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[ 二次/いろいろ ]

「眼鏡人伝」その2

 マヨイガプレゼンツ、
 おお振り×フジミ×医龍、そして中島敦。
 「眼鏡人伝」その2

 花井は早速師のもとにおもむいてこれを報ずる。守村は喜んで、初めて「やったね、花井君」と褒めた。そうして、直ちにステキメガネの奥儀秘伝をあますところなく花井に授け始めた。

 表情の基礎訓練に五月もかけた甲斐があって花井の魅力の増加は、驚くほど速い。奥儀伝授が始まってから十日の後、試みに花井が大宮に出て百歩を歩くに、既に百発百中である。二十日の後、人でいっぱいの渋谷に立って、メガネのブリッジをおしあげるに、狙った男が落ちるのはもとより、周囲の人間も見惚れている。

 一月の後、百本のメガネの試着を試みたところ、第一メガネが栄口を落とせば、続いて掛けた第二メガネは誤たず巣山を落とし、更に間髪を入れず第三メガネが水谷を落とす。一本のメガネは必ず一人の男子を落とすが故に、ばたばたと信者が増えていく。瞬く中に、百本のメガネは百人の男子を落とし、花井から一直線に続いたその列はPS3発売前の電気屋のごとくに見える。傍で見ていた師の守村も思わず「ベネ!」と言った。

 二月の後、たまたま西浦に帰って副主将といさかいをした花井がこれをなだめようとして青いフレームのメガネを掛けて阿部の目を見た。花井は落ち着いて今日の練習について話し続けたが、阿部は一向に気づかず、まばたきもしないで花井をうっとりと見続けた。阿部にこんなふうに見詰められるのは正直キモいと思ったが、けだし、彼の至芸によるメガネの魅力と狙いの精妙さとは、実にこの域にまで達していたのである。

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コメント

 うわあ…。

 あ!アフタヌーン買い忘れた!呪いか。

 雨降ってるけど買いに行こうかなあ…。

>やくもさん
むしゃくしゃ(略。

アフタヌーンの代わりに↑をお楽しみ下さい☆

ごめんなさい、ウソです。

 実家の近所には夜にアフタヌーンが買える店などありませんでした。

 

>やくもさん
残念でございます…。

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