映画『ハウルの動く城』
ネタバレがありますので未見の方はご注意を。
見ないつもりだったのですが、仕事で使えそうな気がして急遽『ハウルの動く城』、時期をはずしているので下高井戸まで行って見てきました。最近シネコンしか行かないので、小さくてかわいい映画館で懐かしい感じでした、下高井戸シネマは。
えー。予想に反して面白かったです。『もののけ姫』よりかは、というレベルで。
技法について。声優は相変わらずうまくない。美輪さんは別格だけれど、他はほぼ聞くに堪えない。木村拓哉は意外といいという意見も聞くけど、単にあの中では下手さが際だたなかっただけかと。つーかそれについては後述。
絵については、韓国に下請けに出すのはやめたみたいだけど、それでも作画は不統一だった。最初のハウルとお花畑のハウルなんて違いすぎ(いや髪の色でなくってよ。あと、ソフィーの外見のモーフィングはもうちょっと工夫が欲しい(理解出来ていない人がいたように思う)し、そうした人間絵のいいかげんさや、これは物語内容の話にもかかわるけれど、キャラづけの雑駁さがイヤだった。特にハウルやソフィーといった主人公のキャラが言葉や表情、行動に一貫性がなくあいまいすぎ。
物語について。物語の緻密でないことはさておくとしても(わたしはあまり完全なる物語は志向しない)、「90才のソフィーの恋」では殆どない、というのは羊頭狗肉というかなんというか…。ハウルはソフィーの正体を知っていた(寝顔の時点もしくは過去の時点で?)わけだし、これは前述のキャラづけにもかかわることだけれど、ソフィーの老婆性の設定がむちゃくちゃいいかげん。老婆と少女を行きつ戻りつするのは面白い試みだけど、アイデアに描写(脚本=映画としての物語も絵も声も)が追いついていない感じ。
あと、魔法に関する論理がめちゃくちゃ。なんで城を一旦壊したのかとか全然わかんない。それと、なんで戦争しているのかわからない。いや分からなくてもいいんだけど、それにしては最後のサリマンのセリフが意味不明。
なんかこの消化不良っぷりは『魔女の宅急便』に近いものがあるなぁ。同じ原作ものだし。原作アリでつくる物語の強度が脆弱すぎるのでは?宮崎ハヤオ。
とはいいつつも!
とりあえずハウルはモエモエだった!声が石田彰だったら三十倍くらい素敵なキャラになっただろう!(すみません、声優は全然詳しくないので美青年演じられる上手い声優は石田彰しか知らないのです…というか単にわたしの好みということもあり。あの薄い描写でも石田彰だったらもう少しは深みのあるキャラになっただろうなぁ…。
あと、(特にハウルの服の)色指定の趣味が悪すぎて卒倒しそうになったよ。なので色替えで。
![ハウル](http://mayoiga.s6.xrea.com/img/20050724.jpg)
とはいいつつ、いまだにマモノのほうがよっぽど気になる帰り道。
わたしのせいか?『ハウル』のせいか?
マモノのせい、ではある、確実に。