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[ 雑感/日常 ]

映画『ベニスに死す』

 ユーチューブ貼るの便利だね!公式のトレイラーが結構あってとっても便利。

 

 蜂郎さんマリィさんといっしょに、リマスター版をみてきましたvあたしはこの有名な作品を初めて見たのですよ…。

 眠くなってしまうのでは…と心配したけれど、意外にもそんなことはなかった(笑。シーンごとの尺が長いのは苦手なのだけれど、冗長さ=繰り返しが重要なんだなと思えて納得できたし(一度しか起こらなかったことはなかったことである。何が言いたいのかというと、たとえばあの繰り返しの尾行も一度では意味がないのだ、ということで…(笑。アダージェットも繰り返しすぎだけれど、同じように有意なのだろうと思う。
 あとあたしだけの印象かもしれないけど、アシェンバッハをふくめて、タジオ以外の人も物もすべてが俗悪(キッチュではない)な感じで、とても巧いなと思った。

 言葉で語られない物語なのでわかりづらい部分も多かった。でも、伝染病の過剰な描写はなんだったのか…と思ってたんだけど、あれは心臓病の描写とあわせて、(アシェンバッハの)死のイメージが蔓延するトポス、という表現なのかなと思い直した。
 アシェンバッハの死因は伝染病だと思っていたので、そうではなくて拍子抜けしたというか、あれ、と思ったのだけれど、よく考えたら死因はなんでもよかったんだろうなあとも思う。完全な美を見出したら死ぬしかない、と言われていたのだから。しかし映画の宣伝コピーにヴィスコンティが描く究極の美、とあったけれど、だから描かれているのは究極の美ではなくて、究極の美(だと思えるもの)を見出した瞬間、なんだろうなあとも思う。いや、タジオ、美しいけどね(笑。でもやっぱり究極の美、ではなくて、アシェンバッハの中での究極、というか完全な美、だよね。

 アシェンバッハのファーストネームがグスタフなので、もしやと思って今調べたら、やっぱり原作者がマーラーから拝借して名付けたらしい…でもマーラーの中からアダージェットを選んだのはヴィスコンティなのかなあ。
 ってのはウィキペで知ったのだけれど、他にも色々びっくり。タジオって、モデルの少年の名前ほぼそのまんまなのね!すごいことするなあ…。あとモデルの少年はトマス・マンが出会った当時11歳だったらしいけど、ビョルン・アンドレセンはタジオ役当時は16歳だったのか…もっと下かと思った!
 …ん?ていうか、ウィキペだとアシェンバッハは伝染病に感染して、と書かれているな…。伝染病に感染しつつ心臓が弱って、とかなのかな…いずれにしてもしかし、コレラの症状には見えなかったけど…(汗。
 それにつけても、ビョルン・アンドレセンは、この作品ほぼ一作くらいしか俳優してなくて、そして今ではちゃんとおっさんになってるというのは、なんというか稀有でたっといことである気がする。そして本仁戻が『耽美主義』で書きたかったのであろうことも、もう少しだけ分かった気がした。

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