェイクがアドリアンのことをきれいだと言い始めるのもすごく萌える。これ原文ではbeautifulなのかなあ。アドリアンなら似合う単語だ。beautiful guyなのか、beautiful boy(宇多田ヒカル?)なのかそれとも別の表現なのか気になる。結局原書に手を出すことになりそうだ。

 読み返すと、アドリアンは何にも期待してないって断言しちゃってるんだな…(笑。何も約束してやれないのにというジェイクの躊躇もよくわかる。でもジェイクは、アドリアンがいいって言ったから、みたいな言い訳をするわけではなく、どうやっても自分はアドリアンを追いかけてこうなる運命だったんだ、みたいな諦念がこの頃からある気がする。
 あと、ジェイクはアドリアンとメルがまだつながりがあることを知って、アドリアンは別れた相手と友人でいられるタイプだと思ってたのかな、とも思った。メルとは違ってジェイクは結婚するために別れたわけだし、状況が違うのに。そしてアドリアンも、メルよりもずっと強くジェイクを愛してしまったのだろうし。まあでも、ジェイクのそんなアホなところも萌えます、再読なら(笑

ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ3 悪魔の聖餐』

 Kindle Ultimated。
 デキ婚の上愛人関係を続けるつもりとか暴力沙汰とか…!標準的なBLでなら当て馬キャラの行動だろうそれは…!という、とにもかくにもジェイクが最悪な三巻後半(笑。三巻の後半は二人のすれ違いがつらいので、三巻はあんまり読み返せていない…。
 ジェイクのお前をかばおうと思っているのに!みたいな自分へのごまかしと言い訳が強くて、その結果のあの暴力なので、いろいろ考えさせられる。チャンやリサは二人の関係を受け入れようとしてくれているのになあ、とも思う。
 ガイとアドリアンが惹かれ合った理由は微妙にわからんかった(笑。二人とも魅力的なところがあるから、という感じの理由な気がする。

2019年03月17日

ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ4 海賊王の死』

 Kindle Ultimated。
 ジェイク、はやく諦めてしまえ!跪け!な四巻。
 つきとばしたことを謝らないし恥じてないとでも思うのかとか逆ギレするジェイク、往生際悪く愛人関係をせまるジェイク、最悪なんですけど!!けど、それでもいい!!なんだこれ!!!(笑。三巻同様に前代未聞級に最悪なことをしているのはわかってるんだけど、三巻と違ってそれでもせつな萌える!いや、三巻も後から読み返すとせつな萌えたけどね。
 ジェイクの、こんなに何もかも失うと思ってなかった、という言葉と、ほとんど全てを失ってもいい、という言葉の中で、すべてはアドリアンでありアドリアン以外のすべてであるのが印象的。アドリアンの方も、もうジェイクのために一滴も涙を流したくない、と思っていたのに、ラストで泣くのがいい。
 普通ならジェイクの言動は当て馬キャラのものでしょうという感じなんだけど、そしてガイも魅力あるキャラになりそうなのに微妙に主役を張れない感じで、アドリアン(の本心)はジェイクにしか向かってないし、そのバランスが珍しいし面白い。
 個人的に、BLでもそれ以外でも不倫ものってアウトなんだけど、この巻に関してはものすごい引力で萌える。
 特に四巻ラストから五巻に、twenty one pilotsの「lovely」がすごくピッタリでびっくりするくらい。Won't you stay alive,I'll take you on a ride.I will make you believe you are lovely! ジェイク→アドリアンという感じ。
 一方で、ガイとアドリアンの、互いが一番じゃないけど好意をもっている感じの付き合いもわからないでもない。

ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ5 冥き流れ』

 Kindle Ultimated。
 五巻はアドリアンの元カレ揃い踏みで日替わりデート状態で、ちょっと性格というか思考回路が破綻気味でキレやすく(体調のせいでしょうが)、少々読んでいてしんどい部分もある。ケイトにわざわざ会いに行く(キャラではなく展開の問題なのかもしれないけれど)のもどうか。でもアドリアンがジェイクがタイ料理を買ってきてくれて久々に空腹を感じたところは萌えた。やっぱりインフルエンザ、肺炎、手術で、ずっとロウだったんだね。
 逆にジェイクは菩薩のようになってしまって、アドリアンのまだ決心は出来ないけど引っ越さないで!とかいう無茶苦茶にもすんなり応えたり(この場面とこの展開が、ものすごく好きです)、無言でハンバーガー横取りされても怒らないし(笑、ほんと菩薩。言葉は足りてないのだけは変わらないけれど、アドリアンがそれにこだわっていたとわかったところが面白かった。
 とはいえ前述のように当て馬キャラのような外道行為をし、アドリアンの命を危険に晒しさえした後に、ジェイクがいくら菩薩になってもパートナーと読者を納得させるのは難しいはずで、その問題を、アドリアンの三年の痛みととジェイクの痛みの年数とを引き比べることで乗り越えた展開はまさに特筆すべきところだっただろうと思う。あと、少し前にパートナーをギロチンにかけた『はいまーとろーぜ』に感服したところだったので、なんかそういうジャンル(洒落にならない鬼畜攻めとか?)もあってもいいと思った(笑。
 メルはダメすぎてひどすぎる(笑。それこそ伝説の男なのだから、もうちょっとマシな人であってほしかった(笑。アドリアンがいちいちジェイクだったら…とか考えちゃうのも性格悪い(笑。でもメルがダメダメなのって、なんか学生時代の恋とか恋人ってそんな感じかもなあとも思う。メルとは映画とかの趣味があうというのも同様にしっくりくる。
 逆に、ジェイクは趣味とかは合うわけではないので、だから周囲からはアドリアンとジェイクは全然似合わないと思われてしまっていて、でも本人達はすごく気が合って自然でいられると思っているのがなんだかいい。正反対の相手に惹かれているのではなくて、全然違う二人なのに、世界で一人だけ本音を話せて、なぜか誰よりも理解してくれる相手、というのがすごくいい!
 ガイとアドリアンは、それぞれ一般的に言って魅力があってモテるほうで、だから互いに好意を持って付き合えるしパートナーになってもいいと(少なくともガイは、そしてアドリアンもたぶんジェイクを知らなければ)思うんだろうけど、互いに一番の相手ではないんだね。なんかリアルだなあと思った。

2019年03月20日

ジョシュ・ラニヨン『アドリアン・イングリッシュ6  So This is Christmas』

 五巻の終わり方が美しかったので、後日談ってどんな感じかなと少々不安になりながらも、やっぱり続編が読めるのはうれしい。リアルタイムで追いかけていた皆さんの喜びはいかばかりだったろうか…。
 ケヴィンて二巻からわりとダメっ子だよね(笑。アドリアンはケヴィンに甘いと言うか、実はイケメンに弱いのでは。ケヴィンの場合はジェイクに似ているからかも。
 ガイがアドリアンにスタッドを送ってたけど、これ身に付けられないよね?(笑。どういうチョイスなのだ。
 リバがあるけれど、ジェイクがしてみたい理由はすごくよかった。なんかM/Mものでリバ見るのは二度目なのだが、これはリアリティの追求なのか、それともむしろファンタジーなのか、少し気になる。
 電気毛布はロマンチックでない、というところでタクミくんを思い出した(笑
 今回もきれいに終わったけれど、まだ続きそうな気もする。ナタリーの出産と結婚、ジェイクの趣味、ドーテン家とリオーダン家の顔合わせ、エマとジェイク、アドリアンの小説や書店のあれこれとか、まだ読みたい。あとアヴェリー・オックスフォードも気になる。ただ、アドリアンがケイトと和解しないとできない展開もある気がするし、でもそれはご都合主義過ぎるかなあとも思うので、難しいものもあるかも。ご都合主義でもケイトとアドリアンが仲良くなったらうれしいけど。

 全体を読んで、ゲイ差別とか想像してたより厳しそうだなあと思った。というかケイトへの風当たりがつよいのはどうしてなんだ…何も悪くないのに。好奇の目でってことかなあ。逆に、ガイともジェイクとも結婚って話がふつうに出てくるのはびっくり。これは日本との社会の違いのせいなのか、それとも作品の特徴なのかはわからない。
 あと、リサのアドリアンに対する理解力がこっそりすごい。煩いように見えて、アドリアンが思っているよりもずっと理解し、尊重している感じ。

 全体を振り返って、アドリアンが作中でモンゴメリー・クリフトに似ていると何度も書かれていたせいか、わりと実写で想像しやすい。このクリスマス編ではマットなんとかに似てる、と言われていたけれど、モンゴメリー・クリフト役をやるそうなマット・ボマーかな。あちらのファンサイトとかでもともとマット・ボマーが押されていたそうなので、その反映かなあ。マット・ボマーだとあまりにイケメンすぎ、マッチョすぎな気もする。ジェイクは私の中では故ヒース・レジャーのイメージだけど、ブロークバック・マウンテンの印象に引きづられているかも…と思って調べたら、ヒース・レジャーはアイルランド系の血もひいていたようなので、あながち遠すぎでもないかなと。

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