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[ 雑感/BL ]

タンホイザー序曲について

 フジミオンリーイベント「六月祭」が、今回で終了だそうなのです。一冊くらいフジミ本つくりたかったんだけど、無理っぽいなあ…。一時期、オペラ座の怪人ネタと、オケ大会ネタをかなりまじめに考えていたのですが。

 そんなわけで、ではありませんが、タンホイザーはもちろんフジミの第一話のあれです。いつもちゃかしてしまいますが、多少は真面目に考えてみようと思います。

 あの場面、通称タンホイザー事件、は、あたしは実は小説ではなくドラマCDで初体験という奇妙な体験をした(つまり、あのセリフと悠季一人称の語りを、まさしくタンホイザーをBGMに聞いた)せいもあるのですが、とまれかくまれ『あれはありえない』という感想を初っぱなから抱いており、その印象はもちろん漫画版小説版を読み直したときにもかわらず、今にいたるまで常に『ありえない』としか言えないし、違和感は増す一方なのでございます。タンホイザー。

 しかし一体何がありえないのか。指揮者の確信的な勘違いがありえない?ワーグナーでもワグナーでもなくヴァーグナーなのがありえない?コンマスを犯すのにBGMをかける指揮者の変態ぶりがありえない?それとも選曲がよりにもよってタンホイザーなのがありえない?うん、なんもかもありえないんですけどね。

 それはさておき、やはりあたし的に一番ありえないのは、選曲である気がします。
 その後の桐ノ院圭のキャラ造形を考えると、あそこでワグナーはない気がします。やっぱりのちの展開を考えても、あそこはベト7(この曲が個人的に好きなせいもあるのですけどね)か、せめてベートーベン曲が適切な気がします(それこそ後づけ設定なんでしょうけれど。
 また、タンホイザー自体にもちょっと特殊な曲という印象があるのです。これはどうでもいいことですが、タンホイザー序曲って常にニュルンベルクのマイスタージンガーとごっちゃになって、どっちがどっち、となってしまうのです。そこで二曲の違いを考えていたのですが、タンホイザーは、メインテーマを管が担当してて(たぶん)四分の三拍子(たぶん)なのです。しかし実はこれらの要素って、これまた個人的にですが、変拍子な印象なのです。頭の固い人間なせいか、メインテーマを弦というかバイオリンが弾くのがオーソドックスなクラシック音楽だと感じてしまうのだと思います。しかし個人的な印象はともかくとして、悠季がコンマスということを考えても、やはりあの場面では弦メインの曲のが適切なんではないかという気がするのです。
 あと、四分の三拍子でつくるワグナー的な『壮大さ』って、あんましああいう場面と結びつかない気もします。まだマイスタのほうが…いや、マイスタだったらだったで、大笑いしただろうけど…うーん、でもやはり、タンホイザーのあの管がメインテーマのときの弦の対旋律っぽい部分、この場面には合わないよなあ。なんか観念的というか。や、それはそれでいい…のか?ベト7も観念的かもだし…いやしかし…。

 まあそんなわけで、やっぱりタンホイザーにはとりわけ違和感があるのです。でもその違和感が気になって気になって、あまり好きじゃなかった曲なのにむしろ好きになってきました。こういう興味の持ち方はとってもやっかいな気がしますが。

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コメント

…なんか超いろいろ考えてしまいました。
ありえなさ。そのとおりです。ありえなさの故に忘れられないのでしょうね…。
ありえない点が多すぎて、なんかもう起点としては周到なよりは納得する、という納得し方をしていました(笑)。べト7だったら背筋伸びちゃいそうです。
だいたい最初からワッ!という音量では鳴らないし(笑)、がんばっても主旋律の管に規則的にからむ弦のトレモロ?に乗れるのかな?というくらいで。
……でもまあ、普通だったら白けるBGMであることは間違いないと思います。三拍子は難しいとおもいます。「本気の恐怖」があってはじめて成り立つのかも。あー92分ぶんリピートすればなんか違う味なのかも、とか、話の品位が落ちきるまえにやめますが、六月祭は…!残念ですね!!一時本気で浮気を検討していた熱が戻ってきてしまいます。

>マリィさん
ありえないですよね~でもほんとに、あのありえなさで惹きつけられた気もします(笑

>だいたい最初からワッ!という音量では鳴らないし
そうそう、あの静かな冒頭をしかしボリュームは大音量でかけられたら、そうしてあんなおかしなこと言われたら、なんだかもう想像するだけでもこわい精神状態になりそうですよ。
でもやっぱり、だからこそ強烈なインパクトがあったんですよね、きっと。

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