恋は桃色
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!!!注意!!!
四人組ノンCP(あるいは利久総攻め?)です。一部お下品だったりギイがおかしかったり章三が激昂してたり、します(もはやいつものことですか)。
人員確保のため、人間関係がちょっと原作無視ぎみです。
また、ある江戸川乱歩作品のネタバレが若干ありますが、本当に若干ですし、あまり本筋に関わらないネタバレですので、大丈夫かとは思います。一応、ご注意ください。














『可愛い(あ、可愛くないのも居るか?ははは)後輩たちへ
 俺たちの卒業を盛大に祝ってくれてありがとう。マジ感動した。
 俺たち卒業生からのお礼のキモチvとして祠堂の敷地内に宝物を隠しておいた。
 たぶん超いい物。見つけたらハッピーになれること間違いなし!
 まあ気合を入れて捜してくれ。新入生が来るまでにな。
 卒業生一同 代表・旧三階長 奈良俊介』





「……無茶苦茶だ!!」






「The Kids Are Alright」




The Kids Are Alright





「で、これがその『地図』らしい」
 目の前に差し出された一枚のコピーに、三人はひたいをつき合わせて覗き込む。
「これ、どこの地図だ?」
 と、赤池章三が眉間にしわを寄せる。
「地図というか、暗号みたいだね」
 と、葉山託生は小首をかしげて相槌をうつ。
「うはー、俺そういうの苦手なんだよなー」
 と、片倉利久は大げさにため息をつく。
「奈良先輩も最後までやってくれるな。卒業してからわざわざこんなものを郵便で送ってくるなんて、手が込み過ぎてるぞ……」
「しかも、この宝物って、きっと卒業式の前に仕込んどいたんだよなあ。ほんっと、よくそんなヒマあったよなあ……」
 章三と利久は感心したようにそう言い合った。ギイも頷いて同意しつつ、コピーを再び手にとった。
「手紙は寮宛てに送られてきたらしいんだが、第一発見者の矢倉が卑怯にも独り占めしようとしていたところを三洲が見付けたらしい。で、その三洲も姑息にも一人で隠れて解読を試みていたところを真行寺に見つかって、能天気な真行寺によって何枚かのコピーが出回った。これはそのうちの一枚だ」
「三洲は飼い犬に手を咬まれたわけか……」
「赤池くん……」
 横目で章三をたしなめつつ否定はしない託生もやっぱりひどい、と利久は思った。
「そんなことはどうでもいいんだ。今のところ確認されている複写は十枚程度、つまり、まだコピーがあまり出回っていない今がチャンスなんだ。いいか、三人とも。他の奴らに見付かる前に、この四人でその宝物とやらを見つけるぞ」
 何やらやる気マンマンのギイの気迫に押されてか、章三も利久も考える間もなく頷いてしまう。託生も頷いてしまってから、ハタとハテナを出した。
「あの、でもギイ、こういうのはもっと大人数で協力しあって解いた方が早いと思うんだけど」
「馬鹿、そんなことしたらワケマエが減るだろうが」
 御曹司のくせになんてセコイ意見なんだろう。章三と託生はため息をつきかけたが、マジに受け取ってしまった者が約一名いた。
「そ、そうだよな……宝物ってのが何個あるのか、わかんないしなあ……なあギイ、俺、ここに入っちゃっててよかったのか?」
 オロオロし始めた利久に、ギイは満面の笑みを返す。
「馬鹿だな片倉! 友達じゃないか、オレ達!」
「ギイ……!」
 ギイの笑顔はあからさまにうさんくさかったのだが、利久は感涙にむせび泣いた。純朴純粋を絵に描いたような男だ、つまりバカ。
 心の中で冷たく切り捨てつつ、章三は話を進めにかかる。
「いいけど、そもそもその『たぶん超いい物』が本当に僕たちにとっていい物なのかはわからないぞ」
 あの先輩たちのことだもんね、と託生もそれに同意する。
「エッチな本とかかもしれないよね」
「エッチとか言うなよ託生! イメージが壊れるだろう!」
 ギイの激昂に、託生はかえって顔を赤くする。
「ななな何だよギイ、今更このメンバーでイメージも何も」
「読者の皆様が引くだろう! タクミくんシリーズは朝チュン路線なんだから……ってのも最近ちょっとしんどくなってきたよなあ流石になあ、オレとしてはもうちょっとこう、ハードにアダルトにだな、」
「ねえ赤池くん、ぼくギイが何を言っているのかよくわからないんだけど……」
「わからなくていい。兎に角僕は、年度末試験も終わってやっと訪れたこの休日をつぶすような価値が、この得体の知れない暗号にあるのかどうかってのが疑問なんだよ」
「つっまんねえこと言うなあ、別にいーぜ、章三はかまなくても。オレたちだけで考えますから」
 大人気なくふてくされるギイに章三もむっとした顔を見せ、何やらケンアクなムードになってしまう。普段から二人の仲裁に入って馬鹿を見てばかりの託生は我関せずという風であるし、一人おろおろとする利久は困って困って、二人の間に割り込んでみる。偉い。
「ま、まあまあ、二人とも落ち着こうよ。先輩たちはさ、俺たちをケンカさすためにこんなの送ってきたわけじゃ、ないじゃん?」
 つまり、やっぱり純朴純粋なのだ、片倉利久という男は。
 ちょっぴりホロリときた託生も、利久に便乗してとりなしてやる。
「利久の言う通りだよ。確かにただのいたずらかもしれないけれど、でもせっかく先輩たちが準備してくれたんだから、捜してみようよ、ね」
「そうだよ、俺たちが楽しんで捜すだけで、先輩たちもきっと喜ぶと思うぜ!」
 前言撤回、純粋純朴で何が悪い、ギイもちょっと片倉を見習え。
 はい、すんませんした。
 章三とギイはひそかに感動を覚えつつ、こっそり目配せしあう。
「悪かったよ、捜す前からくだらない心配してさ」
「オレもだ、楽しく捜そうぜ、章三!」
 わざとらしく和らいだ雰囲気に利久は無邪気な笑顔を見せ、託生はこの親友が誇らしくもちょっぴり心配だった。












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