江戸東京博物館特別展「文豪・夏目漱石―その心とまなざし―」
評判がよいみたいだったので、ない時間を捻出していちきました。
平日夕方だというのに、結構人が居ました。お年をめした方と若い方と研究者風の方と学生ぽい方、が多かったです。前半は、中間層とその上下がいなかったよーということです。まあ平日なので当然か。後半はまあそのまま。
内容はすごくオーソドックスで…昨今流行の批評的な言説ですべて把捉できそうな…というかむしろ、そんなふうに批評されてしまいたい欲望でもあるのか…?という感じだった。
作家の学生時代の成績表やら、細かなすごくどうでもいいメモ、書簡も結構面白いものもあればどうでもいいものもあり、やがてはデスマスクや遺品が並び、って感じで、作家表象のたちあげ方はすごくオーソドックスで、かつ既にある作家表象ともほぼイコールで、よくもわるくも健全な展示の仕方だなあという感じを受けた。
よくもわるくもというのは、こういうふうに並べられると、たとえばわたしは「ああラファエル前派の影響を示したいのね」「『虞美人草』が大衆受けしてブームが起きたって話ね」とか、すごく単純化記号化して見てしまうわけですよ。まあわたしの感受性が乏しいせいかもしれませんが、でもやっぱり知識が先に出て記号で捉えてしまいたくなる展示の仕方であったというのも確かだろうと思う。
でも、そういうのを全然知らない閲覧者層には、そういうオーソドックスな展示は面白いのかも、とも思う。もっとも、それならそれで、あまりに抽象的というかわかりづらいとこ、たとえばラファエル前派関連の展示など、となりにラファエル前派の影響受けて書かれたテクストとか添えればいいのに、とは思った。
うーん、何だか上から目線ですかね。
まあ初版本とか、特に最初の全集とかまとめて見られて良かったかなというのと、『明暗』発売日の岩波書店店頭の写真(前にもどこかで見たような気もしたが)とかなんだか面白かった。この『明暗』とか全集辺りのことはまさに作家表象研究的な意味で面白いよね。Lくんとか猫くんとかが好きそう(笑
あと、三四郎池の写真がまさかと思ったらほんとに渡部芳紀の撮影だったので、ちょっと笑ってしまった。なんというか、流石だ。