日高ショーコ『花は咲くか』1
内容の前に、裏表紙の梗概がちょっとほかに類を見ないくらいひどい。
駅でぶつかった相手に水をかけられてしまい、仕事でつかう資料をだめにしちゃって、相手がその資料をもってるとかというので家までついていって…って、なんで赤の他人が仕事の資料なんて持ってるんだ?と思ってたら、主人公は広告代理店勤務で、資料にしようと思ってた雑誌をたまたま相手も持っていた、というだけの話だった。
相手は大学生で、下宿の管理人もしてるのだけれど、なぜか主人公にはやたらときつい。そんな管理人は気に入らないものの、下宿の建物自体は気に入ったといって、ちょくちょく下宿を覗きに行くリーマン…って、視点人物で主人公なのに、なんかよくわからん人だな、と思ってたら、確かに下宿は気に入ってはいるけれど、下宿の住人になつかれたり呼ばれたりって流れで訪ねるだけなんじゃないか。
というわけで、梗概読んでもよくわかんなくってぜんぜん心惹かれなかったので、これは日高ショーコじゃなかったらたぶん買わなかっただろうなあ。
内容は、なんかのんびりニアBL…ルチルらしいとも言える。
管理人大学生は、太めのぐっと睨むような眉が珍しくていいなと思ってたら、ぼんやりしてると寛末というかふつうのキャラになってしまうのが勿体ない。でも人慣れしてないかわいいキャラだ。
しかしかわいそうキャラではなく、むしろ従兄弟だっけ、の下宿住人のほうがかわいそう受けの素質ばりばりだなあ(笑
主人公は昔はバリバリ仕事してて有能ぶりを発揮してたのに、ちょっと疲れてルーチンワークこなしてるおっさんにさしかかった年齢…というのはなんかいい(笑。でもキャラ的にはふつうの人で、あまり面白みはないかなあ。なぜ管理人さんに急にどきっとしたのかもいまいちよくわからない。
それにしても、これ群像ものになるのか…!とびっくり(笑。この作家で群像ものってあんまり想像したことなかったし。
面白いけれど、でも展開ゆっくりだし、ルチルだし、次はいつ出るのか、一体何巻まで続くのか…という気も。