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[ 読書/一般コミック ]

高殿円・雪広うたこ『魔界王子』1~3

 両親を亡くしたものの、もちまえの権力欲で一人頑張ってる貴族の息子が、実はルシファーが眠る間の代理王をきめる選帝侯であるというソロモン王の末裔でございまして、悪魔たちが自分を選べとやってきて、学園生活の中ですったもんだ。

 うーん、色々不満はありつつ…。
 まず、ファンタジーなのに設定が荒い。荒いというか、原作者が悪魔学関係の設定にひきづられて自分自身の作品世界をきっちり作りきれていないんでは、という印象。あと、説明がまだあんましうまくないのもあるかもしれん。
 説明がうまくないだけなのか、ちゃんと設定が決まってないのかわかんないんだけど、たとえば、代理王候補の悪魔たちはどういう身分でなぜ彼等が選ばれているのか、代理王を選ぶのは悪魔王と選帝侯たちということだけど、悪魔王=代理王候補なのか、人間の選帝侯はソロモンだけということは他にも何人か悪魔の選帝侯がいるのか、とかよくわからん。東方のなんたらとか爵位とかも、きっちり位階などの設定があるというよりは知識をそのまま書いただけという印象。
 キャラの描写も、主人公は権力欲の権化という設定だけど困った人や悪魔を見捨てられない人なのか、とか、ほのめかしているのかもしれないけど、もうちょっとはっきり書いてもいいとおもう。主人公の3巻後半のダンタリオンたちへのいらだちとかも唐突でよくわからん。 
 漫画も、絵はかわいいけどやや不安定ぎみで、ん?これはあのキャラだっけ?と考えてしまい、ちょっと読みづらい。

 けど、キャラや雰囲気は魅力的だとも思う。
 主人公は権力欲の権化(貴族でアレではスノッブすぎ大衆的すぎだと思うけど、笑)というのも面白いし、リアリストで悪魔の存在を否定するのも、時々いろいろな理論とか研究者を引用するのも面白い。悪魔は、ダンタリオンはちょっと影が薄い気もするけど(笑、アシュタロスやシトリーはかわいい。賭け事だいすきな執事とか、いきなり牧師として学校にやってきててちょっと荒業だなあと思ったけど、しかも正体は○○○○だなんて…力技すぎる!(笑。
 そんなわけで、面白かった…というわりには文句が多いように見えますが(笑、面白かったのです。

 あ、まだ文句を言うというのもアレだけど…しかし、表紙の飾り枠はデータ集のだね…。絵ともかさなってるから、作者さんが入れたのかな。だったらいいのだけど、デザイナーさんが入れたのだとしたら、仕事してないなあ、と思ってしまう。

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