神楽坂はん子『ひとつやね』
神楽坂はん子は最近絵が心配な感じだったし、この表紙も人体デッサンがアレな感じだったし、子持ち受けというあたしの地雷も含まれてたので心配だったのですが、これが意外にというかとっても面白かった。
表題作は、絵にかいたような金持ちの放蕩ドラ息子のマンションに、子持ちの家政夫さんがやとわれて、という話。放蕩息子がベタに実は淋しいこで、というのがあっさり書かれてからあっさり素直なよいこになってしまった(笑。でもなんで受けのこと好きになったのか、この設定展開ならたんに親代わりのがしっくりくるのに、と思ってたら、受けは周り中の男に狙われまくりの単なる魔性だった…(笑。
友達同士がくっつく話はちょっといまひとつだった。
ビデオ擬人化の話は、作者はあとがきで向いてなかったみたいなこと書かれてたけど、すごくよかった。ちょっとあっさりしてはいるけど。
アラブの身を売らされているアルビノ少年を、立身出世したアラブ青年が助ける話は、CPがあれなせいか、あんましBLっぽくないというかなんというか。BLっぽくないというのともちがうなあ…萌えないというか(笑。視点人物が恋愛から一歩離れてるからかな。
でも同じように視点人物が蚊帳の外なのに、田舎の大学生従兄弟の家に行ったら従兄弟は近所の幼なじみが好きみたいで、けど幼なじみは女の子と遊びまくりのいいかげんで従兄弟の気持ちを考えないひとでなしで…という話は、どんでんがえしがここちよくとっても面白かった!あざといけど、すごくいい!
ワガママ小説家に編集者がめっさ我慢する話も、ベタではあるけどよかったなあ。小説家がただのワガママ野郎なので、もうちょっと魅力的だともっとよかったかもだけど(笑。短篇だし仕方ないかも。あ、あと小説家は編集のことがすきっぽいんだけど、それが後半あんましはっきりしなかったかも。
そんな感じで、なんか全体に小気味のよいお話がつづいて、すごくよい感じの一冊になってた印象。