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[ 雑感/日常 ]

映画『人生、ここにあり!』

 

 マリィさんにおすすめいただいて、予告編も興味を惹かれるものだったので銀座で観てきましたv午前中一回のみの上映になってたんだけど、結構人が入っててびっくりした…ん、今調べたら、渋谷でも上映が始まってた…。

 バサリア法によって精神病院が閉鎖に追い込まれたあとのミラノで、あまりのタカ派ぶりに労組から追い出されたネッロが、元精神病患者の労働組合で新規事業をたちあげてそんなこんなという、実話を元にしたお話。

 ほんとにごく単純に、とっても面白くって、とってもよく出来てる映画だなあという印象だった。

 仕事で頭がいっぱいのネッロは面白いキャラだなあと思う。一見、組合員たちにたいして相当忍耐強く、差別をせず、親切に付き合いつづけているように見えると思うのだけれど、でも一方でたんに彼は仕事人間であるというだけのことなんだろうな、とも思う。なんというか、何か目的があるのでもなく、名誉欲とかでもなく、たんに仕事そのものが目的と化してる感じの人だ。だから組合をいい方向に持っていくために、組合員にたいしても親切にしてる、って印象。もちろん悪い人ではないし、人並みの親切心とかも持ってるとは思うんだけど、その上でね。でも相手を機能としてしかとらえてなくてちゃんと人間として見てない、気持ちを考えてない、とかさんざん指摘されてネッロ自身もそれを自覚させられる事件があったし、その指摘や気づきもとても大事なのだけれど、でも相手のために、ではなく自分のために行動するからこそ、よりよい関係性や結果が生まれることもあると思うし、慈善事業っていうのは特にそういう面が重要になることも多いと思うので。
 というか、むしろネッロの恋人のサラのほうがほんといい人だよね…(涙。人格者だ。
 しかし、彼は誰かに似てるなあとずっと思いながら見ていたのだけれど、最後のあたりでケン・ワタナベ…!と思いついてしまって、なんだか笑えてしまった。

 組合員もそれぞれキャラが個性的で面白かった。
 特にルカは、なんで最後までそれなんだ、少しは成長しようよ~とか思ったんだけど、でもそういう感想もあたしのなかの暴力的権力的な「普通」による視点に過ぎないのかも、とも思った。
 ジージョも上記の「普通」という概念や「かわいそう」という言葉の意味を問いかえす、ありがちだけれどとても大事な視点を提示していて、印象的だった。のだけれど、なにしろ、俳優さんがとってもかわいかった…!!
 医者はそれぞれ、何か裏があるんでは…とか邪推してしまった(笑。

 しかしイタリアの精神病院の状況なんてぜんぜん知らなかったのだけれど、これはミシェルフーコーに観て欲しかった映画ですね…。

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