池玲文『涕涙まくら』
短篇集。
表題作は優しいだけがとりえのお兄ちゃんに惚れられて、美人弟がわがままさんざんきいてくれてるんだから抱かれるくらい別に…とかゆって身体をゆるしているつもりなんだけど、という。弟の屈折した感情の書き方がうまいなあと思う。しかし後日談はほしかった…。
指を喰う妖怪の話は、なんかホラーとしてもBLとしてもイマイチだった。なんで互いに好きなのかよくわからないこともあるし。
就活で失敗し続けて地獄に就職する話はよくわからんかった(笑。
ルーガルーは短すぎる(笑。このシリーズもっとあるんなら読みたい。
最後の漫画表現その他が規制されていく話は…ベタすぎるというか。カウンターカルチャーに主張を織り込むにしても、この作家なら、なんというかもっと…スタイリッシュに、というと語弊があるかもしれないけど、もっと作品としてテーマを昇華できそうな気がするんだけどなあ。なんかもう一味ほしかった。
しかし全般に、なんだか絵が…古い話が多いせいもあるんだろうけど、ちょっとなあ、という印象だった。