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2014年09月23日

映画『幕末太陽傳』

 TOHOの午前十時の映画祭で観て来ました^^
 クロエはもともと映画が得意ではなくて、その原因が戦争映画体験だということもあって、日本映画はあまり好きではないし、くまちゃんが以前これを見ようとして寝てしまったなんていうので、正直あまり期待していなかったのですが;
 正直、こんなに面白くて素敵な映画は久々でした。上記の理由からあんまり本数を観ているほうではないのだけれど、それでもぜったいベスト映画の上位に入れたい。

 落語「居残り左平次」を中心に、いろいろな落語ネタをもりこんだコメディ。品川のお茶屋で大盤振る舞いしたあげく、金がないと居直り行灯部屋に自分から押し込まれ、店で何故か大活躍をはじめる左平次の話に、高杉晋作らの攘夷活動の話もおりまぜつつ。

 なんといってもフランキー堺の居残り佐平次がカッコよく粋で、ちょっと影もあって、とってもよいのです。
 高杉晋作石原裕次郎や喜助岡田真澄の演技は正直ちょっとアレで^^それでも全然キャラの魅力も映画の面白さも損なうことがなく、あぁなんでもかんでもきれいに完璧につくればいいわけではないよなあと改めて思わされたり。あば金(アバッキオではなくあばたの)のあばただけはちょっとマンガ的だったけれど^^

 お話としては思っていたよりも居残り佐平次が主軸で、高杉晋作らの攘夷運動がうまくからめられていて、これ単体で見てもよくできた筋になっているのではと思う。
 いろいろな落語ネタがちょこちょこ入ってきて、付き馬、品川心中、三枚起請、文七元結+お初徳兵衛、お見立てから、小ネタではだくだくなど、思い出せる限りあげてみたけれど他にもあるかもしれない。
 うまく構成したものだなあと感心してしまうけれども、印象的だったのは文七元結+お初徳兵衛で。人の良さそうな顔なのにどうしようもない大工長兵衛に、改心しなさそうな若旦那徳兵衛、ちゃっかりしっかりしたお久と、なんだかなあと思うけれども可笑しい。
 そのお久が無邪気に、十年後にきっと代金を払いますと佐平次に告げ、自らの病を思い出してだろう、十年後はどうなっているのかわからないと皮肉る佐平次に、どうなっているかわからないけど、私もお金持ちになっているかもしれませんもの、とか大きく出るのが清々しい。

 ラストシーンについては監督の想定していた破天荒なラストが変更になったそうで、監督案のほうが絶対によかっただろうなあとは思うけれども仕方がない。今の技術があれば、いろんな映像からのつぎはぎで作れそうな気もするけれども、それも野暮かしら。うーん、でも見てみたかったなあ。お久のエピソードとあわせて、未来へ繋がるいいラストだったことだろうなあ。

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