中村一義『太陽』『主題歌』
一義再聴第二弾。
『太陽』は『金字塔』『イーラ』にくらべるとやっぱり地味な気がするのと、あと彼の歌は良くも悪くも私小説(メタファーとしての)なのであるということを改めて思い出させてくれるのとで、印象的なアルバムである。
勿論キライではないし、大事な曲もものすごくいっぱいあるけれど、ニガテな曲もある。
「魂の本」はヤバいなあ。「風が止んで、死んだふりしてたら、飛んだ。こう、両手で」そうでございますか。「もう、さっぱわかんないからねぇ」って言いたいのはリスナーですよ!詩もメロディも『太陽』っぽくっていい曲だ。
「あえてこそ」は語彙が『金字塔』っぽい気がする。「街のバカに好かれたら…」とか。「あえて」が和えてって意味だってとことか。
「再会」は地味だがむちゃくちゃ大好きな曲だ。「「終わりだ」と言って、健康に生きている、殺風景よ、さよなら…。また今度ね」という冒頭がもうもうもう、最高にハイってやつだ!
「日の出の日」はタナソウのことを思い出してしまう曲になってしまった…しかし大好き!「じゃあさ、ちょっとだけ、土手に寝っ転んで、僕等を追ってた夜も、呼び寄せ、」こんなサビがあるか!(笑。詩の内容もあってか、すこしセンチメンタルで美しい。
「笑顔」もヤバい。全然わからんというか、何が言いたいのかというか、見方によってはつまんない啓蒙ソングにもなりえてしまう。のに、このメロディ、言葉の乗せ方、やっぱりナカカズはナカカズなのだと思えた。歌詞だけ見るとアレ?なのだけれど、曲として聴くとやっぱりいい。
やっぱり『太陽』は『金字塔』以上にわけのわからない歌詞や日常的な歌詞が多く、そしてメロディが穏やかであっけらかんとしてる気がする。
「青の時代を延々と行くのも、また一興だ」とか、実はベタでダイレクトに過ぎる気もするし聴き方によってはただの応援ソングでもある。そしてやっぱり私小説である。
しかしたとえば「成功と失敗、全部が、絶対、無駄じゃない。もう、全然すぐれないような日々も」とかもダイレクトだが「すぐれない」という語彙はやはりいいなあと思う。
しかしこの曲はとにかく音域が広すぎて、カラオケとかで歌うと限界だと思った。中村一義は高音域が得意なのか、それとも得意ではないけれどメロディとして必要だから平気で使っているのか、未だによくわからない。